インフラストラクチャー

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インフラストラクチャー英語えいご: infrastructure)とは、「しもささえするもの」「下部かぶ構造こうぞう」を観念かんねんてき用語ようごであり、以下いか意味いみがある。

  1. 国民こくみん福祉ふくし向上こうじょう国民こくみん経済けいざい発展はってん必要ひつよう公共こうきょう施設しせつほんこう詳述しょうじゅつ
  2. 企業きぎょうなどの主幹しゅかんとなる設備せつび上記じょうきたとえた用語ようご組織そしき私有しゆう財産ざいさんだが、組織そしきないでは公共こうきょう施設しせつのようにもの)。

語義ごぎ[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、しばしばインフラ (infra) と略称りゃくしょうされるが、インフラストラクチャー (infrastructure) が「したの (infra) 構造こうぞう (structure)」をとおり、本来ほんらいインフラ (infra) は「した」「未満みまん」を意味いみする接頭せっとうで、「したにある」「ひくい」を意味いみするラテン語らてんご inferus に由来ゆらいし、スーパー (super) の対義語たいぎごである。ただ、日本語にほんごでは「下部かぶ構造こうぞう」はドイツの「Basis」に由来ゆらいするべつもちいられるため、インフラストラクチャーの意味いみで「下部かぶ構造こうぞう」をもちいることはすくない。

日本語にほんごでは社会しゃかい基盤きばん基盤きばん施設しせつ経済けいざい基盤きばんという訳語やくご存在そんざいする。また、類似るいじ用語ようごとして、社会しゃかい資本しほん公共こうきょうサービスがある。

インフラストラクチャーはその経済けいざい機能きのうするのに必要ひつようなサービスや施設しせつふくむ、くに都市とし、その地域ちいきにサービスを提供ていきょうする基本きほんてき施設しせつやシステム[1][2]である。

道路どうろ鉄道てつどう港湾こうわんダム上下水道じょうげすいどうインターネット接続せつぞくブロードバンドインターネット接続せつぞくふくむ)など産業さんぎょう基盤きばん社会しゃかい資本しほん、および学校がっこう病院びょういん公園こうえん社会しゃかい福祉ふくし施設しせつひとし生活せいかつ関連かんれん社会しゃかい資本しほんなど[3]民間みんかん物理ぶつりてき改善かいぜん構成こうせいされ、 一般いっぱんに「社会しゃかい生活せいかつ条件じょうけん可能かのうにし、持続じぞくさせ、またはたかめるのに不可欠ふかけつ商品しょうひんおよびサービスを提供ていきょうする相互そうご関連かんれんするシステムの物理ぶつりてき構成こうせい要素ようそ」としても定義ていぎされてきた[4]

よるのサンフランシスコフェリービルディング

概要がいよう[編集へんしゅう]

国民こくみん福祉ふくし向上こうじょう国民こくみん経済けいざい発展はってん必要ひつよう公共こうきょう施設しせつす。また、情報じょうほう社会しゃかい情報じょうほうもう整備せいび新規しんき分野ぶんや法律ほうりつ整備せいびなどの意味いみでも使用しようされる。

ふつう、中央ちゅうおう政府せいふ公共こうきょう機関きかん建設けんせつ管理かんりおこな公共こうきょう福祉ふくしのための施設しせつであるが、財政ざいせい構造こうぞう改革かいかく推進すいしんとうにより民活みんかつがた社会しゃかい資本しほん整備せいびとしてPFI手法しゅほう導入どうにゅうされている。

国民こくみん福祉ふくし向上こうじょう国民こくみん経済けいざい発展はってん必要ひつよう公共こうきょう施設しせつとは、学校がっこう病院びょういん道路どうろ港湾こうわん工業こうぎょう用地ようち公営こうえい住宅じゅうたく橋梁きょうりょう鉄道てつどう路線ろせんバス路線ろせん上水道じょうすいどう下水道げすいどう電気でんきガス電話でんわなど通信つうしん施設しせつし、社会しゃかいてき経済けいざい基盤きばん社会しゃかいてき生産せいさん基盤きばんとを形成けいせいするものの総称そうしょうである。建造けんぞうぶつからパイプるい場合ばあいによっては電気でんき機器ききサーバひとしハードウェア)レベルが該当がいとうする。

