点火てんかプラグ

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点火てんかプラグ(てんかプラグ)は、混合こんごう燃焼ねんしょうしき内燃ないねん機関きかんにおいて混合こんごう点火てんかする装置そうちである。電気でんきてき火花ひばな(スパーク)を発生はっせいさせる方式ほうしきのものはスパークプラグ (えい: Spark plug)、電熱でんねつせんまたは燃焼ねんしょうねつによって金属きんぞく赤熱しゃくねつ(グロー)させる方式ほうしきのものはグロープラグともばれる。プラグりゃくしてよばれる場合ばあいもある。

プラグはせん意味いみする言葉ことばであり、戦前せんぜんから戦後せんごあいだもなくころまでは点火てんかせん(てんかせん)のじゅん日本語にほんごやくもちいられていた。レシプロエンジン搭載とうさいする航空機こうくうき業界ぎょうかいでは今日きょうでも時折ときおり使つかわれることがある言葉ことばでもある[1]

NGKせい接地せっち電極でんきょく1きょくしき点火てんかプラグ。
+がわターミナルにキャップがいた状態じょうたい
NGKせい接地せっち電極でんきょく2きょくしき点火てんかプラグ。
+がわターミナルのキャップをはずした状態じょうたい

概要がいよう[編集へんしゅう]

点火てんかプラグは混合こんごう燃焼ねんしょうしき内燃ないねん機関きかんにおいて、燃焼ねんしょうしつたされた混合こんごう電気でんき放電ほうでん赤熱しゃくねつした金属きんぞくによって点火てんかすることにより、燃焼ねんしょうサイクルのきっかけをつく装置そうちである。点火てんかプラグが固定こていされるのはエンジンにもうけられたプラグホールばれるあなで、シリンダー外部がいぶから燃焼ねんしょうしつまで貫通かんつうしている。点火てんかプラグはプラグホールにせんをするように固定こていされ、一端いったんはシリンダー外部がいぶから電気でんきり、もう一端いったんはシリンダーない放電ほうでんあるいは発熱はつねつする。したがって、シリンダーない燃焼ねんしょうねつ爆発ばくはつ圧力あつりょくえながら、火炎かえん圧力あつりょく燃焼ねんしょうしつかられないようにたも構造こうぞうつ。

スパークプラグ[編集へんしゅう]

典型てんけいてき4ストロークDOHCピストンエンジンの概念がいねん。(E) 排気はいきカムシャフト、(I) 吸気きゅうきカムシャフト、(S) 点火てんかプラグ、(V) バルブ、(P) ピストン、(R) コネクティングロッド、(C) クランクシャフト、(W) 冷却れいきゃくすいとおるウォータージャケット

航空機こうくうき一部いちぶ自動車じどうしゃなどをのぞき、レシプロエンジン(ガソリンエンジン)では基本きほんてきに1つのシリンダーに1ほん点火てんかプラグがあり、適切てきせつ隙間すきまもうけた電極でんきょくあいだこう電圧でんあつをかけることで火花ひばな放電ほうでんこし、圧縮あっしゅくされた混合こんごう点火てんかする。点火てんかプラグに供給きょうきゅうされる電圧でんあつイグニッションコイルマグネトー発生はっせいさせ、点火てんかプラグの中心ちゅうしん電極でんきょくをイグニッションコイルとう接続せつぞくし、接地せっち電極でんきょく(もしくはがわかた電極でんきょく)をエンジンのシリンダーヘッドカバーに接触せっしょくさせてアースとしている。イグニッションコイルからの電圧でんあつプラグコードかいして供給きょうきゅうされる場合ばあいや、複数ふくすうのシリンダーをつエンジンではディストリビューターによって通電つうでんタイミングをさだめている場合ばあいがあるほか、イグニッションコイルが点火てんかプラグに直接ちょくせつ接続せつぞくされる場合ばあいもある。航空機こうくうきようレシプロエンジンでは、失火しっかによるエンジンストールを防止ぼうしするために1シリンダに2ほんのスパークプラグ(ツインプラグ英語えいごばん)がある。2ほん点火てんかプラグにはべつ系統けいとうのマグネトーから電力でんりょく供給きょうきゅうされる。自動車じどうしゃやオートバイでも燃焼ねんしょう効率こうりつげる目的もくてきなどで同様どうよう形態けいたいをとるものがある(日産にっさん・Zがたエンジンホンダ・シャドウなど)。また、ヴァンケルがたロータリーエンジンでは点火てんかしつが2部屋へやかれたような形状けいじょうであるため、1ローターあたり2ほん点火てんかプラグをつ。

中心ちゅうしん電極でんきょく接地せっち電極でんきょくあいだ隙間すきまプラグギャップばれる。シリンダーない混合こんごう絶縁ぜつえんたいであるため電圧でんあつひくいと電極でんきょくあいだ電流でんりゅうながれることはないが、だか電圧でんあつ印加いんかされると混合こんごう絶縁ぜつえん破壊はかいこり放電ほうでんする。イグニッションコイルから供給きょうきゅうされる電圧でんあつ通常つうじょう、10,000 - 30,000 V電圧でんあつである[2]

放電ほうでんによりしょうじた火花ひばな通路つうろ温度おんどは60,000 ケルビン (K)にたっして混合こんごう点火てんかし、発生はっせいしたちいさなほのおたまから次第しだいにシリンダー全体ぜんたい燃焼ねんしょう反応はんのう伝播でんぱしていく[3]点火てんか直後ちょくごたまおおきさはプラグギャップないにある混合こんごう濃度のうど燃焼ねんしょうしつない発生はっせいする気流きりゅうみだ強度きょうど依存いぞんし、たまちいさいとエンジンは点火てんかタイミングがおくれたような挙動きょどうしめし、おおきいと点火てんかタイミングがすすんだような挙動きょどうしめ[3]

