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アンタレス (ロケット)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
アンタレス
アンタレス230の打上うちあげ
基本きほんデータ
運用うんよう国こく アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
開発かいはつ者しゃ OSC
ユージュノエ設計せっけい局きょく
運用うんよう機関きかん ノースロップ・グラマン, NASA
使用しよう期間きかん 2013年ねん -
射場いば 中部ちゅうぶ大西洋たいせいよう地域ちいき宇宙うちゅう基地きちLC-0A
打うち上あげ数すう 18（成功せいこう17）
開発かいはつ費用ひよう 4億おく7200万まんドル[1]
打うち上あげ費用ひよう 8000-8500万まんドル[2]
原型げんけい トーラス
発展はってん型がた アンタレス330
公式こうしきページ Antares
物理ぶつり的てき特徴とくちょう
段数だんすう 2段だんまたは3段だん
総そう質量しつりょう 290 t
全長ぜんちょう 40.5 m
直径ちょっけい 3.9 m
軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょく
低てい軌道きどう 4,200 kg / 7,000 kg
400 km / 28.7 度ど
太陽たいよう同期どうき軌道きどう 3,200 kg / 5,600 kg
400 km / 98 度ど
静止せいし移行いこう軌道きどう 2,400 kg[3]
ISS軌道きどう 約やく 5 t[4]
地球ちきゅう重力じゅうりょく圏けん脱出だっしゅつ軌道きどう 1,250 kg / 1,800 kg
C3 = 0 km2/s2
脚注きゃくちゅう
軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくは 標準ひょうじゅん型がた / 拡張かくちょう型がた
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アンタレス (Antares) はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのオービタル・サイエンシズ社しゃ（OSC、2015年ねん以降いこうオービタルATK、2018年ねん以降いこうノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ）により開発かいはつされ、打うち上あげられている中型ちゅうがたロケット。2013年ねん4月がつ21日にちに初はつ打うち上あげが行おこなわれて成功せいこうした[5]。

当初とうしょの計画けいかく名めいはトーラスIIで、2011年ねんにさそり座ざの1等とう星ほしアンタレスにちなんでアンタレスと命名めいめいされた。同社どうしゃのロケットは、ペガサス、トーラス、ミノタウロスというようにギリシア神話しんわにちなんで命名めいめいされている[6]。

開発かいはつ中ちゅうの後継こうけい機き、アンタレス330は、2025年ねん6月がつ打うち上あげを目標もくひょうとしている[7]。

概要がいよう[編集へんしゅう]

アンタレスはアメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく (NASA) の商業しょうぎょう軌道きどう輸送ゆそうサービス (COTS) の契約けいやくに則のっとりシグナス補給ほきゅう船せんを打うち上あげるロケットとして開発かいはつされており、デルタ IIとほぼ同おなじ規模きぼ、OSCが保有ほゆうしているロケットとアトラス Vやデルタ IV等ひとしの大型おおがたロケットの間あいだを埋うめる軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくを有ゆうするロケットとして位置いちづけられている。

既存きそんのコンポーネントを活用かつようすることで低ていコストで信頼しんらい性せいの高たかいシステムを構築こうちくする方針ほうしんで開発かいはつされている。OSCの保有ほゆうする既存きそんのロケットの成果せいかを用もちいることで高たかい即応そくおう性せいを実現じつげんし、シグナスの他ほかにも宇宙うちゅう探査たんさ機き等ひとしを含ふくむ科学かがく用途ようとの宇宙うちゅう機き、軍事ぐんじ衛星えいせい、商用しょうよう衛星えいせい等とうの各種かくしゅ中型ちゅうがたミッションに対応たいおうする。

1段だん目めエンジンとして、5号機ごうき（打うち上あげ失敗しっぱい）までが旧きゅうソ連それん製せいのNK-33をベースにしたAJ-26を、2016年ねんの6号機ごうき以降いこうはロシア製せいのRD-181を使用しようする。しかし、2022年ねんのロシアのウクライナ侵攻しんこうによりこれらのエンジンは調達ちょうたつできなくなったため[8]、アンタレス230+の運用うんようを終了しゅうりょうした。

