シャトル派生はせいがたロケット

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サターンVスペースシャトルアレスIアレスVアレスIVSLS比較ひかく

シャトル派生はせいがたロケットえい: Shuttle-Derived Launch Vehicle: SDLV直訳ちょくやくするとシャトル派生はせいがた、シャトル由来ゆらいローンチ・ヴィークル)もしくは単純たんじゅんに、シャトル派生はせい (Shuttle-Derived Vehicle: SDV) とは、スペースシャトル計画けいかく構成こうせい部品ぶひん技術ぎじゅつ、または射場いばなどの基本きほん施設しせつのうち一部いちぶだけ、もしくはそのうちの複数ふくすうにわたる要素ようそ使用しようした打上うちあつくりあげるために、長年ながねんにわたって考案こうあん開発かいはつがなされつづけてきた幅広はばひろ設計せっけい概念がいねん一部いちぶ説明せつめいする宇宙うちゅう開発かいはつ用語ようごである(以下いか本稿ほんこうにおいてこのロケットをSDLVとしょうする)。

過去かこのある期間きかんにおいて、NASAは計画けいかく一部いちぶでSDLVの開発かいはつすすめたことがあった。1980ねんわりごろから1990ねんはじめごろにかけて、NASAは、公式こうしき貨物かもつ専用せんようのスペースシャトルである「シャトルC英語えいごばん」について開発かいはつ可能かのうせい調査ちょうさをしたことがある。もし、かりに、シャトルCが開発かいはつされていたとしたら、それは、乗員じょういん搭乗とうじょうする普通ふつうのスペースシャトルではとてもはこべないだい重量じゅうりょうペイロードをスペースシャトルにわってはこげる役割やくわりにない、スペースシャトル計画けいかく補完ほかんしたことであろう。現実げんじつには、シャトルCは実現じつげんせず、きぼう代表だいひょうされる宇宙うちゅうステーション実験じっけんとうといった大型おおがた構造こうぞうぶつは、シャトルの貨物かもつしつおさめてはこばざるをなかった。このため、きぼう実験じっけんとういたってはスペースシャトルをさんかいげて分割ぶんかつ輸送ゆそうせざるをなかった(方法ほうほうについては国際こくさい宇宙うちゅうステーション組立くみたて順序じゅんじょ参照さんしょう)。

2005ねんには、NASAは機体きたい一部分いちぶぶんにシャトル構成こうせい要素ようそもちいるアレスIアレスVロケットの開発かいはつ一度いちど決定けっていした。りょうロケットはスペースシャトルをえる計画けいかくで、またつき火星かせいへの有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう可能かのうなように設計せっけいされていた[1][2]。しかしコンステレーション計画けいかく中止ちゅうしにより開発かいはつ中止ちゅうしされ、そのあらたなSDLVであるスペース・ローンチ・システム (SLS) の開発かいはつ開始かいしされた。SLSは2022ねんはつ飛行ひこう達成たっせいした。

設計せっけい概念がいねん[編集へんしゅう]

モートン・チオコールしゃげんATKランチ・システムズ・グループ)が1978ねん提唱ていしょうしたインラインがたシャトル派生はせいロケットの構想こうそう

SDLVのコンセプトあんは、スペースシャトルが処女しょじょ飛行ひこうするずっと以前いぜんには、すで計画けいかく発表はっぴょうされていた。提案ていあんされたSDLVの設計せっけいあんなかには、以下いかのものがふくまれていた。

  • ゆうつばさがたオービタから、無人むじんがた、かつ、使つかしき貨物かもつポッドにえるあん(「背負せおしき(サイドマウント・スタイル)」SDLV)。
  • オービタを廃止はいしし、上段じょうだんロケットおよペイロード外部がいぶ燃料ねんりょうタンクSpace Shuttle External Tank以下いかET)の直上ちょくじょう搭載とうさいするあん(「直列ちょくれつしき(インライン・スタイル)」SDLV)。
  • ETの「船尾せんび大型おおがた貨物かもつコンテナを搭載とうさいし、バルク材料ざいりょうあつかい・げを可能かのうにするあん(「後部こうぶ貨物かもつ搭載とうさいがた(アフト・カーゴ・キャリア)SDLV」)
  • スペースシャトル固体こたい燃料ねんりょう補助ほじょロケットスペースシャトル固体こたいロケットブースター以下いかたんSRBとする)を液体えきたいロケットブースタにえるあん。そのなかには、回収かいしゅう可能かのうゆうつばさがた「フライバックしき」ブースタもふくまれていた。
  • 一本いっぽん、または複数ふくすうのSRBから、製作せいさくするあんほとんどの場合ばあいかならず、なにかしらの上段じょうだんロケットをそのうえ使用しようするもの。
  • オービタの耐用たいよう年数ねんすうわりにちかづいたとき、つばさったオービタとETを永久えいきゅう結合けつごうし、このわせを宇宙うちゅうステーションとしてげるあん