日本にっぽんでは日本特殊陶業にっぽんとくしゅとうぎょう (NGK) とデンソー製造せいぞうしており、NGKが国内こくないシェアの7わりほどをめる最大手さいおおてとなっている[4]。かつては日立製作所ひたちせいさくしょ製造せいぞうしており、1960年代ねんだいには10%じゃく市場いちばシェアを[4]積極せっきょくてき技術ぎじゅつ開発かいはつおこなわれていたが[5]現在げんざいでは撤退てったいしている。モータースポーツ用途ようとではApexBLITZデイトナ(マックスファイア)HKSNISMOラリーアートSARDSTIスズキスポーツトムスTRDTRUSTひとし自社じしゃブランドで販売はんばいおこなっており[6]さら小規模しょうきぼアフターマーケットパーツメーカーでは東亜とうあシステムクリエイト燃費ねんぴ向上こうじょうグッズとしてのあつかいで製造せいぞうおこなっている[7]

日本にっぽん国外こくがいでは、米国べいこくチャンピオンデルコ・エレクトロニクス、ドイツのロバート・ボッシュ、チェコのブリスク[8]、イギリスのロッジ英語えいごばん、フランスのエイケムフランス語ふらんすごばん中国ちゅうごく湘火炬(TORCH)英語えいごばんなどが製造せいぞうしている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1777ねんに、イタリアのアレッサンドロ・ボルタが、スパークによる燃料ねんりょうへの着火ちゃっか提唱ていしょう。スイスのフランソワ・イザック・ドゥ・リヴァ英語えいごばんが1807ねんに、内燃ないねん機関きかんようとして提唱ていしょうし、これがスパーク=イグニッション・エンジンのみなもととなる。実際じっさい製作せいさくしたのは、フランスのジャン=ジョゼフ・エティエンヌ・ルノアールで、1876ねんのことだった。商用しょうよう観点かんてんからは、ロバート・ボッシュしゃ技術ぎじゅつしゃゴットロープ・ホノルト英語えいごばんが1902ねんにマグネトーがた点火てんかシステムの一部いちぶとしてこう電圧でんあつスパークプラグを開発かいはつしたことが、そののスパーク=イグニッション・エンジンの発展はってんうながした。

年表ねんぴょう

  • 1777ねん:ボルタがスパークによる燃料ねんりょうへの着火ちゃっか提唱ていしょう
  • 1807ねん:ドゥ・リヴァが内燃ないねん機関きかんよう提唱ていしょう
  • 1876ねん:ルノアールが発明はつめい
  • 1885ねん:ルノアールがフランスで特許とっきょ取得しゅとく
  • 1898ねんニコラ・テスラ米国べいこく特許とっきょ取得しゅとく
  • 1898ねんフレデリック・リチャード・シムス英語えいごばん英国えいこく特許とっきょ取得しゅとく
  • 1902ねん:ホノルトがドイツで商用しょうよう貢献こうけん

(ドイツでカール・ベンツ特許とっきょ取得しゅとくしている)

日本にっぽんでは1910年代ねんだい後半こうはん日本にっぽんしゃ産業さんぎょう勃興ぼっこうさいして、べいチャンピオンしゃどう水準すいじゅん点火てんかせん内国ないこくせいすべく1919ねん日本にっぽん碍子がいし設立せつりつされ、大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐん後押あとおしのした10ねんあまりの研究けんきゅう開発かいはつて1930ねんNG点火てんかせんとして自動車じどうしゃけの販売はんばい開始かいし、1936ねん日本にっぽん碍子がいしから点火てんかせん部門ぶもん独立どくりつしてNGKとなった[9]。1949ねんトヨタ自動車とよたじどうしゃ電装でんそうひん開発かいはつ部門ぶもんから分離ぶんり独立どくりつするかたち設立せつりつされた日本電装にほんでんそう(デンソー)は[10]、1955ねんのロバート・ボッシュとの技術ぎじゅつ提携ていけい点火てんかプラグ事業じぎょう参入さんにゅうため技術ぎじゅつ開発かいはつ模索もさくされ、わずか4ねんの1959ねんにトヨタせい自動車じどうしゃ純正じゅんせい装着そうちゃくひんというかたち正式せいしき参入さんにゅうたした[11]

