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海軍かいぐん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
スウェーデン海軍かいぐん紋章もんしょうふねいかり海軍かいぐん象徴しょうちょうとして世界中せかいじゅうもちいられる。
アメリカ海軍かいぐんジェラルド・R・フォード
アメリカ海軍かいぐんP-3哨戒しょうかい

海軍かいぐん(かいぐん、えい: navy)は、おも海上かいじょう担当たんとう領域りょういきとする軍事ぐんじ組織そしきう。艦艇かんてい航空機こうくうきひとしもちい、各種かくしゅ軍事ぐんじ作戦さくせんおこなう。陸軍りくぐん空軍くうぐんならび、主要しゅようぐんしゅとされる。

概説がいせつ

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海軍かいぐん本質ほんしつてき海洋かいよう活動かつどう領域りょういきとする軍隊ぐんたい一種いっしゅであり、その意義いぎ海洋かいようがどのように社会しゃかい関係かんけいしているかに影響えいきょうしている。地球ちきゅう表面ひょうめんはそのやく70%が海洋かいようであり、沿岸えんがん地域ちいき集落しゅうらく古来こらいより船舶せんぱく活用かつようしながら生活せいかついとなんでいた。古代こだいギリシアの哲学てつがくしゃアリストテレス海洋かいよう国家こっかにもたらす影響えいきょう言及げんきゅうしている。かれ安全あんぜん保障ほしょう貿易ぼうえきめん海洋かいよう国家こっか重要じゅうよう便益べんえきをもたらすとべており、たとえば戦争せんそうにおいて海外かいがいから派遣はけんされた援軍えんぐん収容しゅうようするためにも、また国内こくない余剰よじょう生産せいさんぶつ輸出ゆしゅつするためにも海洋かいようという地理ちりてき環境かんきょう有用ゆうようであるとかんがえていた[1]。さらにイギリスの哲学てつがくしゃであり、政治せいじでもあったフランシス・ベーコン政治せいじてき見地けんちから海洋かいよう重要じゅうようせいろんじており、うみ支配しはいすることができれば、大陸たいりく領有りょうゆうする国家こっかくらべてより自由じゆうになり、戦争せんそう規模きぼ範囲はんい制御せいぎょすることができることを主張しゅちょうした[2]。したがって、海洋かいようとは国家こっか人間にんげん生活せいかつにとって有益ゆうえきであり、しかも陸地りくちとはまったことなる環境かんきょうであるとかんがえることができる。陸軍りくぐん空軍くうぐんことなる海軍かいぐん固有こゆう性格せいかくとは、このような海洋かいよう重要じゅうようせい特殊とくしゅせいまえて軍事ぐんじ作戦さくせん遂行すいこうする能力のうりょくつことであると特徴付とくちょうづけられる。

海洋かいようにおいて海軍かいぐんにな具体ぐたいてき戦略せんりゃくてき役割やくわり海軍かいぐん戦略せんりゃく理論りろんによって規定きていされている。アメリカの軍人ぐんじんアルフレッド・セイヤー・マハンは『海上かいじょう権力けんりょく史論しろん』や『海軍かいぐん戦略せんりゃく』において海洋かいよう戦略せんりゃく理論りろんし、海軍かいぐん使命しめい制海権せいかいけん海上かいじょう優勢ゆうせい)の獲得かくとくにあるとろんじた[3]。マハンの格言かくげんに『うみせいするものが、世界せかいせいする。』がある。これは、現代げんだいいたっても、各国かっこく海軍かいぐん存在そんざい意義いぎ証明しょうめいする骨幹こっかんとなっているとはイギリスの軍人ぐんじんフィリップ・ハワード・コロムの『海戦かいせんろん』によってはじめて提唱ていしょうされた概念がいねんであり、海洋かいようにおいて航海こうかい管制かんせいする権力けんりょくである。これを保持ほじすることは味方みかた船舶せんぱく航行こうこう保全ほぜんし、同時どうじてき航行こうこうする船舶せんぱく阻止そしもしくは破壊はかいすることとなる。軍事ぐんじ作戦さくせん用語ようごほうでは前者ぜんしゃ海上かいじょう護衛ごえい後者こうしゃ通商つうしょう破壊はかいび、海軍かいぐん任務にんむ一部いちぶとしている。しかしマハンは海軍かいぐん制海権せいかいけん確立かくりつするための方法ほうほうとして通商つうしょう破壊はかいだけでは不十分ふじゅうぶんであるとかんがえていたためにてき艦隊かんたい撃滅げきめつする艦隊かんたい決戦けっせん必要ひつようであると強調きょうちょうしている。てき艦隊かんたい破壊はかいすることによって、てき商船しょうせんたいをも完全かんぜん撃滅げきめつすることが可能かのうとなり、したがっててきたいする海上かいじょう封鎖ふうさ実現じつげんできることとなる。一方いっぽうでマハンとはことなる見地けんちから『海洋かいよう戦略せんりゃくしょ原則げんそく』をあらわしたイギリスの戦略せんりゃく研究けんきゅうしゃジュリアン・コーベットは陸軍りくぐん海軍かいぐん相補そうほてき関係かんけいまえて艦隊かんたい決戦けっせんによる制海権せいかいけん確立かくりつ絶対ぜったいしていない[4]海洋かいようという地理ちりてき特性とくせいかんがえれば制海権せいかいけん完全かんぜん確立かくりつすることは現実げんじつてき不可能ふかのうであり、むしろ海上かいじょう護衛ごえい通商つうしょう破壊はかいこそが海軍かいぐん本質ほんしつてき任務にんむであるととらえていた。そして戦争せんそう全体ぜんたいにおける海軍かいぐん戦略せんりゃくてき任務にんむとして海洋かいようから大陸たいりくたいして適時てきじ適所てきしょ戦力せんりょく投射とうしゃ能力のうりょく発揮はっきすることを主張しゅちょうした。これまでの議論ぎろんから海軍かいぐんとは海上かいじょう交通こうつう排他はいたてき確保かくほするために制海権せいかいけん掌握しょうあくすることが重要じゅうようであることはわかるが、そのために海軍かいぐんがどのようにあるべきかは議論ぎろんかれる問題もんだいである。

