ロケットエンジン

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H2Aロケットの1だんLE-7Aエンジン
アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょくジョン・C・ステニス宇宙うちゅうセンター燃焼ねんしょう試験しけんちゅうRS-68エンジン、排気はいき透明とうめいなのは液体えきたい水素すいそ燃料ねんりょう燃焼ねんしょうさせているためである。

ロケットエンジンとは推進すいしんざい噴射ふんしゃすることによってその反動はんどう推力すいりょくエンジンである。ニュートンのだい3法則ほうそくもとづく。

同義語どうぎごとしてロケットモータがある。こちらは固体こたい燃料ねんりょうロケットエンジンの場合ばあいもちいられるのが一般いっぱんてきである。

作動さどう原理げんり[編集へんしゅう]

たとえば化学かがくロケットのロケットエンジンは、燃料ねんりょう(と酸化さんかざいなど)の化学かがく反応はんのう燃焼ねんしょうによる高温こうおんこうあつのガスを噴射ふんしゃすることによってその反動はんどう推進すいしんりょくる。通常つうじょう、エネルギーげん噴射ふんしゃする物質ぶっしつ双方そうほうして(ポピュラーな化学かがくロケットでは同一どういつということもあり)推進すいしんざいう。燃焼ねんしょうしつ化学かがく反応はんのうられた圧力あつりょくロケットエンジンノズルによって速度そくど変換へんかんされ、高速こうそく後方こうほう噴射ふんしゃされる。電気でんき推進すいしん場合ばあい電気でんきてき効果こうかにより推進すいしんざい加速かそくするため、ノズルをそなえないものもある。

ジェットエンジンとのちがいは、ジェットエンジンが外部がいぶ空気くうき吸入きゅうにゅう圧縮あっしゅくして燃料ねんりょうこんごう燃焼ねんしょうするのにたいして、ロケットエンジンはあらかじめ搭載とうさいしている酸化さんかざい燃料ねんりょう混合こんごう燃焼ねんしょうさせるてんがある。このため、短時間たんじかんおおきなちから仕事率しごとりつられる、真空しんくう宇宙うちゅう大気たいきあつちいさいこう高度こうど水中すいちゅうなどでも使用しよう可能かのうである、といった利点りてん反面はんめん長時間ちょうじかん連続れんぞく使用しようには不向ふむきである。損耗そんこうはげしいこと宇宙うちゅう飛行ひこう兵器へいき利用りようなど回収かいしゅうむずかしい用途ようとおおことからおおくは使つか方式ほうしきだが、スペースシャトルようSSMEファルコン9マーリンエンジンなどさい利用りよう可能かのうもの一部いちぶ存在そんざいする。(「ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ」がロケットの研究所けんきゅうじょであることからもわかるように、語義ごぎてきにはロケットエンジンも「ジェット」によるエンジンであることにはわりない。しかし現在げんざい一般いっぱんてきには「ジェットエンジン」はエアブリージングのもののみをす。)

化学かがくロケットの場合ばあい推力すいりょくガス噴出ふんしゅつ速度そくど燃焼ねんしょう圧力あつりょく外部がいぶ圧力あつりょくによって決定けっていされる[よう出典しゅってん]大気たいきちゅうにおいては大気たいきあつ存在そんざいするため、圧力あつりょくこうのファクターがおおきく、相対そうたいてきたか燃焼ねんしょう圧力あつりょく要求ようきゅうされる。真空しんくうちゅうになると外部がいぶ圧力あつりょくがないため圧力あつりょくこう無視むしされ、わって噴出ふんしゅつ速度そくどたか推力すいりょく)が重視じゅうしされるようになる[よう出典しゅってん]

ロケットの効率こうりつしめ指標しひょうとして推力すいりょくがある。これはガスの噴出ふんしゅつ速度そくど重力じゅうりょく加速度かそくど除算じょざんしたもので、質量しつりょう1kgの推進すいしんざいで1Nの推力すいりょくをどれだけの時間じかん持続じぞくできるかという意味いみつ。燃費ねんぴことなり、数値すうちおおきいほど効率こうりつい。電気でんき推進すいしんでは推力すいりょく重視じゅうししているため、推力すいりょく極端きょくたんちいさいわりに推力すいりょく化学かがくロケットよりもはるかにおおきい[よう出典しゅってん]

