バックミラー

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トヨタ・86室内しつないうつしきょう(ルームミラー)
フェンダーミラーそなえた日産にっさん・セドリック
ドアミラーそなえた日産にっさん・セドリック

バックミラー[注釈ちゅうしゃく 1]は、後方こうほうおよびこうがわかた視認しにんするための器具きぐである。自動車じどうしゃ部品ぶひんとしての法令ほうれい用語ようごこううつしきょう(こうしゃきょう)で、けられる位置いちによって、いくつかの種類しゅるい分類ぶんるいされる。

また、バックミラーのわりにスマート・ルームミラー液晶えきしょうディスプレイ)を搭載とうさい車体しゃたい後部こうぶ内蔵ないぞうしたこう解像度かいぞうどカメラ映像えいぞう情報じょうほううつすシステムもある。

自動車じどうしゃ鉄道てつどう車両しゃりょうなど以外いがいでは、情報じょうほう漏洩ろうえいふせぐためにパソコン金融きんゆう機関きかんATM装着そうちゃくするものもあり、後方こうほうからモニターのぞ存在そんざい確認かくにんもちいる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1917ねん撮影さつえいとされるフォード・モデルTこうけとられるのちうつしきょう運転うんてんせきがわ風防ふうぼうよこそなえられている。

初期しょき自動車じどうしゃにはこううつしきょうるい装備そうびされていなかったが、1906ねんイギリス出版しゅっぱんされた女性じょせいドライバーけのほんにて、運転うんてん車内しゃない手鏡てかがみいて後方こうほう確認かくにんする方法ほうほう紹介しょうかいされている[1]。1914ねんにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくこううつしきょうかんする特許とっきょ出願しゅつがんされているが、その説明せつめいぶんにて、風防ふうぼうフェンダーかがみける行為こうい当時とうじひろまっていたことしるされている[2]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

1949ねん7がつ8にち車両しゃりょう規則きそく改正かいせいで、運転うんてんしゃしつゆうする自動車じどうしゃたいしてのちうつしきょう装着そうちゃく義務付ぎむづけられた。かず位置いちについての規定きてい[3]

1950ねん12月27にち車両しゃりょう規則きそく改正かいせいで、こううつしきょう装着そうちゃく義務ぎむ軽自動車けいじどうしゃ牽引けんいんしゃトレーラー以外いがいすべての自動車じどうしゃ拡大かくだいされた[4]

1951ねん6がつ1にち道路どうろ運送うんそう車両しゃりょうほう制定せいていで、軽自動車けいじどうしゃこううつしきょう装着そうちゃく義務ぎむされた[5]。また同年どうねん7がつ28にち道路どうろ運送うんそう車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅん制定せいていで、こううつしきょうみぎ後方こうほう50メートルまでのあいだにある車両しゃりょう確認かくにんできることさだめられ、右側みぎがわのみサイドミラーが必須ひっすとなった。サイドミラーはくるまはばから除外じょがいされるが、車両しゃりょう外側そとがわから250ミリメートル以内いないおさめなければならない[6]

1959ねん9がつ15にち道路どうろ運送うんそう車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅん改正かいせいで、みぎ外側そとがわ線上せんじょう後方こうほう50メートルまでのあいだにある車両しゃりょう交通こうつう状況じょうきょうこううつしきょう確認かくにんできることさだめられた。ながさ6メートル以上いじょう自動車じどうしゃには左側ひだりがわにもサイドミラーが義務付ぎむづけられた[7]

1962ねん9がつ28にち道路どうろ運送うんそう車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅん改正かいせいで、自動車じどうしゃすべてに左右さゆうのサイドミラーが義務付ぎむづけられた。くわえてひだり外側そとがわせん付近ふきん交通こうつう状況じょうきょうこううつしきょう確認かくにんできることさだめられた[8]

鏡面きょうめん[編集へんしゅう]

一般いっぱんてきにはかがみとそれを固定こていする支持しじ器具きぐからなる。距離きょりかん把握はあくするためには平面へいめんきょうを、ひろ視認しにんせいるために凸面鏡とつめんきょうもちいるのが一般いっぱんてきであるが、車両しゃりょう外部がいぶもちいるかがみドアミラー)の場合ばあい左右さゆうでそれらを使つかけ、室内しつないもちいるかがみでは平面へいめん凸面とつめんわせる。また、内外ないがい両方りょうほうで、ひとつのかがみきょくりつ途中とちゅう変化へんかさせ、視野しやひろげるなど、用途ようとおうじて種類しゅるいえている。

じゅううつり(金属きんぞくめん反射はんしゃするぞうと、ガラスあるいはプラスチック表面ひょうめん反射はんしゃするぞうじゅうえる現象げんしょう)をふせぐために金属きんぞく蒸着じょうちゃく利用りようした表面ひょうめんきょうもちいられる場合ばあいおおい。

