レイジー (帆船はんせん)

レイジー（英えい: razee）は、改装かいそうにより甲板かんぱん数すう等とうを「切きり詰つめた」（razeed）木造もくぞう帆船はんせんをいう。

イギリス海軍かいぐん[編集へんしゅう]

イギリス海軍かいぐんにおいては、レイジーへの改装かいそうは主おもに2層そう甲板かんぱん（74門もんまたは64門もん装備そうび）の小型こがたの戦列せんれつ艦かんを1層そう甲板かんぱんの大型おおがたのフリゲートに変かえるかたちで実行じっこうされた。一見いっけん戦力せんりょくを損そこなうような改装かいそうが行おこなわれた理由りゆうは、時代じだいとともに戦列せんれつ艦かんの大型おおがた化かが進行しんこうしたために、小型こがたの戦列せんれつ艦かんの価値かちが失うしなわれたことによる。この改装かいそうによって切きり詰つめられた軍艦ぐんかんはフリゲートに類別るいべつされるが、それは通常つうじょうのフリゲートより強力きょうりょくな艦かんとなった。イギリス海軍かいぐんで最もっとも成功せいこうしたレイジーはサー・エドワード・ペリュー艦長かんちょうが指揮しきしたフリゲート「インディファティガブル」である。

アメリカ海軍かいぐん[編集へんしゅう]

アメリカ海軍かいぐんにおいては、1840年代ねんだいに進水しんすいした最後さいごの世代せだいの帆走はんそうフリゲートの数すう隻せきを、大型おおがたスループに切きり詰つめることが行おこなわれた。1850年代ねんだいの冶金やきん学がくと砲術ほうじゅつの進歩しんぽは、従来じゅうらい使用しようされていたものよりはるかに重おもい砲弾ほうだんや炸裂さくれつ弾だんを発射はっしゃできる砲ほうの鋳造ちゅうぞうを可能かのうにした。かくして、フリゲートの装備そうびをより少数しょうすうながら重おもい砲ほうで置おき換かえることにより、乗組のりくみ員いんの数かずもそれに合あわせて減へらすことが可能かのうとなった。新あたらしい帆ほ装そうと寸法すんぽうは、それらの面目めんぼくを一新いっしんさせた。それらは20門もん艦かんながら40門もんフリゲートより大おおきな砲ほう力りょくを備そなえていたが、砲ほうの数かずゆえに小型こがたのスループに分類ぶんるいし直なおされた。南北戦争なんぼくせんそうのハンプトン・ローズ海戦かいせんにおいて南みなみ軍ぐんの装甲そうこう艦かん「バージニア」に撃破げきはされた軍艦ぐんかん「カンバーランド」は、このタイプの1隻せきである。

その他た[編集へんしゅう]

古ふるく17世紀せいき後半こうはん、旧式きゅうしきなガレオン船せんがシップ型かた横よこ帆船はんせんに切きり詰つめられた例れいもある。それは海軍かいぐんでなく海賊かいぞくの手てによって行おこなわれた。彼かれらは船ふねを浜はまに引ひき揚あげ、のこぎりを用もちいて船尾せんび楼ろうの大だい部分ぶぶんと船首せんしゅ楼ろうの突出とっしゅつ部ぶを取とり除のぞいた。この改装かいそうでは砲ほう甲板かんぱんはそのまま残のこされ、かつ切きり詰つめたことにより、以下いかのように非常ひじょうに取とり扱あつかいやすい船ふねになった。

船ふね楼ろうに余計よけいな風かぜを受うけなくなることによって、風上かざかみに切きり上あげる操船そうせんが容易よういになった。
トップヘビーが解消かいしょうされ、かつ全体ぜんたいに軽快けいかいになった。
船尾せんび楼ろうを低ひくめることにより、最もっとも後うしろのマストの桁けたが自由じゆうに動うごかせるようになった。