ロケットエンジンの燃焼ねんしょうしつないからの噴出ふんしゅつ反動はんどう推進すいしんする。

化学かがくロケットには固体こたい燃料ねんりょうロケット液体えきたい燃料ねんりょうロケットハイブリッドロケットひとしがある。固体こたい燃料ねんりょうロケットは構造こうぞう単純たんじゅん小型こがたしやすく保存ほぞん容易よういだが、一度いちど燃焼ねんしょうはじめると制御せいぎょむずかしいため、従来じゅうらい小型こがたミサイルなどにもちいられてたが、近年きんねん技術ぎじゅつ開発かいはつにより大型おおがたのロケット/ミサイルでの使用しようれいおおくなっている。液体えきたい燃料ねんりょうロケットは制御せいぎょ固体こたい燃料ねんりょうロケットにくらべて容易たやすいが、燃料ねんりょう保存ほぞんげプロセスが複雑ふくざつである。ハイブリッドロケットは両者りょうしゃ利点りてんあわつものとして研究けんきゅうされている。

冷却れいきゃく[編集へんしゅう]

ロケットエンジンの燃焼ねんしょう温度おんど燃料ねんりょう燃焼ねんしょう圧力あつりょくなどによるが最大さいだいで3000℃以上いじょうたっする[よう出典しゅってん]。ロケットエンジンの燃焼ねんしょう温度おんど燃焼ねんしょうしつ素材そざい融点ゆうてんよりもたかく、グラファイトタングステン融点ゆうてんよりはひくいがそれらの材料ざいりょう酸化さんかされるのでてきさない。再生さいせい冷却れいきゃくアブレーション冷却れいきゃくフィルム冷却れいきゃくひとしにより既存きそん材料ざいりょう強度きょうどそこなわない温度おんど使用しようする。セラミック傾斜けいしゃ機能きのう材料ざいりょうひとしたい熱性ねっせいすぐれた素材そざい開発かいはつすすめられている。化学かがく推進すいしんロケットの性能せいのう事実じじつじょう推進すいしんざい組成そせいによってまる[よう出典しゅってん]

ロケットの冷却れいきゃく方法ほうほう[よう出典しゅってん]:

  1. 冷却れいきゃく一般いっぱんてきには試験しけん運転うんてん短時間たんじかん使用しよう
  2. アブレーション冷却れいきゃく
  3. 放射ほうしゃ冷却れいきゃく
  4. ダンプ冷却れいきゃく
  5. 再生さいせい冷却れいきゃく液体えきたい燃料ねんりょうロケットでは燃料ねんりょうまたは酸化さんかざい冷却れいきゃくざいとして燃焼ねんしょうしつターボポンプ軸受じくうけを循環じゅんかんさせる。ターボポンプ軸受じくうけを循環じゅんかんする場合ばあい潤滑じゅんかつざいねる)
  6. カーテン冷却れいきゃく推進すいしんざい噴射ふんしゃしてガスの温度おんど調整ちょうせいして壁面へきめん冷却れいきゃくする)
  7. フィルム冷却れいきゃく液体えきたい推進すいしんざい噴射ふんしゃして表面ひょうめん保護ほごそう形成けいせいすることによって冷却れいきゃくする)

再生さいせい冷却れいきゃくでは従来じゅうらいかんろうすることによって燃焼ねんしょうしつやノズルを形成けいせいしていたが、この製造せいぞう方法ほうほう熟練じゅくれんようし、品質ひんしつ維持いじすること困難こんなんだった。近年きんねんきゅうソビエト連邦れんぽう開発かいはつされた、重量じゅうりょう多少たしょうすが頑丈がんじょう信頼しんらいせいたかく、品質ひんしつ管理かんり比較的ひかくてき容易よういチャンネルウォール構造こうぞうえつつある。