以下いかげたいくつかのあんには特筆とくひつあたいするものがあった。

シャトル-C[編集へんしゅう]

1987ねんはじごろ、NASAはシャトルC(Shuttle-C)とばれるロケットの開発かいはつ活発かっぱつっていた。このロケットは無人むじん貨物かもつ専用せんようローンチ・ヴィークルであった。シャトルCは、ゆうつばさがたスペースシャトル・オービタを、使つかがた貨物かもつモジュールでえてしまうものであっただろうと推測すいそくされる。そのモジュールにはつばさく、搭乗とうじょういんはこばず、それゆえ回収かいしゅうさい利用りようされることはい。この機体きたい地球ちきゅうてい軌道きどうじょう最大さいだいでも150,000ポンド (68,000 kg)までという、シャトルのペイロードである65,000ポンド (29,000 kg)と比較ひかくして、かなりの重量じゅうりょうがあるペイロードをはこげることが期待きたいされていた。同年代どうねんだいはじまっていた、フリーダム宇宙うちゅうステーション計画けいかく予算よさん超過ちょうかこし、それによってシャトルCにかれる予算よさん圧迫あっぱくされた。その結果けっか、NASAはシャトルC開発かいはつ計画けいかくを1990ねん公式こうしきにキャンセルせざるをなかった。

ナショナル・ローンチ・システム[編集へんしゅう]

「ナショナルローンチシステム」は、1991ねんに、当時とうじべい大統領だいとうりょうジョージ・H・W・ブッシュにより開発かいはつ承認しょうにんされた。このロケットはスペースシャトルにわる輸送ゆそう手段しゅだんが、地球ちきゅうてい軌道きどう到達とうたつするための略図りゃくずえがくために研究けんきゅうされたものである。3種類しゅるい機体きたい開発かいはつしようという提案ていあんがあり、そのなかで、最大さいだい機体きたいはNLS-1と名付なづけられた。また、その中心ちゅうしん機体きたいには、改変かいへんされたETもちい、その底部ていぶに4SSMEけられたものを使用しようしていた。ペイロード、またはだいだんはコア機体きたい上部じょうぶ搭載とうさいされ、2はなせるSRBをコア機体きたいよこけられていた。NLS-1より巨大きょだいなロケットは、NLS-1のコア機体きたい多数たすう使つかう、現在げんざいデルタIVヘビーに代表だいひょうされるモジュラーロケットのような方式ほうしき考案こうあんされていた。

DIRECT / ジュピター[編集へんしゅう]

NASAのアレスロケットわりあんとして発表はっぴょうされた最近さいきん提案ていあんは、「ダイレクト・シャトル・デリバティブ」(Direct Shuttle Derivative意訳いやくすれば、「シャトルの直系ちょっけい子孫しそん」)しくは「ダイレクト・アーキテクキャ」(DIRECT architecture)である。この計画けいかくは、したしるす「マーズ・ダイレクト」とはなん関係かんけいい。このSDLVは、世間せけん一般いっぱん民間みんかん技術ぎじゅつしゃ宇宙うちゅうファンで構成こうせいされたくさグループによって考案こうあんされたロケットである。2009ねん5がつまつ時点じてんでは、DIRECT計画けいかくうえでは、「ジュピター」と渾名あだなけられた想像そうぞうじょうのロケットシリーズが展開てんかいされている。このロケットは、ETに由来ゆらいし、3から4のSSMEで駆動くどうする中心ちゅうしん機体きたい(コアステージ)に、1つい標準ひょうじゅんてきな4セグメントがたSRBをされている。ジュピター・シリーズのぜんバージョンが、この「共通きょうつうコア」を使用しようすることであろう。大型おおがた派生はせいがたでは上段じょうだんロケットを使用しようすると予想よそうされている。

