ケッチ

ケッチ（ketch）は帆船はんせんの一種いっしゅである。漁船ぎょせんや軍艦ぐんかん、交易こうえき船せんとして用もちいられた。排水はいすい量りょうは100tから300t前後ぜんごで、全長ぜんちょうは十じゅう数すうメートルから30メートル。

概要がいよう

ケッチは、2本ほんのマストを有ゆうする帆船はんせんである。メインマストとその後方こうほうに少すこし低ひくいミズンマストを持もち、その両方りょうほうに縦たて帆ほを持もつ。縦たて帆ほは主おもにガフセイルであるが、比較的ひかくてき新あたらしいケッチではバミューダ帆ほ装そうのものも存在そんざいしている。風上かざかみに向むかう時ときは、メインマストの前まえに1～3枚まいのジブを張はる。古ふるく大おおきなケッチでは、トップスルスクーナーのようにメインマストに横よこ帆ほのトップセイルを持もつこともある。

メインマストの最下位さいかいの縦たて帆ほは「メインセイル」と呼よばれ、ミズンマストのものは「ミズンセイル」と呼よばれる。前述ぜんじゅつのように横よこ帆ほのトップセイルが張はられることがあるが、この2つは一般いっぱん的てきに縦たて帆ほである。風下かざしもに向むかうとき、あるいは風かぜを横よこに受うけるときは、メインマストにスピンネーカーなどのエクストラセイルを、ミズンマストにミズンステイセイルをもつこともある。

ケッチは、バランスが良よく小ちいさいために操作そうさも簡単かんたんなメインセイルを持もつため、長距離ちょうきょりクルーザーの帆ほ装そうとして人気にんきがある。また、風上かざかみに向むかえるだけでなく、舵かじを使用しようせずミズンセイルとジブだけでの操船そうせんも可能かのうである。

類似るいじした帆ほ装そう

ケッチは、しばしばヨールと混同こんどうされる。両者りょうしゃの違ちがいは、ケッチの場合ばあいは推進すいしん力りょくを得えるためにミズンマストが舵かじの前まえにあることが挙あげられる。ヨールの場合ばあいはミズンマストは船尾せんびにあり、バランスを取とるのに使用しようされる。これは形状けいじょうというより、用途ようとの違ちがいである。

ケッチとスクーナーでは、共ともに2本ほんのマストに全すべて縦たて帆ほを持もつ共通きょうつう点てんを持もつ。これらはマストの高たかさで区別くべつし、スクーナーの場合ばあいは一般いっぱん的てきに前まえのマストが低ひくくなっている。両方りょうほうのマストの高たかさがほぼ同おなじである場合ばあい、大おおきい帆ほが前まえのマストにある場合ばあいはケッチ、後うしろのマストにある場合ばあいはスクーナーとなる。

ケッチ
ヨール
スクーナー

ボムケッチ

詳細しょうさいは「臼砲きゅうほう艦かん」を参照さんしょう

ボムケッチ（bomb ketch）はケッチの一種いっしゅで、臼砲きゅうほう艦かん、爆ばく弾だんケッチとも呼よばれる。1682年ねんにフランス海軍かいぐんが初はじめて建造けんぞうした。フォアマストを取とり除のぞいた帆ほ装そうからケッチと名なづけられた。沿岸えんがんを砲撃ほうげきするための臼砲きゅうほうを装備そうびしており、また自衛じえいのための小型こがたのカノン砲ほうを数すう門もん有ゆうしていた。臼砲きゅうほう艦かんは時代じだいが下くだるとフォアマストを持もったシップ艤装ぎそうとなったため、厳密げんみつにはケッチではなくなった。排水はいすい量りょうは100-300トン程度ていど。19世紀せいき半なかばには装甲そうこう艦かんが爆ばく撃げき(艦かん砲ほうによる沿岸えんがん射撃しゃげき)を行おこなうようになったため廃すたれた。

概要がいよう

類似るいじした帆ほ装そう

ボムケッチ

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