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RD-180

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

1998ねん11月4にちマーシャル宇宙うちゅう飛行ひこうセンター試験しけん設備せつび試験しけんちゅうのRD-180
RD-180 (РД-180)
用途ようと: 1だん
推進すいしんざい: RP-1/液体えきたい酸素さんそ
開発かいはつねん: 1999ねん
おおきさ
ぜんこう 140 in (3.56 m)
直径ちょっけい 124 in (3.15 m)
乾燥かんそう重量じゅうりょう 12,081 lb (5,480 kg)
推力すいりょく重量じゅうりょう 78.44
性能せいのう
海面かいめんだかでの推力すいりょく 311びょう (3,053 N·s/kg)
真空しんくうちゅうでの推力すいりょく 338びょう (3,313 N·s/kg)
海面かいめんだかでの推力すいりょく 860,568 lbf (3,83 MN)
真空しんくうちゅうでの推力すいりょく 933,400 lbf (4.15 MN)
燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょく 3,868 psia (26.7 MPa, 266.8 bar)
設計せっけいしゃ
製造せいぞう会社かいしゃ: RD AMROSS
推進すいしん技術ぎじゅつしゃ: ???
設計せっけいチーム: NPOエネゴマシュ

RD-180はロシアで開発かいはつされた、RD-170派生はせいがたロケットエンジンである。RD-170はターボポンプ1で4つの燃焼ねんしょうしつつのにたいしてRD-180の燃焼ねんしょうしつは2つである。外見がいけんじょうのロケットエンジンにえるが、それが一基いっきのRD-180である。ジェネラル・ダイナミクスしゃ(のち航空こうくう宇宙うちゅう部門ぶもんロッキード・マーティン吸収きゅうしゅうされる)によって1990年代ねんだい初頭しょとうアトラスロケット採用さいようされた。プラット・アンド・ホイットニー(P&W)によって一部いちぶ生産せいさんされた。エンジンはP&WとNPOエネゴマシュジョイントベンチャーRD AMROSSから販売はんばいされる。

RD-180はケロシン - 液体えきたい酸素さんそ燃料ねんりょうとするだん燃焼ねんしょうサイクルである。酸素さんそリッチの燃焼ねんしょうからのガスでターボポンプ回転かいてんさせる。酸素さんそリッチのほう単位たんい重量じゅうりょうあたりの出力しゅつりょくおおきいからである。そのわり、こうあつ高温こうおんさん素性すじょうのガスがエンジンを循環じゅんかんするので耐食性たいしょくせい必要ひつようになる。4油圧ゆあつアクチュエータでノズルをうごかす。

概要がいよう[編集へんしゅう]

RD-180の燃焼ねんしょうしつは2つあり、RD-170(燃焼ねんしょうしつは4つ)のように1ターボポンプ共有きょうゆうしている。RD-180はケロシン液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとしたこうあつだん燃焼ねんしょうサイクルによってこう効率こうりつ達成たっせいしている。アメリカの燃料ねんりょうリッチの設計せっけいとはことなり、酸化さんかざい燃料ねんりょう比率ひりつが2.72:1で酸素さんそリッチになっている。ねつ力学りきがくてきには酸素さんそリッチで予備よび燃焼ねんしょうさせるほう重量じゅうりょうあたりの出力しゅつりょくたかいが、高温こうおんだかあつ酸化さんかせいガスがエンジンない通過つうかするため材質ざいしつなどにたいする要求ようきゅうきびしくなる。特徴とくちょうとして、チャンネルウォールノズルそなえ、出力しゅつりょくを40%から100%にえられることと、強力きょうりょくであると同時どうじ頑丈がんじょうであることがげられる。