各種かくしゅ航空機こうくうきよう点火てんかプラグ

帝国ていこく陸軍りくぐん自動車じどうしゃ産業さんぎょう育成いくせい平行へいこうして、1917ねんメルセデス英語えいごばん-ダイムラー英語えいごばんE6Fエンジン英語えいごばん模倣もほうよりスタートした日本にっぽんはつ航空こうくうようエンジンであるしつ0ごう開発かいはつにより、航空こうくうようエンジン産業さんぎょう育成いくせい開始かいししているが、宮田みやたおうれいをはじめとするしつ0ごう開発かいはつ担当たんとうした日本製鋼所にほんせいこうしょ技術ぎじゅつしゃたちは帝国ていこく陸軍りくぐんより提供ていきょうされる外国がいこくせい点火てんかせん品質ひんしつわるさにくるしみ、航空こうくうよう点火てんかせん内国ないこくせい必要ひつようせい痛感つうかん、1925ねんより立川たちかわ工作こうさくしょにて航空こうくうよう点火てんかせん技術ぎじゅつ開発かいはつ開始かいしし、1930年代ねんだい初頭しょとうにはテルコしき発火はっかせん (TELCO)[12]として国産こくさん成功せいこう[13]帝国ていこく陸軍りくぐんただちに陸軍りくぐんへの採用さいよう開始かいしした。ささえ事変じへん勃発ぼっぱつ当時とうじ大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん軍用ぐんようのほとんどは事変じへん勃発ぼっぱつまえ備蓄びちくされていた外国がいこくせい点火てんかせん依存いぞんしていたが、帝国ていこく海軍かいぐんだい東亜とうあ戦争せんそう勃発ぼっぱつまでにはテルコしき発火はっかせん採用さいよう完了かんりょうした。だい東亜とうあ戦争せんそうちゅう、テルコしき発火はっかせん立川たちかわ工作こうさくしょ全体ぜんたいの8わり製造せいぞうし、のこり2わり愛知あいち化学かがく工業こうぎょう横河電機よこかわでんき東亜とうあ航空こうくう電機でんき (げん:よこかわ東亜とうあ工業こうぎょう[14])、日立製作所ひたちせいさくしょ日本特殊陶業にっぽんとくしゅとうぎょうの5しゃ受託じゅたく製造せいぞうおこなっていた。テルコしき発火はっかせんは1930年代ねんだい外国がいこくせい凌駕りょうがする品質ひんしつ信頼しんらいせいほこっていたが、だい東亜とうあ戦争せんそう勃発ぼっぱつ軍需ぐんじゅ物資ぶっし逼迫ひっぱくから通信つうしん需要じゅよう競合きょうごうする雲母うんも磁器じきに、大砲たいほうとリソースのうばいになったニッケルはステンレスといった代用だいようざい転換てんかんする戦時せんじ設計せっけいおこなわざるをず、マグネトーやプラグコードなどもふくめた代用だいようざいへの転換てんかん、それにともな信頼しんらいせい品質ひんしつ低下ていか抑制よくせいなみだぐましい努力どりょくはらわれたこと記録きろくされている。1945ねん日本にっぽん敗戦はいせんともない、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれいかんそう司令しれい (GHQ)により日本にっぽん航空こうくう軍需ぐんじゅ産業さんぎょうやその協力きょうりょく会社かいしゃおおくが整理せいり解散かいさんされたが、自動車じどうしゃ産業さんぎょうぞくしていた日立製作所ひたちせいさくしょ日本特殊陶業にっぽんとくしゅとうぎょうとう完全かんぜん解体かいたいまぬか[ちゅう 1]、この系統けいとうから戦後せんご航空こうくうよう点火てんかせん産業さんぎょう再興さいこうたした[15]

21世紀せいきはいり、点火てんかプラグが不要ふよう電気でんき自動車じどうしゃ普及ふきゅう加速かそくしていくなか点火てんかプラグの製造せいぞう各社かくしゃ事業じぎょう再編さいへん余儀よぎなくされている。日本にっぽんでは、日本特殊陶業にっぽんとくしゅとうぎょうとデンソーの2しゃおおきなシェアをめてきたが、2023ねん、デンソーは点火てんかプラグ部門ぶもんをライバル企業きぎょうである日本特殊陶業にっぽんとくしゅとうぎょう譲渡じょうとするための検討けんとうはいった[16]

スパークプラグの構造こうぞう[編集へんしゅう]

がわかた電極でんきょくきょくがた点火てんかプラグの概念がいねん

スパークプラグの基本きほん構造こうぞうは、接地せっち電極でんきょく溶接ようせつされたそとから構造こうぞうであるハウジングとイグニッションコイルとうからけた電圧でんあつ中心ちゅうしん電極でんきょく伝達でんたつする中心ちゅうしん導体どうたい、およびそれらを絶縁ぜつえんする碍子がいし構成こうせいされる。