今後こんごは米国べいこく企業きぎょうのファイアフライ・エアロスペースが同社どうしゃのミランダエンジンを使用しようした1段だん目めを使つかったアンタレス330を開発かいはつすることが発表はっぴょうされている[9]。

構成こうせい・諸しょ元もと[編集へんしゅう]

組くみ立たてられたアンタレスロケット

アンタレスは第だい1段だんに液体えきたい燃料ねんりょうを用もちいる2段だんまたは3段式だんしきロケットであり、前身ぜんしんのトーラスロケットとは大おおきく異ことなるものとなっている。

第だい1段だんエンジンは旧きゅうソ連それんが有人ゆうじん月がつ飛行ひこうを目的もくてきとして開発かいはつしていたN-1ロケット用ようの第だい1段だんエンジンNK-33をエアロジェット社しゃが購入こうにゅうして電装でんそう系けい等とうの改修かいしゅうを行おこなったAJ26-62エンジンを2基き使用しようし、第だい1段だんタンクはウクライナのユージュノエ及およびユージュマシュが製造せいぞうするゼニット第だい1段だんタンクの全長ぜんちょうを短縮たんしゅくしたものが用もちいられる。

第だい2段だんはキャスター120を短縮たんしゅくすることでATKが新規しんき開発かいはつしたキャスター30を採用さいようした。また、拡張かくちょう型がた第だい2段だんとしてプラット・アンド・ホイットニー・ロケットダインが開発かいはつしたメタンを燃料ねんりょうとするPWR35Mエンジンを使用しようする構成こうせいも計画けいかくされていたが、2011年ねん4月がつに、キャスター30の性能せいのう向上こうじょう型がたであるキャスター30XLを採用さいようする方針ほうしんに変更へんこうされた。 最初さいしょの2機きの試験しけんフライトでは第だい2段だんにキャスター30Aを使用しようし、次つぎの2機きではキャスター30Bを使用しよう。4号機ごうきからキャスター30XLに切きり替かえて打上うちあげ能力のうりょくを強化きょうかした[10]。

シグナスの軌道きどう投入とうにゅうは2段式だんしきのアンタレスによって行おこなわれる予定よていであるが、人工じんこう衛星えいせいや宇宙うちゅう探査たんさ機きの打うち上あげにおいてはオプションとして2種類しゅるいの第だい3段だんが用意よういされている。標準ひょうじゅん型がた第だい2段だんを用もちいた通常つうじょうの人工じんこう衛星えいせいの打うち上あげの場合ばあいには、軌道きどう投入とうにゅう精度せいどの向上こうじょうと軌道きどう高度こうどの上昇じょうしょうを目的もくてきとして、OSCがSTAR Busの推進すいしん系けいを流用りゅうようして開発かいはつした2液えき式しき推進すいしん系けいBi-Propellant Third Stage (BTS) を使用しようする。惑星わくせい探査たんさ機き等とうの打うち上あげにおいてはATKが開発かいはつしたスター48BVをキックモータとして使用しようする。

アビオニクスとしてはOSCが開発かいはつし、同社どうしゃのロケットで使用しようして飛行ひこう実績じっせきがあるMACH (Modular Avionics Control Hardware) コンポーネントを採用さいようした。

＼ 主要しゅよう諸しょ元もと一覧いちらん
全長ぜんちょう 40.5 m
代表だいひょう径みち 3.9 m
全備ぜんび質量しつりょう 290 t
段数だんすう(Stage) 第だい1段だん 第だい2段だん 第だい3段だん（オプション） フェアリング
標準ひょうじゅん型がた 拡張かくちょう型がた BTS キックモータ
各かく段だん全長ぜんちょう 27 m 3.5 m 6.0 m 2.9 m 2.07 m 9.9 m
各かく段だん代表だいひょう径みち 3.9 m 2.36 m 2.36 m 2.4 m 1.24 m 3.9 m
各かく段だん質量しつりょう 269 t 14 t 26.3 t 1.5 t 2.2 t 0.972 t
使用しようエンジン AJ26-62
（2基き） 		キャスター30 キャスター30XL BT-4[11]
（3基き） 		スター48BV N/A
推進すいしん剤ざい LOX/RP-1 TP-H8299 TP-H8299 MON-3/N2H4 TP-H3340
推進すいしん剤ざい質量しつりょう 256 t 12.8 t 24.2 t 2 t
乾燥かんそう質量しつりょう 18,715 kg 1,185 kg 2,100 kg 180 kg 155 kg
真空しんくう平均へいきん推力すいりょく 3,803 kN 258.9 kN 474 kN 1.33 kN 68.6 kN
真空しんくう比ひ推力すいりょく 331 s 294.7 s 329 s 292.1 s
ノズル膨張ぼうちょう比ひ 27 50 56 54.8
有効ゆうこう燃焼ねんしょう時間じかん 213 s 143 s 156 s 3,100 s 88 s

