エアバスA320ファミリー は、フルグラスコックピット とデジタル・フライ・バイ・ワイヤ飛行 ひこう 制御 せいぎょ システムを搭載 とうさい した最初 さいしょ の民間 みんかん 旅客機 りょかくき 。唯一 ゆいいつ のアナログ計器 けいき は、無線 むせん 方向 ほうこう 探知 たんち 機 き 、ブレーキ圧力 あつりょく 指示 しじ 器 き 、スタンバイ高度 こうど 計 けい 、姿勢 しせい 指示 しじ 器 き 。後者 こうしゃ の2つは、後 ご の生産 せいさん モデルでデジタル統合 とうごう スタンバイ計器 けいき システム(英語 えいご 版 ばん ) に置 お き換 か えられた。
フライ・バイ・ワイヤ (英語 えいご : Fly by wire, FBW と略 りゃく される)とは、航空機 こうくうき 等 ひとし の操縦 そうじゅう ・飛行 ひこう 制御 せいぎょ システムの1種 しゅ 。直訳 ちょくやく すると「電線 でんせん による飛行 ひこう 」。航空機 こうくうき の従来 じゅうらい の手動 しゅどう 飛行 ひこう 制御 せいぎょ を電子 でんし インターフェースに置 お き換 か えるシステム。
飛行 ひこう 制御 せいぎょ 装置 そうち の動 うご きは、ワイヤによって送信 そうしん される電子 でんし 信号 しんごう に変換 へんかん され、飛行 ひこう 制御 せいぎょ コンピューター は、各 かく 制御 せいぎょ 面 めん でアクチュエータ を動 うご かして、順序付 じゅんじょづ けられた応答 おうとう を提供 ていきょう する方法 ほうほう を決定 けってい する。機械 きかい 式 しき 飛行 ひこう 制御 せいぎょ (英語 えいご 版 ばん ) バックアップシステム(ボーイング777 など)を使用 しよう することも、完全 かんぜん なフライ・バイ・ワイヤ制御 せいぎょ を使用 しよう することもできる[1] 。
フライ・バイ・ワイヤ以前 いぜん の機 き 力 りょく 操縦 そうじゅう システムでは、パイロット が操縦 そうじゅう 桿 (輪 わ )やラダーペダルに与 あた えた入力 にゅうりょく は、金属 きんぞく 製 せい のロープ(鋼索 こうさく 、この分野 ぶんや における「ワイヤ」との呼 よ び分 わ けでは「ケーブル」と呼 よ ぶ)、ロッド、滑車 かっしゃ による機械 きかい 的 てき リンクを経由 けいゆ して直結 ちょっけつ 、あるいは油圧 ゆあつ 式 しき や電動 でんどう 式 しき 、空気圧 くうきあつ 式 しき 等 とう のアクチュエータ の補助 ほじょ により、補助 ほじょ 翼 つばさ ・昇降 しょうこう 舵 かじ ・方向 ほうこう 舵 かじ などの操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん が動 うご かされていた。自動 じどう 操縦 そうじゅう も自動 じどう 操縦 そうじゅう 装置 そうち がケーブルなどへ機械 きかい 的 てき 入力 にゅうりょく を与 あた えることで達成 たっせい されていた。
フライ・バイ・ワイヤでは、パイロットの操作 そうさ をセンサーによって感知 かんち し電気 でんき 信号 しんごう で伝 つた え、アクチュエータ を動作 どうさ させ操縦 そうじゅう 翼 つばさ 面 めん を操作 そうさ するものである。実際 じっさい には、パイロットの操作 そうさ はコクピットにある発信 はっしん 器 き と人工 じんこう 感覚 かんかく 装置 そうち で電気 でんき 信号 しんごう に変換 へんかん され、機体 きたい にかかる加速度 かそくど や傾 かたむ きを検知 けんち するセンサとコンピュータ を組込 くみこ んだシステムを介 かい して、アクチュエータ へ電線 でんせん で伝達 でんたつ されており、操縦 そうじゅう 者 しゃ の感知 かんち 能力 のうりょく を補 おぎな うことができるシステムとなっている。操縦 そうじゅう 桿や方向 ほうこう 舵 かじ ペダルは操縦 そうじゅう 者 しゃ の操縦 そうじゅう 信号 しんごう をコンピュータに入力 にゅうりょく するためのものとなるため、今 いま までの操縦 そうじゅう システムでの重 おも さと操舵 そうだ 量 りょう の2つの機械 きかい 的 てき 入力 にゅうりょく が不要 ふよう となり、加 くわ える力 ちから の大 おお きさの入力 にゅうりょく 信号 しんごう だけで十分 じゅうぶん となる。
