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国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう

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国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう
概要がいよう 専門せんもん機関きかん
略称りゃくしょう ITU, UIT
代表だいひょう ドリーン・ボグダン=マーティン英語えいごばん事務じむそう局長きょくちょう
状況じょうきょう 活動かつどうちゅう
活動かつどう開始かいし 1865ねん5がつ17にち
本部ほんぶ スイスの旗 スイスジュネーヴ
公式こうしきサイト www.itu.int ウィキデータを編集
国際連合の旗 Portal:国際こくさい連合れんごう
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国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう(こくさいでんきつうしんれんごう、フランス語ふらんすご: Union internationale des télécommunications; UIT英語えいご: International Telecommunication Union; ITU)は、国際こくさい連合れんごう専門せんもん機関きかんひとつである。

1865ねん5月17にちフランスパリ設立せつりつされた万国ばんこく電信でんしん連合れんごうフランス語ふらんすご: Union internationale du télégraphe英語えいご: International Telegraph Union)にはしはっしているため、ITUは世界せかい最古さいこ国際こくさい機関きかんとみなされている。国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう憲章けんしょうもとづき、無線むせん通信つうしん電気でんき通信つうしん分野ぶんやにおいて各国かっこくあいだ標準ひょうじゅん規制きせい確立かくりつはかっている[注釈ちゅうしゃく 1]

2017ねん10がつ時点じてん加盟かめいこくは、ほぼすべての国際こくさい連合れんごう加盟かめいこくバチカンくわえた193ヶ国かこく、セクターメンバーは2008ねん4がつ時点じてんで700しゃ以上いじょうである。日本にっぽんは、1959ねんから理事りじこくとしてITUの管理かんり運営うんえい参加さんかしている。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

1834ねんにアメリカじんサミュエル・モールスによって電信でんしん発明はつめいされたのち、イギリス帝国ていこくでは1837ねん鉄道てつどう沿線えんせん有線ゆうせん電信でんしん実用じつようされ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでも1845ねんワシントンD.C.ボルティモアあいだ電信でんしん線路せんろ建設けんせつされたが、最初さいしょ国際こくさい電信でんしんは、1849ねんプロイセン王国おうこくオーストリア帝国ていこくとのあいだむすばれた電信でんしん条約じょうやくにもとづいてはじめられた[1]

1850ねん、オーストリア・プロイセン・バイエルンザクセンの4かこくドイツ=オーストリア電信でんしん連合れんごうドレスデン発足ほっそくさせた。これには、のちにドイツ帝国ていこくのほとんどのかくくにオランダ参加さんかした[2]一方いっぽう1851ねんにはフランスベルギーあいだでも相互そうご接続せつぞく条約じょうやくむすばれ、1855ねん両国りょうこくサルデーニャ王国おうこくスペインスイスくわえた5かこくが、パリ西部せいぶ欧州おうしゅう電信でんしん連合れんごう発足ほっそくさせた。2つの組織そしき1865ねん統合とうごうされ、万国ばんこく電信でんしん連合れんごうとして設立せつりつされた。

1894ねん、イタリアのグリエルモ・マルコーニ自宅じたく電波でんぱによる無線むせん通信つうしん実験じっけん成功せいこう1897ねんにはマルコーニ無線むせん電信でんしん会社かいしゃ英語えいごばん創立そうりつされて、無線むせん時代じだいおとずれた。20世紀せいき、イギリス帝国ていこく植民しょくみん本国ほんごく直接ちょくせつむすび、第三国だいさんごくへの情報じょうほう漏洩ろうえい回避かいひするため、船舶せんぱくあいだ通信つうしん手段しゅだんとして無線むせん重用じゅうようするようになった。