ダイレクト計画けいかく主導しゅどうするグループがうには、そのなかにNASA職員しょくいん航空こうくう宇宙うちゅう産業さんぎょうはたら社員しゃいんすうじゅうにんというレベルでり、匿名とくめいでダイレクト計画けいかく協賛きょうさんしているとのことである。ダイレクト計画けいかく支持しじするグループは、また、このようにっている。「このロケットの開発かいはつかるコストがてい価格かかくになるだろうと断言だんげんできる。なぜそうなるのかだって? - ジュピターロケットに、既存きそんのスペースシャトルとのおおきな互換ごかんせい実証じっしょうみの有人ゆうじん飛行ひこう対応たいおうシステムがそなわっているからさ。そのため、NASAがいまのところ公式こうしき開発かいはつちゅうのアレスIやアレスVなんかのライバルよりも、開発かいはつコストが廉価れんかになるのはあきらかにわかっていることなんだ。」そのうえくわえてさらに、共通きょうつうコア機体きたい設計せっけい有人ゆうじん搭乗とうじょうがた貨物かもつ専用せんようがた両方りょうほうのロケットをげるときにもちいられる予定よていであるため、ダイレクト・チームは、NASAがアレスIとアレスVをもちいたつき有人ゆうじんミッションではこげるであろうペイロードとおなじだけの質量しつりょうを、ジュピターロケットを2げるだけで可能かのうになるだろうと主張しゅちょうしている。

2009ねん6がつ17にちワシントンD.C.開催かいさいされた公聴こうちょうかいで、このグループは、かれらのコンセプトあんアメリカ有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう計画けいかくさい検討けんとう委員いいんかい英語えいごばん通称つうしょう:「オーガスティン委員いいんかい」)の面々めんめんにプレゼンテーションした。

NASAの横付よこづしきロケット[編集へんしゅう]

2009ねん6がつひらかれたオーガスティン委員いいんかいおな公聴こうちょうかいで、スペースシャトル計画けいかくのプログラム・マネージャ(最高さいこう責任せきにんしゃ)であるジョン・シャノン(John Shannon)は、あたらしい「サイドマウント・タイプ」SDLV(えいNASA Side-Mount Vehicle, Shuttle-Derived Heavy Lift Launch VehicleSD-HLLV)について予備よびてきなコンセプトあんることをはじめてあきらかにした。NASAはコンステレーション計画けいかくわるものとして、このについて予備よび調査ちょうさおよび可能かのうせい検討けんとうはじめたところだった[3]。この設計せっけいコンセプトは、シャトルCといくふん似通にかよったところがる。しかしながら、この計画けいかくでは、シャトルのオービタが、外部がいぶタンクにかたけられたままになっていてはずせない状態じょうたいの、キールと船尾せんびのような構造こうぞうえられている。このところがシャトルCとの相違そういてんである。シャトルC計画けいかくにおいては、はず可能かのう貨物かもつキャリアを採用さいようしていた。 3SSMEはロケットの船尾せんび本質ほんしつてきには単純たんじゅんされたオービタの船尾せんびけられる計画けいかくであり、それに付随ふずいする巨大きょだい使つかしきペイロードフェアリング人工じんこう衛星えいせいISSの構成こうせい要素ようそなどのペイロードを大気たいきからおおからとなるだろう。SSMEもふくめたこのは、には、まるまるすべてが使つかてにされることになっている。シャノンは、貨物かもつだけのげと、乗員じょういん脱出だっしゅつシステムきのオリオン宇宙船うちゅうせんんで宇宙うちゅう飛行ひこうするミッションの両方りょうほうについて、このコンセプトあんをプレゼンした[4][5]。このロケットをもちいた有人ゆうじんがつ飛行ひこう計画けいかくでは2同時どうじ方式ほうしき採用さいようし、ロケットも基本きほんてき構成こうせい用意よういされるであろう。だが、しかし、このロケットは、アレスロケットの開発かいはつかる費用ひようよりもはるかに要求ようきゅうがくすくないとはいえ、現在げんざいのところえがかれているアレスIとアレスVをもちいたミッションシナリオよりも可能かのう重量じゅうりょうはよりすくないものとなっている。

マーズ・ダイレクト[編集へんしゅう]

