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振幅しんぷく変調へんちょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

振幅しんぷく変調へんちょう(しんぷくへんちょう、AM、英語えいご: amplitude modulation・アンプリチュード・モデュレーション)は、変調へんちょう方式ほうしきひとつで、情報じょうほう搬送波はんそうは強弱きょうじゃく伝達でんたつする変調へんちょう方式ほうしきである。

概念がいねん

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振幅しんぷく変調へんちょうとは、通信つうしん変調へんちょう方式ほうしきひとつで、しゅとして音声おんせい信号しんごうからなる情報じょうほうを、電波でんぱひかりなみ振幅しんぷく変化へんかさせることで伝達でんたつする。以下いかでは、振幅しんぷく変調へんちょうにより変調へんちょうされた変調へんちょうを、たてじく電圧でんあつ[V]、よこじく時間じかん[Sec.]として、時間じかん関数かんすうとして説明せつめいする。

うえでは、音声おんせい信号しんごうとう変調へんちょう周波数しゅうはすうたい(20Hzへるつ〜20kHzきろへるつ)にたいし、それを伝送でんそうするための搬送波はんそうは(キャリア、英語えいご: carrier wave)の周波数しゅうはすうとして、相対そうたいてきにかなりたか周波数しゅうはすうたいたとえば日本にっぽん中波ちゅうは放送ほうそうでは526.5kHzきろへるつ~1606.5kHzきろへるつ)を使用しようするため、搬送波はんそうは波形はけい一部いちぶ拡大かくだいして表現ひょうげんした。

変調へんちょうは、電圧でんあつ振幅しんぷくせい最大さいだいになると振幅しんぷく変調へんちょう振幅しんぷく電圧でんあつ最大さいだいになり、ぎゃくに、どう変調へんちょうまけ最大さいだいになると振幅しんぷく電圧でんあつ最小さいしょうになる。詳細しょうさい理論りろんこう参照さんしょう。ここでは、変調へんちょう信号しんごう送信そうしんしようとしている原信はらしんごう音声おんせい音楽おんがくひとし))とえてよい。

種類しゅるい

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振幅しんぷく変調へんちょうのスペクトラムしき

振幅しんぷく変調へんちょう周波数しゅうはすう成分せいぶんは、正弦せいげんによる搬送波はんそうは中心ちゅうしんにして、ふたつの対称たいしょうがわなみたい英語えいごばん(LSB (Lower Side Band) とUSB (Upper Side Band))で構成こうせいされており、振幅しんぷく変調へんちょう電波でんぱは、片側かたがわがわなみたい(LSBのみ、またはUSBのみ)だけを利用りようすることも可能かのうである。

それぞれ搬送波はんそうは信号しんごう電圧でんあつレベルにより、つぎのように分類ぶんるいすることが出来できる。

ぜん搬送波はんそうは (With Carrier)
搬送波はんそうは信号しんごうレベルをそのままで伝送でんそうするもの。復調ふくちょうには包絡ほうらくせん検波けんぱ使つかわれることがおおい。
総務そうむ省令しょうれい電波でんぱほう施行しこう規則きそくだい2じょうだい1こうだい67ごうでは、「両側りょうがわなみたいよう受信じゅしん受信じゅしん可能かのうとなるよう搬送波はんそうは一定いっていのレベルで送出そうしゅつする電波でんぱ」と定義ていぎしている。
低減ていげん搬送波はんそうは (Reduced Carrier)
搬送波はんそうは信号しんごうレベルをある程度ていどまでとして伝送でんそうするもの。
電波でんぱほう施行しこう規則きそくだい2じょうだい1こうだい66ごうでは、「受信じゅしんがわにおいて局部きょくぶ周波数しゅうはすう制御せいぎょとう利用りようするため一定いっていのレベルまで搬送波はんそうは低減ていげんして送出そうしゅつする電波でんぱ」と定義ていぎしている。
抑圧よくあつ搬送波はんそうは (Suppressed Carrier)
搬送波はんそうはまった伝送でんそうしないもの。ぜん搬送波はんそうはよりもちいさい送信そうしん電力でんりょくおな伝送でんそう特性とくせいられる。
電波でんぱほう施行しこう規則きそくだい2じょうだい1こうだい65ごうでは、「受信じゅしんがわにおいて利用りようしないため搬送波はんそうは抑圧よくあつして送出そうしゅつする電波でんぱ」と定義ていぎしている。