従来 じゅうらい の操縦 そうじゅう システムにおいて、航空機 こうくうき の姿勢 しせい を変 か える場合 ばあい には機体 きたい ごとに異 こと なる量 りょう の当 あ て舵 かじ [2] を操縦 そうじゅう 士 し が適切 てきせつ に当 あ てる必要 ひつよう があったが、フライ・バイ・ワイヤでは、コンピュータが計算 けいさん して必要 ひつよう な分 ぶん だけ当 あ て舵 かじ を取 と ることが可能 かのう となり負担 ふたん が軽減 けいげん された。また飛行 ひこう 性能 せいのう が良 よ くても、操作性 そうさせいわる や安定 あんてい 性 せい が悪 わる く操縦 そうじゅう が困難 こんなん な航空機 こうくうき を実用 じつよう 化 か することが可能 かのう となった。
アナログコンピュータ を使用 しよう した初期 しょき のものはアナログFBW、デジタルコンピュータを使用 しよう するものはデジタルFBWと呼 よ ばれる。また電気 でんき 信号 しんごう を伝 つた える電線 でんせん を複数 ふくすう にして、多重 たじゅう 系 けい にすることにより冗長 じょうちょう 性 せい を持 も たせている。
おおむね以下 いか のような利点 りてん と欠点 けってん がある。
利点 りてん
ケーブル・ロッド・滑車 かっしゃ などの機械 きかい 部品 ぶひん が電線 でんせん に置 お き替 か えられることにより、重量 じゅうりょう の軽減 けいげん 化 か と繁雑 はんざつ な機械 きかい 部品 ぶひん の点検 てんけん 作業 さぎょう が不要 ふよう となり、操縦 そうじゅう 系 けい の整備 せいび 性 せい の向上 こうじょう と電子 でんし 機器 きき の自己 じこ 診断 しんだん 機能 きのう が可能 かのう となる。
機械 きかい 的 てき な機構 きこう から信号 しんごう 線 せん に替 か わることにより、配線 はいせん と操縦 そうじゅう 系統 けいとう の設計 せっけい の自由 じゆう 度 ど が高 たか まる(ジョイスティック 型 かた 操縦 そうじゅう 桿 の登場 とうじょう )。
コンピュータを介在 かいざい させることによる以下 いか の利点 りてん
プログラムをオートパイロット などのシステムと統合 とうごう することが可能 かのう となる。旅客機 りょかくき では飛行 ひこう 管理 かんり 装置 そうち へ入力 にゅうりょく すればFBWの制御 せいぎょ も最適 さいてき な値 ね に調整 ちょうせい されるため、パイロットは離陸 りりく ・巡航 じゅんこう ・着陸 ちゃくりく の各 かく モードを選択 せんたく するだけでフラップ やスポイラー を細 こま かく調整 ちょうせい をする必要 ひつよう がない。
自動 じどう 制限 せいげん 機能 きのう (リミッタ)により、失速 しっそく や荷重 におも などによる飛行 ひこう 制限 せいげん を気 き にすることなく操縦 そうじゅう 可能 かのう 。それに伴 ともな いパイロットの負担 ふたん が減少 げんしょう する。また、旅客機 りょかくき には、操縦 そうじゅう 力 りょく (パイロットが操縦 そうじゅう 桿を操作 そうさ する力 ちから )を速度 そくど によって変化 へんか させて、パイロットが過大 かだい な操縦 そうじゅう を行 おこな うことを防 ふせ ぐ人工 じんこう 感覚 かんかく 装置 そうち と呼 よ ばれる操作 そうさ 感覚 かんかく を最適 さいてき 化 か する装置 そうち が装備 そうび されている[3] 。さらに手動 しゅどう 操縦 そうじゅう 時 じ にもオートパイロットを操縦 そうじゅう アシストや安全 あんぜん 装置 そうち として利用 りよう する機種 きしゅ も登場 とうじょう している。