マーズ・ダイレクト計画けいかく一環いっかんとして、火星かせい探査たんさ主張しゅちょうしゃであるロバート・ズブリンひとしは、NASAとマーティン・マリエッタ技術ぎじゅつしゃ考案こうあんした「直列ちょくれつがた」SDLVのコンセプトあん提唱ていしょうした。このロケットは巨大きょだい上段じょうだんロケットと、ETの上部じょうぶけられたペイロードフェアリング、そして、スペースシャトル・オービタのわりにけられているちいさなエンジンポッドからっている。このロケットは乗員じょういん有人ゆうじん宇宙船うちゅうせん直接ちょくせつ火星かせいへとおくむことを予定よていしていた。「マーズ・ダイレクト」という名前なまえは、宇宙うちゅう飛行ひこう住居じゅうきょ火星かせい直接ちょくせつげるという構想こうそう反映はんえいしていた。NASAの計画けいかくしたアレスVロケットは、一直線いっちょくせんじょう構造こうぞうをしているため、マーズダイレクト計画けいかくにでてくるロケットに外見がいけんうえではている。しかし、まったくの別物べつものであるマーズダイレクト・アレスは、横付よこづしきスペースシャトル・メインエンジンとETの直径ちょっけいゆうする中心ちゅうしんコア機体きたい採用さいようしていた。その理由りゆうは、スペースシャトルの生産せいさん設備せつびといったインフラが使つかえるという互換ごかんせいのためであった。

ビジョン・フォー・スペース・エクスプロレーション[編集へんしゅう]

2005ねん、NASAはあらたな2ようロケットの開発かいはつ遂行すいこうし、これらを建造けんぞうすることを決定けっていした。これら2機種きしゅのロケットはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくスペースシャトル計画けいかくのために開発かいはつされたインフラと技術ぎじゅつをもとにしたものであった。これらのはスペースシャトルをえ、ビジョン・フォー・スペース・エクスプロレーション遂行すいこうするためにくてはならないげサービスを提供ていきょうすることを計画けいかくしていた。NASAは、この有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう計画けいかくに「コンステレーション計画けいかく」と命名めいめいした。[6]

アレスI[編集へんしゅう]

アレスI

宇宙うちゅう飛行ひこうげるために使つかわれるアレスIロケットは、だい1だんSRBから派生はせいした固体こたいロケットステージを使用しようする予定よていであった。シャトルのSRBは4セグメントのものを使つかっていたのにたいし、こちらのアレスIのだい1だんでは5セグメントのものを使つか予定よていであった。ちくわのようなかたちをした固体こたい燃料ねんりょう中心ちゅうしんけられた空洞くうどう断面だんめん形状けいじょうは、より高速こうそく燃焼ねんしょうガスをすために改良かいりょうほどこされていた[7]。アレスIは、そのうえに、液体えきたい酸素さんそ液体えきたい水素すいそ推進すいしんやくとするしん開発かいはつだいだんせる予定よていであった。

アレスV[編集へんしゅう]

アレスV

無人むじんのアレスVロケットは、月面げつめんでの短期たんき滞在たいざいである、「ルナ・ソーティー・ミッション」、しくは、恒久こうきゅうてき月面げつめん基地きち建設けんせつミッションのための機器ききるい宇宙うちゅう空間くうかんてい軌道きどうじょうげるために使つかわれる予定よていであった。フライト、アレスIにクルーが搭乗とうじょうしてげられ、それとほぼ同時どうじげられた貨物かもつ満載まんさいのアレスVと軌道きどうじょう会合かいごう・ドッキングし、つきなどの調査ちょうさ対象たいしょうとなる天体てんたい宇宙うちゅう飛行ひこうおくむのである。このロケットは、外見がいけんてきには、これより以前いぜん提案ていあんされた直列ちょくれつがたSDLVコンセプトとている。NASAは、また、有人ゆうじんのオリオン宇宙船うちゅうせんげるためのメインブースターとしてアレスVを使用しようするあんっていた。そのあんなかでは、乗員じょういんったアルタイル着陸ちゃくりく太陽たいよう周回しゅうかい軌道きどうをとるきん地球ちきゅう小惑星しょうわくせい着陸ちゃくりくし、小惑星しょうわくせいみずてつ、ニッケルや白金はっきんなどの資源しげんっているかどうか、その存在そんざいりょうそんりょう利用りよう可能かのうりょう調しらべるミッションに従事じゅうじすることであろう。このロケットは、ごく低温ていおん液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそもちいる中心ちゅうしん機体きたいと、2ほん改良かいりょうされたSRBをわき配置はいちし、そのうえに、サターンVロケットのだい3だんもとにしたあたらしい上段じょうだんをおいた構成こうせいになっている。以前いぜんのインラインがたSDLVコンセプトあんでは、既存きそんのSSMEを使つかことはもちろんのこと、すでにある外部がいぶタンクや、その全長ぜんちょうばしがたタンクをもちいるひとしまでもふくめて、シャトルの構成こうせい部品ぶひん広範こうはん利用りようすることを念頭ねんとういていた。しかし、アレスVはSRBの全長ぜんちょうを5セグメントから5.5セグメントにばしたバージョンのもの、ETのほう断熱だんねつほう使つかったしん開発かいはつ大型おおがたタンク、あたらしく開発かいはつした廉価れんかませられる使つかしきのロケットエンジン(プラット・アンド・ホイットニー・ロケットダインせいRS-68ロケットエンジンデルタIVEELV使用しようされているエンジンとまった同一どういつのもの)をしんタンクのそこけることになるとかんがえられている。