通常つうじょう道路どうろ河川かせん橋梁きょうりょう鉄道てつどうからガス、電話でんわなど社会しゃかい生活せいかつ基盤きばん社会しゃかい経済けいざい産業さんぎょう基盤きばんとを形成けいせいするものの総称そうしょうとしてこのかたり使用しようされるが、学校がっこう病院びょういんなどの公益こうえき施設しせつふくまれ、都市とし計画けいかくでは道路どうろ河川かせん鉄道てつどう公園こうえん水道すいどうごみ処理しょり施設しせつ尿にょう処理しょり施設しせつひとし社会しゃかい基盤きばん施設しせつとしている。あるじには公共こうきょう事業じぎょう整備せいびされ、社会しゃかい資本しほんとして経済けいざい生活せいかつ環境かんきょうもとあいだ設備せつびす。

メリット[編集へんしゅう]

一般いっぱんにインフラストラクチャーに該当がいとうするざいは、市場いちばによる供給きょうきゅういちじるしく不足ふそくする可能かのうせいがある。そのため、インフラストラクチャー整備せいびには中央ちゅうおう政府せいふ地方自治体ちほうじちたい参加さんかし、公共こうきょう事業じぎょうとしておこなわれるものがおおい。一度いちど事業じぎょうとして整備せいびされたのち社会しゃかい資本しほんとして経済けいざい供給きょうきゅうりょく多大ただい好影響こうえいきょうおよぼす。たとえば、都市としあいだ高速こうそく道路どうろ整備せいびすることで、交通こうつうコストが低下ていかし、工場こうじょう立地りっち容易よういになり、商圏しょうけん拡大かくだいすることで、域内いきない経済けいざい活動かつどう活性かっせいする。また、灌漑かんがい施設しせつつくることで、農地のうち生産せいさんせい飛躍ひやくてきたかまる。これらの活性かっせい結果けっか当初とうしょ建設けんせつ整備せいびようするコスト回収かいしゅうされ、公共こうきょう投資とうしとして正当せいとうされる。一般いっぱん中央ちゅうおう政府せいふ公共こうきょう機関きかん整備せいびしたものの回収かいしゅう活性かっせいによる税収ぜいしゅうによっておこなわれるが、有料ゆうりょう道路どうろなど利用りようしゃ負担ふたん直接ちょくせつ回収かいしゅうする場合ばあいもある。

堤防ていぼうやダム建設けんせつなど河川かせん改修かいしゅう事業じぎょうは、災害さいがい対策たいさく側面そくめんおおきい。「普代ふだい水門すいもん」も参照さんしょう

2015ねん時点じてん国際こくさい通貨つうか基金ききんはここ30ねんでインフラストラクチャーへの財政ざいせい支出ししゅつ低下ていかしてきていることを指摘してきし、世界せかい経済けいざい上向うわむかせるために財政ざいせい支出ししゅつ拡大かくだい必要ひつようべた。道路どうろ線路せんろ、デジタルインフラストラクチャー、電力でんりょくもうなどを整備せいびすることで企業きぎょう生産せいさんせい向上こうじょうさせやすくなる[5]

デメリット[編集へんしゅう]

構造こうぞうぶつ工作こうさくぶつとしてのインフラストラクチャーの場合ばあいは、ものざいであるため整備せいび維持いじコストはかかる。経済けいざい成長せいちょういちじるしい場合ばあいは、インフラストラクチャーの整備せいびはその経済けいざい成長せいちょうによって正当せいとうされるが、経済けいざい成長せいちょう停滞ていたい人口じんこう増加ぞうか停滞ていたい発生はっせいすると、インフラストラクチャー予算よさん割合わりあいめる維持いじコストが増大ぞうだいし、新設しんせつ困難こんなんになる。また、維持いじコストが予算よさん上回うわまわると、いくつかのインフラストラクチャーにたいしては維持いじ放棄ほうきをする結果けっかになる。

公共こうきょう施設しせつの「維持いじ」は国家こっか財政ざいせいにとっておもたい固定こてい支出ししゅつになるため、公共こうきょう施設しせつとしてのインフラストラクチャーの放漫ほうまん整備せいび財政ざいせい危機ききまねきやすい。また、インフラストラクチャー整備せいび関連かんれんした基幹きかん産業さんぎょう確立かくりつされるため、予算よさん削減さくげん困難こんなん場合ばあいおおい。20世紀せいき後半こうはんには、インフラストラクチャー整備せいび合理ごうりてき性格せいかく地域ちいき環境かんきょう利益りえき相反あいはんするケース(たとえば、都市としあいだ最短さいたん距離きょりむす道路どうろ鉄道てつどう通過つうかてん住民じゅうみんにはなんらの利益りえきももたらさない)が多発たはつしたため、整備せいびをめぐる住民じゅうみん利害りがい対立たいりつ先鋭せんえいし、整備せいびへの否定ひていてき世論せろんたかまった。