パイロット誘導 ゆうどう 振動 しんどう を動的 どうてき に抑制 よくせい することが可能 かのう 。リミッターと異 こと なる機能 きのう として、離着陸 りちゃくりく モード時 じ のみ動作 どうさ させることもできる。
エレボン やフラッペロン には複雑 ふくざつ な角度 かくど 計算 けいさん と操縦 そうじゅう 桿とペダルの動 うご きを合成 ごうせい する機構 きこう が必要 ひつよう となるが、コンピュータであれば瞬時 しゅんじ に計算 けいさん し各 かく 動 どう 翼 つばさ のアクチュエータを最適 さいてき な角度 かくど に設定 せってい できる。
静 せい 安定 あんてい 性 せい 緩和 かんわ などのCCV技術 ぎじゅつ 導入 どうにゅう による燃費 ねんぴ 向上 こうじょう や機動 きどう 性 せい 向上 こうじょう 。戦闘 せんとう 機 き ではトレードオフの関係 かんけい にあった燃費 ねんぴ と機動 きどう を両立 りょうりつ することが可能 かのう となった。旅客機 りょかくき では機体 きたい の振動 しんどう を抑制 よくせい することで快適 かいてき 性 せい が向上 こうじょう する。
左右 さゆう の補助 ほじょ 翼 つばさ や昇降 しょうこう 舵 かじ を同 どう 一方向 いちほうこう に動 うご かすことで空 そら 力 りょく ブレーキ として利用 りよう できるため着陸 ちゃくりく 滑走 かっそう 距離 きょり を短 みじか くすることが可能 かのう 。手動 しゅどう での調整 ちょうせい は難 むずか しいがセンサーで計測 けいそく することにより機体 きたい が傾 かたぶ かない角度 かくど に調整 ちょうせい が可能 かのう である。
機械 きかい 式 しき の操縦 そうじゅう 系 けい と比較 ひかく して操縦 そうじゅう 系 けい を構成 こうせい する電線 でんせん の多重 たじゅう 化 か が容易 ようい となるため、冗長 じょうちょう 性 せい が確保 かくほ しやすい。
各種 かくしゅ 設定 せってい を変更 へんこう することで飛行 ひこう 特性 とくせい を異 こと なる機種 きしゅ に近 ちか いものに変化 へんか させ、乱気流 らんきりゅう 中 ちゅう の挙動 きょどう などを調査 ちょうさ する「インフライト・シミュレーション」が可能 かのう となる[4] 。
本来 ほんらい 異 こと なる飛行 ひこう 特性 とくせい を持 も つ機体 きたい の操縦 そうじゅう 感覚 かんかく を近似 きんじ させることによって、複数 ふくすう 機種 きしゅ において相互 そうご 乗員 じょういん 資格 しかく を設定 せってい したり、さらに一 いち 歩 ほ 進 すす めて同時 どうじ 定期 ていき 運航 うんこう 乗務 じょうむ が可能 かのう となった。
欠点 けってん
飛行 ひこう 制御 せいぎょ コンピュータとそれに伴 ともな う環境 かんきょう 調節 ちょうせつ システムの設置 せっち による空間 くうかん 的 てき ・重量 じゅうりょう 的 てき 制約 せいやく 。
導入 どうにゅう 初期 しょき に、プロテクション機能 きのう を正 ただ しく理解 りかい せず無理 むり な操縦 そうじゅう を行 おこな ったことが原因 げんいん と思 おも われる事故 じこ が発生 はっせい した(エールフランス296便 びん 事故 じこ を参照 さんしょう )。
機体 きたい の制御 せいぎょ をソフトウェアに依存 いぞん しているため、ソフトウェアの欠陥 けっかん (バグ、データの間違 まちが いなど)が事故 じこ につながる恐 おそ れがある。
グリペン の試作 しさく 初号 しょごう 機 き は制御 せいぎょ プログラムの欠陥 けっかん により過度 かど のパイロット誘導 ゆうどう 振動 しんどう が発生 はっせい し着陸 ちゃくりく に失敗 しっぱい し大破 たいは している。
ピトー管 かん への着 ちゃく 氷 ごおり により正確 せいかく な対 たい 気 き 速度 そくど が入力 にゅうりょく されなくなったため自動 じどう 操縦 そうじゅう が解除 かいじょ されて失速 しっそく 状態 じょうたい に陥 おちい り、パイロットが対処 たいしょ を誤 あやま ったために墜落 ついらく した事例 じれい がある。(エールフランス447便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ を参照 さんしょう )
