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直角ちょっかく位相いそう振幅しんぷく変調へんちょう

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QAMから転送てんそう

直交ちょっこう位相いそう振幅しんぷく変調へんちょう(ちょっこういそうしんぷくへんちょう、えい: quadrature amplitude modulation : QAM)は、たがいに独立どくりつな2つの搬送波はんそうは(すなわち同相どうしょう(in-phase)搬送波はんそうはおよ直交ちょっこう位相いそう(quadrature)搬送波はんそうは)の振幅しんぷく変更へんこう調整ちょうせいすることによってデータを伝達でんたつする変調へんちょう方式ほうしきである。

これらの2つの搬送波はんそうは通常つうじょうシヌソイド)は、90°によりたがいに直交ちょっこう位相いそう関係かんけいにある。

  • 表題ひょうだい直角ちょっかく位相いそう振幅しんぷく変調へんちょうとなっているが、総務そうむしょうをはじめとして、直交ちょっこう振幅しんぷく変調へんちょう(ちょっこうしんぷくへんちょう)とばれる。


概要がいよう

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ほかの変調へんちょう方式ほうしき同様どうよう、QAM変調へんちょうも、データ信号しんごうおうじて搬送波はんそうは信号しんごうまたは搬送波はんそうは通常つうじょう、シヌソイド)のなんらかの局面きょくめん変更へんこうすることによって、データを伝達でんたつする。 QAM変調へんちょう場合ばあい、データ信号しんごうあらわすために、直角ちょっかく位相いそう関係かんけいにある2つの搬送波はんそうは振幅しんぷくわる。

QAM変調へんちょうは、振幅しんぷくへんうつり変調へんちょう(ASK)と位相いそうへんうつり変調へんちょう(PSK)のわせである振幅しんぷく位相いそうへんうつり変調へんちょう英語えいごばん(APSK)のひとつである。

アナログQAM

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アナログQAM: ベクトルアナライザースクリーンで測定そくていしたPALしょくバー信号しんごう

QAM変調へんちょうで2つの信号しんごう伝送でんそうしたときの、送信そうしん信号しんごう以下いかのようになる。

,

変調へんちょう信号しんごうで、変調へんちょう周波数しゅうはすう意味いみする。

受信じゅしんでは、これら2つの変調へんちょうした信号しんごうコヒーレント復調ふくちょう使つかうことによって復調ふくちょうできる。

受信じゅしんした判断はんだん生成せいせいするために、余弦よげんおよび正弦せいげん信号しんごう両方りょうほう別々べつべつにそれぞれかける。 搬送はんそう信号しんごう直交ちょっこうせいのために、変調へんちょう信号しんごう独立どくりつして検出けんしゅつすることが可能かのうである。

理想りそうてき場合ばあい送信そうしん信号しんごう余弦よげん信号しんごうけることにより復調ふくちょうされる:

標準ひょうじゅんてき三角さんかく恒等こうとうしき使用しようして、以下いかのようになおせる:

ローパスフィルタたか周波数しゅうはすう成分せいぶんふくむ)をのぞき、成分せいぶんだけのこすことができる。 このフィルターにとおされた信号しんごう影響えいきょうけない、これは同相どうしょう成分せいぶん直角ちょっかく位相いそう成分せいぶん独立どくりつせいることができることしめす。

同様どうように、すために、正弦せいげんわせてローパスフィルタを使つかう。

ここで、受信じゅしんにおいて受信じゅしん信号しんごう位相いそうがわかっていることに、注意ちゅういしなければならない。 もし復調ふくちょうした信号しんごう位相いそうすこしでもずれていれば、変調へんちょう信号しんごうどうしが妨害ぼうがいげんになる。 受信じゅしんにおける搬送波はんそうは同期どうきのこの問題もんだいは、QAMシステムにおいてはどうかしてあつかわなければならない。 コヒーレント復調ふくちょう正確せいかく受信じゅしん信号しんごう同期どうきしている必要ひつようがある、そうでなければ変調へんちょう信号しんごう独立どくりつして受信じゅしんすることができない。 たとえば、アナログ・テレビジョン方式ほうしきは、参照さんしょうのためのかく水平すいへい同期どうきパルスののち送信そうしんするいろ搬送波はんそうは伝達でんたつする。 アナログQAMはNTSCPALテレビジョン方式ほうしき使つかわれており、IおよびQ信号しんごういろどりいろ情報じょうほう構成こうせい要素ようそ伝達でんたつする。 C-QAM(英語えいご: compatible QAM)はAMステレオラジオ使つかわれており、ステレオ信号しんごう搬送はんそうしている。

