電波でんぱ法ほう

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電波でんぱ法ほう
日本にっぽんの法令ほうれい
法令ほうれい番号ばんごう	昭和しょうわ25年ねん法律ほうりつ第だい131号ごう
種類しゅるい	行政ぎょうせい手続てつづき法ほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	1950年ねん4月がつ24日にち
公布こうふ	1950年ねん5月がつ2日にち
施行しこう	1950年ねん6月がつ1日にち
所管しょかん	（電波でんぱ庁ちょう→） （電波でんぱ監理かんり委員いいん会かい→） （郵政省ゆうせいしょう→） 総務そうむ省しょう ［電波でんぱ監理かんり総局そうきょく→電波でんぱ監理かんり局きょく→電気でんき通信つうしん局きょく→総合そうごう通信つうしん基盤きばん局きょく］
主おもな内容ないよう	電波でんぱの使用しよう、無線むせん局きょくの設置せっち・運用うんよう、無線むせん局きょくを操作そうさする者ものの資格しかく、高周波こうしゅうはを利用りようする設備せつびの設置せっちなどについて
関連かんれん法令ほうれい	国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう憲章けんしょう 国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう条約じょうやく 国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう憲章けんしょうに規定きていする無線むせん通信つうしん規則きそく 放送ほうそう法ほう 電気でんき通信つうしん事業じぎょう法ほう 無線むせん局きょく運用うんよう規則きそく
条文じょうぶんリンク	電波でんぱ法ほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
ウィキソース原文げんぶん

電波でんぱ法ほう（でんぱほう、昭和しょうわ25年ねん法律ほうりつ第だい131号ごう）は、電波でんぱの公平こうへいかつ能率のうりつ的てきな利用りようを確保かくほすることによって、公共こうきょうの福祉ふくしを増進ぞうしんすることを目的もくてきとする（第だい1条じょう）、日本にっぽんの法律ほうりつである。法令ほうれい番号ばんごうは昭和しょうわ25年ねん法律ほうりつ第だい131号ごうである。

総務そうむ省しょう総合そうごう通信つうしん基盤きばん局きょく電波でんぱ部ぶ電波でんぱ政策せいさく課かが所管しょかんする。中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん以前いぜんは、郵政省ゆうせいしょう電気でんき通信つうしん局きょくが所管しょかんしていた。

構成こうせい

• 第だい1章しょう 総則そうそく（第だい1条じょう - 第だい3条じょう）
• 第だい2章しょう 無線むせん局きょくの免許めんきょ等ひとし（第だい4条じょう - 第だい27条じょうの34）
• 第だい3章しょう 無線むせん設備せつび（第だい28条じょう - 第だい38条じょう）
• 第だい3章しょうの2 特定とくてい無線むせん設備せつびの技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめい等ひとし（第だい38条じょうの2 - 第だい38条じょうの38）
• 第だい4章しょう 無線むせん従事じゅうじ者しゃ（第だい39条じょう - 第だい51条じょう）
• 第だい5章しょう 運用うんよう（第だい52条じょう - 第だい70条じょうの6）
• 第だい6章しょう 監督かんとく（第だい71条じょう - 第だい82条じょう）
• 第だい7章しょう 異議いぎ申立もうしたてて及および訴訟そしょう（第だい83条じょう - 第だい99条じょう）
• 第だい7章しょうの2 電波でんぱ監理かんり審議しんぎ会かい（第だい99条じょうの2 - 第だい99条じょうの14）
• 第だい8章しょう 雑則ざっそく（第だい100条じょう - 第だい104条じょうの5）
• 第だい9章しょう 罰則ばっそく（第だい105条じょう - 第だい116条じょう）
• 附則ふそく
• 別表べっぴょう

概要がいよう

本法ほんぽうでは、第だい2条じょうで「電波でんぱ」「無線むせん電信でんしん」「無線むせん電話でんわ」「無線むせん設備せつび」「無線むせん局きょく」「無線むせん従事じゅうじ者しゃ」という用語ようごを定義ていぎしている。

1. 「電波でんぱ」とは、三さん百ひゃく万まんメガヘルツ以下いかの周波数しゅうはすうの電磁波でんじはをいう。
2. 「無線むせん電信でんしん」とは、電波でんぱを利用りようして、符号ふごうを送おくり、または受うけるための通信つうしん設備せつびをいう。
3. 「無線むせん電話でんわ」とは、電波でんぱを利用りようして、音声おんせいその他たの音響おんきょうを送おくり、または受うけるための通信つうしん設備せつびをいう。
4. 「無線むせん設備せつび」とは、無線むせん電信でんしん、無線むせん電話でんわその他た電波でんぱを送おくり、または受うけるための電気でんき的てき設備せつびをいう。
5. 「無線むせん局きょく」とは、無線むせん設備せつび及および無線むせん設備せつびの操作そうさを行おこなう者ものの総体そうたいをいう。ただし、受信じゅしんのみを目的もくてきとするものを含ふくまない。
6. 「無線むせん従事じゅうじ者しゃ」とは、無線むせん設備せつびの操作そうさまたはその監督かんとくを行おこなう者ものであつて、総務そうむ大臣だいじんの免許めんきょを受うけたものをいう。