形式けいしき[編集へんしゅう]

上段じょうだんエンジン キャスター30の燃焼ねんしょう試験しけん

最初さいしょの2回かいの打うち上あげでは第だい2段だんにキャスター30Aを使用しようした。以降いこうの打うち上あげではキャスター30Bまたはキャスター30XLが使つかわれる。ロケットの構成こうせいは3桁けたの数字すうじで表あらわされ、上位じょういから順じゅんに第だい1段だん、第だい2段だん、第だい3段だんに対応たいおうしている[12]。第だい1段だんは、RD-181適用てきよう型がたブロック1ではRD-181の推力すいりょくをAJ26-62相当そうとうに落おとして搭載とうさいしている。ブロック2では燃料ねんりょうタンクの構造こうぞう強化きょうかを行おこなうことでRD-181の推力すいりょくを本来ほんらいのレベルに戻もどし、打うち上あげ能力のうりょくを向上こうじょうする予定よていである[13][14]。最後さいごに追加ついかされた "+" は、アンタレス230の性能せいのう強化きょうか型がたを示しめすために使つかわれる。

No 1桁けた目め 2桁けた目め 3桁けた目め 4桁けた目め
（第だい1段だん） （第だい2段だん） （第だい3段だん） （拡張かくちょう型がた）
0 未み使用しよう 未み使用しよう なし 未み使用しよう
1 ブロック1
（2 × AJ26-62） 		キャスター30A
ブロック1以降いこうは使用しようしない[15] 		BTS（2液えき式しき第だい3段だん）
（3 × IHI BT-4） 		未み使用しよう
2 ブロック1（RD-181適用てきよう型がた）
（2 × RD-181）[15] 		キャスター30B スター48BV 未み使用しよう
3 未み使用しよう キャスター30XL オライオン38 未み使用しよう
+ 未み使用しよう 未み使用しよう 未み使用しよう ブロック2の第だい1段だん/キャスター強化きょうか型がた

打うち上あげ[編集へんしゅう]

形式けいしきごとの打うち上あげ数すう[編集へんしゅう]

0.5
1
1.5
2
2.5
3
  •   アンタレス110
  •   アンタレス120
  •   アンタレス130
  •   アンタレス230
  •   アンタレス230+

打うち上あげ結果けっか[編集へんしゅう]

0.5
1
1.5
2
2.5
3
2013
'14
'15
'16
'17
'18
'19
'20
'21
'22
'23
  •   失敗しっぱい
  •   部分ぶぶん的てき失敗しっぱい
  •   成功せいこう
  •   計画けいかく

当初とうしょの打うち上あげ予定よていは2011年ねん10月がつであったが、同年どうねん12月がつ、2012年ねん1月がつ23日にち、2月がつ、7月がつ6日にち、8月がつ9日にち、9月がつ後半こうはん、10月、12月、2013年ねん2月がつと次々つぎつぎと延期えんきされた[16][17]。最終さいしゅう的てきに2013年ねん4月がつ21日にち17時じ00分ふん (EDT)、シグナス補給ほきゅう船せんの質量しつりょうを模擬もぎしたダミーペイロードを搭載とうさいしての初はつ打うち上あげに成功せいこうした[5]。