海軍かいぐんという軍事ぐんじ組織そしき具体ぐたいてき構成こうせい要素ようそとは船舶せんぱくである。英語えいご海軍かいぐんあらわすnavyの語源ごげんラテン語らてんごの"navis"であり、これは軍艦ぐんかん貨物かもつせん漁船ぎょせんなどあらゆる船舶せんぱく集合しゅうごうたい意味いみしていた。工学こうがくてきには船舶せんぱく液体えきたいから浮力ふりょく復元ふくげんせいながら機関きかん推進すいしんりょく航行こうこうする構造こうぞうぶつであり、その内実ないじつ船舶せんぱく工学こうがく技術ぎじゅつ革新かくしん使用しよう目的もくてき複雑ふくざつともなって歴史れきしてき変化へんかしてきた。そのため現代げんだい海軍かいぐんでは航空こうくう打撃だげきりょく航空こうくう母艦ぼかん潜水せんすい作戦さくせん能力のうりょく潜水せんすいかん水上みずかみ艦艇かんていである戦艦せんかん巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかんなどの艦艇かんていようしており、地域ちいき時代じだいによっては海兵かいへいたいなどの陸上りくじょう戦力せんりょくたいせん戦闘せんとう能力のうりょく航空こうくう戦力せんりょく核兵器かくへいきなどを運用うんようする場合ばあいもある。海軍かいぐん航空こうくう打撃だげきせんたい水上すいじょう戦闘せんとうたいせん戦闘せんとう機雷きらいせん電子でんしせん水陸すいりく両用りょうよう作戦さくせん海上かいじょう護衛ごえいせん通商つうしょう破壊はかい洋上ようじょう補給ほきゅうなどさまざまな海上かいじょう作戦さくせん遂行すいこうするために、諸々もろもろ作戦さくせん能力のうりょく均整きんせいがとれた艦隊かんたい編制へんせいすることがもとめられる。しかしながら、このような一般いっぱん原則げんそくはんして海軍かいぐん地域ちいき時代じだいおうじてさまざまな形態けいたい変容へんようしてきた。マハンは艦隊かんたい決戦けっせん重要じゅうようせい認識にんしきしていたために大型おおがたかん中心ちゅうしんとする艦隊かんたい主張しゅちょうし、アメリカ海軍かいぐん艦隊かんたい積極せっきょくてき海外かいがい派遣はけんする外洋がいよう海軍かいぐんとしての能力のうりょく期待きたいされた。しかし水雷すいらいてい潜水せんすいかん登場とうじょうしたころフランス海軍かいぐんでは青年せいねん学派がくはによって当時とうじ優勢ゆうせい海軍かいぐんりょくほこっていたイギリス海軍かいぐん対抗たいこうするために外洋がいよう機動きどうちからがある巡洋艦じゅんようかんを、沿岸えんがんには潜水せんすいてい水雷すいらいてい導入どうにゅうする守勢しゅせいてき海軍かいぐん構想こうそう提唱ていしょうされ、ドイツの軍人ぐんじんティルピッツもイギリス海軍かいぐん直接ちょくせつ対決たいけつしない抑止よくしりょくとしての危険きけん艦隊かんたい構想こうそう主張しゅちょうした。このような沿岸えんがん海軍かいぐん構想こうそうロシア海軍かいぐんでも青年せいねん学派がくは影響えいきょうれていたが、ロシア革命かくめいにはりくぬしうみしたがえ方針ほうしんり、キューバ危機ききこるまでは外洋がいよう展開てんかいする能力のうりょく期待きたいされなかった[5]。このように海軍かいぐんかたはその海軍かいぐん戦略せんりゃく環境かんきょうによって可変かへんてきなものであり、また軍事ぐんじ技術ぎじゅつ戦略せんりゃく思想しそう変化へんかにも影響えいきょうけるものだとかんがえられる。

海軍かいぐん

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大量たいりょう物資ぶっし輸送ゆそうするには、海上かいじょう河川かせん船舶せんぱく航行こうこうするのが効率こうりつい。人類じんるいおおきな国家こっかつくるようになると船舶せんぱくによる輸送ゆそう不可欠ふかけつとなった。この航行こうこう安全あんぜんまもるために海軍かいぐん創設そうせつされた。海軍かいぐんりょくとは自国じこく海上かいじょう通商つうしょう維持いじ能力のうりょくにほぼひとしい。歴史れきしじょうでは海軍かいぐんりょく盛衰せいすい国家こっか盛衰せいすい一致いっちしていることおおい。(日本にっぽん海軍かいぐんについては日本にっぽん海軍かいぐん参照さんしょう

海軍かいぐん役割やくわり海軍かいぐん政治せいじ情勢じょうせい技術ぎじゅつ躍進やくしんなどによっておおきく変化へんかしてきた。初期しょき海軍かいぐん陸軍りくぐん部隊ぶたい輸送ゆそう沿岸えんがん警備けいびという補助ほじょてき役割やくわりであり、つね編制へんせいされていたわけではなかった。しかし16世紀せいきはじめて戦闘せんとう目的もくてきとした船舶せんぱく設計せっけいされるようになり、いで蒸気じょうき機関きかんもちいた船舶せんぱく技術ぎじゅつ発達はったつすすむと、独自どくじてき役割やくわりにな戦力せんりょくとして海軍かいぐん常備じょうびされるようになる。航空機こうくうき発明はつめいされる以前いぜんのものであったが、現代げんだいにおいてもその基本きほん思想しそう現代げんだい海軍かいぐんのこっている。だいいち世界せかい大戦たいせんでは潜水せんすいかん通商つうしょう破壊はかい海上かいじょう封鎖ふうさ効果こうかたか評価ひょうかされ、まただい世界せかい大戦たいせんでも大西洋たいせいよう太平洋たいへいよう海上かいじょう交通こうつうめぐって従来じゅうらい軍艦ぐんかんあわせて航空こうくう母艦ぼかん航空こうくう打撃だげきせんおこなわれた。冷戦れいせんには核弾頭かくだんとう搭載とうさいしたかくミサイル原子力げんしりょく潜水せんすいかんというあたらしい海上かいじょう戦力せんりょくかく抑止よくし役割やくわりになっていた。