2000ねんアトラスIII以降いこう、RD-180の供給きょうきゅう順調じゅんちょう継続けいぞくされ、アメリカとロシアの宇宙うちゅう開発かいはつにおける協力きょうりょく象徴しょうちょうになっていた。しかし、2014ねん3がつにロシアがウクライナに軍事ぐんじ侵攻しんこうしたためアメリカはロシアにたいして制裁せいさい発動はつどうすることになり、その報復ほうふくとしてロシアのふく首相しゅしょうであるドミトリー・ロゴージンは2014ねん5がつにRD-180の今後こんご供給きょうきゅう停止ていしほのめかす発言はつげんをした。また、どう時期じきにアメリカ国内こくないからも安全あんぜん保障ほしょう直結ちょっけつするロケットの基幹きかん部品ぶひんのロシアへの過度かど依存いぞん疑問ぎもんするこえ以前いぜんしてたかまり、2014ねん8がつ代替だいたいのエンジンの開発かいはつ着手ちゃくしゅされた。代替だいたいのエンジンとしてブルーオリジンBE-4エアロジェット・ロケットダインAR-1開発かいはつすすめられる[1]

2015ねん1がつにオービタルサイエンシズは政府せいふからエネゴマシュから60のエンジンを購入こうにゅうするために必要ひつよう許可きょかた。

2017ねん11月8にちにロシアのラジオきょくは、中国ちゅうごくとロシアがロシアのRD-180ロケットエンジンの中国ちゅうごくへの輸出ゆしゅつ可能かのうせい議論ぎろんしているとほうじた。 ロシア当局とうきょくしゃは、この協力きょうりょくにはRD-180完成かんせいエンジンの供給きょうきゅうだけで中国ちゅうごくがわもとめる技術ぎじゅつ移転いてんやライセンス生産せいさんふくまれず、関連かんれんする生産せいさん技術ぎじゅつ中国ちゅうごく直接ちょくせつ移管いかんすることはないが、中国ちゅうごくがわ需要じゅようおうじて新型しんがたのロケットエンジンを開発かいはつする可能かのうせいたかいとされる[2]

用途ようと[編集へんしゅう]

RD-180は計画けいかくではロシアのロシア連邦れんぽう宇宙うちゅうきょく開発かいはつちゅうあたらしいルーシ-Mロケットに使用しようされる予定よていだった[3] [4]

アメリカにライセンスされたRD-180[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい初頭しょとうジェネラル・ダイナミクスしゃ宇宙うちゅうシステム部門ぶもん(のちロッキード・マーティンによって吸収きゅうしゅう)は、EELV(Evolved Expendable Launch Vehicle:発展はってんがた使つかてロケット)とアトラスロケットにRD-180を使用しようする権利けんり買収ばいしゅうした。これらは商業しょうぎょうげだけでなく合衆国がっしゅうこく政府せいふによるげもおこなうとかんがえられたため、エンジンをプラット・アンド・ホイットニーしゃ並行へいこう生産せいさんする計画けいかくもあった。しかし、これまでのところ製造せいぞうはすべてロシア国内こくないにて実施じっしされている。このエンジンは現在げんざい、ロシアの開発かいはつ会社かいしゃであり製造せいぞう会社かいしゃでもあるNPOエネゴマシュとプラット&ホイットニーとの合弁ごうべん企業きぎょうRD AMROSSによって販売はんばいされている。

RD-180は、アトラスIIA-Rロケット(Rはロシアのこと)に装備そうびされた。アトラスIIA-Rロケットは、それまでのメインエンジンをロシアせいエンジンにえたアトラスIIAロケットである。アトラスIIA-RロケットはのちアトラスIIIへと改名かいめいされている。さらに、アトラスVだいいちだんであるコモン・コア・ブースター使用しようするための追加ついか開発かいはつ計画けいかく推進すいしんされた。

アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう研究所けんきゅうじょおよび大学だいがく宇宙うちゅう研究けんきゅう協会きょうかい顧問こもんで、プリンストン大学ぷりんすとんだいがくもと教授きょうじゅであるJerry Greyは、将来しょうらいのNASAの重量じゅうりょうぶつげロケットにRD-180を採用さいようするよう提案ていあんした。ロシアへの信頼しんらい過大かだいであると懸念けねんする人々ひとびとたいし、かれはRD AMROSSは「アメリカ国内こくないでのRD-180の生産せいさんのためには、NASAからいくらかの財政ざいせいてき支援しえんがあればそのエンジンの生産せいさんを(そしてRD-170と同等どうとうの170まんポンドまたは7.6MNの推力すいりょくでさえもおそらく)すうねん以内いない開始かいししうる」と指摘してきしている[5]