インフラストラクチャーをつかさど業界ぎょうかいなどが政治せいじ癒着ゆちゃくする傾向けいこうつよく、汚職おしょく官僚かんりょう官製かんせい談合だんごうばれる不透明ふとうめいさを構築こうちくしたり、腐敗ふはいした政治せいじによる利益りえき誘導ゆうどう横行おうこうしてきたため、国民こくみんあいだガバナンスたいする不信ふしんかんんだという背景はいけいがある。これは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくによって世界せかいすすめられている史上しじょう最大さいだい規模きぼ[6][7]のインフラストラクチャー投資とうしプロジェクトである一帯いったい一路いちろでも国際こくさい問題もんだいになっている。

日本にっぽんのインフラストラクチャーのうち、建造けんぞうぶつ建設けんせつ構造こうぞうぶつものは高度こうど成長せいちょう建設けんせつがなされたものがおおく、これらについてが2020年代ねんだい以降いこう大量たいりょう更新こうしん時代じだいむかえるとわれているが、公共こうきょう投資とうし削減さくげんされてきているため、更新こうしんがままならなくなっている。このため、老朽ろうきゅうによる事故じここっている。[8]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

1987ねん米国べいこく国立こくりつ研究けんきゅう評議ひょうぎかいのパネルは、以下いか参照さんしょうして「公共こうきょう事業じぎょうインフラストラクチャー」という用語ようご採用さいようした。

「…… 両方りょうほう特定とくてい機能きのうモード - 高速こうそく道路どうろ街路がいろ道路どうろはし大量たいりょう輸送ゆそう;空港くうこうおよび航空こうくう水道すいどうみず資源しげん廃水はいすい管理かんり固形こけい廃棄はいきぶつ処理しょりおよび処分しょぶん発電はつでんおよび送電そうでんテレコミュニケーション;そして有害ゆうがい廃棄はいきぶつ管理かんり - そしてこれらの様相ようそう要素ようそ構成こうせいするふくあいシステム。インフラストラクチャーの理解りかいは、これら公共こうきょう事業じぎょう施設しせつだけでなく、社会しゃかいてき要求ようきゅう物的ぶってき世界せかい相互そうご作用さようして人々ひとびと物資ぶっし輸送ゆそう飲用いんようすい供給きょうきゅう、および公共こうきょう施設しせつ連携れんけいする開発かいはつ手順てじゅん管理かんり手法しゅほう開発かいはつ政策せいさくにもおよぶそののさまざまな用途ようと社会しゃかい廃棄はいきぶつ安全あんぜん廃棄はいき必要ひつよう場所ばしょでのエネルギーの供給きょうきゅう、およびコミュニティないおよびコミュニティあいだでの情報じょうほう伝達でんたつ[9]

米国べいこく土木どぼく学会がっかいは、2 - 4ねんごとにさまざまなインフラストラクチャーの状態じょうたいかんする組織そしき意見いけんあらわす「インフラストラクチャー報告ほうこくカード」を発行はっこうしている。[10]2017ねん現在げんざい 航空こうくうはし、ダム、飲料いんりょうすい、エネルギー、有害ゆうがい廃棄はいきぶつ内陸ないりく水路すいろ堤防ていぼう公園こうえん、レクリエーション、港湾こうわん鉄道てつどう道路どうろ学校がっこう固形こけい廃棄はいきぶつ通過つうかすい廃水はいすいなど、16のカテゴリーがある。


経済けいざいてき[編集へんしゅう]

ビジネス辞書じしょによれば、経済けいざいインフラストラクチャーは「通信つうしん輸送ゆそうおよび配給はいきゅうネットワーク、金融きんゆう機関きかんおよび市場いちば、エネルギー供給きょうきゅうシステムなど、事業じぎょう活動かつどう可能かのうにする国内こくない施設しせつ」として定義ていぎすることができる。経済けいざいインフラストラクチャーは生産せいさんてき活動かつどう行事ぎょうじ支援しえんする。[11]これには、道路どうろ高速こうそく道路どうろはし空港くうこう配水はいすいかんもう下水道げすいどうシステム、灌漑かんがい施設しせつなどがふくまれる[12]

ソーシャル[編集へんしゅう]