古代こだい

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古代こだいギリシアガレーせん

紀元前きげんぜん21世紀せいきころ古代こだいエジプトナイルがわかべた軍船ぐんせんが、海軍かいぐんのもっともふるれいのひとつとかんがえられている。

地中海ちちゅうかい世界せかいでは、紀元前きげんぜん15世紀せいきころからメソポタミアとエジプトでまれた文明ぶんめいひがし地中海ちちゅうかい地域ちいき波及はきゅうし、地中海ちちゅうかい沿岸えんがん各地かくちまれたしょ都市とししょ国家こっか海軍かいぐん編成へんせいして海上かいじょう交通こうつうきそった。うみ覇権はけんあらそいで最初さいしょ有力ゆうりょくとなったのはフェニキアしょ都市としで、いで紀元前きげんぜん300ねんころまで古代こだいギリシア有力ゆうりょくとなった。ヘレニズム以降いこうやく100年間ねんかんきたアフリカカルタゴ優位ゆういち、紀元前きげんぜん2世紀せいきにカルタゴをほろぼした古代こだいローマ覇権はけん紀元きげん300ねんころまでつづいた。ローマの覇権はけんによる地中海ちちゅうかい世界せかい平和へいわパックス・ロマーナばれる。帝国ていこく行政ぎょうせいじょう中心ちゅうしんであるぞくしゅう首都しゅとおお海港かいこうないしその付近ふきんかれた。

古代こだい地中海ちちゅうかい世界せかい海戦かいせんでは、かんくび衝角敵艦てきかんてて破壊はかいする戦法せんぽうや、ふねてきせてはしごを使つかって戦士せんし敵艦てきかんませる戦法せんぽうなどがられた。艦船かんせん人力じんりきぐトリエーレ(90t、120にんり)から、やはり人力じんりきではあるがさらおおきいガレーせん(300t、200にんり)へと大型おおがたしていった。アテナイなどの都市とし国家こっかでは、海軍かいぐん運用うんようするさんだんかいせん提供ていきょう富裕ふゆう市民しみん負担ふたんとされ、自力じりき歩兵ほへいへいそうそろえることができない貧困ひんこんそうふねしゅとなった。海軍かいぐんりょくによるペルシア戦争せんそう勝利しょうりは、これら貧困ひんこんそう政治せいじてき発言はつげんりょくすことにつながった。

ちゅう近世きんせい

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ヴァイキングもちいたロングシップ

6世紀せいきころからひがし地中海ちちゅうかいでは、古代こだいギリシャ・ローマ以来いらい造船ぞうせん技術ぎじゅついだひがしマ帝国まていこく(ビザンティン帝国ていこく)が、火炎かえん放射ほうしゃギリシャの戦艦せんかんデュロモイようして海上かいじょう覇権はけんにぎった。しかし、やがて7世紀せいきエジプトシリア征服せいふくしてひがし地中海ちちゅうかい世界せかい参入さんにゅうしたムスリム(イスラム教徒きょうと)のちからし、シチリアとうマルタとうイベリア半島はんとうにまでムスリムの支配しはいおよぶようになる。このイスラームによる覇権はけんは、パクス・イスラミカぶ。キリスト教きりすときょうされた西にしヨーロッパはムスリムとの通商つうしょうおこなわなかったため、古代こだい以来いらい地中海ちちゅうかい全体ぜんたいおお海上かいじょう通商つうしょう分断ぶんだんされた。

一方いっぽうヨーロッパ大西おおにしひろしがわでは、きたからヴァイキングばれるノルマンじんたちの襲撃しゅうげきおよぶようになっていたが、西にしヨーロッパ各国かっこくはこれに対抗たいこうする海軍かいぐん発達はったつさせず、ほとんどさえまれたままであった。ノルマンじん勢力せいりょくは、大西洋たいせいようのみならず、地中海ちちゅうかいシチリアとうにもおよんだ。

ヨーロッパの地中海ちちゅうかいがわでは11世紀せいきころからイタリア半島はんとうしょ都市としちからをつけ、ジェノヴァヴェネツィア海軍かいぐん活躍かつやくした。ひがし地中海ちちゅうかい覇権はけんひがしマ帝国まていこくからジェノヴァ・ヴェネツィアにうつり、各国かっこくはそのちから無視むしできなくなる。

このころ軍船ぐんせんガレーせんのほかに帆船はんせん使つかわれるようになり、火薬かやく使つかった鉄砲てっぽう大砲たいほう装備そうびされるようになった。しかし遠距離えんきょり攻撃こうげきおこな武器ぶき出現しゅつげんしても、せっふなばたして相手あいてふねうつっての白兵戦はくへいせんは、依然いぜんとして重要じゅうよう攻撃こうげき手段しゅだんでありつづけた。

15世紀せいきころからビザンティン帝国ていこくほろぼしてゲ海げかいマルマラうみ沿岸えんがんギリシャじんトルコじん海上かいじょう勢力せいりょく支配しはいれたオスマン帝国ていこく海軍かいぐんりょく優位ゆういち、16世紀せいきにはきたアフリカバーバリ海賊かいぞくもこれにくわわって西にし地中海ちちゅうかいまでせいした。16世紀せいき後半こうはんまでは、実質じっしつてきにオスマンの世紀せいきだったとえる。

一方いっぽう大西おおにしひろしがわでは16世紀せいきスペインポルトガル海軍かいぐん優位ゆういち、地中海ちちゅうかい覇権はけんめぐってオスマン帝国ていこくあらそ一方いっぽう大西洋たいせいようインド洋いんどようまで展開てんかいするようになった。しかしどう世紀せいきすえにはスペインの無敵むてき艦隊かんたい(アルマダ)がイギリスにやぶれ、スペインの国力こくりょく急速きゅうそく低下ていかしていった。17世紀せいきには、イベリア両国りょうこくにかわって新興しんこうオランダイングランド海軍かいぐん有力ゆうりょくとなっていく。

バルト海ばるとかいにおいては、中世ちゅうせい以来いらい都市とし同盟どうめいハンザ同盟どうめい優位ゆういっていた。これにたいして、北欧ほくおうでは、ヴァイキングを継承けいしょうするデンマーク国家こっかとして海軍かいぐん形成けいせいし、だい航海こうかい時代じだい参画さんかくし、インドにまでたっしている。ハンザ同盟どうめいとデンマークは16世紀せいきまで対立たいりつし、ハンザ同盟どうめい弱体じゃくたいしたのちは、スウェーデンがデンマークとバルト海ばるとかい制海権せいかいけんあらそった。これにたいして、この当時とうじ大国たいこくだったロシアモスクワ大公たいこうこく)は海軍かいぐん存在そんざいしなかった。17世紀せいきはいるとスウェーデンが海軍かいぐん強化きょうかし、デンマークを撃破げきはしてバルト帝国ていこく建国けんこくする。一方いっぽう17世紀せいき後半こうはんには、バルト海ばるとかい制海権せいかいけんふたた動揺どうようられた。デンマークは依然いぜん海軍かいぐんりょくようし、また新興しんこうプロイセンバルト海ばるとかい覇権はけんあらそいに参戦さんせんする。そして、海軍かいぐん後進こうしんこくだったロシアが1696ねん海軍かいぐん創設そうせつ。18世紀せいき初頭しょとうだい北方ほっぽう戦争せんそうにおいて、バルト海ばるとかい制海権せいかいけんうばい、北欧ほくおう両国りょうこくわって北方ほっぽう覇権はけん確立かくりつした(ロシア帝国ていこく)。

