カルシウム誘発ゆうはつせいカルシウム放出ほうしゅつ

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カルシウム誘発ゆうはつせいカルシウム放出ほうしゅつ(カルシウムゆうはつせいカルシウムほうしゅつ、えい:Calcium-induced calcium release、CICR)は1970年代ねんだい発表はっぴょうされた、すじしょう胞体からのカルシウム放出ほうしゅつ機構きこうである[1]

当初とうしょ骨格こっかくすじのみでこるものだとされていたが、その研究けんきゅうで、それがじつ心筋しんきんをも支配しはいする機構きこうであることがあきらかになった。

すじ細胞さいぼうまく(サルコレンマ)はおおくのイオンチャネルっている。そのうちのひとつが電位でんい依存いぞんせいイオンチャネルであるDHPR(ジヒドロピリジン受容じゅようたい)で、これはカルシウムイオン細胞さいぼうしつゾル流入りゅうにゅうさせるはたらきをしている。

細胞さいぼうないにあるすじしょう胞体はカルシウムイオンを貯蔵ちょぞうしている。すじしょう胞体じょうにはリアノジン受容じゅようたいばれる、カルシウムイオンにたいして感受性かんじゅせいたか受容じゅようたい存在そんざいし、このリアノジン受容じゅようたいすじしょう胞体が貯蔵ちょぞうしているカルシウムイオンを放出ほうしゅつするカルシウム放出ほうしゅつチャネルである。

この機構きこう目的もくてきは、ごく微量びりょうであってもおおきな影響えいきょうおよぼすある割合わりあいのカルシウムイオンをすじ細胞さいぼうしつゾルに放出ほうしゅつすることである。だつ分極ぶんきょくによってDHPRが活性かっせいし、細胞さいぼうがいからカルシウムイオンが流入りゅうにゅうすると、そのカルシウムイオンはすじしょう胞体じょうのリアノジン受容じゅようたい活性かっせいし、すじしょう胞体からカルシウムイオンを放出ほうしゅつさせる。カルシウムイオンは最終さいしゅうてきにはアクチンフィラメントじょうにある付属ふぞくタンパク質たんぱくしつ結合けつごうし、すじ収縮しゅうしゅく促進そくしんする。

このように、カルシウムイオンはすじ収縮しゅうしゅく重要じゅうよう要素ようそなのである。

興奮こうふん収縮しゅうしゅく連関れんかんにおけるCICR[編集へんしゅう]

この機構きこう興奮こうふんすじ細胞さいぼうしつ活動かつどう電位でんい)と連関れんかんしており、心筋しんきん収縮しゅうしゅく細胞さいぼうしつのカルシウム濃度のうど上昇じょうしょうによるものである。カルシウムは調節ちょうせつタンパク質たんぱくしつであるトロポニン結合けつごうし、アクチンミオシンあいだにクロスブリッジを形成けいせいする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Endo M. (1977). “Calcium release from the sarcoplasmic reticulum.”. Physiol Rev 57 (1): 71–108. PMID 13441.