操作 そうさ に対 たい する油圧 ゆあつ やリンクの応力 おうりょく (手応 てごた え)がないことによる以下 いか の欠点 けってん
物理 ぶつり 的 てき なリンクがない場合 ばあい 、系統 けいとう が切 き れても操縦 そうじゅう 桿やペダルの重 おも さが不変 ふへん であるため、該当 がいとう 機能 きのう が正常 せいじょう に作動 さどう しているか感覚 かんかく では把握 はあく しにくい。
急激 きゅうげき な操作 そうさ が可能 かのう になるため、戦闘 せんとう 機 き では旋回 せんかい 時 じ にすぐに限界 げんかい Gに達 たっ してしまい、G-LOC を起 お こしやすい。アメリカ空軍 くうぐん でF-16が導入 どうにゅう されてから急激 きゅうげき な操作 そうさ によるG-LOCが原因 げんいん の墜落 ついらく が多発 たはつ したことが一時期 いちじき あった[5] 。
常 つね に安定 あんてい した電源 でんげん が必要 ひつよう 。
FBWのみで機械 きかい 式 しき のバックアップがない機体 きたい は、電源 でんげん が喪失 そうしつ し制御 せいぎょ コンピュータが停止 ていし すると操縦 そうじゅう 不能 ふのう となり、最悪 さいあく の場合 ばあい 墜落 ついらく につながることになる。
通常 つうじょう の航空機 こうくうき より多 おお くの電力 でんりょく を必要 ひつよう とするため、発電 はつでん 能力 のうりょく の高 たか い補助 ほじょ 動力 どうりょく 装置 そうち 、緊急 きんきゅう 時 じ の電源 でんげん としてバッテリーを搭載 とうさい する必要 ひつよう もある。
コンピュータの操縦 そうじゅう 系 けい への介入 かいにゅう を前提 ぜんてい として設計 せっけい された空 そら 力 りょく 安定 あんてい 性 せい が低 ひく い機体 きたい では、バックアップ系統 けいとう があっても手動 しゅどう 操縦 そうじゅう が難 むずか しい。(マクドネル・ダグラス MD-11 など)
FBWへの移行 いこう の前 ぜん 段階 だんかい として、CAS(コントロール増強 ぞうきょう システム)と呼 よ ばれるものがある。操縦 そうじゅう 桿およびフットペダルの操作 そうさ を電気 でんき 信号 しんごう に変換 へんかん して各 かく 動 どう 翼 つばさ の油圧 ゆあつ サーボ・シリンダを作動 さどう させるもので、コンピュータによる飛行 ひこう 制御 せいぎょ を補助 ほじょ として用 もち いるものである。FBWほどの効果 こうか は得 え られないが、コンピュータとリンク機構 きこう の片方 かたがた が故障 こしょう しても操縦 そうじゅう 可能 かのう という利点 りてん がある。F-15 など第 だい 4世代 せだい ジェット戦闘 せんとう 機 き の一部 いちぶ に採用 さいよう されている。
アブロ・カナダ CF-105 アロー はフライ・バイ・ワイヤ制御 せいぎょ システムで飛行 ひこう した最初 さいしょ の試作 しさく 航空機 こうくうき
F-8 クルセイダー のデジタル・フライ・バイ・ワイヤのテスト飛行 ひこう
1930年代 ねんだい にソビエトのツポレフANT-20 は、最初 さいしょ にサーボ電気 でんき で作動 さどう する操縦 そうじゅう でテストされた[6] 。機械 きかい 的 てき および油圧 ゆあつ 接続 せつぞく の長時間 ちょうじかん の実行 じっこう は、ワイヤおよび電気 でんき サーボに置 お き換 か えられた。
1941年 ねん 、シーメンス のエンジニアであるカール・オットー・アルトファーターは、航空機 こうくうき が電子 でんし インパルスによって完全 かんぜん に制御 せいぎょ されるハインケル He111 用 よう の最初 さいしょ のフライ・バイ・ワイヤ・システムを開発 かいはつ およびテストをした[7] 。