17世紀せいきイギリス海軍かいぐん

西洋せいよう各国かっこくは、くにによる海軍かいぐんのほかに、わたしかすめ免許めんきょじょうして、敵国てきこくせん攻撃こうげきならびに拿捕だほゆるし、海軍かいぐんりょく不足ふそくおぎなった。これがとくに効果こうかてきおこなわれたのはイングランドで、フランシス・ドレークなど多数たすう有名ゆうめいわたしかすめせん船長せんちょうした。またイングランドは操船そうせん規則きそくなどを充実じゅうじつし、それまでばらばらに行動こうどうしがちだった艦船かんせんが、隊列たいれつ信号しんごう合図あいずによって組織そしきてき機動きどうする近代きんだい海軍かいぐん整備せいび他国たこくさきんじた。

18世紀せいきはいるとフランス海軍かいぐん増強ぞうきょうイギリス挑戦ちょうせんしたが、トラファルガーの海戦かいせんでイギリスが大勝たいしょうし、イギリス海軍かいぐん覇権はけん確立かくりつした(イギリス帝国ていこく)。このころ主力しゅりょくかん戦列せんれつかんばれ木造もくぞう3ほんマストやく2000tでやく100もん大砲たいほうゆうしていた。しかしこのような大型おおがたかん建造けんぞうは、国家こっか財政ざいせい負担ふたんとなった。イギリスにおける清教徒せいきょうと革命かくめいは、おおきな反対はんたいがあったけんかんぜい導入どうにゅうもとめた国王こくおうが、イングランド議会ぎかい召集しょうしゅうしたことにはしをなした。

日本にっぽんではなな世紀せいき大和やまと朝廷ちょうていしんから連合れんごうぐんとの白村はくそんこうたたかがあり海軍かいぐん歴史れきしながいが組織そしきてき海軍かいぐん海賊かいぞくしゅ:水軍すいぐん)の活躍かつやくられるのは平安へいあん時代じだいからであり、古代こだい海賊かいぞくしゅ代表だいひょうとして、伊予いよこく日振島ひぶりしま藤原ふじわらじゅんともがあげられる。平安へいあん時代じだい後期こうきからこのような沿海えんかい武士ぶし武装ぶそう集団しゅうだんして縄張なわばりの海域かいいき通航つうこうするふねたいして有償ゆうしょう海上かいじょう警備けいび略奪りゃくだつはたらくようになり、海賊かいぞくしゅばれる集団しゅうだん発展はってんした。海賊かいぞくしゅ室町むろまち時代ときよから戦国せんごく時代じだいには大名だいみょう水軍すいぐん編成へんせいされ、海上かいじょう覇権はけんきそった。比較的ひかくてきだい規模きぼ海賊かいぞくしゅ伊予いよ村上むらかみ河野こうのがあり、一時いちじてき日本にっぽん最大さいだい規模きぼ水軍すいぐんでもあった。織田おだ信長のぶながつかえた九鬼くき嘉隆よしたか志摩しまこくいちこくあたえられて織田おだ熊野くまの水軍すいぐん編成へんせいし、「日本にっぽんまる」をはじめとするてつりの軍船ぐんせんによって紀州きしゅう一向いっこう一揆いっき石山いしやま本願寺ほんがんじなどの攻略こうりゃく貢献こうけんした。しかし、これらは朝鮮ちょうせん出兵しゅっぺいにおいて莫大ばくだい人的じんてき損耗そんこうをきたし、江戸えど時代じだいには幕府ばくふの1635ねん武家ぶけしょ法度はっと法文ほうぶんされた大船おおふな建造けんぞうきん鎖国さこく政策せいさくによりおとろえた。

近代きんだい

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大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん艦隊かんたい

19世紀せいきにはそれまで木造もくぞうのみであった艦船かんせん材質ざいしつてつはがね使用しようされるようになった。おもへいそう大砲たいほうほかに、かんくび水面すいめんおおきな衝角を装備そうびしたふねつくられた。この衝角は、オーストリアイタリアたたかったリッサ海戦かいせん最後さいご使つかわれなくなり、20世紀せいきはいると廃止はいしされた。またはがね装甲そうこうされたかんつくられるようになり、南北戦争なんぼくせんそうでは装甲そうこうかん同士どうし砲撃ほうげきせん生起せいきした。19世紀せいきわりに魚雷ぎょらい実用じつようされ、にちしん戦争せんそうでその威力いりょくたしかめられた。

19世紀せいきまつから20世紀せいきにかけて、戦艦せんかん巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかん魚雷ぎょらいてい潜水せんすいかんひとしかんしゅ確立かくりつした。イギリス・フランス・ロシア・ドイツ・アメリカは戦艦せんかん多数たすうだい艦隊かんたい装備そうびしたが、そのくにもその国力こくりょく地理ちり条件じょうけん見合みあった艦隊かんたい整備せいびした。

にち戦争せんそうでは戦艦せんかん同士どうしだい規模きぼ戦闘せんとうおこなわれ、そのせんくんもといしゆみきゅう戦艦せんかんつくられた。またロシア海軍かいぐんはこの戦争せんそう大敗たいはいし、海軍かいぐん拡張かくちょう競争きょうそうから脱落だつらくしてゆく。

だいいち世界せかい大戦たいせんでは、だい艦隊かんたいゆうするイギリス・フランス・アメリカとドイツがたたかった。だいいち世界せかい大戦たいせんにおける海軍かいぐんおもたたかいは、ドイツの潜水せんすいかんによる通商つうしょう破壊はかいとそれにたいするたいせん作戦さくせんであった。水上すいじょう艦艇かんていによるだい規模きぼ艦隊かんたい決戦けっせん回数かいすうすくないが、南米なんべい北海ほっかいなんおこなわれた。また航空機こうくうき戦闘せんとう使用しようされ、航空こうくう母艦ぼかん整備せいびされるようになった。