これらの変調へんちょう方式ほうしき電波でんぱ型式けいしきコードだい1文字もじは、両側りょうがわもちいるものは搬送波はんそうは電圧でんあつレベルによらずすべて"A"、上側うわがわなみまたはしたがわのいずれか(たんがわ)をもちいるものはぜん搬送波はんそうはであれば"H"、低減ていげん搬送波はんそうはであれば"R"、抑圧よくあつ搬送波はんそうはであれば"J"となる。 たんに AM または DSB とえば DSB-WC をし、SSB とえば SSB-SC をすのが普通ふつうである[1]

以下いか主要しゅよう方式ほうしきについてべる。

ぜん搬送波はんそうは両側りょうがわなみたい

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コレクタ変調へんちょう原理げんり

ぜん搬送波はんそうは両側りょうがわなみたいたんにAM、またはDSB-WC、double sideband with carrier)とは中波ちゅうは放送ほうそう短波たんぱ放送ほうそう航空こうくう無線むせんもちいられる方式ほうしきである。

振幅しんぷく変調へんちょう方式ほうしきには、送信そうしん回路かいろ構成こうせいじょう音声おんせい信号しんごう電力でんりょく増幅ぞうふくしておわりだん送信そうしんデバイス(真空しんくうかん、トランジスタ、またはFET)へ電圧でんあつ振幅しんぷくあたえるだい電力でんりょく変調へんちょうと、送信そうしん初段しょだんデバイスに音声おんせい信号しんごう振幅しんぷく変調へんちょうをかけたのち、リニア増幅器ぞうふくきにて必要ひつよう送信そうしん出力しゅつりょくてい電力でんりょく変調へんちょうがある。

真空しんくうかん回路かいろでは、最終さいしゅうだん真空しんくうかん高周波こうしゅうはアンプに電力でんりょく増幅ぞうふくした音声おんせい信号しんごう振幅しんぷく電圧でんあつあたえるハイジング変調へんちょう方式ほうしき、プレート変調へんちょう方式ほうしき使つかわれる。これらの方式ほうしきは、おわりだん電力でんりょく増幅ぞうふく真空しんくうかんのプレート電圧でんあつを、変調へんちょうトランスをかいして電力でんりょく増幅ぞうふくした音声おんせいてい周波しゅうは信号しんごう変化へんかさせて変調へんちょうし、こう品質ひんしつ振幅しんぷく変調へんちょうることが比較的ひかくてき容易よういである。トランジスタ回路かいろでは、コレクタ変調へんちょう方式ほうしきがあり、おわりだん電力でんりょく増幅ぞうふくトランジスタのコレクタ電圧でんあつを、変調へんちょうトランスをかいして電力でんりょく増幅ぞうふくした音声おんせいてい周波しゅうは信号しんごう変化へんかさせて変調へんちょうする。この方式ほうしきでは高周波こうしゅうは最終さいしゅう増幅ぞうふくだん電力でんりょく増幅ぞうふくトランジスタへ変調へんちょうをかけるため、おおきな電力でんりょく必要ひつようとし、だい電力でんりょくこう品位ひんい変調へんちょうをかけることが電気でんき回路かいろ方式ほうしきじょう困難こんなんになる。てい電力でんりょく変調へんちょうにはベース変調へんちょうじゅう平衡へいこう変調へんちょう(DBM、double balanced mixer)を利用りようしたリング変調へんちょう方式ほうしきがある。ベース変調へんちょうでは、トランジスタのベースバイアス電圧でんあつてんてい周波しゅうは電圧でんあつ信号しんごう入力にゅうりょくさせて変調へんちょうをかける。じゅう平衡へいこう変調へんちょう (DBM) は通常つうじょう DSB-SC を出力しゅつりょくするが、音声おんせい信号しんごう入力にゅうりょくする端子たんし直流ちょくりゅう電流でんりゅう重畳ちょうじょうさせると出力しゅつりょく搬送波はんそうは出力しゅつりょくさせる。振幅しんぷく変調へんちょう原理げんりは、音声おんせいてい周波しゅうは(ベースバンド)信号しんごう増幅ぞうふくして直流ちょくりゅう電圧でんあつげん電圧でんあつ振幅しんぷく変化へんかさせ、搬送波はんそうは増幅ぞうふくしているトランジスタのコレクタ電圧でんあつ変化へんかさせると、搬送波はんそうはてい周波しゅうは信号しんごう振幅しんぷく電圧でんあつ変化へんか重畳ちょうじょうされ、振幅しんぷく変調へんちょうられるという仕組しくみである。ダイオード DBM(ダイオードによるじゅう平衡へいこう変調へんちょう)は、送信そうしん初段しょだん振幅しんぷく変調へんちょうおこない、その振幅しんぷく変調へんちょう信号しんごうをリニア増幅ぞうふくして必要ひつよう高周波こうしゅうは電力でんりょくるので実現じつげん容易よういになっている[2]

