RS-25

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RS-25
噴射しているロケットエンジン。青い炎が周囲に複数のパイプがある釣鐘状ノズルから噴き出している。ノズル最上部は蒸気で覆われていて天井から吊り下げられている複雑な配管部に取り付けられている。後ろにはトランジェント装置の一部が見える。
RS-25のテスト噴射ふんしゃ
(下部かぶあかるい部分ぶぶんマッハディスク英語えいごばん)
はら開発かいはつこくアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
はつ飛行ひこう1981ねん4がつ12にち (STS-1)
開発かいはつ企業きぎょうエアロジェット・ロケットダイン
搭載とうさいスペースシャトル
スペース・ローンチ・システム
前身ぜんしんHG-3
現況げんきょう運用うんようちゅう
液体えきたい燃料ねんりょうエンジン
推進すいしんやく液体えきたい水素すいそ / 液体えきたい酸素さんそ
サイクル多段ただん燃焼ねんしょう
構成こうせい
ノズル69:1 [1]
性能せいのう
推力すいりょく (vac.)512,300 lbf (2,279 kN)[1]
推力すいりょく (SL)418,000 lbf (1,860 kN)[1]
燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょく2,994 psi (20.64 MPa)[1]
Isp (vac.)452.3びょう (4.436 km/s)[1]
Isp (SL)366びょう (3.59 km/s)[1]
寸法すんぽう
全長ぜんちょう168インチ (4.3 m)
直径ちょっけい96インチ (2.4 m)
リファレンス
出典しゅってん[2][3]
補足ほそくRS-25Dのデータでは109%のスロットル

RS-25は、エアロジェット・ロケットダインしゃ設計せっけい生産せいさんするさい使用しようがた液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンである。スペースシャトルオービタ使用しようされていたことから、SSME(スペースシャトルメインエンジン)の通称つうしょうでもられる。初期しょき設計せっけい1972ねん[4]

スペースシャトル計画けいかくではけい46のRS-25があり、3が1かいげで使用しようされた[5]。シャトル退役たいえきもNASAは14から16のブロックIIのRS-25Dを保有ほゆうしており[6]、これは後継こうけいであるスペース・ローンチ・システム (SLS) で利用りようされる[7]。RS-25Dを使つかったのちは、改良かいりょうがたのRS-25Eが生産せいさんされる[8]

概要がいよう[編集へんしゅう]

RS-25は液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ燃焼ねんしょうすること推力すいりょく発生はっせいさせる。スペースシャトルでは外部がいぶ燃料ねんりょうタンクから液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそを3のRS-25に供給きょうきゅうして推力すいりょくて、さら固体こたい燃料ねんりょうロケットとオービタルマニューバリングシステムからも推力すいりょくる。それぞれのエンジンは離陸りりくにおよそ1.8MNまたは400,000lbfの推力すいりょく発生はっせいする。エンジンの推力すいりょく (Isp) は真空しんくうちゅうで453びょう海面かいめん高度こうどで363びょう噴出ふんしゅつ速度そくどはそれぞれ4440 m/sと3560 m/sである。

RS-25の質量しつりょう全体ぜんたいやく3.2 t (7,000lb) である。RS-25は極端きょくたん温度おんどした運転うんてんされる。液体えきたい水素すいそは-253℃で液体えきたい酸素さんそ燃焼ねんしょうするとてつ沸点ふってんよりもたかい3300℃にたっする。それぞれのエンジンは毎秒まいびょう1340ℓの推進すいしんざい消費しょうひする。もしエンジンが液体えきたい酸素さんそ液体えきたい水素すいそわりにみず消費しょうひしたら平均へいきんてき水泳すいえいプールに相当そうとうするりょうを75びょう(3場合ばあいは25びょう)で排出はいしゅつする。