1934年 ねん 、カール・オットー・アルトファーターは、航空機 こうくうき が地面 じめん に接近 せっきん したときにフレアさせた自動 じどう 電子 でんし システムについて特許 とっきょ を申請 しんせい した[8] 。
1958年 ねん に、フライ・バイ・ワイヤ飛行 ひこう 制御 せいぎょ システムを使用 しよう して設計 せっけい および飛行 ひこう された最初 さいしょ の試作 しさく 航空機 こうくうき は、アブロ・カナダ CF-105 アロー [9] [10] 。
60年代 ねんだい 初頭 しょとう から中期 ちゅうき にかけて、英国 えいこく では、2人 ふたり 乗 の りのアブロ 707 (英語 えいご 版 ばん ) Cは、機械 きかい 的 てき バックアップを備 そな えたフェアリー システム[11] で飛行 ひこう した。機体 きたい が飛行 ひこう 時間 じかん を使 つか い果 は たしたときにプログラムは縮小 しゅくしょう された[12] 。
1964年 ねん に、月面 げつめん 着陸 ちゃくりく 試験 しけん 機 き (英語 えいご 版 ばん ) (LLRV)が、機械 きかい 的 てき なバックアップなしでフライ・バイ・ワイヤ飛行 ひこう を開拓 かいたく した[13] 。制御 せいぎょ は、3つのアナログ冗長 じょうちょう チャネルを備 そな えたデジタルコンピュータを介 かい して行 おこな われた。
1968年 ねん に最初 さいしょ に飛行 ひこう したアポロ月面 げつめん 着陸 ちゃくりく 試験 しけん 機 き (英語 えいご 版 ばん ) (LLTV)は、機械 きかい 的 てき または油圧 ゆあつ バックアップのない最初 さいしょ の純粋 じゅんすい な電子 でんし フライ・バイ・ワイヤ航空機 こうくうき である[14] 。
1969年 ねん 、コンコルド は、最初 さいしょ のフライ・バイ・ワイヤで製造 せいぞう された民間 みんかん 旅客機 りょかくき である(アローは5機 き の製造 せいぞう でキャンセルされた試作 しさく 機 き )。このシステムには、ソリッドステートコンポーネントとシステムの冗長 じょうちょう 性 せい も含 ふく まれ、コンピューター化 か されたナビゲーションと自動 じどう 検索 けんさく および追跡 ついせき レーダーと統合 とうごう するように設計 せっけい され、データのアップリンクとダウンリンクを使用 しよう して地上 ちじょう 制御 せいぎょ から飛行 ひこう 可能 かのう であり、パイロットに人工 じんこう 的 てき な感触 かんしょく (フィードバック)を提供 ていきょう した[10] 。
1972年 ねん に、米国 べいこく のNASAによってテスト航空機 こうくうき として電子 でんし 的 てき に改造 かいぞう されたF-8 クルセイダー は、機械 きかい 的 てき バックアップのない最初 さいしょ のデジタルフライバイワイヤー固定 こてい 翼 つばさ 航空機 こうくうき [15] 。F-8は、アポロのガイダンス、ナビゲーション、および制御 せいぎょ ハードウェアを使用 しよう していた[16] 。ほぼ同時 どうじ に、ソ連 それん で初 はじ めてのフライ・バイ・ワイヤのスホーイT-4 も飛行 ひこう した。また、イギリスでは、ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント で改造 かいぞう されたホーカー ハンター 戦闘 せんとう 機 き のトレーナーバリアントが、右 みぎ 席 せき パイロット用 よう のフライ・バイ・ワイヤ飛行 ひこう 制御 せいぎょ を備 そな えた[12] 。
1988年 ねん に、エアバスA320 は、デジタル・フライ・バイ・ワイヤ制御 せいぎょ を備 そな えた最初 さいしょ の旅客機 りょかくき としてサービスを開始 かいし した[17] 。
フライ・バイ・ワイヤは、元々 もともと はアポロ計画 けいかく での月 つき 着陸 ちゃくりく 船 せん やVTOL機 き などの空気 くうき 力 りょく により安定 あんてい を得 え られない宇宙船 うちゅうせん や航空機 こうくうき に使用 しよう されていた装置 そうち であったが、その後 ご 、超 ちょう 音速 おんそく 機 き の運動 うんどう 性 せい 向上 こうじょう や大型 おおがた 機 き の経済 けいざい 性 せい 向上 こうじょう の手段 しゅだん として採用 さいよう されている。以下 いか に採用 さいよう 例 れい を示 しめ す。