社会しゃかいインフラストラクチャーは、社会しゃかいサービスをささえる施設しせつ建設けんせつ保守ほしゅとしてひろ定義ていぎすることができる。[13]社会しゃかいインフラストラクチャーは、社会しゃかい快適かいてきさをたかめ、経済けいざい活動かつどうもとづいて行動こうどうするためにつくられている。これらは学校がっこう公園こうえんあそ公安こうあんのための建造けんぞうぶつ、ゴミ処理しょりじょう病院びょういん、スポーツエリアなど[12]

基本きほん[編集へんしゅう]

基本きほんてきなインフラストラクチャとは、主要しゅよう鉄道てつどう道路どうろ運河うんが港湾こうわん、ドック、電信でんしん排水はいすい堤防ていぼう、および土地とち開拓かいたくす。それはインフラストラクチャのよりよくられた機能きのうから[12]わたしたちが日々ひび遭遇そうぐうする世界せかいのもの(建物たてもの道路どうろ、ドックなど)。

関連かんれんする概念がいねん[編集へんしゅう]

インフラストラクチャという用語ようごは、以下いか重複じゅうふくまたは関連かんれんする概念がいねん混同こんどうされる可能かのうせいがある。

土地とち改良かいりょう土地とち開発かいはつは、いくつかの状況じょうきょうでインフラストラクチャーをふくむことが一般いっぱんてき用語ようごである。たとえば、地域ちいき地区ちく役立やくだ灌漑かんがい用水路ようすいろはインフラストラクチャーにふくまれるが、個々ここ土地とち区画くかく民間みんかん灌漑かんがいシステムはインフラストラクチャーではなく土地とち改良かいりょうなされる。また、自治体じちたいサービスおよび公益こうえき事業じぎょうネットワークへのサービス接続せつぞくも、インフラストラクチャではなく、土地とち改良かいりょうなされる。[14][15]

公共こうきょう事業じぎょうという用語ようごには、政府せいふ所有しょゆうおよび運営うんえいするインフラストラクチャ、さらには学校がっこう法廷ほうていなどの公共こうきょう建物たてものふくまれる。公共こうきょう事業じぎょう一般いっぱんに、公共こうきょうサービス提供ていきょうするために必要ひつよう物的ぶってき資産しさんす。公共こうきょうサービスには、インフラストラクチャと一般いっぱん政府せいふによって提供ていきょうされるサービスの両方りょうほうふくまれる。

所有しょゆうけん資金しきん調達ちょうたつ[編集へんしゅう]

インフラストラクチャーは、政府せいふによって、あるいは単独たんどく公益こうえき事業じぎょう鉄道てつどう会社かいしゃなどの民間みんかん会社かいしゃによって所有しょゆうおよび管理かんりされることがある。一般いっぱんに、ほとんどの道路どうろ主要しゅよう空港くうこうおよびみなと配水はいすいシステム、および下水道げすいどうネットワークは公的こうてき所有しょゆうされているが、ほとんどのエネルギーおよび電気でんき通信つうしんネットワークは私有しゆうである。[よう出典しゅってん] 民間みんかんインフラストラクチャーは、一般いっぱんてき計量けいりょうされた使用しようりょうによって支払しはらわれるのにたい政府せいふによるインフラストラクチャは、税金ぜいきん通行つうこうりょう、または計量けいりょう利用りようりょうから支払しはらわれることがある。[よう出典しゅってん] 主要しゅよう投資とうしプロジェクトは一般いっぱんてき長期ちょうきさい発行はっこうによって資金しきん供給きょうきゅうされている。.[よう出典しゅってん]

タイプ[編集へんしゅう]

市民しみん防衛ぼうえい経済けいざい発展はってん[編集へんしゅう]

市民しみん防衛ぼうえい計画けいかく立案りつあんしゃおよび開発かいはつ経済けいざい学者がくしゃ一般いっぱんに、学校がっこう病院びょういんなどの公共こうきょうサービス警察けいさつ消防しょうぼうなどの緊急きんきゅうサービス、および基本きほんてき金融きんゆうサービスふくむ、ハードインフラストラクチャとソフトインフラストラクチャの両方りょうほうす。中央ちゅうおうおよび地域ちいきレベルでの政府せいふ機関きかんによる長期ちょうきてきなインフラ投資とうし官民かんみんのパートナーシップをわせたインフラベースの開発かいはつ概念がいねんは、アジア(とくシンガポール中国ちゅうごく )、ヨーロッパ本土ほんど、およびラテンアメリカのエコノミストのあいだ人気にんきがある。

軍事ぐんじ[編集へんしゅう]