No ミッション名めい 形式けいしき 打うち上あげ年月日ねんがっぴ (UTC) ペイロード 成否せいひ 備考びこう
1 A-One 110 2013年ねん4月がつ21日にち21時じ00分ふん ダミーペイロードとCubeSat 4機き(Dove 1, PhoneSat 3機き) 成功せいこう リスク軽減けいげんのための飛行ひこう試験しけん（初はつ打上うちあげ）としてシグナスのダミーペイロードを軌道きどうへ投入とうにゅう[5]
2 Orb-D1 110 2013年ねん9月がつ18日にち14時じ58分ふん シグナス (標準ひょうじゅん型がた) 成功せいこう シグナスの初はつ飛行ひこう
3 CRS Orb-1 120 2014年ねん1月がつ9日にち18時じ07分ふん シグナス (標準ひょうじゅん型がた) 成功せいこう シグナスの商業しょうぎょう補給ほきゅう飛行ひこう1回かい目め、2段だん目めをキャスター30Bに変かえて打上うちあげ能力のうりょくを強化きょうか。[18]
4 CRS Orb-2 120 2014年ねん7月がつ13日にち12時じ52分ふん シグナス (標準ひょうじゅん型がた) 成功せいこう シグナスの商業しょうぎょう補給ほきゅう飛行ひこう2回かい目め、前回ぜんかいと同おなじ構成こうせい。[19]
5 CRS Orb-3 130 2014年ねん10月がつ28日にち22時じ22分ふん シグナス (標準ひょうじゅん型がた) 失敗しっぱい シグナスの商業しょうぎょう補給ほきゅう飛行ひこう3回かい目め。2段だん目めをキャスター30XLに変更へんこうして打うち上あげ能力のうりょくを強化きょうか。離はなれ昇のぼり直後ちょくごに爆発ばくはつ炎上えんじょうした。[20]
6 CRS OA-5 230 2016年ねん10月17日にち23時じ45分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう 打上うちあげ再開さいかい初号しょごう機き、第だい1段だんエンジンにRD-181を採用さいよう。[21]
7 CRS OA-8E 230 2017年ねん11月12日にち12時じ19分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう 商業しょうぎょう軌道きどう輸送ゆそうサービスの拡張かくちょう契約けいやく。[22]
8 CRS OA-9E 230 2018年ねん5月21日にち08時じ44分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう 補給ほきゅう機きによるISSの増ぞう速そくの初はつ実証じっしょう。軌道きどう上じょう速度そくどを0.06m/s増ぞう速そく。[23]
9 CRS NG-10 230 2018年ねん11月17日にち09時じ01分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう ノースロップ・グラマンによるオービタルATK買収ばいしゅう後ごの初はつ打うち上あげ。
10 CRS NG-11 230 2019年ねん4月がつ17日にち20時じ46分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう アンタレス、シグナスを用もちいた最後さいごの商業しょうぎょう補給ほきゅうサービスフェーズ1 (CRS-1)[24]
11 CRS NG-12 230+ 2019年ねん11月2日にち13時じ59分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう アンタレス、シグナスを用もちいた最初さいしょの商業しょうぎょう補給ほきゅうサービスフェーズ2 (CRS-2)。またアンタレス230+の最初さいしょの打うち上あげ
12 CRS NG-13 230+ 2020年ねん2月がつ15日にち20時じ21分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた)
実験じっけんモジュールコロンバス用もちいKaバンド通信つうしん装置そうちなど 		成功せいこう
13 CRS NG-14 230+ 2020年ねん10月がつ3日にち1時じ16分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた)
次世代じせだいトイレシステム (UWMS) や植物しょくぶつ実験じっけん装置そうちPlant Habitat-02、免疫めんえき治療ちりょう実験じっけん装置そうち (Onco-Selevtors)、船ふね外がい活動かつどう用よう360°カメラなど 		成功せいこう
14 CRS NG-15 230+ 2021年ねん2月がつ20日はつか17時じ36分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた)
SBC-2や実験じっけん用よう回虫かいちゅうなど 		成功せいこう
15 CRS NG-16 230+ 2021年ねん8月がつ10日とおか22時じ01分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう アメリカ初はつのアジア系けい宇宙うちゅう飛行ひこう士し、エリソン・オニヅカ氏しの名なを冠かんした打うち上あげ
16 CRS NG-17 230+ 2022年ねん2月がつ19日にち17時じ40分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう
17 CRS NG-18 230+ 2022年ねん11月7日にち10時じ32分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう
18 CRS NG-19 230+ 2023年ねん8月がつ2日にち0時じ31分ふん シグナス (拡張かくちょう型がた) 成功せいこう アンタレス230+の最後さいごの打うち上あげ