抑圧よくあつ搬送波はんそうは両側りょうがわなみたい

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DSB-SC
平衡へいこう変調へんちょう原理げんり

抑圧よくあつ搬送波はんそうは両側りょうがわなみたい(DSB、double sideband)両側りょうがわなみたいおな情報じょうほう伝送でんそうするもの。AM放送ほうそうでは搬送波はんそうは信号しんごうレベルをそのまま伝送でんそうするが、DSBでは搬送波はんそうはをキャンセルし、両側りょうがわなみたいのみを伝送でんそうする。抑圧よくあつ搬送波はんそうはばれる。

なお、正確せいかくにはDSB-SC(DSB with suppressed carrier)とぶべきであるが、日本にっぽんではたんにDSBと省略しょうりゃくして慣習かんしゅうがある。ぜん搬送波はんそうは両側りょうがわなみたいたんにAMとばれることがおおい)をDSBとぶこともあるため、注意ちゅうい必要ひつようである。たとえば、総務そうむしょう文書ぶんしょられる「海上かいじょうようDSB」とばれる無線むせん設備せつびぜん搬送波はんそうは両側りょうがわなみたいである。

変調へんちょうには平衡へいこう変調へんちょうもちいられる。DSB (DSB-SC) の場合ばあい両側りょうがわなみたい存在そんざいするが、SSBの受信じゅしん受信じゅしん可能かのうで、送信そうしんがSSBよりも簡単かんたんなことからSSBの代用だいようとしてもちいられることもある。しかし、電波でんぱほうれいうえ両側りょうがわなみたいについてはぜん搬送波はんそうは抑圧よくあつ搬送波はんそうは区別くべつしない(電波でんぱ型式けいしき表記ひょうきほう参照さんしょう)ので、送信そうしん電力でんりょくじょう不利ふりあつかいをける。FMステレオ放送ほうそうふく信号しんごうがこの形式けいしきである。

抑圧よくあつ搬送波はんそうはたんがわなみたい

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SSB (USB) のスペクトラムしき
SSB (LSB) のスペクトラムしき