軍事ぐんじインフラストラクチャーは、軍隊ぐんたい基地きち駐留ちゅうりゅうしているか、配備はいびされているか、または作戦さくせん従事じゅうじしているかにかかわらず、軍事ぐんじりょく支援しえん必要ひつよう建物たてものおよび恒久こうきゅう設備せつびである。たとえば、兵舎へいしゃ本部ほんぶ飛行場ひこうじょう通信つうしん施設しせつ軍事ぐんじ装備そうびひんみせ港湾こうわん施設しせつ整備せいびステーションなどである。[16][16]

コミュニケーション[編集へんしゅう]

通信つうしんインフラストラクチャーは、情報じょうほう技術ぎじゅつ、ソフトウェア開発かいはつツールと同様どうように、非公式ひこうしき正式せいしき通信つうしんチャネル、政治せいじてきおよび社会しゃかいてきネットワーク、または特定とくていのグループのメンバーによって保持ほじされる信念しんねんである。都市としくに企業きぎょう、あるいは共通きょうつう利益りえき人々ひとびとあつまりにかかわらず、インフラストラクチャーが組織そしき構造こうぞうとそれが提供ていきょうするシステムまたは組織そしきのサポートを提供ていきょうするというかんがかたが、まだこれらのより概念的がいねんてき用途ようと根底こんていにある。れいとしては、ITインフラ ストラクチャー、研究けんきゅうインフラストラクチャー、テロインフラストラクチャー、雇用こようインフラストラクチャー、観光かんこうインフラストラクチャーなどがある。[よう出典しゅってん]

発展はってん途上とじょうこく[編集へんしゅう]

海外かいがい開発かいはつ研究所けんきゅうじょ研究けんきゅうしゃによると、おおくの開発途上国かいはつとじょうこくにおけるインフラストラクチャーの欠如けつじょは、経済けいざい成長せいちょうミレニアム開発かいはつ目標もくひょう(MDG)の達成たっせいたいするもっと重大じゅうだい制限せいげんの1つをあらわしている。インフラストラクチャへの投資とうしとメンテナンスは、とくアフリカ内陸ないりくこく農村のうそんこく人口じんこうすくないくになどでは非常ひじょう高価こうかになる可能かのうせいがある。インフラストラクチャー投資とうしは1990ねんから2005ねんあいだのアフリカの成長せいちょう実績じっせき半分はんぶん以上いじょう貢献こうけんしており、成長せいちょう維持いじ貧困ひんこんむためには投資とうし増加ぞうか必要ひつようであるとわれてきた。インフラストラクチャへの投資とうし収益しゅうえきりつ非常ひじょうおおきく、電気でんき通信つうしん (ICT)への投資とうし収益しゅうえきりつ平均へいきん30〜40パーセント、発電はつでんへの投資とうし収益しゅうえきりつは40パーセント以上いじょう道路どうろへの投資とうし収益しゅうえきりつは80パーセントである。[17]

地域ちいき[編集へんしゅう]

消費しょうひしゃ企業きぎょう両方りょうほうによるインフラストラクチャの需要じゅようは、投資とうしされたりょうよりはるかにたかい。[17]アジアのインフラストラクチャー供給きょうきゅうには供給きょうきゅうがわにはきびしい制約せいやくがある。[18]アジア太平洋たいへいよう地域ちいきへの投資とうしがくやく480おくあめりかドル)と必要ひつようがく(2,280おくあめりかドル)のあいだのインフラストラクチャー融資ゆうしギャップは、毎年まいとしやく1,800おくあめりかドルである。[17]

ラテンアメリカでは、需要じゅようたすためにGDPの 3%(やく710おくあめりかドル)をインフラストラクチャに投資とうしする必要ひつようがあるが、2005ねんには、やく2%の投資とうしだけでやく240おくあめりかドルの資金しきんギャップがのこされました。[17]

アフリカでは、2015ねんまでにMDGsを達成たっせいするために必要ひつよう計算けいさんされる7%の年間ねんかん成長せいちょうりつ達成たっせいするためには、GDPのやく15%、つまり年間ねんかんやく930おくあめりかドルのインフラストラクチャー投資とうし必要ひつようになる。こわれやすいしゅうでは、GDPの37%以上いじょう必要ひつようかんがえられる。[17]

資金しきんげん[編集へんしゅう]