外部がいぶ燃料ねんりょうタンクからの燃料ねんりょう酸化さんかざいは3系統けいとうのラインによってそれぞれのエンジンに供給きょうきゅうされる。RS-25の燃焼ねんしょうさい水素すいそ酸素さんそ質量しつりょう混合こんごうは1たい6となっている。酸素さんそ水素すいそみず化学かがく反応はんのう完全かんぜんおこなわせる場合ばあい水素すいそ酸素さんそ質量しつりょう混合こんごうは1たい8であり、RS-25の質量しつりょう混合こんごう水素すいそおおい(燃料ねんりょうリッチ)。これには2つ理由りゆうがある。ひとつは完全かんぜん燃焼ねんしょうさせてしまうと、燃焼ねんしょうしつ温度おんどがりぎてえられなくなるので、水素すいそ余分よぶん供給きょうきゅうすることにより温度おんどげるためである。ふたは、推進すいしんざいとしては排出はいしゅつされるガスを100%水蒸気すいじょうきではなく、水素すいそガスをぜてかるくしたほう噴射ふんしゃ速度そくどたかくなる(推力すいりょくおおきくなる)ためである。とくにスペースシャトルの構成こうせいは、固体こたいロケットブースターだい1だん、RS-25を本体ほんたいだい2だんることができ、そういった構成こうせいでは2だん推力すいりょく重視じゅうしとしたほうが有利ゆうりである。

RS-25は、初期しょきがた以降いこう、Phase-II(1988ねん: チャレンジャー事故じこ改良かいりょうがた)、Block-I(1995ねん)、Block-IIA(1998ねん)、Block-IIと信頼しんらいせい整備せいびせい向上こうじょうするための改良かいりょうおこなわれており、2001ねんからはBlock-IIが使つかわれるようになっている。帰還きかん、3のエンジンは機体きたいからはずされてSpace Shuttle Main Engine Processing Facility (SSMEPF) で整備せいびされ、分解ぶんかい検査けんさ必要ひつよう部材ぶざい交換こうかんされ、さいて、燃焼ねんしょう試験しけんおこなわれ、つぎのフライトにそなえられた。

液体えきたい酸素さんそ供給きょうきゅうけい[編集へんしゅう]

エンジンの主要しゅよう部材ぶざい

低圧ていあつ酸化さんかざいターボポンプ (LPOTP) は6だんのタービンで駆動くどうされる液体えきたい酸素さんそおくじくりゅうしきポンプである。液体えきたい酸素さんそ圧力あつりょくを0.7から2.9 MPa (100から420psia) に加圧かあつする。LPOTPから高圧こうあつ酸化さんかざいポンプ (HPOTP) へ供給きょうきゅうする。エンジンの運転うんてん中高なかだかあつ酸化さんかざいタービンはキャビーテーションを発生はっせいせずに高速こうそく運転うんてんされ加圧かあつする。LPOTPはおよそ5,150 rpm運転うんてんされる。LPOTPはおよそ450x450 mm (18x18 インチ)で推進すいしんざい配管はいかん接続せつぞくされオービターの構造こうぞうたいによって所定しょてい位置いち支持しじされる。

こうあつ酸化さんかざいポンプ (HPOTP) は2だいたんだん遠心えんしんポンプ (しゅ燃焼ねんしょうしつようポンプとプリバーナーようポンプ) が共通きょうつうじく設置せっちされ2だん高温こうおんガスタービンで駆動くどうされる。しゅポンプは液体えきたい酸素さんそを2.9から30 MPa (420から4,300 psi) まで加圧かあつやく28,120 rpmで運転うんてんされる。HPOTPから吐出としゅつしたながれは複数ふくすう分岐ぶんきする。一方いっぽうはLPOTPのタービンの駆動くどうへ、もう一方いっぽうしゅ酸化さんかざいべん通過つうかしてしゅ燃焼ねんしょうしつへ、べつ酸化さんかざいねつ交換こうかん間欠かんけつてき少量しょうりょうおくられる。液体えきたい酸素さんそながれはたいフローべん通過つうかしてねつ交換こうかんはいり、液体えきたい酸素さんそ気化きかするように加熱かねつされる。ねつ交換こうかんはHPOTPタービンからの排出はいしゅつガスによるねつ使用しようして液体えきたい酸素さんそからガスにえる。生成せいせいした酸素さんそガスはマニホールドへおくられ外部がいぶ燃料ねんりょうタンクの液体えきたい酸素さんそタンクの加圧かあつもちいられる。またHPOT段式だんしきプリバーナーポンプを液体えきたい酸素さんそは30から51 MPa (4,300 psiaから7,400 psia) へ加圧かあつされる。そして酸化さんかざいプリバーナーの酸化さんかざいべん酸化さんかざいプリバーナーへおくられ、もう一方いっぽう燃料ねんりょうプリバーナーの酸化さんかざいべん燃料ねんりょうプリバーナーへおくられる。HPOTPはやく600x900 mm (24x36インチ) で高温こうおんガスマニホールドにフランジで設置せっちされる。