RD-180をアメリカで製造せいぞうするために必要ひつよう書類しょるい法的ほうてき権利けんり入手にゅうしゅできるにもかかわらず、NASAは「ロシアせいエンジンと同等どうとう以上いじょう性能せいのうだい推力すいりょくエンジンの開発かいはつ能力のうりょく確保かくほするため」という名目めいもく独自どくじエンジンの開発かいはつ企図きとしている。NASAは2010ねん国防総省こくぼうそうしょうとの提携ていけいおうじて、2020ねん以降いこうまたはそれ以前いぜん運用うんよう可能かのう新型しんがたエンジンの製造せいぞう検討けんとうした[6]。2011ねんより米国べいこく企業きぎょうブルーオリジンによってBE-4開発かいはつされ、RD-180の代替だいたいとしてアトラスV後継こうけいヴァルカンロケット搭載とうさいされ2022ねんげられる予定よていである[7]

不正ふせい輸出ゆしゅつ未遂みすい事件じけん[編集へんしゅう]

2010ねん10がつ、ある韓国かんこくけいアメリカじん韓国かんこくKSLV-2のためにRD-180およびその関連かんれん技術ぎじゅつをアメリカから韓国かんこく不正ふせい輸出ゆしゅつしようとして逮捕たいほされ、懲役ちょうえき57ヶ月かげつ判決はんけつけた。このおとこは「30ねんわたって韓国かんこくへの先進せんしん武器ぶきいち供給きょうきゅうしてきた」と自供じきょうしており、RD-180と同時どうじM61 バルカンやロシアの防空ぼうくうシステムおよびその部品ぶひんSu-27不正ふせい輸出ゆしゅつしようとしていた。また1989ねんにはサリンイラン不正ふせい輸出ゆしゅつしようとして逮捕たいほされ懲役ちょうえき39ヶ月かげつ宣告せんこくされ、その出所しゅっしょしていた[8][9]

仕様しよう[編集へんしゅう]

  • 推力すいりょく (真空しんくうちゅう): 933,400 lbf (4.15 MN)
  • 推力すいりょく (真空しんくうちゅう): 338びょう (3,313 N·s/kg)
  • 推力すいりょく (海面かいめん高度こうど): 311びょう (3,053 N·s/kg)
  • 設計せっけい: だん燃焼ねんしょうしき
  • 重量じゅうりょう: 12,081 lb (5,480 kg)
  • 直径ちょっけい: 124 in (3.15 m)
  • 全長ぜんちょう: 140 in (3.56 m)
  • 燃焼ねんしょうしつすう: 2
  • 燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょく: 257 bar / 3,722 psia (25.7 MPa)
  • 膨張ぼうちょう: 36.87
  • 酸素さんそ燃料ねんりょう: 2.72
  • 推力すいりょく重量じゅうりょう: 78.44

搭載とうさい[編集へんしゅう]

関連かんれん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 米国べいこくがロシアにきつける三行半みくだりはん - 革新かくしんてき保守ほしゅてき、2つの新型しんがたエンジン, https://news.mynavi.jp/article/us_rocket-3/ 
  2. ^ にわか罗斯そうどおりりょうむかい中国ちゅうごく出口でぐち世界せかいだい一发动机但还留了一手, http://www.sohu.com/a/207793538_600485 
  3. ^ Ракета-носитель «Русь-М»: назначение и особенности”. RIAノーボスチ (2010ねん1がつ26にち). 2010ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  4. ^ Rus-M launch vehicle”. 2010ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ Grey, Jerry. “Laying a Foundation for Human Space Exploration”. SPACENEWS.COM. 2010ねん3がつ29にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  6. ^ Berger, Brian. “NASA Propulsion Plans Resonate with Some in Rocket Industry”. SPACENEWS.COM. 2010ねん2がつ26にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  7. ^ Roulette, Joey (2021ねん8がつ26にち). “ULA stops selling its centerpiece Atlas V, setting path for the rocket’s retirement” (英語えいご). The Verge. 2021ねん10がつ30にち閲覧えつらん
  8. ^ Nerve-gas plotter indicted over rocket deal”. msnbc.com. 2009ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  9. ^ Man sentenced for illegally exporting rocket technology to South Korea”. アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく移民いみん関税かんぜい執行しっこうきょく(ICE). 2010ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]