燃焼ねんしょうしつ[編集へんしゅう]

推進すいしんざい燃焼ねんしょうして生成せいせいした高温こうおんだかあつのガスをノズルから噴出ふんしゅつしてその反動はんどう推力すいりょくす。

固体こたい燃料ねんりょうロケットエンジン[編集へんしゅう]

固体こたい燃料ねんりょうロケットエンジンはロケットモータともばれる。内部ないぶ固体こたい推進すいしんざいはいっている。燃料ねんりょう貯蔵ちょぞうする容器ようきこう張力ちょうりょくこう炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックひとしふくごうざい出来できている。燃焼ねんしょう形式けいしきおもにノズルにちか部分ぶぶんから徐々じょじょえるはしめん燃焼ねんしょう方式ほうしき燃料ねんりょうがマカロニのように中心ちゅうしんあなのある形状けいじょう内部ないぶから外部がいぶ燃焼ねんしょうすす内面ないめん燃焼ねんしょう方式ほうしきもちいられる。はしめん燃焼ねんしょう方式ほうしき場合ばあい燃焼ねんしょう面積めんせき一定いっていため一定いってい推力すいりょく持続じぞくするが、モーターケースは高温こうおんだかあつのガスにさらされるのでたい熱性ねっせい要求ようきゅうされる。一方いっぽう内面ないめん燃焼ねんしょう方式ほうしき普通ふつう円形えんけいあなけた形状けいじょうにすると燃焼ねんしょうすすむにつれ燃焼ねんしょう面積めんせき増加ぞうか推力すいりょく変化へんかするので推力すいりょく調整ちょうせいするため断面だんめん形状けいじょう工夫くふうされている。一般いっぱんてきには推力すいりょく持続じぞくさせるさいはしめん燃焼ねんしょう方式ほうしきが、短時間たんじかんこう推力すいりょくさい光芒こうぼう断面だんめん内面ないめん燃焼ねんしょう方式ほうしきもちいられる。

固体こたい燃料ねんりょうロケットの大型おおがたには困難こんなんともなう。かりおおきさを2ばいにした場合ばあい二乗にじょうさんじょう法則ほうそくにより、体積たいせき重量じゅうりょうは8ばいになるが、燃焼ねんしょう断面だんめん表面積ひょうめんせきは4ばいにしかならないため、増加ぞうかした重量じゅうりょう比例ひれいした推力すいりょくるためには燃焼ねんしょう速度そくどを2ばいにする必要ひつようがある[1]。そのため、大型おおがたすればそれにおうじて高速こうそく燃焼ねんしょう組成そせい推進すいしんざい開発かいはつする必要ひつようがある。したがって、固体こたい推進すいしんざい燃焼ねんしょう速度そくど問題もんだい解決かいけつされないかぎり、実用じつようじょう固体こたい燃料ねんりょうロケットのおおきさには上限じょうげんがあるとされる。

固体こたい燃料ねんりょうロケットエンジンの利点りてん[編集へんしゅう]

[よう出典しゅってん]

  1. 常温じょうおん長期間ちょうきかん保存ほぞんできる。
  2. 必要ひつようとき短時間たんじかん発射はっしゃ可能かのう
  3. だい推力すいりょく比較的ひかくてき容易よういられる。
  4. 密度みつど推力すいりょくおおきい。(構造こうぞう小型こがたしやすい)

固体こたい燃料ねんりょうロケットエンジンの欠点けってん[編集へんしゅう]

[よう出典しゅってん]

  1. 出力しゅつりょく制御せいぎょ困難こんなん
  2. 推力すいりょくが(液体えきたい燃料ねんりょうロケットと比較ひかくして)ちいさい
  3. 二乗にじょうさんじょう法則ほうそくにより燃焼ねんしょう速度そくどによって大型おおがた困難こんなん

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジン[編集へんしゅう]

液体えきたい燃料ねんりょう推進すいしんざいとして使用しようする形式けいしきのロケットエンジンである。推進すいしんざいわせで多様たよう用途ようともちいられる。燃焼ねんしょう方式ほうしきにはガス発生はっせいサイクルだん燃焼ねんしょうサイクルエキスパンダーサイクルひとし複数ふくすう形式けいしきがある。