HPOTPタービンとHPOTPポンプは共通きょうつうじく設置せっちされている。タービン燃料ねんりょうリッチの高温こうおんガスとしゅポンプない液体えきたい酸素さんそざること事故じこつながる。これをふせためにエンジンの運転うんてんちゅうは2つの区画くかく常時じょうじMPSエンジンによって供給きょうきゅうされるヘリウムで加圧かあつされた空洞くうどうによって分離ぶんりされる。ふたつのシールによって空洞くうどうないへのれを最小さいしょうおさえる。ひとつのシールがタービン空洞くうどうあいだにあり、他方たほうがポンプ空洞くうどうあいだにある。この空洞くうどうのヘリウムの加圧かあつ喪失そうしつした場合ばあい自動的じどうてきにエンジンが停止ていしする。

液体えきたい水素すいそ供給きょうきゅうけい[編集へんしゅう]

オービターぬし推進すいしんシステム

燃料ねんりょう液体えきたい水素すいそ遮断しゃだんべんからオービターない供給きょうきゅうされる。3のそれぞれのエンジンへけて供給きょうきゅう系統けいとう並行へいこうする3系統けいとうかれる。それぞれの液体えきたい燃料ねんりょう供給きょうきゅうけいからべんひらくと低圧ていあつターボポンプへおくられる。低圧ていあつ燃料ねんりょうターボポンプ (LPFTP) はプリバーナーからの水素すいそリッチガスによって段式だんしきタービンによって駆動くどうされるじくりゅうポンプである。液体えきたい水素すいそを30から276 psia (0.2から1.9 MPa) に加圧かあつしてこうあつ燃料ねんりょうターボポンプ (HPFTP) へおくる。エンジンの運転うんてんちゅうはLPFTPによる加圧かあつ圧力あつりょくはHPFTPがキャビテーションをこさず高速こうそく運転うんてんするように供給きょうきゅうされる。LPFTPはやく16,185 rpmで回転かいてんする。LPFTPはおおきさが450mmx600mmである。機体きたい推進すいしんざい供給きょうきゅう系統けいとう接続せつぞくされLPOTPから180°の位置いち設置せっちされる。

こうあつ燃料ねんりょうターボポンプ (HPFTP) は3段式だんしき遠心えんしんしきポンプで2段式だんしきのタービンで駆動くどうされる。LPFTPからおくられる液体えきたい燃料ねんりょうを1.9から45 MPa (276から6,515 psia) へ加圧かあつする。HPFTPはやく35,360 rpmで回転かいてんする。ターボポンプから吐出はきだされた液体えきたい水素すいそはメインバルブを通過つうかして3系統けいとう分離ぶんりされる。1系統けいとうしゅ燃焼ねんしょうしつ壁面へきめんとおり、液体えきたい水素すいそ冷却れいきゃく使用しようされる。しゅ燃焼ねんしょうしつからLPFTPへおくられ、LPFTPのタービンの駆動くどうもちいられる。LPFTPからの一部いちぶはコモンマニホールドへつながり外部がいぶ燃料ねんりょうタンクの加圧かあつもちいられる。内壁ないへき外壁がいへきあいだながれること高温こうおんのマニホールドの冷却れいきゃくもちいられた液体えきたい水素すいそ気化きかしてしゅ燃焼ねんしょうしつ噴射ふんしゃされる。2番目ばんめ系統けいとう液体えきたい水素すいそながれはしゅ燃料ねんりょうべん通過つうかしてエンジンノズルへ冷却れいきゃくためおくられる。3番目ばんめしゅ燃焼ねんしょうしつ冷却れいきゃくべんからの液体えきたい水素すいそながれと合流ごうりゅうする。合流ごうりゅうしたながれはプリバーナーで燃料ねんりょう酸化さんかざい混合こんごうされる。HPFTPのおおきさはやく550 X 1100 mmである。高温こうおんガスマニホールドにフランジで固定こていされる。 

プリバーナーと推力すいりょく制御せいぎょ装置そうち[編集へんしゅう]

