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ゼニット (ロケット)

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ゼニット
ゼニット3SLB(2008ねん2がつ29にちバイコヌール
基本きほんデータ
運用うんようこく  ウクライナ / ロシアの旗 ロシア
開発かいはつしゃ ユージュノエ設計せっけいきょく
使用しよう期間きかん 1985ねん - 現役げんえき
射場いば バイコヌール宇宙うちゅう基地きちLC-45
オーシャン・オデッセイ英語えいごばん
すう 84かい成功せいこう71かい
原型げんけい エネルギア
物理ぶつりてき特徴とくちょう
段数だんすう 2~3だん
そう質量しつりょう 444.9~462.2 トン
全長ぜんちょう 57~59.6 m
直径ちょっけい 3.9 m
軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょく
てい軌道きどう ゼニット 2 - 13,740 kg
太陽たいよう同期どうき軌道きどう ゼニット 2 - 5,000 kg
静止せいし移行いこう軌道きどう ゼニット 3SL - 5,250 kg
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ゼニットウクライナ: Зеніт ゼニートロシア: Зенит ズィニート:「天頂てんちょう」を意味いみする)は、ウクライナおよびロシアソ連それん)のロケット、ロケットシリーズである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ウクライナ・ドニプロペトロウシク所在しょざい国営こくえい企業きぎょうM・K・ヤーンヘリ記念きねんピウデーンネ設計せっけいきょく」(ロシアめい「M・K・ヤーンゲリ記念きねんユージュノエ設計せっけいきょく」)で設計せっけいされ、ユージュマシュしゃ生産せいさんされる[1]エネルギア補助ほじょブースターに、だい2だんだい3だんくわえた衛星えいせい打上うちあげロケットである。

ゼニットはエネルギアがはつ飛行ひこうするまえの1985ねん登場とうじょうした。ゼニットの目的もくてきは2つあり、ひとつはエネルギアの補助ほじょロケットとして、もうひとつは2だんくわえることにより単体たんたい人工じんこう衛星えいせい打上うちあげロケットとして運用うんようすることである。また、ゼニットでソユーズ宇宙船うちゅうせんげる計画けいかくもあったが、ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいともな中止ちゅうしされた。ゼニットはエネルギアのブースターにRD-120エンジンをつ2だん追加ついかしたもので、1だんRD-171エンジンは4つの燃焼ねんしょうしつノズルち、7,887 kNの推力すいりょくがある。1だん、2だんとも燃料ねんりょう酸化さんかざいケロシン液体えきたい酸素さんそ使用しようする。

ゼニットはさまざまな方法ほうほう能力のうりょく増強ぞうきょう可能かのうであり、さい着火ちゃっかしきの4だん追加ついかしたり、アントノフAn-225輸送ゆそうからげたりすることが可能かのうといわれている。

静止せいし衛星えいせいように3だんブロックDM)を追加ついかしたゼニット3SLはシーローンチしゃ海上かいじょうプラットフォームでひがし太平洋たいへいよう赤道あかみちうえから通信つうしん衛星えいせいげている。2段式だんしきのゼニット2はカザフスタンのバイコヌール宇宙うちゅう基地きちからげられる。ゼニットの1だんと2だん、また3SLの3だんエンジンはロシアから供給きょうきゅうされる。増強ぞうきょうがたのゼニット3SLBは2008ねん4がつからバイコヌール宇宙うちゅう基地きちから"ランド・ローンチ"として商業しょうぎょうよう衛星えいせい打上うちあげに使用しようされている。

ゼニット3SLは36かいげられ、うち32かい完全かんぜん成功せいこうした。1かい部分ぶぶんてき成功せいこうで、3かい失敗しっぱいした。最初さいしょ失敗しっぱいは2000ねん3がつ12にちヒューズ・エアクラフトしゃせいICO グローバル・コミュニケーション所有しょゆう通信つうしん衛星えいせいげできた。このげではロケットのソフトウェアのあやまりにより2だんべんじて失敗しっぱいした。2かい失敗しっぱいは2007ねん1がつ30にちNSS-8通信つうしん衛星えいせいげで、オーシャン・オデッセイ英語えいごばん発射はっしゃプラットホームじょうでエンジンに点火てんかした直後ちょくごにロケットが爆発ばくはつした。衛星えいせい発射はっしゃだいじょう破壊はかいされた。

