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旅客機の構造 - Wikipedia コンテンツにスキップ

旅客機りょかくき構造こうぞう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

旅客機りょかくき構造こうぞう(りょかくきのこうぞう)では、旅客機りょかくき仕組しくみや構造こうぞうについて説明せつめいする。

旅客機りょかくき航空機こうくうきとしての一般いっぱんてき構造こうぞうそなえている。ほん項目こうもくでは航空機こうくうきとして共通きょうつうする部分ぶぶんについてはあまり解説かいせつしないで、旅客機りょかくきおおきな特徴とくちょうについて、ほん項目こうもくでは説明せつめいしている。

ボーイング747

強度きょうど部材ぶざい

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主要しゅよう構造こうぞうざいれい

旅客機りょかくき一般いっぱんてきやく20年間ねんかん、3 - 6まんかいほどの飛行ひこう経済けいざいてき安全あんぜん範囲はんいおこなえるようにつくられており、これを実現じつげんするためには余裕よゆうをみて6 - 12まんかい飛行ひこうえる強度きょうどもとめられる[ちゅう 1][ちゅう 2]基本きほんてき強度きょうど部材ぶざい軽量けいりょうアルミニウム合金ごうきんつくられているが、21世紀せいき現在げんざいでは金属きんぞくくらべて軽量けいりょう強度きょうどたか炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチック (CFRP) が、おも胴体どうたい主翼しゅよく構造こうぞうのぞけば採用さいようはじまっており、1982ねんどうつばさから採用さいよう順次じゅんじはじまり、1985ねんには垂直すいちょく尾翼びよく2006ねんには胴体どうたい部分ぶぶんまで採用さいようひろがっている。リージョナルジェットでは主翼しゅよくはしがわ使つかわれるものがある。 強度きょうど部材ぶざいには、引張ひっぱつよ圧縮あっしゅくつよさ、剪断つよさ、つよ、ねじれつよさなどの静的せいてきつよさのほかにも、クリープ強度きょうど[1]かえしにたいするつかつよさもそなえている必要ひつようがある[ちゅう 3][2]金属きんぞく材料ざいりょうなかでもアルミニウム中心ちゅうしんとする軽量けいりょう合金ごうきんかるくて強度きょうど比較的ひかくてきたかいので強度きょうど部材ぶざいとして多用たようされるが、金属きんぞく材料ざいりょう腐食ふしょく問題もんだいやひびれなどでの十分じゅうぶん強度きょうどたもてなくなることもある。このため、たとえまんいち一部いちぶ強度きょうど不足ふそくしてもそれが急速きゅうそく全体ぜんたい波及はきゅうしないように応力おうりょく分散ぶんさんはかられており、そういった不良ふりょう箇所かしょ定期ていきてき検査けんさによって発見はっけんされ修理しゅうりされることで安全あんぜんせいたもたれるようになっている[ちゅう 4]。GFRP、BFRP、CFRP、AFRPといった繊維せんい強化きょうか樹脂じゅし部分ぶぶんてき導入どうにゅうすすんでいる[3]旅客機りょかくき強度きょうど部材ぶざいもっと考慮こうりょされるのは軽量けいりょうであっても充分じゅうぶん強度きょうどそなえることであり、過去かこ教訓きょうくんから強度きょうど部材ぶざい一部いちぶがたとえ破壊はかいされ強度きょうどうしなっても、その破壊はかい進行しんこうすることでおおきな破壊はかいにつながらないように、フェイルセーフ構造こうぞうそなえた設計せっけいがなされることである[4][ちゅう 5][5]

胴体どうたい構造こうぞう

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旅客りょかく輸送ゆそう使用しようされた航空機こうくうき代表だいひょうてきな4しゅ機体きたい構造こうぞう
1. トラス構造こうぞう帆布ほぬの) 2. トラス構造こうぞうなみ板金ばんきんぞくばん) 3. モノコック構造こうぞう 4. セミモノコック構造こうぞう
ひだりからみぎすすむにしたがあたらしい。モノコック構造こうぞう小型こがた航空機こうくうき一部いちぶのぞいてあまり存在そんざいせず、近代きんだい以降いこうのほとんどの旅客機りょかくきにはみぎはしのセミモノコック構造こうぞう(Semi-monocoque structure、はんはりがら構造こうぞう)が採用さいようされている[ちゅう 6][ちゅう 7][5]

胴体どうたいにはセミモノコック構造こうぞう(Semi-monocoque structure、はんはりがら構造こうぞう)を採用さいようしている。セミモノコック構造こうぞうではスキン(Skin、そとばん)とフレーム(Frame、えんきょう、じょざい)、ストリンガー(Stringer、たてどおりざい[6]構成こうせいされ、スキンを15 - 25 cmほどの間隔かんかく内側うちがわからささえるストリンガーと、その内側うちがわからさらに50 - 55 cmほどのほぼ等間隔とうかんかくささえるフレームが、開口かいこうのぞ円筒えんとうじょう胴体どうたい全体ぜんたいはしっている。フレームとスキン、そしてストリンガのあいだは、シェアタイ(Shear Tie)とストラップ(Strap、おびばん)で結合けつごうする方法ほうほう主流しゅりゅうである。つばさなども同様どうようであるが、かく構造こうぞう部材ぶざい同士どうし結合けつごうはリベットと接着せっちゃくざい併用へいようによっておこなわれることがおおい。そとばん表面ひょうめんのリベットはさらあたまにすることで空気くうき抵抗ていこうらすがさらあな加工かこうによって疲労ひろうクラックの危険きけんせいす。もっともクラックのしょうじやすいリベット位置いちだけにまるあたまのものを使つかうこともある[ちゅう 8]主翼しゅよくとの接合せつごうにはバルクヘッド[7]はいされて荷重におもつが、あずかあつ維持いじする機体きたいでは先端せんたん後端こうたんはそれぞれ前部ぜんぶ圧力あつりょく隔壁かくへき後部こうぶ圧力あつりょく隔壁かくへきによってじられており、これら全体ぜんたい圧力あつりょく容器ようきとしての機能きのうになっている。円筒えんとうがた胴体どうたいでもドアやまどによってストリンガーがとおせない個所かしょがありこれらの上下じょうげのストリンガーはとく強力きょうりょくなロンジロン(Longeron、強力きょうりょくたてどおりざい)がもちいられる[8]あずかあつ維持いじ機首きしゅレドームとテールコーンなどののぞいて、床下ゆかした貨物かもつしつふく胴体どうたいのほぼ全体ぜんたいおこなわれるが、ぜんあししゅあし収納しゅうのうするそれぞれの格納かくのうしつそと気圧きあつおなじであり平板へいばんによって圧力あつりょく隔壁かくへき構成こうせいされている。後部こうぶ圧力あつりょく隔壁かくへきおおくの機体きたい球状きゅうじょうすことで構造こうぞう部材ぶざいりょうらしている[ちゅう 9]こうどうでも機首きしゅ断面だんめん形状けいじょう円形えんけいでないものは、あずかあつによるフレームへのきょくげモーメントがおおきくはたらくこと、まどという開口かいこうによる強度きょうど減少げんしょうおぎな必要ひつようがあることもあって、丈夫じょうぶなフレームがみじか間隔かんかく使用しようされている。 ぜんあししゅあしけられるフレームや主翼しゅよく尾翼びよくなどのぜんけた中央ちゅうおうけたこうけたがつながるフレームは、メイン・フレームとばれるふといものになっている。 あずかあつ部分ぶぶん上空じょうくうふくらむことを前提ぜんてい設計せっけいされており、機内きないゆかめんあずかあつ胴体どうたい左右さゆうにつないで固定こていされている。上昇じょうしょうとも機体きたい断面だんめんはいびつな8のがたになるため、ゆかめん引張ひっぱちから圧縮あっしゅくりょくたいしてつよくするとともにゆかめんとののフレームなどのがりにも対応たいおうできるようになっている[2]胴体どうたい中央ちゅうおう機体きたいきょくモーメントもっとかるにもかかわらずしゅあし開口かいこうおおきくひらくため、中央ちゅうおうつばさしたうしろにはバルクヘッドとつながったはこじょうのキールビームがはいされて前後ぜんごじく方向ほうこうへの圧縮あっしゅく荷重かじゅうっている。 ゆかはフロアビームとシートトラック、フロアパネルによって構成こうせいされ、フロアビームがフレームに結合けつごうされている。ほぼ50 cmごとで左右さゆう方向ほうこうはいされるフロアビームが、ゆかるすべてぶつ上下じょうげ方向ほうこう荷重かじゅうともあずかあつによる引張ひっぱちからっている。ゆかもの前後ぜんご方向ほうこうちからはフロアビームではなく、シートトラックとフロアパネルを経由けいゆしてゆか左右さゆうにあるフロアサイド・ウェブ、またはフロアサイド・トラスにつたえられ、胴体どうたいがいいたささえられる。フロアサイド・ウェブやフロアサイド・トラスには客室きゃくしつ床下ゆかした空間くうかんむす多数たすうあなひらいており、機内きない空調くうちょう吸込すいここうとなるとともにまんいちあずかあつうしなわれ急減きゅうげんあつとなる事態じたいでも、上下じょうげ空間くうかん圧力あつりょくひとしくすることで床板とこいた過剰かじょう変形へんけいりょくからないようにしており、さらに急激きゅうげき減圧げんあつではゆか一部いちぶひらくようになっている[ちゅう 10]床板とこいたはフロアビームにボルトで固定こていされることが一般いっぱんてきであり、ビームのあなには機体きたい前後ぜんこう縦断じゅうだんする各種かくしゅのコントロール・ケーブルるいとおされていることがおおい。フロアパネル(床板とこいた)には金属きんぞくばん合板ごうはんもあったが、かるくて丈夫じょうぶなハニカム構造こうぞうわっている。ただし、ハニカム構造こうぞうはハイヒールや荷物にもつかくによる損傷そんしょうよわいため、かるいながら局部きょくぶてき荷重かじゅうにも丈夫じょうぶ材料ざいりょうもとめられており、樹脂じゅし材料ざいりょうふくごうざい使用しようすすんでいる[2]胴体どうたいがいいた内側うちがわはインシュレーション・ブランケットとばれるグラスウールなどの断熱だんねつざいによって機内きない保温ほおん外部がいぶからの騒音そうおん吸収きゅうしゅうするようになっており、さらに内側うちがわ強度きょうどたない内装ないそうパネルがフレームにわせてけられることで、合計ごうけい10 - 15 cmほどのあつみのかべ構成こうせいしている。 まどやドアといった胴体どうたいがいいた開口かいこうは、構造こうぞう強度きょうど低下ていかするため可能かのうかぎけられちいさくされる。開口かいこう形状けいじょうは、鋭利えいりかくには応力おうりょく集中しゅうちゅうするためにまるつくられ、その周囲しゅうい補強ほきょうざいによってえんられて強度きょうどおぎなわれる。

乗客じょうきゃく貨物かもつコンテナなどの機内きない使用しようするがわからすれば胴体どうたい断面だんめん形状けいじょう四角しかくほういが、気圧きあつひく高空こうくう飛行ひこうするためのたいあつせいかる構造こうぞう実現じつげんするには円筒えんとうがた胴体どうたいけられない。旅客りょかく航空こうくう運賃うんちんおも収入しゅうにゅうげんである航空こうくう会社かいしゃ運航うんこうする旅客機りょかくき機体きたい設計せっけいでは、搭乗とうじょう可能かのう乗客じょうきゃくすう最大さいだい優先ゆうせんされ、客室きゃくしつ座席ざせき円形えんけい胴体どうたいないもっと幅広はばひろ中央ちゅうおう配置はいちされている。客室きゃくしつ床下ゆかした空間くうかんしょうじるので貨物かもつコンテナを搭載とうさいすることで有効ゆうこう活用かつようしている。2かい客室きゃくしつ部分ぶぶんたない、またはほとんどたないこうどうでは、客室きゃくしつよりうわそらあいだ空調くうちょうるい乗務じょうむいん休憩きゅうけいしつめる程度ていどでそれほど活用かつようされていない。また、全長ぜんちょうわたって2かいせきそなえる最新さいしん機体きたいでは胴体どうたい断面だんめん形状けいじょう円形えんけいよりかなり縦長たてながになってはいるが円形えんけいであることにわりはなく、貨物かもつコンテナよう搭載とうさい空間くうかん幅広はばひろになるためあらたにおおきなコンテナを使つかわないと無駄むだおおきくなる[4]

つばさ構造こうぞう

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主翼しゅよく

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エアバス A380
フラップをひろげてさらに巨大きょだいになった主翼しゅよくと、その基部きぶ機体きたい全長ぜんちょう半分はんぶん以上いじょうものながさのおおきなフィレットがあるのがよくわかる。また、胴体どうたい中央ちゅうおう底部ていぶ中央ちゅうおうつばさによってたいらになっているのもれる。
ボーイング 777の主翼しゅよく構造こうぞう
1.ぜんけた 2.こうけた
つばさけた(スパー、ビーム)や小骨こぼね(リブ)、たてどおりざい(ストリンガ)によってインテグラル・タンク構成こうせいされている。中央ちゅうおうつばさ部分ぶぶんつばさ構造こうぞう連接れんせつされており、中央ちゅうおうつばさうしろにしゅあし格納かくのうされる。

旅客りょかく輸送ゆそうでの経済けいざいせい利便りべんせい考慮こうりょして設計せっけいされた大型おおがた旅客機りょかくきは、ほとんどの機種きしゅていつばさで5-7ほどのすこ上反かみたんかくのついたつよ後退こうたいつばさでありあつみのある先細さきほそつばさである[ちゅう 11][9]胴体どうたいとの結合けつごうにはつばさめん不連続ふれんぞくせい起因きいんするうず発生はっせいおさえるために[ちゅう 12][10]、フィレット (Fillet) とばれるいたじょう整流せいりゅうばんそなわり、結合けつごう形状けいじょうなめらかにつないでいる[ちゅう 13]こう高度こうどでの音速おんそく飛行ひこう良好りょうこうそらりょく特性とくせいながら同時どうじ地上ちじょうでの離着陸りちゃくりくには十分じゅうぶん余裕よゆうって低速ていそくでも安定あんていした揚力ようりょくるために、多様たよう小型こがたつばさ内蔵ないぞうされている。つばさ前後ぜんごにはフラップやスラットといったこう揚力ようりょく装置そうちや、操縦そうじゅうかじめんとしてのエルロンや、揚力ようりょく削減さくげん操舵そうだ補助ほじょとしてスポイラーがそなわっている[ちゅう 14]機体きたいそとばんはアルミニウム合金ごうきんつくられることがおおく、主翼しゅよくとく上下じょうげ方向ほうこうへの変形へんけいりょうおおきく設計せっけいされていて、上側うわがわそとばんちぢみやすくしたがわそとばんびやすいようにできている。

主翼しゅよく胴体どうたい部分ぶぶん接合せつごうする構造こうぞう一般いっぱんてき旅客機りょかくき共通きょうつうするもっと特徴とくちょうてき部分ぶぶんであり、「中央ちゅうおうつばさ」ともばれる左右さゆうつばさ構造こうぞうがそのまま中央ちゅうおうまでびてつながり、おおきなはこじょう強度きょうど部材ぶざい構成こうせいしている[ちゅう 15]主翼しゅよく付近ふきんそとばん胴体どうたい主翼しゅよくからけるきょくげモーメントや剪断りょくけるためにあつみがされている。この中央ちゅうおうつばさ部分ぶぶん貨物かもつれに不便ふべんなために燃料ねんりょうタンクなどにてられており、こうつばさ配置はいちにされて円筒えんとうがた胴体どうたい全体ぜんたい貨物かもつしつ使用しようされるおおくの軍用ぐんよう輸送ゆそうおおきくことなるてんである。

大型おおがた旅客機りょかくき主翼しゅよくないには、ぜんけたこうけたという2ほんや、おおいものでは中央ちゅうおうけたくわわり3ほんものふといたじょう構造こうぞう部材ぶざいつばさはしから根元ねもとまでび、直角ちょっかくにリブ(小骨こぼね)がほぼ前後ぜんご方向ほうこうはしってつばさ上下じょうげそとばんささえている。2-3ほんけたざい平行へいこうそとばん裏面りめんささえるほそいストリンガー(たてどおりざい)が多数たすうはしるマルチストリンガー構造こうぞうになっているが、21世紀せいき現在げんざいでは新造しんぞうされるほとんどの大型おおがた旅客機りょかくきつばさそとばんとストリンガーはあつみのあるいたからNC加工かこう化学かがくてき溶解ようかい(ケミカルミーリング)によってけずして一体いったい形成けいせいすることで接合せつごう排除はいじょし、機械きかいてき強度きょうどたかめている。

つばさない燃料ねんりょうタンクとして使用しようする部分ぶぶんでは製造せいぞう運用うんようちゅう検査けんさつばさないよりシール作業さぎょうやその点検てんけん作業さぎょう必要ひつようなため、ひと通過つうかできる開口かいこうとして円形えんけいのマンホールを上下じょうげめんもうけている[2]

おおくの大型おおがた旅客機りょかくきでは、ウイングマウント形式けいしきばれる、主翼しゅよく下面かめん前方ぜんぽうパイロンによってジェットエンジンるす方式ほうしき採用さいようされている。騒音そうおんげんであるエンジンは後方こうほうけるリアマウント形式けいしきのほうが客席きゃくせきしずかにできる一方いっぽうで、重心じゅうしん後方こうほうってしまい、また主翼しゅよくとの距離きょりはなれると胴体どうたいきょく荷重かじゅうして構造こうぞう部材ぶざいふとおもくなり、水平すいへい尾翼びよく位置いちもエンジンりゅうける必要ひつようがあるために都合つごうわるくなる。エンジンを主翼しゅよくのやや前方ぜんぽうければ、揚力ようりょくのすぐ前方ぜんぽうささえられるため主翼しゅよくげモーメントを低減ていげんできるほか、重心じゅうしん前方ぜんぽうになって直進ちょくしんせい寄与きよできる。またエンジンをたがいにはなしてけることで火災かさいどき安全あんぜんせい地上ちじょうでの整備せいびせいくなる[ちゅう 16]ちいさな機体きたいでは、客室きゃくしつのすぐよこにエンジンが位置いちする弊害へいがいほう無視むしできないため、客席きゃくせきすうが100せき以下いか中小ちゅうしょうがた旅客機りょかくきビジネスジェットおおくがリアマウント形式けいしき採用さいようしている。エンジンが後方こうほうけられれば主翼しゅよく構造こうぞう単純たんじゅんになり、つばさ全面ぜんめん必要ひつようなだけ補助ほじょてきかじめん配置はいちできる。現在げんざい大型おおがた旅客機りょかくきのエンジン・ナセルの位置いちでは、エンジンの大型おおがたによって離着陸りちゃくりく地面じめんとの接触せっしょく事故じこ危険きけんせいしていることや、4はつうちつばさはしがわのいずれか、または2はつうち片側かたがわ停止ていしした場合ばあいには左右さゆう推力すいりょく均衡きんこう機体きたい中央ちゅうおうからとおぶんだけおおきくはたらくので、そのてんでも不利ふりである[11][ちゅう 17][ちゅう 18]主翼しゅよく先端せんたん後部こうぶ燃料ねんりょう投棄とうきこうそなわることがおおい。

水平すいへい尾翼びよく

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水平すいへい安定あんていばんともばれる水平すいへい尾翼びよくは、乗客じょうきゃく貨物かもつ搭乗とうじょう/搭載とうさい位置いちによってわる重心じゅうしん変化へんか余裕よゆうをもって対応たいおうするためや[ちゅう 19]音速おんそくちかくではちいさなつばさめんかじかくおおきくると音速おんそくえた領域りょういきまれて衝撃波しょうげきは発生はっせいし、かじきが不安定ふあんていになるため、昇降しょうこうかじトリムタブだけではなく、水平すいへい尾翼びよく全体ぜんたいかくわるぜんゆうどうしきになっており、これは調整ちょうせいしき安定あんていばんばれる。大型おおがた旅客機りょかくき水平すいへい安定あんていばん構造こうぞうには2つの形式けいしき存在そんざいし、1つは主翼しゅよく中央ちゅうおうつばさ相当そうとうする構造こうぞう部材ぶざい存在そんざいし、これはキャリスルやセンターセクションとばれ、左右さゆう水平すいへい尾翼びよく機体きたいないでつないでいる。もう1つは左右さゆう水平すいへい尾翼びよくのトルクボックスを機体きたい内部ないぶまで延長えんちょうして中心ちゅうしん線上せんじょう結合けつごうしたものである。調整ちょうせいしき安定あんていばんではこの全体ぜんたいぜんけた部分ぶぶん中心ちゅうしんかく油圧ゆあつ変更へんこうできる。水平すいへい尾翼びよくもわずかに上反かみたんかくいているが、主翼しゅよくのちりゅう影響えいきょうけるためと、地上ちじょうでの機体きたいこしとき左右さゆうすこかたむいても接触せっしょくしないためである。