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンの利点りてん[編集へんしゅう]

  1. 推力すいりょくおおきい
  2. 出力しゅつりょく制御せいぎょ可能かのう機種きしゅによってはさい着火ちゃっか可能かのう
  3. 発射はっしゃ、マイルドに加速かそくする。よって、ペイロードないあたえる衝撃しょうげきちいさい。

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンの欠点けってん[編集へんしゅう]

  1. 構造こうぞう複雑ふくざつ
  2. 燃料ねんりょう種類しゅるいによっては常温じょうおんでの貯蔵ちょぞう困難こんなん種類しゅるいもある。
  3. 発射はっしゃまで時間じかんがかかる。
  4. 密度みつど推力すいりょくちいさい。(構造こうぞう大型おおがたしやすい)

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンの分類ぶんるい[編集へんしゅう]

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンは推進すいしんざいをエンジンに供給きょうきゅうする方式ほうしきによって、以下いかのように分類ぶんるいされる。

ガス発生はっせいサイクルのエンジン[編集へんしゅう]

少量しょうりょう推進すいしんざい燃焼ねんしょうさせてターボポンプを駆動くどうする方式ほうしき

H-1
ジュピターロケットやサターンIサターンIB使用しようされた。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RS-72
アリアン5上段じょうだんようとして開発かいはつされたが使用しようされなかった。
J-2
サターンVロケットのだいだん使用しよう推進すいしんざい液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
E-1
アメリカ陸軍りくぐん弾道だんどうミサイルきょく開発かいはつされたが途中とちゅう中止ちゅうしされその成果せいかはF-1へがれた。
F-1
サターンVロケットのだいいちだん使用しようされたエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
M-1
火星かせい有人ゆうじん着陸ちゃくりくけたNOVAロケットのエンジンとしてエアロジェットしゃ開発かいはつすすめられたが計画けいかく中止ちゅうしされた。
マーリン
ファルコン1ファルコン9使用しようされる。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
LE-5
H-Iロケットのだいだん使用しようされた。推進すいしんざい液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
LR-87
タイタンロケットのだいいちだんエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそからエアロジン-50/二酸化にさんか窒素ちっそ液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそまで対応たいおうする。
LR-89
アトラスロケットのだいいちだんエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
LR-91
タイタンロケットのだいいちだんエンジン。推進すいしんざい当初とうしょケロシン/液体えきたい酸素さんそだったが、のち非対称ひたいしょうジメチルヒドラジン/よん酸化さんか窒素ちっそになった。
LR-105
アトラスロケットだいいちだんエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
MB-3-3
デルタロケットだいいちだんエンジン。日本にっぽんでもライセンス生産せいさんされ、N1ロケットからH1ロケットまで使用しようされた。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RS-27
ロケットダインによって開発かいはつされたデルタロケットのだいいちだんエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RS-27A
ロケットダインによって開発かいはつされたデルタ2とデルタ3のだいいちだんエンジン。推進すいしんざいはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
CE-20
インドのGSLV-IIIロケットの上段じょうだん使用しようされる液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
HM7B
アリアン4とアリアン5ロケットの上段じょうだん使用しようされるヨーロッパはつ液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
ヴァルカン
アリアン5だいいちだんエンジン。推進すいしんざい液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
RS-68
液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
YF-73
ちょうせい3ごうロケットの上段じょうだん使用しようされる中国ちゅうごくはつ液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
YF-75
中国ちゅうごくだい世代せだい液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
Bell 8000
アジェナロケットに使用しようされた上段じょうだんエンジン。推進すいしんざい非対称ひたいしょうジメチルヒドラジン/硝酸しょうさん

だん燃焼ねんしょうサイクルのエンジン[編集へんしゅう]

ガス発生はっせいサイクルと同様どうよう推進すいしんざい燃焼ねんしょうさせてターボポンプを駆動くどうし、燃焼ねんしょうガスをメインの燃焼ねんしょうしつもどす。推進すいしんざい無駄むだいためねつ効率こうりつたかくできる。