オービター整備せいび施設しせつ(OPF)で1ばんエンジンが搭載とうさいされる様子ようす

酸化さんかざい燃料ねんりょうプリバーナーは高温こうおんガスマニホールドに溶接ようせつされる。燃料ねんりょう酸化さんかざいはプリバーナーにはいり、効率こうりつよく燃焼ねんしょうする比率ひりつ混合こんごうされる。電気でんき火花ひばな点火てんかはそれぞれのプリバーナーの中心ちゅうしんしょう燃焼ねんしょうしつ位置いちする。じゅう系統けいとうでんしき点火てんかはエンジン制御せいぎょ装置そうちによって作動さどうし、エンジン始動しどうからそれぞれのプリバーナーが燃焼ねんしょうするまで使用しようされる。燃焼ねんしょう自律じりつ運転うんてん移行いこうするのでやく3びょう停止ていしする。プリバーナーは燃料ねんりょうリッチの高温こうおんガスを生成せいせいしタービンを駆動くどうしてこうあつターボポンプを駆動くどうするちからす。酸化さんかざいプリバーナーで生成せいせいしたガスはHPOTPと酸化さんかざいプリバーナーのポンプを駆動くどうするタービンへおくられる。燃料ねんりょうプリバーナーで生成せいせいしたガスはHPFTPを駆動くどうするタービンへおくられる。

HPOTPとHPFTPのタービンの速度そくど酸化さんかざい燃料ねんりょうプリバーナーの酸化さんかざいべんひらき依存いぞんする。これらのべんはエンジン制御せいぎょ装置そうちによってひらき制御せいぎょされ、プリバーナーへの液体えきたい酸素さんそ流量りゅうりょう加減かげんすることでエンジンの推力すいりょく制御せいぎょする。酸化さんかざい燃料ねんりょうプリバーナーの酸化さんかざいべん液体えきたい酸素さんそ流量りゅうりょう加減かげんすることによりプリバーナーの圧力あつりょく加減かげんし、それによりHPOTPとHPFTPのタービンの速度そくど加減かげんしてしゅ燃焼ねんしょうおく液体えきたい酸素さんそ水素すいそガスの流量りゅうりょう加減かげんすることによってエンジンの推力すいりょく加減かげんする。

酸化さんかざい燃料ねんりょうのプリバーナーのべんともにいかなるエンジンの出力しゅつりょくでもつね推進すいしんざいが6たい1の混合こんごうになるようになっている。しゅ酸化さんかざいべんしゅ燃料ねんりょうべんはエンジンへおくられる液体えきたい酸素さんそ液体えきたい水素すいそ流量りゅうりょう加減かげんし、それぞれエンジン制御せいぎょ装置そうちによって制御せいぎょされる。エンジン運転うんてんちゅうおもべん完全かんぜんひらく。

冷却れいきゃく制御せいぎょ装置そうち[編集へんしゅう]

STS-117でのげで運転うんてんちゅうのアトランティスごうしゅエンジン。

冷却れいきゃくざい制御せいぎょべんはそれぞれのエンジンの冷却れいきゃくざいバイパスかん設置せっちされる。エンジン制御せいぎょ装置そうちはノズルの温度おんど制御せいぎょするため冷却れいきゃくけいとうへの水素すいそガスの大半たいはん調整ちょうせいする。 燃焼ねんしょうしつ冷却れいきゃくざいべんはエンジンの始動しどうまえに100%ひらかれる。エンジンの運転うんてんちゅうひらけ100 %から出力しゅつりょく設定せっていおうじて100から最大さいだい冷却れいきゃくの109 %までひらかれる。出力しゅつりょく設定せっていは65から100 %のあいだ冷却れいきゃくざいひらきは66.4から100 %である。

燃焼ねんしょうしつとノズル[編集へんしゅう]

それぞれの燃焼ねんしょうしつには燃料ねんりょうリッチの高温こうおんガスが高温こうおんガスマニホールド冷却れいきゃくけいからおくられる。水素すいそ液体えきたい酸素さんそガスは噴射ふんしゃ装置そうちから燃焼ねんしょうしつおくられ混合こんごうされる。燃焼ねんしょうしつ噴射ふんしゃ装置そうち中心ちゅうしん点火てんか燃焼ねんしょうしつがある。2じゅう冗長じょうちょうけい点火てんかはエンジン始動しどうから燃焼ねんしょう開始かいしするまで使用しようされる。自立じりつてき燃焼ねんしょうプロセスにはいるので点火てんかやく3びょう停止ていしする。しゅ噴射ふんしゃ装置そうちはドームじょうてられており高温こうおんガスマニホールドと溶接ようせつされている。しゅ燃焼ねんしょうしつ同様どうよう高温こうおんガスマニホールドとボルトで接合はぎあわされている。