フライ・バイ・ワイヤを搭載 とうさい したF-4 実験 じっけん 機 き 62-12200号機 ごうき
軍用 ぐんよう 機 き では、試作 しさく のみで終 お わった大型 おおがた 戦闘 せんとう 機 き ・CF-105 アローがデジタルFBWを採用 さいよう していた。
実用 じつよう 機 き ではF-16 に初 はじ めてアナログFBWが搭載 とうさい された。F-16はCCV技術 ぎじゅつ の導入 どうにゅう により運動 うんどう 性 せい の向上 こうじょう が図 はか られており、以降 いこう の多 おお くの戦闘 せんとう 機 き で同様 どうよう の技術 ぎじゅつ が採用 さいよう されるようになった。F/A-18 は実用 じつよう 機 き として初 はじ めてデジタルFBWを搭載 とうさい し、F-16も後 のち にデジタルFBWに換 かわ 装 そう された。
F-16 以前 いぜん においても、F-15 の場合 ばあい 、機械 きかい 系統 けいとう が戦闘 せんとう などで破損 はそん しても、前述 ぜんじゅつ のCASを通 つう じて問題 もんだい なく操縦 そうじゅう が可能 かのう になっており、完全 かんぜん なデジタルFBWの一 いち 歩 ほ 手前 てまえ の状況 じょうきょう まで来 き ていた。ただしCASはFBWと異 こと なり1重 じゅう のシステムであり、故障 こしょう 時 じ を考慮 こうりょ して制御 せいぎょ 範囲 はんい を最大 さいだい 舵 かじ 角 かく の数 かず %程度 ていど に抑 おさ えていたため、機体 きたい それ自体 じたい の安定 あんてい 性 せい を放棄 ほうき するCCV技術 ぎじゅつ の導入 どうにゅう は不可能 ふかのう であった。またF/A-18も機体 きたい の設計 せっけい それ自体 じたい はF-16よりも古 ふる く、また機械 きかい 的 てき 操縦 そうじゅう 機構 きこう をバックアップとして備 そな えており、CCV技術 ぎじゅつ の導入 どうにゅう はされていない。
日本 にっぽん ではP2V-7 にアナログFBWを搭載 とうさい した可変 かへん 特性 とくせい 研究 けんきゅう 機 き が開発 かいはつ され、データ収集 しゅうしゅう が行 おこな われた。
旅客機 りょかくき では、コンコルド がはじめてアナログFBWを採用 さいよう した。
エアバス はA320 で、旅客機 りょかくき として初 はじ めてデジタルFBWを採用 さいよう した。同時 どうじ に操縦 そうじゅう 桿はジョイスティック型 がた となり、操縦 そうじゅう 席 せき の脇 わき に配置 はいち された。以降 いこう のA330 ・A340 ・A380 などでも踏襲 とうしゅう されている。エアバスではボーイングに比 くら べるとコンピュータによるプロテクション機能 きのう を優先 ゆうせん しており、その点 てん も含 ふく めた設計 せっけい 思想 しそう の違 ちが いはたびたび議論 ぎろん の的 まと となっている(前述 ぜんじゅつ のエールフランス296便 びん 事故 じこ や中華航空 ちゅうかこうくう 140便 びん 墜落 ついらく 事故 じこ を参照 さんしょう )。
マクドネル・ダグラス はベストセラー三 さん 発 はつ 機 き DC-10 の拡大 かくだい 型 がた であるMD-11 においてFBWを採用 さいよう 。DC-10に比 ひ して水平 すいへい 尾翼 びよく 面積 めんせき を30%削減 さくげん して燃費 ねんぴ の向上 こうじょう を計 はか ったが、ETOPS認定 にんてい で双発 そうはつ 機 き での長距離 ちょうきょり 路線 ろせん が可能 かのう になったことで販売 はんばい が伸 の び悩 なや む。他 た の旅客機 りょかくき も軍需 ぐんじゅ も振 ふ るわず窮地 きゅうち に陥 おちい った同社 どうしゃ は、後 のち にボーイングに吸収 きゅうしゅう されることになる。
