ゲットー

ゲットー（ghetto）は、ヨーロッパ諸しょ都市とし内ないでユダヤ人じんが強制きょうせい的てきに住すまわされた居住きょじゅう地区ちくである。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん時とき、東欧とうおう諸国しょこくに侵攻しんこうしたナチス・ドイツがユダヤ人じん絶滅ぜつめつを策さくして設もうけた強制きょうせい収容しゅうよう所しょもこう呼よばれる。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの大都市だいとしにおけるマイノリティの密集みっしゅう居住きょじゅう地ちをさすこともある。

概要がいよう

ゲットーとは

ゲットーの名称めいしょうは、主おもに以下いかの4つの文脈ぶんみゃくで用もちいられるが、本来ほんらいは、中世ちゅうせいヨーロッパにおいてユダヤ人じんが法律ほうりつによって居住きょじゅうを強制きょうせいされた市街しがい地区ちくを指さす言葉ことばであった。本ほん記事きじでは主おもに、この中世ちゅうせいヨーロッパの諸しょ都市としに設もうけられたユダヤ人じん強制きょうせい居住きょじゅう区域くいきとしてのゲットー (1.) 、ならびに、ナチス・ドイツによって復活ふっかつされた強制きょうせい収容しゅうよう所しょとしてのゲットー (2.) について記述きじゅつする。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの移民いみん系けい密集みっしゅう居住きょじゅう地区ちく (4.) に関かんしては、本ほん記事きじ中ちゅうの節ふし「その他たのゲットー」または、スラムを参照さんしょうされたい。

中世ちゅうせいの西欧せいおう・南欧なんおう諸国しょこくで、都市としの中なかでユダヤ人じんが強制きょうせい的てきに住すまわされた居住きょじゅう区く。キリスト教徒きりすときょうとの支配しはい者しゃの支配しはいが及およばないという、宗教しゅうきょう的てきな意味いみを持もっていた。宗教しゅうきょう弾圧だんあつの象徴しょうちょう。
ドイツが第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なか東欧とうおう諸国しょこくに侵攻しんこうした際さいに、ユダヤ人じんを強制きょうせい的てきに移住いじゅうさせた地区ちく。
東欧とうおうのシュテットルや、ユダヤ人じんが自然しぜんと集あつまり住じゅうしてコミュニティーを作つくった地区ちくをこう呼よぶことがある。特とくにロシア帝国ていこくのユダヤ教徒きょうと居住きょじゅう区くやチェルニウツィー、レンベルク（現げんリヴィウ）といった大都市だいとしのユダヤ教徒きょうと地区ちくは、様々さまざまなユダヤ教徒きょうとへの差別さべつ化か政策せいさく（居住きょじゅう地ち制限せいげんなど）が採とられたため、このような通称つうしょうで呼よばれることがある。
転てんじて、少数しょうすう民族みんぞくなど特定とくていの社会しゃかい集団しゅうだんが住すむ地域ちいきを呼よぶことがある。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいては主おもにアフリカン・アメリカン（黒人こくじん）の居住きょじゅう区くをさす。

ゲットーの語源ごげん

「ゲットー」（ghetto）の語源ごげんについては諸説しょせつある。

ヴェネツィア・ゲットーが設置せっちされた大砲たいほう鋳造ちゅうぞう所しょ（ヴェネツィア方言ほうげんで「Gheto」）に由来ゆらいする^[1]。
ヘブライ語ごで「分離ぶんり」を意味いみする「ghet」に由来ゆらいする^[1]。
イタリア語ごで「小しょう地区ちく」を意味いみする「borghetto」に由来ゆらいする^[2]^[3]。
ドイツ語ごで「格子こうし」を意味いみする「Gitter」に由来ゆらいする^[2]。

ユダヤ人じん強制きょうせい居住きょじゅう区域くいき

ゲットーが形成けいせいされたのは、文化ぶんか的てき、宗教しゅうきょう的てきに少数しょうすう派はであるユダヤ人じんが中世ちゅうせいヨーロッパにおいて異質いしつなものとしてみなされたためである。結果けっかとしてユダヤ人じんは多おおくの都市としで厳きびしい規則きそくのもとに置おかれた。ゲットーは時勢じせいによって性格せいかくを異ことにし、ヴェネツィア・ゲットーのように比較的ひかくてき裕福ゆうふくな住民じゅうみんが集あつまるものがあった一方いっぽうで、ひどい貧困ひんこん状態じょうたいにあり人口じんこう増加ぞうかにともなって街路がいろが狭せまく住宅じゅうたくが高層こうそう密集みっしゅうするものも存在そんざいしていた。ポグロムから身みを守まもるために内側うちがわから、あるいはクリスマスや過か越えつそして復活ふっかつ祭さいの際さいにユダヤ人じんが出でてこられないように外側そとがわから、ゲットーの周囲しゅういには壁かべが築きずかれた。

