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ニュー・フロンティア計画けいかく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニュー・フロンティア計画けいかくのウェブサイトのヘッダー(2016ねん1がつ時点じてん[1]

ニュー・フロンティア計画けいかく(ニュー・フロンティアけいかく、えい: New Frontiers program)は、じゅん惑星わくせい冥王星めいおうせいふく太陽系たいようけい惑星わくせい調査ちょうさ目的もくてきとする、アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく (NASA) の一連いちれん宇宙うちゅう探査たんさミッションである。

NASAは、国内外こくないがい科学かがくしゃにニュー・フロンティア計画けいかくのためのミッションの提案ていあん提出ていしゅつするよう奨励しょうれいしている[2]。ニュー・フロンティア計画けいかくは、ディスカバリー計画けいかくエクスプローラー計画けいかくでももちいられた革新かくしんてきアプローチにもとづいてきずきあげられた。ディスカバリー計画けいかく程度ていど費用ひよう時間じかん制約せいやくなかでは実現じつげんできないが、フラッグシップきゅう英語えいごばんのミッションほどおおきくはない、中規模ちゅうきぼのミッションとして計画けいかくされた。現在げんざいは、2006ねん1がつげられ、2015ねん冥王星めいおうせい到達とうたつしたニュー・ホライズンズと、2011ねん8がつげられ、2016ねん木星もくせい軌道きどう投入とうにゅうされたジュノー、そして、2016ねん9がつ小惑星しょうわくせいベンヌけてげられ、2018ねんから2021ねんまで詳細しょうさい調査ちょうさおこない、2023ねん地球ちきゅう試料しりょうかえる(サンプルリターン)予定よていオサイリス・レックスの3計画けいかく進行しんこうしている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

木星もくせいけて地球ちきゅう付近ふきんをフライバイちゅう探査たんさジュノーが2013ねん10がつ撮影さつえいした地球ちきゅう

ニュー・フロンティア計画けいかくは、NASAによって開発かいはつおよ提唱ていしょうされ、2002ねんから2003ねん米国べいこく議会ぎかい承認しょうにんされた。こうした努力どりょくは、当時とうじのNASA本部ほんぶ長期ちょうきにわたって執行しっこうつとめた2人ふたり、すなわち、エドワード・ワイラーふく長官ちょうかん宇宙うちゅう科学かがく担当たんとう)と太陽系たいようけい探査たんさ部門ぶもんディレクターのコリーン・ハートマン英語えいごばん博士はかせによって主導しゅどうされた。冥王星めいおうせいへのミッションは、この計画けいかく無事ぶじ承認しょうにんされて資金しきん提供ていきょうされるまえすで選出せんしゅつされていたため、ニュー・ホライズンズとばれるこのミッションは、あたらしい法令ほうれい適用てきよう対象たいしょうがいとされ、ニュー・フロンティア計画けいかくまれることとなった。2003ねん全米ぜんべい科学かがくアカデミーから発行はっこうされた惑星わくせい科学かがく10ヵ年かねん計画けいかく英語えいごばんは、目的もくてき明確めいかくにすると同時どうじに、ニュー・フロンティア計画けいかくのための最初さいしょのコンペの情報じょうほうげんとしての役割やくわりたした。計画けいかく名称めいしょうは、1960ねんジョン・F・ケネディ上院じょういん議員ぎいん演説えんぜつ "We stand, today, on the edge of a New Frontier." から引用いんようし、ハートマン博士はかせ命名めいめいした。

提案ていあんされたミッションのコンセプトのれいには、10ヵ年かねん計画けいかく目標もくひょうもとづく複数ふくすうのミッションのコンセプトのうちの2つの部分ぶぶんふくまれる[3]