資金しきんげん部門ぶもんによっておおきくことなる。一部いちぶのセクターは政府せいふ支出ししゅつ海外かいがい開発かいはつ援助えんじょ(ODA)、そしてその民間みんかん投資とうしによってめられている。[17]カリフォルニアしゅうでは、固定こてい資産しさんぜい増税ぞうぜい利用りようして特定とくてい地域ちいきない物理ぶつりてき施設しせつやサービスの支払しはらいをおこなうために、地方自治体ちほうじちたいによってインフラストラクチャー融資ゆうし地区ちく設立せつりつされている。[19]途上とじょうこくのインフラストラクチャー市場いちばへの民間みんかん部門ぶもん投資とうし促進そくしんするためには、それらの市場いちばのよりたかいリスクを考慮こうりょして、リスク配分はいぶんメカニズムをより慎重しんちょう設計せっけいすることが必要ひつようである。[20]

政府せいふからの支出ししゅつは、以前いぜんよりもすくなくなっている。世界せかいのGDP比率ひりつ比較ひかくすると、米国べいこくは2.4%の平均へいきん割合わりあいで、最後さいごから2番目ばんめ場所ばしょむすびついている。これは、政府せいふふるいインフラストラクチャーの修復しゅうふくやインフラ全体ぜんたいへの支出ししゅつらすことを意味いみする。[21]

サハラ以南いなんのアフリカでは、政府せいふ総額そうがく249おくドルのうち、やく94おくドルを支出ししゅつしている。灌漑かんがいでは、政府せいふがほぼすべての支出ししゅつめている。輸送ゆそうおよびエネルギー分野ぶんやでは、投資とうしだい部分ぶぶん政府せいふ支出ししゅつである。ICTと上水道じょうすいどう衛生えいせいでは、民間みんかん部門ぶもん設備せつび投資とうしだい部分ぶぶんめている。全体ぜんたいとして、それらのあいだ援助えんじょ民間みんかん部門ぶもん、そしてOECD資金しきん調達ちょうたつしゃ政府せいふ支出ししゅつ上回うわまわっている。だい部分ぶぶんはICTインフラストラクチャー投資とうし集中しゅうちゅうしているが、民間みんかん部門ぶもん支出ししゅつのみがしゅう設備せつび投資とうしひとしい。2000年代ねんだい(10年間ねんかん)の対外たいがい資金しきん調達ちょうたつ増加ぞうかし、アフリカだけでも2002ねんの70おくドルから2009ねんには270おくドルに増加ぞうかした。とく中国ちゅうごく重要じゅうよう投資とうしとして浮上ふじょうしている。[17]

歴史れきし[編集へんしゅう]

人類じんるいしゅうじゅうはじめた歴史れきしとインフラストラクチャーの歴史れきしは軌をおなじくするが、いくつか特徴とくちょうてき歴史れきしのこっている。メソポタミアでは最古さいこ図書館としょかん・ダム・トンネルといったインフラストラクチャーがまれ、とくに「世界せかいはつ帝国ていこく」とわれるアッシリア時代じだい顕著けんちょであり、おうみち先駆さきがけとなる公道こうどう建設けんせつおこなっていた。

ローマ[編集へんしゅう]

インフラストラクチャー整備せいびもっと有名ゆうめいくにとしてローマげられる。古代こだいローマは、道路どうろ上下水道じょうげすいどうローマ水道すいどう)・娯楽ごらく施設しせつ整備せいびなどで現代げんだいおおつうじるものがある。また、その建築けんちく技術ぎじゅつ水準すいじゅんたかさは、近代きんだいいたるまでの歴史れきしじょうのピークであったとえる(ローマ建築けんちく)。とく道路どうろもうは、ローマぐんによる規格きかくてき整備せいびにより、広大こうだいなローマの版図はんと維持いじするために多大ただい役割やくわりたした(ローマ街道かいどう)。しかし、帝国ていこく末期まっきにはそうしただい規模きぼなインフラストラクチャーの維持いじコストかさみ、財政ざいせい危機きき軍事ぐんじりょく衰退すいたいによる帝国ていこく滅亡めつぼうがねひとつとなったとされる。

ローマの建築けんちくには、石材せきざいではなくコンクリート高度こうど技術ぎじゅつ存在そんざいしていたことが特筆とくひつされる。

鉄道てつどう整備せいび[編集へんしゅう]

19世紀せいきなかばに実用じつようされた鉄道てつどうは、みじかあいだ世界中せかいじゅう整備せいびされることになった。その革命かくめいてきな「スピード」の改善かいぜんは、芽生めばえつつあった国民こくみん国家こっか制度せいど側面そくめんからささえた。また、わずかな距離きょりでも寸断すんだんされることが致命ちめいてき鉄道てつどう性格せいかくは、沿線えんせん軍事ぐんじてき警備けいび必要ひつようとしたため、帝国ていこく主義しゅぎ世界せかい分割ぶんかつ加速かそくさせることになった。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

