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ドーン (探査たんさ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドーン Dawn
太陽たいよう電池でんちパネル展開てんかいのドーン探査たんさ
所属しょぞく アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく (NASA)
しゅ製造せいぞう業者ぎょうしゃ OSC
公式こうしきページ dawn.jpl.nasa.gov
国際こくさい標識ひょうしき番号ばんごう 2007-043A
カタログ番号ばんごう 32249
状態じょうたい 運用うんよう終了しゅうりょう
目的もくてき 小惑星しょうわくせいベスタじゅん惑星わくせいケレス探査たんさ
設計せっけい寿命じゅみょう 10ねん
打上うちあ デルタIIロケット
打上うちあ日時にちじ 2007ねん9月27にち0734ふんEST
さい接近せっきん ベスタ - 2011ねん10月
ケレス - 2015ねん2がつ
通信つうしん途絶とぜつ 2018ねん10月31にち[1]
物理ぶつりてき特長とくちょう
衛星えいせいバス OSC STAR™ Bus
本体ほんたい寸法すんぽう 1.64 × 1.27 × 1.77 m
最大さいだい寸法すんぽう 19.7 m(太陽たいよう電池でんちパネル展開てんかいはば
質量しつりょう 1217.7 kg(
747.1 kg(燃料ねんりょう以外いがい
発生はっせい電力でんりょく 10.3 kW(1 auでの出力しゅつりょく[注釈ちゅうしゃく 1]
おも推進すいしん キセノンイオンスラスタ NSTAR × 3
0.9 N ヒドラジン1えきスラスタ × 12
姿勢しせい制御せいぎょ方式ほうしき さんじく安定あんてい方式ほうしき
ミッション機器きき
FC フレーミングカメラ
VIR 可視かしあかがいマッピング分光ぶんこうけい
GRaND ガンマ線がんません中性子ちゅうせいし分光ぶんこうけい
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ドーンDawn)とは、アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく (NASA) がげた、メインベルト存在そんざいするじゅん惑星わくせいケレスおよび小惑星しょうわくせいベスタ目標もくひょうとした、無人むじん探査たんさである。NASAのディスカバリー計画けいかくのミッションの1つでもある。

概要がいよう

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ドーンが観測かんそくしたじゅん惑星わくせいケレス。回転かいてん楕円だえんたいであることれる。

ドーン・ミッションの目的もくてきは、太陽系たいようけい初期しょき状態じょうたいのこしているとかんがえられる、2つのおおきな原始げんしてき天体てんたい調しらべることにより、太陽系たいようけい誕生たんじょうきたとされる岩石がんせき惑星わくせい形成けいせい過程かていろうとするてんる。なお、英語えいごで「dawn」とは「夜明よあけ・あけぼの・あかつき」などの意味いみだけでなく「ことはじまり」や「誕生たんじょう」などといった意味いみゆうする[2]。NASA・ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょは、ミッションめい太陽系たいようけいはじまり (the dawn of the solar system) にかんする情報じょうほう提供ていきょうするという目的もくてきから名付なづけられたものだと説明せつめいしている[3]

ケレスとベスタは太陽系たいようけい別々べつべつ場所ばしょ誕生たんじょうしたとかんがえられており、それによるとられる対照たいしょうてきちがいがいくつもられる。ケレスは、その形成けいせい段階だんかいにおいて地下水ちかすいによる「つめたく湿しめった」状態じょうたい経験けいけんしているとされている。一方いっぽうのベスタは、マントルやかくといった内部ないぶ構造こうぞうち、また表面ひょうめんゆうする火山かざん活動かつどう形跡けいせきなどから「あつかわいた」状態じょうたい経験けいけんしているとかんがえられている。さらに小惑星しょうわくせいのスペクトル分類ぶんるいでも、ケレスがGがた、ベスタがVがたまったことなる。

これらの天体てんたい探査たんさ計画けいかくは、カリフォルニア大学だいがくロサンゼルスこう宇宙うちゅう科学かがくしゃクリストファー・T・ラッセル中心ちゅうしんすすめられた。

探査たんさ主要しゅよう推進すいしんシステムとして、ディープ・スペース1ごう使用しよう実績じっせきる、キセノンもちいたイオン・スラスタNSTAR」3搭載とうさいした。NASAのジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ (JPL) は、イオンエンジンを提供ていきょうし、飛行ひこうシステム開発かいはつおこなった。

さらに、観測かんそく機器ききとして、ドイツ航空こうくう宇宙うちゅうセンターはフレーミングカメラを、イタリア宇宙うちゅうきょくはマッピング分光ぶんこうけいを、べいエネルギえねるぎしょうロスアラモス国立こくりつ研究所けんきゅうじょガンマ線がんません分光ぶんこうけい提供ていきょうした。

ドーンはデルタIIロケット2007ねんげられた。2007ねん地球ちきゅう出発しゅっぱつした探査たんさは、イオンエンジンをもちいた長期間ちょうきかん航行こうこう実施じっしし、まずベスタの観測かんそくおこない、いでケレスの観測かんそくおこない、そして、2018ねん燃料ねんりょう枯渇こかつしたため、運用うんよう終了しゅうりょうされた[1]。これによって、ドーンは人類じんるい史上しじょうはつの、小惑星しょうわくせいたい半永久はんえいきゅうてきまる人工じんこうぶつとなった。

げまで

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デルタIIロケットの頭頂とうちょうたる、フェアリングうちへドーンを搭載とうさいしたさい写真しゃしん

予算よさん削減さくげん人員じんいん不足ふそく、そして技術ぎじゅつじょう問題もんだいから、探査たんさげは度々どど延期えんきされた。2003ねん12月に計画けいかく一旦いったん中止ちゅうしされたものの、2004ねん2がつには復活ふっかつした。計画けいかく復活ふっかつ時点じてんでの予定よていによれば、ドーンは2006ねん5月にげられ、2010ねん~2011ねんにベスタの、2014ねん~2015ねんにケレスの探査たんさおこな予定よていであった。