抑圧よくあつ搬送波はんそうはたんがわなみたい(SSB、single sideband)とは情報じょうほう片側かたがわがわなみたいのみで伝送でんそうするもの。短波たんぱ業務ぎょうむ無線むせんアマチュア無線むせんなどで利用りようされる。搬送波はんそうはよりもうえ周波数しゅうはすうがわなみたいUSB (Upper Side Band)、した使つかうものをLSB (Lower Side Band) という。アマチュア無線むせんのぞいては、原則げんそくとしてUSBを使用しようする。アマチュア無線むせんきょくでは、7MHzたい以下いかではLSB、10MHzたい以上いじょうではUSBを使つか慣習かんしゅうになっている。ちがえても法令ほうれい違反いはんではないが交信こうしん相手あいてがいない。

変調へんちょうにはじゅう平衡へいこう変調へんちょうひとしもちいられる。これは、周波数しゅうはすう変換へんかん使つかわれる回路かいろおなじである。じゅう平衡へいこう変調へんちょうには、入力にゅうりょくようのポートが2つあり、出力しゅつりょくようのポートが1つある。入力にゅうりょくようのポート1に搬送波はんそうはを、ポート2に音声おんせい信号しんごう入力にゅうりょくすると、出力しゅつりょくようのポートから、抑圧よくあつ搬送波はんそうは両側りょうがわなみたい (DSB-SC) で変調へんちょうされた信号しんごう出力しゅつりょくされる。これは搬送波はんそうはふくまず、LSBおよびUSBの両側りょうがわなみたいのみがふくまれた信号しんごうである。これを、クリスタル・フィルタとう急峻きゅうしゅん特性とくせいつフィルタに入力にゅうりょくし、USBまたはLSBの希望きぼうがわなみたいると、SSBで変調へんちょうされた信号しんごうられる。これを希望きぼう出力しゅつりょくまで増幅ぞうふくすれば SSB送信そうしんができる。また、クリスタルフィルタを必要ひつようとしないPSN (Phase Shift Network) 変調へんちょう方式ほうしきがある。近年きんねんではPSN変調へんちょう方式ほうしきを、マイクロコンピュータのソフトウェアによりアナログ信号しんごうをデジタル信号しんごう処理しょりする数値すうち演算えんざん変調へんちょう方式ほうしき使つかわれている[注釈ちゅうしゃく 1]

SSBは、搬送波はんそうは増幅ぞうふく電力でんりょく使用しようとしないため、AMよりしょう電力でんりょくでエネルギー効率こうりつい。また、おな距離きょりまでの通信つうしんであればはるかにすくない電力でんりょく送信そうしんみ、また選択せんたくせいフェージングの影響えいきょうけにくく、同時どうじ占有せんゆう周波数しゅうはすう帯域たいいきせまくてむ。なお、がわなみたいだけに着目ちゃくもくすれば、AMもSSBもおなじものであるため、隣接りんせつだい出力しゅつりょくきょく混信こんしんけるために、SSB受信じゅしん混信こんしんがないほうのがわなみたいだけを受信じゅしんし、AMの混信こんしんけることが可能かのうであり、AM放送ほうそう受信じゅしんテクニックとして使つかわれている。

一方いっぽう、SSBの音声おんせい通信つうしん搬送波はんそうは(キャリア)がいために、受信じゅしんでの周波数しゅうはすう同調どうちょう操作そうさがややむずかしくなる。また、良好りょうこう音調おんちょうるためには受信じゅしん周波数しゅうはすうすう10Hzへるつ単位たんい微妙びみょう同調どうちょう調整ちょうせいしなければならない。SSBは受信じゅしん周波数しゅうはすう同調どうちょうてんがずれると、音楽おんがく受信じゅしんするときなどに顕著けんちょ音調おんちょうがおかしいようにこえる。これは送信そうしんされたSSB電波でんぱ受信じゅしん同調どうちょうがずれていると復調ふくちょうおん周波数しゅうはすうがずれるためにこる。受信じゅしん周波数しゅうはすう正確せいかくわせる操作そうさをゼロインとぶ。

