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核弾頭かくだんとう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミニットマンIII搭載とうさいされているW78核弾頭かくだんとう搭載とうさいしたMk.12Aさい突入とつにゅうたい

核弾頭かくだんとう(かくだんとう、nuclear warhead)とは、モジュールされた核兵器かくへいきのことであり、ミサイル魚雷ぎょらいなどの弾頭だんとうとしてもちいられているもののことである。

概要がいよう

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初期しょき核兵器かくへいきかくばくだんとして、ばくげきから投下とうかする大型おおがたのものであった。これらは航空こうくうばくだんとして核兵器かくへいき一体いったい開発かいはつされた。しかし、1950年代ねんだい後半こうはん大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイルなどが開発かいはつされると、かく爆発ばくはつ装置そうちとしての弾頭だんとう(Warhead)と、搭載とうさい兵器へいき運搬うんぱん手段しゅだん)の開発かいはつ別個べっこおこなわれるようになった。つまり兵器へいきめい核弾頭かくだんとう形式けいしき番号ばんごう明確めいかく分離ぶんりされるようになったのである。

れいげると、広島ひろしま投下とうかされた原爆げんばく兵器へいきめい(Weapon Name)はリトルボーイ(Little Boy)であるが、弾頭だんとう形式けいしき番号ばんごう(warhead designation)はMark 1であり、これは不可分ふかぶんのものである。しかしW7がた核弾頭かくだんとうは、コーポラル短距離たんきょり弾道弾だんどうだん(SRBM)、自由じゆう落下らっかばくだんベティ、ボアそら対地たいちミサイル、オネストジョン短距離たんきょり弾道弾だんどうだんかく地雷じらい(ADM)などの複数ふくすう核兵器かくへいき使用しようされた。

核弾頭かくだんとう設計せっけい開発かいはつ搭載とうさい兵器へいき開発かいはつ分離ぶんりされたため、核弾頭かくだんとう設計せっけいしょう人数にんずうむようになった。冷戦れいせん終結しゅうけつころアメリカ国内こくないにいた核弾頭かくだんとう設計せっけいしゃは、わずか50にんほどだったとわれる。彼等かれら高度こうど機密きみつ共有きょうゆうしおたがいにファーストネームで間柄あいだがらだった。

搭載とうさい兵器へいき

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核弾頭かくだんとう搭載とうさいされる兵器へいきおおむ以下いかとおり。

かくミサイル
核弾頭かくだんとう弾道だんどうミサイル搭載とうさいされる場合ばあいは、大気圏たいきけんさい突入とつにゅうするさいしょうじるそらりょく加熱かねつによる高熱こうねつから保護ほごするため、さい突入とつにゅうたい(re-entry vehicle、RV)とばれるカプセルに搭載とうさいされてミサイルに搭載とうさいされる。RVは断熱だんねつ機構きこうそなえておりさきとがった円錐えんすい形状けいじょうをしているが、マッハ25ともわれる高速こうそく大気圏たいきけん突入とつにゅうするため、そらりょく加熱かねつ着弾ちゃくだんまでにだい部分ぶぶん損耗そんこうしてしまう。ミサイルのテスト発射はっしゃ回収かいしゅうされたRVの写真しゃしんには半球はんきゅうじょうにまで磨耗まもうした姿すがたうつっている。
かく砲弾ほうだん
戦術せんじゅつよう核兵器かくへいきだい口径こうけいカノンほうから発射はっしゃされる核弾頭かくだんとう搭載とうさいした砲弾ほうだん
かく地雷じらい
てき陸上りくじょう部隊ぶたいたいする攻撃こうげきのほか、巨大きょだい対戦たいせんしゃごう瞬時しゅんじ掘削くっさくする兵器へいきで、てき進行しんこう予測よそく地域ちいきまえもって敷設ふせつされる。イギリスブルー・ピーコック(Blue Peacock)とばれるかく出力しゅつりょく10キロトンかく地雷じらい当時とうじ西にしドイツ配備はいびする計画けいかくっていたが、1958ねん中止ちゅうしされた。
かく爆雷ばくらい
おもたい潜水せんすいかんよう使用しようされる兵器へいきで、そのまま航空機こうくうきから投下とうかしたりたいせんミサイル弾頭だんとうとして運用うんようされる。艦船かんせんからの投下とうかはしない。
かく魚雷ぎょらい
おもたい潜水せんすいかんようだが、たいせんミサイルに搭載とうさいされたかく魚雷ぎょらい副次的ふくじてきたいかん攻撃こうげき任務にんむものがある。
かくばくだん
航空機こうくうきから投下とうかされる航空こうくうばくだん核兵器かくへいき威力いりょく目標もくひょうへの精密せいみつ誘導ゆうどう必要ひつようとしないことがおおい。