ターミナル(端子たんし
シリンダーのそと部分ぶぶん先端せんたんには、イグニッションコイルなどで生成せいせいした電圧でんあつけるターミナルがもうけられている[17]車両しゃりょうがわのターミナルにはネジしきしきの2種類しゅるいがあり、点火てんかプラグによっては両方りょうほう形式けいしき対応たいおうできるように、ネジしきのターミナルにしきターミナルに対応たいおうするためのアダプターがけられ、必要ひつようおうじてアダプタをはずして使用しようする製品せいひんもある[18]
碍子がいし
こう電圧でんあつがかかった中心ちゅうしん導体どうたいから外部がいぶへの漏電ろうでんふせぐために、中心ちゅうしん導体どうたいおおしろ磁器じきせい絶縁ぜつえんたいである[17]おおくのスパークプラグでは碍子がいしリブばれる複数ふくすうのくびれがもうけられており、ターミナルからハウジングまでの絶縁ぜつえんたい表面ひょうめん距離きょりながくすることで漏電ろうでんしにくくしている。
碍子がいしあし
ハウジング内部ないぶから燃焼ねんしょうしつかって円錐えんすいじょうし、中心ちゅうしん電極でんきょく根本こんぽんおお部分ぶぶん碍子がいしは、碍子がいしあしばれる[19]たい熱性ねっせい強度きょうどたかく、高温こうおんでのねつ伝導でんどうせいすぐれたアルミナ使用しようされている[17][20]
中心ちゅうしん電極でんきょく温度おんど適切てきせつたもつように、ハウジングをかいしてねつをシリンダーヘッドへ伝達でんたつする機能きのう[19]碍子がいしあしみじかいと、火炎かえんさらされる表面積ひょうめんせきちいさいことにより火炎かえんからのねつけにくく、中心ちゅうしん電極でんきょくねつつたわる距離きょりみじかいことにより中心ちゅうしん電極でんきょくから放熱ほうねつしやすい、すなわち中心ちゅうしん電極でんきょくめやすい「がた」のプラグとなる[19]ぎゃく碍子がいしあしながいと、中心ちゅうしん電極でんきょくめにくい「がた」のプラグとなる[19]。こうしたプラグの特性とくせいねつばれ、中心ちゅうしん電極でんきょくねつがしやすい(すなわちがたである)ほどねつたか[19]
かつてのレシプロエンジンの航空機こうくうきもちいられていたふる点火てんかプラグでは、碍子がいしあし圧縮あっしゅく加工かこうされた雲母うんももちいていた。1930年代ねんだいゆうなまりガソリン開発かいはつともない、プラグの自己じこ洗浄せんじょう作用さようにとって雲母うんもふくまれるなまり成分せいぶん問題もんだいとなったため、これを解決かいけつするべくドイツシーメンス酸化さんかアルミニウムせい碍子がいしあし開発かいはつした[21]
シール
ハウジングと碍子がいしあいだしょうじる隙間すきま密封みっぷうし、燃焼ねんしょうしつない圧力あつりょくさないようにたもシールである。複数ふくすう箇所かしょほどこされている。
ハウジング
ハウジングは金属きんぞくせい円筒えんとう構造こうぞうで、はし接地せっち電極でんきょく溶接ようせつされ、内部ないぶ碍子がいし中心ちゅうしん導体どうたい保持ほじしている[17]接地せっち電極でんきょくをシリンダーヘッドにアース(接地せっち)させる機能きのうのほか、シリンダーヘッドに固定こていするためのネジ着脱ちゃくだつ工具こうぐのトルクをける機能きのう[17]。また、中心ちゅうしん電極でんきょく温度おんど適切てきせつたもつように、碍子がいしかいしてけたねつをシリンダーヘッドへ伝達でんたつする機能きのう[19]
ガスケット
ほとんどの点火てんかプラグはシリンダーヘッドとハウジングとのあいだ密封みっぷうするために、ハウジングのネジ根本こんぽん金属きんぞくせい中空なかぞらえんたまきそなえ、ガスケットとしている。ガスケットは中空ちゅうくう断面だんめん形状けいじょう変形へんけいしてプラグホールのえんとハウジングのあいだしょうじる隙間すきま密着みっちゃくしてたか気密きみつせいたもつ。点火てんかプラグをエンジンにけるさいには気密きみつせいたもちながら、過度かどなトルクをけないように、プラグのネジみちおうじて推奨すいしょうトルクや推奨すいしょう回転かいてんかく設定せっていされているが、ガスケットをそなえたプラグにおいてはさい使用しよう推奨すいしょう回転かいてんかくちいさく設定せっていされている[22][23]
一方いっぽう、ガスケットをはいしてネジをやや先細さきほそにすることで気密きみつせいたもつテーパーシートタイプもある[22]
中心ちゅうしん導体どうたい
中心ちゅうしん導体どうたいはラジオや自動車じどうしゃ電話でんわなどの電波でんぱ通信つうしんやエンジン制御せいぎょコンピュータなどの作動さどう影響えいきょうおよぼす点火てんかノイズの放出ほうしゅつ減少げんしょうさせるために、セラミック抵抗ていこうたい内蔵ないぞうしているものもある[24]純正じゅんせい状態じょうたいではプラグコードやプラグキャップに抵抗ていこうたかいものをわせることでノイズをさらに軽減けいげんするようになっている。
中心ちゅうしん電極でんきょく
イスクラ英語えいごばんしゃせい点火てんかプラグ。ひだりから、たんきょく・2きょく・3きょく・4きょくじゅんならべられている。
中心ちゅうしん電極でんきょくにイリジウムをもちいた点火てんかプラグのいちれい
中心ちゅうしん電極でんきょくニクロムなどのニッケル合金ごうきんつくられ、しんどうもちいてねつ伝導でんどうせい向上こうじょうさせる場合ばあいや、先端せんたんプラチナ (Pt) やイリジウム (Ir) などのレアメタルもちいられる場合ばあいがある[17][20]。かつて中心ちゅうしん電極でんきょくニッケルクロムこうつくられていたが、1970年代ねんだい後半こうはんになると低温ていおんから高温こうおんまでの幅広はばひろ温度おんどいき機能きのうするプラグがもとめられるようになり、中心ちゅうしん電極でんきょくしんねつ伝導でんどうせいたかどう封入ふうにゅうしたどうしん電極でんきょく英国えいこくFloformしゃによって実用じつようされた[25]
通常つうじょう中心ちゅうしん電極でんきょくせいきょくとして設計せっけいされる。電極でんきょくほそいほど火花ひばなびやすく、点火てんか直後ちょくご火炎かえんかくおおきくなりやすい[26]ことから、点火てんか装置そうち性能せいのう十分じゅうぶんではないふるいオートバイにてきしているとされる[27]。しかし、電極でんきょく燃焼ねんしょうしつない高温こうおん環境かんきょう酸化さんか浸食しんしょくされて消耗しょうもうするため、ほそくても十分じゅうぶん耐久たいきゅうせいたも素材そざいとしてニッケル合金ごうきんよりも融点ゆうてんたかいプラチナ、さらに融点ゆうてんたかいイリジウムがもちいられるようになった[28]中心ちゅうしん電極でんきょくにイリジウムやプラチナを使用しようした製品せいひんなかには交換こうかん時期じき目安めやすが10まんキロと、従前じゅうぜん製品せいひんよりも大幅おおはば耐久たいきゅうせい向上こうじょうした製品せいひん登場とうじょうするようになった[29]
スパークプラグの手入てい方法ほうほうとして、プラグメーカーではサンドブラストもちいる機材きざいであるプラグクリーナーで清掃せいそうするか、あるいはパーツクリーナーのような有機ゆうき溶剤ようざいきかけてナイロンブラシとう絶縁ぜつえんたい付着ふちゃくしたよごれをとすように推奨すいしょうしており、金属きんぞくせいのブラシはけるように注意ちゅうい喚起かんきしている[30]。また、プラチナせいやイリジウムせいほそ中心ちゅうしん電極でんきょくもちいたプラグでは、中心ちゅうしん電極でんきょくいためるおそれがあるためブラシをてないように注意ちゅうい喚起かんきしている[30]
中心ちゅうしん電極でんきょく特殊とくしゅ金属きんぞくもちいたれいでは、かつてファイアストン (Firestone) がポロニウムせい中心ちゅうしん電極でんきょくつプラグを販売はんばいしていたことがあり[31]、2019ねん現在げんざいはボッシュ (Bosch) がイットリウム (Y) をもちいたプラグを製造せいぞうしている[32]
形状けいじょうめんでは、韓国かんこく燃費ねんぴグッズメーカーであるコリア・インダストリアル・デザイン・カンパニー (KIDC) が2002ねんアウトメカニカ英語えいごばんに「花形はながた中心ちゅうしん電極でんきょくつスパークプラグ」を出展しゅってん[33]のちに「プラズマ・スパークプラグ」として製品せいひんおこなったが[34]現在げんざいでは製造せいぞうおこなっていない[35]。KIDCと類似るいじした中心ちゅうしん電極でんきょく点火てんかプラグは、2011ねんフェデラル-モーグル英語えいごばんコロナ放電ほうでん利用りようした新型しんがた点火てんか装置そうち点火てんかプラグにてもちいられたことがあるが[36]、コロナ放電ほうでん点火てんか装置そうちは2019ねん現在げんざい特許とっきょ出願しゅつがんちゅう段階だんかいであり、市販しはん車両しゃりょうには採用さいようされていない[37]
接地せっち電極でんきょくがわかた電極でんきょく
接地せっち電極でんきょくニッケルこうによってつくられ、ハウジングのはし溶接ようせつされている。接地せっち電極でんきょく高温こうおんになる部分ぶぶんである。複数ふくすう接地せっち電極でんきょくたせることで、電極でんきょく消耗しょうもう分散ぶんさんしたり、放電ほうでん特性とくせい改善かいぜんした製品せいひんもある[38]接地せっち電極でんきょく複数ふくすうであるほど電極でんきょく汚損おそんたいする冗長じょうちょうせい確保かくほされるため航空こうくうようエンジンひとしひろ採用さいようされる反面はんめん接地せっち電極でんきょく燃焼ねんしょうしつうち火炎かえんかくひろがりをさまたげる要素ようそにもなるためエコカーけには接地せっち電極でんきょくみぞもうけて火花ひばな隙間すきま変化へんかさせること電極でんきょくそとはしでの火花ひばな生成せいせいねらったもの[39]、モータースポーツけには非常ひじょうほそ接地せっち電極でんきょく採用さいようしたり、接地せっち電極でんきょく自体じたいはぶいた沿面点火てんかがたばれるものが採用さいようされる場合ばあいもある[40]おもよんりんしゃけで長寿ちょうじゅいのちねらったものでは中心ちゅうしん電極でんきょくのみならず接地せっち電極でんきょく先端せんたんにもプラチナのようなこう融点ゆうてん金属きんぞくのチップを装着そうちゃくした製品せいひんもある。