  • SSBでは、占有せんゆう周波数しゅうはすう帯域たいいきせまいという利点りてんかすため、伝送でんそう帯域たいいきせま設定せっていしている。
  • かずMHzの中間ちゅうかん周波数しゅうはすうにおいて、すう100Hzへるつはなれたがわなみたい片側かたがわだけを消去しょうきょするような特性とくせい非常ひじょうにシビアなフィルタ回路かいろ要求ようきゅうされるため、振幅しんぷく位相いそうなどについて良好りょうこう特性とくせいつフィルタ回路かいろつくることが困難こんなんである[注釈ちゅうしゃく 2]
  • 抑圧よくあつ搬送波はんそうはには搬送波はんそうは情報じょうほうふくまれていないので、送信そうしん信号しんごうひとしいスペクトル受信じゅしん信号しんごうることは困難こんなんである。最終さいしゅうてきには、原音げんおんおな音質おんしつになるよう、人間にんげんの聴感で周波数しゅうはすうわせることになる。
  • SSB受信じゅしん受信じゅしん信号しんごう強度きょうど変化へんか補正ほせいするにはAGC(自動じどう利得りとく制御せいぎょ)を使つかうが、搬送波はんそうはいためAGCの基準きじゅんになるものは、たとえば音声おんせい通信つうしん場合ばあいは、音声おんせいのエンベロープを基準きじゅんにAGCが動作どうさする。そのため、おおきなこえちいさなこえおなおおきさのこえになるほか、無音むおん受信じゅしんゲインが最大さいだいとなり、耳障みみざわりな雑音ざつおん出力しゅつりょくされる[注釈ちゅうしゃく 3]
  • 変調へんちょう使つか搬送波はんそうは復調ふくちょう使つか搬送波はんそうはことなるため、搬送波はんそうはのC/Nがわるいと(残留ざんりゅうFM成分せいぶんおおいと)瞬時しゅんじてき搬送はんそう周波数しゅうはすう変動へんどうすることとなり、復調ふくちょう音声おんせい品質ひんしつそこなわれる[注釈ちゅうしゃく 4]
  • SSBは、FMのようにチャネルで区切くぎって隣接りんせつチャネルとのあいだ十分じゅうぶんなガードバンドをもうけて使つかうということをしないため、隣接りんせつした周波数しゅうはすうおこなわれる通信つうしん雑音ざつおんとなって可聴かちょう周波数しゅうはすうんできて、耳障みみざわりとなる[注釈ちゅうしゃく 5]

残留ざんりゅうがわなみたい

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残留ざんりゅうがわなみたい(VSB、vestigial sideband)とは帯域たいいきはば節約せつやくするため片方かたがたがわなみたいだけにしたいが、ほぼ直流ちょくりゅう成分せいぶん搬送波はんそうは周波数しゅうはすう直近ちょっきんとなる)まで送信そうしんする必要ひつようがあるため、現実げんじつてきなフィルタの性能せいのうから、反対はんたいがわがわなみたい一部いちぶまで送信そうしんする方式ほうしき。アナログテレビジョン放送ほうそう映像えいぞう信号しんごう伝送でんそうもちいられる。

AMステレオの方式ほうしき

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カーン方式ほうしき

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カーン方式ほうしきは、USB、LSBそれぞれのがわなみたい左右さゆう音声おんせい信号しんごうとするもので、independent sideband (ISB) ともいう。日本にっぽんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは標準ひょうじゅんとしての採用さいようかった。

モトローラ方式ほうしき

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モトローラ方式ほうしきは、和信かずのぶごうにより搬送波はんそうは平衡へいこう変調へんちょうした信号しんごうと、信号しんごうに25Hzへるつのパイロット信号しんごうくわえた信号しんごう直交ちょっこうする搬送波はんそうは平衡へいこう変調へんちょうした信号しんごうとを合成ごうせいし、振幅しんぷく制限せいげんしたものを搬送波はんそうはとして、かず信号しんごう振幅しんぷく変調へんちょうする。通常つうじょうのAMラジオとしての問題もんだいすくないことから Compatible Quadrature Amplitude Modulation (C-QUAM) という名称めいしょうがある(QAM記事きじ参照さんしょう)。日本にっぽんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく以前いぜん中波ちゅうはAMラジオ放送ほうそうのステレオがされたさい標準ひょうじゅん方式ほうしきとして採用さいようされた。