本法ほんぽうの施行しこう前まえから存在そんざいした文言もんごんではあるが、法令ほうれい上じょうの用語ようごとして定義ていぎされたのは本法ほんぽうが初はじめてである。

更さらに、無線むせん局きょくには原則げんそくとして無線むせん局きょく免許めんきょ状じょうを要ようすること、無線むせん局きょくの無線むせん設備せつびを操作そうさする者ものとして無線むせん従事じゅうじ者しゃを要ようすることとした。無線むせん電信でんしん法ほうでは、無線むせん局きょくは官設かんせつが原則げんそくで官員かんいん（国家こっか公務員こうむいんに相当そうとう）が操作そうさするので資格しかく不要ふようであるのに対たいし、私設しせつには施設しせつの許可きょかと無線むせん通信つうしん士しなどの配置はいちを要求ようきゅうしていたが、本法ほんぽうでは官公庁かんこうちょうが開設かいせつするものも無線むせん従事じゅうじ者しゃ免許めんきょ証しょうを要ようすることとなった。

• 第だい59条じょうにおいて、『特定とくていの相手方あいてがたに対たいして行おこなわれる無線むせん通信つうしんを傍受ぼうじゅしてその存在そんざいもしくは内容ないようを漏もらし、又またはこれを窃用してはならない。』と定さだめられており、無線むせん従事じゅうじ者しゃや無線むせん局きょく免許めんきょ状じょう所持しょじ者しゃや、それ以外いがいの一般人いっぱんじんにも『通信つうしんの秘密ひみつ（守秘しゅひ義務ぎむ）を厳守げんしゅする規定きてい』がある。
  • これに違反いはんした場合ばあいは、第だい109条じょうによって『1年ねん以下いかの懲役ちょうえき又または50万まん円えん以下いかの罰金ばっきんに処しょする』という罰則ばっそく規定きていがある。
  • 第だい109条じょう第だい2項こうでは、無線むせん従事じゅうじ者しゃが情報じょうほう漏洩ろうえいした場合ばあいは『2年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんに処しょする』と、より重おもい厳罰げんばつ化か規定きていがある。
  • なお放送ほうそう（誰だれでも受信じゅしん出来できるラジオ放送ほうそうやテレビ放送ほうそう）については『特定とくていの相手方あいてがた』に該当がいとうしないため、この制限せいげんを受うけない。
  • 他人たにんの無線むせんLAN機器ききのWEP鍵かぎを解読かいどくし、無断むだんでインターネット接続せつぞくする「Wi-Fiただ乗のり」が電波でんぱ法ほう109条じょう違反いはんに当あたるかどうかが争あらそわれた刑事けいじ裁判さいばんがある。東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは2017年ねん（平成へいせい29年ねん）4月がつ27日にちの判決はんけつで「WEP鍵かぎは無線むせんLAN機器ききと端末たんまつとの間あいだで無線むせん通信つうしんの内容ないようとして送受信そうじゅしんされるものではなく、無線むせん通信つうしんの秘密ひみつにあたる余地よちはない。したがって、WEP鍵かぎの利用りようは犯罪はんざいを構成こうせいせず罪つみとならない」と指摘してきし、東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうが控訴こうそしなかったため、電波でんぱ法ほう第だい109条じょう第だい1項こう違反いはんの点てんについては事実じじつ上じょう無罪むざいが確定かくていした。ただし、被告人ひこくにんは有罪ゆうざいとされた不正ふせいアクセス禁止きんし法ほう違反いはんなどについて判決はんけつ内容ないようが不服ふふくとして控訴こうそしている。

外国がいこく政府せいふや外国がいこく企業きぎょうのほか、役員やくいんや議決ぎけつ権けんの3分ぶんの1以上いじょうを外資がいしが占しめている場合ばあいは、無線むせん局きょくの免許めんきょを与あたえないこととしている。 しかし、人工じんこう衛星えいせいの運用うんようなど宇宙うちゅう関連かんれん企業きぎょうに課かしている電波でんぱ法ほう上じょうの外資がいし規制きせい撤廃てっぱいについては見送みおくるとしている。

沿革えんかく

制定せいていまで

電波でんぱ法ほう以前いぜんに無線むせん通信つうしんを規制きせいしていたのは1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）に制定せいていされた無線むせん電信でんしん法ほうである。

1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）GHQの民間みんかん通信つうしん局きょく（CCS）は、新あたらしく公布こうふされる昭和しょうわ憲法けんぽうに沿そった民主みんしゅ的てきな法律ほうりつに改正かいせいするように要求ようきゅうした。また、翌よく1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）には、CCSは連邦れんぽう通信つうしん委員いいん会かい（FCC）にならった委員いいん会かい行政ぎょうせいを取とり入いれよとも要求ようきゅうした。逓信ていしん省しょうは、当初とうしょは無線むせん電信でんしん法ほうを改正かいせいしようとしたが、むしろ新あたらしい法律ほうりつを制定せいていすることにした。