スパークプラグの種類しゅるい[編集へんしゅう]

様々さまざまなサイズの点火てんかプラグ。左右さゆうの2ほん半球はんきゅうがた燃焼ねんしょうしつおおがわかた配置はいちがたのヘッドにもちいられるもので、みぎものはより分厚ぶあついヘッドに使用しようされるぶんネジちょうながいが、碍子がいしながさ、電極でんきょくりょう、プラグねつ左右さゆうとも同一どういつである。中央ちゅうおうものはペントルーフがた燃焼ねんしょうしつおおいセンタープラグしきのヘッドにもちいられるもので、がわかた配置はいちくらべてスペースの制約せいやくおおきいため、碍子がいしながさやネジちょうがよりコンパクトにつくられている。

エンジンの設計せっけいおうじてプラグホールのみちふかさは一様いちようではないため、点火てんかプラグのネジにはみちながさに複数ふくすう種類しゅるいがある。ながさについてはネジリーチばれ、適切てきせつなものを選択せんたくしない場合ばあいはエンジンの不調ふちょう破損はそんまねおそれがある[41][42]

プライベーター英語えいごばんによるしょう排気はいきりょうエンジンのチューニングや、車両しゃりょう改造かいぞう余地よちきわめて限定げんていされたレギュレーションの自動車じどうしゃ競技きょうぎなど[43]においては、シリンダーヘッド燃焼ねんしょうしつ改造かいぞうすることなく圧縮あっしゅく変化へんかさせるため、としょうして意図いとてきにネジリーチがことなる点火てんかプラグを選択せんたくしたり[44][45]ガスケット枚数まいすうあつさを変化へんかさせてピストン上端じょうたんギリギリの位置いちりょう調整ちょうせいする手法しゅほう[46]おこなわれる場合ばあいもあるが定量ていりょうてき評価ひょうかがされているれいられず、一般いっぱんてきにはネジリーチがながすぎる場合ばあいは、接地せっち電極でんきょく過熱かねつしたりネジ堆積たいせきぶつまるだけでなく、ピストンとプラグの先端せんたん衝突しょうとつしてエンジンやプラグ破損はそんまね可能かのうせいがある[41][42]。なお、ネジやま露出ろしゅつともな接地せっち電極でんきょく過熱かねつ極度きょくど進行しんこうした場合ばあい点火てんかプラグがグロープラグとして機能きのうしてしまい、早着そうちゃく(プレイグニッション)によるエンジンブローをまね危険きけんせいたかく、露出ろしゅつしたネジやまにカーボンが堆積たいせきしてしょうゆいした場合ばあい、プラグレンチではずすことがきわめて困難こんなんになるとされる[27]ぎゃくに、ネジリーチがみじかすぎる場合ばあいはプラグホールのネジ堆積たいせきぶつまる場合ばあいがあり[41]後々あとあと正規せいきのネジリーチのプラグの装着そうちゃく困難こんなんとなる危険きけんせいがある[27]