状況じょうきょう

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現在げんざいでは核保有かくほゆうこくおおくが核兵器かくへいきのモジュールおこなっている。機密きみつとされているため公開こうかいされている情報じょうほうすくないが、各国かっこく状況じょうきょうおおむ以下いかとおりである。

2023ねん6がつ現在げんざい長崎大学ながさきだいがく核兵器かくへいき廃絶はいぜつ研究けんきゅうセンターによれば、くにべつ核弾頭かくだんとうすう退役たいえき解体かいたいちをふくむ)は、ロシア 5890はつ、アメリカ 5244はつ中国ちゅうごく 410はつ、フランス 290はつ、イギリス 225はつ、パキスタン 170はつ、インド 164はつ、イスラエル 90はつ北朝鮮きたちょうせん 40はつで、9かこくであわせて1まん2523はつ[1]

アメリカ

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W85核弾頭かくだんとう外観がいかんしき

Mark 1リトルボーイMark 3ファットマンかくばくだんであり、かく起爆きばく装置そうち不可分ふかぶん構造こうぞうである。られている核弾頭かくだんとうふるものW4だが1951ねん開発かいはつがキャンセルされた。つづW5海軍かいぐんレギュラスI空軍くうぐんマタドールといった巡航じゅんこうミサイル搭載とうさいされて1954ねんから運用うんようされた。W5はMark 5航空こうくうばくだんからかくばくだん独立どくりつさせたもので、92ばくちぢみレンズからなる最大さいだいかく出力しゅつりょく120キロトンの核弾頭かくだんとうである。Mark 5はMark 3にくらべて大幅おおはば小型こがたされており重量じゅうりょうは1.5トンといわれている。レギュラスIはのち核弾頭かくだんとうW27えている。もっと小型こがた核弾頭かくだんとうはおそらく重量じゅうりょう30kg以下いかかく出力しゅつりょく250トン(0.25キロトン)のW54で、空軍くうぐん運用うんようされたそら対空たいくうミサイルかくファルコン陸軍りくぐん小型こがたロケットだんデイビー・クロケットかく出力しゅつりょく10、20トンのがた)に搭載とうさいされた。デイビー・クロケットは人力じんりき搬送はんそう可能かのう小型こがた核兵器かくへいきとしてられている。重量じゅうりょう40kgだいW421961ねん開発かいはつがキャンセルされた。かく砲弾ほうだん使用しようされたかく出力しゅつりょく72トン(0.072キロトン)のW48重量じゅうりょう50kgほどである。もっとかく出力しゅつりょくおおきい核弾頭かくだんとうは、タイタンII搭載とうさいされたW53で、ねつ核弾頭かくだんとう搭載とうさいかく出力しゅつりょく9メガトン、重量じゅうりょうやく2.8トンとされている。現行げんこうのICBMであるミニットマンIIIは340ktのMk.12Aさい突入とつにゅうたい(W78)を3搭載とうさいしており一部いちぶは300ktのMk.21さい突入とつにゅうたい(W87)を1搭載とうさいしている。量産りょうさんされたもっとあたらしい核弾頭かくだんとうW88で、トライデントD-5よう弾頭だんとうとして開発かいはつされ、かく出力しゅつりょくは475キロトン、時限じげん/高度こうど/接触せっしょく信管しんかんそな1988ねんから1989ねんまでのやくいち年間ねんかんに400はつ生産せいさんされたとされている。もっとあたらしい核弾頭かくだんとうW91SRAM-Tミサイルよう核弾頭かくだんとうとして開発かいはつはじまったが1991ねんにはキャンセルされている。

きゅうソ連それん/ロシア

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きゅうソ連それん最初さいしょ量産りょうさんがたかくばくだんはRDS-3Tと、より小型こがたされたRDS-4である。RDS-6からはねつ核弾頭かくだんとうとなった。これらかくばくだんから多種たしゅ多様たよう核弾頭かくだんとう設計せっけいされたとかんがえられているが、形式けいしき番号ばんごうつまびらかではい。R-36Mには15F143、15F143U、15F147、15F678といった形式けいしき番号ばんごうつバス(またはPost Boost Vehicle、PBV)に弾頭だんとう搭載とうさいされていたといわれる。