CRS Orb-3の打上うちあげ失敗しっぱいと対策たいさく[編集へんしゅう]

打うち上あげ失敗しっぱいにより爆発ばくはつ炎上えんじょうするロケット
損傷そんしょうした地上ちじょう施設しせつ

CRS Orb-3 は、アンタレスとシグナス補給ほきゅう船せんによる3回かい目めのISS補給ほきゅうミッションであった。しかし、2014年ねん10月28日にちに打うち上あげられたアンタレス5号機ごうきは、離陸りりくからわずか15秒びょう後ごに1段だん目めが爆発ばくはつ。機体きたいはそのまま中部ちゅうぶ大西洋たいせいよう地域ちいき宇宙うちゅう基地きちの打うち上あげ施設しせつへと墜落ついらくした[25]。被害ひがいを抑おさえるためにアンタレスの自爆じばくが試こころみられたものの、作動さどうしたのはロケットが地上ちじょうに激突げきとつする直前ちょくぜんであり、爆発ばくはつと火災かさいにより機体きたいとペイロードは破壊はかいされ[26][27]、地上ちじょう施設しせつも深刻しんこくな被害ひがいを受うけた[28][29]。OSCは事故じこ後ご、直ただちに原因げんいん究明きゅうめいのための事故じこ調査ちょうさ委員いいん会かいを形成けいせいした[30]。

Orb-3ミッションは、打うち上あげ直後ちょくごに1段だんエンジンの2基きのうちの1基きが爆発ばくはつして墜落ついらくし、失敗しっぱいに終おわった。これを受うけてロシアのNK-33エンジンをベースにしたAJ-26エンジンは使用しようを中止ちゅうしすることになり、代かわりにロシア製せいのRD-181エンジンに置おき換かえることになった。このエンジンを更新こうしんした新あたらしいアンタレスロケットは2016年ねん初はじめに飛行ひこう再開さいかいが出来できるようになる計画けいかくであり、それまでの間あいだ、シグナス補給ほきゅう船せんの1機きもしくは2機きはアトラスV ロケットを調達ちょうたつして打うち上あげることになった。RD-181を装備そうびしたアンタレスロケットは、究極きゅうきょく的てきには20%打上うちあげ能力のうりょくを向上こうじょうできる見込みこみだが、初はつ飛行ひこうではAJ-26と同おなじレベルまで推力すいりょくを落おとし、1段だんタンクの構造こうぞうを強化きょうかする改良かいりょうを終おえるまでのつなぎにする予定よていである[13][14]。

初期しょき構想こうそう[編集へんしゅう]

トーラスIIの初期しょき構想こうそうは1994年ねんにOSCが発表はっぴょうしたもので、第だい1段だん及および第だい2段だんにキャスター120、第だい3段だんに当時とうじ開発かいはつ中ちゅうであったアリアン5の上段じょうだんに採用さいよう予定よていのエスタスを用もちいるというものであった。この構想こうそうでは軌道きどう傾斜けいしゃ角かく28.5度ど、高度こうど185kmの低てい軌道きどうに2.3tの軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくをもち、また、補助ほじょブースタとしてキャスター4を最大さいだい8本ほん用もちいることで同様どうようの軌道きどうへの投入とうにゅう能力のうりょくを5tまで向上こうじょうすることが可能かのうとされていた。さらに、オプションとしてスター48を第だい4段だんキックステージとして用もちいた場合ばあいには、GTOへ1.84tのペイロードを投入とうにゅう可能かのうであるとされていた[31]。

この構想こうそうはNASAの小型こがたの衛星えいせいや探査たんさ機きの打うち上あげを目的もくてきとしたMed-Lite契約けいやくに向むけて発表はっぴょうされたものであったが[32]、その後ごOSCは同どう契約けいやくに向むけマクドネル・ダグラス (MD) と共同きょうどうで同様どうようのコンセプトをもつデルタ・ライトの構想こうそうを発表はっぴょうした[33]。1993年ねん初頭しょとうにデルタ・ライトはMed-Lite契約けいやくを獲得かくとくし、ディープ・スペース1号ごうやFUSE、スターダストなどを打うち上あげる予定よていとなっていたが[34]、1997年ねんにMDがボーイングに吸収きゅうしゅう合併がっぺいされるなどの情勢じょうせいから計画けいかくは凍結とうけつされ、これらの宇宙うちゅう機きはデルタIIロケットで打うち上あげられた。