だいいち世界せかい大戦たいせんちゅうもイギリスはだい規模きぼけんかんつづけ、大戦たいせん終了しゅうりょうにはくにとは比較ひかくにならないだい規模きぼ艦隊かんたいゆうしていた。大戦たいせんやぶれたドイツは海軍かいぐん大幅おおはば縮小しゅくしょうされ、フランスも国力こくりょく疲弊ひへい新規しんき建造けんぞう減少げんしょうした。だいいち世界せかい大戦たいせんはイギリスが艦隊かんたい縮小しゅくしょうし、大戦たいせん影響えいきょうすくなかったアメリカと日本にっぽんだいけんかん計画けいかくはじめたため、この3カ国かこくだい海軍かいぐんこくとなった。日米にちべいだいけんかん計画けいかく経済けいざいてき負担ふたんおおぎ、1920年代ねんだいけんかん競争きょうそう一旦いったん中止ちゅうしするワシントン軍縮ぐんしゅく会議かいぎロンドン軍縮ぐんしゅく会議かいぎおこなわれ、1930年代ねんだいまつまで主力しゅりょくかん建造けんぞう中止ちゅうしされた。この期間きかんをネイバル・ホリデー(海軍かいぐん休日きゅうじつ)とぶ。

ネイバル・ホリデー各国かっこく主力しゅりょくかん建造けんぞう再開さいかいし、すぐにだい世界せかい大戦たいせんはじまった。この戦争せんそう戦艦せんかん主力しゅりょくかん航空こうくう母艦ぼかんゆずった。また大西おおにしひろしでは再度さいど潜水せんすいかんたいせん部隊ぶたいだい規模きぼ戦闘せんとうおこなわれた。太平洋たいへいようでは、空母くうぼ機動きどう部隊ぶたい同士どうし戦闘せんとうおこなわれた。

現代げんだい

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アメリカ海軍かいぐんオハイオきゅう原子力げんしりょく潜水せんすいかん

だい世界せかい大戦たいせん終了しゅうりょう、アメリカが多数たすう大型おおがた航空こうくう母艦ぼかん基幹きかんとする圧倒的あっとうてき海軍かいぐんりょくゆうし、それが現在げんざいまで継続けいぞくしている。現在げんざい慣例かんれいしたがえばパクス・アメリカーナとなる。ソビエト連邦れんぽう一時期いちじきアメリカの海軍かいぐんりょく挑戦ちょうせんしたが、ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいとともに海軍かいぐんりょく低下ていかした。また、イギリス海軍かいぐん戦後せんご有力ゆうりょく海軍かいぐんとしてのこフォークランド紛争ふんそうとう活躍かつやくしたが、2000年代ねんだいはいると経済けいざい低迷ていめいによる予算よさん縮小しゅくしょうおおきく弱体じゃくたいした。海軍かいぐんじゅんじる戦力せんりょくとして日本にっぽん海上かいじょう自衛隊じえいたい世界せかい有数ゆうすう実力じつりょくつとされている。 だい世界せかい大戦たいせんに、原子げんしばくだん長距離ちょうきょりミサイル実用じつようされ、これをひとつにまとめた弾道だんどうかくミサイル多数たすう搭載とうさいした原子力げんしりょく潜水せんすいかん登場とうじょうした。またこの潜水せんすいかん破壊はかいする目的もくてき攻撃こうげきがた潜水せんすいかん多数たすう建造けんぞうされている。しかし現在げんざい世界せかい状況じょうきょうでは核兵器かくへいき実際じっさいには使つかえない兵器へいきであり、1990年代ねんだいにアメリカの航空こうくう母艦ぼかんから撤去てっきょされている。

比較的ひかくてきだい規模きぼ外洋がいようがた海軍かいぐんゆうするくには、てき潜水せんすいかんからの通商つうしょう破壊はかいたいする海上かいじょう護衛ごえい必要ひつよううったつづけることで艦艇かんてい部隊ぶたい航空こうくう部隊ぶたい存在そんざい維持いじしている。こういった組織そしき形態けいたい海軍かいぐんたいせん海軍かいぐんともばれ、海上かいじょう自衛隊じえいたいたいせん海軍かいぐん典型てんけいといえる。

機能きのう

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海軍かいぐん基本きほんてき機能きのうおおきく外交がいこう機能きのう軍事ぐんじ機能きのう警備けいび機能きのうの3つに分類ぶんるいされるとかんがえられている。

外交がいこう広報こうほう機能きのう

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平時へいじ海軍かいぐんにとって第一義だいいちぎ任務にんむは、外交がいこう広報こうほう活動かつどうである。海軍かいぐんおこなう外交がいこう広報こうほうとも情報じょうほうせん心理しんりせん一角いっかくすものである。 海軍かいぐん外交がいこうてき機能きのう強制きょうせい外交がいこう砲艦ほうかん外交がいこう)の支援しえんがある。外国がいこくとの交渉こうしょうにおいて、強力きょうりょく軍艦ぐんかん派遣はけんしその武力ぶりょくうしだてとして交渉こうしょう有利ゆうりすすめることは砲艦ほうかん外交がいこうばれ、幕末ばくまつアメリカのペリー提督ていとく軍艦ぐんかん江戸えどわん進入しんにゅうさせて日本にっぽん開国かいこくさせ外交がいこう関係かんけいむすんだ事件じけんは、砲艦ほうかん外交がいこう成功せいこうれいとして有名ゆうめいである。また砲艦ほうかん外交がいこうのような強制きょうせいりょく活用かつようしたものばかりではなく、「Show the Flag」など外交がいこう政策せいさく実行じっこうにも運用うんようすることができる。

また外国がいこくたいする政治せいじてき親善しんぜん活動かつどうという機能きのうもある。同盟どうめいこく友好国ゆうこうこく訪問ほうもんし、現地げんちでの親睦しんぼく交流こうりゅうおこなうことも海軍かいぐん重要じゅうよう任務にんむひとつである。また海軍かいぐん軍人ぐんじん一種いっしゅ外交がいこうかんとして行動こうどう配慮はいりょ要求ようきゅうされ、その伝統でんとうほこりにしている。また外国がいこくのみならず国民こくみんたいしても、観艦式かんかんしき体験たいけん航海こうかい実施じっし博物館はくぶつかん資料しりょうかん運営うんえいなどで、海軍かいぐんへの親近しんきんかん国防こくぼう意識いしき涵養かんようつとめている[ちゅう 1]

軍事ぐんじ機能きのう

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海軍かいぐんかぎらず、ぐん機能きのう根幹こんかんは、戦争せんそう抑止よくしりょくにあるといえる。海軍かいぐんりょく抑止よくしりょくにはかく戦力せんりょくによるかく抑止よくし在来ざいらい戦力せんりょくによる抑止よくしがある。またこのほかにも公海こうかいうえでの自国じこくおよび同盟どうめいこく友好国ゆうこうこく船舶せんぱく保護ほご通商つうしょう安全あんぜん確保かくほという機能きのうつ。

