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モジュラーロケット

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
デルタ IV ヘビーの特徴とくちょうは3ほんコモン・ブースター・コアである。;中央ちゅうおうの1ほんは1だんとして使用しようされ、両側りょうがわの2ほん補助ほじょロケットとして使用しようされる。

モジュラーロケット多段ただんしきロケット形態けいたいひとつであらかじめ規格きかくされた複数ふくすう構成こうせいする部材ぶざいわせをえること多様たよう用途ようとおうじること出来できる。このようなロケットのいくつかは製造せいぞう単価たんか輸送ゆそう費用ひよう支援しえん設備せつび経費けいひ最小さいしょうするため規格きかくされたモジュールを使用しようすることにより類似るいじてんがある。

特徴とくちょう

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UR-500 プロトン・ロケット 初期しょき設計せっけい

規格きかくされたモジュールを様々さまざま需要じゅようおうじてわせることにより、規模きぼ経済けいざいにより、量産りょうさん効果こうかによる生産せいさんせい向上こうじょう価格かかく低減ていげん期待きたいできるため製造せいぞう費用ひよう輸送ゆそう費用ひよう準備じゅんび支援しえん費用ひよう準備じゅんび期間きかんおさえることができる。概念がいねんそのものは目新めあたらしいものではなく、宇宙うちゅう開発かいはつ黎明れいめいのソビエトでもすで導入どうにゅうされていた。

モジュラーロケットのれい

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ユニバーサル・ロケット

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URシリーズとしてUR-100、UR-200、UR-500、UR-700、UR-900が計画けいかくされ、UR-100は大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル人工じんこう衛星えいせいようストレラロコット転用てんようされ、UR-500はのちプロトンロケットになった。

アトラス V

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アトラス V 発展はってんがた使つかてロケット液体えきたい燃料ねんりょうロケットによるコモン・コア・ブースターを1だんとして使用しようする。大半たいはん仕様しようにおいては1ほんのCCBを固体こたい燃料ねんりょう補助ほじょロケットととも使用しようする。よりおもいペイロードの輸送ゆそうには3ほんのCCBを1だんたばねて使用しようする。CCBはRP-1液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとするロシアせい推力すいりょく3.8メガニュートン (850,000 lbf) のRD-180エンジンを使用しようする。液体えきたい推進すいしんざいタンクは従来じゅうらい加圧かあつによって形状けいじょう維持いじするタンクではなくアイソグリッド構造こうぞうによる強度きょうど設計せっけいえられた[1]

コモン・コア・ブースターの全長ぜんちょうは89フィート (27 m) で直径ちょっけいは12.5フィート (3.8 m) である[2]

デルタ IV

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デルタIV複数ふくすう仕様しようの1だんとして液体えきたい推進すいしんざいコモン・ブースター・コア使用しようする。1ほんまたは3ほん液体えきたい燃料ねんりょうモジュールが1だんとして使用しようされる。大半たいはんのCBCでは周囲しゅういにSRBをそなえたり、そなえない場合ばあいがある。ヘビー仕様しようでは3ほんのCBCを使用しようする。CBCは推力すいりょく2.9メガニュートン (650,000 lbf) の液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとして使用しようするロケットダインせいRS-68エンジンが使用しようされる。

アンガラ

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ユニバーサル・ロケット・モジュール (URM) はアンガラロケットのモジュラーしき液体えきたい燃料ねんりょうロケットの1だんである。仕様しようおうじて1だんは1,3,5または7ほんのURMで構成こうせいされる。それぞれのURMはRP-1液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとするロシアせい推力すいりょく1.92メガニュートン (430,000 lbf) のRD-191エンジンを使用しようする[3]

ファルコン ヘビー

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ファルコンヘビー標準ひょうじゅんてきファルコン9中央ちゅうおうコアの両側りょうがわに2ほん延伸えんしんされたコアステージを液体えきたい燃料ねんりょう補助ほじょロケットとしてそなえた仕様しようである。それぞれのコアはRP-1液体えきたい酸素さんそ推進すいしんざいとするそれぞれの推力すいりょくが5.6メガニュートン (1,300,000 lbf) の9マーリン1Dエンジンをそなえる。3ほんすべてのブースターコアはさい使用しようする予定よていである。[4]

分離ぶんり両側りょうがわのコアの中央ちゅうおうのエンジンは軌道きどう制御せいぎょするためにすう秒間びょうかん燃焼ねんしょう継続けいぞくする。[5]

推進すいしんざいクロスフィード

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ファルコンヘビーでは独特どくとく推進すいしんざいクロスフィード能力のうりょくそなえ、両側りょうがわのコアの推進すいしんざい消費しょうひされてそらになって分離ぶんりされる準備じゅんびおこなわれるまで中央ちゅうおうのコアの大半たいはん出力しゅつりょくのための燃料ねんりょう酸化さんかざい両側りょうがわのコアから供給きょうきゅうされること計画けいかくされている。[6] 推進すいしんざいクロスフィードは重量じゅうりょうを2/3に低減ていげんするととも中央ちゅうおうコアの推進すいしんざいを2/3に節約せつやくすること企図きとする(両側りょうがわのブースターは中央ちゅうおうのブースターの9のエンジンの3のみに供給きょうきゅうする)。これはもはやロケットが余分よぶん重量じゅうりょうはこばないこと意味いみする。これは同様どうよう通常つうじょうの3段式だんしきロケットのように空中くうちゅう点火てんかせず、発射はっしゃ中央ちゅうおうコアの始動しどう可能かのうであること企図きとする。これにより空中くうちゅうでの始動しどう失敗しっぱい憂慮ゆうりょしなくてもよい。従来じゅうらいの3段式だんしき構成こうせいであればファルコンヘビーと同等どうとう能力のうりょくそなえる場合ばあいには1だんに27、2だんに9のエンジンをそなえることで、ファルコンヘビーは合計ごうけい27なので9ぶん費用ひよう節約せつやくすること可能かのうである。推進すいしんざい供給きょうきゅう系統けいとう簡略かんりゃくできる。