それぞれの燃焼ねんしょうしつ内部ないぶ表面ひょうめんはそれぞれのノズルの内面ないめん表面ひょうめん同様どうよう液体えきたい水素すいそながれるロウけされたステンレスかんによる壁面へきめん冷却れいきゃくかんによって冷却れいきゃくされる。かねじょうひろがるノズルはしゅ燃焼ねんしょうしつとボルトで接合せつごうされる。ノズルは全長ぜんちょう2.9mで直径ちょっけいは2.4mである。ノズルのぜんはし溶接ようせつ接合はぎあわされている支持しじたまきはオービターによってねつ防御ぼうぎょされている。ねつ防御ぼうぎょにおけるノズルの露出ろしゅつ部分ぶぶんからのねつ放射ほうしゃ軌道きどうから帰還きかん必要ひつようである。絶縁ぜつえんざい金属きんぞくはくとスクリーンによる4そう構造こうぞうになっている。

RS-25のノズルは燃焼ねんしょうあつりょくたいして海面かいめん高度こうど作動さどうできるノズルとしては一般いっぱんてきではないこう膨張ぼうちょう (やく77) である。ノズルがおおきい場合ばあい噴流ふんりゅうながれの剥離はくりしょうじて制御せいぎょ困難こんなんになり機体きたい損傷そんしょうあたえる可能かのうせいがある。それにたいしてロケットダインの技術ぎじゅつしゃ出口いでぐち付近ふきんのノズルの角度かくど変化へんかさせることで対処たいしょした。リム周辺しゅうへん圧力あつりょくは4.6から5.7付近ふきん上昇じょうしょうすることによってながれの剥離はくり防止ぼうしした。内部ないぶ低圧ていあつ部分ぶぶんではおよそ2psi以下いかである[9]

メインバルブ[編集へんしゅう]

5推進すいしんざいべんがそれぞれのエンジンにある。(酸化さんかざいプリバーナー 酸化さんかざいべん燃料ねんりょうプリバーナー 酸化さんかざいべんしゅ酸化さんかざいべんしゅ燃料ねんりょうべん燃焼ねんしょうしつ冷却れいきゃくべん)それらは油圧ゆあつ作動さどうし、エンジン制御せいぎょ装置そうちからの電気でんき信号しんごう制御せいぎょされる。それらはMPSエンジンヘリウム供給きょうきゅうシステムをバックアップアクチュエーションシステムとして使用しようすることすべ遮断しゃだんできる。

しゅ酸化さんかざいべん燃料ねんりょうブリードべんはエンジンの停止ていし使用しようされる。しゅ酸化さんかざいべんのこった液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざい機外きがい排出はいしゅつするためひらかれ、燃料ねんりょうブリードべんのこった液体えきたい水素すいそ燃料ねんりょう機外きがい排出はいしゅつするため使用しようされる。排出はいしゅつべんじられる。

ジンバル[編集へんしゅう]

ジンバル軸受じくうけはしゅ噴射ふんしゃとドームアッセンブリーにボルトで固定こていされエンジンとオービターのあいだ推力すいりょく伝達でんたつする。軸受じくうけはやく290x360mm (11.3 x 14 インチ) である。

低圧ていあつ酸素さんそ低圧ていあつ燃料ねんりょうターボポンプはオービターの推力すいりょく構造こうぞうぶつに180°の間隔かんかく固定こていされる。

低圧ていあつターボポンプから高圧こうあつターボポンプへの配管はいかん低圧ていあつポンプが固定こていされていて推力すいりょく偏向へんこうにエンジンがジンバルでくびこと対応たいおうするため柔軟じゅうなんせいのある蛇腹じゃばら使用しようしている。低圧ていあつ燃料ねんりょうターボポンプ (LPFTP) から高圧こうあつ燃料ねんりょうターボポンプ (HPFTP) への液体えきたい水素すいそ配管はいかん空気くうき液化えきか防止ぼうしするため断熱だんねつされている。