その

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  • ハリス方式ほうしき (VCPM)
  • マグナボックス方式ほうしき (AM-PM) - アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくいち標準ひょうじゅん方式ほうしきかり決定けっていされたが、方式ほうしき認可にんかされ、結局けっきょく市場いちば淘汰とうたされた。
  • ベラー方式ほうしき (AM-FM)

利用りよう

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放送ほうそう

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振幅しんぷく変調へんちょうによるラジオ放送ほうそうは、おも中波ちゅうはおよび短波たんぱでおこなわれている。ロシアヨーロッパ一部いちぶ地域ちいきでは長波ちょうはでもおこなわれている。

通信つうしん

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航空こうくう無線むせんでは、ちょう短波たんぱでも振幅しんぷく変調へんちょう利用りようしている。これは、周波数しゅうはすう変調へんちょうでは混信こんしんさいよわがわがかきされてしまう性質せいしつきわめてつよいのにたいし、振幅しんぷく変調へんちょうではそのまま混信こんしんとなることが、むしろ航空こうくう無線むせんでは利点りてんだからである。アマチュア無線むせんでは、周波数しゅうはすう帯域たいいきはば節約せつやくのため、もっぱらSSBが使つかわれているが、バンドプランに余裕よゆうのある50MHzたい(6mバンド)などAMものこっている。

無線むせんほか有線ゆうせん電気でんき通信つうしんにおいて「搬送はんそう」などとばれた初期しょき多重たじゅう方式ほうしきもAMによるごく単純たんじゅんFDMAであった。1960年代ねんだい開始かいしされた(おも国際こくさい電話でんわの)海底かいていケーブルによる大陸たいりくあいだ通信つうしんころでもAMはもちいられており、キャリア周波数しゅうはすうえて変調へんちょうけることで、128chの通信つうしんを1ほん海底かいていケーブルに収容しゅうようした。

電信でんしん

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無線むせん電信でんしんおお使つかわれるのは、いわゆる電波でんぱ型式けいしきのA1である、たんなるオン・オフによる搬送波はんそうは断続だんぞくであるが、技術ぎじゅつてき観点かんてんなどからはこれを振幅しんぷく0%と振幅しんぷく100%の振幅しんぷく変調へんちょうであるとみなすこともある(デジタル変調へんちょう#振幅しんぷくへんうつり変調へんちょう参照さんしょう[注釈ちゅうしゃく 6]振幅しんぷく変調へんちょうによって可聴かちょういき電信でんしんおこな場合ばあいのA2という分類ぶんるいもある(ただし、A2Aによる「可聴かちょう変調へんちょう使用しようするモールス符号ふごう電信でんしん」には、アマチュア無線むせんではA1と同様どうようだいさんきゅう以上いじょう必要ひつよう)。

理論りろん

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振幅しんぷく変調へんちょう電気でんき信号しんごうとして、つぎのように搬送波はんそうは変調へんちょうを、時間じかん電圧でんあつかんする三角さんかく関数かんすう合成ごうせいしき表現ひょうげんできる[3][4]

搬送波はんそうは電圧でんあつは、振幅しんぷく搬送波はんそうはかく周波数しゅうはすうとすると、

同様どうように、信号しんごう電圧でんあつは、振幅しんぷく信号しんごうなみかく周波数しゅうはすうとすると、

あらわせる。このとき、変調へんちょうされた搬送波はんそうは振幅しんぷくは、

となり、変調へんちょうは、

このしきにおいて、変調へんちょうといい、信号しんごう搬送波はんそうは振幅しんぷく定義ていぎするである。また、上側うわがわしたがわという(変調へんちょう複数ふくすう周波数しゅうはすうふく場合ばあいはそれぞれ上側うわがわなみたい (USB)、したがわなみたい (LSB) という)。