RD-253
プロトンロケットの1だんのエンジンに使用しようされる。燃料ねんりょう非対称ひたいしょうジメチルヒドラジン(UDMH)/よん酸化さんか窒素ちっそ
NK-33
N-1ロケットの1だんのエンジン 燃料ねんりょうはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RD-120
ゼニットロケット上段じょうだん使用しようされるケロシン/液体えきたい酸素さんそエンジン
RD-170
エネルギアロケットのブースターエンジン 燃料ねんりょうはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RD-180
アトラスⅤロケットの1だんのエンジン。RD-170の発展はってんがた 燃料ねんりょうはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RD-191
アンガラ・ロケットの1だんのエンジン 燃料ねんりょうはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
RD-0120
エネルギアロケットのコアエンジン 燃料ねんりょう液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
RD-0124
アンガラ・ロケットソユーズ-2上段じょうだんエンジン 燃料ねんりょうはケロシン/液体えきたい酸素さんそ
SSME
スペースシャトルのエンジン 燃料ねんりょう液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
LE-7
H-IIロケットの1だんのエンジン 燃料ねんりょう液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
LE-7A
H-IIAロケットH-IIBロケットの1だんのエンジン 燃料ねんりょう液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ
CE-7.5
インドのGSLVロケットの上段じょうだん使用しようされる液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
YF-77
中国ちゅうごくちょうせい5ごうロケットの1だん使用しようされる液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン

BE-4

ブルーオリジン開発かいはつした、ヴァルカンロケットニューグレンの1だん使用しようされる液化えきか天然てんねんガス/液体えきたい酸素さんそエンジン

エキスパンダーサイクルのエンジン[編集へんしゅう]

燃焼ねんしょうしつ冷却れいきゃくもちいた燃料ねんりょうでターボポンプを駆動くどうする。上段じょうだんエンジンにてきしており、さい着火ちゃっか能力のうりょくそなえるものおおい。

RL-10
セントールロケットに使用しようされた。アメリカはつ液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそエンジン
Vinci
開発かいはつちゅうアリアン5ロケットの液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとして使用しようする上段じょうだんエンジン
RD-0146
プラット&ホイットニーのRL-10をもとにロシアでさい設計せっけいして生産せいさんするエンジン

エキスパンダーブリードサイクルのエンジン[編集へんしゅう]

エキスパンダーサイクルと同様どうよう冷却れいきゃくもちいた燃料ねんりょうでターボポンプを駆動くどうするが、ターボポンプを駆動くどうした部分ぶぶん水素すいそガスをノズルない燃焼ねんしょうにはもちいないというひらいたエキスパンダーサイクル。

LE-5A
H-IIロケット液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとして使用しようするだい2だんエンジン
LE-5B
H-IIAロケット,H-IIBロケット液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとして使用しようするだい2だんエンジン
LE-9
H3ロケット液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとして使用しようするだい1だんエンジン(開発かいはつちゅう
MB-35
三菱重工みつびしじゅうこうロケットダイン共同きょうどう研究けんきゅうしたエンジン
MB-60
三菱重工みつびしじゅうこうロケットダイン共同きょうどう研究けんきゅうしたエンジン

あつおくしきサイクルのエンジン[編集へんしゅう]

ヘリウムガスや窒素ちっそガスとうでタンクない加圧かあつすることによって推進すいしんざい燃焼ねんしょうしつおくる。ターボポンプを使用しようする方式ほうしきよりも構造こうぞう単純たんじゅん信頼しんらいせいたかい。構造こうぞう上大かみおお規模きぼなエンジンにはてきさない。

AJ-10
エアロジェット開発かいはつ生産せいさんする自己じこ着火ちゃっかせい推進すいしんざい使用しようする上段じょうだんロケットエンジン。さい着火ちゃっか能力のうりょく

さんえき推進すいしんけい[編集へんしゅう]