イギリスとイタリアの海軍かいぐんは、マルコーニの仕様しようだけを利用りようしたが、ドイツでは1903ねんシーメンスAEG合弁ごうべんし、無線むせん技術ぎじゅつ開発かいはつするためベルリンテレフンケン設立せつりつされた。アメリカの発明はつめい電子でんし工学こうがくしゃリー・ド・フォレストもまた無線むせん技術ぎじゅつ発展はってん尽力じんりょくした。両者りょうしゃはのちに提携ていけいするが、一方いっぽうでは混信こんしん解決かいけつ必要ひつようになり、1903ねんには欧米おうべい9かこくがベルリンで会議かいぎひらいた。1908ねん大日本帝国だいにっぽんていこくふくむ30かこく参加さんかして、国際こくさい無線むせん電信でんしん連合れんごう発足ほっそくした。

だい世界せかい大戦たいせん1947ねん万国ばんこく電信でんしん連合れんごう国際こくさい無線むせん電信でんしん連合れんごう統合とうごうし「国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう」として発足ほっそくした[1]

業務ぎょうむ[編集へんしゅう]

おも業務ぎょうむは、だいいち標準ひょうじゅんである。ITUによる国際こくさい標準ひょうじゅんは「勧告かんこく[注釈ちゅうしゃく 2]」という形式けいしきる。国際こくさい機関きかんとしての歴史れきしふるく、国際こくさい連合れんごう専門せんもん機関きかんであるということもあって、ITUによってまとめられる標準ひょうじゅんは『デ・ジュール[注釈ちゅうしゃく 3]法令ほうれいじょう公式こうしき標準ひょうじゅんとして、フォーラムなど機関きかんによってまとめられる『デ・ファクト[注釈ちゅうしゃく 4]事実じじつじょう)の民間みんかん標準ひょうじゅん[注釈ちゅうしゃく 5]よりも、より位置いちづけのたかいものとしてあつかわれる。

役割やくわりとしては、無線むせん周波数しゅうはすうおび割当わりあて(世界せかい無線むせん通信つうしん会議かいぎ)がある。また、国際こくさい電話でんわおこなうために各国かっこくあいだ接続せつぞく調整ちょうせいしている。これは、郵便ゆうびん分野ぶんや万国ばんこく郵便ゆうびん連合れんごうたしている役割やくわりを、電気でんき通信つうしん分野ぶんやにおいてになうものである。

ITU は、無線むせん通信つうしん部門ぶもんITU-R)、電気でんき通信つうしん標準ひょうじゅん部門ぶもんITU-T)、電気でんき通信つうしん開発かいはつ部門ぶもんITU-D)と事務じむ総局そうきょくからなる。

無線むせん通信つうしん部門ぶもん電気でんき通信つうしん標準ひょうじゅん部門ぶもんは、国際こくさい海底かいていケーブルについて、参加さんかこくあいだ調整ちょうせいをしている。

ただし、国際こくさい衛星えいせい通信つうしん調整ちょうせいインテルサットになってきた。

次節じせつしめすよう私企業しきぎょう立場たちばつよ組織そしきであるので、ITU の標準ひょうじゅん規制きせいは『ざるほう』となることもある。そのいちれいが1980ねんRecommendation D.6 であり、D.1例外れいがい規定きていとして国際こくさい銀行ぎんこうあいだ通信つうしん協会きょうかいSITA存続そんぞくゆるした。そもそもこのD.1 自体じたい十分じゅうぶんザル規定きていである。これは通信つうしん主管しゅかんちょう業務ぎょうむものになってはならないとする原則げんそくである。通信つうしん主管しゅかんちょうには次節じせつにいうセクターメンバーをふくみ、憲章けんしょうにより定義ていぎされる[注釈ちゅうしゃく 6]日本にっぽん場合ばあいNTTKDDI日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい(NHK)、日本民間放送連盟にほんみんかんほうそうれんめい指定していされている。

会合かいごう[編集へんしゅう]

ITUはおおくの事項じこう議論ぎろんし、決定けっていするため、加盟かめいこく私企業しきぎょうなどをまじえてさまざまな研究けんきゅう委員いいんかい(SG[注釈ちゅうしゃく 7])、作業さぎょうはん(WP[注釈ちゅうしゃく 8])、地域ちいき会合かいごう(RRC[注釈ちゅうしゃく 9])、全体ぜんたい会合かいごう全権ぜんけん委員いいん会議かいぎ)などを開催かいさいする。