16かい打上うちあげげを対象たいしょうにした調査ちょうさ結果けっか、2001ねん3がつ18にち時点じてんにおいてゼニット2はてい軌道きどうへの単位たんい重量じゅうりょうあたりの打上うちあ費用ひようもっとやすく(1kgあたり2,567-3,667ドル)、1かいあたりのそう費用ひようも3500–5000まんドルでもっとひくことあきらかになった[2]

かくだん詳細しょうさい[編集へんしゅう]

  だい1だん だい2だん だい3だん
エンジン RD-171 RD-120 / RD-8 RD-58M
推力すいりょく 8180 kN 912 kN / 79,5 kN 84.9 kN
推力すいりょく 337 びょう 349 びょう 352 びょう
燃焼ねんしょう時間じかん 150 びょう 315 びょう 650 びょう
推進すいしんざい 灯油とうゆ (RP-1) / 液体えきたい酸素さんそ (LOX)

実績じっせき[編集へんしゅう]

  そう回数かいすう 成功せいこう 失敗しっぱい部分ぶぶんてき失敗しっぱいふくむ) 成功せいこうりつ小数点しょうすうてん省略しょうりゃく
ゼニット2 36かい 28かい 8かい 78%
ゼニット3SL 36かい 32かい 4かい 89%
ゼニット2M 2かい 2かい なし 100%
ゼニット3SLB 6かい 5かい 1かい 83%
ゼニット3F 4かい 4かい なし 100%
かくかた合計ごうけい 84かい 71かい 13かい 84%

仕様しよう[編集へんしゅう]

概要がいよう[編集へんしゅう]

ゼニット-2 ゼニット-3SL
段数だんすう 2段式だんしき 3段式だんしき
ぜんこう 57m 59.6m
そうそら重量じゅうりょう 37,600 kg 40,320 kg
そう重量じゅうりょう 444,900 kg 462,200 kg
ペイロード てい軌道きどうへ13.74 トン GTOへ6トン
射場いば バイコヌール宇宙うちゅう基地きち シーローンチ 海上かいじょうプラットホーム
1かいあたりの費用ひよう ~$4500まんドル ~$9000まんドル

能力のうりょく[編集へんしゅう]

2段式だんしきばん (ゼニット-2)[編集へんしゅう]

LEOへのペイロード 13,740 kg
PEOへのペイロード 5,000 kg
GEOへのペイロード GEOへは設計せっけいされていない

3段式だんしきばん (ゼニット-3SL)[編集へんしゅう]

LEOへのペイロード 6,100 kg, 3rd 構造こうぞうじょう限界げんかい
MEOへのペイロード 3,965 kg (10,000 km, 45°)
GEOへのペイロード 1,840 kg
GTOへのペイロード 5,250 kg (6,000+ kgまで増強ぞうきょう)

派生はせい機種きしゅ[編集へんしゅう]

補助ほじょロケット[編集へんしゅう]

エネルギア・ブースター[編集へんしゅう]

ゼニットの1だんはエネルギアロケットのブースターとして使用しようされた[3]。4のゼニットが離陸りりく推力すいりょくすために装備そうびされる。エネルギアは計画けいかく中止ちゅうしまでに2かいげられた。

てい軌道きどう打上うちあげロケット[編集へんしゅう]

ゼニット2[編集へんしゅう]

げをつゼニット2

ゼニット2てい軌道きどうようとして最初さいしょ設計せっけいされた2段式だんしきのゼニットである。1だんRD-171エンジンを、2だんRD-120使用しようする。エネルギアの開発かいはつ遅延ちえんのためにエネルギアがげられる2ねんまえの1985ねん4がつ13にち最初さいしょ打上うちあげげがおこなわれた。