垂直すいちょく尾翼びよく

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フライ・バイ・ワイヤのようなつばさめん自動じどう制御せいぎょ装置そうち採用さいようによって、水平すいへい尾翼びよく垂直すいちょく尾翼びよく面積めんせきすこ縮小しゅくしょうできたとされている。コンピュータの援用えんようによる機体きたい操縦そうじゅうでは、電子でんし機器ききるい正常せいじょう機能きのうしているあいだはそれらが効果こうかてきはたらいてちいさなつばさめんでも十分じゅうぶん効果こうか発揮はっきするとかんがえられているが、機能きのう不全ふぜんのような緊急きんきゅうにも十分じゅうぶんそらりょくてき制御せいぎょおこなえるように、あまり過度かど縮小しゅくしょうおこなえず、とく垂直すいちょく尾翼びよく複数ふくすうのエンジンをそなえウイングマウント方式ほうしき大型おおがた旅客機りょかくきではつばさはしのエンジン停止ていしおおきなかいあたまモーメントをしてなお、そらりょく制御せいぎょおこなえるだけの余力よりょくもとめられるために、垂直すいちょく方向ほうこうかじ下部かぶを2だんれにして操舵そうだ性能せいのう工夫くふうおこな機体きたいもある。

可動かどうつばさ

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操縦そうじゅうつばさ操舵そうだつばさしゅ操縦そうじゅうつばさともばれる補助ほじょつばさ(Ailron)、昇降しょうこうかじ(Elevator)、方向ほうこうかじ(Rudder)は、そとばんとハニカムざいもちいたサンドイッチ構造こうぞうのものがおおく、ぜん金属きんぞくせいからふくごうざい利用りようしたものにうつりつつある。左右さゆう昇降しょうこうかじ中央ちゅうおうでトルクチューブによって結合けつごうされている。とく補助ほじょつばさかじかくえたり保持ほじするためのちからちいさくてもむようにバランスパネルをそなえる。これら3しゅしゅ操縦そうじゅうつばさには、ぜんえんおもりとなるマスバランスをれてフラッター防止ぼうししている。また、故障こしょう影響えいきょう最小限さいしょうげんおさえるフェイルセーフせい考慮こうりょして、それぞれのどうつばさを2つに分割ぶんかつし、油圧ゆあつ系統けいとうなども分離ぶんりしていることがおおい。

補助ほじょ操縦そうじゅうつばさめんともばれるスポイラー (Spoiler)、フラップ (Flap)、スラット (Slat)、タブ (Tab) も、構造こうぞうてきには補助ほじょつばさ昇降しょうこうかじ方向ほうこうかじ同様どうようであり、ふくごうざい利用りようすすんでいる。トリムタブは、まんいちタブのロッドや金具かなぐ破損はそんしてもフラッタをこさないように、制御せいぎょジャッキを2じゅうにするかマスバランスをれることがもとめられている[4]

燃料ねんりょうタンク

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一般いっぱんてき燃料ねんりょうタンクの配置はいち
赤色あかいろ主翼しゅよく内部ないぶのインテグラル・タンク
青色あおいろ中央ちゅうおうつばさ内部ないぶのセンター・タンク

一般いっぱんてき旅客機りょかくき燃料ねんりょうタンクを主翼しゅよくないっている。大型おおがた旅客機りょかくきでは「インテグラル・タンク」とばれる、つばさ中央ちゅうおう構成こうせいするはこがた構造こうぞう部材ぶざいである。「トーション・ボックス」や「トルク・ボックス」ともばれることがある。部材ぶざい同士どうし接続せつぞくめんでは内側うちがわたい燃料ねんりょうせいシーラントをり、機体きたい表面ひょうめんがわにはたいせいシールざいることで処理しょりほどこ密閉みっぺいして、そのまま燃料ねんりょうタンクとして使用しようしている[ちゅう 20]主翼しゅよくないのインテグラル・タンクはおもなタンクとして片側かたがわそれぞれに2つほどのメインタンクとつばさはしがわに1つのリザーブタンクをつものがおおく、さいつばさはしには燃料ねんりょうダンプようのタンクをそなえる機体きたいおおい。また、中央ちゅうおうつばさないにセンター・タンクをつものも長距離ちょうきょり飛行ひこうする機体きたいでは一般いっぱんてきである[ちゅう 21][12][ちゅう 22]。センタータンクのような胴体どうたいない燃料ねんりょうタンクは壁面へきめんを2じゅうにして、たとえ漏洩ろうえいきても機体きたいないまらないよう設計せっけいされている。長距離ちょうきょり路線ろせんよう機体きたいでは主翼しゅよくだけでなく水平すいへい尾翼びよくなかにもインテグラル・タンクやスタビタンクともばれる燃料ねんりょうタンクをつものがあり、調整ちょうせいしき安定あんていばんでは機体きたいない水平すいへい尾翼びよく同士どうしむす中央ちゅうおう部分ぶぶんもタンクになっている。タンクあいだ配管はいかんによって接続せつぞくされ、ポンプによって燃料ねんりょう移送いそうすることで重心じゅうしん位置いち調整ちょうせいやエンジン停止ていし燃料ねんりょう配分はいぶん変更へんこうおこなえるようになっている[13]

あしとタイヤの配置はいちれい

あし降着こうちゃく装置そうち着陸ちゃくりく装置そうちともばれ[ちゅう 23]旅客機りょかくきでは格納かくのうしきになっている。旅客機りょかくきでの一般いっぱんてきあしは、緩衝かんしょう装置そうちきのあしばしら機構きこうみさおこう機構きこうからなるあしみと、タイヤとホイール、ブレーキから構成こうせいされる。過去かこにはしき存在そんざいしたが、20世紀せいきまつにはすべて前輪ぜんりんしきとなっている。航空機こうくうきなかでもだい重量じゅうりょう機体きたいである大型おおがた旅客機りょかくきではしゅあし本数ほんすうとそれにそなわるタイヤのかず比較的ひかくてきおおく、4ほんしゅあしに20りん機体きたいもある[ちゅう 24]ぜんあしには、格納かくのう自動的じどうてき正面しょうめんくようにカムがけられている。ジェット旅客機りょかくきしゅあしでは1ほんあしばしら (Strut) ごとにボギー (Bogie) をかいして4ほんのタイヤをそなえる車輪しゃりんしきものがおおいが、おおきな機体きたいささえる必要ひつようがある機種きしゅでは6ほんもタイヤをそなえるものがある[ちゅう 25][14]ぜんあししゅあし緩衝かんしょう支柱しちゅうばれるふとはがねせい緩衝かんしょう装置そうち機体きたいとタイヤのあいだむすんでいる。緩衝かんしょう装置そうち一般いっぱんてき空気くうきあぶらもちいたオレオしき採用さいようされている。緩衝かんしょう支柱しちゅうにはジャッキアップようのジャッキ・ポイント (Jacking Point) と牽引けんいんようのトウ・ラグ (Tow Lug) がけられることがおおい。ぜんあしには油圧ゆあつしきのシミー・ダンパ (Shimmy Damper) がけられ、無用むよう左右さゆう方向ほうこうのぶれを抑制よくせいしている。格納庫かくのうこないのようなせま空間くうかんない移動いどうする場合ばあいには、ぜんあしのロッキング・はずしピン (Locking or Disconnect Pin) をはずすことでぜんあし緩衝かんしょう支柱しちゅうピストンを360まわすことができる。地上ちじょうあし格納かくのう方向ほうこうがることがないように、トルク・リンクがちぢんでいる状態じょうたいでスイッチがはいる「安全あんぜんスイッチ」がそなわっており、安全あんぜんスイッチがはいっていると、あし操作そうさハンドルは格納かくのう位置いちうごかないようにロックされる。またこのほかにもあし格納かくのう方向ほうこうれないように物理ぶつりてきにピンやクリップをすことで安全あんぜん確保かくほおこなわれており、この赤色あかいろのタグのいたピンやクリップによってあしをロックする方法ほうほうは「グランド・ロック」とばれる。

離陸りりくよりも着陸ちゃくりくほう衝撃しょうげきけやすいために設計せっけい荷重におもでは着陸ちゃくりくほうおおきく見積みつもられている。それでも、離陸りりく可能かのう限界げんかい重量じゅうりょうちかくまで燃料ねんりょう貨物かもつなどを搭載とうさいした旅客機りょかくきが、離陸りりくした直後ちょくご機体きたい不調ふちょうといったなんらかの事情じじょう着陸ちゃくりくしなければならない場合ばあいで、時間じかん余裕よゆうがあれば、海上かいじょうなどで燃料ねんりょう投棄とうきこうから過剰かじょうぶん燃料ねんりょう放出ほうしゅつしてから着陸ちゃくりくする。

あしとその格納かくのうドアは油圧ゆあつ、または電動でんどうモーターによって格納かくのう展開てんかいされる。油圧ゆあつ系統けいとう電動でんどうモーターが機能きのうしない場合ばあいそなえて、これらのはたらきによる格納かくのうロックをはずすことで、自重じちょう展開てんかいできるように設計せっけいされている。操縦そうじゅうせきではあし位置いち表示ひょうじするあし位置いち指示しじそなわっており、これであし状態じょうたい確認かくにんする。さらにあしのいずれか1ほんでもダウンロックされていない状態じょうたいでエンジン出力しゅつりょくをアイドルにすると、あし警報けいほう装置そうち警報けいほうおんらせる[13]離陸りりく滑走かっそう途中とちゅう中止ちゅうししたときにはブレーキが非常ひじょう高温こうおんとなるため、その離陸りりくした場合ばあい空中くうちゅうでの格納かくのうをしばらくたなければならない。あやまって高温こうおんあし格納かくのうしタイヤを破裂はれつさせる事故じこふせぐために、あし格納かくのうしつには過熱かねつ警報けいほう装置そうちそなわっている[2]

主翼しゅよくない基部きぶしゅあしまんいち破損はそんした場合ばあいでも、つばさない燃料ねんりょうタンクにその変形へんけいりょくおよんで漏洩ろうえい破壊はかいおこりこないように、あしがわだけが破壊はかいされるように設計せっけいされている[2]

まど客席きゃくせき位置いちにほぼ1つずつけられているため、客室きゃくしつ圧迫あっぱくかんげんじて、すべての窓側まどがわせきからは機外きがい景色けしきられるようになっている。 客室きゃくしつがわまどは、外側そとがわからストレッチ・アクリルばん[ちゅう 26]ストレッチのアクリルばん、それにポリカーボネートばんという合計ごうけい3まい、あいだをけてシールざいともそとばんまどわくめられており[2]外側そとがわの2まいのいずれか1まいうしなわれても、のこる1まいだけで客室きゃくしつ最大さいだいあずかあつ荷重かじゅう空気くうきりょく温度おんど効果こうかくわえた荷重におもえる強度きょうどがあり、内側うちがわうすい1まい保護ほごようである。 操縦そうじゅうしつ正面しょうめんまど基本きほんてきあついガラスとビニールが複数ふくすう積層せきそうされていて、強度きょうど維持いじとも表面ひょうめんきずがたくして良好りょうこう視界しかい確保かくほしており、くもめとして内部ないぶ電熱でんねつそう電流でんりゅうながして加熱かねつするものや室内しつないがわから温風おんぷうきかけるものがある。操縦そうじゅうしつ側面そくめんまどはガラスせいほかにアクリルせいのものもあり、非常ひじょう脱出だっしゅつこうねてひらくようになっている機種きしゅもある[ちゅう 27]操縦そうじゅうしつ正面しょうめんまどはバードストライクなどにもえる強度きょうど要求ようきゅうされるため、とくあつつくられ念入ねんいりなテストで信頼しんらいせい確保かくほされている。一般いっぱんてきには操縦そうじゅうせき前面ぜんめんまどにワイパーがそなわっており、空気くうきカーテンによるジェット・ブラストやレイン・リペレントとばれるばち水薬みずぐすりざい外面がいめんからきつけるものもある[13][5][9][ちゅう 28]

1970ねん12月29にち札幌さっぽろはつ羽田はねだきの全日空ぜんにっくう(ボーイング727)の泥酔でいすいした乗客じょうきゃくが、客室きゃくしつ内側うちがわまど素手すで破壊はかいする事件じけん発生はっせいした。航空機こうくうき運行うんこうには支障ししょうはなかったが後日ごじつ警察けいさつ航空こうくうほう違反いはん器物きぶつ損壊そんかい容疑ようぎ捜査そうさおこなった。まど弁償べんしょうだいは15000えんとされ、った乗客じょうきゃく支払しはらった[15]

旅客機りょかくきよう客室きゃくしつドアのれい
ひだり: 1.ドアの上下じょうげはしたたむ 2.く 3.そとひら
なか: 1.すこしずらしてわせをはずす 2.そとひら
みぎ: 一度いちど手前てまえいてからげる

ドアは、乗員じょういん乗客じょうきゃくよう貨物かもつようがあるが、いずれも高空こうくう飛行ひこうする機体きたいではあずかあつ維持いじするために機内きない空気くうきがさず気密きみつたもたれるようになっている[ちゅう 29]客室きゃくしつのドアは非常時ひじょうじには非常ひじょう脱出だっしゅつこう[ちゅう 30]となるため乗客じょうきゃく殺到さっとうしても容易よういひらくほうがい。うちひらきドアはドアをじると内圧ないあつ機体きたい固定こてい構造こうぞうけられて安定あんていするプラグ形状けいじょう採用さいようできるのでロック機構きこうたいする信頼しんらいせいはそれほどもとめられないが、機内きないがわ空間くうかんもとめられ非常ひじょう脱出だっしゅつさまたげになる。そとびらきでは機内きないがわ余分よぶん空間くうかんもとめられず非常ひじょう脱出だっしゅつさまたげにもならないが、ロック機構きこう故障こしょう誤操作ごそうさがあるとドアがひらいてしまうという危険きけんがあるので、ロック機構きこうたか信頼しんらいせいもとめられる。そとびらきドアであっても、ドアの左右さゆうえんだけしっかりしたプラグ形状けいじょう機体きたい固定こていするようにしておき、上下じょうげえんりたたむ形状けいじょうとすることで、一度いちど内側うちがわすこいてからドアをすこ回転かいてんさせてドア開口かいこうから機体きたいそとすことでひらくものがある。同様どうようそとびらきドアでドアの左右さゆうえんたがちがいのりをけることでプラグとおなじように機体きたい固定こていできるようにしておき、ひらときにはすこげてりがドアわくあたらないようにしてからそとひら形式けいしきもある。また、天井てんじょう余裕よゆうのある広幅ひろはばで2かいたない機体きたいでは、うちひらきドアでも、内側うちがわすこいてからうえにドア全体ぜんたいをスライドさせることでひらくものがある。乗降じょうこう空港くうこう施設しせつ支援しえんけられない路線ろせん使用しようされる機体きたいでは、ドアの内側うちがわりたたみしきタラップエアステア)をそなえるものもある。主翼しゅよくじょうなどに非常ひじょう脱出だっしゅつ専用せんよう通常つうじょう乗降じょうこう使用しようされない非常口ひじょうぐちとびらそなえた機種きしゅがある[ちゅう 31]

A320の貨物かもつようドア
開口かいこう部下ぶかえんに6のラッチ金具かなぐえる。これらによってドア全体ぜんたい胴体どうたいがわのフレームと連接れんせつされることであずかあつからけるおおきなちからささえられる。

床下ゆかした貨物かもつしつ貨物かもつようドアは上方かみがたヒンジのそとびらきドアがおお[4]大型おおがた旅客機りょかくきではおおくが右側みぎがわ前方ぜんぽう後方こうほうに1つずつそなわっている[5]貨物かもつようドアは貨物かもつコンテナをとお必要ひつようがあるため乗員じょういん乗客じょうきゃくようのドアよりも四角形しかっけいおおきく開口かいこうする必要ひつようがある。機体きたいあずかあつたか圧力あつりょくえられるひろ面積めんせきのドアを乗員じょういん乗客じょうきゃくようドアとおなよこびらきの構造こうぞうつくるとたか剛性ごうせいもとめられ重量じゅうりょうすため、おおくの機体きたいでは、うええんにヒンジをもうけてしもえん多数たすうのフックがたラッチを機体きたいがわ一般いっぱんフレームにけることで、じた状態じょうたいでは胴体どうたいがわ同様どうようにドア全体ぜんたいあずかあつける構造こうぞうとなる[2]客室きゃくしつようドアの開閉かいへいは、電動でんどう油圧ゆあつもちいたものが登場とうじょうしており、緊急きんきゅうには手動しゅどう圧縮あっしゅく空気くうきによって緊急きんきゅうドア操作そうさおこなえるようになっている[ちゅう 32]ひと貨物かもつのためのおおきなドアのほかにも、点検てんけん電線でんせん・パイプなどの接続せつぞくようのドアが機体きたい各所かくしょそなわっており、とくあずかあつ区画くかくにある点検てんけんドアは圧力あつりょくえて確実かくじつにロックできるようにつくられ、センサーによってロック状態じょうたい確認かくにんされている[9]

耐火たいかせい材料ざいりょう

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耐火たいかせい材料ざいりょうは、だい一種いっしゅ耐火たいかせい材料ざいりょうだいしゅ耐火たいかせい材料ざいりょう自己じこ消火しょうかせい材料ざいりょう(15 cm/ぶん)、自己じこ消火しょうかせい材料ざいりょう(20 cm/ぶん)の4しゅ大別たいべつされる。発火はっかげんのぞけば危険きけん程度ていどには燃焼ねんしょうしないものとしてだい三種さんしゅ耐火たいかせい材料ざいりょう (Flame resistant material) という分類ぶんるいは2008ねん時点じてんでも規定きていふくまれているが、あらたにもうけられた自己じこ消火しょうかせい材料ざいりょう分類ぶんるい代替だいたいされつつある。従来じゅうらい規定きていでは存在そんざいしただいよんしゅ耐火たいかせい材料ざいりょう旅客機りょかくきでの使用しようみとめられていない。

  • だい一種いっしゅ耐火たいかせい材料ざいりょう (Fire proof material) :はがねどう程度ていどかそれ以上いじょうねつえる材料ざいりょうす。エンジンとAPUの防火ぼうかかべ防火ぼうかかべつらぬ換気かんきダクト、燃焼ねんしょう空気くうきダクト、エンジンしつ内部ないぶ制御せいぎょ系統けいとうとエンジン固定こてい、その重量じゅうりょう構造こうぞう使用しようされる
  • だいしゅ耐火たいかせい材料ざいりょう (Fire resistant material) :アルミニウム合金ごうきんどう程度ていどかそれ以上いじょうねつえる材料ざいりょうす。エンジン・カウリングとナセル、タオル・かみくずれなど
  • 自己じこ消火しょうかせい材料ざいりょう(15 cm/ぶん) : 乗務じょうむいんしつ客室きゃくしつ内部ないぶ
  • 自己じこ消火しょうかせい材料ざいりょう(20 cm/ぶん):ゆかめんおおい、織物おりもの座席ざせきクッション、など

[4]

設備せつび

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操縦そうじゅうしつ

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操縦そうじゅうしつ室内しつないすくなくともよこ方向ほうこうにはせま必要ひつようがある。操縦そうじゅうせき前方ぜんぽう視界しかい良好りょうこう確保かくほできるだけでなく、空中くうちゅう衝突しょうとつふせぐためにがわかたやある程度ていどななうしろまで視界しかいられることがたいそらせい基準きじゅんもとめられている。大型おおがたして胴体どうたいはばひろがった旅客機りょかくきでは、操縦そうじゅうせき機体きたい前部ぜんぶいただけでは左右さゆうまどはなれすぎるため、左右さゆう方向ほうこうなな後方こうほう視界しかいにくくなりこういった要求ようきゅうたせなくなった。2かいせき大型おおがた旅客機りょかくきでは、はばせまい2かい最前さいぜん操縦そうじゅうしつもうけることで良好りょうこう視界しかい確保かくほできるようになった[ちゅう 33]操縦そうじゅうせきでは良好りょうこう視界しかいられる視点してん位置いちまっているので、座席ざせき前後ぜんご上下じょうげうごくようにできており、ベルトでからだ固定こていできるようになっている。操縦そうじゅうしつにはゆかりたたまれた状態じょうたいでオブザーバーシートがそなえられており、げててることで着座ちゃくざ可能かのうになる[ちゅう 34]

操縦そうじゅうせきには減圧げんあつじょうきょうでも安全あんぜん操縦そうじゅうできるように酸素さんそマスクがそなえられている[ちゅう 35]

機体きたい年々ねんねん巨大きょだいになるが、操縦そうじゅうしつつねせまくグラスコックピットになっても操縦そうじゅうせき周辺しゅうへんにはとど範囲はんい多数たすう操作そうさばん配置はいちされている[16]

乗務じょうむいん休憩きゅうけいしつ

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大型おおがた旅客機りょかくきなかでも長距離ちょうきょり専用せんよう機体きたいでは、長時間ちょうじかん飛行ひこうわせて操縦そうじゅう客室きゃくしつ乗務じょうむいんたちが2くみ乗務じょうむして途中とちゅう交代こうたいしたり、休息きゅうそく睡眠すいみんをとったりするために、客室きゃくしつとはべつ座席ざせき簡易かんいベッドがそなえられた乗務じょうむいんよう休憩きゅうけいしつもうけられることがある[ちゅう 36]