1930年代ねんだい世界せかい恐慌きょうこうさいして、フランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうは、だい規模きぼなインフラストラクチャー整備せいびによって失業しつぎょうしゃ救済きゅうさいはかった。こののち世界中せかいじゅうでインフラが需要じゅようめん経済けいざい政策せいさくとして重要じゅうようになり、経済けいざい成長せいちょうささえたとわれる。こうした、経済けいざい政策せいさくはケインズの経済けいざい理論りろんをもとに実行じっこうされたが、かれ政府せいふによる公共こうきょう投資とうしがアメリカ経済けいざい世界せかい恐慌きょうこうきょうから脱出だっしゅつさせたわけではなく、そのだい世界せかい大戦たいせんでの戦時せんじ好景気こうけいきがアメリカ経済けいざい復活ふっかつかぎとなったというせつとなえる学者がくしゃもいる。

アメリカ発電はつでんしょラジオ高速こうそく道路どうろ公園こうえん道路どうろ)・電話でんわインターネットといったインフラをしてきた。

1920年代ねんだい-1930年代ねんだいつくられたアメリカの近代きんだいてきインフラストラクチャーは、50ねんあま経過けいかすると寿命じゅみょう一斉いっせい寿命じゅみょうむかはじめ、1980年代ねんだいには道路どうろ橋梁きょうりょう劣化れっか深刻しんこくして社会しゃかい問題もんだいになった。当時とうじのレーガン政権せいけんは、地方ちほうたいして連邦れんぽう政府せいふ関与かんよらす「ちいさな政府せいふ」を目指めざ政策せいさくっていたが、インフラストラクチャーの老朽ろうきゅう対策たいさくについては、陸上りくじょう交通こうつう支援しえんほう制定せいていしたほかガソリンぜい値上ねあげして財源ざいげん確保かくほするなど積極せっきょくてき関与かんよする方針ほうしんした。こうした施策しさくこうそうして1990年代ねんだい以降いこうは、インフラストラクチャーの老朽ろうきゅうによる社会しゃかい損失そんしつ徐々じょじょ低下ていかしていった[7]

