ワイヤーハーネス

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ワイヤーハーネス
ワイヤーハーネスのコネクタ、電線でんせん

ワイヤーハーネスえい: Wire Harness)あるいはケーブルハーネスえい: Cable Harness)は、電源でんげん供給きょうきゅう信号しんごう通信つうしんもちいられる複数ふくすう電線でんせんたばにして集合しゅうごう部品ぶひん(ASSY)としたものである。自動車じどうしゃ車内しゃない配線はいせんなど、おおくの電気でんき配線はいせん必要ひつようとする多様たよう機械きかい装置そうちもちいられている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ワイヤーハーネスは、狭義きょうぎには複数ふくすう電線でんせん結束けっそくたいやチューブ、粘着ねんちゃくテープなどでまとめ、はし複数ふくすう電線でんせんいち接続せつぞくできるしんコネクタけたもので、まれる機械きかい固定こていするフックなどをそなえる場合ばあいおおい。まとめられていない電線でんせんたばにくらべると、機械きかい組立くみたて工程こうてい簡略かんりゃくできるだけでなく、電線でんせんたばめる空間くうかんちいさくしたり、振動しんどうによるいをちいさくできる。電線でんせん被覆ひふく保護ほごなんもえせい素材そざいもちいることで火災かさい延焼えんしょうする危険きけんせい低減ていげんできる。

広義こうぎのワイヤーハーネスはとく自動車じどうしゃのぞ用途ようとにおいて、汎用はんようケーブルではながさ・機能きのう・コストなどに不都合ふつごうがあるとかんがえられるときに特定とくてい用途ようとたいして製作せいさくされるしんケーブル、まとめられていない電線でんせんすこともある。

産業さんぎょう機械きかい配電はいでんばん各種かくしゅ製造せいぞう装置そうち用途ようとでは、コネクタ、電線でんせん端子たんしるいマークチューブラベルるい名前なまえをつけて設置せっち作業さぎょう現場げんばでのあやま配線はいせん防止ぼうしするとともに、メンテナンス作業さぎょう効率こうりつしている。

多種たしゅ多様たよう自動じどうによる生産せいさん不向ふむきなため、手作業てさぎょう生産せいさんされている。

構成こうせい部品ぶひん[編集へんしゅう]

電線でんせん[編集へんしゅう]

使用しようする電線でんせんには、電流でんりゅう周波数しゅうはすう特性とくせいといった必要ひつよう電気でんき特性とくせいもとめられ、周囲しゅういへの電磁気でんじきてきなリーク防止ぼうし電線でんせん同士どうし周囲しゅういへの短絡たんらく危険きけんせい最小限さいしょうげんにする必要ひつようがある。 一般いっぱんてきには、どう合金ごうきんせい複数ふくすうもとせんたい摩耗まもうせいたか絶縁ぜつえんたい被覆ひふくしている。このような電線でんせん被覆ひふく材料ざいりょうには、一般いっぱんてきポリ塩化えんかビニル使つかわれているが、電気でんき電子でんし機器ききではRoHS指定していされる物質ぶっしつふくまないもの、自動車じどうしゃではELV指令しれいにより前記ぜんきくわえてハロゲン含有がんゆうしない被覆ひふくもちいるようになっている。

  • 通電つうでん電流でんりゅう印加いんか電圧でんあつたいして電線でんせんふとさが決定けっていされる。日本にっぽん自動車じどうしゃけではJASOにじゅんじたサイズが主流しゅりゅうである。
  • もとせん構成こうせいは、一般いっぱん構成こうせいのもののほかに、屈曲くっきょく耐久たいきゅう性能せいのうすぐれた構成こうせいのものがある。
  • エンジンルームとう高熱こうねつ部分ぶぶんには、たいねつ性能せいのうすぐれた被覆ひふくもちいる。
  • 微弱びじゃく電流でんりゅう回路かいろなど外来がいらいノイズの影響えいきょうけやすい線路せんろには、シールドまたはツイストペアあるいはその両方りょうほうほどこされることが一般いっぱんてきである。
  • 電線でんせんしょくは、おもにメーカーの生産せいさんせい決定けっていされることがおおいが、日本にっぽん自動車じどうしゃ工業こうぎょうかいでガイドライン指示しじされているものもある。接地せっち回路かいろでは白地しろじくろストライプが主流しゅりゅうである。