イギリス

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航空こうくうばくだんとして開発かいはつされ、1953ねんから配備はいびされたかく出力しゅつりょく15キロトンの原子げんしばくだんMk.1ブルーダニューブ(Blue Danube)から、レッドベアード(Red Beard)、ヴァイオレットクラブ(Violet Club)をて、水素すいそばくだんであるイエローサンMk.1(Yellow Sun Mk.1)が配備はいびされている。ヴァイオレットクラブのかくばくだんにはグリーングラス(Green Grass)、イエローサンMk.2(Yellow Sun Mk.2)のねつかくばくだんにはレッドスノー(Red Snow)という名前なまえがあった。イギリス空軍くうぐん1956ねんからブルースチールMk.1巡航じゅんこうミサイルを配備はいびしている。その射程しゃてい延伸えんしんがたのブルースチールMk.2とブルーストリーク中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル開発かいはつスカイボルト空中くうちゅう発射はっしゃ弾道だんどうミサイル導入どうにゅう失敗しっぱいした結果けっか空軍くうぐんかく戦力せんりょくWE.177かくばくだんのぞいて退役たいえきした。WE.177も1998ねん退役たいえきしている。結果けっかとしてイギリスのかく戦力せんりょく核弾頭かくだんとう標準ひょうじゅんするほどの多様たようせいことかった。

イギリスはかく戦力せんりょく海軍かいぐん中心ちゅうしん編成へんせいしなおし、その主力しゅりょくポラリスA-3潜水艦せんすいかん発射はっしゃ弾道だんどうミサイル搭載とうさいしたレゾリューションきゅう原子力げんしりょく潜水せんすいかんえた。ミサイルは米国べいこくせいだが弾頭だんとうはイギリスせいである。ただしその設計せっけいはアメリカのW58核弾頭かくだんとう近似きんじしているとわれる。これら弾頭だんとうふくむポラリス・ミサイルシステムはChevaline計画けいかく近代きんだいされ、1990年代ねんだいまで運用うんようされた。そのはトライデントD-5が導入どうにゅうされ、こちらの核弾頭かくだんとうもイギリスせいとされている。

フランス

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フランスでは空軍くうぐん中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイルSSBSシリーズにおいて、1971ねん配備はいびされたSSBS S-2ミサイルがかく出力しゅつりょく120キロトンのMR 311980ねん運用うんよう開始かいしされたSSBS S-3ミサイルがかく出力しゅつりょく1.2メガトンのねつ核弾頭かくだんとうであるTN 61搭載とうさいした。1974ねん配備はいびされた陸軍りくぐん短距離たんきょり弾道だんどうミサイル(対地たいちミサイル)のプルトン(Pluton)はかく出力しゅつりょく25キロトンのAN 51が、後継こうけいとして1984ねんから開発かいはつはじまったハデス(Hades)では80キロトンのTN 90搭載とうさいされている。これらのミサイルは冷戦れいせん終結しゅうけつすべ廃棄はいきされた。海軍かいぐんでは潜水艦せんすいかん発射はっしゃ弾道だんどうミサイルのMSBSシリーズにおいて、M-1とM-2がかく出力しゅつりょく500キロトンのMR 41搭載とうさいし、M-20とM4ではTN 61、M4A/M4Bがかく出力しゅつりょく150キロトンのTN 70/TN 71搭載とうさいしている。M-45/M-51ではTN 75搭載とうさいされている。空軍くうぐん最初さいしょかくばくだんAN-11およミラージュIVばくげきよう航空こうくうばくだんAN-22わる巡航じゅんこうミサイルASMP1986ねん配備はいびされている。弾頭だんとうかく出力しゅつりょく100キロトンから300キロトンのTN 80およびその後継こうけいTN 81搭載とうさいされている。後継こうけいミサイルのANSの弾頭だんとう未定みてい模様もよう

その

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中国ちゅうごくインドアグニV)、パキスタン核兵器かくへいき保有ほゆうしているが、機密きみつとされ詳細しょうさい不明ふめいである。みなみアフリカと、核兵器かくへいき保有ほゆううたがわれているイスラエル北朝鮮きたちょうせん同様どうようである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ (いちからわかる!)核軍縮かくぐんしゅくすすんでいる?:朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶん. 2023ねん11月26にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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