海軍かいぐんりょく使用しよう手段しゅだんとして全面ぜんめん戦争せんそうにおける通商つうしょう破壊はかい作戦さくせん上陸じょうりく作戦さくせん艦隊かんたい決戦けっせん攻勢こうせいてき機雷きらいせんなどがある。

局地きょくち戦闘せんとうにおいては海上かいじょう護衛ごえい作戦さくせん海上かいじょう封鎖ふうさかん戦闘せんとう守勢しゅせいてき機雷きらいせん特殊とくしゅ部隊ぶたい浸透しんとう戦術せんじゅつなどがある。

戦時せんじでは海上かいじょうでの軍事ぐんじ活動かつどうのみならず、海上かいじょう海中かいちゅうからとど範囲はんい陸上りくじょう目標もくひょうぶつ破壊はかいする。過去かこ一般いっぱんてきであった「領海りょうかい3海里かいり」は18世紀せいきごろ艦載かんさいほうたまとど距離きょりとして採用さいようされたとわれている(現在げんざい大半たいはんくにが12海里かいり採用さいようしている)。だい世界せかい大戦たいせんでは航空こうくう母艦ぼかん発進はっしんした航空機こうくうきてき本土ほんど空襲くうしゅうした。だい世界せかい大戦たいせんには戦略せんりゃくかくミサイルを搭載とうさいした原子力げんしりょく潜水せんすいかん実用じつようし、巡航じゅんこうミサイルにいたっては潜水せんすいかんだけではなく巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかんにも搭載とうさいされ、海軍かいぐん攻撃こうげきりょく範囲はんい大陸たいりくおくふくぜん世界せかいひろがった。

たとえば現代げんだいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく世界せかいおおくのくに同盟どうめい関係かんけいにあり、ほとんどのくに友好ゆうこう関係かんけいむすんでいる。また米国べいこくじん米国べいこく企業きぎょう世界せかいのあらゆるところに進出しんしゅつして活動かつどうしている。そこでべい海軍かいぐんぜん世界せかい活動かつどう領域りょういきとし、本国ほんごく以外いがいにも横須賀よこすかひとしおおくの基地きち設置せっちし、その艦船かんせんぜん世界せかいてき運用うんようしている。また紛争ふんそう予想よそうされる地域ちいき空母くうぼ艦船かんせん進出しんしゅつさせ紛争ふんそう抑止よくしりょくとするとともに、まんいちさいにはてき有効ゆうこう打撃だげきあたえると同時どうじにその地域ちいき国民こくみん保護ほごおこなう。

警備けいび救難きゅうなん機能きのう

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海軍かいぐん警備けいび機能きのう国家こっか主権しゅけん行使こうしとして、自国じこく領海りょうかいなどの警備けいびあらわされる海上かいじょう治安ちあん維持いじである。具体ぐたいてき活動かつどうとしては密輸みつゆ防止ぼうし海洋かいよう法規ほうき施行しこう沿岸えんがんにおける海難かいなん事故じこなどの救難きゅうなん活動かつどうなどをおこなう。このような機能きのうとくした海上かいじょう戦力せんりょく海軍かいぐんとはことなるじゅん軍事ぐんじ組織そしきとして沿岸えんがん警備けいびたいとされる場合ばあいもあるが、アメリカの沿岸えんがん警備けいびたい海事かいじ法規ほうき執行しっこう重視じゅうしし、イギリスのHM沿岸えんがん警備けいびたい海上かいじょう救難きゅうなん重視じゅうししているように沿岸えんがん警備けいび任務にんむ多様たようである。また税関ぜいかんへの協力きょうりょく関係かんけいとして、脱税だつぜい強行きょうこう摘発てきはつ参加さんかする場合ばあいもある。

組織そしき構造こうぞう

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海軍かいぐん組織そしき時代じだいくに戦略せんりゃくによって千差万別せんさばんべつであるが、現代げんだい西欧せいおう諸国しょこく海軍かいぐんれい説明せつめいする。

軍令ぐんれい軍政ぐんせい

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海軍かいぐん国防こくぼう組織そしき一部いちぶきょくであり、この組織そしき最高さいこう指揮しきけん国権こっけん同様どうよう大統領だいとうりょう首相しゅしょう、また一部いちぶでは国防こくぼうしょうなどが保有ほゆうしている。この部隊ぶたい軍事ぐんじ作戦さくせん指揮しき統制とうせいする命令めいれい軍令ぐんれいであり、最高さいこう指揮しきかん軍令ぐんれい通達つうたつされることによって作戦さくせん部隊ぶたい行動こうどうすることとなる。軍令ぐんれい対照たいしょうとして軍事ぐんじについての行政ぎょうせいてき分野ぶんや軍政ぐんせいというが、軍政ぐんせい部門ぶもんとしては海軍かいぐん部隊ぶたいには国防省こくぼうしょう海軍かいぐんしょう設置せっちされている。このような軍政ぐんせい機関きかん予算よさん編成へんせい基地きち管理かんりなどの行政ぎょうせいてき業務ぎょうむおこなっている。

艦隊かんたい編制へんせい

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海軍かいぐん編制へんせいくにによっておおきくことなるが、基本きほんてきには軍政ぐんせいじょう単位たんい戦術せんじゅつじょう単位たんいとして艦隊かんたいがある。艦隊かんたいとは単独たんどく指揮しきかんした特定とくてい海域かいいき航行こうこうする海軍かいぐん部隊ぶたいであるとされている。たとえばアメリカ海軍かいぐん艦隊かんたい軍政ぐんせいじょうでは大西洋たいせいよう太平洋たいへいよう配備はいびされた大艦だいかんたいからり、その両方りょうほうには航空こうくう母艦ぼかん部隊ぶたい巡洋艦じゅんようかん部隊ぶたい駆逐くちくかん部隊ぶたい潜水せんすいかん部隊ぶたい水陸すいりく両用りょうよう部隊ぶたい補給ほきゅう部隊ぶたいなどの部隊ぶたいがあり、これらは種類しゅるいおうじてそれぞれに指揮しきかん存在そんざいしている。