おなじネジリーチでも、燃焼ねんしょうしつないへの電極でんきょくりょうおおきいものもあり、ハウジングがながしている場合ばあい電極でんきょくだけがながしている場合ばあいがある[41]電極でんきょく燃焼ねんしょうしつないすことにより、放電ほうでん生成せいせいされた火炎かえん中心ちゅうしんかくがよりピストンがわちかづくため、燃焼ねんしょう効率こうりつ向上こうじょうする傾向けいこうがあり、燃焼ねんしょう行程こうていさいにはよりおおくのねつ吸収きゅうしゅうしてカーボンの付着ふちゃくふせぎ、吸気きゅうき行程こうていでは混合こんごうにより素早すばや冷却れいきゃくされることから、通常つうじょうのプラグと比較ひかくしておなねつでもよりひろいヒートレンジ特性とくせい獲得かくとくできるとされている[27]

これとはぎゃくに、ピストントップと燃焼ねんしょうしつとのクリアランスがせまぎて標準ひょうじゅんがたプラグの電極でんきょくりょうさえも許容きょようできない一部いちぶのレーシングカーようエンジンでは、中心ちゅうしん電極でんきょく接地せっち電極でんきょくがハウジングの奥深おくふかくにんだ形状けいじょうのプラグが採用さいようされることもあったが、火炎かえん中心ちゅうしんかく燃焼ねんしょうしつ壁面へきめんよりさらに内側うちがわ生成せいせいされることから、燃焼ねんしょう効率こうりつがた比較ひかくしてわる傾向けいこうがあるとされる。この形状けいじょうのプラグは米国べいこくではリトラクトがたばれ、パッケージにはRの大書たいしょされていたことから、レーシングよう誤認ごにんされて標準ひょうじゅんがたがた指定していのエンジンに装着そうちゃくされ、かえってエンジンの不調ふちょうまね事例じれいがよくられたともされる[27]

標準ひょうじゅんてきなプラグにおける接地せっち電極でんきょく断面だんめん長方形ちょうほうけいで、ハウジングからびた1ほん接地せっち電極でんきょく中心ちゅうしん電極でんきょく頭頂とうちょうめん平行へいこう配置はいちされる形状けいじょうち、平行へいこう電極でんきょくプラグともばれる。これにくわえて、中心ちゅうしん電極でんきょくだけでなく接地せっち電極でんきょく先端せんたんほそ白金はっきんチップをけたり、電極でんきょくにVがたみぞけて電極でんきょく外縁がいえんちか部分ぶぶん放電ほうでんこるようにして着火ちゃっかせい改善かいぜんした製品せいひんがある[47]平行へいこう電極でんきょくプラグよりもみじか複数ふくすう接地せっち電極でんきょくもうけて中心ちゅうしん電極でんきょく側面そくめんとのあいだ放電ほうでんさせ、耐久たいきゅうせい向上こうじょうして接地せっち電極でんきょく過熱かねつ抑制よくせいする製品せいひんもある[47]

ハウジングから突出とっしゅつした形状けいじょう接地せっち電極でんきょくたず、きわめてみじか碍子がいしあし表面ひょうめん沿って放電ほうでんさせる沿面放電ほうでんプラグばれる種類しゅるいがあり、絶縁ぜつえん堆積たいせきした汚損おそん機能きのう[47]振動しんどうはげしいふねがいや、F1などのレースようとして利用りようされているが[48]燃焼ねんしょうしつ壁面へきめんからのねつ伝導でんどう影響えいきょうのみをけ、燃焼ねんしょうともな火炎かえんからの過熱かねつ影響えいきょうもほとんどけないことから[27]ねつ極端きょくたんたか特徴とくちょう[47]。沿面放電ほうでんプラグは点火てんか装置そうち放電ほうでん特性とくせいきわめてたか出力しゅつりょく要求ようきゅうされるため、CDIなど強力きょうりょく点火てんか装置そうち車両しゃりょう装着そうちゃくするのがのぞましいとされる[27]

これらのほかには、碍子がいしはしながくして部分ぶぶんてきに沿面放電ほうでんさせながらねつひくくしたセミ沿面タイプや、碍子がいしあし汚損おそんにのみ沿面放電ほうでんして堆積たいせきぶつるよう通常つうじょう接地せっち電極でんきょくと沿面放電ほうでんよう接地せっち電極でんきょくわせたハイブリッドタイプ、汚損おそんにガスポケットの底部ていぶもうけられた補助ほじょ火花ひばなギャップで放電ほうでんするタイプ、中心ちゅうしん電極でんきょくかこむように複数ふくすう接地せっち電極でんきょくもうけることで、汚損おそん中心ちゅうしん電極でんきょく周辺しゅうへんのエアギャップで放電ほうでん可能かのう間欠かんけつ放電ほうでんタイプも製品せいひんされている[24]。これらもおも点火てんか装置そうち性能せいのう十分じゅうぶんではないふるいオートバイでとくおおきな効果こうか期待きたいできるとされる反面はんめん、CDIなど十分じゅうぶん強力きょうりょく点火てんか装置そうちそなえた車両しゃりょうではあまり効果こうか期待きたいできないともされる[27]

こう回転かいてんがた二輪車にりんしゃようやレースようには、接地せっち電極でんきょくみじかくして耐震たいしんせい向上こうじょうさせて電極でんきょく温度おんど上昇じょうしょうおさえたはすかた電極でんきょくプラグがもちいられる場合ばあいがある[47]。また、ヴァンケルがたロータリーエンジンでは爆発ばくはつ回数かいすうおおく、プラグが燃焼ねんしょうガスにさらされる時間じかんながいため、特殊とくしゅ形状けいじょう接地せっち電極でんきょくせん用品ようひんもちいられる[47]

ねつ[編集へんしゅう]