アレスIV[編集へんしゅう]

NASAは、3の、クルー搭乗とうじょう可能かのうのコンセプトあんを、ごく手短てみじか研究けんきゅうした。今日きょうでは、「アレスIV」とばれているロケットがそれに該当がいとうする。このロケットはアレスVのだい1だんコア機体きたい横付よこづしきSRBを使用しようするが、アレスIに使つかこと予定よていしていただいだんを、オリオン宇宙船うちゅうせんはこげるために、その初段しょだん機体きたい真上まうえ搭載とうさいする予定よていであった。このロケットの、アレスIにたいする利点りてんは、おそらく、開発かいはつコストとかる時間じかん低減ていげん発射はっしゃだいやインフラを共有きょうゆうすること、計画けいかく段階だんかいではアレスIでたしている、オリオン宇宙船うちゅうせんげに必要ひつよう推力すいりょくよりもっとおおきな推力すいりょくあたえることがふくまれていたのだろうとおもわれている。この方式ほうしきには、いちかいたりのコストぞう見込みこまれる。しかし、だい1だんにシャトルSRB派生はせいひん一本いっぽんだけ使用しようする現行げんこうがたでのいちかいかるコストよりも、あらたに開発かいはつした液体えきたいロケットステージを使用しようした1だん使用しようしてげる場合ばあい単一たんいつげコストのほうが予算よさんこうくことになるだろう。それがこの方式ほうしき欠点けってんである。NASAによると、潜在せんざいてきなアレスIVの使用しようとして、オリオン宇宙船うちゅうせんつき軌道きどう投入とうにゅうする早期そうき「シェイクアウト・ミッション」がはいっている。このオリオン宇宙船うちゅうせん試験しけん計画けいかくなかには、着陸ちゃくりくするまえ地球ちきゅう大気たいき宇宙船うちゅうせん水切みずき運動うんどうさせる、高速度こうそくどスキップ・リエントリーふくまれている。これと比較ひかくして宇宙船うちゅうせん直接ちょくせつ降下こうかさせる方法ほうほうもあるが、今回こんかい、こちらは採用さいようされない[8]

アレスVライト[編集へんしゅう]

アレスIVは、アメリカ有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう計画けいかくさい検討けんとう委員いいんかい(オーガスティン委員いいんかい)の提案ていあんにより、NASAのコンステレーション計画けいかくにとって代理だいり選択肢せんたくしとなりうるとされた。アレスVライト・ロケットは、アレスVのスケールダウンしたものである[9][10]。このロケットは、5RS-68エンジンと2ほんの5セグメントしきシャトルSRBを使用しようし、てい軌道きどうげることが出来できるペイロードとして、およそ、140 t (310,000 lb)を予定よていしている[11]。もし、このロケットが採用さいようされれば、アレスVライトはアレスVとアレスIのりょうロケットをえることになるだろう。アレスVライトのだい1の派生はせいバージョンは、アレスVのような貨物かもつ専用せんようになり、だい2の派生はせいバージョンはオリオン宇宙船うちゅうせん搭乗とうじょうした宇宙うちゅう飛行ひこうげる役割やくわりになうことだろう[11]

スペース・ローンチ・システム[編集へんしゅう]