打うち上あげシーケンス[編集へんしゅう]

商業しょうぎょう軌道きどう輸送ゆそうサービスに基もとづくシグナス補給ほきゅう船せん打うち上あげなど、アンタレス100シリーズの典型てんけい的てきな打うち上あげシーケンスは以下いかの通とおりである[35]。

秒びょう時じ イベント 高度こうど
T− 03:50:00 打上うちあげ責任せきにん者しゃが管制かんせい室しつに入室にゅうしつ
T− 03:05:00 液体えきたい酸素さんそ注入ちゅうにゅうシステム冷却れいきゃく開始かいし
T− 01:30:00 推進すいしん剤ざい注入ちゅうにゅう準備じゅんび完了かんりょう
T− 00:15:00 ペイロード内部ないぶ電源でんげん切せつ換かわ
T− 00:12:00 最終さいしゅうカウントダウン開始かいし / 主しゅエンジン配管はいかん冷却れいきゃく開始かいし
T− 00:11:00 移動いどう式しき発射はっしゃ台だい退避たいひ
T− 00:05:00 制御せいぎょ系けい内部ないぶ電源でんげん切せつ換かわ
T− 00:03:00 自動じどう打うち上あげシーケンス開始かいし
T− 00:02:00 推進すいしん剤ざいタンク加圧かあつ
T− 00:00:00 主しゅエンジン点火てんか
T+ 00:00:02.1 リフトオフ 0
T+ 00:03:55 主しゅエンジン燃焼ねんしょう停止ていし (MECO) 102 km (63 mi)
T+ 00:04:01 第だい1段だん分離ぶんり 108 km (67 mi)
T+ 00:05:31 フェアリング分離ぶんり 168 km (104 mi)
T+ 00:05:36 段だん間あいだ接合せつごう部ぶ分離ぶんり 170 km (106 mi)
T+ 00:05:40 第だい2段だんエンジン燃焼ねんしょう開始かいし 171 km (106 mi)
T+ 00:07:57 第だい2段だん燃焼ねんしょう終了しゅうりょう 202 km (126 mi)
T+ 00:09:57 ペイロード分離ぶんり 201 km (125 mi)

出典しゅってん・脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Rosenberg, Zach (2012年ねん4月がつ30日にち). “Orbital Sciences development costs increase” (英語えいご). Flight International from Flightglobal.com. http://www.flightglobal.com/news/articles/orbital-sciences-development-costs-increase-371291/ 2022年ねん11月15日にち閲覧えつらん。 
  2. ^ “Surplus Missile Motors: Sale Price Drives Potential Effects on DOD and Commercial Launch Providers” (英語えいご). U.S. Government Accountability Office. p. 30 (2017年ねん8月がつ). 2022年ねん11月15日にち閲覧えつらん。
  3. ^ 文部もんぶ科学かがく省しょう宇宙うちゅう開発かいはつ委員いいん会かい推進すいしん部会ぶかい GXロケット評価ひょうか小しょう委員いいん会かい 第だい8回かい 資料しりょう 各国かっこくの中型ちゅうがたロケット等とうに係かかわる動向どうこう (PDF, 415KB)
  4. ^ Commercial firms await NASA's call to serve station (Spaceflight Now)
  5. ^ a b c “アンタレスロケットの打うち上あげ試験しけん、完璧かんぺきに成功せいこう”. sorae.jp (2013年ねん4月がつ22日にち). 2013年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  6. ^ “Orbital Selects "Antares" as Permanent Name for New Rocket Created by the Taurus II R&D Program”. OSC. http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=798 2011年ねん12月12日にち閲覧えつらん。 
  7. ^ “Antares 330 | CRS NG-23” (英語えいご). nextspaceflight.com. 2024年ねん3月がつ1日にち閲覧えつらん。
  8. ^ “Russia halts rocket engine sales to US, suggests flying to space on ‘their broomsticks’” (英語えいご). TechCrunch. 2022年ねん4月がつ11日にち閲覧えつらん。
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