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コネクティングロッド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コネクティングロッド(コンロッド)
航空機こうくうきよう ほしがた9気筒きとうエンジン
BMW 132コンロッドセット。ほしがたエンジンではこの写真しゃしんれいられるように、一本いっぽんのマスターコンロッドとリンクロッドからなるセットが一般いっぱんてきである。
ピストン(うえ)と
コネクティングロッド(した)

コネクティングロッド (connecting rod) は、機械きかい部品ぶひんとくエンジンおおもちいられる部品ぶひんである。日本工業規格にほんこうぎょうきかく (JIS) では、コネクティングロッドまたはコネクチングロッド連接れんせつぼう(れんせつぼう)などといった呼称こしょうもちい、慣用かんようではしばしばコンロッド (conn-rod) と略称りゃくしょうされる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

コネクティングロッドは、クランクシャフトとの連動れんどうにより、ピストン往復おうふく直線ちょくせん運動うんどう回転かいてん運動うんどう変換へんかんする部品ぶひんである。ピストンピンとクランクピンをむすび、それぞれのはししょうはしだいはしぶ。ねつあいだ鍛造たんぞう形成けいせいされ、材質ざいしつにはクロームモリブデンこう(SCM435など)や炭素たんそはがね(S55Cなど)などがもちいられる。小型こがた汎用はんようエンジンなどでは鍛造たんぞうダイキャストまたは重力じゅうりょく鋳造ちゅうぞう成型せいけいされたアルミ合金ごうきんもちいられることがある。レースようとなるとチタン合金ごうきん(64ごうきん)などをバフ研磨けんまされたものなどがもちいられる。

コネクティングロッドの種類しゅるい[編集へんしゅう]

だいはし分割ぶんかつされているかかで、しき一体いったいしき分類ぶんるいされる。

しき
おおくのエンジンはしきもちいている。とく気筒きとうエンジンでは一体いったいしきクランクシャフトが一般いっぱんてきもちいられるため、コネクティングロッドをしきとすることになる。
一体いったいしき
おもたん気筒きとうVがた2気筒きとうなどのしょう気筒きとうすうエンジンにおいて、しきクランクシャフトを場合ばあいもちいられる。コネクティングロッド自体じたい軽量けいりょう安価あんかにできる。クランクピンニードルベアリングれられるので高速こうそく回転かいてん対応たいおうできる。このため初期しょきホンダフォーミュラ1ようVがた12気筒きとうエンジンなどのように、気筒きとうエンジンでも使用しようされる場合ばあいがある。

また、コネクティングロッド中間なかま部分ぶぶん断面だんめん形状けいじょうには、IがたとHがたおおもちいられる。

Iがた
応力おうりょく集中しゅうちゅうけることが可能かのうオペルの3気筒きとうエンジンにIがたのIの部分ぶぶん除去じょきょした形状けいじょうのものもある。
Hがた
軽量けいりょう可能かのう。アフターパーツのけずコネクティングロッドでは、機械きかい加工かこう簡略かんりゃくのために採用さいようされることがおおい。

Vがたエンジンほしがたエンジンなどのよう複数ふくすう気筒きとうを1つのクランクピンで場合ばあい、クランクピンじょうのコネクティングロッドの配置はいちでも分類ぶんるいされる。

かさわせ
現代げんだいではもっと一般いっぱんてき方式ほうしきで、クランクピンのじく方向ほうこうにコネクティングロッドをかさねてける。そのためバンクあいだでクランクじく方向ほうこう気筒きとう位置いちがずれる。
マスター&スレイブ
ほしがたエンジンにかぎってはもっと一般いっぱんてき方式ほうしきで、形式けいしきでももちいられることがある。一本いっぽんのマスターコネクティングロッドだけがクランクピンにけられて、のコネクティングロッドはマスターに可動かどうしきけられる。気筒きとう位置いちずれはいがマスターとスレイブとのあいだではわずかに動作どうさことなる。
フォーク&ブレイド
現代げんだいではすたれている方式ほうしき一方いっぽうのコネクティングロッドのだいはしがわ二股ふたまたにしてともにクランクピンにとおし、もう一方いっぽうはその二股ふたまたあいだでクランクピンにとおす。気筒きとう位置いちずれはく、りょう気筒きとうあいだ動作どうさ同一どういつとなるが、ロッドの質量しつりょうすためにこう回転かいてん困難こんなんとなる。

部品ぶひん[編集へんしゅう]

コネクティングロッド
本体ほんたい
コネクティングロッドキャップ
しきコネクティングロッドのだいはし下面かめん理論りろんじょう荷重かじゅうける。
ベアリングメタル
しょうはしにはどうブッシュもちいられ、だいはしには3そうからなるケルメットメタルなどがもちいられる。
コネクティングロッドボルト
コネクティングロッドとコネクティングロッドキャップをめるボルト。スタッドボルトの場合ばあいナットもちいられる。
ノックピン
コネクティングロッドとコネクティングロッドキャップの位置決いちぎめに使つかわれる。ノックピンがもちいられないものもおおい。位置決いちぎめにはリーマボルトもしくはノックピンでおこなわれるのが一般いっぱんてきである。

事故じこおよび破損はそん[編集へんしゅう]