SLSブロック1

2010ねんのNASAオーソライゼーションアクトは、アレスIとアレスVのりょうロケットデザインを重量じゅうりょうきゅうへと変更へんこうすることを目論もくろんでいた。その大型おおがたロケットは「スペース・ローンチ・システム」と名付なづけられ、このロケットだけで乗員じょういん貨物かもつ両方りょうほうげることを予定よていしていた。計画けいかくなかでは、時間じかんつにしたがって、さら重量じゅうりょうのある貨物かもつげられるように改良かいりょうほどこされる予定よていである。計画けいかく初期しょき段階だんかいにおける、コア機体きたい能力のうりょくは、だいだんなしで、てい軌道きどうに70トンから100トンになる予定よていである。地球ちきゅうてい軌道きどうでの活動かつどうえたミッション内容ないようフレキシブル・パス)にそなえて、このような初期しょき段階だんかいからだい重量じゅうりょう可能かのうになっている。まれたEDS上段じょうだんロケット追加ついかすることで、スペースローンチシステムのぜん可能かのう重量じゅうりょうは、130トン以上いじょうになるであろう[12]。SLSは2022ねんはつ飛行ひこう達成たっせいした。

リバティ・ロケット[編集へんしゅう]

ATKしゃアストリウムしゃにより、「リバティ(Liberty)」と命名めいめいされたロケットが提案ていあんされた。リバティ・ロケットは、SRBから派生はせいした5セグメントがたロケットをだい一段いちだん使用しようし、アリアン5だい1だん液体えきたいロケットステージをだい2だん使つか予定よていである。このような設計せっけいは、証明しょうめいみの技術ぎじゅつ応用おうようしたものにすることで、コストと開発かいはつかる時間じかんすくないものにできる。リバティはながさ90メートル、20トンのペイロードをてい軌道きどうげる能力のうりょくつよう計画けいかくされている。このロケットは2013ねんまでには宇宙うちゅう飛行ひこう可能かのうなようにする予定よていである。また、2015ねんまでには有人ゆうじん飛行ひこう対応たいおう可能かのうであることへの認証にんしょうえいhuman-certified)を取得しゅとくする予定よていである。ロケットに搭載とうさいされる予定よてい有人ゆうじん宇宙船うちゅうせんのうちのあるるものは、コマーシャル・クルー・デベロップメント計画けいかくからの資金しきん提供ていきょうにより、現在げんざいのところ開発かいはつ進行しんこうちゅうである[13]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Ares: NASA's New Rockets Get Names”. NASA (2006ねん6がつ30にち). 2006ねん11月22にち閲覧えつらん
  2. ^ Malik, Tariq (2006ねん6がつ30にち). “NASA Names Rockets for Moon and Mars Missions”. Space.com. http://space.com/news/060630_ares_rockets.html 2006ねん11月22にち閲覧えつらん 
  3. ^ Borenstein, Seth for Associated Press. "NASA manager pitches a cheaper return-to-moon plan". USA Today, June 30, 2009.
  4. ^ Klotz, Irene (2009ねん6がつ24にち). “NASA readies Plan B for moon rockets”. msnbc.com. http://www.msnbc.msn.com/id/31532912/ns/technology_and_science-space 2009ねん6がつ30にち閲覧えつらん 
  5. ^ "Shuttle-Derived Heavy Lift Launch Vehicle". NASA, June 17, 2009.
  6. ^ Berger, Brian (2006ねん1がつ20日はつか). “CEV Makeover: NASA Overhauls Plans for New Spaceship”. Space.com. http://space.com/news/060120_cev_overhaul.html 2006ねん11月22にち閲覧えつらん 
  7. ^ “More Powerful Vehicle 'No Threat' To Launcher”. flightglobal.com. (2007ねん1がつ16にち). http://www.flightglobal.com/Articles/2007/01/16/Navigation/200/211501/More+powerful+vehicle+'no+threat'+to+launcher.html 2007ねん1がつ26にち閲覧えつらん 
  8. ^ Berger, Brian (2007ねん1がつ26にち). “NASA Studies Early Moon Shot for New Space Capsule”. Space.com. http://space.com/news/070126_ares_moon.html 2007ねん1がつ26にち閲覧えつらん 
  9. ^ Coppinger, Rob. "Will Constellation live on?". Flight International, August 11, 2009.
  10. ^ Madrigal, Alexis. "Human Spaceflight Ball in Obama’s Court". Wired, October 22, 2009.
  11. ^ a b Augustine Committee 2009, pp. 38, 64-67, 80.
  12. ^ S.3729 - National Aeronautics and Space Administration Authorization Act of 2010 at Congress.gov
  13. ^ “New rocket could lift astronauts”. BBC News. (2011ねん2がつ8にち). http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-12394991 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Jenkins, Dennis R. (2002). Space Shuttle: The History of the National Space Transportation System. Stillwater MN: Voyageur Press. ISBN 0-9633974-5-1 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]