QAMのフーリエ解析かいせき

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周波数しゅうはすう領域りょういきにおいて、QAMはDSB-SC変調へんちょうたようなスペクトルパターンをっている。

フーリエ変換へんかんもちいて、以下いかのことがわかる。

S(f), MI(f) そして MQ(f) は、それぞれs(t), I(t) そして Q(t)のフーリエ変換へんかん意味いみする。

量子りょうしされたQAM

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おおくのデジタル変調へんちょう方式ほうしき同様どうように、信号しんごう空間くうかんダイヤグラム(コンスタレーション)はやくつ。QAM変調へんちょう場合ばあい通常つうじょう信号しんごうてんひとしい垂直すいちょく水平すいへい間隔かんかく正方形せいほうけい格子こうし配置はいちされる、しかしその構成こうせい可能かのうである(たとえば Cross-QAM)。

デジタル電気でんき通信つうしんにおいて、データは通常つうじょうバイナリであるので、格子こうしてんかず通常つうじょう2の累乗るいじょうである(2,4,8,16...)。QAM変調へんちょう通常つうじょう四角形しかっけいである(ただし、後述こうじゅつの128QAMはnon-square QAM、すなわち正方形せいほうけいではない)。もっと一般いっぱんてきかたちは、16QAM、64QAM、128QAMそして256QAMである。

高次こうじモードに移行いこうすることで、1シンボルあたりのビットをおお伝送でんそうすることができる。しかしながら、信号しんごうてん平均へいきん電力でんりょくおなじの場合ばあい公平こうへい比較ひかくするため)、信号しんごうてんはより接近せっきんすることになり、雑音ざつおんおよびその妨害ぼうがいによりよわくなり、結果けっかとして符号ふごうあやまりつたかくなる。そのため信号しんごうてん平均へいきん電力でんりょくおなじであれば、高次こうじQAMはていつぎQAMにくらべてひく信頼しんらいせいおおくのデータを伝送でんそうすることができる。べつのいいかたをすると、高次こうじのQAMは信号しんごうてんおお確保かくほでき伝送でんそう速度そくど向上こうじょうするものの、信号しんごうてん距離きょりみじかくなる。これは干渉かんしょうしょうじやすくなり符号ふごうあやまりつたかまることになる。

8PSK提供ていきょうするより、16PSK以上いじょうたかいデータ信号しんごう速度そくど必要ひつようなときには、QAMは信号しんごうてんをより均一きんいつてるためにI-Q平面へいめんじょう近傍きんぼうてんとの距離きょりをより確保かくほできるので、QAMに移行いこうするのが一般いっぱんてきである。

複雑ふくざつにしている要因よういんは、信号しんごうてんすべおな振幅しんぷくというわけではなくなるということである。これにより復調ふくちょう位相いそうのみならず、位相いそう振幅しんぷくただしく検出けんしゅつしなければならなくなる。

64QAMと256QAMが、デジタルケーブルテレビやケーブルモデムアプリケーションでしばしば使つかわれる。米国べいこくでは、ANSI/SCTE 07 2000においてSCTEによって標準ひょうじゅんされ、64QAMと256QAMがデジタルケーブルの指定していされた変調へんちょう方式ほうしきである。

移動いどうたい通信つうしんにおいて、LTE-Advancedでは256QAMが商用しょうようされている。次世代じせだい5Gでは、くだ方向ほうこう(ダウンリンク)で1024QAMの実装じっそう検討けんとうされている[1]

英国えいこくでは、16QAMと64QAMが、地上ちじょうデジタルテレビジョン放送ほうそう使つかわれている。(Freeview およTop Up TV)。

さら情報じょうほう高度こうど対応たいおうするため、地上波ちじょうはにおける4K 8Kテレビ放送ほうそうこころみとして、1024QAMならびに4096QAMでの伝送でんそうNHK放送ほうそう技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょなどで開発かいはつ公開こうかい実験じっけんがされているほか、近年きんねん開局かいきょくした4K・8K衛星えいせい放送ほうそうさい送信そうしんとうによりチャンネルすう逼迫ひっぱくしているケーブルテレビへの採用さいよう検討けんとうされている。さら有線ゆうせんでの用途ようとでは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとカナダではケーブルテレビ用途ようとでは(オプションあつかいではあるが)16384QAMも規格きかくされ、これらのくにADSL回線かいせんには32768QAMをもちいるものもある。