さんえき推進すいしんけいには複数ふくすう形式けいしきがあり、さん種類しゅるい推進すいしんざいわせる形式けいしき飛行ひこう段階だんかいおうじて推進すいしんざいえる形式けいしきがある。前者ぜんしゃ場合ばあいリチウム/フッ素ふっそ水素すいそ同時どうじ燃焼ねんしょうさせる方式ほうしきがあり、後者こうしゃ場合ばあいたんだんしき宇宙うちゅう輸送ゆそうへの搭載とうさい企図きとしててい高度こうどではケロシン/液体えきたい酸素さんそ高度こうど上昇じょうしょうすると液体えきたい水素すいそ/液体えきたい酸素さんそわせにえる方法ほうほう模索もさくされる。てい高度こうど密度みつどおおきいケロシンを燃焼ねんしょうすることで燃料ねんりょうタンクの小型こがた可能かのうになりだか高度こうどでは推力すいりょくおおきい水素すいそ燃焼ねんしょうする。

ポゴ振動しんどう[編集へんしゅう]

ポゴ振動しんどう(Pogo振動しんどう)とは液体えきたい燃料ねんりょうロケットの飛行ひこうちゅうにエンジンが共鳴きょうめい振動しんどうする現象げんしょうである。このような振動しんどう燃料ねんりょう流量りゅうりょうえたとき燃焼ねんしょうしつない圧力あつりょくがる)や燃料ねんりょう流量りゅうりょうった場合ばあい燃焼ねんしょうしつない圧力あつりょく上昇じょうしょうする)、圧力あつりょく変動へんどう順番じゅんばんあつまり、エンジンない圧力あつりょく変動へんどうがねになり発振はっしんする。 燃料ねんりょうシステムの共鳴きょうめい振動しんどう周波数しゅうはすう発生はっせいすると振動しんどう徐々じょじょつよまり機体きたい破壊はかいする。

Pogo振動しんどうのPogoはアクロニムではなく、英語えいごのPogoスティック(和名わみょうホッピング)に由来ゆらいする。

この現象げんしょう十分じゅうぶん解明かいめいされていなかった1950年代ねんだいから60年代ねんだいのロケットがすくなからずこの現象げんしょうによりうしなわれた。

液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンの比較ひかく[編集へんしゅう]

機種きしゅ RS-25D LE-7A RD-0120 ヴァルカン2 RS-68 YF-77
開発かいはつこく アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 日本にっぽん ソビエト連邦れんぽう 欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかん アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく
形式けいしき だん燃焼ねんしょうサイクル だん燃焼ねんしょうサイクル だん燃焼ねんしょうサイクル ガス発生はっせいサイクル ガス発生はっせいサイクル ガス発生はっせいサイクル
ぜんこう 4.24 m 3.7 m 4.55 m 3.45 m 5.20 m 4.20 m
直径ちょっけい 1.63 m 1.82 m 2.42 m 2.1 m 2.43 m
重量じゅうりょう 3,177 kg 1,832 kg 3,449 kg 2,100 kg 6,696 kg 2,700 kg
推進すいしんざい 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ 液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ
しゅ燃料ねんりょうしつ圧力あつりょく 18.9 MPa 12.3MPa 21.8 MPa 11.5 MPa 9.7 MPa 10.2 MPa
空中くうちゅう推力すいりょく 453びょう 440びょう 454びょう 434びょう 409びょう 430びょう
真空しんくうちゅうでの推力すいりょく 2.278MN 1.098MN 1.961MN 1.340MN 3.370MN 0.700MN
地上ちじょうでの推力すいりょく 1.817MN 1.517MN 0.960MN 2.949MN 0.510MN
搭載とうさい スペースシャトル H-IIAロケット
H-IIBロケット
エネルギア アリアンV デルタ IV ちょうせい5ごう

上段じょうだんエンジンの比較ひかく[編集へんしゅう]