ボーイング は777 で初 はじ めてデジタルFBWを採用 さいよう した。形状 けいじょう は従来 じゅうらい と似 に た操縦 そうじゅう 輪 わ であり、エアバスのようなジョイスティックではない。プロテクション機能 きのう はあるものの、操縦 そうじゅう 感覚 かんかく が重 おも くなることでパイロットに注意 ちゅうい を促 うなが すだけで、それ以上 いじょう の力 ちから を操縦 そうじゅう 桿に加 くわ えれば、プロテクション機能 きのう を越 こ える操縦 そうじゅう をすることもできる。これは空中 くうちゅう 衝突 しょうとつ などを避 さ けるための急激 きゅうげき な回避 かいひ 行動 こうどう を取 と れるようにするための措置 そち で、安全 あんぜん 性 せい に劣 おと るということではない。
他 た にはイリューシンのIl-96 、ボンバルディアのCRJ シリーズ、エンブラエル のエンブラエル E-Jet (アナログFBW)などの例 れい がある。
ヘリコプター の操縦 そうじゅう システムは、リンク機構 きこう やリンク機構 きこう を介 かい して油圧 ゆあつ アクチュエータを作動 さどう させることにより、メインローターやテールローターのブレードを動 うご かす機体 きたい がほとんどであるが、フライ・バイ・ワイヤを採用 さいよう しているものもある。例 れい としてNH-90 では、メインローターとテールローターをフライ・バイ・ワイヤによって制御 せいぎょ する、また、メインローター、テールローター、エンジンの動 うご きをモニタリングするセンサーと機体 きたい の姿勢 しせい を検知 けんち するセンサーからの情報 じょうほう を、FBWの飛行 ひこう 制御 せいぎょ コンピュータにフィードバック することにより機体 きたい を安定 あんてい させるようになっている。
民間 みんかん 機 き では、ベル・ヘリコプター が開発 かいはつ 中 ちゅう のベル 525 (英語 えいご 版 ばん ) がフライ・バイ・ワイヤを採用 さいよう し、サイクリック・レバー (操縦 そうじゅう 桿 )をサイドスティック式 しき に配置 はいち している。
純然 じゅんぜん たるヘリコプターではないが、ティルトローター 機 き であるV-22 やAW609 は固定 こてい 翼 つばさ 機 き モードと回転 かいてん 翼 つばさ 機 き モードの間 あいだ を転換 てんかん する途中 とちゅう で飛行 ひこう 特性 とくせい や機体 きたい の制御 せいぎょ 方法 ほうほう が変化 へんか することもあり、操縦 そうじゅう 系 けい はコンピュータによって制御 せいぎょ されたフライ・バイ・ワイヤによるもののみとなっている。
フライ・バイ・ライト世界 せかい 初 はつ のフライバイライトを採用 さいよう した実用 じつよう 機 き 川崎 かわさき P-1
操舵 そうだ 信号 しんごう を電線 でんせん ではなく光 ひかり ケーブル によって伝 つた えるシステムはフライ・バイ・ライト (Fly-by-light, FBL) またはフライ・バイ・オプティクス (Fly-by-optics) と呼 よ ばれる。フライ・バイ・ライトは電磁 でんじ 干渉 かんしょう に強 つよ く、電磁 でんじ シールドを省 はぶ けることによる更 さら なる軽量 けいりょう 化 か 、高速 こうそく 大 だい 容量 ようりょう の伝送 でんそう の実現 じつげん 、防火 ぼうか 性 せい に優 すぐ れるなどというメリットがある。その反面 はんめん 、構造 こうぞう 上 じょう 光 ひかり ファイバーは曲 ま げ特性 とくせい が銅 どう 線 せん より劣 おと るため配線 はいせん には設計 せっけい 段階 だんかい からの対応 たいおう が必要 ひつよう であったり、断線 だんせん 時 じ の修理 しゅうり が難 むずか しいというデメリットがある。実用 じつよう 機 き では川崎重工業 かわさきじゅうこうぎょう の固定 こてい 翼 つばさ 哨戒 しょうかい 機 き P-1 が唯一 ゆいいつ 採用 さいよう している。[18]
