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オートパイロット

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボーイング747-200のオートパイロットコントロールパネル

オートパイロット英語えいご: autopilot)あるいは自動じどう操縦そうじゅう(じどうそうじゅう)とは、ものを、ひとによってではなく、機械きかい装置そうちにより自動じどうてき操縦そうじゅうする装置そうちシステム名称めいしょうである。

概要がいよう

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もの自動じどう操縦そうじゅうする装置そうち・システムがオートパイロットである。もの進行しんこう方向ほうこう速度そくどなどを、ひとわって、機械きかい制御せいぎょする。オートパイロットとばれるシステムは旅客機りょかくきはじめとした航空機こうくうきとくによく導入どうにゅうされているほか船舶せんぱくにも導入どうにゅうされている。

航空機こうくうき

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オートパイロットは旅客機りょかくきをはじめとした航空機こうくうき導入どうにゅうされており[1]現代げんだい航空機こうくうき操縦そうじゅうシステムのうえでは、離陸りりくすることは人間にんげんパイロット)がかかわることが必要ひつようでありオートパイロットではできないが[2]離陸りりく安全あんぜん高度こうどたっしたのちに、つぎ空港くうこうかうまでの巡航じゅんこうアプローチ空港くうこうへの進入しんにゅう)・着陸ちゃくりくなど、ほとんどの段階だんかいもちいることができる自動じどう操縦そうじゅうシステムが用意よういされている。作動さどう専用せんようのスイッチでおこなうほか、解除かいじょ操縦そうじゅう操作そうさするだけで可能かのう仕組しくみになっているものが大半たいはんである。

これらは、慣性かんせい誘導ゆうどう装置そうち外部がいぶのマーカー(目印めじるしとなる電波でんぱ発信はっしん)などから目的もくてきなどにたいする自身じしん相対そうたい位置いち算出さんしゅつし、予定よてい移動いどう経路けいろとの誤差ごさ自動的じどうてき補正ほせいするものなどである。単純たんじゅんなものでは、所定しょてい方向ほうこう方角ほうがく)と高度こうどのみを維持いじし、パイロットの負担ふたん軽減けいげんさせるなどしている。高度こうどなものでは、FMS(飛行ひこう管理かんり装置そうち)に入力にゅうりょくされた飛行ひこう計画けいかくしたがった方角ほうがく高度こうど自動的じどうてき操作そうさ可能かのうであるだけでなく、推力すいりょく速度そくど)の調整ちょうせいおこなわれる。オートパイロットによる推力すいりょく調整ちょうせい機構きこうオートスロットル (en:Autothrottle) とばれる[注釈ちゅうしゃく 1]現代げんだい航空こうくう機関きかんはいした2人ふたり乗務じょうむコックピットでは、問題もんだい発生はっせいにはオートパイロットに操縦そうじゅうまかせて、パイロットが問題もんだい解決かいけつにあたるのが基本きほんとなっている。

補助ほじょてき機能きのうとしてセンサーからの情報じょうほうもとトリム最適さいてきたもつオートトリム、離陸りりく巡航じゅんこう着陸ちゃくりく必要ひつようとなる定型ていけい作業さぎょうフラップ調整ちょうせいなど)をモード切替きりかえにより実現じつげん、「TO/GAスイッチ」 (Takeoff/Go-around switch) をしただけで離陸りりく着陸ちゃくりくふくぎょう必要ひつようなスロットルを最適さいてきげる機能きのうがあり、これらを機体きたい制御せいぎょシステムに統合とうごうすることで、操縦そうじゅう負担ふたんおおきく軽減けいげんされた。