バラク・オバマ米国べいこく大統領だいとうりょうは、ビジネス魅力みりょくてきにするために(物流ぶつりゅう基盤きばんである)鉄道てつどう高速こうそく道路どうろ改修かいしゅう必要ひつようだとし、だい2オバマ政権せいけんでは道路どうろはしそののインフラストラクチャーへの政府せいふ支出ししゅつやす計画けいかくである[8]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Infrastructure | Define Infrastructure at Dictionary.com
  2. ^ O'Sullivan, Arthur; Sheffrin, Steven M. (2003). Economics: Principles in Action. Upper Saddle River, NJ: Pearson Prentice Hall. p. 474. ISBN 978-0-13-063085-8 
  3. ^ 広辞苑こうじえん だいななはん
  4. ^ Fulmer, Jeffrey (2009). “What in the world is infrastructure?”. PEI Infrastructure Investor (July/August): 30–32. 
  5. ^ Davos 2015: Gordon Brown urges world leaders to invest infrastructure The Guardian, 21 Jan 2015
  6. ^ China building biggest infrastructure project in history
  7. ^ ガーディアンThe $900bn question: what is the Belt and Road initiative?(2017ねん5がつ20日はつか
  8. ^ NHKスペシャル 調査ちょうさ報告ほうこく 日本にっぽんのインフラがあぶない - NHK名作めいさくせん動画どうが静止せいし) NHKアーカイブス
  9. ^ Infrastructure for the 21st Century, Washington, D.C.: National Academy Press, 1987.
  10. ^ 2017 Infrastructure Report, 112pp, American Society of Civil Engineers, 2017
  11. ^ What is economic infrastructure? definition and meaning” (英語えいご). BusinessDictionary.com. 2018ねん4がつ25にち閲覧えつらん
  12. ^ a b c Torrisi (2009ねん1がつ). “Public infrastructure: definition, classification and measurement issues”. 2019ねん6がつ2にち閲覧えつらん
  13. ^ What is social infrastructure? | ThinkingAloudUK | Thinking Aloud” (英語えいご). www.aberdeen-asset.fr. 2018ねん4がつ25にち閲覧えつらん
  14. ^ Land improvement, Online BusinessDictionary.com, [1] (accessed January 31, 2009)
  15. ^ Land development, Online BusinessDictionary.com, What is land development? definition and meaning - BusinessDictionary.com (accessed January 31, 2009)
  16. ^ a b D.O.D. Dictionary of Military and Associated Terms, 2001 (rev. 2005)
  17. ^ a b c d e f g Christian K.M. Kingombe 2011. Mapping the new infrastructure financing landscape. London: Overseas Development Institute
  18. ^ Peter McCawley (2010), 'Infrastructure Policy in Developing countries', Asian-Pacific Economic Literature, 24(1), May. See also Asian-Pacific Economic Literature Policy Brief No 19, May 2010, on 'Infrastructure policy in developing countries in Asia'.
  19. ^ Barclay, Cecily; Gray, Matthew (2016). California Land Use and Planning Law (35 ed.). California: Solano Press. pp. 585. ISBN 978-1-938166-11-2 
  20. ^ Koh, Jae Myong (2018) Green Infrastructure Financing: Institutional Investors, PPPs and Bankable Projects, Palgrave Macmillan.
  21. ^ “Large economic gains can come from mundane improvements in policy” (英語えいご). The Economist. https://www.economist.com/leaders/2018/10/20/large-economic-gains-can-come-from-mundane-improvements-in-policy 2018ねん10がつ25にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Koh、Jae Myong(2018) グリーンインフラストラクチャー資金しきん調達ちょうたつ機関きかん投資とうし、PPPおよび銀行ぎんこう取引とりひき可能かのうプロジェクト、ロンドン:Palgrave Macmillan。ISBN 978-3-319-71769-2
  • Nurre、Sarah G.「インフラストラクチャシステムの復元ふくげん統合とうごうネットワーク設計せっけいとスケジューリング(INDS)の問題もんだいオペレーショナルリサーチのヨーロッパジャーナル。(12/2012)、223(3)、pp。  794–806。
  • Ascher, Kate; researched by Wendy Marech (2007). The works: anatomy of a city (Reprint. ed.). New York: Penguin Press. ISBN 978-0-14-311270-9  Ascher, Kate; researched by Wendy Marech (2007). The works: anatomy of a city (Reprint. ed.). New York: Penguin Press. ISBN 978-0-14-311270-9  Ascher, Kate; researched by Wendy Marech (2007). The works: anatomy of a city (Reprint. ed.). New York: Penguin Press. ISBN 978-0-14-311270-9 
  • Larry W. Beefermanちょ「インフラストラクチャーへの年金ねんきん基金ききん投資とうし資料しりょう」、資本しほん問題もんだい臨時りんじ論文ろんぶんシリーズ)、だい3かい2008ねん12月
  • A. エバールハルト、「発展はってん途上とじょうこくにおけるインフラ規制きせい」、PPIAFワーキングペーパーだい4ごう (2007ねん世界銀行せかいぎんこう
  • M. Nicolas J. FirzliとVincent Bazi、「緊縮きんしゅく時代じだいのインフラ投資とうし年金ねんきんとソブリンファンドの展望てんぼう」、2011ねんだい4四半期しはんき発行はっこうRevue AnalyzeFinancière、pp。  34–37およびUSAK / JTW 2011ねん7がつ30にち(オンラインばん
  • Hayes, Brian (2005). Infrastructure: the book of everything for the industrial landscape (1st ed.). New York City: Norton. ISBN 978-0-393-32959-9  Hayes, Brian (2005). Infrastructure: the book of everything for the industrial landscape (1st ed.). New York City: Norton. ISBN 978-0-393-32959-9  Hayes, Brian (2005). Infrastructure: the book of everything for the industrial landscape (1st ed.). New York City: Norton. ISBN 978-0-393-32959-9 
  • Huler, Scott (2010). On the grid: a plot of land, an average neighborhood, and the systems that make our world work. Emmaus, PA: Rodale. ISBN 978-1-60529-647-0  Huler, Scott (2010). On the grid: a plot of land, an average neighborhood, and the systems that make our world work. Emmaus, PA: Rodale. ISBN 978-1-60529-647-0  Huler, Scott (2010). On the grid: a plot of land, an average neighborhood, and the systems that make our world work. Emmaus, PA: Rodale. ISBN 978-1-60529-647-0 
  • Georg Inderst、"インフラストラクチャーへの年金ねんきん基金ききん投資とうし"、保険ほけんおよび私的してき年金ねんきんかんするOECDワーキングペーパー、No. 32(2009)
  • Dalakoglou, Dimitris (2017). The Road: An Ethnography of (Im)mobility, space and cross-border infrastructures. Manchester: Manchester University Press/ Oxford university Press 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]