クロムスズピンク

クロムスズピンクは、ピンクのセラミック顔料がんりょうである。クロム錫すずピンク（クロムすずピンク）と表記ひょうきされることもあり、英語えいごではクロムティンピンク (chrome tin pink) と呼よばれる。Colour Index Generic Nameは、Pigment Red 233である。

組成そせい

スズスフェン (CaO・SnO₂・SiO₂) を母はは格子こうしとし、この中なかに少量しょうりょうのクロムが固かた溶したもの。母はは格子こうしとなるスズスフェンはスフェン (CaO・TiO₂・SiO₂) のチタンをスズに置おき換かえたものなので、スフェンピンク (sphene pink) とも呼よばれる。

製法せいほう

クロム化合かごう物ぶつ、酸化さんかスズ、二酸化にさんかケイ素けいそ、炭酸たんさんカルシウム、それに少量しょうりょうのフッ化かカルシウム、ホウ砂すなを配合はいごうし1200℃で焼成しょうせいしてつくられる。カルシウムを含ふくむ釉薬でピンク、バリウムを含ふくむ釉薬で紫むらさきがかった赤あか、鉛なまりを含ふくむ釉薬で鮮あざやかなワインレッドに発色はっしょくする。

なおバリウム或あるいは鉛なまりを含ふくむ釉薬にクロムスズピンクを添加てんかしたものをクロム赤あか釉（-あかゆう）、カルシウムを含ふくむ釉薬にクロムスズピンクを添加てんかしたものをクロムピンク釉（-ゆう）と呼よぶ。なおクロム赤あか釉はクロムスズピンクの代かわりにスズスフェン或あるいは酸化さんかスズと酸化さんかクロムをバリウム或あるいは鉛なまりを含ふくむ釉薬に加くわえてつくることも出来でき、クロムピンク釉もクロム赤あか釉同様どうようクロムスズピンクの代かわりにスズスフェン或あるいは酸化さんか錫すずと酸化さんかクロムをカルシウムを含ふくむ釉薬に加くわえてつくることも出来できる。

用途ようと

陶磁器とうじき・セラミックスの着色ちゃくしょく以外いがいでは、絵具えのぐにも使つかわれており、イギリスのウィンザー・アンド・ニュートン社しゃの透明とうめい水彩すいさい絵具えのぐのポーターズピンク、リキテックスプライムのアースピンクはクロムスズピンクを顕あらわ色しょく成分せいぶんとする絵具えのぐである。鈍にぶい色いろ、明あかるいながらも比較的ひかくてき弱よわい不透明ふとうめい性せい、弱よわい着色ちゃくしょく力りょくを持もった絵具えのぐとなる。