室内しつないうつしきょう[編集へんしゅう]

車両しゃりょう室内しつないもちいるかがみ(ルームミラー)の場合ばあい夜間やかん後続こうぞくしゃぜんあきらとうまぶしさを低減ていげんするため、反射はんしゃりつひくくさせるコーティングがなされていたり、じゅううつりをぎゃく利用りようし、ノブをうごかしてえる手動しゅどうしきぼうまぶしミラーも存在そんざいする。また、ミラーに液晶えきしょうほどこし、周囲しゅういくらくなると内蔵ないぞうセンサー感知かんちして自動じどう反射はんしゃりつひくくする自動じどうしきぼうまぶしミラーもある。ぎゃくに、スモークフィルムほどこした車両しゃりょうでは、夜間やかん視認しにんせい低下ていかするため、反射はんしゃりつたかいミラーがこのまれる傾向けいこうもある。

日本にっぽんではルームミラーが義務付ぎむづけられておらず、装着そうちゃくせずとも違反いはんとはならない[9]ぎゃく危険きけんともなうものや大型おおがた視界しかいさえぎるものをけた場合ばあい違反いはんとなる場合ばあいがある[10]

取付とりつけ方法ほうほう[編集へんしゅう]

天井てんじょうから支持しじアームをげる方法ほうほうと、フロントガラスに台座だいざ接着せっちゃくして、そこに支持しじアームごとミラーをはめる方法ほうほうがある。日本にっぽんしゃでは前者ぜんしゃ方法ほうほうが、それ以外いがいでは後者こうしゃ方法ほうほうおおもちいられた[11]。ただし現在げんざいでは、日本にっぽんしゃでも後者こうしゃほうえてている。なお日本にっぽんしゃ後者こうしゃ方法ほうほう場合ばあい鏡面きょうめん角度かくどのみならずたかさもえることが出来できることがおおい。

ぼうまぶし[編集へんしゅう]

バックミラーにうつ後続こうぞくしゃヘッドランプからのまぶしいひかりグレア
プリズムしきぼうまぶし
ひる位置いちでは、運転うんてんしゅは(うしろの)金属きんぞくめんじょう反射はんしゃによって後方こうほう道路どうろる。「よる位置いちでは、運転うんてんしゅは(まえの)ガラスコーティングじょう調しらべひからされた反射はんしゃる。こうは2つのモードでよわめられ、これによって部分ぶぶんてき瞳孔どうこうみち応答おうとう英語えいごばんわせる。

プリズムしきバックミラー(手動しゅどうぼうまぶしミラーともばれる)は、ひかり、ほとんどは後続こうぞく車両しゃりょうのハイビームヘッドランプあかるさとまぶしさ(グレア)をげんじゃくするためにかたむけることができる。通常つうじょうかたむ位置いちではひかり直接ちょくせつ反射はんしゃして夜間やかん運転うんてんしゅはいることになる。このたねのミラーは断面だんめんがくさびがたのガラス部品ぶひんからつくられる(前面ぜんめんこうめん平行へいこうになっていない)。

手動しゅどうばんでは、ミラー下部かぶに 「ひる」と「よる」をえるためのつまみがいている。ひる位置いちでは、前面ぜんめんかたむいており、反射はんしゃする背面はいめんつよ反射はんしゃあたえる。ミラーがよる位置いちうごかされると、こうめんかたむいて運転うんてんしゅ視線しせんからはずれる。この位置いちでは、背面はいめん鏡面きょうめん天井てんじょううつしており、運転うんてんしゅてい反射はんしゃ前面ぜんめんガラスからの反射はんしゃによって後方こうほう実際じっさいにはている。

手動しゅどうぼうまぶしミラーは1930年代ねんだいはじめて登場とうじょうはじめ、1970年代ねんだい初頭しょとうまでにはほとんどの乗用車じょうようしゃとトラックの標準ひょうじゅん装備そうびとなった。

自動じどうぼうまぶし[編集へんしゅう]

1940年代ねんだい、アメリカの発明はつめいジェイコブ・ラビノウ英語えいごばんは、くさびがたひる/よるえミラーのためのひかり感知かんち自動じどう機構きこう開発かいはつした[12]

現在げんざいのシステムは大抵たいていひかり検出けんしゅつするためにバックミラーにまれたひかり検出けんしゅつ使用しようし、エレクトロクロミズムによってミラーを薄暗うすぐらくする。このエレクトロクロミズム機能きのうサイドミラーにもれられている。

後方こうほうモニター[編集へんしゅう]