以後いご、電波でんぱ法ほう・放送ほうそう法ほう・電波でんぱ監理かんり委員いいん会かい設置せっち法ほうと、後のちに電波でんぱ三さん法ほうと呼よばれる形かたちで法律ほうりつ案あんが作成さくせいされた。第だい49代だい内閣ないかく総理そうり大臣だいじん吉田よしだ茂しげるは、行政ぎょうせい委員いいん会かいに否定ひてい的てきであったが、最終さいしゅう的てきには日本にっぽん版ばんFCCといえる内閣ないかくから独立どくりつした形かたちで、電波でんぱ監理かんり委員いいん会かいを設置せっちすることとなった。三さん年間ねんかんに法律ほうりつ案あんとしては9次じ案あんまで至いたった。

この間あいだ、1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）6月がつ1日にちに、逓信ていしん省しょうは郵政省ゆうせいしょうと電気でんき通信つうしん省しょうに分離ぶんりされ、電波でんぱ監理かんり行政ぎょうせいは電気でんき通信つうしん省しょう外局がいきょくの電波でんぱ庁ちょうに引ひき継つがれていた。

電波でんぱ三さん法ほうが施行しこうされたのは、1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）6月がつ1日にちであり、電波でんぱ庁ちょうは電波でんぱ監理かんり委員いいん会かいの事務じむ局きょくの電波でんぱ監理かんり総局そうきょくとなった。

電波でんぱ監理かんり委員いいん会かいの廃止はいしとその後ごの変遷へんせん

1952年ねん（昭和しょうわ27年ねん）4月がつ28日にち、対たい日にち講和こうわ条約じょうやく発効はっこうにより日本にっぽん国こくの主権しゅけんが回復かいふくした後のち、7月がつ31日にちに電波でんぱ監理かんり委員いいん会かいは廃止はいしされ、電波でんぱ監理かんり総局そうきょくは郵政省ゆうせいしょう内局ないきょくの電波でんぱ監理かんり局きょくとなった。その後ご、電波でんぱ監理かんり局きょくは1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）7月がつの組織そしき改正かいせいにより電気でんき通信つうしん局きょくに、2001年ねん（平成へいせい13年ねん）1月がつには、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんにより総務そうむ省しょう総合そうごう通信つうしん基盤きばん局きょくとなった。

なお、1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）4月がつには地方ちほう電波でんぱ監理かんり局きょくは地方ちほう電気でんき通信つうしん監理かんり局きょくと改称かいしょうした。

権限けんげんの委任いにん

• 1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）許可きょか、認可にんか等とうの整理せいりに関かんする法律ほうりつの施行しこうにより、本法ほんぽうに関かんする権限けんげんの一部いちぶを、地方ちほう電波でんぱ監理かんり局長きょくちょうに委任いにんできることとなった。
• 1972年ねん（昭和しょうわ47年ねん）の沖縄おきなわ返還へんかんに伴ともない、沖縄おきなわ郵政ゆうせい管理かんり事務所じむしょが設置せっちされ、沖縄おきなわ県けんにおける本法ほんぽうに関かんする権限けんげんの一部いちぶが、事務所じむしょ長ちょうに委任いにんされた。
• 中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん後ごは、所轄しょかつが総務そうむ省しょうに変かわり、総務そうむ大臣だいじん権限けんげんの一部いちぶは、総合そうごう通信つうしん局きょく長ちょう（旧きゅう 地方ちほう電気でんき通信つうしん監理かんり局長きょくちょう）および沖縄おきなわ総合そうごう通信つうしん事務所じむしょ長ちょう（旧きゅう 沖縄おきなわ郵政ゆうせい管理かんり事務所じむしょ長ちょう）に委任いにんされている。

関連かんれん項目こうもく

• 無線むせん局きょく
  • 無線むせん局きょく免許めんきょ状じょう
  • 不法ふほう無線むせん局きょく
• 無線むせん設備せつび
  • 技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめい
• 無線むせん従事じゅうじ者しゃ - 無線むせん従事じゅうじ者しゃ免許めんきょ証しょう
• 電波でんぱ利用りよう料りょう
• 放送ほうそう法ほう
• 無線むせん通信つうしん規則きそく
• 外資がいし規制きせい
• 情報じょうほう通信つうしん法案ほうあん
• 通信つうしんの秘密ひみつ
• S・O・S - ピンク・レディの曲きょく。冒頭ぼうとうにモールス符号ふごうのSOSがあったため、放送ほうそうの際さいにはカットされている。

外部がいぶリンク

• 電波でんぱ法ほう。
• Radio Act Law number: Act No. 131 of 1950 Last Version: Amendment of Act No. 26 of 2014 - Unofficial Translation.