変調へんちょうおおきいほど信号しんごう振幅しんぷくおおきくなり了解りょうかい変調へんちょう具合ぐあいになる。ただし100%をえる状態じょうたい変調へんちょうといい、復調ふくちょう信号しんごう波形はけいゆがみ、また実装じっそうじょう不要ふよう発生はっせいして通信つうしん妨害ぼうがいあたえるので、放送ほうそうでは変調へんちょう最大さいだいきびしく規定きていされている。

占有せんゆう帯域たいいきはばは、つぎしきあらわされる。

  • 両側りょうがわなみたい (DSB)
  • たんがわなみたい (SSB)
      • :占有せんゆう帯域たいいきはば

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 現在げんざい、Software Defined Radioとしてひろ使つかわれている。
  2. ^ 現代げんだいでは中間ちゅうかん周波数しゅうはすう増幅器ぞうふくき使用しようしないダイレクトコンバージョン方式ほうしき回路かいろ構成こうせい変化へんかしてきている。また従来じゅうらい実現じつげん困難こんなんであった高性能こうせいのうフィルタも、マイコンとソフトウェアによる信号しんごう処理しょり(FIR,IIRフィルタ)で再現さいげんせいよく実現じつげんされている。
  3. ^ 現代げんだいでは微小びしょう受信じゅしん信号しんごうから大変たいへんつよ電界でんかい強度きょうど受信じゅしんでもゆがみをこさないダイナミックレンジが非常ひじょうひろ受信じゅしん実現じつげんされており、さらに信号しんごう処理しょりによるノイズ除去じょきょ処理しょり、SSBでのスケルチ動作どうさ可能かのうになっている。
  4. ^ 現代げんだいではデバイス技術ぎじゅつ進歩しんぽにより、こう品位ひんいC/Nで周波数しゅうはすうきわめて安定あんていした発信はっしん実現じつげんされているため、この問題もんだい解決かいけつされている。
  5. ^ SSB運用うんようはアマチュア無線むせんでは7MHzたいもっと運用うんようしゃおお混信こんしんおお時代じだいもあったが、現在げんざいではそうした混信こんしんすくない。
  6. ^ 無限むげんちょう変調へんちょう(N0)以外いがいでは、たんなる断続だんぞくであってもスペクトルとしては搬送波はんそうは以外いがい帯域たいいき信号しんごう厳密げんみつには発生はっせいするといったこともあり、規定きていではA1も「両側りょうがわなみたいあり」という分類ぶんるいになる。

出典しゅってん

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  1. ^ しん上級じょうきゅうハムになるほん」(丹羽にわ一夫かずおしるCQ出版しゅっぱんしゃ2006ねん2がつ1にち発行はっこうISBN 4-7898-1168-9) pp. 183-184
  2. ^ 山村やまむらえいだい7.2しょう」『改訂かいてい新版しんぱん 定本ていほん トロイダル・コア活用かつよう百科ひゃっか』(改訂かいてい新版しんぱん)CQ出版しゅっぱんしゃ東京とうきょう豊島としま定本ていほんシリーズ〉、2006ねん12月15にち、285ぺーじISBN 978-4-7898-3067-6 
  3. ^ 沖村おきむら浩史こうじ高橋たかはしきよし 『エレクトロニクス概論がいろん』 pp.106-108、はなぼう、1999ねん
  4. ^ 桜庭さくらば一郎いちろう大塚おおつかさとしほか 『基礎きそ電気でんき電子でんし工学こうがくシリーズ3 電子でんし回路かいろ』 pp.145-148、森北もりきた出版しゅっぱん、1994ねん

関連かんれん項目こうもく

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