しかし、2005ねん11月にドーンの計画けいかくは「スタンドダウン(く)」状態じょうたいにされた。2006ねん1がつ時点じてんでNASAはドーン・ミッションの状態じょうたいかんしてなん公式こうしき決定けっていくだしていなかったものの、メディアは「スタンドダウン」状態じょうたいとは「期限きげん延期えんき」のことではないかと報道ほうどうした。そして2006ねん3がつ2にちに、ドーンに必要ひつよう資金しきんが、当初とうしょ予算よさん大幅おおはば上回うわまわる4おく4600まんドルにかさんだこと理由りゆうに、ミッションの中止ちゅうし発表はっぴょうされた。

ところで、この時点じてん探査たんさオービタル・サイエンシズしゃによって、9わりかたてがわっていた。さらに、観測かんそく装置そうち提供ていきょうしていたヨーロッパの学者がくしゃたちやJPLが、ミッション中止ちゅうし抗議こうぎした。その技術ぎじゅつじょう問題もんだいすで解決かいけつし、予算よさん超過ちょうか当初とうしょよりひく見積みつもられたため、2006ねん3がつ27にちには復活ふっかつ決定けっていされた。

ドーンのげは、アメリカ東部とうぶ標準時ひょうじゅんじ2007ねん7がつ7にち169ふんおこな予定よていだったものの、この悪天候あくてんこうのためにげが延期えんきされた。さらに関係かんけいしゃ協議きょうぎすえに、同月どうげつにおけるげのチャンスすくないうえに、のロケットのげに影響えいきょうするため、2007ねん9がつ26にちげの延期えんき決定けっていされた[4]

ドーンは結局けっきょく悪天候あくてんこうのため、さらに予定よていより1にちおくれて、2007ねん9がつ27にち734ふん(アメリカ東部とうぶ標準時ひょうじゅんじ日本にっぽん時間じかんでは9月27にち2034ふん)にげられ、このげは成功せいこうした[5]

探査たんさ

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ドーン探査たんさ探査たんさ経路けいろ

以下いかげから運用うんよう終了しゅうりょうまでの一連いちれんながれである[6]

  • 2007ねん9がつ27にち: げに成功せいこう[5]
  • 2008ねん6がつ: はじめて小惑星しょうわくせいたい突入とつにゅう
  • 2009ねん2がつ17にち: 火星かせいでのスイングバイ実施じっし
  • 2009ねん11月13にち: ふたた小惑星しょうわくせいたい突入とつにゅう[7]
  • 2011ねん5月3にち: はじめてベスタの画像がぞう撮影さつえい[8]
  • 2011ねん7がつ16にち: ベスタの周回しゅうかい軌道きどう投入とうにゅう成功せいこう[9]
  • 2011ねん8がつ11にち: ベスタのやく2700 km上空じょうくうを3日間にちかんで1しゅうする「概観がいかん観測かんそく軌道きどう」(survey orbit)へ移行いこう
  • 2011ねん9がつ29にち: ベスタの680 km上空じょうくう半日はんにちに1しゅうする「こう高度こうどマッピング軌道きどう」(HAMO)へ移行いこう[10]
  • 2011ねん12月12にち: やや楕円だえんのベスタ周回しゅうかい軌道きどうである「てい高度こうどマッピング軌道きどう」(LAMO)へ移行いこう
  • 2012ねん9月5にち: ベスタを出発しゅっぱつ[11]
  • 2015ねん3月6にち: ケレスへ到着とうちゃく[12]
  • 2018ねん10月31にち: 通信つうしん途絶とぜつ原因げんいんは、姿勢しせい制御せいぎょようのヒドラジン燃料ねんりょう枯渇こかつにより、アンテナを地球ちきゅうけられなくなったためと推定すいていされる。ケレスを汚染おせんしないよう、ドーンは今後こんごすくなくとも50ねん以上いじょうにわたって軌道きどうじょうまりつづける[1]

画像がぞう

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 地球ちきゅう公転こうてん軌道きどうでの太陽たいよう電池でんち出力しゅつりょくである。メインベルトは火星かせい公転こうてん軌道きどうよりも太陽たいようからとおく、太陽光たいようこうよわいため、太陽たいよう電池でんち出力しゅつりょく低下ていかする。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c NASA’s Dawn Mission to Asteroid Belt Comes to End” (英語えいご). NASA (2018ねん11月2にち). 2018ねん11月4にち閲覧えつらん
  2. ^ 小西こにし ともなな編集へんしゅう主幹しゅかん)『ジーニアス英和えいわ辞典じてん改訂かいていばん)2色刷いろずり』 p.451 大修館書店たいしゅうかんしょてん 1994ねん4がつ1にち発行はっこう ISBN 4-469-04109-2
  3. ^ FAQ | Mission – NASA Solar System Exploration”. アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょくジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  4. ^ [1]
  5. ^ a b [2]
  6. ^ Dawn mission
  7. ^ [3]
  8. ^ [4]
  9. ^ [5]
  10. ^ [6]
  11. ^ “Dawn has Departed the Giant Asteroid Vesta”. NASA. (2012ねん9がつ5にち). http://www.nasa.gov/mission_pages/dawn/news/dawn20120905.html 2012ねん9がつ8にち閲覧えつらん 
  12. ^ 探査たんさドーン、じゅん惑星わくせいケレスに到着とうちゃく. Sorae.jp. (2015ねん3がつ8にち). https://sorae.info/030201/5461.html 2015ねん5がつ2にち閲覧えつらん 

外部がいぶリンク

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