グロープラグ

グロープラグ

グロープラグ(英えい: Glow plug)とは、ディーゼルエンジンにおいて冷ひや間あいだ時じの始動しどうを助たすける補助ほじょ熱源ねつげんである。予熱よねつプラグとも呼よばれる。

概要がいよう

ディーゼルエンジンは、吸入きゅうにゅうした空気くうきを高たかい圧縮あっしゅく比ひで高温こうおんにすることで燃料ねんりょうの自己じこ着火ちゃっかを可能かのうにしており、着火ちゃっかのための電装でんそう品しなが不要ふようであることも長所ちょうしょのひとつとなっているが、シリンダーヘッドやシリンダーブロックが冷ひえ切きった冷ひや間あいだ時じには、短時間たんじかんのクランキング（数すう回かいの圧縮あっしゅく）では燃焼ねんしょう室しつの壁面へきめん温度おんどが上あがらず、始動しどう不良ふりょうを起おこし、始動しどう直後ちょくごも失火しっかしやすい。このため、燃焼ねんしょう室しつ内ないに補助ほじょ熱源ねつげんとして予熱よねつプラグが備そなえられる。

予よ燃焼ねんしょう室しつ式しきや渦うず流りゅう室しつ式しきなどの副ふく室しつ式しきディーゼルエンジンは燃焼ねんしょう室しつ内ないの噴射ふんしゃされた燃料ねんりょうが直接ちょくせつ触ふれる位置いちに装備そうびされる。

使用しよう方法ほうほうは始動しどう前まえにエンジンスイッチをON位置いちにする、または別途べっと設もうけられた専用せんようのスイッチを入いれることでプラグに通電つうでんし、赤熱しゃくねつさせる。プラグに通電つうでんさせる時間じかんは旧式きゅうしきのエンジンでは、ダッシュボードにプラグと抵抗ていこう値ねを合あわせたニクロム線せんを使つかったインジケーターがあり、その赤熱しゃくねつ具合ぐあいで予熱よねつ状態じょうたいを確認かくにんできるようになっていたが、数すう秒びょうから気温きおんによっては30秒びょう程度ていどの時間じかんを要ようし、その間あいだスイッチを保持ほじしていなければならなかった。その後ご、水冷すいれいエンジンでは冷却れいきゃく水温すいおんを余熱よねつ時間じかんに反映はんえいする制御せいぎょを採とり入いれ、インジケーターもニクロム線せんを模もした橙色だいだいいろのランプ（予熱よねつ表示ひょうじ灯とう）へと変かわってメーターパネルに移動いどうし、操作そうさはメインスイッチ（キー）をONにするだけで良よくなった。さらに1980年代ねんだい後半こうはん以降いこうはプラグのヒーター材質ざいしつと回路かいろの改良かいりょうにより、数すう秒びょう以下いかで赤熱しゃくねつが完了かんりょうし、ほとんど待まち時間じかんのないクイックグロー方式ほうしきが一般いっぱん化かし、始動しどう後ごのアフターグロー（失火しっか、白しろ煙けむり防止ぼうし用ようの通電つうでん）も自動じどう化かされている。

燃焼ねんしょう室しつの表面積ひょうめんせきが小ちいさく、壁面へきめんへの熱ねつ損失そんしつの少すくない直ちょく噴式ディーゼルエンジンではグロープラグは使つかわれず、インテークマニホールド直前ちょくぜんの吸気きゅうき通路つうろに、吸気きゅうきを直接ちょくせつ暖あたためるインテークヒーターを設置せっちする場合ばあいがほとんどであるが、一部いちぶにはシリンダーヘッド（ピストン上うえ死し点てんで燃焼ねんしょう室しつが形成けいせいされる位置いち）にグロープラグを用もちいているものがある。寒冷かんれい地ちで使用しようされるディーゼルエンジン車しゃにおいては、厳寒げんかん期きにグロープラグが切きれて始動しどう困難こんなん、または始動しどう不可ふかになるトラブルが存在そんざいするため、メーカーで対策たいさくを行おこなっていた。