ガスキエス氷ごおり期き

ガスキエス氷ごおり期き（ガスキエスひょうき）は、約やく5億おく8000万まん年ねん前まえの氷河ひょうが時代じだい。ダイアミクタイトなどの氷こおり成なり堆積たいせき物ぶつから示唆しさされており、579.63 ± 0.15 Maから579.88 ± 0.44 Maまで約やく34万まん年ねんに亘わたって継続けいぞくしたとされる。当該とうがいの時代じだいはエディアカラ紀きの後期こうきであり、先カンブリア時代せんかんぶりあじだいにおける最後さいごの主要しゅような氷河ひょうが時代じだいである。先行せんこうするスターティアン氷ごおり期きやマリノアン氷ごおり期きと異ことなり地球ちきゅう全域ぜんいきが凍結とうけつするスノーボールアースには至いたらず、地球ちきゅう表層ひょうそうの部分ぶぶん的てきな凍結とうけつが発生はっせいした。ガスキエス氷ごおり期き終結しゅうけつの後のちに海洋かいようは大だい規模きぼに酸化さんかされ、大型おおがたの体からだを持もつエディアカラ生物せいぶつ群ぐんが出現しゅつげんした。

地質ちしつ学がく的てき証拠しょうこ

ガスキエス氷ごおり期きと同どう時期じきに堆積たいせきしたとされる全すべての堆積たいせき物ぶつは分わかれた8つの古こ大陸たいりくから発見はっけんされており、中なかには赤道あかみち付近ふきん（緯度いど10 - 30°）から得えられたものもある。ニューファンドランド島とうに位置いちするGaskiers-Point La Haye の層そう厚あつ300メートルのセクションは縞しま状じょうのドロップストーンが密みつに構成こうせいしている。そのδでるた¹³C 値ねは8‰と非常ひじょうに低ひくく、当時とうじの異常いじょうな環境かんきょうと整合せいごう的てきである。これは、氷こおり床ゆかの存在そんざいする氷河ひょうが時代じだいにおいて熱塩あつしお循環じゅんかんが卓越たくえつし、植物しょくぶつプランクトンの遺骸いがいなどから構成こうせいされる有機ゆうき炭素たんそリザーバーが分解ぶんかいされたためと考かんがえられている。氷こおり床ゆかが存在そんざいしない場合ばあい、表層ひょうそう水すいは融とおる氷水こおりみずの影響えいきょうで塩しお濃度のうどが低ひくくかつ表層ひょうそうで温あたためられており、氷こおり床ゆか存在そんざい時じに形成けいせいされた深層しんそう水すいは塩しお濃度のうどが高たかくかつ冷却れいきゃくされていた。このため比重ひじゅうに隔へだたりが生しょうじて成層せいそう構造こうぞうが卓越たくえつし、熱塩あつしお循環じゅんかんが妨さまたげられていた。

エディアカラ生物せいぶつ群ぐんの最古さいこ級きゅうの化石かせきの直下ちょっかに位置いちする部ぶ層そうからは、氷こおり期きが生物せいぶつの進化しんかを後押あとおしした可能かのう性せいがかつて示唆しさされた。より正確せいかくな年代ねんだい測定そくていの結果けっか、570 Maの大型おおがた化石かせきとダイアミクタイトの間あいだには、実際じっさいには900万まん年ねんの開ひらきがあることが判明はんめいした。エディアカラ紀きの後期こうきには海洋かいようの酸化さんかが起おきていたことがδでるた¹³Cの強つよい負ふシフトや、堆積たいせき物ぶつ中ちゅうの鉄てつが還元かんげん的てきな状態じょうたいから酸化さんか的てきな状態じょうたいへシフトすること、ならびに硫黄いおう成分せいぶんの酸化さんかによる硫酸りゅうさんイオン濃度のうどの上昇じょうしょうから示唆しさされる。これらの原因げんいんは続ぞく成なり作用さようやメタンハイドレートの融解ゆうかい、海水かいすい準じゅん低下ていかによる陸地りくちの浸食しんしょくなどが挙あげられるが、明確めいかくに定さだまってはいない。