バックアイカメラを設置せっちしているバスのれい後部こうぶまど上部じょうぶ赤丸あかまるかこった部分ぶぶん内側うちがわいているカメラがバックアイカメラであり、このカメラで撮影さつえいした映像えいぞう運転うんてんせき付近ふきんのモニターにうつす。

トラックバスなどではミラーで車両しゃりょう背後はいご確認かくにんすることが困難こんなんなため、車両しゃりょう後部こうぶバックカメラ(バックアイカメラ、リアビューカメラ)を、ダッシュボードモニターけ、ミラーのわりとするものがおおい。

近年きんねんでは駐車ちゅうしゃ容易ようい目的もくてきで、後退こうたい車両しゃりょう後方こうほう映像えいぞうをモニター搭載とうさいがたカーオーディオカーナビ液晶えきしょう画面がめんうつす「バックモニター」あるいは「パーキングアシストリアビューカメラ」というシステムが搭載とうさいされている車両しゃりょう存在そんざいするが、この場合ばあいはバックミラーはべつ設置せっちされている。複数ふくすうのカメラをもちい、くるま上空じょうくうから俯瞰ふかんしたような映像えいぞううつ装置そうち製品せいひんされている(れい日産自動車にっさんじどうしゃアラウンドビューモニター[13]

鉄道てつどう車両しゃりょう場合ばあいは、発車はっしゃ安全あんぜん確認かくにん使用しようする目的もくてきで、カメラを後方こうほうがわかた設置せっちした同様どうようのシステムが使用しようされている。

他方たほう、バックミラー自体じたい液晶えきしょうにすることで、通常つうじょうぜん反射はんしゃ設定せっていにしてミラーとして使用しようし、ギアリバースはいると自動じどうでリアビューカメラの映像えいぞうわって「バックモニター」となるものもある。このバックミラーモニターでは、停車ていしゃなどにワンセグDVDソフトをるためのモニターとしても使用しようできる。 がまっている アメリカでは2018ねん5がつ以降いこうNHTSA(運輸省うんゆしょう道路どうろ交通こうつう安全あんぜんきょくにより、全米ぜんべい販売はんばいする自動車じどうしゃメーカーを対象たいしょうに、後方こうほう確認かくにんカメラの装着そうちゃく義務ぎむされていて[14]日本にっぽんでは2022ねん5がつ以降いこう販売はんばいする新車しんしゃにバックカメラかセンサーの装備そうび義務ぎむまっている[15]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ First Rearview Mirror Marketed as "Cop-spotter" - America Comes Alive
  2. ^ US1114559A - Mirror attachment for automobiles. - Google Patents
  3. ^ 昭和しょうわじゅうよんねん運輸省うんゆしょうれいだいさんじゅうろくごう
  4. ^ 昭和しょうわじゅうねん運輸省うんゆしょうれいだいきゅうじゅうななごう
  5. ^ 昭和しょうわじゅうろくねん法律ほうりつだいひゃくはちじゅうごう
  6. ^ 昭和しょうわじゅうろくねん運輸省うんゆしょうれいだいろくじゅうななごう
  7. ^ 昭和しょうわさんじゅうよんねん運輸省うんゆしょうれいだいよんじゅうごう
  8. ^ 昭和しょうわさんじゅうななねん運輸省うんゆしょうれいだいじゅうごう
  9. ^ なくても車検しゃけんとおる!? ルームミラーの必要ひつようせいとは?
  10. ^ ルームミラーなしでも車検しゃけんとおるのか|車検しゃけん修理しゅうり情報じょうほう満載まんさいグーピット(GooPit)
  11. ^ 輸入ゆにゅうしゃでもBMWミニしき主流しゅりゅうである。
  12. ^ Rabinow, Jacob (18 May 1990). Inventing for Fun and Profit. San Francisco, CA: San Francisco Press. ISBN 978-0-911302-64-6. https://archive.org/details/inventingforfunp00rabi 
  13. ^ 日産自動車にっさんじどうしゃアラウンドビューモニター2013ねん8がつ31にち閲覧えつらん
  14. ^ べい運輸省うんゆしょう後方こうほう確認かくにんカメラ装着そうちゃく義務ぎむ…2018ねんから(レスポンス)2014ねん4がつ4にち、2021ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  15. ^ 自動車じどうしゃ後方こうほう確認かくにんカメラ、新車しんしゃ装備そうび義務ぎむ 来年らいねんがつ以降いこうにも(sankeibiz) 2021ねん4がつ1にち、2021ねん4がつ2にち閲覧えつらん

ちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ バックミラーは和製わせい英語えいごであり、英語えいごでは、室内しつないのものをrear-view mirrorまたはinner rear-view mirror、フェンダーミラードアミラーなど車外しゃがいのものをside-view-mirror、side mirror、wing mirror、またはouter rear-view mirrorとぶ。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]