客室きゃくしつ

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ボンバルディアCRJ700の客室きゃくしつ照明しょうめいにはLEDが採用さいようされている

大型おおがた旅客機りょかくきゆかめんにはシートトラックとばれる1インチごとにあないている金属きんぞくせいのレールがなんほん前後ぜんご方向ほうこうまれていて、よこにつながったすうせき客席きゃくせきごとにこのレールにはめまれてこうあしがわでロック・ピンによりそのあな前後ぜんご方向ほうこう固定こていされ、別途べっとコネクタによって娯楽ごらくよう機器きき接続せつぞくされる。ゆかめんにはなんもえせいカーペットがかれる。 乗客じょうきゃくよう座席ざせきにはシートベルトがそなわり、16 Gまでの加重かじゅうえる規定きてい[ちゅう 37]たしながらさらなる軽量けいりょうへの要求ようきゅうおうじるために、フレームもアルミニウムせいから炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチック (CFRP) にわりつつある。座席ざせきのアームレストには音楽おんがく照明しょうめい空調くうちょうなどのスイッチるい客室きゃくしつ乗務じょうむいんしボタンがそなわり、りたたみしきテーブルやビデオディスプレイがまれているものもある。座席ざせきめんにはこうせきようのポケットやテーブルがいており、ビデオディスプレイがまれているものもある。座席ざせき下部かぶ固体こたいあしやフットレストのほかに、乗客じょうきゃく手荷物てにもつゆかめんすべらないように座席ざせきからわくもうけられている。 客室きゃくしつ乗務じょうむいんよう座席ざせきにもシートベルトがそなわり、16 Gまでの加重かじゅうえる必要ひつようがある。客室きゃくしつ乗務じょうむいんよう座席ざせきおおくが、非常ひじょう脱出だっしゅつこうとなる出入口でいりぐちちかくにもうけられており、おりたたみしきになっている。これらの座席ざせき前向まえむきとうしきのものがあり、シートベルトも乗客じょうきゃくよう座席ざせき腰部ようぶだけであるのにたいして、かたのベルトも義務付ぎむづけられている。 客室きゃくしつ壁面へきめんはハードトリムとばれる硬質こうしつプラスチックせいであり、まどのシェードは内壁ないへきまれている。 オーバーヘッド・ビンとばれる天井てんじょう収納しゅうのうそなけられており、手荷物てにもつ収納しゅうのうできる。ピボットしき固定こていたなしきがある。オーバーヘッド・ビンの下面かめんなどに座席ざせきごとの照明しょうめい送風そうふうこうもうけられており、客室きゃくしつない減圧げんあつすれば自動的じどうてきあらわれるようになっている客席きゃくせきぶん酸素さんそマスクもこの部分ぶぶん格納かくのうされている。

娯楽ごらく番組ばんぐみ提供ていきょうシステム

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一般いっぱんてき旅客機りょかくきでは、音楽おんがく映画えいがといった客席きゃくせきけの娯楽ごらく提供ていきょうされる。機上きじょう提供ていきょうする番組ばんぐみすう増加ぞうかしたため、個別こべつチャンネルごとに電線でんせんをすべての客席きゃくせき配線はいせんしたのではおもくなりすぎて保守ほしゅ手間てま膨大ぼうだいになる。あらたな機体きたいでは同軸どうじくせんひかりファイバーといった少数しょうすうLANケーブルに信号しんごう多重たじゅうして客室きゃくしつない分配ぶんぱいし、かく座席ざせき復調ふくちょうするようにした「インフライトエンターテインメントシステム」(In-Flight Entertainment Syetem, IFE system) が採用さいようされている。娯楽ごらく番組ばんぐみ提供ていきょうシステムは機内きない案内あんないなどがめるようにつくられ、そのあいだ番組ばんぐみ一時いちじ停止ていしするようになっている[ちゅう 38][17]

客室きゃくしつない衛星えいせい通信つうしんシステム

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おおくの旅客機りょかくきではクレジットカードとう支払しはらいがおこなえる公衆こうしゅう電話でんわとしての衛星えいせい通信つうしんシステムが搭載とうさいされている[ちゅう 39][17]

ギャレー

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厨房ちゅうぼう意味いみするギャレー (Galley) には、ステンレスせいテーブルの上下じょうげ食事しょくじカート (Service cart) や飲料いんりょうコンテナ、おしぼりようオーブン、コーヒーメーカー、湯沸ゆわかし、ハイテンプオーブン、電子でんしレンジ、冷蔵庫れいぞうこなどが、ほとんど隙間すきまなく機能きのうてき配置はいちされている。国内線こくないせんのような短距離たんきょりよう機内きないレイアウトではギャレーは4ヶ所かしょほどであり、国際線こくさいせんのような長距離ちょうきょりようでは8ヶ所かしょほどが配置はいちされている。食事しょくじ地上ちじょう食料しょくりょうひん業者ぎょうしゃ段階だんかいから1人ひとりぶんずつトレーにけられ、すうじゅうにんぶんずつがカートのまま納入のうにゅうされて機内きない搭載とうさいされ、ギャレーないのテーブル収納しゅうのうされる。客室きゃくしつ乗務じょうむいんは、食事しょくじ提供ていきょうする20–30ふんまえ電源でんげんコードをカートに接続せつぞくしてスイッチをれる。カートない必要ひつよう部分ぶぶんのみがヒーターによって加熱かねつされ、やがてタイマーで加熱かねつ終了しゅうりょうしたカートからされ、そのまま通路つうろはこばれて座席ざせきいたままの乗客じょうきゃくもと各々おのおののトレーがはいしょくされる。地上ちじょうちゅうちゅうにこれらのカートやコンテナの交換こうかんによって迅速じんそく飲食いんしょくぶつろしが実現じつげんされ、機内きない専用せんようエレベータを少数しょうすう例外れいがいのぞけば、非常時ひじょうじ以外いがいではあまり使用しようしない客室きゃくしつドアからろしすることが一般いっぱんてきであり、ドア付近ふきんには強度きょうど維持いじ関係かんけいからまどもうけられないこともあって、ろしに便利べんりなようにギャレーはドア付近ふきん位置いちする配置はいちおお[14]

化粧けしょうしつ

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化粧けしょうしつともばれるトイレ (Lavatory) は乗員じょういん乗客じょうきゃく排泄はいせつ処理しょり化粧けしょうとうおこな機能きのう提供ていきょうしている。通常つうじょう男女だんじょ兼用けんよう[ちゅう 40]せま個室こしつには洋式ようしき便器べんきほか温水おんすい冷水れいすい洗面せんめんだいそなわり、石鹸せっけん化粧けしょうひん、タオル、ナプキンなどが用意よういされている。便器べんきない汚物おぶつ処理しょり方法ほうほうは2種類しゅるいある。現在げんざい主流しゅりゅう真空しんくうフラッシング方式ほうしき複数ふくすう化粧けしょうしつ共用きょうようする貯蔵ちょぞうタンクをそなえており、貯蔵ちょぞうタンクない上空じょうくうでは機外きがい同様どうよう低圧ていあつたもたれ、地上ちじょうてい高度こうどでは排気はいきによってあつ維持いじされている。排泄はいせつ洗浄せんじょうボタンをすと短時間たんじかん水洗すいせん用水ようすいタンクからの少量しょうりょうみず便器べんきないあらいながら同時どうじ貯蔵ちょぞうタンクに吸引きゅういんする。もう1つは、循環じゅんかん方式ほうしきであり、かく化粧けしょうしつごとにそなわる貯蔵ちょぞうタンクない汚水おすいをフィルターでろして浄化じょうかざいくわえたもので便器べんきない汚物おぶつ貯蔵ちょぞうタンクへとなが方式ほうしきである。真空しんくうフラッシング方式ほうしき洗浄せんじょうすいがきれいで便器べんきない臭気しゅうき吸引きゅういんされるため快適かいてきであるだけでなく、貯蔵ちょぞうタンクも小型こがたにできるためおおくの機種きしゅ採用さいようされている[17]欧米おうべい路線ろせんおおくのアジア路線ろせんでは機内きないすべてが禁煙きんえんとなっていることがおおく、化粧けしょうしつ例外れいがいでないが、喫煙きつえんしゃかくれて喫煙きつえんすることで機内きないけむり感知かんちセンサーを作動さどうさせてしまい、さわぎとなることがたびたびきている。

床下ゆかした

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ボーイング747床下ゆかした貨物かもつしつ
ゆかめんにはレールがかれ、電動でんどうしき移送いそう装置そうちの「タイヤ」がかおのぞかせている。
旅客機りょかくき貨物かもつコンテナの搭載とうさい作業さぎょう

客室きゃくしつ床下ゆかしたはローアーデッキとばれ、貨物かもつしつ(ベリースペース)やあし燃料ねんりょうタンクなどの収納しゅうのう空間くうかんとして利用りようされている。

ぜんあし収納しゅうのうしつ
おおくの機体きたいでは機首きしゅ気象きしょうレーダー収納しゅうのうしているレドームのすぐうしろにぜんあし収納しゅうのうしつもうけている。ぜんあし収納しゅうのうしつあずかあつであるため、あずかあつかべによって強固きょうこつくられている。
電子でんし機材きざいしつ
前方ぜんぽう床下ゆかした貨物かもつしつ
一般いっぱん大型おおがた旅客機りょかくき客室きゃくしつ床下ゆかしたには左右さゆうつばさはさまれる中央ちゅうおうのぞいた前後ぜんご2ヶ所かしょ床下ゆかした貨物かもつしつばれる貨物かもつしつがある。貨物かもつしつには客席きゃくせき搭乗とうじょうする旅客りょかく手荷物てにもつほかにも一般いっぱん航空こうくう貨物かもつおおくがコンテナにおさめて搭載とうさいされる。21世紀せいき現在げんざいではこうどうのほとんどが専用せんようコンテナパレットるいユニット・ロード・デバイス (Unit Load Device, ULD) とばれる機材きざいによって迅速じんそくみおろし作業さぎょうおこなわれるようになっており、客室きゃくしつ床下ゆかしたという円形えんけい胴体どうたいやく3ぶんの1ほどになるいびつな形状けいじょうわせて下面かめん一方いっぽうとされたLD-3ばれるコンテナが一般いっぱんてき使用しようされている。おおくの機体きたいでは床下ゆかした貨物かもつしつゆかめんには電動でんどう移送いそう装置そうちそなけられており、地上ちじょう貨物かもつローダー車両しゃりょう協力きょうりょくして迅速じんそく作業さぎょうおこなえる[ちゅう 41]。2のLD-3コンテナはおおくのこうどう旅客機りょかくきではよこに2れつ搭載とうさいでき、おなゆかめんはばである96×125インチのパレットも使つかわれることがおおい。ほそどうではULDが使用しようされることもあるが、おおくがバルクカーゴとして手作業てさぎょうでばらみされており、1980年代ねんだいからはスライディング・カーペットしきとよばれる工夫くふうれられている。
過去かこ床下ゆかした貨物かもつしつでの火災かさい事故じこ対処たいしょするために、1998ねん以降いこうはすべての床下ゆかした貨物かもつしつ火災かさい検知けんち消火しょうか装置そうち設置せっち義務付ぎむづけられた[ちゅう 42]
中央ちゅうおう燃料ねんりょうタンク
中央ちゅうおうつばさ部分ぶぶん構造こうぞう部材ぶざいによって床下ゆかした貨物かもつしつ前後ぜんご分断ぶんだんせざるをない配置はいちとなるため、おおくが中央ちゅうおうつばさ中央ちゅうおう燃料ねんりょうタンクとして使用しようしているが、長距離ちょうきょりばない機種きしゅなどでは、胴体どうたいない燃料ねんりょうタンクをたないものもある。
しゅあし収納しゅうのうしつ
中央ちゅうおうつばさうしろにしゅあしりたたまれて収納しゅうのうされるあずかあつしゅあし収納しゅうのうしつがある。
後方こうほう床下ゆかした貨物かもつしつ
前方ぜんぽう床下ゆかした貨物かもつしつおなじように使用しようされるが、ULDが使用しようできないちかくのゆかめんななめの貨物かもつしつ部分ぶぶんはバルクカーゴようとして使用しようされることがおおい。

タイヤとブレーキ

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タイヤ地上ちじょうでは航空機こうくうき重量じゅうりょうささえ、着陸ちゃくりくには内部ないぶ空気くうきによって衝撃しょうげき緩和かんわするクッションとなり、路面ろめんとの摩擦まさつによって滑走かっそうちゅう制動せいどうりょく[ちゅう 43]旅客機りょかくきようタイヤは内部ないぶ空気くうきめたチューブレス・タイヤが使用しようされる。空気圧くうきあつ乗用車じょうようしゃとうの1.9 kg/cm2程度ていどくらべて12.5 - 15.0 kg/cm2ほどとたかく、内部ないぶのプライすう乗用車じょうようしゃとうが4そう程度ていどであるのにたいして30そう前後ぜんこうになっている。路面ろめんせっして磨耗まもうするトレッド規定きていもとづいてふくすうかいまでなおす「再生さいせいタイヤ」(リトレッド・タイヤ、Retread tire、リキャップ・タイヤ、Recap tire)の使用しようみとめられている[4]航空機こうくうきようタイヤの本来ほんらい性能せいのうもとめられるのは離着陸りちゃくりくのわずかな時間じかんだけであり、飛行ひこうちゅうおも空間くうかん占有せんゆうするだけなので可能かのうかぎかるちいさいことがもとめられ、耐久たいきゅうせい優先ゆうせん順位じゅんいたかくない。このため航空機こうくうきようタイヤは比較的ひかくてきちいさくむように[ちゅう 44]内圧ないあつたか設定せっていされており、発熱はつねつちいさなゴムがもちいられ、トレッドのみぞあさくゴムの使用しようりょうすくない。トレッドのみぞあさいために[ちゅう 45]平均へいきんてき200 - 300かい程度ていど離着陸りちゃくりくサイクルで摩滅まめつによってみぞあさくなるため、タイヤは交換こうかんされて検査けんさあらたなトレッドめんけられされて5 - 6かい程度ていど再生さいせい使用しようされる。旧型きゅうがた機種きしゅではバイアスタイヤがもちいられていたが、新型しんがた機種きしゅではラジアルタイヤ採用さいようされているので、航空機こうくうきわりにおうじて徐々じょじょにラジアル方式ほうしきわつつある[18][19]旅客機りょかくきようタイヤは高空こうくう飛行ひこうちゅう外気がいきにより-50 程度ていどまでやされているが、着陸ちゃくりくには地面じめんとの摩擦まさつやタイヤ自身じしん変形へんけい内部ないぶ摩擦まさつによって最大さいだい200 ℃にまで加熱かねつされる。このような場合ばあいにタイヤ内部ないぶのカーカスとばれる補強ほきょう繊維せんいそうない残留ざんりゅう空気くうき膨張ぼうちょうしてタイヤのゴム内部ないぶ剥離はくりさせるようなちからしょうじるおそれがあるため、タイヤのサイドウォール部内ぶないしゅうがわちかくの6箇所かしょにガスよう外部がいぶからカーカスそうまでたっするはりあなけられており、まるいマークでしめされている[20]

航空機こうくうきようタイヤは温度おんど変化へんかおうじてふくらみないあつ変化へんかする。適正てきせい内圧ないあつであるかは随時ずいじ専用せんようゲージで確認かくにんされねばならず、着陸ちゃくりく通常つうじょう環境かんきょうで2時間じかん以上いじょう高温こうおん環境かんきょうでは3時間じかん以上いじょうってタイヤがえてからはからねばならない[ちゅう 46][4]。 タイヤないあつはタイヤ圧力あつりょく表示ひょうじ装置そうちによってタイヤごとのひずみセンサーの情報じょうほうあつめられ、タイヤ圧力あつりょく監視かんし装置そうち処理しょりされて操縦そうじゅうせきのEFISなどに表示ひょうじされる。

しゅあしのタイヤにはディスク・ブレーキそなわり、地上ちじょうでの滑走かっそう制動せいどう使用しようされる[ちゅう 47]離陸りりく中止ちゅうし問題もんだいのある着陸ちゃくりくなどで高速こうそく運動うんどうする機体きたい短距離たんきょり停止ていしさせようとすると、その運動うんどうエネルギーのおおくがディスク・ブレーキのディスクやライニングでの過大かだいねつとなって放熱ほうねつされ、周囲しゅういのタイヤやブレーキホースなどを損傷そんしょうする危険きけんがある。それぞれのブレーキ温度おんどをセンサーでらえて操縦そうじゅうせき表示ひょうじするブレーキ温度おんど感知かんち装置そうちそなわっており、いくつかの機体きたいではこれにくわえて、それぞれのタイヤホイールないにファンと電動でんどうモーターをそなえ、操縦そうじゅうせきのスイッチ操作そうさすべてのファンが回転かいてんしてディスク・ブレーキに外気がいきててやすブレーキ冷却れいきゃく装置そうちそなえるものがある。あたらしい機種きしゅではそれぞれのタイヤない圧力あつりょく常時じょうじ測定そくていして操縦そうじゅうせき表示ひょうじするタイヤ圧力あつりょく表示ひょうじ装置そうちそなえるものもある。 ディスク・ブレーキはいたがたたセグメンテッド・ロータがたおおい。 タイヤのブレーキはブレーキ・ペダル操作そうさおこなっても着陸ちゃくりく進入しんにゅう途中とちゅうでは接地せっち保護ほご回路かいろによってはたらかないようにされており、接地せっち瞬間しゅんかんにはタイヤは回転かいてんする状態じょうたいにおかれる。 ブレーキにはアンチスキッド装置そうち[ちゅう 48]そなわっており、ホイール車軸しゃじく車軸しゃじく発電はつでんつくるホイール回転かいてん信号しんごう操縦そうじゅうせきのオートブレーキ制御せいぎょパネルの設定せってい情報じょうほう、スロットルの情報じょうほうけて、ディスク・ブレーキをはたらかせる油圧ゆあつ調整ちょうせいべん制御せいぎょしている。アンチスキッド装置そうちはスクワット・スイッチ、またはWOWスイッチ (Weight-On-Wheel proximity Switch) とばれる機体きたい重量じゅうりょう車軸しゃじくかったのを検知けんちするセンサーと車軸しゃじく発電はつでんが24 - 35 km/h程度ていど信号しんごうすことではたらきはじめる。

また、ブレーキをコントロールするオートブレーキ装置そうちそなわっている。オートブレーキ装置そうちはブレーキよう油圧ゆあつ系統けいとうないのスキッド制御せいぎょべん上流じょうりゅうにあるオートブレーキ制御せいぎょべんでブレーキのはたらきを制御せいぎょしている。オートブレーキ装置そうち制御せいぎょパネルは通常つうじょうかず段階だんかい設定せってい可能かのうであり、滑走かっそう状況じょうきょうなどにおうじて着陸ちゃくりくまえ設定せっていしておくことで、機体きたい着陸ちゃくりくしてスロットル・レバーがぜん位置いちもどされると同時どうじにタイヤのブレーキが設定せっていされた強度きょうど自動的じどうてきはたらくようになっている。スロットルを出力しゅつりょく増加ぞうか方向ほうこううごかすか、主翼しゅよくじょうのスピードブレーキを収納しゅうのう位置いちもどす、ブレーキペダルをむ、オートブレーキ装置そうち制御せいぎょパネルのノブを解除かいじょ位置いちにする、という操作そうさによって自動的じどうてきにオートブレーキは解除かいじょされ、マニュアル操作そうさしたがうようになる。

離陸りりくにはタイヤが機内きない格納かくのう位置いちでしばらく空転くうてんつづけて、なに対処たいしょしなければ不快ふかい振動しんどうしょうじてしまう。しゅあしはオートブレーキ装置そうち自動的じどうてきはたらいて回転かいてんめられるが、一般いっぱんぜんあしにはブレーキがそなわっていないので、おおくの機種きしゅではぜんあし格納かくのうしつ天井てんじょう部分ぶぶんにタイヤとせっする回転かいてんめがけられている[4]

旅客機りょかくきようタイヤのれい[9]
747-400
ぜんあししゅあし
777-200
しゅあし
MD-90
しゅあし
タイヤサイズ (インチ) 49×19 50×20 44.5×16.5
プライすう 32 26 26
タイヤがいみち (mm) 1,240 1,270 1,130
タイヤはば (mm) 480 510 417
空気圧くうきあつ (kg/cm2 14.4 12.5 13.9
たい荷重かじゅう (kg) 25,700 20,500 18,645
要求ようきゅう速度そくど (km/どき 380 380 380

照明しょうめい設備せつび

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機外きがい照明しょうめい
1. 航空こうくうとう - つばさはしとう (Navigation Lights L/R) 2. 航空こうくうとう - 尾灯びとう (Navigation Lights Tail) 3. 衝突しょうとつ防止ぼうしとう (Anti-collision Lights) 4. ロゴとう (Logo Lights)
機外きがい照明しょうめい
1. 地上ちじょう滑走かっそうとう (Taxi Lights) 2. 方向ほうこう指示しじとう (Turn-off Lights) 3. 着陸ちゃくりくとう (Landing Lights) 4. つばさ照明しょうめいとう (Wing Lights)