制御せいぎょ装置そうち[編集へんしゅう]

重要じゅうよう技術ぎじゅつ革新かくしん統合とうごうがた制御せいぎょ装置そうちがエンジン自体じたいふくまれることである。このデジタルコンピューター(原型げんけいはハネウェルHDC-601[10]を2だい冗長じょうちょうけいとして構成こうせいされる)とのちモトローラ68000プロセッサ[11]による2だい冗長じょうちょうけい更新こうしんされたシステムは2つのタスクをつ。ひとつはエンジンと燃焼ねんしょうプロセスの制御せいぎょ自身じしん監視かんしすることである。すべてのセンサーとアクチュエーターが制御せいぎょ装置そうちだけに直接ちょくせつ接続せつぞくされるようになったことによりエンジンとシャトルあいだ配線はいせん大幅おおはば簡略かんりゃくされた。このシステムを使用しようすることにより同様どうようにソフトウェアも簡略かんりゃくされ信頼しんらいせい向上こうじょうした。2だい独立どくりつしたコンピューターA・Bによって冗長じょうちょうけいのある制御せいぎょ装置そうち構成こうせいする。システムAが故障こしょうした場合ばあい運用うんようじょう能力のうりょくそこねずに自動的じどうてきにシステムBにわる。システムBが故障こしょうした場合ばあい正常せいじょうにエンジンを停止ていしする。

推力すいりょく仕様しよう[編集へんしゅう]

RS-25の推力すいりょく (または出力しゅつりょくレベル) は当初とうしょは67から109%まで可変かへんであった。のちのげでは104.5%から106または109%が可能かのうである。真空しんくうちゅうほう大気たいきあつによる影響えいきょういのでこう推力すいりょくられる。

海面かいめん高度こうど 真空しんくうちゅう
100% 推力すいりょく 1670 kN 2090 kN
104.5% 推力すいりょく 1750 kN 2170 kN
109% 推力すいりょく 1860 kN 2280 kN

スペースシャトル引退いんたい用途ようと[編集へんしゅう]

シャトルのメインエンジン

スペースシャトルの引退いんたいはRS-25の利用りようあん複数ふくすう検討けんとうされた。いちれいとして2008ねんごろ、NASAは1あたり$400,000—800,000で売却ばいきゃくしようとした[12]。2010ねん初頭しょとうにはNASAは無料むりょう譲渡じょうとすることを計画けいかくした[12]。これらのエンジンは最終さいしゅうてきにシャトル後継こうけいロケットであるスペース・ローンチ・システム (SLS) で使用しようされることとなった[7]

コンステレーション計画けいかく[編集へんしゅう]

2000年代ねんだいコンステレーション計画けいかくにおいて、RS-25はスペースシャトルの技術ぎじゅつ使用しようした無人むじんちょう大型おおがたロケットのアレスVならびに有人ゆうじんアレスIのエンジンとして使用しようされるかにえた。RS-25の使用しよう一見いっけんさそうだったが、シャトルの技術ぎじゅつ2010ねんのシャトルの引退いんたい使用しようすることにはいくつかの欠点けってんがあった。

  • それらは使つかてロケットに搭載とうさいされさい使用しようがたではなかった。
  • 搭載とうさいまえにNASAがそれぞれのあたらしいオービターとSTS-26まえ実施じっしした「しゅエンジン試験しけん」とばれる飛行ひこう準備じゅんび燃焼ねんしょう試験しけん (FRF) をおこな必要ひつようがある。

コンステレーション計画けいかくは2010ねん10がつ中止ちゅうしされたが、同年どうねん11がつにNASAはちょう大型おおがたロケットの研究けんきゅうを13しゃさい交渉こうしょうした[13][14]

SLS[編集へんしゅう]

2011ねん、NASAはふたたびスペースシャトルの技術ぎじゅつ使用しようしたあたらしいちょう大型おおがたロケットであるスペース・ローンチ・システム (SLS) の開発かいはつ発表はっぴょうした。RS-25DはSLSの1だんとして採用さいようされ、2021ねんはつげを目指めざして開発かいはつすすめられている[7]。SLSは使つかてロケットであり、1げで4のRS-25Dを使用しようする[7]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

仕様しよう[編集へんしゅう]