点火てんかプラグはエンジンの燃焼ねんしょうねつけて温度おんど上昇じょうしょうする一方いっぽうねつ伝導でんどうによってシリンダーヘッドへ放熱ほうねつして適切てきせつ温度おんどたも[19]。プラグにもとめられる受熱と放熱ほうねつのバランスはエンジンの設計せっけいによってことなり、その指標しひょうあらわ数字すうじねつばれる[19]碍子がいしあしながさをえることで受熱面積めんせき放熱ほうねつせい調節ちょうせつされていて、碍子がいしあしながいほどねつける面積めんせきおおきく放熱ほうねつせいひくくなり、温度おんど上昇じょうしょうしやすい特性とくせい[19]ねつしめ数値すうち記号きごうはメーカーによってことなり、おおくの場合ばあい放熱ほうねつせいたかいものほど数値すうちたかいが、一部いちぶのメーカーではぎゃく放熱ほうねつせいたかいほど数値すうちひく設定せっていされている[49]

点火てんかプラグは自己じこ清浄せいじょう温度おんどばれる温度おんど以上いじょうでは不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうによって発生はっせいしたすす(カーボン)が付着ふちゃくしてもることできる[19]。しかし、適切てきせつねつのプラグを使用しようせずにがた選択せんたくし、放熱ほうねつせいたかくなりすぎた場合ばあい自己じこ清浄せいじょう温度おんどたっすることができずにカーボンがまり、碍子がいしあし絶縁ぜつえん抵抗ていこう低下ていかさせて混合こんごうちゅう火花ひばな発生はっせいすることができなくなる、「くすぶり」とばれる状態じょうたいになる[50]一方いっぽう極度きょくどがたプラグの選択せんたくによりプラグの温度おんどたかくなりぎると電気でんき火花ひばな発生はっせいさせるよりはやいタイミングで、プラグのねつによって点火てんかしてしまう、早着そうちゃく(プレイグニション)とばれる現象げんしょう発生はっせいしてエンジンの出力しゅつりょく低下ていかする[19]

しかし、プラグのねつ設定せっていもっと致命ちめいてき間違まちがいは「プラグの過熱かねつによる」早着そうちゃく警戒けいかいしてがたのプラグを選択せんたくし、くすぶりをける目的もくてき混合こんごう希薄きはくにセッティングしたうえで、出力しゅつりょく向上こうじょうねらって点火てんか時期じき過度かどすすむかくさせてしまうこととされる。理論りろんそらもえちか希薄きはく混合こんごうきわめて着火ちゃっかしやすいため、前述ぜんじゅつのようなセッティングをおこなうとプラグの過熱かねつ原因げんいんとするものよりもはるかに早着そうちゃくまねきやすくなるため、かえってエンジンブローの危険きけんせいしてしまうとされる[27]

かつては、そのエンジンの常用じょうよう回転かいてんいきおうじて2つあるいはそれ以上いじょうのプラグねつ指定していすることが一般いっぱんてきであった。しかし、燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち電子でんし制御せいぎょ高度こうどとなった今日きょうでは、そらもえ監視かんしによってエンジンの温度おんど高度こうどにコントロールされるようになった。

ただし、モータースポーツ世界せかいではエンジンのセッティングにおうじて適切てきせつなプラグねつ選択せんたくすること今日きょうでもおこなわれている。

また、プラグのねつ燃焼ねんしょう温度おんど左右さゆうすることから、排気はいき脈動みゃくどう利用りようしたチャンバーによる混合こんごう加圧かあつおこなっている2ストロークエンジンでは、ねつ標準ひょうじゅんよりもがたとすることてい回転かいてんいきでのトルクをげてでも、こう回転かいてんいきでの出力しゅつりょく特性とくせい向上こうじょうさせるセッティングもおこなわれていた[51]

スパークプラグの点検てんけん調整ちょうせい[編集へんしゅう]

チャンピオンプラグしゃせい円盤えんばんがた隙間すきまゲージ。ゲージのえんはん時計とけいまわ方向ほうこう次第しだいあつくなっていき、プラグギャップにこのえんんで測定そくていおこなう。

点火てんかプラグはLがた接地せっち電極でんきょくつことがおおい。

電極でんきょく隙間すきま専用せんよう隙間すきまゲージで測定そくていおこなう。隙間すきまゲージはあつみのことなるえん円盤えんばんじょうのものがおおい。

点火てんかプラグが老朽ろうきゅうすると、中心ちゅうしん電極でんきょく接地せっち電極でんきょく浸食しんしょくされて電極でんきょく隙間すきまはよりひろくなる傾向けいこうがある。

一般いっぱんてきにシリンダーない圧力あつりょくたかければたかいほど点火てんか火花ひばなびにくくなることから、車両しゃりょうチューニングにおいては圧縮あっしゅくたかめたり、きゅうきゅうあつたかめた場合ばあいには、電極でんきょく隙間すきま通常つうじょうよりもせばめに設定せっていすること定石じょうせきとされている。一方いっぽう点火てんか装置そうち供給きょうきゅう電圧でんあつ性能せいのうたかいほど、おな圧力あつりょくでもよりひろ電極でんきょく隙間すきま点火てんか火花ひばな発生はっせいさせること可能かのうである。電極でんきょく隙間すきまひろほう燃焼ねんしょう効率こうりつ向上こうじょうすることから、モータースポーツでは圧縮あっしゅくきゅうあつ向上こうじょう同時どうじ点火てんか装置そうち性能せいのう向上こうじょう併用へいようすること常道じょうどうであるとされている。このように、電極でんきょく隙間すきまひろさをチューニングにおうじて変化へんかさせることギャッピング(Gapping)とぶが、あまりにも電極でんきょく隙間すきまひろげすぎると点火てんか火花ひばな発生はっせいさせる要求ようきゅう電圧でんあつ過大かだいとなることから、結局けっきょく失火しっかこすこととなる[52]