照明しょうめい設備せつび機外きがい照明しょうめい機内きない照明しょうめいかれる。

機外きがい照明しょうめい
機外きがい照明しょうめいには航空こうくうとう(ナビゲーション・ライト、Navigation Light、Position Light)、衝突しょうとつ防止ぼうしとう(アンチコリジョン・ライト、Anti-collision Light、Beacon Light)、着陸ちゃくりくとう(ランディング・ライト、Landing Light)、ちゃくごおり監視かんしとうがある。航空こうくうとう衝突しょうとつ防止ぼうしとう着陸ちゃくりくとうちゃくごおり監視かんしとう装備そうび義務付ぎむづけられている。航空こうくうとう船舶せんぱく舷灯げんとうおなじく右翼うよくはし緑色みどりいろ左翼さよくはし赤色あかいろ前方ぜんぽうからひだりまたはみぎに110白色はくしょく左右さゆうに70ずつ140方向ほうこう常時じょうじ点灯てんとうさせる。衝突しょうとつ防止ぼうしとう機体きたい上部じょうぶ下部かぶそなわり、水平すいへいから上方かみがたまたは下方かほうへ30角度かくどぜん周囲しゅういけ、80-90かい/びょう回転かいてんしき点滅てんめつか70かい/びょうのフラッシュしき点滅てんめつになっている[ちゅう 49]着陸ちゃくりくとう前方ぜんぽう11範囲はんいらしす。そのにも地上ちじょう滑走かっそうとう(タキシーライト)、つばさ照明しょうめいとう方向ほうこう指示しじとうつばさじょう非常ひじょう脱出だっしゅつこうとうなどがある。
機内きない照明しょうめい
機内きない照明しょうめい操縦そうじゅうしつ客室きゃくしつ、その照明しょうめいがある。客室きゃくしつ照明しょうめい天井てんじょうとう読書どくしょとうまどとう壁面へきめんとう階段かいだんとう出入口でいりぐちとう緊急きんきゅう避難ひなんよう誘導ゆうどうとうがある[17][16]

機械きかい設備せつび

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あずかあつ装置そうち空調くうちょう装置そうち
気圧きあつひく高空こうくう飛行ひこうする機体きたいでは、乗員じょういん乗客じょうきゃく快適かいてき安全あんぜん環境かんきょう提供ていきょうするために人員じんいん機内きない空気くうき圧力あつりょく外気がいきよりたかめに維持いじする必要ひつようがある。このため、機体きたい全体ぜんたい圧力あつりょくえられる構造こうぞうとなっており、搭乗とうじょうこうにはシールが、機体きたいにはシーリングコンパウンドがられている。このあずかあつ高度こうど12,000 mで周囲しゅういが0.19気圧きあつでも機内きない高度こうど2,400 m程度ていどや1,500 m程度ていど[ちゅう 50]相当そうとうする気圧きあつたもたれる[ちゅう 51]あずかあつ同時どうじ内部ないぶ空気くうきすこしずつえられ、操縦そうじゅうしつは2 - 3ふんで、客室きゃくしつは3 - 4ふんですべてがわるりょう機外きがいからまれて排出はいしゅつされる。機外きがい空気くうき高度こうど10,000 mではマイナス40 - 50 ℃とつめたいため、ジェットエンジンの圧縮あっしゅくからの抽気を[ちゅう 52]流量りゅうりょう調節ちょうせつべん加減かげんしながら空気くうき調和ちょうわ装置そうちともばれるエアサイクル空調くうちょう装置そうちみちびき、内部ないぶのタービンをまわすことや低圧ていあつだんからの抽気や外気がいき混合こんごうすることで温度おんどげてからじょ湿しめおこない、ダクトで機内きない各部かくぶ天井てんじょうから送風そうふうしている。排気はいきゆか左右さゆうからダクトであつめられ、あずかあつ調整ちょうせいのために流量りゅうりょう調節ちょうせつべん(アウトフローバルブ)で加減かげんしながら機外きがい放出ほうしゅつされるが、1980年代ねんだいからはエアフィルタをとおした機内きないさい循環じゅんかん空気くうき送風そうふうりょうの1/3 - 1/2程度ていどぜることでエンジン抽気でうしなわれるエネルギーりょうらしている。また、内圧ないあつより外圧がいあつたかくなると機体きたい強度きょうど低下ていかするので、あずかあつ装置そうち故障こしょうでも安全あんぜんのためにセーフティバルブとダンプバルブでつね内外ないがい圧力あつりょく逆転ぎゃくてんしないようになっている。21世紀せいき現在げんざいでは、空気圧くうきあつ供給きょうきゅうあずかあつ空気くうき系統けいとう防除ぼうじょごおり系統けいとうをまとめてECS(環境かんきょう制御せいぎょ系統けいとう)とばれる。バイパスたかいジェットエンジンでは抽気による損失そんしつおおきくなるため、新型しんがた旅客機りょかくきでは抽気をもちいずにあずかあつよう電動でんどう空気くうき圧縮あっしゅくつものもある[ちゅう 53]。また、搭載とうさいしている電子でんし装置そうちるい冷却れいきゃく空調くうちょう装置そうち重要じゅうよう仕事しごとである[13]
発電はつでん電気でんき系統けいとう
エンジン[ちゅう 54]交流こうりゅうしき発電はつでんによってつくられた115 V、または200 Vで400 Hzのさんそう交流こうりゅう電力でんりょくは、電力でんりょくコントロールセンターにあつめられ、一部いちぶ直流ちょくりゅう28 Vに変換へんかんされて配電はいでんされる[ちゅう 55][ちゅう 56]。21世紀せいき旅客機りょかくきでは発電はつでん電力でんりょく半分はんぶんちかくがギャレーでの加熱かねつ調理ちょうり食品しょくひん冷蔵れいぞう消費しょうひされる。大型おおがたでは交流こうりゅうしゅ電力でんりょくから直流ちょくりゅう28 Vへ変換へんかんし、まどかとまけるために停電ていでん電源でんげん装置そうち (UPS) を経由けいゆして航法こうほう装置そうちるい給電きゅうでんしている。小型こがたのプロペラではしゅ電源でんげん直流ちょくりゅう28 Vとしており、ジェットエンジンをんだリージョナルでも同様どうようのものがある。こうあつ空気くうきによるスターターをつエンジンでも、発電はつでん始動しどうようモーターとして使用しようできるものがある[16]電気でんき系統けいとう多重たじゅうされている。危険きけん防止ぼうし燃料ねんりょう節約せつやく装置そうち劣化れっか防止ぼうしといった経済けいざいてき理由りゆうくわえて騒音そうおんけるの意味いみからも、機体きたい地上ちじょう停止ていししているあいだはできるだけ推進すいしんエンジンを停止ていしするようになっている。機内きない必要ひつよう電力でんりょくしゅたるエンジンが停止ていししてもAPUによって必要ひつよう最小限さいしょうげん電力でんりょく供給きょうきゅう可能かのうであるが、APUもまたしゅエンジンと同様どうよう理由りゆうによって停止ていしされる傾向けいこうがあり、空港くうこう施設しせつからふといケーブルを接続せつぞくされて電力でんりょく供給きょうきゅうけるGPUとばれる方法ほうほうもちいられる。GPUのケーブル接続せつぞくにはみじか端子たんしが1ほんあり、GPU電力でんりょくせん端子たんしおくまですすんで接続せつぞく安定あんていしたのちでこの端子たんしにより機体きたいないのグランド・パワー・リレーが電力でんりょく系統けいとうえることで、端子たんしでのスパークをけるようになっている。多重たじゅうされた電気でんき系統けいとうには、それぞれにサーキット・ブレーカーぎゃく潮流ちょうりゅう防止ぼうし装置そうち発電はつでんへの電力でんりょく流入りゅうにゅう検出けんしゅつ阻止そしする)、フューズいており、故障こしょうそなえてしゅエンジンとAPUの発電はつでんとGPUという電源でんげんからの入力にゅうりょくを、それぞれ任意にんい電力でんりょく系統けいとうえられるようになっている[17]
オイルポンプと油圧ゆあつ系統けいとう
おもにエンジンのオイルポンプ (Hydraulic Pump) により3,000 psi (20.7 MPa)ほどに加圧かあつされた駆動くどうアキュムレータ(Accumulator、蓄圧ちくあつ[ちゅう 57]油圧ゆあつ配管はいかん (Pressure line) をつうじて機内きない各部かくぶ油圧ゆあつ駆動くどう必要ひつようとする装置そうちへとおくられ、べん (Selector valve) や供給きょうきゅう開閉かいへいべん(Supply shut-off valve) の操作そうさによってアクチュエータ(Actuator、作動さどうとう)をうごかす。圧力あつりょくがったあぶらはフィルタを経由けいゆしてリザーバタンク(作動さどうタンク、Hydraulic oil reservoir)へともどされて、オイルポンプへ供給きょうきゅうされる。リザーバタンクはオイルポンプへの供給きょうきゅうがスムースになるように2–3気圧きあつほどの空気圧くうきあつけられている。油圧ゆあつ配管はいかん要所ようしょにチェックバルブ(Check valve、逆流ぎゃくりゅう防止ぼうしべん)とばれる片方向かたほうこうだけながべんそなえられ、通常つうじょう油圧ゆあつ配管はいかんない圧力あつりょく調しらべあつ (Pressure regulator) によって一定いってい圧力あつりょく維持いじされるが、不具合ふぐあいによって配管はいかんない圧力あつりょく規定きていあつえると、がしべん (Relief valve) から作動さどうがす仕組しくみになっている。油圧ゆあつ配管はいかん複数ふくすう系統けいとうかれていて、複数ふくすうのエンジンごとにそなわる油圧ゆあつポンプのほかに、交流こうりゅうモーター駆動くどうこうあつ空気くうき系統けいとうによって駆動くどうされる油圧ゆあつポンプなどの多数たすうのポンプによって加圧かあつされるなど、冗長じょうちょうせいるために多重たじゅうされている[21][8]作動さどう一般いっぱん燐酸りんさんエステルけい合成ごうせい使用しようされ、うす紫色むらさきいろ着色ちゃくしょくされている[9]
圧縮あっしゅく空気くうき系統けいとう
圧縮あっしゅく空気くうき系統けいとうはニューマチック・システム (Pneumatic system) ともばれ、エンジン圧縮あっしゅくから抽気したこうあつ高温こうおん空気くうきやAPUからされた圧縮あっしゅく空気くうきは、複数ふくすうのマニホールドにあつめられ、配管はいかんによってあずかあつ空調くうちょう装置そうち空気圧くうきあつ駆動くどうしき油圧ゆあつポンプといった機体きたい各部かくぶ装置そうち分配ぶんぱいされる[ちゅう 58]。エンジンからの抽気は推進すいしんりょくらして燃費ねんぴ悪化あっかまねくため、21世紀せいき現在げんざいでは従来じゅうらいよりも抽気りょうらすようにつとめており、機内きない空調くうちょうあずかあつけい防除ぼうじょごおりけいでは発電はつでんによる電力でんりょく使用しようによってまかなわれる傾向けいこうがある[14][ちゅう 59]
燃料ねんりょう供給きょうきゅう系統けいとう
燃料ねんりょうタンクないでは上空じょうくう飛行ひこうちゅう機外きがい温度おんどがマイナス30 - 50 ℃にもなるため、なに対策たいさくこうじなければ燃料ねんりょうないにわずかにふくまれるみず析出せきしゅつしてこおりとなり、燃料ねんりょう供給きょうきゅう系統けいとうないせままらせるおそれがある。これをふせぐために燃料ねんりょうタンクないにはエンジン圧縮あっしゅくこうあつだんからの抽気による温風おんぷうとうとおすパイプがあり、おおむね10 程度ていどよりえないように保温ほおんされている。
燃料ねんりょうタンクないには気化きかした燃料ねんりょうガスがふくまれるため、ちいさな火花ひばなしょうじないように配慮はいりょされる。落雷らくらいけた場合ばあいでも、つばさ構造こうぞう全体ぜんたい良好りょうこう導電性どうでんせいたせてとう電位でんいとすることでアーク放電ほうでん発生はっせいけるように設計せっけいされている。内部ないぶ点検てんけんようのマンホールも周辺しゅうへんしるべでんされ、内面ないめんるボルトるい先端せんたんにも金属きんぞくせいのドーム[ちゅう 60]けられる[2]
タンクないにはすみの4箇所かしょほどにしずかでん容量ようりょうがたあぶらりょうけいそなえられることがおお[ちゅう 61][13]
かく燃料ねんりょうタンクからは燃料ねんりょうポンプによって圧力あつりょくくわえられ、燃料ねんりょう供給きょうきゅうかんやフィルタ、多数たすうのバルブを経由けいゆしてしゅエンジンとAPUに供給きょうきゅうされる。つばさないタンクの燃料ねんりょうはそれぞれちかくのしゅエンジンの燃料ねんりょうポンプやつばさない底部ていぶ付近ふきんのブーストポンプによってエンジンへ供給きょうきゅうすることが標準ひょうじゅんてきである。中央ちゅうおうつばさない尾翼びよくない燃料ねんりょうや、均等きんとう消費しょうひされたつばさない燃料ねんりょうなどは、かくタンクのブーストポンプによってクロスフィード・マニホールドを経由けいゆして必要ひつようなエンジンに供給きょうきゅうされ、必要ひつようならば、タンクあいだでの移送いそうや、空中くうちゅう投棄とうきのためのベントサージ・タンクへの移動いどう使用しようされる。かくタンクへの入口いりくちには遮断しゃだんべんそなわり、手動しゅどう操作そうさくわえて所定しょていのレベルにたっすると閉鎖へいさされるようになっている。空港くうこうにおける地上ちじょう施設しせつからの給油きゅうゆ方式ほうしきでは、地下ちかおくあぶらかん経由けいゆして主翼しゅよく下面かめん給油きゅうゆこう丈夫じょうぶなホースをいくほん接続せつぞくし、50 psi (344.7 kPa)のあつすうじゅうふんという短時間たんじかんうち大量たいりょう加圧かあつ給油きゅうゆされるため、急激きゅうげき給油きゅうゆ停止ていしウォーターハンマー現象げんしょうこして危険きけんとなる。このため燃料ねんりょうながれの変更へんこうゆるやかにおこなわれるように、給油きゅうゆ車両しゃりょうがわでコントロールされている。
APU
APU(Auxiliary Power Unit、補助ほじょ動力どうりょく装置そうち)はおも地上ちじょうちゅうしているあいだ動力どうりょくげんとして使用しようされる。ジェット旅客機りょかくきのAPUは小型こがたのガスタービン・エンジンであり、大型おおがた旅客機りょかくきではのテールコーン(テイル・ブームともばれる)ない防火ぼうかかべともそなえられることがおおいが、しゅあし格納かくのう機体きたいもある。また火災かさいそなえて消火しょうかシステムがそなわっている。小型こがた旅客機りょかくきではピストン・エンジンしき(=レシプロしき)のAPUをつものもあるが、ジェットしき同様どうよう機上きじょうのバッテリーで起動きどうさせてしゅたるエンジンの燃料ねんりょう共用きょうようすることで運転うんてんされる。レシプロのAPUは電力でんりょく供給きょうきゅうし、ジェット機じぇっときでは電力でんりょく圧縮あっしゅく空気くうき動力どうりょく供給きょうきゅうする。旅客機りょかくき空港くうこうのエプロンでちゅうしているあいだは、推進すいしんりょくとなるエンジンを停止ていしして無駄むだ燃料ねんりょう消費しょうひ疲労ひろうおさえ、付近ふきんひとぶつんだりばしたりする事故じこけることが一般いっぱんてきである。乗客じょうきゃく乗降じょうこう機内きない清掃せいそうなどでは機内きない照明しょうめい空調くうちょう必要ひつようであり、燃料ねんりょう給油きゅうゆ作業さぎょう装置そうちるい点検てんけん整備せいびつぎ飛行ひこう経路けいろ設定せっていなどでも電力でんりょく必要ひつようである。以後いごはガスタービンしきのAPUについて説明せつめいする。推進すいしんようエンジンが停止ていししているあいだは、空港くうこうからのGPUとばれる電源でんげんせん電力でんりょく供給きょうきゅうけるほかにも、APUをうごかして発電はつでんまわすことで電力でんりょくることが可能かのうになっており、また、乗客じょうきゃく搭乗とうじょうんでエプロンからはなれる時点じてんではAPUから圧縮あっしゅく空気くうきつくられるので、GPUの接続せつぞくってから推進すいしんようのジェットエンジンの始動しどうにも活用かつようされている。地上ちじょうのGPUから電力でんりょくけることでAPUをまった使つかわずますことも可能かのうであり、その場合ばあい停止ていしした推進すいしんようジェットエンジンの始動しどう地上ちじょう専用せんようしゃからのこうあつ空気くうきによって始動しどうされることもおこなわれる。APUは緊急きんきゅうには飛行ひこうちゅうでも使用しよう可能かのうである。常用じょうよう電源でんげんとしてバッテリーも搭載とうさいされている。ジェットしきのAPUは、同軸どうじくじくりゅうしき(シングルスプールじくりゅうしき)、同軸どうじく遠心えんしんしき(シングルスプール遠心えんしんしき)、2じくしき(ダブルスプールしき)、フリータービンしき(バリアブルロード・インレットベーンがた)の3形式けいしきもちいられており、このうち2じくしきでは低圧ていあつ圧縮あっしゅくじくりゅうしきこうあつ圧縮あっしゅく遠心えんしんしきとなっており、機内きない供給きょうきゅうよう空気くうき圧縮あっしゅくはガス・ジェネレータがわとはべつにフリータービンによって駆動くどうされ、空気くうきこうべつそなえる。APUの起動きどう定常ていじょう運転うんてん停止ていしかかわるすべての制御せいぎょ自動じどうされており、異常いじょう燃焼ねんしょう回転かいてん異常いじょうすべり異常いじょう空気くうきこう異常いじょう、APUの火災かさい空気くうき動力どうりょくげん配管はいかん破損はそん蓄電池ちくでんち異常いじょう、コントロール信号しんごう喪失そうしつなどを検知けんちすると、設定せっていおうじて自動じどう停止ていし警告けいこくとう点灯てんとうによる手動しゅどう停止ていしおこなわれる。起動きどうはAPU制御せいぎょ装置そうちへのDC電流でんりゅう供給きょうきゅうによってはじまり、APUへの燃料ねんりょう供給きょうきゅうけいひら空気くうきこう排出はいしゅつこうひらく。つぎにスタータ・モーターによって駆動くどうされ回転かいてんはじめる。定常ていじょう回転かいてんすうの10 %ほどにたっしたところですべり油圧ゆあつりょく正常せいじょうならばイグニッションを作動さどうさせ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ開始かいしする。燃料ねんりょうへの点火てんか回転かいてんすう上昇じょうしょう確認かくにんする。回転かいてんすうが50 %にたっすればスタータ・モータをはなす。回転かいてんすうが95 %になれば電力でんりょく発電はつでん圧縮あっしゅく空気くうき供給きょうきゅう可能かのうとなり、イグニッションはられて、やがて定常ていじょう運転うんてん移行いこうする。APUが定常ていじょう運転うんてん移行いこうすると自動的じどうてきしゅ燃料ねんりょう供給きょうきゅうけい特定とくてい燃料ねんりょうポンプが作動さどうして、主翼しゅよく付近ふきんのAPUようのDCモータしき燃料ねんりょう供給きょうきゅうポンプは停止ていしされる。APUの停止ていし燃料ねんりょう供給きょうきゅう遮断しゃだんして回転かいてんすうが50 %になれば空気くうきこう排出はいしゅつこうじられる。APUから供給きょうきゅうされる圧縮あっしゅく空気くうきようのダクトは機体きたいつらぬき、これが破損はそんするとあずかあつ装置そうち機体きたい構造こうぞう影響えいきょうするため、ダクトに沿って多数たすう温度おんど検知けんちはいされ、漏洩ろうえい検知けんちする。APUの燃料ねんりょうはジェットエンジンと共用きょうようしており、APUよう燃料ねんりょう配管はいかんけい胴体どうたい後半こうはんつらぬいていて、万一まんいち燃料ねんりょうれにそなえて、この配管はいかんはシュラウドとばれる管内かんないおさめられシュラウド・ドレインによって機外きがい投棄とうきされる。APUは空港くうこうなどにちゅうしているあいだなど、操縦そうじゅうせき監視かんしされない状態じょうたいでも運転うんてんされるため、異常いじょう事態じたいそなえて機体きたい下部かぶ車輪しゃりん格納かくのうしつ壁面へきめんなどに地上ちじょうよう操作そうさパネルがそなわり、非常ひじょう停止ていし消火しょうかざい噴射ふんしゃ操作そうさおこなえる[13]
機内きない通話つうわシステム
機内きないでの音声おんせい通話つうわ客席きゃくせきへの案内あんない放送ほうそうよう機内きない通話つうわシステムがそなわっている。乗務じょうむいん同士どうしでのインタホンでの通話つうわ機外きがいとの無線むせん交信こうしんのためのヘッドセットは差込さしこみこう共通きょうつうされている。フライト・インタホンは操縦そうじゅう客室きゃくしつ乗務じょうむいんとの会話かいわ回線かいせん無線むせんとの接続せつぞくもちいられ、かく配線はいせんはオーディオ・セレクト・パネルで接続せつぞくえられる。サービス・インタホンは客室きゃくしつ乗務じょうむいん同士どうし操縦そうじゅうしつ客室きゃくしつ乗務じょうむいん操縦そうじゅうしつ地上ちじょう整備せいびいんとの会話かいわもちいられる。メンテナンス・インタホンは機体きたい各所かくしょ差込さしこみこうだけがもうけられており、おも地上ちじょうでの整備せいびとき作業さぎょうしゃなどがヘッドセットのプラグをむことで使用しようされる。メンテナンス・インタホンは地上ちじょうではサービス・インタホンと接続せつぞく可能かのうになっている機種きしゅおおい。拡声かくせい放送ほうそうシステムは客室きゃくしつ機内きない放送ほうそうおこなうシステムである。乗降じょうこうなどでは音楽おんがく放送ほうそうされ、客室きゃくしつ乗務じょうむいんからの安全あんぜん説明せつめい案内あんないにも使用しようされる。操縦そうじゅうからの放送ほうそう優先ゆうせんされ、つぎ客室きゃくしつ乗務じょうむいんからの放送ほうそうとなり、音楽おんがく放送ほうそうはこれらの信号しんごうがないとき放送ほうそう可能かのうとなる[16]