また地域ちいきあいだ柔軟じゅうなん運用うんよう出来できるように工夫くふうされており、現在げんざいだい2艦隊かんたい大西洋たいせいよう)、だい3艦隊かんたいひがし太平洋たいへいよう)、だい5艦隊かんたい中東ちゅうとう)、だい6艦隊かんたい地中海ちちゅうかい)、だい7艦隊かんたい西太平洋にしたいへいようインド洋いんどよう)の5つの艦隊かんたい存在そんざいしているが、艦艇かんてい担当たんとう海域かいいき移動いどうすることによって所属しょぞくする艦隊かんたい変更へんこうになる仕組しくみをっている。たとえば中東ちゅうとう有事ゆうじがあった場合ばあいだい5艦隊かんたいだい6艦隊かんたいだい7艦隊かんたいから増援ぞうえんけた場合ばあいには、これらの艦艇かんていだい5艦隊かんたい所属しょぞくわり、指揮しき系統けいとう一本いっぽんされる。5つの艦隊かんたい司令しれい固定こていされているが、実働じつどう部隊ぶたいつね流動的りゅうどうてきであり、必要ひつようなところへ必要ひつよう兵力へいりょく配置はいちできるように合理ごうりされている。

艦隊かんたい戦術せんじゅつてきには軍政ぐんせいじょう指揮しきかんともすくなからず合致がっちしているが、これは艦艇かんてい艦隊かんたい全体ぜんたいとしての運用うんようじょう基準きじゅん適応てきおうさせるためである。まず3せきから6せき程度ていど艦艇かんていいち小隊しょうたい編成へんせいし、さらに駆逐くちくかん潜水せんすいかん小隊しょうたいによって1個いっこ駆逐くちくたい潜水せんすいたい、そして3駆逐くちくたい潜水せんすいたい水雷すいらい戦隊せんたい編成へんせいする。そして指揮しきかん階級かいきゅうによって職責しょくせきことなり、たとえば少将しょうしょう航空こうくう母艦ぼかん巡洋艦じゅんようかん戦隊せんたいなどを指揮しきする立場たちばである。

空母くうぼ打撃だげき部隊ぶたい

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空母くうぼ打撃だげき部隊ぶたいとは航空こうくう母艦ぼかん航空こうくう打撃だげきりょく主眼しゅがんいた部隊ぶたいであり、艦隊かんたい構成こうせいする。

護衛ごえい部隊ぶたい

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また艦隊かんたい構成こうせい部隊ぶたいとして巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかんフリゲートなどから護衛ごえい部隊ぶたいがあり、哨戒しょうかい任務にんむをもになう。

航空こうくう部隊ぶたい

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掃海そうかい部隊ぶたい

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機雷きらい排除はいじょする任務にんむになう。

潜水せんすい部隊ぶたい

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水中すいちゅう行動こうどうすることで、探知たんち機器きき発達はったつした現在げんざいにおいても存在そんざい自体じたい秘匿ひとくせいたかい。 だい世界せかい大戦たいせんあたりまでは、哨戒しょうかい通商つうしょう破壊はかいまたは妨害ぼうがいおも任務にんむにすることおおかった。だい世界せかい大戦たいせんには弾道だんどうミサイルや巡航じゅんこうミサイルの発射はっしゃははとしても使用しようされ、陸上りくじょうへの攻撃こうげき能力のうりょくくわわった。一部いちぶ潜水せんすいかんには特殊とくしゅ部隊ぶたい搭載とうさいスペースがもうけられ、隠密おんみつうら陸上りくじょう戦力せんりょく投射とうしゃ回収かいしゅうをすること可能かのうとなっている。

輸送ゆそう部隊ぶたい

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海上かいじょう輸送ゆそうになう。

水陸すいりく両用りょうよう部隊ぶたい

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水陸すいりく両用りょうよう部隊ぶたい海軍かいぐん付随ふずいして海上かいじょう要務ようむ上陸じょうりく作戦さくせん任務にんむとした部隊ぶたいである。水陸すいりく両用りょうよう部隊ぶたいについては、古代こだいギリシアの歴史れきし学者がくしゃヘロドトスとツキジデスはギリシア艦隊かんたいの「じゅう装備そうび兵士へいしたち」に言及げんきゅうしており、またローマ海軍かいぐんでも艦隊かんたい兵団へいだんについての記述きじゅつられるように、古来こらいより存在そんざいしている。

中世ちゅうせいまでのヨーロッパの海軍かいぐんは、海上かいじょう移動いどうしててき上陸じょうりくする将兵しょうへいはこぶための海上かいじょう輸送ゆそう船団せんだんであり、この時代じだい海戦かいせんとは兵士へいしせたふね同士どうし遭遇そうぐうしたさいに、兵士へいし敵艦てきかんんで白兵戦はくへいせんおこなうせっふなばた戦闘せんとうであった。やがて艦船かんせん同士どうし搭載とうさいした火砲かほうによる砲撃ほうげきせんおこなうようになると、せっふなばた戦闘せんとう上陸じょうりく戦闘せんとうせんもんおこなうための歩兵ほへい部隊ぶたいあるい陸軍りくぐん部隊ぶたい海軍かいぐん組織そしきし、艦船かんせんませるようになった。イギリスでは1664ねん、オランダはその翌年よくねんにその専門せんもん部隊ぶたい設立せつりつしている。現代げんだいでは海兵かいへいたい水陸すいりく両用りょうようせんせんもんおこな部隊ぶたいとして存在そんざいし、その代表だいひょうアメリカ海兵かいへいたいがある。

近代きんだいてき水陸すいりく両用りょうよう作戦さくせん日本にっぽんぐんとされ、太平洋戦争たいへいようせんそうにおいて、真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきつづいて太平洋たいへいよう島々しまじま攻略こうりゃくしたときした戦法せんぽうとされる[6]

沿岸えんがん警備けいびたい

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海軍かいぐん基地きち

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海軍かいぐん基地きちとは軍艦ぐんかん建造けんぞう整備せいびし、弾薬だんやく燃料ねんりょうなどの補給ほきゅう兵員へいいん休養きゅうようおこなうために陸上りくじょう設置せっちされる軍事ぐんじ施設しせつである。軍港ぐんこうともう。さらに海軍かいぐん基地きちには艦隊かんたい泊地はくちでもあり、海軍かいぐん基地きち停泊ていはくする艦隊かんたい保全ほぜんし、てきによる攻撃こうげきたいする十分じゅうぶん防備ぼうび必要ひつようである。ただしこれらの施設しせつだい規模きぼにならざるをえないために、隠蔽いんぺいきわめて困難こんなんであり、戦略せんりゃく爆撃ばくげきかく攻撃こうげきなどには脆弱ぜいじゃくである。しかし海軍かいぐんりょくおよ海軍かいぐん航空こうくう戦力せんりょく有効ゆうこう運用うんようのためにも前進ぜんしん基地きちともなる海軍かいぐん基地きち重要じゅうようである。