理想りそうてき構造こうぞう

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送信そうしん

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以下いかはQAM送信そうしん理想りそうてき構造こうぞうしめしており、搬送波はんそうは周波数しゅうはすう送信そうしんのフィルタの周波数しゅうはすう特性とくせいである:

最初さいしょに、送信そうしんするビットは2つにけられる、このプロセスで送信そうしんする2つの独立どくりつした信号しんごうす。それぞれ別々べつべつに、振幅しんぷくへんうつり変調へんちょう(ASK)変調へんちょうで、符号ふごうする。

一方いっぽうのチャネルが余弦よげん乗法じょうほうするのにたいし(同相どうしょう成分せいぶん)、他方たほうのチャネルは正弦せいげん乗法じょうほうする(直角ちょっかく位相いそう成分せいぶん)。このようにして、それぞれの信号しんごうあいだは90位相いそうたもたれる。

送信そうしん信号しんごう以下いかしきあらわせる:

ここで電圧でんあつ は、それぞれだいnばんのシンボルにおうじて余弦よげん正弦せいげん適用てきようされる。

受信じゅしん

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受信じゅしんは、単純たんじゅん送信そうしんぎゃくのプロセスをおこなう。理想りそうてき構造こうぞうは、下記かきしめしており、受信じゅしんのフィルタの周波数しゅうはすう特性とくせいである:

余弦よげんなみまたは正弦せいげん乗法じょうほうし、ていいき通過つうかフィルタとおすことによって、同相どうしょう成分せいぶん直角ちょっかく位相いそう成分せいぶん抽出ちゅうしゅつする構成こうせい可能かのうとなる。そのうしろにASK復調ふくちょうがあり、そして2つの信号しんごう合成ごうせいされる。

実際じっさいには、送信そうしん受信じゅしんあいだ未知みち位相いそうおくれがあり、受信じゅしんのローカルオシレータ(すなわちうえ数式すうしき正弦せいげんおよび余弦よげん関数かんすう)による同期どうきによって補償ほしょうされなければならない。

モバイル分野ぶんやでは同様どうように、送信そうしん受信じゅしん相対そうたいてきはやさと比例ひれいしたドップラー・シフト存在そんざい可能かのうせいがあるため、オフセット相対そうたい度数どすうでしばしばある。

伝送でんそうによって変形へんけいさせられる位相いそう周波数しゅうはすう変形へんけいは、位相いそう参照さんしょう必要ひつようとする正弦せいげん余弦よげん構成こうせいする要素ようそ調整ちょうせいすることによって、きちんと補償ほしょうされなければならず、位相いそう同期どうき回路かいろ(PLL)を使つかって典型てんけいてき達成たっせいされる。

量子りょうしされたQAMパフォーマンス

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あやまりつ測定そくていするにあたり、以下いかのように定義ていぎする:

  • = シンボルのかず
  • = 1ビットあたりの電力でんりょく
  • = 1シンボルあたりの電力でんりょく = (1シンボルあたりがk ビット)
  • = ノイズ電力でんりょくスペクトル密度みつど( W / Hz )
  • = ビットあやまりつ(BER: Bit Error Rate)
  • = 1搬送波はんそうはあたりのビットあやまりつ
  • = シンボルあやまりつ(SER: Symbol Error Rate)
  • = 1搬送波はんそうはあたりのシンボルあやまりつ
  • .

以下いか相補そうほ誤差ごさ関数かんすう関連かんれんする:

,

あやまりつは、加法かほうてき白色はくしょくガウス雑音ざつおん英語えいごばん引用いんようされる。

Rectangular QAM

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16QAMの信号しんごう空間くうかんダイヤグラム.

シンボルあやまりつ以下いかしき定義ていぎされる

,

ここでは、

.

ビットあやまりつ以下いかしき定義ていぎされる

,

ここでは、

.

脚注きゃくちゅう

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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