  • From New Frontiers in the Solar System: An Integrated Exploration Strategy - 「太陽系たいようけいないのニュー・フロンティア:統合とうごうてき探査たんさ戦略せんりゃく」より
    • Kuiper Belt Pluto Explorer - カイパーベルト・冥王星めいおうせい探査たんさニュー・ホライズンズ実現じつげん
    • Jupiter Polar Orbiter with Probes - 無人むじん宇宙うちゅう探査たんさもちいた木星もくせいごく軌道きどう周回しゅうかいジュノーいたる)
    • Venus In Situ Explorer英語えいごばん - 金星かなぼし探査たんさ
    • Lunar South Pole-Aitken Basin Sample Return Mission - つきみなみエイトケン盆地ぼんちのサンプルリターン・ミッション
    • Comet Surface Sample Return Mission - 彗星すいせい表面ひょうめんサンプルリターン・ミッション(類似るいじするものに、彗星すいせいではなくNEOけに計画けいかくされたオサイリス・レックスおよび2014ねんから2015ねん彗星すいせい周回しゅうかいして着陸ちゃくりく投下とうかしたESAのロゼッタがある)
  • From Vision and Voyages for Planetary Science in the Decade 2013–2022 - 「2013ねん–2022ねんの10ヵ年かねんちゅう惑星わくせい科学かがくのためのビジョンと航海こうかい」より

進行しんこうちゅうのミッション[編集へんしゅう]

ニュー・ホライズンズ[編集へんしゅう]

ニュー・ホライズンズから冥王星めいおうせい(2015ねん7がつ14にち
ニュー・ホライズンズから冥王星めいおうせい衛星えいせいカロン(2015ねん7がつ14にち

冥王星めいおうせいへのミッションであるニュー・ホライズンズは、2006ねん1がつ19にちげられた。2007ねん2がつ木星もくせいスイングバイしたのち探査たんさ冥王星めいおうせいけての航行こうこうつづけた。2015ねん7がつだいいちミッションの冥王星めいおうせいフライバイをおこない、その探査たんさは、2019ねん1がつ1にちにフライバイするために、2014 MU69とばれるエッジワース・カイパーベルト天体てんたい目標もくひょうとして航行こうこうちゅうである。このミッションに関連かんれんするミッションとして、ニュー・ホライズンズ2ごう英語えいごばん提案ていあんされていた。

ジュノー[編集へんしゅう]

木星もくせい到達とうたつしたジュノーのイメージ

ジュノーは木星もくせい探査たんさミッションとして2011ねん8がつ5にちげられ、2016ねん7がつ木星もくせい到達とうたつした。そと惑星わくせい探査たんさする宇宙うちゅうとしてははじめて太陽たいよう電池でんち動力どうりょくげんとしている。木星もくせい磁場じば内部ないぶ構造こうぞう調査ちょうさするため、ごく軌道きどう投入とうにゅうされた。NASAのガリレオミッションは、木星もくせい上層じょうそう大気たいきについておおくの知見ちけんをもたらしたが、木星もくせい起源きげん太陽系たいようけい性質せいしつだけでなく、巨大きょだい太陽系たいようけいがい惑星わくせい全般ぜんぱんについて理解りかいするためにも、さらなる木星もくせい探査たんさ決定的けっていてき重要じゅうようである。ジュノーの開発かいはつ運用うんようは、以下いかのような目標もくひょうをもってむことを目指めざしている。

  • 木星もくせいかく質量しつりょうおおきさ、重力じゅうりょくじょう磁場じば内部ないぶ対流たいりゅう測定そくていすることをとおして、木星もくせい全体ぜんたい力学りきがくてき構造こうぞうてき特性とくせい理解りかいする。
  • 木星もくせい大気たいき組成そせいとく凝縮ぎょうしゅくせい気体きたいみず、アンモニア、メタン、硫化りゅうか水素すいそ)の存在そんざいりょうや、木星もくせい大気たいき温度おんど風速ふうそくくも不透明ふとうめいを、様々さまざま緯度いどで100bar目標もくひょうに、ガリレオの大気たいき突入とつにゅうプローブが達成たっせいしたよりも深部しんぶにまではいんで測定そくていする。
  • 木星もくせいきょく磁気圏じきけんさん次元じげん構造こうぞう調査ちょうさして特徴付とくちょうづける。

オサイリス・レックス[編集へんしゅう]