機体きたい飛行ひこう特性とくせい補正ほせいするためにも利用りようされており、ぜんつばさB-2垂直すいちょく水平すいへい尾翼びよくいためつねにオートパイロットで補正ほせいすることで飛行ひこう可能かのうとなった。このようなシステムを手動しゅどう操縦そうじゅうにも使つかえるようにするため、オートパイロットから独立どくりつさせている機体きたいもある。ボーイング737MAXではむかかくおおきいときにピッチアップ方向ほうこうかう特性とくせいがあるため、手動しゅどう操縦そうじゅう一定いってい条件じょうけんはいると水平すいへい安定あんていばん機首きしゅ方向ほうこうにする操縦そうじゅう特性とくせい補助ほじょシステム英語えいごばん(MCAS)が搭載とうさいされている。

航空機こうくうきのオートパイロットの自律じりつシステムは、方位ほうい磁石じしゃくのようなものからセンサジャイロコンパスといった自身じしんきや状態じょうたい周囲しゅうい状況じょうきょう判定はんていする機能きのうと、操縦そうじゅう装置そうちのコントロールをわせたものだが、さらにはGPS衛星えいせい電波でんぱをキャッチして自身じしん現在げんざい位置いち測定そくてい予定よてい経路けいろとの誤差ごさから、どのように移動いどうすればその誤差ごさ修正しゅうせいできるかを判断はんだんするものも登場とうじょうしている。前述ぜんじゅつ相対そうたい位置いち機構きこうあわせて、移動いどう経路けいろあらかじ入力にゅうりょくしておけば、複数ふくすう経路けいろ巡回じゅんかいしてくことも可能かのうである。ただ、同種どうしゅ機構きこう操作そうさミスないし作動さどう不良ふりょう[注釈ちゅうしゃく 2]から、大韓航空だいかんこうくう撃墜げきつい事件じけんのように悲劇ひげきてき事件じけん発展はってんしたケースもあり、こういった機器きき過信かしんにはえず警鐘けいしょうらされている。

航空機こうくうきのオートパイロットのうち、簡易かんいなものは、ただ所定しょてい条件下じょうけんかでのみ適切てきせつ機能きのうする性質せいしつのものであるため、積極せっきょくてきもちいられるのは状況じょうきょう安定あんていしている巡航じゅんこう進路しんろ誘導ゆうどうにおいてのみである。その一方いっぽうで、高度こうどなオートパイロット機能きのうゆうする航空機こうくうきもあり、航空機こうくうき運航うんこうのほとんどをオートパイロットにまかせることも可能かのうとなっている。ただし、離陸りりくだけは、2020ねん現在げんざいでも手動しゅどうおこなっている。着陸ちゃくりく自動じどう着陸ちゃくりくは、計器けいき着陸ちゃくりく装置そうち (ILS) をもちいて気象きしょう条件じょうけんパイロット資格しかくなどがととのった状況じょうきょうおこな[注釈ちゅうしゃく 3]

船舶せんぱく

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大型おおがた船舶せんぱく

大型おおがた船舶せんぱくでは、あらかじめ入力にゅうりょく設定せっていしておいた航路こうろ辿たどって船舶せんぱくすすませるオートパイロットが普及ふきゅうしている。船舶せんぱくのオートパイロットは、2023ねん時点じてんでは、周囲しゅうい障害しょうがいぶつ自動的じどうてき検知けんちしたり、船舶せんぱく船舶せんぱく進路しんろ交差こうさ衝突しょうとつきそうな状況じょうきょう察知さっちしてそれを自動的じどうてきける機能きのう搭載とうさいしていない。

接岸せつがん操船そうせんかんしても補助ほじょてきなシステムにとどまっている。なみ潮汐ちょうせき状況じょうきょう貨物かもつ積載せきさいりょうなどで反応はんのうことなるふね臨機応変りんきおうへん操作そうさする必要ひつようがあるためである。またタグボートによる支援しえんもあるためコストめんでオートパイロットを接岸せつがん使つかうメリットがすくなく、積極せっきょくてき開発かいはつおこなわれていないが、2021ねんれい3ねん)に商船しょうせん三井みついが、通常つうじょう営業えいぎょうおこな大型おおがたフェリーでの自動じどうはなれ着岸ちゃくがん実験じっけん世界せかいはじめて成功せいこうしている[3]