常用じょうよう設備せつび

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民間みんかん航空機こうくうき常用じょうよう設備せつび規定きていによってこまかなてんまでさだめられている[ちゅう 62]

非常口ひじょうぐち
乗客じょうきゃくよう非常ひじょう脱出だっしゅつこうかず乗客じょうきゃく定員ていいんすうとそれぞれの非常ひじょう脱出だっしゅつこうおおきさで規定きていされている。乗客じょうきゃく定員ていいん44めい以上いじょうでは乗務じょうむいんふくめた最大さいだい定員ていいん全員ぜんいんが90びょう以内いない安全あんぜん脱出だっしゅつできることが実際じっさいのテストで証明しょうめいされる必要ひつようがある。
非常口ひじょうぐち内側うちがわにはひらいたときてんはりする救命きゅうめいいかだ兼用けんよう緊急きんきゅう脱出だっしゅつスライド(スライド・シュート)がそなわっており、飛行ひこうちゅうはドアの開放かいほう同時どうじ自動的じどうてきてんはりするように設定せっていされている[ちゅう 63]離陸りりく機内きないアナウンスされる「乗務じょうむいんはドアモードをオートマチックに変更へんこうしてください」がこの操作そうさ意味いみしている。
緊急きんきゅう機内きない照明しょうめいえた場合ばあいにはゆか通路つうろまれた誘導ゆうどうとう点灯てんとうする[17]
酸素さんそマスク
高空こうくう機体きたいあずかあつうしなわれる[ちゅう 64]機内きない減圧げんあつする。乗客じょうきゃくのための酸素さんそマスクは座席ざせき上部じょうぶから自動的じどうてきりてくるようになっている[ちゅう 65]乗員じょういんようには携帯けいたいできるように小型こがたボンベしき[ちゅう 66]化学かがくしき酸素さんそマスクが用意よういされている。客室きゃくしつようおも酸素さんそ発生はっせい装置そうち(または酸素さんそボンベ)[ちゅう 67]減圧げんあつ装置そうち配管はいかん、これらの手動しゅどう自動じどうしき制御せいぎょ装置そうち必要ひつようである。旅客機りょかくきでは減圧げんあつには酸素さんそレベルの十分じゅうぶん高度こうどまで緊急きんきゅう降下こうかすることになっており、それほどなが時間じかん酸素さんそマスクが必要ひつようになる事態じたい想定そうていされていない。酸素さんそ吸入きゅうにゅう装置そうち接続せつぞくこう総数そうすう座席ざせきすうより10 %以上いじょうおおくなければならない[8]
ライフジャケット
いのち装具そうぐとして乗客じょうきゃくようのライフジャケットが座席ざせきした用意よういされている。
緊急きんきゅう脱出だっしゅつ装置そうち/救命きゅうめいいかだ/救命きゅうめい装備そうびひん
シューターなどとばれる脱出だっしゅつようすべだい客室きゃくしつすべてのドアの内側うちがわ格納かくのうされていて、緊急きんきゅうにはドアをけると同時どうじにガスが注入ちゅうにゅうされててんはりして使用しよう可能かのう状態じょうたいになるよう設計せっけいされている。大型おおがたのシューターはそのまま救命きゅうめいいかだとしても機能きのうするものがおおく、小型こがたではシューターとはべつ救命きゅうめいいかだをそなえるものがおお[14]
温度おんど感知かんちけむり感知かんち
機内きない要所ようしょ温度おんど感知かんちけむり感知かんちけられており、操縦そうじゅうせき警報けいほうつたえられる。
消火しょうか消火しょうかシステム
操縦そうじゅうせきやギャレーには携帯けいたいしき消火しょうかかれ、エンジン、APU、あし格納かくのうしつ貨物かもつしつにはそれぞれの専用せんよう消火しょうかシステムがそなえられている[17]
エンジン消火しょうかシステム
エンジン火災かさいそなえて、フレオンこなといったエンジンよう消火しょうかざいが2ほんほどのあずかあつ容器ようきめられ、操縦そうじゅうせきからの操作そうさで0.5–2びょうほどが2かい程度ていどエンジンない上部じょうぶから噴射ふんしゃできるようになっている。
コックピット・ボイス・レコーダー/デジタル・フライト・データ・レコーダー
通称つうしょうブラックボックス」。コックピット・ボイス・レコーダー (CVR) は操縦そうじゅうしつない音声おんせいを30ふんから2あいだほど常時じょうじ上書うわがきしている。デジタル・フライト・データ・レコーダー (DFDR) はデジタル信号しんごう飛行ひこうデータや操作そうさを25からすうひゃくあいだほど記録きろくしている。とも目立めだつようにオレンジしょくられた頑丈がんじょうはこおさめられ火炎かえん衝撃しょうげきから内部ないぶ記録きろくまもっている。事故じこでも比較的ひかくてきのこことおおい、機体きたい後部こうぶのギャレーやトイレの天井てんじょう付近ふきんかれる。事故じこには発見はっけん容易よういにするために、内蔵ないぞう電池でんちによってみずか電波でんぱはっするようになっている。
常用じょうよう発電はつでん
2はつや3はつでは非常ひじょうよう風車かざぐるま使つかった発電はつでんそなえるものがある。通常つうじょう機内きない格納かくのうされているが、エンジン停止ていしなどで電源でんげん供給きょうきゅう支障ししょうがある場合ばあいには、機体きたい下部かぶりてきて機外きがいかぜ風車かざぐるまけることによって発電はつでんおこなう。これによって操縦そうじゅうよう油圧ゆあつ系統けいとうのための駆動くどうりょくのような最低限さいていげん電源でんげん確保かくほする[16][ちゅう 68][9][14]

その設備せつび装置そうち

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防除ぼうじょごおり装置そうち
主翼しゅよくぜんえんやエンジンのエアインレット先端せんたん機内きない換気かんきよう空気くうきこう操縦そうじゅうしつまどガラス、ピトーかん排水はいすいようドレーンマスト[ちゅう 69]にはすべての機体きたいで、おおくの機体きたい尾翼びよくにも防除ぼうじょごおり装置そうちそなわっている。それぞれには電気でんきヒーターかエンジン抽気による方法ほうほうのいずれかによって加熱かねつされ[ちゅう 70]空中くうちゅう水分すいぶんがこれらの機体きたい外面がいめんこおりとなってくことで安全あんぜん飛行ひこうさまたげとなることをふせぐ。作動さどう強度きょうど選択せんたくできたり外気がいき温度おんど自動的じどうてき作動さどうするものや、一定いってい時間じかんごとにサイクル動作どうさするものなど、場所ばしょ機種きしゅによってそれぞれ多様たようなものがある。機体きたい地上ちじょうにあるあいだはランディング・ギア・スイッチのはたらきで、あまり高温こうおんとならないようにきがよわくされる[17]
放電ほうでん装置そうち
飛行ひこうちゅう機体きたいまる静電気せいでんきがすために、主翼しゅよく尾翼びよくどうつばさはしあしに「スタティック・ディスチャージャ」とばれる放電ほうでんようみじかさくぼういくつかうしきにけられ、ここから静電気せいでんき放電ほうでんしている[ちゅう 71]
ボンディング
機体きたい全体ぜんたい金属きんぞくのような良導体りょうどうたいとすることで、落雷らくらい静電気せいでんきによる被害ひがい最小限さいしょうげんにできる。多数たすうのリベットで緊密きんみつつながれたアルミ合金ごうきん構造こうぞう部材ぶざいのぞけば、おおくの金属きんぞく部品ぶひん同士どうし潤滑じゅんかつグリースや樹脂じゅしせいすべりめんなどで円滑えんかつうごきをあたえられと同時どうじ電気でんきてきには絶縁ぜつえんされるため、「ボンディング」とばれるワイヤ接続せつぞくによって導電性どうでんせいたもつようにしている。また、おな理由りゆうで、ふくごうざいなど非金属ひきんぞくせい材質ざいしつ部分ぶぶんでは、しるべでん塗装とそうなどをおこなってとう電位でんいたも工夫くふうをしている[17]
テイル・スキッド
離着陸りちゃくりく機首きしゅこしが過大かだいになり、後部こうぶ胴体どうたい滑走かっそう接触せっしょくすることでしょうじる衝撃しょうげき緩和かんわのためにテイル・スキッドとばれる緩衝かんしょう装置そうちをまれにそなえる機体きたいがある。また、あたらしい機体きたいでは接触せっしょく最小限さいしょうげんにするために、にセンサーをそなえて滑走かっそうとの距離きょりはかり、操縦そうじゅう過剰かじょうこそうと操縦そうじゅう桿をいても一定いってい以上いじょうこせないように電子でんしてき調整ちょうせいする「電子でんしテイル・スキッド」とばれる装置そうちそなわるものもある[5]

通信つうしん航法こうほう装置そうちるい

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以下いかでは大型おおがた旅客機りょかくきでの一般いっぱんてき通信つうしん航法こうほう装置そうちるいについて説明せつめいする。

通信つうしん航法こうほう装置そうちるいおおくが、機首きしゅちかくなどにもうけられた電子でんし機械きかいしつおさめられており、エンジンやAPUによって発電はつでんされ、交流こうりゅう直流ちょくりゅう変換へんかん変換へんかんされた直流ちょくりゅう電力でんりょく供給きょうきゅうされる。それらの電力でんりょくうしなわれた場合ばあいでも、すぐちかくにおさめられた常用じょうようバッテリーによってしばらくは使用しよう可能かのうになっている[16]

アンテナ

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機体きたいのアンテナれい(B-777)
1.気象きしょうレーダー送受そうじゅ信用しんようSHFたい 2.ローカライザーVHF受信じゅしんよう 3.グライドスロープキャプチャ受信じゅしんようUHFたい 4.TCAS送受そうじゅ信用しんようUHFたい 5.DME送受そうじゅ信用しんようSHFたい 6.GPS受信じゅしんようUHFたい 7.VHF通信つうしん送受そうじゅ信用しんよう 8.CBBようKuたい 9.方向ほうこう探知たんち受信じゅしんようLFたい,HFたい 10.SATCOM送受そうじゅ信用しんようUHFたい 11.HF通信つうしん送受そうじゅ信用しんよう 12.VOR受信じゅしんようVHFたい 13.グライドスロープトラック受信じゅしんようUHFたい 14.ATCトランスポンダ 15.電波でんぱ高度こうどけい送信そうしんようEHFたい 16.電波でんぱ高度こうどけい受信じゅしんようEHFたい 17.マーカービーコン受信じゅしんようLFたい,MFたい

機首きしゅのレドームないには気象きしょうレーダーのほかに2ほんずつのローカライザようとグライドスロープようのアンテナがおさめられている[9][ちゅう 72]胴体どうたい上部じょうぶには、ATCトランスポンダようとADRようのアンテナが2ほんずつと、垂直すいちょく尾翼びよくにはVORとテレビ受信じゅしん、HF通信つうしんのそれぞれのアンテナが1つずついている。胴体どうたい底面ていめんにはべつのATCトランスポンダようとDMEようがそれぞれ2ほんと、電波でんぱ高度こうどけい送信そうしんよう電波でんぱ高度こうどけい受信じゅしんようで1ついと、マーカー、VHF通信つうしんように1ほんずついている。VHF通信つうしんようアンテナは左右さゆうに1くみけられる機種きしゅもある。垂直すいちょく尾翼びよくそとばん中央ちゅうおう基部きぶより絶縁ぜつえんすることで、うえ半分はんぶんをHF、またはVORようアンテナとして使用しようする機体きたいおお[4]

気象きしょうレーダー
機首きしゅ部分ぶぶん気象きしょうレーダー搭載とうさいしている。航空機こうくうきようのレーダーはCバンド (5.4 GHz) やXバンド (9.4 GHz) を使用しようするが、気象きしょうレーダーではXバンドの9,345 MHzと9,375 MHz[22]使用しようしており[17][16]出力しゅつりょく60 kW程度ていどのペンシルビームで5マイクロびょうのパルスを4秒間びょうかん前方ぜんぽう180掃引そういんする。気象きしょうレーダーでは前方ぜんぽう空中くうちゅうただよ水滴すいてきこおりあきらからの反射はんしゃらえることであめくも位置いちる。探知たんち距離きょりは200 - 300 nm程度ていどである。また、ペンシルビームとはべつに、スイッチのえでコセカント・スクエア・パターンとばれる地上ちじょうけて掃引そういんする機能きのうそなえ、この「マップ・モード」によって地上ちじょう地形ちけい判別はんべつできる。このレーダーは左右さゆう方向ほうこうくびりしているだけであり、たて方向ほうこう通常つうじょうは1 - 2程度ていど下向したむきに設定せっていされているが、操縦そうじゅうせきのノブ操作そうさでティルトモーターにより角度かくど変更へんこうできる。また、機体きたいのロール運動うんどうによって掃引そういん角度かくどわらないように、ロールモーターが自動的じどうてきにロールを補正ほせいする。21世紀せいき現在げんざいではデジタル処理しょりによって反射はんしゃパルス周波数しゅうはすう変異へんいこう精度せいどはかれるドップラーしきレーダーが使用しようされるようになり、PPI表示ひょうじめんもカラーされて水滴すいてきこおり移動いどうまでわかるようになっている[16]

無線むせん通信つうしん

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おも音声おんせいによる交信こうしんおこなうための通信つうしんがいくつか搭載とうさいされている。一般いっぱんにはみじか波長はちょう電波でんぱほう十分じゅうぶんちか場合ばあいには明瞭めいりょう会話かいわおこなえるが、到達とうたつ距離きょりみじかくなる傾向けいこうがある。なが波長はちょう電波でんぱ遠距離えんきょりまでとどく。これらには周波数しゅうはすうたいさだめられており、おのおの規定きてい方式ほうしき電波でんぱ使用しようされる。航空こうくう無線むせん使用しようされるたんしんしきのすべての音声おんせい通信つうしんシステムは「サイドトーンシステム」とばれる送信そうしん動作どうさ確認かくにんする仕組しくみをそなえている。これは送信そうしん発信はっしん電波でんぱ送信そうしんにも受信じゅしん受信じゅしんしておき、操縦そうじゅうみずからの発話はつわ音声おんせいをヘッドフォンでくことで電波でんぱがほとんどただしく発信はっしんされていることを確認かくにんするものである[23]

VHF
VHF(ちょう短波たんぱ)は比較的ひかくてき明瞭めいりょう交信こうしんおこなえるが、到達とうたつ範囲はんい見通みとお距離きょりないであるため、こう高度こうどでも400 kmほどである。飛行場ひこうじょう付近ふきん管制かんせい陸上りくじょう航空こうくうでの管制かんせい使用しようされることがおおい。
HF
HF(短波たんぱ)はVHFよりとおくまでとどき、地平線ちへいせんえて到達とうたつするので、洋上ようじょう飛行ひこうおこな機体きたいにはHF通信つうしんを2だい搭載とうさいすることが義務付ぎむづけられている。海上かいじょう航空こうくう管制かんせい使用しようされることがおおい。各国かっこくごとの航空こうくう管制かんせい使用しようされている電波でんぱ帯域たいいきことなるので、2 - 30 MHzまでの1 kHzごとの28,000チャンネルが送受信そうじゅしんできる通信つうしん搭載とうさいされている。電波でんぱ帯域たいいき有効ゆうこう利用りようはかるためにたんがわなみたい (SSB) 通信つうしん方式ほうしき採用さいようされている。
セルコール・システム
管制かんせい航空こうくう会社かいしゃなどで使用しようされる音声おんせいによる交信こうしん電波でんぱたい複数ふくすうあり、それぞれでは複数ふくすう航空機こうくうき地上ちじょうとの交信こうしん共有きょうゆうしているので、されるのをつね機上きじょう乗務じょうむいん受信じゅしんしモニターしつづけるのは、おおきな負担ふたんであり疲労ひろう原因げんいんにもなるため得策とくさくではない。ほとんどすべての旅客機りょかくきでは、セルコール・システム(自動じどう装置そうち、SELCAL)とばれるしをけたときだけおとひかりしをらせる装置そうちによってクルーの負担ふたん軽減けいげんされている。
セルコール・システムでは、"A"から"S"までの16記号きごうを4けたわせた独自どくじ符合ふごうがセルコール・システムをそなえた個別こべつ航空機こうくうきあたえられている。この4けた符号ふごうから10,920区別くべつできるようになっている。地上ちじょうのセルコール装置そうちは、"A"から"S"までの16記号きごう対応たいおうしてことなる可聴かちょうおん(312.6 - 1,479.1 Hz)を発生はっせいするトーン発生はっせいそなえており、特定とくていの1すには4けた符号ふごう装置そうち選択せんたくしてからトーン送信そうしんボタンをすと、最初さいしょに2けたぶんのトーンが同時どうじかさなって1秒間びょうかん送信そうしんされ、0.2秒間びょうかん無音むおんのちのこりの2けたぶんのトーンが同時どうじ送信そうしんされる。音声おんせい通信つうしんであるため機上きじょうでも受信じゅしん状態じょうたいにあれば「ピーポー」とこえるが、人間にんげんにはおとから符号ふごう判別はんべつできない。機上きじょうではこのトーンを解読かいどくするデコーダーがそなわっており、飛行ひこうちゅうはこの装置そうち使用しようすることでデコーダーに設定せっていした符号ふごう受信じゅしんしたときだけチャイムおんひかり点滅てんめつ操縦そうじゅうせき乗務じょうむいんしをらせる。管制かんせい機関きかん航空こうくう会社かいしゃでは、これに対応たいおうした装置そうち使つかって個別こべつ航空機こうくうきすが、地上ちじょうでは常時じょうじ担当たんとうしゃ受信じゅしん空中くうちゅうからの送信そうしんみみませている。
衛星えいせい通信つうしん
おおくの旅客機りょかくきには1.5 - 1.6 GHzたい使用しようしたACARS衛星えいせい通信つうしんシステムが搭載とうさいされており、航空こうくう衛星えいせいかインマルサット衛星えいせい経由けいゆして、音声おんせい通話つうわよう地上ちじょう公衆こうしゅう電話でんわもうと、タ通信たつうしんようにデータリンクもう接続せつぞくされている。ACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting System) は衛星えいせい通信つうしんとVHF通信つうしん利用りようした民間みんかん航空こうくう会社かいしゃ共通きょうつうのほぼぜん地球ちきゅうをカバーする比較的ひかくてき低速ていそくのデジタル情報じょうほうネットワークである。地上ちじょう航空こうくう会社かいしゃからは、到着とうちゃく空港くうこうのノータムやちゅうターミナル情報じょうほう上層じょうそうふう予想よそうなどをおくり、航空機こうくうきからは離着陸りちゃくりく時刻じこく位置いち残存ざんそん燃料ねんりょう、フライトプラン(飛行ひこう計画けいかく)の変更へんこう要求ようきゅう到着とうちゃく予定よてい時刻じこく、エンジン・パラメータ、故障こしょう報告ほうこくなどがおくられる。これらは基本きほんてき衛星えいせい通信つうしん利用りようした文字もじによる定型ていけいのデジタルデータであり、音声おんせい通信つうしんべつ無線むせんになるが、文字もじによる報告ほうこくおこなえる[16]

無線むせん航法こうほう装置そうち

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ADF(自動じどう方向ほうこう探知たんち、Automatic Direction Finder)

ADFは、ループアンテナと垂直すいちょくポールアンテナをわせてアンテナ感度かんどを360ちょんあまねうち特定とくてい方向ほうこうにだけおおきくしたアンテナもちいる。受信じゅしん電波でんぱ強度きょうど最大さいだいとなる方向ほうこう地上ちじょう無線むせんきょく方向ほうこうとなる。

VOR(ちょう短波たんぱぜん方位ほういしき無線むせん標識ひょうしき、VHF Omni-direction Range)
DME(距離きょり測定そくてい装置そうち、Distance Measuring Equipment)
TACAN
ILS(計器けいき着陸ちゃくりく装置そうち、Instrument Landing System)
MLS(マイクロ着陸ちゃくりく装置そうち、Microwave Landing System)