ITUの業務ぎょうむ加盟かめいこく協力きょうりょくによりっている。国際こくさい連合れんごう系統けいとうであることから、ひとつのくにひとつの主体しゅたいとして加盟かめいこくとなる。私企業しきぎょう組織そしきも、セクターメンバーやそれにじゅんずるものとして、加盟かめいすることが可能かのうである。セクターメンバーなどであれば、私企業しきぎょうであっても国際こくさい標準ひょうじゅん策定さくてい過程かてい参加さんかすることが可能かのうである。このてんは、ISOをはじめとするほか標準ひょうじゅん機関きかんことなっている。それら機関きかんにおいては、標準ひょうじゅんについての投票とうひょうけん国家こっかごとに一票いっぴょうずつしかなく、私企業しきぎょうかく国家こっか代表だいひょうとして参加さんかするほかない。また、ITUのおおくのみにおいて、機関きかんとの連絡れんらく体制たいせい維持いじされている。

DOI[編集へんしゅう]

デジタル・オポチュニティ・プラットフォーム(DOP[注釈ちゅうしゃく 10])のみの一環いっかんとして、ITUではデジタル・オポチュニティ・インデックス(DOI[注釈ちゅうしゃく 11])という、情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつ(ICT[注釈ちゅうしゃく 12])についての指標しひょう開発かいはつしている。この指標しひょうは、「コアICT指標しひょう」としょうされる11の基本きほんてきなICT指標しひょうもととして算出さんしゅつされる。DOIは、世界せかい情報じょうほう社会しゃかいサミットにより是認ぜにんされたものであり、デジタル・オポチュニティ[注釈ちゅうしゃく 13]世界せかいてき規模きぼ把握はあくするための単一たんいつ指標しひょうとして、どうサミットの関係かんけい文書ぶんしょ「チュニス・アジェンダのパラグラフ117」にしるされているものである。

DOIは、2005ねんに180のくにまたは地域ちいきについてまとめられ、これは現在げんざいにおいてもっと広範こうはんなICT関連かんれん指標しひょうであり、世界中せかいじゅうのICTの状況じょうきょう国際こくさいてき合意ごういされたベンチマークとしてとらえることができるものである。DOIは、ICTについて社会しゃかい基盤きばん[注釈ちゅうしゃく 14]機会きかい[注釈ちゅうしゃく 15]利用りよう[注釈ちゅうしゃく 16]の3つのカテゴリごとに経年けいねん変化へんかえるようになっている。デジタル・ディバイド測定そくていし、科学かがくてき有意ゆうい証拠しょうこもとづき分析ぶんせきすることで、とりわけ途上とじょうこくにおける政策せいさく決定けってい過程かていたすけ、ICTにより利益りえき最大さいだいすることを目指めざしている。

150周年しゅうねん[編集へんしゅう]

国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごうは、2015ねん5月17にちに150周年しゅうねんむかえた。特別とくべつ式典しきてんフランス首都しゅとパリおこなわれ、マドリッドでも式典しきてんおこなわれた[3]

ITU 150周年しゅうねんしょうが、つぎの5にんあたえられた。

事務じむそう局長きょくちょう[編集へんしゅう]

ITUの事務じむそう局長きょくちょうは、ぜん加盟かめいこく代表だいひょうにより4ねんに1頻度ひんど組織そしきされる「全権ぜんけん委員いいん会議かいぎ」における選挙せんきょによって、加盟かめいこくから推挙すいきょされた候補者こうほしゃなかから選出せんしゅつされる。

歴代れきだい事務じむそう局長きょくちょう[編集へんしゅう]