このだんシステムは普及ふきゅうしたシミュレーションゲームのKerbal Space Programうちで"アスパラガスだん"としょうされる。この語彙ごいはゲームのコミュニティのそとでも有名ゆうめいだが、Tom Logsdonの軌道きどう力学りきがくほんなか提案ていあんされたブースターの設計せっけい由来ゆらいする。技術ぎじゅつしゃのEd Keithは創作そうさくしゃとして帰属きぞくする設計せっけいを"アスパラガス-stalk ブースター"とんだ。(Logsdon, Tom (1998), Orbital Mechanics - Theory and Applications, https://books.google.com/books?id=C70gQI5ayEAC&pg=PA143&lpg=PA143&dq=asparagus-stalk+booster&source=bl&ots=eXLhW_FLSQ&sig=WVZJZM1kpAzAXXCZRVVa_fwtYAI&hl=en&sa=X&ei=72rtUfybI8aayQHkhoHwCA&ved=0CH8Q6AEwDQ#v=onepage&q=asparagus-stalk%20booster&f=false ).[7]

しかし、推進すいしんざいクロスフィードには大幅おおはば設計せっけい変更へんこうともなうなど技術ぎじゅつてきなんたかく、ファルコンヘビー初号しょごうでの採用さいよう見送みおくられた。

規格きかくされた"Common Rocket Propulsion Units" (CRPU) としょうする小型こがたロケットをたばねることによって需要じゅようおうじたげをおこなう。 1970年代ねんだいにドイツで考案こうあんされ、アフリカで試験しけんげに成功せいこうしたが技術ぎじゅつてき政治せいじてき理由りゆうにより実用じつようにはいたらなかった。

アメリカのInterorbital Systemsが検討けんとうちゅうのNeptuneは1970年代ねんだいOTRAG概念がいねん踏襲とうしゅうするもので規格きかくされた"Common Propulsion Modules" (CPM) という名称めいしょう小型こがたロケットをたばねることによって需要じゅようおうじたげをおこな[8]。Neptune 7 (N7) では 1だんには4、2だんには2、3だんには1のCPMがそれぞれ使用しようされる。CPMは1発煙はつえん硝酸しょうさんテレピン推進すいしんざいとする加圧かあつ供給きょうきゅうしきアブレーション冷却れいきゃくのGPRE-7.5KNTAエンジンをそなえる[8]。N7の操舵そうだ対角線たいかくせんじょうにあるかくエンジンの出力しゅつりょく加減かげんすることで実施じっしする。35kgの軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくゆうするNeptune 5 (N5) では4のCPMを1だん、1のCPMを2だん固体こたい燃料ねんりょうロケットを3だん使用しようする[8]最初さいしょのN7のげではそう重量じゅうりょう50kgの24までのちょう小型こがた人工じんこう衛星えいせい軌道きどう投入とうにゅう予定よていする[8]

ギャラリー

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Launch Vehicles Archived 2011ねん11月11にち, at the Wayback Machine., Lockheed Martin
  2. ^ Lockheed Martin Names New Rocket Atlas V, Lockheed Martin
  3. ^ Rocket family «Angara», クルニチェフ国家こっか研究けんきゅう生産せいさん宇宙うちゅうセンター
  4. ^ Simberg, Rand (2012ねん2がつ8にち). “Elon Musk on SpaceX’s Reusable Rocket Plans”. Popular Mechanics. http://www.popularmechanics.com/science/space/rockets/elon-musk-on-spacexs-reusable-rocket-plans-6653023 2012ねん2がつ7にち閲覧えつらん 
  5. ^ Nield, George C. (April 2014). Draft Environmental Impact Statement: SpaceX Texas Launch Site (PDF) (Report). Vol. 1. Federal Aviation Administration, Office of Commercial Space Transportation ". p. 2-3. 2013ねん12月7にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。中央ちゅうおうコアのエンジンは離陸りりく出力しゅつりょくげて、機体きたい加速度かそくど最大さいだいちかづくと2までのエンジンを停止ていしする可能かのうせいがある。両側りょうがわのブースターを分離ぶんり中央ちゅうおうのコアのエンジンは最大さいだい推力すいりょくもどす。両側りょうがわのコアの中央ちゅうおうのエンジンは分離ぶんりもブースターの軌道きどう制御せいぎょするためにすう秒間びょうかん燃焼ねんしょうする。 {{cite report}}: 不明ふめい引数ひきすう|deadurldate=無視むしされます。 (説明せつめい)
  6. ^ Strickland, John K., Jr. (September 2011). “The SpaceX Falcon Heavy Booster”. National Space Society. 2012ねん11月24にち閲覧えつらん
  7. ^ Tom Logsdon (1998). Orbital Mechanics. Wiley-Interscience, New York. ISBN 978-0-471-14636-0 
  8. ^ a b c d Small and sweet: NASA wants a dedicated launch vehicle for cubesats

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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