MLSはマイクロなみたい使用しようした着陸ちゃくりく侵入しんにゅう誘導ゆうどう装置そうちである。同種どうしゅ着陸ちゃくりく侵入しんにゅう誘導ゆうどう装置そうちとしてはすでに普及ふきゅうしているVHFたい使用しようしたILSがあるが、ILSでは地形ちけい影響えいきょうけて精度せいどたもてないことやVHF放送ほうそう電波でんぱ干渉かんしょうけること、侵入しんにゅうが1ほんしかてないことなどによって、より精度せいどたかあらたな着陸ちゃくりく支援しえんシステムがもとめられ、今後こんごはILSからMLSへと移行いこうされる空港くうこう施設しせつの1つとして国際こくさい標準ひょうじゅんされた。ILSでもおおきな問題もんだいはなく世界中せかいじゅう空港くうこう使用しようされており、MLS施設しせつ経済けいざいてき負担ふたんやMLSへの移行いこうにおいてりょう施設しせつ維持いじする必要ひつようもあり、あまり導入どうにゅうすすんでいない[23]

GPS

GPSでは現在げんざい位置いち時刻じこく情報じょうほうることができ、IRSの位置いち情報じょうほう補正ほせいとFMSの時刻じこく情報じょうほう補正ほせい使用しようされる[16]

21世紀せいき現在げんざいでは、従来じゅうらいの3じく回転かいてん変位へんいと2方向ほうこう(または3方向ほうこう)の直線ちょくせん加速度かそくど計測けいそくするセンサそなえたINS(Inertial Navigation System、慣性かんせい航法こうほう装置そうち)はIRS(Inertial Reference System、慣性かんせい基準きじゅん装置そうち)にわっている。 内部ないぶ可動かどうっていた従来じゅうらいがたのINS[ちゅう 73]とはことなり、IRSは可動かどうたず、3じく回転かいてん変位へんいと3方向ほうこう直線ちょくせん加速度かそくど計測けいそくするセンサをせたプラットフォームが機体きたいじく方向ほうこうわせて正確せいかく固定こていされていて[17][ちゅう 74]空間くうかん座標ざひょう変換へんかんはデジタル演算えんざんによっておこなわれる。出発しゅっぱつには基準きじゅんとなる緯度いど経度けいど飛行ひこう管理かんり装置そうち(FMS)のデータからまれて設定せっていされる。また、静止せいし状態じょうたい重力じゅうりょく加速度かそくどけない方向ほうこう水平面すいへいめん方向ほうこうでありレベル調整ちょうせい自動的じどうてきおこなわれる。15分間ふんかん停止ていししているあいだ地球ちきゅう自転じてんりつ東西とうざいじくジャイロ(イースト・ジャイロ)で受感されない方向ほうこうから地球ちきゅう自転じてんじくでのきた自動じどう設定せっていされる。回転かいてん変位へんいりょうは、地球ちきゅう自転じてんりつ[ちゅう 75]移動いどうりつ[ちゅう 76]修正しゅうせいする必要ひつようがある。直線ちょくせん加速度かそくどコリオリのちから重力じゅうりょく変化へんか補正ほせいする必要ひつようがある。機体きたい姿勢しせい方向ほうこう補正ほせいつづけながら補正ほせいされた直線ちょくせん加速度かそくど積分せきぶんすることで速度そくどもとめられる。速度そくど移動いどう方向ほうこうから移動いどうりょうり、つねみずからの座標ざひょうることができる。 GPSによる航法こうほう支援しえんられるようになり、位置いちデータと時刻じこく修正しゅうせいされるが、航空機こうくうきはGPSのデータがられなくなってもいように、INSやIRSは必要ひつよう装置そうちとなっており、磁気じきコンパスも搭載とうさいされる[ちゅう 77]回転かいてん変位へんい検出けんしゅつには半導体はんどうたいレーザーとひかりファイバをわせたひかりファイバ・リングレーザー・ジャイロもちいられる。

高度こうどけい

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  • 気圧きあつ高度こうどけい(Pressure Altimeter):気圧きあつ変化へんかによって海面かいめんからの高度こうどる。機外きがい気圧きあつ情報じょうほうはCADCが統括とうかつしてEFISとう提供ていきょうする。
  • 電波でんぱ高度こうどけい(Low Range Radio Altimeter):4.2 - 4.4 GHzの電波でんぱ送信そうしん地面じめんからの反射はんしゃおくれをはかることで、2,500フィート以下いか高度こうどなら2 %以内いない精度せいど対地たいち高度こうど計測けいそくする[ちゅう 78][17]。EFISの高度こうど指示しじけいだけでなくGPWS(対地たいち接近せっきん警報けいほう装置そうち)やAFCS(自動じどう操縦そうじゅう装置そうち)への情報じょうほう提供ていきょうする。滑走かっそう静止せいししている状態じょうたいを0フィートとなるように調整ちょうせいされ、アンテナと送受信そうじゅしんあいだのケーブルちょうあしながさなどをふくめた送受信そうじゅしん地面じめんとの距離きょりは、40、57、80フィートのいずれかとさだめられており、送受信そうじゅしんのプログラム・ピンで設定せっていされる[16]

AFCS(自動じどう操縦そうじゅう装置そうち、Automatic Flight Control System、Auto-pilot)は[ちゅう 79]飛行ひこう姿勢しせい安定あんていと、飛行ひこう高度こうど方向ほうこう変更へんこう航法こうほう誘導ゆうどう自動的じどうてきおこな装置そうちシステムである。これら主要しゅような3機能きのうはAFCSないたがいに連携れんけいしてはたらいて、現実げんじつ機体きたい制御せいぎょ出力しゅつりょくでは一体いったいのものとなるが、個別こべつ分解ぶんかいして以下いかしめ[24][9][ちゅう 80]

飛行ひこう姿勢しせい安定あんてい
機体きたい外力がいりょくけることでロール、ピッチ、ヨーのかく方向ほうこうたいしてれが発生はっせいする。このれを最小限さいしょうげんおさえる。また、推力すいりょく均衡きんこうやダッチロールといった内的ないてき要因よういんたいする是正ぜせいもこの機能きのうにな[ちゅう 81]
飛行ひこう高度こうど方向ほうこう変更へんこう
操縦そうじゅう航法こうほう装置そうち指令しれいしたがって、機体きたい上昇じょうしょう下降かこう旋回せんかいさせる。旋回せんかいにはヨー制御せいぎょだけでなく釣合つりあい旋回せんかいばれるロール制御せいぎょ同時どうじ要求ようきゅうされる。
航法こうほう誘導ゆうどう
電波でんぱ慣性かんせい運動うんどう変異へんいはかるセンサーなどで飛行ひこう方向ほうこう位置いち、それらの変位へんいりょうとうり、設定せってい照合しょうごうしながらみずか判断はんだんして誘導ゆうどうおこなう。
大型おおがた旅客機りょかくきのAFCSには一般いっぱんてきに、Gyroモード、Turn-Knobモード、HDG SELモード、ALT Holdモード、GAモード、VOR/LOCモード、ILSモード、INSモード、FMSモード、LANDモードがある。
Gyroモード(Attitude Hold Mode、姿勢しせい保持ほじモード)では、ロールかく中立ちゅうりつもど以外いがいはピッチかく機体きたい方位ほういをモード設定せっていのままたもつようにはたらく。Turn-Knobモード(Attitude Control Mode、姿勢しせい制御せいぎょモード)ではターン・ノブとピッチ・ノブの設定せっていになるようにそれぞれロールかくとピッチかく変更へんこう維持いじされることで機体きたい姿勢しせい変更へんこうされ維持いじされる。HDG SELモード(Heading Select Mode、機首きしゅ方向ほうこう設定せっていモード)では、あらかじめ水平すいへい位置いち指示しじけいでHDGノブで変更へんこうすべき方位ほうい設定せっていしてからHDG SELモードスイッチをれることで、設定せってい方向ほうこう旋回せんかいし、水平すいへい飛行ひこう状態じょうたい維持いじする。ALT Holdモード(Attitude Hold Mode、高度こうど保持ほじモード)では、おな高度こうど維持いじする。GAモード(着陸ちゃくりくふくぎょうモード)は着陸ちゃくりくふくぎょうおこなうモードである。
以降いこう航法こうほう情報じょうほうもとづいた誘導ゆうどうしたがった飛行ひこうおこなうモードである。VOR/LOCモードでは、あらかじめ水平すいへい位置いち指示しじけいのHDGノブで変更へんこうすべき方位ほうい設定せっていしておき、VORきょく受信じゅしんできたらVOR/LOCモードスイッチをれることで、設定せっていした角度かくどでVORきょく飛行ひこうできるまで直進ちょくしんしてから設定せってい方向ほうこう旋回せんかいしVORきょくむかって飛行ひこう維持いじする。VORきょくえても方位ほういたもつ。ILSモードでは、あらかじめ水平すいへい位置いち指示しじけいのHDGノブで変更へんこうすべき方位ほうい設定せっていしておき、ILS信号しんごう受信じゅしんできたらILSモードスイッチをれることで、ローカライザ・ビームを受信じゅしんして自動的じどうてき誘導ゆうどうされ滑走かっそう方向ほうこうちかづく。やがてグライドスロープ・ビームによる誘導ゆうどうしたがって自動的じどうてき降下こうかする。飛行ひこうは200フィートなどの一定いってい高度こうどまで降下こうかすると、AFCSを停止ていしして手動しゅどう操縦そうじゅうおこなう。INSモードは慣性かんせい誘導ゆうどう装置そうちによる誘導ゆうどうである。FMSモードは飛行ひこう管理かんりコンピュータであるFMSを使用しようした誘導ゆうどうである。LANDモード(自動じどう着陸ちゃくりくモード)は自動じどう着陸ちゃくりくおこなう。
フライト・ディレクタ (Flight Director) は、設定せっていした飛行ひこう姿勢しせいたもつのに必要ひつようなロールじくとピッチじく操縦そうじゅう操作そうさ姿勢しせい指示しじけい (Attitude Director Indivcator; ADI) に表示ひょうじするシステムである[16]

オートスロットル

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オートスロットル・システムはエンジン出力しゅつりょく自動的じどうてき制御せいぎょし、そく一定いっていたも装置そうちである。おも離着陸りちゃくりくもちいられる。AFCSが手動しゅどうモードでも、オートスロットル・システムを有効ゆうこうにできる。 オートスロットル・システムは、操作そうさパネルからの速度そくど設定せってい情報じょうほうや、ピトーかんによるたい速度そくどセンサー入力にゅうりょく電波でんぱ高度こうどけいからの入力にゅうりょく、ピッチ角度かくど補正ほせいした前後ぜんご加速度かそくど入力にゅうりょくて、エンジン出力しゅつりょく制御せいぎょする。 オートスロットルによるスロットルレバーの操作そうさはサーボモーターでおこなわれる。サーボモーター駆動くどうじくとスロットルレバーは摩擦まさつクラッチで接続せつぞくされ、一定いってい以上いじょうちからすべるようになっている。これにより、スロットルレバーを一定いってい以上いじょうちから操作そうさすることで一時いちじてきにエンジン出力しゅつりょく制御せいぎょ手動しゅどう上書うわがきでき、レバーからはなせばオートスロットルがレバー位置いち制御せいぎょもどす。スロットルレバーにはオートスロットルを無効むこう状態じょうたいえるスイッチがそなわっている。 AFCSが自動じどう着陸ちゃくりくモードにあれば、高度こうどけい設定せってい以下いかになるとエンジン出力しゅつりょく自動的じどうてきげて減速げんそく動作どうさおこな[16]

ATC(Air Traffic Control) システムは、機上きじょうのATCトランスポンダと地上ちじょうの2レーダーとから構成こうせいされる。厳密げんみつには航法こうほう装置そうちではなく、地上ちじょう管制かんせいかん滞空たいくうちゅう航空機こうくうき情報じょうほう機械きかい自動的じどうてきらせることで管制かんせい業務ぎょうむ支援しえんして安全あんぜんせいたかめるものである[23]

CADきゃどC

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CADC(Central Air Data Computer) は 機体きたい周囲しゅうい気圧きあつ温度おんどはか多数たすうのセンサるい(ピトーかんせいあつあなセンサ、客室きゃくしつあつけい客室きゃくしつあつセンサ、ぜん温度おんどセンサ)からの情報じょうほう一括いっかつしてり、統合とうごう処理しょりおこない、気圧きあつ高度こうどけいやIAS/MACHけい(Indicated Air Speed / Mach、指示しじたい速度そくどとマッハすう)、TAS/SATけい(True Air Speed / Static Air Temperature、たい速度そくどしず温度おんど)やオートスロットル・システムとうのセンサ情報じょうほう必要ひつようとするシステムに情報じょうほう提供ていきょうする。電力でんりょく喪失そうしつなどCADCの機能きのう停止ていしそなえて、ダイヤフラムしき気圧きあつ高度こうどけい指示しじたい速度そくどけい操縦そうじゅうせきのパネルにそなわっている[16]

EFIS(Electric Flight Instrument System、電子でんししき飛行ひこう計器けいきシステム)は、航法こうほう装置そうちるいやEICASとう情報じょうほうおもにFMSを経由けいゆして、操縦そうじゅうせき計器けいきパネルに表示ひょうじするシステムであり、操縦そうじゅう負担ふたん軽減けいげん視認しにんせい向上こうじょうのために操縦そうじゅう必須ひっす計器けいきおおきく常時じょうじ表示ひょうじし、表示ひょうじ随時ずいじえるようになっている。21世紀せいきからはカラー液晶えきしょうによる複数ふくすうめん表示ひょうじ採用さいようされ、Primary Flight Display (PFD) と、Navigation Display (ND) の主要しゅような2つの画面がめんをそれぞれの操縦そうじゅうしゃごとに座席ざせき正面しょうめんそなえる形式けいしきになっている[16][ちゅう 82]

エンジン計器けいき乗員じょういん警告けいこくシステム(EICAS:Engine Indication and Crew Alerting System)は、EFISによって実現じつげんしたエンジン計器けいきるい表示ひょうじシステムで、エンジンや燃料ねんりょう系統けいとうなど航空こうくう機関きかん担当たんとうしていた監視かんし業務ぎょうむ自動じどうし、降着こうちゃく装置そうち任意にんい機器きき情報じょうほう表示ひょうじおこなう。くわえてかく機器きき異常いじょう発生はっせいには故障こしょう箇所かしょ自動的じどうてき特定とくてい表示ひょうじ警告けいこくする機能きのうゆうする[8][16]

エアバスではどう機能きのう装置そうち電子でんししき集中しゅうちゅう航空機こうくうきモニター(ECAM、イーカム)とんでいる。

FMS(Flight Management System、飛行ひこう管理かんりシステム)は、機上きじょう搭載とうさいされた飛行ひこうかかわる多数たすうのコンピュータぐん飛行ひこう状態じょうたいセンサぐん航法こうほうセンサぐん、エンジン・センサぐん燃料ねんりょうセンサぐんなど多数たすうのサブシステムから構成こうせいされ、これらを統括とうかつ制御せいぎょするFMC(Flight Management Computer、フライト・マネジメント・コンピュータ)が中心ちゅうしんとなって、おも航法こうほう性能せいのう経済けいざいせい管理かんり誘導ゆうどうといった飛行ひこう全般ぜんぱん機能きのうつかさどり、操縦そうじゅうせきのEFISを経由けいゆすることでこれらのサブ・システムと操縦そうじゅうとの仲立なかだちとなる。

航法こうほう支援しえん
  • 水平面すいへいめん航法こうほうデータの算出さんしゅつ
  • VHF航法こうほう無線むせんきょく自動じどうせんきょく
  • EFISで飛行ひこう経路けいろとう表示ひょうじ
性能せいのう経済けいざいせい支援しえん
  • 垂直すいちょくめん航法こうほうデータの算出さんしゅつ
  • 最適さいてき推力すいりょく制御せいぎょ
誘導ゆうどう支援しえん
  • 性能せいのう情報じょうほう航法こうほう情報じょうほうからピッチとロールにかんする指令しれいをFCC/AFCS(飛行ひこう制御せいぎょコンピュータ/自動じどう操縦そうじゅう装置そうち)へおく

FMSには出発しゅっぱつまえウェイポイントふくむフライトプランとそれにかかわる無線むせんきょく空港くうこう基礎きそデータがまれており、操縦そうじゅうはいつでもCDUの操作そうさによってEFISのNDにマップモードとうせ、ウェイポイント情報じょうほうもと自動じどう操縦そうじゅうによって飛行ひこうすることも可能かのうである[16]。VOR/DMEきょく自動じどうせんきょくとADF/ILS/VOR/DMEの情報じょうほうもとづいてINSを修正しゅうせいすることもおこな[17]

モニタリング・システム

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おも飛行ひこうえたのち整備せいびせい向上こうじょうのために、いくつかの自動じどう記録きろくシステムが搭載とうさいされている。これらは一般いっぱん機上きじょう整備せいびシステム (Onboard Maintenance System; OMS) とばれ、機種きしゅやメーカーによって個別こべつのサブシステムから構成こうせいされる。 サブシステムの1つは、飛行ひこう性能せいのうモニター・システム (Airplane Condition Monitor System; ACMS) であり、べいボーイングしゃでもB-747初期しょきがたなどのふる機種きしゅ他社たしゃでは、飛行ひこう記録きろく集積しゅうせきシステム (Aircraft Integrated Data System; AIDS) とばれているものであり、もう1つは中央ちゅうおう整備せいびコンピュータ・システム (Central Maintenance Computer System; CMCS) などとばれるものである。

ACMS
ACMSは基本きほんてきにDMU(Data Management Unit) とデータ記録きろくより構成こうせいされ、あたらしい機種きしゅではこれに液晶えきしょうディスプレイやキーボード、トラックボールがくわわってさらに操作性そうさせいわる向上こうじょうしているものがある[ちゅう 83]。データ監視かんしとレポート作成さくせい、データ記録きろくおこなう。
CMCS
CMCSは不具合ふぐあい情報じょうほうやエンジンパラメータ、飛行ひこうパラメータ、操縦そうじゅうパラメータなどの情報じょうほうをデジタルレコーダによって記録きろくしておき目的もくてき交換こうかんされたり、飛行ひこうちゅうにACARSによって送信そうしんされたりして、これらの情報じょうほう機体きたい整備せいび部門ぶもんまわされる[16][ちゅう 84]

警報けいほうシステム

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21世紀せいき現在げんざい生産せいさんされている大型おおがた旅客機りょかくきには、さまざまな異常いじょう乗員じょういんらせるためにおおくの警報けいほうシステムがそなわっている。 警報けいほうシステムは機能きのうから3しゅ分類ぶんるいされる。

  1. 飛行ひこう状態じょうたい異常いじょうとなったことらせる
  2. スイッチやレバーなどがただしい位置いちにないなど、誤操作ごそうさらせる
  3. 制御せいぎょシステムのいずれかが正常せいじょう作動さどうしない、機内きない環境かんきょう異常いじょうがあるなどをらせる

機内きない警報けいほうシステムはしゅ警報けいほうシステムにまとめられており、それぞれ個別こべつ警報けいほうシステムのあかやオレンジの警報けいほうとうのいずれか1つでも点灯てんとうすれば[ちゅう 85]乗務じょうむいんからもっとにつきやすい位置いちにあるあかまたはオレンジのしゅ警報けいほうとう点灯てんとうして、乗務じょうむいん個別こべつ警告けいこくとう確認かくにんするようにうながす。 警報けいほうはランプの点灯てんとう同期どうきしてブザーやチャイム、ホーンおん音声おんせいメッセージといったおとでもつたえられ、機械きかいてきなものではフラッグでしめすものもある。警報けいほうつたえる手段しゅだん調子ちょうしには、人間にんげん工学こうがくもとづき危険きけんおうじた工夫くふうくわえられている。 以下いか個別こべつ警報けいほうシステムをしめす。