他 た 、F-22 やF-35 戦闘 せんとう 機 き では、レーダー や電子 でんし 光学 こうがく センサー の膨大 ぼうだい な情報 じょうほう 量 りょう に対処 たいしょ するため光通信 ひかりつうしん が利用 りよう されている。[19] [20] 操縦 そうじゅう 系統 けいとう には使 つか われていない。
民間 みんかん 機 き としてはワールドワイド・エアロス社 しゃ (英語 えいご 版 ばん ) が開発 かいはつ 中 ちゅう のハイブリッド飛行船 ひこうせん エアロスクラフト の試作 しさく 機 き ドラゴンドリーム (英語 えいご 版 ばん ) で実証 じっしょう 実験 じっけん が行 おこな われた。
パワー・バイ・ワイヤ
現用 げんよう 機 き のFBWでは、電気 でんき 信号 しんごう が伝 つた わるのは油圧 ゆあつ アクチュエータまでである。そのため依然 いぜん として油圧 ゆあつ システム(タンク・ポンプ・配管 はいかん ・アクチュエータ)は存在 そんざい し、重量 じゅうりょう と整備 せいび 性 せい においての課題 かだい となっている。このためアクチュエータとして、電動 でんどう モーター または密閉 みっぺい 式 しき 電気 でんき 油圧 ゆあつ 式 しき アクチュエータを採用 さいよう し、タンク・ポンプ・配管 はいかん を削減 さくげん したシステムが開発 かいはつ され、パワー・バイ・ワイヤ (Power-by-wire, PBW) と呼 よ ばれている。F-35 やA380 のバックアップシステムとして採用 さいよう されている[21] [22] 。
フライ・バイ・ワイヤレス
大型 おおがた 民間 みんかん 旅客機 りょかくき には10万 まん 本 ほん 以上 いじょう のワイヤーがあり、全長 ぜんちょう は470km、重量 じゅうりょう は5,700kgにもなる。また冗長 じょうちょう 化 か のために同 おな じ信号 しんごう を複数 ふくすう の異 こと なる経路 けいろ で二 に 重 じゅう 三 さん 重 じゅう に配線 はいせん する必要 ひつよう が有 あ り、ワイヤーを通 とお すため隔壁 かくへき に貫通 かんつう 部 ぶ を設 もう ける必要 ひつよう も有 あ り、これは構造 こうぞう 上 じょう の弱点 じゃくてん になる。このようにワイヤーを配線 はいせん するコストは膨大 ぼうだい で、より設計 せっけい を困難 こんなん にし、製造 せいぞう ・メンテナンスに多大 ただい なコストがかかる。無線 むせん にすれば劇的 げきてき なコスト削減 さくげん と軽量 けいりょう 化 か 、ワイヤーが切断 せつだん されるような損傷 そんしょう でも通信 つうしん を維持 いじ できる高 たか い信頼 しんらい 性 せい が期待 きたい できる。[23] 世界 せかい 無線 むせん 通信 つうしん 会議 かいぎ によって4.2GHz〜4.4GHzが割 わ り当 あ てられているが、レーダー電波 でんぱ 高度 こうど 計 けい にも使用 しよう されているのでこれと共存 きょうぞん が求 もと められる。[24]
^ Fly by Wire Flight Control Systems Sutherland
^ 一旦 いったん 大 おお きく動 どう 翼 つばさ を操舵 そうだ して姿勢 しせい を変 か えた後 のち 、反対 はんたい に動 どう 翼 つばさ を操舵 そうだ してから中立 ちゅうりつ の位置 いち に動 どう 翼 つばさ を戻 もど す。機体 きたい ごとに異 こと なる他 ほか 、速度 そくど 、高度 こうど 、姿勢 しせい にも影響 えいきょう される。
^ FBWに限 かぎ らず、動 どう 翼 つばさ をアクチュエータ で作動 さどう させる動力 どうりょく 操作 そうさ 装置 そうち を装備 そうび する航空機 こうくうき には必 かなら ず操作 そうさ 感覚 かんかく 装置 そうち が装備 そうび される。
^ 実験 じっけん 用 よう 航空機 こうくうき | 飛行 ひこう 試験 しけん 設備 せつび - JAXA
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