コネクティングロッドはエンジンを構成こうせいする部品ぶひんなかもっと過酷かこく環境かんきょう使用しようされる部品ぶひんの1つであるため10ばい以上いじょう安全あんぜんりつられており、通常つうじょう使用しようにおいて折損せっそんすることはほとんどない。ピストンやクランクピンのき、故障こしょう水没すいぼつにより燃料ねんりょう冷却れいきゃくすいなどが燃焼ねんしょうしつはいることでこるウォーターハンマー現象げんしょうなどにより、過大かだいはんちからくわわった場合ばあい折損せっそんこごめするケースがおおい。コネクティングロッドが折損せっそんするとクランクシャフトの回転かいてんりょくによりまわされる金属きんぞくかたまりしクランクケース内部ないぶあばれるため、ダメージのおおきさからエンジン自体じたい修理しゅうり不可能ふかのうになることがおおい。

蒸気じょうき機関きかんしゃしゅれんぼう[編集へんしゅう]

蒸気じょうき機関きかんしゃなどといった大型おおがた機関きかんでは、回転かいてんがわ直接ちょくせつ伝達でんたつしているロッドがコネクティングロッドである。日本にっぽんにおいては蒸気じょうき機関きかんしゃのそれはしゅれんぼうばれる。そういった大型おおがた機関きかんでは、ピストンとのあいだにはちょくどうのみでゆらどうしない「ピストンロッド」とばれる要素ようそはいり、ピンで連結れんけつされる。ピストンロッドにけられる部品ぶひんからクロスヘッド方式ほうしきばれる(ユニフロー掃気ディーゼルエンジン#船舶せんぱくよう参照さんしょう)。コネクティングロッドが接続せつぞくされている動輪どうりん車軸しゃじくがクランクシャフトに相当そうとうし、動輪どうりん駆動くどうする構造こうぞうとなっている。通常つうじょう特定とくていの1じくをコネクティングロッドで駆動くどうしており、それ以外いがい動輪どうりんはコネクティングロッドが接続せつぞくされている動輪どうりんとカップリングロッド(連結れんけつぼう)とばれるロッドで連結れんけつされていて、これにより駆動くどうされている。

その[編集へんしゅう]

オイルジェット
コネクティングロッドのだいはしもうけられたあなより潤滑じゅんかつあぶら(オイル)を吐出はきだし、シリンダ壁面へきめん潤滑じゅんかつ・ピストン冷却れいきゃくおこなため仕組しくみ。しかし、一般いっぱんてきなエンジンではシリンダ壁面へきめんにはクランクシャフトからの飛散ひさんにより十分じゅうぶんオイルが付着ふちゃくしているはずである。また、ピストン冷却れいきゃくについてもつねにピストン裏面りめんにオイルを噴射ふんしゃするシリンダブロック設置せっちタイプのオイルジェットとことなり、コンロッドからの噴射ふんしゃではオイルがピストンにかかったりかからなかったりするため、冷却れいきゃく性能せいのうかぎられる。このように、これらの効能こうのう疑問ぎもんする意見いけんもあり、実験じっけんにより効果こうかいことを証明しょうめいしたとのせつもある。軸受じくうけ部位ぶい油圧ゆあつ低下ていかつながるとしてこのましくないとする意見いけんもある。社外しゃがいひん強化きょうかコンロッドでは純正じゅんせいコンロッドに存在そんざいしていたオイルジェットあなはぶかれているものもある。
クローズイン
ピストンなどの慣性かんせいりょくにより、コネクティングロッドに荷重かじゅうはたらくとき、だいはし荷重におも垂直すいちょく方向ほうこう内側うちがわまれ(クローズイン)、えんたもたれなくなる現象げんしょうだいはしとクランクピンのクリアランス低下ていかによるやききを発生はっせいすることもある。
鏡面きょうめん加工かこう
コネクティングロッドの鏡面きょうめん加工かこう応力おうりょく分散ぶんさんさせ、クラックはい起点きてん発生はっせい抑制よくせいする効果こうかがある。また、しゅ運動うんどうけい静的せいてきバランスをさい仕上しあげとしておこなわれることもある。エンジンないにおける空気くうき抵抗ていこう減少げんしょう、オイルの促進そくしんなどの効果こうかがあるというせつもある。
破断はだんめんコネクティングロッド
しきコネクティングロッドにおいて、ロッドとキャップの接合せつごうめん破断はだんめんにしたコネクティングロッド。製法せいほうは、ロッドとロッドキャップを一体いったい成形せいけいだいはしあな加工かこうほどこしたのちに、打撃だげきくわえてロッドとキャップの2部品ぶひん分割ぶんかつする。この製法せいほうから、クラッキングコンロッド、かちりコンロッドともばれる[1]だいはしとの連接れんせつローラーベアリングもちいたクランクシャフトへけるために製作せいさくされる。接合せつごうめん唯一ゆいいつ無二むに凹凸おうとつ形状けいじょうとなるため、クランクシャフト(にまれたローラーベアリング外周がいしゅうじょう確実かくじつだいはしあなえん復元ふくげんできる。ただいち無二むに凹凸おうとつはまごうによりロッドとキャップの位置いちまるため、ふくつぎ効果こうかとして、ノックピンなどは不要ふようになりだいはしちいさくすることができる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ クラッキングコンロッドようこう”. 日本にっぽん製鉄せいてつ. 2022ねん1がつ12にち閲覧えつらん