操縦そうじゅうとうかんするもの

離陸りりく警報けいほうシステム(Take-off warning system)
離陸りりくにフラップ、水平すいへい安定あんていばん、スポイラーなどの角度かくど位置いちただしくないと、ブーブーブーという断続だんぞく警報けいほうおん操縦そうじゅうらせる。
着陸ちゃくりく警報けいほうシステム(Landing warning system)
ブーという持続じぞく警報けいほうおんはっする。
着陸ちゃくりく装置そうち警報けいほうシステム(Landing gear warning system)
着陸ちゃくりく装置そうちただしい脚下きゃっか位置いちになっていないのに着陸ちゃくりく操作そうさおこなうと、赤色あかいろ警報けいほうとう点灯てんとう操縦そうじゅうらせる。
自動じどう操縦そうじゅうシステム開放かいほう警報けいほうシステム(Auto-pilot disengage warning system)
操縦そうじゅう意図いとしたか予期よきせずにおこなわれたかにかかわらず自動じどう操縦そうじゅうシステムが自動じどう操縦そうじゅうモードからはずれた場合ばあいに、ワゥワゥワゥという警報けいほうおんとも警告けいこくとう点滅てんめつさせてらせる。
最大さいだい運用うんよう速度そくど警報けいほうシステム(Max air-speed warning system)
運用うんよう限界げんかい速度そくど (Operation limitation speed) をえると、カタカタとおとらして操縦そうじゅうらせる。
失速しっそく警報けいほうシステム(Stall warning system)
失速しっそく速度そくど手前てまえで7 - 10 %ほどの余裕よゆうしかなくなると、操縦そうじゅう桿をガタガタとらせて失速しっそく危険きけん操縦そうじゅうらせる。
ウインドシア警報けいほうシステム(Wind-shear warning system)
ウインドシア警報けいほうシステムはB-747やDC-10よりのちのすべての大型おおがた旅客機りょかくきそなわっており、離着陸りちゃくりくウインドシアけると危険きけんであるため、気象きしょうレーダーとう情報じょうほう分析ぶんせきして飛行ひこう前方ぜんぽうでウインドシアが発生はっせいする危険きけんせいたか場合ばあい警告けいこくとう警報けいほうメッセージをはっして機首きしゅげを指示しじする。離着陸りちゃくりくには低速ていそく高度こうどひくいため過剰かじょう機首きしゅげは失速しっそくまねく。失速しっそくけるためにあたらしい機種きしゅでは失速しっそくまねかない機首きしゅかく機首きしゅ余裕よゆうしめすようになっている。
高度こうど警報けいほうシステム(Altitude warning system)
選択せんたくした高度こうどちかづきつあるとき、または、選択せんたくした高度こうどからはずれてゆくときに、ドミソの和音わおんによる警報けいほうおんはっし、警告けいこくとう点灯てんとう、または点滅てんめつさせて操縦そうじゅうらせる。
てい高度こうど警報けいほうシステム(Decision height aural warning system)
着陸ちゃくりく侵入しんにゅうちゅう着陸ちゃくりく続行ぞっこう着陸ちゃくりくふくぎょうかの決心けっしんもとめる高度こうどであるデシジョンハイト(着陸ちゃくりく決心けっしん高度こうど)にたっすると、ドミソの和音わおんによる警報けいほうおんを3らして、デシジョンハイトとう点灯てんとうさせて操縦そうじゅうらせる。
TCAS
TCAS(衝突しょうとつ防止ぼうし装置そうち、Traffic alert and Collision Avoidance System)とばれる装置そうちによって空中くうちゅう衝突しょうとつ危険きけんせい最小さいしょうされている[16]
GPWS
GPWS(対地たいち接近せっきん警報けいほう装置そうち、Ground Proximity Warning System、TPWS; Terrain Proximity Warning System)は、地上ちじょうからの高度こうど監視かんしして危険きけんなほどちかづいたとき警報けいほうはっする装置そうちである。電波でんぱ高度こうどけいとCADC、グライドスロープ受信じゅしんあしセンサ、フラップ角度かくどセンサ、フラップ・オーバーライド・スイッチからの入力にゅうりょくけて、操縦そうじゅうせきへスピーカーとライトによる9種類しゅるい警報けいほうはっする。おおくの旅客機りょかくき搭載とうさいしている[23]