主要しゅようしょもと一覧いちらん
  RL-10 HM7B Vinci CE-7.5 YF-75 RD-0146 ES-702 ES-1001 LE-5 LE-5A LE-5B
開発かいはつこく アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく フランスの旗 フランス フランスの旗 フランス インドの旗 インド 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく ロシアの旗 ロシア 日本の旗 日本にっぽん 日本の旗 日本にっぽん 日本の旗 日本にっぽん 日本の旗 日本にっぽん 日本の旗 日本にっぽん
燃焼ねんしょうサイクル エキスパンダーサイクル ガス発生はっせいサイクル エキスパンダーサイクル だん燃焼ねんしょうサイクル ガス発生はっせいサイクル エキスパンダーサイクル ガス発生はっせいサイクル ガス発生はっせいサイクル ガス発生はっせいサイクル エキスパンダブリードサイクル
(ノズルエキスパンダ)
エキスパンダブリードサイクル
(チャンバエキスパンダ)
真空しんくうちゅう推力すいりょく 66.7 kN (6.80 tf) 62.7 kN (6.39 tf) 180 kN (18 tf) 73 kN (7.4 tf) 78.45 kN (8.000 tf) 98.1 kN (10.00 tf) 68.6 kN (7.00 tf)[2] 98 kN (10.0 tf)[3] 102.9 kN (10.49 tf) 121.5 kN (12.39 tf) 137.2 kN (13.99 tf)
混合こんごう 5.05 5.2 6.0 5.5 5 5
膨張ぼうちょう 40 40 40 140 130 110
空中くうちゅう推力すいりょく (びょう) 433 444.2 465 454 437 463 425[4] 425[5] 450 452 447
燃焼ねんしょう圧力あつりょく MPa 2.35 3.5 6.1 5.8 3.68 7.74 2.45 3.51 3.65 3.98 3.58
LH2ターボポンプ回転かいてんすう min-1 125,000 41,000 46,310 50,000 51,000 52,000
LOXターボポンプ回転かいてんすう min-1 16,680 21,080 16,000 17,000 18,000
全長ぜんちょう m 1.73 1.8 2.2~4.2 2.14 1.5 2.2 2.68 2.69 2.79
質量しつりょう kg 135 165 280 435 550 242 255.8 259.4[6] 255 248 285

おも電気でんき推進すいしん採用さいようれい[編集へんしゅう]

技術ぎじゅつ実証じっしょうようのオーダーメイドものもおおいが、イオンエンジンを中心ちゅうしん製品せいひんされている。現在げんざいでもおおくの研究けんきゅうがすすむ。

レジストジェット[編集へんしゅう]

推進すいしんざい電熱でんねつせんセラミックヒーターとうあたためるだけなので、初期しょき人工じんこう衛星えいせいにはおお搭載とうさいされた。

Meteor 3-1
ロシアの人工じんこう衛星えいせい。アンモニアを推進すいしんざいとするレジストジェットを搭載とうさいし、10程度ていど軌道きどう投入とうにゅうされた。
GlobalStar-3
アメリカの人工じんこう衛星えいせい。アポジキックのさいにトラブルに見舞みまわれたが、搭載とうさいされたレジストジェットで軌道きどう回復かいふくぜんそんまぬかれた。

イオンエンジン[編集へんしゅう]

きわめてたか推力すいりょく発揮はっきし、現在げんざい商用しょうよう衛星えいせいでは標準ひょうじゅんてき装備そうびとなってきている。

μみゅー10、μみゅー20、μみゅー10HIsp、μみゅー1
宇宙うちゅう科学かがく研究所けんきゅうじょ開発かいはつされたイオンエンジンのシリーズ。ミューロケットの上段じょうだんロケットエンジンの意味いみで、数値すうちはイオンエンジンの口径こうけいしめす。HIspはμみゅー10のこう推力すいりょくがた意味いみμみゅー10MUSES-C「はやぶさ」技術ぎじゅつ実証じっしょうされた。原理げんりじょうのイオンエンジンにくらべて推力すいりょくひくめ。
MIPS
Miniature Ion Propulsion System (小型こがたイオン推進すいしんシステム)は東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンターと次世代じせだい宇宙うちゅうシステム技術ぎじゅつ研究けんきゅう組合くみあいによって開発かいはつされた民生みんせいひん活用かつようしたイオンエンジン。
NSTAR
NASA Solar Electric Propulsion Technology Readinessのりゃく
彗星すいせい探査たんさDeep Space 1やDAWNに搭載とうさいされた実績じっせきのあるエンジン。
XIPS
Xenon Ion Propulsion Systemのりゃく。ボーイングしゃ開発かいはつされた直流ちょくりゅう放電ほうでんがたのイオンエンジンで、同社どうしゃ衛星えいせいバスの標準ひょうじゅんオプションとなっている。
RIT-10
ヨーロッパのEURECA-1さい使用しようがた人工じんこう衛星えいせい搭載とうさいされたドイツせいのエンジン。トラブルで240あいだ程度ていど累積るいせき作動さどうにとどまる。