ノズル[編集へんしゅう]

RS-25のノズルの直径ちょっけい根元ねもとが10.3 in (0.26 m)で末端まったんが90.7 in (2.30 m)で全長ぜんちょうは121 in (3.1 m)である[15]

全体ぜんたい[編集へんしゅう]

  • 開発かいはつ開始かいし: 1972ねん
  • 推進すいしんざい: 液体えきたい酸素さんそ/液体えきたい水素すいそ
  • 推力すいりょく(真空しんくうちゅう): 2,278 kN
  • 推力すいりょく(海面かいめん高度こうど): 1,817 kN
  • 推力すいりょく (真空しんくうちゅう): 453 s
  • 推力すいりょく (海面かいめん高度こうど): 363 s
  • 燃焼ねんしょう時間じかん: 480びょう
  • 質量しつりょう: 3,177 kg
  • 直径ちょっけい: 1.63 m
  • 全長ぜんちょう: 4.24 m
  • 燃焼ねんしょうしつ: 1
  • 燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょく: 18.94 MPa (100%出力しゅつりょく)
  • ノズル開口かいこう: 77.50
  • 酸化さんかざい燃料ねんりょう: 6.00
  • 推力すいりょく質量しつりょう: 73.12
  • くに: アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
  • 状態じょうたい: 保管ほかんちゅう
  • はつ飛行ひこう: 1981ねん
  • 設計せっけい高度こうど = 18,300 m
  • ノズルのマッハすう = 6.55 (理想りそうてき膨張ぼうちょう) -- ただしくない可能かのうせい(膨張ぼうちょうが4.7で計算けいさんした場合ばあい、ガンマ=1.20)
  • 燃焼ねんしょうしつ出口でぐち面積めんせき = 600 cm2
  • ノズル面積めんせき = 4.6698 m2
  • 燃焼ねんしょうしつ圧力あつりょく = 18,940 kPa (100%出力しゅつりょく)
  • 外部がいぶ圧力あつりょく = 7.23 kPa (計算けいさん) -- ただしくない可能かのうせい (ひくすぎる,結果けっかてき衝撃しょうげき分離ぶんりする)
  • 燃焼ねんしょう時間じかん = 520 s
  • 空中くうちゅう推力すいりょく Isp = 452.5 s
  • 真空しんくうちゅうでの1あたりの推力すいりょく = 222,650 kgf 設計せっけい推力すいりょく104.5%とき

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f Aerojet Rocketdyne, RS-25 Engine (accessed July 22, 2014)
  2. ^ (PDF) Space Shuttle Main Engine, Pratt & Whitney Rocketdyne, (2005), オリジナルの2012-05-24時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20120524084342/http://www.pw.utc.com/products/pwr/assets/pwr_SSME.pdf 2011ねん11月23にち閲覧えつらん 
  3. ^ Wade, Mark. “SSME”. Encyclopedia Astronautica. 2011ねん10がつ27にち閲覧えつらん
  4. ^ John Shannon (2009ねん6がつ17にち). “Shuttle-Derived Heavy Lift Launch Vehicle”. 2009ねん6がつ17にち閲覧えつらん
  5. ^ KSC booklet, Quote: "Since the first Space Shuttle launch on April 12, 1981, 42 different SSMEs have successfully demonstrated the performance, safety, and reliability of the world's only reusable liquid-fuel rocket engine.", source
  6. ^ Carreau, Mark (2011ねん3がつ29にち). “NASA Will Retain Block II SSMEs”. Aviation Week. http://www.aviationweek.com/aw/generic/story_channel.jsp?channel=space&id=news/asd/2011/03/29/08.xml&headline=NASA%20Will%20Retain%20Block%20II%20SSMEs 2011ねん3がつ30にち閲覧えつらん 
  7. ^ a b c d NASAの巨大きょだいロケット「SLS」、エンジン試験しけん問題もんだい発生はっせい - 24ねんつき着陸ちゃくりく暗雲あんうん”. マイナビニュース (2021ねん1がつ22にち). 2021ねん3がつ22にち閲覧えつらん
  8. ^ SLS Vehicle Configuration”. アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく. 2022ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  9. ^ Nozzle Design
  10. ^ http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/computers/Ch4-7.html
  11. ^ http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/computers/Ch4-8.html
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出典しゅってん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]