セーリングボート

セーリング・ボート(ヨット)のクルージングにおいてもオートパイロット装置そうちもちいられることはおおい。

セーリング・クルーザーようとしてはふうたいするふねきを一定いっていたもつように作用さようするウインドベーン(英語えいごばん)ばれる機械きかいしきオートパイロットがふるくから利用りようされている。またコンピュータがGPSのデータをもちいてふね針路しんろ変化へんか計算けいさんし、棒状ぼうじょう部分ぶぶん電動でんどうでたえずちぢみさせることでティラー・バー(かじぼう)を操作そうさするティラーパイロットもあり、針路しんろ数字すうじ指定していすることができる。

鉄道てつどう

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敷設ふせつされた軌道きどううえ走行そうこうすることから車両しゃりょうがわ制御せいぎょする項目こうもく事実じじつじょう速度そくどのみであり、技術ぎじゅつてき難易なんい比較的ひかくてきひくく、1970年代ねんだい以降いこう自動じどう列車れっしゃ運転うんてん装置そうち(ATO)による運行うんこう実現じつげんしている。 なお、「自動じどう運転うんてん市内しないてつ軌道きどう旅客りょかく輸送ゆそうシステム(IEC 62267(JIS E3802))」で定義ていぎしている自動じどう運転うんてんレベル(GoA (Grades of Automation))の比較ひかく以下いかひょうとお[4]

自動じどうレベル レベルにおける通称つうしょう 乗務じょうむ形態けいたい おも導入どうにゅうじょうきょう
GoA0(レベル0) 目視もくし運転うんてん(TOS) 運転うんてんおよ車掌しゃしょう乗務じょうむ 路面ろめん電車でんしゃ
GoA1(レベル1) 自動じどう運転うんてん(NTO) 踏切ふみきりとうのある一般いっぱんてき路線ろせんATS/ATC導入どうにゅうされている)
GoA2(レベル2) はん自動じどう運転うんてん(STO) 運転うんてん列車れっしゃ起動きどう・ドアあつかい・緊急きんきゅう停止ていし操作そうさ避難ひなん誘導ゆうどうおこな ATO導入どうにゅう路線ろせん
GoA2.5(レベル2.5) 添乗てんじょういん自動じどう運転うんてん(DTO) 前頭まえがしら運転うんてん以外いがい係員かかりいん緊急きんきゅう停止ていし操作そうさ避難ひなん誘導ゆうどうおこな JR九州きゅうしゅう香椎線かしいせん一部いちぶ列車れっしゃ[5]
GoA3(レベル3) 前頭まえがしら以外いがい乗務じょうむする係員かかりいん避難ひなん誘導ゆうどうおこな 舞浜まいはまリゾートライン
GoA4(レベル4) 自動じどう運転うんてん(UTO) 係員かかりいん乗務じょうむ しん交通こうつうシステム
  • 自動じどうレベルにおけるカッコない自動車じどうしゃにおける運転うんてんレベルで、鉄道てつどうにはレベル5(完全かんぜん自動じどう運転うんてん相当そうとうのシステムは存在そんざいしない。

自動車じどうしゃ

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自動じどう運転うんてん自動車じどうしゃは、現在げんざいでは一般いっぱんに、自動じどう運転うんてんしゃばれている。

なお、以前いぜんより存在そんざいするクルーズコントロール高速こうそく道路どうろとう一定いってい速度そくど走行そうこうするようにアクセルを制御せいぎょする機能きのう)や、自動車じどうしゃ先進せんしん機能きのう(ASV)としてのアダプティブクルーズコントロールなどの運転うんてん補助ほじょ機能きのうは、オートパイロットにはふくまれない。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 旅客機りょかくき構造こうぞう#オートスロットル参照さんしょう
  2. ^ どちらであったかの結論けつろんていないが
  3. ^ とくに、精度せいどたかILS CATIII悪天候あくてんこうでの着陸ちゃくりくにはかせない技術ぎじゅつであり、パイロットの補助ほじょ範疇はんちゅうえるものである。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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