ゼニット 2M / 2SB / 2SLB[編集へんしゅう]

ゼニット2Mはゼニット2の制御せいぎょ装置そうち改良かいりょうとエンジンの近代きんだいほどこした機種きしゅである[4]。2007ねん6がつ29にち最初さいしょのゼニット2Mがロシアの軍用ぐんようのコスモス衛星えいせいげた。また2011ねん11月9にちにはフォボス・グルント打上うちあげげでゼニット2SBがもちいられた。

なお、シーローンチの子会社こがいしゃランド・ローンチがゼニット2Mを商業しょうぎょうようげる場合ばあいゼニット2SLBという名称めいしょうになるが、現在げんざいまでゼニット2SLBは1げられていない。

中高なかだか軌道きどう打上うちあげロケット[編集へんしゅう]

ゼニット3SL[編集へんしゅう]

ゼニット3SLはシーローンチよう開発かいはつされた3段式だんしきロケットである。2だんまではウクライナのSDO ユージュノエ/PO ユージュマシュによって生産せいさんされた。3だんブロック DM-SL上段じょうだんロケットはロシアのエネルギアから供給きょうきゅうされた。また打上うちあ衛星えいせい保護ほごするフェアリングボーイングから供給きょうきゅうされた[5]

シーローンチで使用しようされるロケットはカリフォルニアしゅうロングビーチてられる。打上うちあげは赤道せきどう位置いちする海上かいじょうプラットホームであるオーシャン・オデッセイおこなわれる。オーシャン・オデッセイは打上うちあ海域かいいきへのロケットの運搬うんぱんにも使用しようされる。2008ねん1がつ15にちにゼニット3SLのげは回数かいすうは25かいたっした[1]

ゼニット 3M / 3SLB[編集へんしゅう]

ゼニット3Mは、ゼニット3SLに使用しようされているブロック-DM上段じょうだんロケットをゼニット2Mに追加ついかした機種きしゅである。バイコヌールからげられる。ランド・ローンチが商業しょうぎょうげにもちいる場合ばあいゼニット3SLBばれる。はつ打上うちあげは2008ねん4がつ28にちで、ゼニット3SLBとして打上うちあげられた。

ゼニット 3F / 3SLBF / 2SB/Fregat[編集へんしゅう]

ゼニット3Fは、ゼニット2Mにフレガート上段じょうだんロケットをくわえた3段式だんしき派生はせい機種きしゅである。フレガートはすでソユーズロケットでよりたか軌道きどう衛星えいせい投入とうにゅうするために使用しようされた実績じっせきがある。最初さいしょ打上うちあげは2011ねん1がつ20日はつか(UTC)におこなわれた。この機体きたいはゼニット2SB/Fregatとばれている。2011ねん7がつ18にちにもどうタイプのロケットのげがおこなわれた。

ランド・ローンチが商業しょうぎょうげにもちいる場合ばあいゼニット3SLBFという名称めいしょうになるが、現在げんざいまでゼニット3SLBFは1げられていない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b Sea Launch: the Twenty-Fifth Launch of Zenit-3SL”. Yuzhnoye (2008ねん1がつ21にち). 2008ねん2がつ3にち閲覧えつらん
  2. ^ Watts, Barry D. "The Military Use of Space: A Diagnostic Assessment". Center for Strategic and Budgetary Assessments, Appendix 4; quoted in Sietzen, Jr., Frank (2001ねん3がつ18にち). “Spacelift Washington: International Space Transportation Association Faltering; The myth of $10,000 per pound”. spaceref.com. Aerospace FYI. 2008ねん8がつ19にち閲覧えつらん
  3. ^ Bart Hendrickx and Bert Vis (2007ねん). “Energiya-Buran: The Soviet Space Shuttle”. Springer Praxis Books. 2009ねん5がつ17にち閲覧えつらん
  4. ^ Ukrainian Zenit rocket makes its return to flight”. Spaceflight Now. 2007ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  5. ^ Sea Launch Receives Zenit-3SL Hardware for Next Launches”. Sea Launch. 2007ねん9がつ6にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]