機内きない環境かんきょうかんするもの

火災かさい警報けいほうシステム(Fire warning system)
エンジン火災かさい、APU火災かさいあし格納かくのうしつ加熱かねつ貨物かもつしつ発煙はつえんなどを検知けんちしておおきなベルおん場所ばしょしめすランプでらせる。
客室きゃくしつあずかあつ異常いじょう警報けいほうシステム(Cabin altitude warning system)
客室きゃくしつあずかあつ高度こうど1まんフィート以上いじょう相当そうとうするひく圧力あつりょくまで低下ていかすると断続だんぞくてき警報けいほうおんらせる。
ドア警報けいほうシステム(Door warning system)
あずかあつ部分ぶぶんのドアにロックがかっていないとオレンジしょく警報けいほう表示ひょうじばん点灯てんとうする[9]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 経済けいざいてき安全あんぜん範囲はんいでの飛行ひこうとは、ある程度ていど以上いじょう飛行ひこう回数かいすうえれば、おもかえ疲労ひろうによる強度きょうど部材ぶざい強度きょうど低下ていか機体きたい各部かくぶ多数たすう発生はっせいしてしまい、それでも安全あんぜん飛行ひこうするためには点検てんけん保守ほしゅ手間てま時間じかん費用ひようがかさむのであらたに機体きたい購入こうにゅうするほういという限界げんかいまえす。
  2. ^ 旅客機りょかくきには日本にっぽんの「たいそらせい審査しんさ要領ようりょう」で「制限せいげん荷重かじゅう倍率ばいりつ」が+2.5から-1.0までが設定せっていされ、これに安全あんぜん倍率ばいりつの1.5をじょうじた強度きょうど機体きたい全体ぜんたいもとめられている。世界せかいてきにも同様どうようである。
  3. ^ 構造こうぞう部材ぶざい強度きょうどしめ尺度しゃくどの1つに破壊はかい靱性(はかいじんせい、Fracture toughness)とび、Kc(Critical stress intensity factor) であらわす。たとえば航空機こうくうきよう強度きょうど部材ぶざいとして多用たようされるアルミニウム合金ごうきんに、"2024-T3"と"7075-T6"があり、それぞれのKcやく450 kg/mmやく250 kg/mmであり2024-T3のほうが7075-T6よりもおおきな荷重かじゅうけないとクラックの進行しんこう急速きゅうそくすすむことがないといえる。これが2024-T3がそとばん採用さいようされる理由りゆうの1つである。
  4. ^ 長年ながねん飛行ひこうしている機体きたいでは、客室きゃくしつドア機体きたい外面がいめんすみにパッチをてたあとることができる。
  5. ^ 旅客機りょかくきかぎらず航空機こうくうきは、軽量けいりょう構造こうぞう部材ぶざい十分じゅうぶん強度きょうどられるように設計せっけいされているが金属きんぞく疲労ひろうのようなちいさな機体きたい構造こうぞう部分ぶぶんてき破壊はかい全体ぜんたい波及はきゅうすることで空中くうちゅうでバラバラになる重大じゅうだい事故じこきないように、ちいさな破壊はかい箇所かしょ拡大かくだいすることなく周囲しゅうい部材ぶざい負荷ふか分散ぶんさんして負担ふたんするように考慮こうりょされている。こういった、1つのトラブルだけでは致命ちめいてき問題もんだいとならないようにする設計せっけいは「フェイルセーフ」設計せっけいばれ、構造こうぞう設計せっけいだけにかぎらず、航空機こうくうき全体ぜんたい採用さいようされている設計せっけい思想しそうである。フェイルセーフによる構造こうぞう設計せっけいでは、負荷ふか分散ぶんさんしてつリダンダント構造こうぞう常時じょうじ2つ以上いじょう部材ぶざい負荷ふかじゅう構造こうぞう設計せっけい、1つの部材ぶざい破壊はかいされたとき負荷ふかつバックアップ設計せっけいしゅ構造こうぞう破壊はかいされても周囲しゅうい補強ほきょうざい負荷ふか分担ぶんたんするロード・ドロップ設計せっけい、などがある。
  6. ^ おな航空機こうくうきでも現代げんだい戦闘せんとうでは、そとばん機体きたいささえるモノコック構造こうぞう(Monocoque structure、はりがら構造こうぞう)やセミモノコック構造こうぞう(Semi-monocoque structure、はんはりがら構造こうぞう)はらず、機体きたい内部ないぶ強靭きょうじん金属きんぞくフレームによって機体きたいささえるロンジロン構造こうぞう (Longeron structure) が採用さいようされている。軍用ぐんよう輸送ゆそうおおくが旅客機りょかくき同様どうようにセミモノコック構造こうぞう採用さいようしている。
  7. ^ トラス構造こうぞうは「フレーム構造こうぞう」ともばれ、モノコック構造こうぞう(Truss structure)は「応力おうりょく外皮がいひ構造こうぞう」や「ちょうから構造こうぞう」ともばれる。
  8. ^ きゅうソビエトせい航空機こうくうきではてん溶接ようせつ採用さいようしたものもあったが、いまでも世界せかいてきには一般いっぱんてきではない。
  9. ^ DC-10とB-727の後部こうぶ圧力あつりょく隔壁かくへきは、前部ぜんぶ圧力あつりょく隔壁かくへき同様どうよう平面へいめんじょうになっている。
  10. ^ あずかあつうしなわれる事態じたいで、機内きない空気くうきあずかあつしつ後部こうぶなどへ場合ばあいでも、主要しゅよう機能きのううしなわれずに安全あんぜん着陸ちゃくりくできるように設計せっけいされている。あずかあつ喪失そうしつ同様どうように、ジェット・エンジンのローターが破損はそんしてそれが飛散ひさんする「ローター・バースト」にも安全あんぜん着陸ちゃくりくできるように、ローター・ディスクから前後ぜんご3角度かくどないとファン・ブレードの前後ぜんご15角度かくどないには重要じゅうよう装置そうちかないようにしており、そこをとおるコントロール・ケーブルるい破損はそん考慮こうりょしている。
  11. ^ つばさ形状けいじょうは、時代じだいともそうりゅうつばさがたからピーキーつばさがた、スーパークリティカルつばさがたへとすすんだ。
  12. ^ ジェット機じぇっとき速度そくど領域りょういきでは、フィレットによるうず発生はっせい抑止よくし効果こうかいとするかんがえもある。
  13. ^ 「フィレット」はエンジンナセルやスパッツと同様どうように「フェアリング」とばれることもある。
  14. ^ 航続こうぞく距離きょりなが機体きたいでは、つばさはしにウイングレットやウイングフィン、ウイングチップとばれるしょうつばさくことがおおくなっている。これらのしょうつばさによってつばさはししょうじるうずつばさはしうず)をらし誘導ゆうどう抵抗ていこうらしている。主翼しゅよくながく、さきくほどほそく(縦横じゅうおうおおきく)されるのも誘導ゆうどう抵抗ていこうらすためである。誘導ゆうどう抵抗ていこうはさまざまな姿勢しせいでの飛行ひこうちゅうぜん抵抗ていこううちの40 %前後ぜんごになるため、縦横じゅうおうおおきくすることが経済けいざいてきにも重要じゅうようである。
  15. ^ つばさ上下じょうげにたわむことを前提ぜんていとして設計せっけいされ、円筒えんとうがた胴体どうたい気圧きあつ変化へんかおうじて膨張ぼうちょう収縮しゅうしゅくかえすことを前提ぜんてい設計せっけいされている。柔軟じゅうなんつばさ変形へんけいすくない胴体どうたいというたがいにことなるうごきをする2種類しゅるい金属きんぞくせい構造こうぞうざい結合けつごうすることは、航空機こうくうき設計せっけいにおいて長年ながねんのあいだおおきな課題かだいである。コンピュータによる構造こうぞう計算けいさんおこなえるようになってからはじめて、現在げんざいのようなあつみのある中央ちゅうおうつばさ構造こうぞう強度きょうどたもたれたが、それ以前いぜん力学りきがくてき変形へんけい影響えいきょうたがいにおよぼしわないないように、つばさ胴体どうたい部分ぶぶんにいくつかのおおきなヒンジで結合けつごうされていた。
  16. ^ エンジン位置いちは、そのにも燃料ねんりょう系統けいとう配管はいかん位置いちによる安全あんぜんせいやエンジン停止ていし推力すいりょくバランス変化へんか影響えいきょう、ジェットりゅうつばさめんへの影響えいきょうなどが考慮こうりょされる。
  17. ^ エンジンの信頼しんらいせい向上こうじょうしたため3つのエンジンをった旅客機りょかくき姿すがたして、2はつと4はつの2形式けいしきだけになっており、21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいでは経済けいざいせいめんすぐれる2はつえる傾向けいこうがある。
  18. ^ 主翼しゅよくつばさめん荷重かじゅうおうじてつばさあげこう変化へんかし、最適さいてきむかいかくれる高度こうどわってゆく。実際じっさい運航うんこうでは燃料ねんりょう消費しょうひによってかるくなった機体きたい主翼しゅよくつばさめん荷重におも減少げんしょうおうじて、最小さいしょう燃料ねんりょう消費しょうひとなるように巡航じゅんこう高度こうどすこしずつげながらんでいる。
  19. ^ 大型おおがた旅客機りょかくきでは、変動へんどうする重心じゅうしん許容きょよう範囲はんいは、客室きゃくしつながさの4 % 程度ていどになっている。
  20. ^ 主翼しゅよくにはぜんえんこうえん多数たすうどうつばさがあるので、主翼しゅよく構造こうぞう部材ぶざい中央ちゅうおうつらぬくことになり、そのはこじょう構造こうぞう内部ないぶ燃料ねんりょうタンクとして利用りようしている。主翼しゅよくない燃料ねんりょうタンクをつと、エンジンにちかいために危険きけん燃料ねんりょう配管はいかんみじかつくれ、飛行ひこうちゅう揚力ようりょく主翼しゅよくがそのまま燃料ねんりょうタンクの荷重かじゅうけるため都合つごういが、燃料ねんりょう給油きゅうゆ地上ちじょうちゅうしているあいだはエンジンと燃料ねんりょうタンクの荷重かじゅうによるつばさへの疲労ひろうす。内部ないぶ燃料ねんりょう機体きたい動静どうせいおうじてうごくと飛行ひこう不安定ふあんていとなるため、おおきなタンクないには仕切しきりがけられている。タンクない底部ていぶにはサンプとばれるみずきがそなわり、燃料ねんりょうじってはいみず適時てきじ排出はいしゅつする。サンプ部分ぶぶんにはとくみずたいするぼうさび処理しょりほどこされる。かくタンクは2 %以上いじょうせきち、またまんいちタンクに許容きょようりょう以上いじょう加圧かあつ給油きゅうゆおこなわれてもタンクや機体きたい破壊はかいされずに燃料ねんりょう排出はいしゅつされる構造こうぞうになっている。
  21. ^ エアバスしゃのA380では中央ちゅうおうつばさないはセンター・タンクになっていない。A380の燃料ねんりょうタンクすべてをたすことはできず、上限じょうげんやく31まんリットルである。
  22. ^ 中央ちゅうおうつばさないにセンター・タンクを機体きたいでは、しゅあしはセンター・タンクのすぐ後部こうぶ格納かくのうするレイアウトが採用さいようされている。
  23. ^ 米国べいこくなどではあし陸上りくじょうようのタイヤ、水上すいじょうようのフロート、雪上せつじょうようのスキッドのいずれであってもすべてを"Landing Gear"(着陸ちゃくりく装置そうち)とぶことがおおいが、日本にっぽんでは降着こうちゃく装置そうちぶこともあり、航空こうくうほうでは降着こうちゃく装置そうち着陸ちゃくりく装置そうち両方りょうほう用語ようご使つかわれている。
  24. ^ エアバスA380しゅあしだけで4ほんはしら合計ごうけい20りんのタイヤをっている。
  25. ^ しゅあしに6ほんもタイヤをつとボギーがながくなり、前輪ぜんりんおおきなみさおこうかくるとおもあしタイヤに均一きんいつよこ方向ほうこうちからかり、横滑よこすべりを強要きょうようされるようになる。ボーイングしゃのB-747の胴体どうたいがわしゅあし2ほんぜんあしみさおこう装置そうち連動れんどうしたしゅあしみさおこう装置そうちばれるタイヤのきをえる油圧ゆあつしき装置そうちそなわっている。B-777では、それぞれのしゅあし6ほんのタイヤのうちうしろの2りん油圧ゆあつしきしゅあしみさおこう装置そうち装置そうちそなわり、ぜんあしみさおこう角度かくどが10以上いじょうになるとこの2りんのタイヤだけきをえるようになっている。
  26. ^ ストレッチ・アクリルばんはアクリルばん加熱かねつした状態じょうたいで、縦横じゅうおうそれぞれ1.7ばい程度ていどばしたものであり、樹脂じゅし分子ぶんし配列はいれつ整列せいれつさせることでれにくくしている。
  27. ^ ボーイングしゃのB-737、B-767、B-777では操縦そうじゅうせき側面そくめんまどよこにスライドしてひらく。まどひらかない機体きたいではべつ天井てんじょうなどに非常ひじょう脱出だっしゅつこうそなわっている。
  28. ^ 機軸きじくたいして前方ぜんぽう15以上いじょう角度かくどったまどのすべてについては、巡航じゅんこう速度そくどで4ポンド (1.8 kg)のとり衝突しょうとつしてもやぶれない強度きょうど要求ようきゅうされる。
  29. ^ 高空こうくう飛行ひこうちゅう客室きゃくしつのドアがひらいたりうしなわれると空気くうきとも固定こていされていないものが機外きがい放出ほうしゅつされ、同時どうじあずかあつ短時間たんじかんうしなわれされるために乗員じょういん乗客じょうきゃく失神しっしん障害しょうがいける可能かのうせいたかい。
  30. ^ 非常時ひじょうじには搭乗とうじょうしゃ全員ぜんいんが90びょう以内いない機外きがい安全あんぜん脱出だっしゅつできるよう義務付ぎむづけられている。外部がいぶからひらくことができるドアには、ドアの周囲しゅうい外面がいめんいろ反対はんたいいろ塗装とそうすることが義務付ぎむづけられている。
  31. ^ 非常ひじょう脱出だっしゅつようのドアにかんしては、おおきさと位置いち一定いってい時間じかんない脱出だっしゅつ可能かのう人数にんずうなどが厳格げんかく規定きていされており、これが機種きしゅごとでの営業えいぎょう運航うんこう可能かのう最大さいだい乗客じょうきゃくすう上限じょうげんとなることがおおい。ギャレーよう荷物にもつ搬入はんにゅうのためにサービスドアという名称めいしょうのドアももうけられることがあるが、客室きゃくしつフロアのものは乗員じょういん乗客じょうきゃくようのドアと同様どうよう機体きたい左右さゆう対称たいしょうそなえられたまったくおな構造こうぞうであり、緊急きんきゅうには非常ひじょうよう脱出だっしゅつこうとなる。
  32. ^ 1970年代ねんだいだい3世代せだいジェット旅客機りょかくきからは、客室きゃくしつのドアは非常ひじょう脱出だっしゅつこうとしての機能きのうもとめられるようになり、左右さゆう対称たいしょうおおくのドアがそなえられるようになっている。
  33. ^ エアバス A380ではぜん2かいてになったことで胴体どうたい断面だんめん形状けいじょう縦長たてながになり、そのまま先頭せんとうの1かいと2かい中間ちゅうかんたかさに操縦そうじゅうしつもうけることで良好りょうこう視界しかい確保かくほできた。
  34. ^ 過去かこには航空こうくう機関きかんせき操縦そうじゅうしつみぎ後方こうほうにあったが、21世紀せいき現在げんざいでは左側ひだりがわ機長きちょう右側みぎがわふく操縦そうじゅうの2めい操縦そうじゅうするのが一般いっぱんてきになっている。
  35. ^ 操縦そうじゅうたち飛行ひこうちゅう最低さいていでも1人ひとり操縦そうじゅうせき操縦そうじゅう担当たんとうするようにもとめられており、2人ふたり操縦そうじゅうのいずれかがトイレなどでせきはなれる場合ばあいには、操縦そうじゅうせきのこものはそのたびに酸素さんそマスクを装着そうちゃくするよう義務付ぎむづけられている。操縦そうじゅうせき交代こうたいべる食事しょくじ食中毒しょくちゅうどく危険きけんせい最小限さいしょうげんにするため、ことなるメニューをることが義務ぎむとなっている。
  36. ^ 乗務じょうむいんよう休憩きゅうけいしつ機内きない位置いちについては、長距離ちょうきょり路線ろせんよう大型おおがた旅客機りょかくき製造せいぞうしている航空機こうくうきメーカーによって思想しそうことなる。エアバスしゃでは床下ゆかした貨物かもつしつへの出入でいぐちともにUL3コンテナを左右さゆう2つなげた休息きゅうそく専用せんようのコンパートメント・モジュールや乗客じょうきゃくよう設備せつび開発かいはつして必要ひつようおうじて1個いっこ以上いじょう搭載とうさいするとしているのにたいして、幅広はばひろ胴体どうたいのB-777をつボーイングしゃでは、貨物かもつ料金りょうきん収入しゅうにゅうらさずに屋根裏やねうら空間くうかん利用りようした乗務じょうむいん休憩きゅうけいしつもうけている。たとえばA340-500と-600ではおおきめのコンパートメント・モジュールをめるようになっており、実際じっさいにルフトハンザ航空こうくうのA340-600では客室きゃくしつ床下ゆかした貨物かもつしつには乗務じょうむいんよう休憩きゅうけいモジュールとその手前てまえには乗客じょうきゃくよう洗面せんめんしょモジュールが搭載とうさいされている。ただしエアバスしゃでもA380では客室きゃくしつおなじフロアに乗務じょうむいんよう休憩きゅうけいしつもうけられている。
  37. ^ 乗客じょうきゃくよう座席ざせきは、たいそらせい審査しんさ規定きていによって、乗客じょうきゃく1にん体重たいじゅう77 kgとして想定そうていした場合ばあいに、機体きたいが10横滑よこすべ状態じょうたい前方ぜんぽう方向ほうこうたいする16 Gまでの加重かじゅうと、30横滑よこすべ状態じょうたいおなじく14 Gまでの加重かじゅう瞬間しゅんかんてきえることがもとめられる。
  38. ^ 機内きないエンタテイメント・サービス・システムも提供ていきょう番組ばんぐみすうえると配線はいせんすう膨大ぼうだいとなるため、客室きゃくしつへの配線はいせんなどをまとめるための共通きょうつう規格きかくがある。"ARINC 429"がふる規格きかくであり、"ARINC 629"があたらしい規格きかくである。
  39. ^ 日本にっぽん旅客機りょかくきでは、NTTによる「機内きない公衆こうしゅう電話でんわ」としてくだり900 MHz / のぼり940 MHzのSSB方式ほうしき1チャンネルの無線むせん電話機でんわき搭載とうさいされており、日本にっぽん国内こくない6ヶ所かしょ地上ちじょうきょく経由けいゆして通話つうわ可能かのうになっている。
  40. ^ 化粧けしょうしつ男性だんせいよう女性じょせいようける場合ばあいもある。
  41. ^ LD-3コンテナは米国べいこく航空こうくう輸送ゆそう協会きょうかい (ATA) の規定きていであり、世界せかいてき標準ひょうじゅんとなった。
  42. ^ 従来じゅうらいは、火災かさい検知けんち消火しょうか装置そうちうCきゅうと、通気つうき制限せいげんして火災かさいめるだけのDきゅうという2つがたいそらせい基準きじゅん耐火たいかせい規定きてい存在そんざいしていたが、1998ねんからはDきゅう廃止はいしされてCきゅうだけになった。
  43. ^ 旅客機りょかくきようタイヤはたとえば4はつジェット機じぇっときでは着陸ちゃくりくには最大さいだい400 km/hの速度そくどえる必要ひつようがあり、これは静的せいてき荷重かじゅうで22トン、動的どうてき荷重におもでは32トンになる。
  44. ^ ジャンボジェット機じぇっときのタイヤでも直径ちょっけい1.3 m、はば50 cmにぎない。
  45. ^ トレッドのみぞは、一般いっぱんに4 - 6ほん直線ちょくせんてきみぞけられている。
  46. ^ 21世紀せいき現在げんざい航空機こうくうきようタイヤのすべてはナイロンを内蔵ないぞうしている。このナイロンを使用しようしたタイヤは、格納庫かくのうこなどに数日すうじつちゅうすることで機体きたいせい荷重かじゅう底面ていめんとなっていた特定とくてい個所かしょつづけ、ナイロン・フラット・スポットとばれる変形へんけいこす。この変形へんけい滑走かっそうちゅう振動しんどうこすので乗員じょういん乗客じょうきゃく不安ふあん不快ふかいまねく。寒中かんちゅう内圧ないあつ低下ていかした状態じょうたいではよりはげしくなり、25 - 50 %もの変形へんけいとなる。飛行ひこうまえであっても機体きたいをわずかに移動いどうさせ、スポットめんうえになるようにすれば1あいだほどで修正しゅうせいされる。長期ちょうきちゅうでは2にちごとにすこ移動いどうさせるなどの配慮はいりょもとめられる。
  47. ^ 少数しょうすうではあるが、ボーイングしゃのB-727のように前輪ぜんりんにもブレーキをそなえるものがある。ブレーキ・ペダルのみによって最初さいしょしゅあしのブレーキがはたらき、ペダルをさらにむことでげの後半こうはんから前輪ぜんりんブレーキがはたらはじめる。
  48. ^ 今日きょうでは自動車じどうしゃでも一般いっぱんてきになっているアンチスキッド装置そうち (ABS) も、元々もともと航空機こうくうき着陸ちゃくりく安全あんぜんみじか距離きょり機体きたい停止ていしさせるために開発かいはつされた技術ぎじゅつである。
  49. ^ 小型こがたでは衝突しょうとつ防止ぼうしとう赤色あかいろになる。
  50. ^ あずかあつは、従来じゅうらい最大さいだい高度こうど2,400 m相当そうとう機内きない気圧きあつ維持いじされていたが、A380やB-787では高度こうど1,500 mに相当そうとうする、より地上ちじょうちか圧力あつりょく維持いじするようになっている。
  51. ^ 機内きないつねに1気圧きあつたもつと、膨張ぼうちょう収縮しゅうしゅく前提ぜんていとしたセミモノコック構造こうぞう金属きんぞく疲労ひろうおおきくして機体きたい寿命じゅみょうちぢめるため、ひと影響えいきょうのない程度ていどまで減圧げんあつ許容きょようしている。
  52. ^ むかしのレシプロエンジンでは、空調くうちょうよう圧縮あっしゅく搭載とうさいしていた。
  53. ^ B-787では電動でんどう圧縮あっしゅくそなえ、つばさ防除ぼうじょごおり電熱でんねつしきになっている。
  54. ^ ジェットエンジンは、ファンの回転かいてんじくより歯車はぐるまによってエンジンコアがい回転かいてんりょく発電はつでんはた燃料ねんりょうポンプオイルポンプといったるい一体いったいとなったAGB(Accessary Gear Box、駆動くどうようギアボックス)を駆動くどうしている。エンジンの回転かいてんすう一定いっていではないため、じょうそく駆動くどう装置そうち (Constant Speed Drive, CSD) によって回転かいてんすう一定いっていになるよう調整ちょうせいされたのち交流こうりゅうしき発電はつでん回転かいてんつたえられる。
  55. ^ たとえばB-747がたの4つの発電はつでんはそれぞれが60 kVAを発電はつでんすることで150 - 200 kVAの最大さいだい消費しょうひ電力でんりょく対応たいおうする。地上ちじょう一般いっぱんてきな50 / 60 Hzよりたか周波数しゅうはすうの400 Hzにすることによって、電圧でんあつ変換へんかんようトランスのコアをちいさく軽量けいりょうできるためである。発電はつでん通常つうじょう並列へいれつ運転うんてんされて支障ししょうかぎりすべてが単一たんいつ電力でんりょく母線ぼせん接続せつぞくされる。異常いじょうがある交流こうりゅうしき発電はつでん電力でんりょく母線ぼせんからはなされる。それぞれの発電はつでんたがいの有効ゆうこう出力しゅつりょく無効むこう出力しゅつりょくひとしくなるように、位相いそう負荷ふか制御せいぎょされる。
  56. ^ エンジンの回転かいてんじくからギヤで駆動くどうされる交流こうりゅうしき発電はつでんでは周波数しゅうはすう変動へんどうしょうじるために、1930年代ねんだいからのCSD(じょうそく駆動くどう装置そうち)や、1970年代ねんだい以降いこうにはCSDと発電はつでん一体いったいになったIDGが導入どうにゅうされたこともあり、また1970年代ねんだい以降いこうには発電はつでん自由じゆう回転かいてんさせておいて半導体はんどうたい素子そしによって一定いってい周波数しゅうはすうつくるVSCF(変速へんそくてい周波しゅうは)も一部いちぶ導入どうにゅうされることもあったが、1990ねん以降いこうは、変動へんどうする交流こうりゅう周波数しゅうはすうをそのまましゅ電源でんげんとして電力でんりょく消費しょうひおおきいが周波数しゅうはすう変動へんどう影響えいきょうけない機器ききだけを接続せつぞくする方式ほうしきえる傾向けいこうがある。
  57. ^ オイルポンプは必要ひつようおうじておくりょう調整ちょうせいできる可変かへん吐出としゅつりょうがたであり、また、大型おおがたでは長大ちょうだい油圧ゆあつ配管はいかんそのものがアキュムレータのはたらきをするため、アキュムレータをたないことがある。たとえばちゅうちゅうあしのブレーキ・システムのように、ポンプを停止ていしした状態じょうたいでも、アキュムレータによって油圧ゆあつシステムは加圧かあつ状態じょうたい維持いじできるようになっている。
  58. ^ 圧縮あっしゅく空気くうき系統けいとう基本きほんてき完全かんぜん多重たじゅうはされていないが、いずれか系統けいとう一部いちぶ機能きのううしなってもマニホールドあいだのアイソレーション・バルブで連絡れんらくすることで影響えいきょう極小きょくしょうはかるなど、できるだけ飛行ひこう支障ししょうないように工夫くふうされている。
  59. ^ B-787では、ゼネラル・エレクトリックしゃのGEnxエンジンとロールスロイスしゃのトレント1000エンジンの両方りょうほうでニューマチックようこうあつ空気くうきの抽気システムと圧縮あっしゅく空気くうきしき始動しどうタービンを廃止はいしして、わりに電動でんどうスターターをねた発電はつでん強力きょうりょくにして、従来じゅうらいは抽気した高温こうおんだかあつ空気くうき供給きょうきゅうしていた機内きないあずかあつ空調くうちょうシステムや主翼しゅよくぜんえんなどのちゃくごおり防止ぼうしシステムへは、電動でんどうポンプや電気でんきヒーターによって対応たいおうしている。
  60. ^ 鋭角えいかく突起とっきさきはしまるくすることで電荷でんか集中しゅうちゅうける。
  61. ^ 燃料ねんりょう残留ざんりゅう正確せいかくることは、経済けいざいてき飛行ひこうおこなうためだけでなく、滞空たいくう可能かのう時間じかん限界げんかいることで安全あんぜん確保かくほにも重要じゅうようである。おおくの大型おおがた航空機こうくうきでは、機体きたいかたむきなどを考慮こうりょして、1つのタンクないでの複数ふくすう箇所かしょせいでん容量ようりょうセンサーによるざんあぶらめんたかさからコンピュータでできるだけ正確せいかくざんあぶらりょう計測けいそくしている。いくつかのあたらしい機体きたいではタンクない燃料ねんりょう密度みつどはかるセンサーをそなえるものもある。
  62. ^ 日本にっぽんでは民間みんかん航空機こうくうき常用じょうよう設備せつびは「たいそらせい審査しんさ要領ようりょう」で規定きていされている
  63. ^ 客室きゃくしつ乗務じょうむいんはドアモードの変更へんこうには、シューターがドア開口かいこう部下ぶかえんにラッチでつながれてドアをけばシューターがふくらんで素早すばや避難ひなんできるようにするか、または、地上ちじょうくだする時点じてんでは、つながれたものをはずしてドアがひらいても膨張ぼうちょうしないようにしている。
  64. ^ あずかあつうしなわれる事態じたいとは、おおむね14,000フィート以上いじょう高度こうどでの気圧きあつ意味いみしている。これに相当そうとうする気圧きあつより機内きないひくくなるとダイヤフラムしきのアネロイド・スイッチが接続せつぞくされて、自動的じどうてき乗客じょうきゃくよう緊急きんきゅう酸素さんそ装置そうちのドア開放かいほう機構きこう作動さどうし、ビニールチューブにぶらがったマスクが座席ざせき頭上ずじょう部分ぶぶんからちてくる。乗務じょうむいん操作そうさでも同様どうよう起動きどうできる。乗客じょうきゃくようのものはおおむ固体こたいしき酸素さんそ発生はっせい装置そうちであるが、この状態じょうたいでもまだ酸素さんそ発生はっせい装置そうち酸素さんそ発生はっせいしていない。いくつかのマスクごとが1くみとなって1つの酸素さんそ発生はっせい装置そうち共有きょうゆうしており、いずれか1つでもチューブがかれることで化学かがく反応はんのうはじまる。こうあつしき液体えきたいしきのものでは床下ゆかしたなどに集中しゅうちゅうしきのボンベがかれ、配管はいかんによって頭上ずじょうみちびかれている。この形式けいしきでは1つ1つのマスクが各々おのおの小型こがたのバルブを開放かいほうするためのピンに接続せつぞくされており、かれたマスクからのみ、酸素さんそ供給きょうきゅうされる。
  65. ^ 乗客じょうきゃくよう酸素さんそマスクにはリザーバとばれるふくろいていて、酸素さんそ一時いちじてきたくわえることでこまかな調節ちょうせつはぶいてほそかんから連続れんぞくてき供給きょうきゅうしている。
  66. ^ 乗員じょういんよう酸素さんそボンベは酸素さんそしめ緑色みどりいろられ機体きたいちょうじく直角ちょっかくにボンベのはしけて設置せっちするなどが規定きていされている。
  67. ^ 客室きゃくしつよう緊急きんきゅうよう酸素さんそには化学かがくしき酸素さんそ発生はっせい装置そうち使用しようされることがおおい。これは塩素えんそさんナトリウムや塩素えんそさんカリウムの粉末ふんまつ金属きんぞく容器ようきめておき、内部ないぶ電気でんきヒータや電気でんき雷管らいかん点火てんかすることで徐々じょじょ酸素さんそ塩化えんかナトリウムや塩化えんかカリウムに化学かがく反応はんのうすす仕組しくみになっている。一度いちど反応はんのう開始かいしすれば容器ようき高温こうおんとなって停止ていしもできないが、薬剤やくざいは(一応いちおうじゅうねん程度ていど保証ほしょう期間きかん設定せっていされているが)実質じっしつてきには半永久はんえいきゅうてき安定あんていした品質ひんしつたもたれるために、打撃だげき信管しんかんもちいることで動作どうさ確実かくじつせいがある。ポータブルよう酸素さんそ発生はっせい装置そうちとしてももちいられる。ほかにもごく低温ていおんたもつボンベごと飛行ひこうごとに交換こうかんする液体えきたい酸素さんそしきのものもある。
  68. ^ B-777やA321では飛行ひこう風圧ふうあつ利用りようする「ラム・エア・タービン」(Ram Ait Turbine; RAT) がしゅあしドアのみぎ後方こうほうそなわっており、非常時ひじょうじには機外きがい展開てんかいされて交流こうりゅう電力でんりょく油圧ゆあつ飛行ひこう必要ひつよう機器ききかぎって供給きょうきゅうする。B-767では油圧ゆあつによって発電はつでんする「ハイドロ・ドリブン・ジェネレータ」(Hydrau Driven Generator; HDG) をそなえ、非常時ひじょうじには交流こうりゅう直流ちょくりゅう供給きょうきゅうする。
  69. ^ 洗面せんめんしょ手洗水てあらいみず調理ちょうりよう排水はいすいはドレーンマストによって機外きがい排出はいしゅつされる。胴体どうたい燃料ねんりょうタンクと機内きない燃料ねんりょう配管はいかんすべてにはまんいち漏洩ろうえいでも機体きたいない滞留たいりゅうしないようじゅうかべじゅうさやおおわれているが、れた燃料ねんりょう機外きがいてるドレーンマストには凍結とうけつ防止ぼうし対策たいさくおこなわれていない。
  70. ^ 小型こがたのレシプロエンジンでは、燃焼ねんしょうヒーターしきばれるつばさない燃料ねんりょうやしぜんえんみちび方式ほうしきもある。ぜんえんにデサイア・ブーツとばれるゴムせいおおいをけておいて、圧搾あっさく空気くうきむことで膨張ぼうちょう収縮しゅうしゅくこすことで防除ぼうじょごおりおこなうものもある。いずれも21世紀せいき現在げんざいではあまりもちいられない。
  71. ^ 機体きたいまった静電気せいでんきはコロナ放電ほうでんこして通信つうしん妨害ぼうがいとなるため、スタティック・ディスチャージャからつね空中くうちゅうすこしずつ放電ほうでんする必要ひつようがある。
  72. ^ レドームはおも強化きょうかプラスチックのハニカム構造こうぞうのものが使つかわれている。
  73. ^ 従来じゅうらいのINSでは、センサるいが3じく方向ほうこう自由じゆう回転かいてんするジンバルじょう固定こていされていて、地平ちへいめん垂直すいちょく方向ほうこう、または地球ちきゅう南北なんぼく方向ほうこうのいずれか一方向いちほうこうつねきをわせておくために、移動いどうわせて連続れんぞくてき修正しゅうせいされていた。
  74. ^ センサをせたプラットフォームを機体きたい固定こていする「ストラップダウン方式ほうしき」は、B-767から採用さいようはじまった。
  75. ^ 地球ちきゅうつねに1あいだたりやく15角度かくど回転かいてんしており、これを地球ちきゅう自転じてんりつとして補正ほせいする。
  76. ^ 機体きたい飛行ひこうすることで地球ちきゅう方面ほうめん移動いどうする。そのぶん移動いどうりつとして補正ほせいする。
  77. ^ 磁気じきコンパスは微弱びじゃく地磁気ちじき方向ほうこう検知けんちするため、これをくるわさないように機体きたい部品ぶひんすべてはだつ磁されててられる。
  78. ^ 電波でんぱ高度こうどけい計測けいそく方式ほうしきは2種類しゅるいある。1つはパルスを下方かほうけて送信そうしん反射はんしゃおく時間じかん計測けいそくする「パルス方式ほうしき」である。もう1つは三角波さんかくなみ発生はっせい装置そうち出力しゅつりょく周波数しゅうはすう変調へんちょうし、周波数しゅうはすうえながら下方かほうけて送信そうしん継続けいぞくてき反射はんしゃ送信そうしんちゅう信号しんごうとの周波数しゅうはすうのずれを計測けいそくすること反射はんしゃおくれを距離きょりとする「FM方式ほうしき」である。
  79. ^ 小型こがた飛行機ひこうきのオートパイロットだけをそなえるが、大型おおがた旅客機りょかくきではオートパイロットにフライト・ディレクタがまれたAFCS全体ぜんたいがオートパイロットとばれる。
  80. ^ 21世紀せいき現在げんざいではあらたに製造せいぞうされるすべての大型おおがた旅客機りょかくきがフライ・バイ・ワイヤ (Fly-by-wire; FBW) 方式ほうしきによる操縦そうじゅうシステムを採用さいようしている。FBW以前いぜん操縦そうじゅうシステムでは、操縦そうじゅう桿やペダルの操作そうさりょうをケーブルやロッドといった機械きかいてき物理ぶつりてきうごきとして油圧ゆあつ作動さどう機構きこうつたえ、油圧ゆあつによって操縦そうじゅうつばさめんうごかしていた。FBW方式ほうしきでは操縦そうじゅう桿やペダルの変位へんいりょうはセンサーによって電気でんき信号しんごうえられ、ケーブルやロッドにわって電線でんせんによってつたえられ、電気でんき制御せいぎょによって油圧ゆあつシステムが操縦そうじゅうつばさめんうごかす。ほとんどのFBW方式ほうしきでは、操縦そうじゅう操作そうさ電気でんき信号しんごうえられたのち、コンピュータによる一定いっていの「制御せいぎょがわ」をけて、操縦そうじゅうつばさめんへの制御せいぎょ指令しれいとなる。制御せいぎょがわは、たとえば高速こうそく飛行ひこう低速ていそく飛行ひこうではおな操作そうさりょうでもかじかくえたり、ロールやピッチはなせばかじ必要ひつようとせずにそのロールやピッチを維持いじするなどがある。フライ・バイ・ワイヤーにかぎらず油圧ゆあつ動力どうりょくなどの機械きかいりょくによって操縦そうじゅうつばさめん制御せいぎょする場合ばあいには、操舵そうだ感覚かんかく操縦そうじゅうにフィードバックさせるためのバックドライブ制御せいぎょばれる人工じんこう感覚かんかくシステムがそなわるのが普通ふつうである。フライ・バイ・ワイヤーの電線でんせんわりにひかりケーブルを使つかったフライ・バイ・ライトも開発かいはつ途上とじょうである。
  81. ^ 左右さゆう推力すいりょく均衡きんこう是正ぜせい前後ぜんご重量じゅうりょうかたよ是正ぜせいのような調整ちょうせいはトリム (Trim) とばれる。
  82. ^ EFISのPFDは従来じゅうらいのEDAI(電子でんししき姿勢しせい指令しれい指示しじ)が、NDは従来じゅうらいのEHSI(電子でんししき水平すいへい位置いち指示しじ)がそれぞれわったものであり、画面がめんおおきくやすくなったのにくわえてあらたな情報じょうほう表示ひょうじできるようになり、不要ふようならば情報じょうほう表示ひょうじおこなわないこともできる。
  83. ^ B-777ではDMUとMOによるデータ記録きろく装置そうちくわえて液晶えきしょうディスプレイ、キーボード、トラックボールがそなわっている。
  84. ^ エンジン停止ていしのような重大じゅうだいなトラブル発生はっせいには音声おんせい通話つうわ報告ほうこくがなされ、搭載とうさい機器きき軽微けいび不調ふちょう飛行ひこうちゅうのACARSによる送信そうしんではおくられない、また不調ふちょうとなった箇所かしょ整備せいび能力のうりょく到着とうちゃくそなわっているとはかぎらないため、飛行ひこう性能せいのうモニター・システムの活用かつよう目的もくてきですぐに修理しゅうり整備せいびとうおこなえることはそれほどないとされる。
  85. ^ 機上きじょう装置そうちるい作動さどう状態じょうたいしめ動作どうさ状態じょうたい表示ひょうじとうは、総称そうしょうしてアナンシエイター (Annunciator) とばれ、たんなる動作どうさちゅうは「あお」、正常せいじょうは「みどり」、故障こしょう異常いじょうには「オレンジ」に点灯てんとうする。

出典しゅってん

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