補助ほじょ機関きかん

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技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ海軍兵学校かいぐんへいがっこうなどの研究けんきゅう開発かいはつおよび教育きょういく機関きかんふくまれる。

兵器へいき

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艦艇かんてい

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海軍かいぐんおも装備そうび

航空機こうくうき

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戦略せんりゃく戦術せんじゅつ

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海軍かいぐん戦略せんりゃく

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海軍かいぐん戦略せんりゃくとは海軍かいぐんりょく運用うんようかんする戦略せんりゃくである。

海戦かいせんじゅつ

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海戦かいせんじゅつとは海軍かいぐん戦術せんじゅつである。

内陸ないりくこくにおける海軍かいぐん

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ニジェールがわ訓練くんれんちゅうのニジェール国家こっか警備けいびたい河川かせん部隊ぶたい(2013ねん)。隣国りんごくナイジェリアボコ・ハラム反乱はんらんにともない、ニジェールがわ治安ちあん維持いじ目的もくてきとして設立せつりつされた。

ブータン王国おうこくボツワナのように、河川かせん湖沼こしょう運河うんがなどが存在そんざいしない内陸ないりくこくでは当然とうぜん海軍かいぐん存在そんざいしないが、領土りょうどない運河うんが国際こくさい河川かせんかよっていたり、ふくすうカ国かこく隣接りんせつする湖沼こしょう存在そんざいする場合ばあいには、沿岸えんがんこく警備けいび救難きゅうなんなどの義務ぎむ存在そんざいする。このため領海りょうかい存在そんざいしなくても海軍かいぐん、もしくは「河川かせん海軍かいぐん」としょうされる海軍かいぐんじゅんじた部隊ぶたい組織そしきしていることがある。こうした組織そしきでは、砲艦ほうかんなど大型おおがた艦艇かんてい装備そうびするケースもあるが、中型ちゅうがた小型こがた哨戒しょうかい艦艇かんてい普通ふつうである。

河川かせん海軍かいぐん組織そしきとして独立どくりつせず、海軍かいぐんロシアカスピ海かすぴかいしょう艦隊かんたい)や陸軍りくぐんオーストリアスイスラオス中央ちゅうおうアフリカルワンダなど)の管轄かんかつや、ぐんではなく国家こっか憲兵けんぺいたいブルンジニジェール)や国境警備隊こっきょうけいびたいウズベキスタン)、国家こっか警察けいさつきたマケドニアきゅうローデシア[ちゅう 2])にまれている場合ばあいもある。オランダのように、内水うすいおも運河うんが)での警備けいび救難きゅうなん任務にんむは、海軍かいぐんではなく陸軍りくぐん担当たんとうしているくにもある。

めずらしい存在そんざいとしてハンガリー陸軍りくぐん河川かせん部隊ぶたいは、ドナウがわとその周辺しゅうへん河川かせん湖水こすいにおいてだい世界せかい大戦たいせん敷設ふせつされた機雷きらい掃討そうとう目的もくてきとしている。また河川かせん掃海そうかいてい配備はいびしており、河川かせん哨戒しょうかい可能かのうである。またボリビア海軍かいぐんボリビア海岸かいがん領土りょうどうしなってからも、河川かせん哨戒しょうかい担当たんとうする組織そしきとして存続そんぞく陸軍りくぐん管轄かんかつ)している[ちゅう 3]

ルワンダ陸軍りくぐん海兵かいへい部隊ぶたい機関きかんほう武装ぶそうしたパワーボート部隊ぶたいからり、同国どうこくキブ警備けいび担当たんとうしている。2021ねんモザンビーク発生はっせいしたカボ・デルガドしゅうでの暴動ぼうどうにルワンダはぐん派兵はへい。そのさいどう海兵かいへい部隊ぶたいはパワーボートをもちいて、モザンビークの沿岸えんがん警備けいびおよ臨検りんけん任務にんむ従事じゅうじした[ちゅう 4]

各国かっこく海軍かいぐん

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北米ほくべい

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南米なんべい

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ヨーロッパ

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オセアニア

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アフリカ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 砲艦ほうかん外交がいこう親善しんぜん航海こうかいなどでは、これら外交がいこう目的もくてきたすためかつてのようなそびえ艦橋かんきょうてんきょほうつく軍艦ぐんかん威容いようは、ものつよ印象いんしょうあたえた。しかし現代げんだいでは、武装ぶそうミサイルステルスせい重視じゅうし電子でんし兵器へいき発展はってんで「かべるしろ」ともたとえられた威容いよううしなわれている。
  2. ^ カリバみずうみ警備けいび任務にんむ
  3. ^ 現在げんざいでもチチカカうえにペルーとの国境こっきょうゆうする。
  4. ^ Landlocked Navy Goes To War: Rwanda's mystery 'Squad 007' Boat Grabs Attention - hisutton.com 2022ねん7がつ2にち閲覧えつらん

出典しゅってん

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  1. ^ 田中たなか美知太郎みちたろうやく世界せかい名著めいちょ8 アリストテレス』(中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ昭和しょうわ47ねん
  2. ^ 渡辺わたなべ義雄よしおやく『ベーコン随想ずいそうろく』(岩波書店いわなみしょてん
  3. ^ 北村きたむら謙一けんいちやく『マハン海上かいじょう権力けんりょく史論しろん』(はら書房しょぼう)と井伊いい順彦よしひこやく『マハン海軍かいぐん戦略せんりゃく』(中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ
  4. ^ 高橋たかはし弘道ひろみち編著へんちょ戦略せんりゃくろん大系たいけい8 コーベット』(芙蓉ふよう書房しょぼう出版しゅっぱん)にて和訳わやくがある。
  5. ^ 各国かっこく海軍かいぐん政策せいさく歴史れきしてき経緯けいい概観がいかんしたものに防衛大学校ぼうえいだいがくこう防衛ぼうえいがく研究けんきゅうかいへん軍事ぐんじがく入門にゅうもん』(かや書房しょぼう)がある。
  6. ^ 日本にっぽん自衛隊じえいたい、その実力じつりょくは<2> 水陸すいりく機動きどうだん編成へんせいすすむ”. CNN. (2016ねん12月11にち). https://www.cnn.co.jp/world/35093435.html 2017ねん4がつ29にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

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