点火てんかプラグおよ点火てんか装置そうち良否りょうひ点検てんけんは、一般いっぱんてきにはプラグコードダイレクトイグニッション点火てんかコイルに点火てんかプラグをけ、接地せっち電極でんきょくをシリンダーヘッドとう接地せっちがされている場所ばしょ接触せっしょくさせた状態じょうたいセルモーターキックスターターリコイルスターターなどでクランクシャフト回転かいてんさせ、点火てんか火花ひばなぶかかで簡易かんいてき判定はんていおこなえるが、前述ぜんじゅつとお大気たいきあつしたとシリンダーないこうあつでは点火てんか火花ひばな発生はっせいさせるのに必要ひつよう要求ようきゅう電圧でんあつことなることから、より正確せいかく良否りょうひ判定はんていおこなためには、点火てんかプラグをシリンダーヘッドにけた状態じょうたいで、プラグコードと点火てんかプラグのあいだに「イグニッションスパークテスター」とばれる器材きざいけて判定はんていおこなこと推奨すいしょうされている[53]

2種類しゅるい点火てんかプラグビュワー

点火てんかプラグの電極でんきょく碍子がいしあし燃焼ねんしょうしつ内部ないぶ環境かんきょう影響えいきょうけることから、それらの状態じょうたい目視もくしすることでエンジンの運転うんてん状態じょうたい診断しんだんする指標しひょうとできる[54]碍子がいしあしいろ褐色かっしょくもしくは灰白色かいはくしょく場合ばあい良好りょうこう運転うんてん状態じょうたい判断はんだんでき、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうおおくなると堆積たいせきしたすすにより黒色こくしょくになる[54]一方いっぽうそらもえ希薄きはくになるなどで燃焼ねんしょうしつ温度おんどたかくなりすぎると、碍子がいしあししろけた状態じょうたいになる[54]目視もくし点検てんけんによってプラグねつ適正てきせい点火てんかタイミングの適正てきせい発見はっけんすることのほかエンジンブローさい点火てんかプラグの破損はそん状態じょうたい目視もくしすることおおまかな原因げんいん判定はんてい可能かのうであるとされている[54]点火てんかプラグの目視もくし点検てんけんように、点火てんかプラグの電極でんきょく照明しょうめいてて拡大鏡かくだいきょうることができる道具どうぐ販売はんばいされている。

ただし、なが使用しようされた点火てんかプラグは碍子がいし燃料ねんりょうやオイルの燃焼ねんしょうともな着色ちゃくしょくすできていることおおいため、最適さいてきねつ測定そくてい新品しんぴんプラグをもちい、すう分間ふんかんおおきな負荷ふか一気いっきけたのち目視もくし点検てんけんするのがのぞましいとされる。また、くすぶりの発生はっせい度合どあいを判定はんていするには、燃焼ねんしょう温度おんど上昇じょうしょうにより容易よういにカーボンがられてしまう中心ちゅうしん電極でんきょく付近ふきん碍子がいしではなく、燃焼ねんしょう温度おんど影響えいきょうをあまりけないガスポケットのそこちか部分ぶぶん目視もくし点検てんけんすることがのぞましいとされる[27]

モータースポーツではシリンダーないでのプラグのきが特定とくてい方向ほうこうくように、あつみのことなるワッシャーをネジ根本こんぽん追加ついかして、適正てきせいトルクにたっしたさい回転かいてん角度かくど調節ちょうせつする、インデクシング(indexing)とばれる調整ちょうせいおこなわれる場合ばあいがある。[52]。ただし、プラグをどのきにけるのが最適さいてきであるかはエンジンの設計せっけいにより一様いちようではないうえ、インデクシングによって見込みこめるエンジン出力しゅつりょく向上こうじょうは1%にたない(500馬力ばりき場合ばあい、5馬力ばりき程度ていど向上こうじょう)とされている[52]

グロープラグ[編集へんしゅう]

グローエンジンにおいて、エンジンの燃焼ねんしょうねつ利用りようしてみずからの点火てんか部分ぶぶん(コイルじょうまたは棒状ぼうじょう蓄熱ちくねつ部分ぶぶん=点火てんか部分ぶぶん)の赤熱しゃくねつ状態じょうたいたもつプラグである。

始動しどうには電気でんきながして、内蔵ないぞうされた抵抗ていこうからだ(コイルやぼう)をジュールねつにより赤熱しゃくねつさせ、燃料ねんりょう点火てんか始動しどうする。一度いちど始動しどうすると燃焼ねんしょうによるねつたくわえて、つぎ燃焼ねんしょう火種ひだねとなる。回転かいてん安定あんていしたのち通電つうでん不要ふようである。

上述じょうじゅつ火花ひばな点火てんか機関きかん比較ひかくして、マグネトー点火てんかコイルディストリビューターあるいはCDI装置そうちといった部品ぶひんもちいた複雑ふくざつ電気でんき回路かいろ不要ふよう軽量けいりょうでき、エンジンの回転かいてんがればそれにつれてプラグの温度おんど上昇じょうしょうし、それによって点火てんか時期じきはやめる自己じこしんかく機能きのうつ。反面はんめん、ほとんどプラグの特性とくせいのみによって点火てんか時期じきまるため、自在じざいにきめこまかな点火てんか時期じき調整ちょうせいおこなうことはできず、プラグ自体じたい交換こうかんする以外いがい手段しゅだんがない。点火てんか部分ぶぶん材質ざいしつ一般いっぱんてきニクロム白金はっきん使用しようされる。高温こうおんよう低温ていおんようなど様々さまざま製品せいひんがある。


脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ ノックダウン生産せいさんこうくわしいが、GHQ は反共はんきょう政策せいさく一環いっかんとして日本にっぽん自動車じどうしゃ産業さんぎょうには解体かいたいけず、関連かんれん産業さんぎょうふくめて保護ほご貿易ぼうえき政策せいさくことでその再興さいこう後押あとおしした。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]