DCアークジェット[編集へんしゅう]

おおくの1-2kWきゅうアークジェットが衛星えいせいシステムに搭載とうさいされた実績じっせきつ。

DRTS「こだま」
日本にっぽんのデータ中継ちゅうけい衛星えいせい静止せいし軌道きどうじょうにおける南北なんぼく制御せいぎょに、べいPRIMEXしゃげんジェネラル・ダイナミクス)のアークジェットを使用しよう。PRIMEXしゃおおくの人工じんこう衛星えいせいにアークジェットを供給きょうきゅうしている。
ESEX
Electric propulsion Space eXperimentのりゃくで、本来ほんらいだい電力でんりょくアークジェットの軌道きどうじょう試験しけんそのものをす。べい空軍くうぐん主体しゅたいで、26kWきゅうアークジェットの試験しけんおこなった。

ホールスラスタ[編集へんしゅう]

きゅうソビエト、ヨーロッパを中心ちゅうしん実績じっせきつほか、アメリカでも意欲いよくてき研究けんきゅうがすすむ。

SPTシリーズ、TALシリーズ
いずれもきゅうソヴィエトが開発かいはつした代表だいひょうてきホールスラスタで、生産せいさんすう軌道きどうじょう実績じっせき世界せかいでもトップ。欧米おうべいにも技術ぎじゅつ展開てんかいがなされている。
TM-50
NASAで試験しけんされた50kWきゅうだい推力すいりょくスラスタ
PPS-1350
ヨーロッパのホールスラスタ。つき探査たんさSMART-1にメインエンジンとして搭載とうさいされた。

MPDスラスタ、PPT[編集へんしゅう]

電磁でんじりょく使用しようするスラスタ。単純たんじゅんなシステムとたかいエネルギー密度みつど実現じつげんできる。

MS-T4「たんせい」
宇宙うちゅう科学かがく研究所けんきゅうじょげた人工じんこう衛星えいせいで、アンモニアMPDスラスタが搭載とうさいされた。
EPEX
Electric Propulsion EXperimentのりゃく日本にっぽんのMPDスラスタの軌道きどうじょう実証じっしょう試験しけんで、さい使用しようがた人工じんこう衛星えいせいSFUに1kWきゅうのものが搭載とうさいされた。
EO-1
べい海軍かいぐん海事かいじ衛星えいせいで、姿勢しせい制御せいぎょようにPPTを搭載とうさい
ZOND-2
きゅうソヴィエトの人工じんこう衛星えいせい姿勢しせい制御せいぎょようにテフロンPPTを搭載とうさい。これは世界せかいはじめての電気でんき推進すいしん実用じつようれいである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ M-Vロケット推進すいしんけい研究けんきゅう開発かいはつかえって
  2. ^ 開口かいこう40のノズルスカートを装着そうちゃく推力すいりょくは48.52kN (4.9 tf)
  3. ^ 開口かいこう40のノズルスカートを装着そうちゃく推力すいりょくは66.64kN (6.8 tf)
  4. ^ 開口かいこう40のノズルスカートを装着そうちゃく推力すいりょくは286.8びょう
  5. ^ 開口かいこう40のノズルスカートを装着そうちゃく推力すいりょくは291.6びょう
  6. ^ 計算けいさん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]