名前なまえ 就任しゅうにん 退任たいにん くに
ルイ・クルショード英語えいごばん 1869ねん1がつ1にち 1872ねん5がつ24にち スイスの旗 スイス
カール・レンディ 1872ねん5がつ24にち 1873ねん1がつ12にち スイスの旗 スイス
ルイ・クルショード英語えいごばん 1873ねん2がつ23にち 1889ねん10がつ18にち スイスの旗 スイス
オーギュスト・フレイ 1890ねん2がつ25にち 1873ねん6がつ28にち スイスの旗 スイス
ティモテウス・ロテン 1890ねん11月25にち 1897ねん2がつ11にち スイスの旗 スイス
エミール・フレイ英語えいごばん 1897ねん3がつ11にち 1921ねん8がつ1にち スイスの旗 スイス
アンリ・エティエンヌ 1921ねん8がつ2にち 1927ねん12月16にち スイスの旗 スイス
ジョセフ・レーダー 1928ねん2がつ1にち 1934ねん10がつ30にち スイスの旗 スイス
フランツ・フォン・エルンスト 1935ねん1がつ1にち 1949ねん1がつ1にち スイスの旗 スイス
レオン・ムラティエル 1950ねん1がつ1にち 1953ねん1がつ1にち フランスの旗 フランス
マルコ・アンドラーダ 1954ねん1がつ1にち 1958ねん6がつ18にち アルゼンチンの旗 アルゼンチン
ジェラルド・クロス 1964ねん1がつ1にち 1965ねん10がつ29にち アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
マノハル・サルハテ 1965ねん10がつ30にち 1967ねん2がつ19にち インドの旗 インド
モハメド・ミリ英語えいごばん 1967ねん10がつ20日はつか 1982ねん12月31にち チュニジアの旗 チュニジア
リチャード・バトラー 1983ねん1がつ1にち 1989ねん10がつ31にち オーストラリアの旗 オーストラリア
ペッカ・タリヤンネ 1989ねん11月1にち 1999ねん1がつ31にち  フィンランド
内海うつみ善雄よしお 1999ねん2がつ1にち 2006ねん12月31にち 日本の旗 日本にっぽん
ハマドゥン・トゥーレ英語えいごばん 2007ねん1がつ1にち 2014ねん12月31にち マリ共和国の旗 マリ
ちょうあつし英語えいごばん 2015ねん1がつ1にち 2022ねん12月31にち 中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく
ドリーン・ボグダン=マーティン英語えいごばん 2023ねん1がつ1にち 現在げんざい アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 憲章けんしょう国際電気こくさいでんき通信つうしん条約じょうやくともやくされる。ITU の目的もくてきつぎのとおり。①あらゆる電気でんき通信つうしん改善かいぜん合理ごうりてき利用りようのため、国際こくさい協力きょうりょく維持いじ増進ぞうしんすること。②電気でんき通信つうしん業務ぎょうむ効率こうりつ可及的かきゅうてき普及ふきゅうのため、技術ぎじゅつ改良かいりょうとベストな運用うんよううながすこと。
  2. ^ 英語えいご: recommendation
  3. ^ ラテン語らてんご: de jure
  4. ^ ラテン語らてんご: de facto
  5. ^ 大半たいはん技術ぎじゅつ仕様しよう範疇はんちゅうにとどまる。
  6. ^ 国際電気こくさいでんき通信つうしん業務ぎょうむおこなうための電気でんき通信つうしん設備せつびひとし運用うんようする私企業しきぎょうのうち、公衆こうしゅう通信つうしん業務ぎょうむ運用うんようするもの」
  7. ^ 英語えいご: study group
  8. ^ 英語えいご: working party
  9. ^ 英語えいご: regional radio conference
  10. ^ 英語えいご: digital opportunity platform
  11. ^ 英語えいご: digital opportunity index
  12. ^ 英語えいご: information and communications technology
  13. ^ 情報じょうほう通信つうしんネットワークに人々ひとびとせっすることができる度合どあいのこと。
  14. ^ 英語えいご: infrastructure
  15. ^ 英語えいご: opportunity
  16. ^ 英語えいご: utilization

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b コトバンク「万国ばんこく電信でんしん連合れんごう
  2. ^ George Arthur Codding Jr. The International Telecommunication Union: An Experiment in International Cooperation Leiden, 1952, pp.13-14.
  3. ^ ITU marks 150th anniversary with global celebrations, Newsroom, ITU, 2015-05-18.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]