オサイリス・レックス(イメいめジ図じず

オサイリス・レックス (OSIRIS-REx) とは、"Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security, Regolith Explorer"(起源きげん・スペクトラル解釈かいしゃく資源しげん識別しきべつ防衛ぼうえい表土ひょうど探査たんさ)を意味いみする[4]。このミッションの計画けいかくは、2020ねんまでに、当初とうしょかり符号ふごうで1999 RQ36ばれていた小惑星しょうわくせい(のちに101955 ベンヌ命名めいめい)の軌道きどうることであった。様々さまざま測定そくていおこなったのち探査たんさ小惑星しょうわくせい表面ひょうめん土壌どじょうから試料しりょう採取さいしゅし、2023ねん地球ちきゅう帰還きかんする予定よていである。打上うちあのぞけば、このミッションには、やく8おくドルの費用ひようとうじられると予想よそうされている。かえったサンプルは、太陽系たいようけい形成けいせい生命せいめい起源きげん不可欠ふかけつな、複雑ふくざつ有機ゆうき分子ぶんし起源きげんについて、科学かがくしゃらが長年ながねんいだつづけてきた疑問ぎもんたいするこたえのヒントをもたらすことが期待きたいされている。

小惑星しょうわくせいベンヌは、将来しょうらい地球ちきゅう衝突しょうとつするおそれのある天体てんたいとされており、パレルモ・スケール英語えいごばんにおいては3番目ばんめたかいレートで、セントリー・リスク・テーブル英語えいごばん記載きさいされている(2015ねんごろ[5]。2100年代ねんだい後半こうはんには、地球ちきゅう衝突しょうとつする累積るいせきてき可能かのうせいやく0.07%あるため、小惑星しょうわくせい組成そせいヤルコフスキー効果こうか測定そくていする必要ひつようがある[6]

将来しょうらいのミッション[編集へんしゅう]

ドラゴンフライ[編集へんしゅう]

ドラゴンフライのイメいめジ図じず

ドラゴンフライは2026ねんげが予定よていされている土星どせい衛星えいせいタイタン探査たんさミッションである。2019ねんにニュー・フロンティア計画けいかくの4番目ばんめのミッションとして選定せんていされた。[7]

ドラゴンフライはトンボ意味いみで、そのとお飛行ひこう可能かのう大型おおがたドローンのような探査たんさであり、タイタンに着陸ちゃくりくしたのちは、地表ちひょうを100km以上いじょう移動いどうしながら探査たんさすることが予定よていされている。[7]

ミッション候補こうほ[編集へんしゅう]

ニュー・フロンティアきゅうつきサンプルリターン・ミッションのコンセプトイメージ

4番目ばんめのミッションのためのコンペは2017ねんはじまる予定よていで、NASAは同年どうねん11がつまでに追加ついかてきなコンセプトの研究けんきゅうのために複数ふくすう提案ていあん選択せんたくし、2019ねんにコンペで最終さいしゅうあん決定けっていしたのち、2024ねんにもげることになっている[2][8][9]研究けんきゅうしゃらは、マルチミッション放射ほうしゃせい同位どういからだねつ電気でんき転換てんかん (MMRTG) およNASA革新かくしんキセノンスラスタ英語えいごばん (NEXT) イオン推進すいしんシステムの使用しよう提案ていあんする可能かのうせいがある[9] 。それらの科学かがくてき価値かち費用ひよう見積みつもりがくもとづいて、2013ねんから2022ねんまでの惑星わくせい科学かがく10ヵ年かねん計画けいかく委員いいんかいは、以下いかかかげる7つののぞましいテーマを特定とくていした[10]