また、自動車じどうしゃ航空機こうくうきのような搭載とうさい電子でんし機器きき増加ぞうかわせて必要ひつよう信号しんごうせんかずえたため、デジタル信号しんごうによる多重たじゅうされた信号しんごうをわずかな本数ほんすうひかりファイバーせんおくるようになると、ワイヤーハーネスない電線でんせんすくなくなる傾向けいこうがある。ひかりファイバーせん電線でんせんとはべつ配線はいせんする場合ばあいや、電線でんせん同様どうようひかりファイバーせんもワイヤーハーネスないふく場合ばあいがある詳細しょうさいは、フライ・バイ・ワイヤこう参照さんしょうのこと)

コネクタ[編集へんしゅう]

かく電線でんせんりょうはしにあって適切てきせつ回路かいろ電気でんきつたえると同時どうじ固定こていする接続せつぞくである。電線でんせん同様どうよう適切てきせつ電気でんき特性とくせい安全あんぜんせいなどがもとめられる。 コネクタはハウジングない接続せつぞく端子たんしち、には信号しんごう電力でんりょくあやま接続せつぞくしないような形状けいじょうそなえ、また、容易ようい接続せつぞく可能かのう接続せつぞく振動しんどうとうでは容易よういはずれず長期間ちょうきかん安定あんていてき接続せつぞく維持いじされ、修理しゅうりなどの必要ひつようおうじて容易よういはずせることがもとめられる。コネクタははじめに電線でんせん接続せつぞく端子たんしけられ、その接続せつぞく端子たんしがハウジングに収納しゅうのうされることが一般いっぱんてきである。

成形せいけい保護ほご[編集へんしゅう]

コルゲートチューブや樹脂じゅしテープなどによっておも電線でんせんたばである幹線かんせん電線でんせんたばね、プロテクターなどで保護ほごする。幹線かんせん電線でんせんから個別こべつ電線でんせん分岐ぶんきする分岐ぶんきでは、結束けっそくたもつためにねつ可塑かそせい樹脂じゅしなどで固定こていされる。

固定こてい[編集へんしゅう]

筐体きょうたいなどに固定こていするためにグロメットやクランプ、クリップとった固定こていまれることがおおい。固定こてい保護ほご相互そうごねることがある。

その[編集へんしゅう]

1たい1の接続せつぞくだけおこな配線はいせんほかに、3ヶ所かしょ以上いじょう機器きき端子たんしあいだ電線でんせん接続せつぞくしたい場合ばあいがあり、多数たすう電線でんせんたばねるワイヤーハーネスでは、その途中とちゅう中間ちゅうかん接続せつぞくもうけて複数ふくすう電線でんせん相互そうご接続せつぞくするジャンクション・ボックス(Junction Box; JB)をつものがある。ジャンクション・ボックスは電線でんせん同士どうし接続せつぞくするため内部ないぶ接続せつぞく端子たんし電線でんせん、またはプリント基板きばんやバスバーなどをおさめており、また一部いちぶのものは、ヒューズやリレー、サーキットブレーカーまでおさめている。半導体はんどうたい素子そしなどの電子でんし回路かいろふくむものはA-JB(Active Junction Box) とばれる。

カルテル[編集へんしゅう]

メーカーや車種しゃしゅごとに専門せんもんせいたかくなる傾向けいこうがあり、過去かこには特定とくてい事業じぎょうしゃによるだい規模きぼカルテルむすばれたケースもあった。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおけるカルテル(はんトラストほう違反いはん)の罰金ばっきんがく最高さいこう事例じれいは、自動車じどうしゃようワイヤーハーネスをめぐるカルテルであり、2011ねん日本にっぽん矢崎総業やざきそうぎょうデンソーたいしてけい5おく4800まんドルの支払しはらいがめいじられたものである[1]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 矢崎総業やざきそうぎょう罰金ばっきん360おくえん べいでカルテル、幹部かんぶ禁錮きんこけい. 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ. (2012ねん1がつ31にち). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM31019_R30C12A1MM0000/ 2014ねん5がつ7にち閲覧えつらん 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]