  1. Comet Surface Sample Return(彗星すいせい表面ひょうめんからのサンプルリターン) - 彗星すいせいかくへの着陸ちゃくりくおよびサンプルリターン・ミッション
  2. Io Observer(イオ観測かんそく衛星えいせい) - イオ内部ないぶ構造こうぞうとメカニズムを調査ちょうさする木星もくせい周回しゅうかい衛星えいせい
  3. Lunar Geophysical Network(つき物理ぶつりネットワーク) - つき物理ぶつりがくてき研究けんきゅうおこな複数ふくすう同型どうけい着陸ちゃくりく
  4. Lunar South Pole-Aitken Basin Sample Return(つき南極なんきょくエイトケン盆地ぼんちのサンプルリターン) - つきみなみエイトケン盆地ぼんちへの着陸ちゃくりくおよ地球ちきゅうへのサンプルリターン・ミッション
  5. Saturn Probe(土星どせい探査たんさ) - 土星どせい大気たいきにプローブをおくもうとするミッション
  6. Trojan Tour and Rendezvous(トロヤぐん巡回じゅんかい・ランデブー) - 複数ふくすうトロヤぐん小惑星しょうわくせいでのフライバイとうミッション
  7. Venus In Situ Explorer(金星かなぼし探査たんさ) - 金星かなぼし大気たいき突入とつにゅうプローブおよ着陸ちゃくりく

ニュー・フロンティア4ごうについて、10ヵ年かねん計画けいかくは、彗星すいせい表面ひょうめんからのサンプルリターン、つきみなみエイトケン盆地ぼんちからのサンプルリターン、土星どせい探査たんさ (Saturn Probe) 、トロヤぐん巡回じゅんかい・ランデブー、およ金星きんぼし探査たんさ (Venus In Situ Explorer) のミッションからえらばれるべきであると推薦すいせんした。さらに10ヵ年かねん計画けいかくは、ニュー・フロンティア5ごうのための提案ていあんとして、イオ観測かんそく衛星えいせいおよつき物理ぶつりネットワークを追加ついかてき推薦すいせんした[10]。NASAの惑星わくせい科学かがく部門ぶもんは、10ヵ年かねん計画けいかく支持しじするかたちでこれに反応はんのうして、それらの推薦すいせんはNASAの目標もくひょう十分じゅうぶん合致がっちするようなものであるとべた[11]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ New Frontiers Program Official Website (June 2016)”. National Aeronautics and Space Administration (NASA) (2016ねん1がつ15にち). 2016ねん6がつ10日とおか時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  2. ^ a b Foust, Jeff (2016ねん1がつ8にち). “NASA Expands Frontiers of Next New Frontiers Competition”. Space News. http://spacenews.com/nasa-expands-frontiers-of-next-new-frontiers-competition/ 2016ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん 
  3. ^ nasa nf
  4. ^ NASA. “NASA to Launch New Science Mission to Asteroid in 2016”. 2011ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ Sentry Risk Table”. NASA/JPL Near-Earth Object Program Office (2015ねん7がつ21にち). 2015ねん7がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん7がつ21にち閲覧えつらん
  6. ^ Milani, Andrea; Chesley, Steven R.; Sansaturio, Maria Eugenia; Bernardi, Fabrizio et al. (2009). “Long term impact risk for (101955) 1999 RQ36”. Icarus 203 (2): 460–471. arXiv:0901.3631. Bibcode2009Icar..203..460M. doi:10.1016/j.icarus.2009.05.029. 
  7. ^ a b NASA、ドローンで土星どせい衛星えいせいタイタンを探査たんさへ - 生命せいめい痕跡こんせきさが”. マイナビニュース (2019ねん7がつ5にち). 2020ねん6がつ25にち閲覧えつらん
  8. ^ Clark, Stephen (2016ねん9がつ7にち). “NASA official says new mission selections on track despite InSight woes”. Spaceflight Now. https://spaceflightnow.com/2016/09/07/nasa-official-says-new-mission-selections-on-track-despite-insight-woes/ 2016ねん9がつ8にち閲覧えつらん 
  9. ^ a b New Frontiers fourth announcement of opportunity. NASA, January 6, 2016.
  10. ^ a b Vision and Voyages for Planetary Science in the Decade 2013-2022. The National Academies Press. (2011). pp. 15-16. ISBN 978-0-309-22464-2. http://solarsystem.nasa.gov/docs/131171.pdf 
  11. ^ Weiler, Edward J. (29 July 2011), https://solarsystem.nasa.gov/docs/PSD_response_to_DS_Final.pdf 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]