歴史れきし

起源きげん

古代こだいのアレクサンドリアやローマなどにはすでにユダヤ教徒きょうとの巨大きょだい居住きょじゅう区くが存在そんざいしていた。中世ちゅうせいヨーロッパ前期ぜんきやイスラム圏けんでもユダヤ教徒きょうと居住きょじゅう区くは存在そんざいした。しかしこれらは強制きょうせいされてできたものではなく、ユダヤ人じんが自みずからの意思いしで集あつまって出来できた居住きょじゅう区くであった。何なにか制限せいげんが課かせられるといったことも無なかった^[1]。

しかし1096年ねんの第だい1回かい十字軍じゅうじぐん遠征えんせい以降いこう、ヨーロッパでは十字軍じゅうじぐん遠征えんせいのたびにユダヤ人じんは迫害はくがいを受うけ、また社会しゃかい不安ふあんが高たかまるごとにユダヤ人じんは迫害はくがいの対象たいしょうとされていった。13世紀せいき後半こうはん以降いこう、まずドイツでユダヤ人じんの強制きょうせい隔離かくりが実施じっしされるようになった^[1]。こうしてできたユダヤ人じんの強制きょうせい隔離かくり居住きょじゅう区くは、周囲しゅういが壁かべで囲かこまれ、出入でいりが制限せいげんされ、また黄色おうしょくの印しるしなどユダヤ人じんであることを示しめすマークを付つけさせられるなどの様々さまざまな制限せいげんが課かせられていた^[1]。

14世紀せいきのペスト大だい流行りゅうこうでペストを持もち込こんだとされたユダヤ人じんへの迫害はくがいが強つよまり、ヨーロッパ中ちゅうでユダヤ人じんの隔離かくり政策せいさくが取とられるようになっていき、ユダヤ人じん隔離かくり居住きょじゅう区くは教会きょうかいから離はなれた場所ばしょに設もうけられることが一般いっぱん化かした^[1]。この頃ころにできたユダヤ人じん隔離かくり居住きょじゅう区くとしてはフランクフルト・アム・マインのユーデンガッセやプラハのヨゼフォフが特とくに有名ゆうめいである。もっともこれらは創設そうせつ当時とうじゲットーとは呼よばれていなかった^[1]。

ゲットーの法制ほうせい化かと拡大かくだい

はじめてゲットーと呼よばれるようになったユダヤ人じん隔離かくり居住きょじゅう区くはヴェネツィア共和きょうわ国こくのヴェネツィア・ゲットーである。1555年ねんには反はんユダヤ主義しゅぎ者しゃのローマ教皇きょうこうパウルス4世せいがヴェネツィアのゲットーを真似まねてローマ・ゲットーを創設そうせつした。これを機きに教皇きょうこう領りょう中なかにゲットーが創設そうせつされるようになり、1562年ねんには「ゲットー」の名称めいしょうが公式こうしきに法文ほうぶん化かされた^[4]。

その後ご、ヨーロッパでは、数かず世紀せいきにわたって、大半たいはんの国々くにぐにで同様どうようのゲットーが築きずかれることになった。

この頃ころのゲットーは、ほとんどが石壁いしかべに囲かこまれ、夜よるになると外部がいぶとの門もんが閉とじられ、昼ひるでもユダヤ人じんがゲットーの外そとに出でる際さいにはユダヤ人じんであることを示しめす印しるしを身みにつけることが強制きょうせいされた。また、ゲットーの内部ないぶでは、ユダヤ人じんはある程度ていどの自治じち権けんを得えていたものの、人口じんこうの増加ぞうかに伴ともなう居住きょじゅう地ちの立体りったい化か、高密度こうみつど化かにより衛生えいせい状態じょうたいが次第しだいに悪化あっかし、スラム化かする地域ちいきも数多かずおおく現あらわれた。

ナポレオンによるゲットーの解放かいほう

フランス革命かくめい後ご、18世紀せいき末まつ以降いこう西にしヨーロッパ諸国しょこくでは、フランス革命かくめいならびに当時とうじの自由じゆう主義しゅぎ運動うんどうを背せにしたナポレオンがユダヤ人じん解放かいほうとともに各地かくちのゲットーを解放かいほうした。1870年ねんごろにはローマのゲットーが、ヨーロッパに残のこる、法文ほうぶんによる最後さいごのゲットーとなっていた。しかし、ナポレオン失脚しっきゃく後ご、再ふたたびユダヤ人じんの生活せいかつには制限せいげんがかけられるようになり、アメリカへ移住いじゅうするユダヤ人じんが大量たいりょうに生うまれることになった。また、他方たほうでロシアや東欧とうおう諸国しょこくのゲットーは20世紀せいきにいたるまで存続そんぞくした。

ポーランド

第だい二に次じ大戦たいせんでドイツに占領せんりょうされるまでポーランドにはユダヤ人じん自治じち区く「シュテットル」こそあれ、「ゲットー」というものがまったく存在そんざいしていなかった。右みぎ上じょうの写真しゃしんのクラクフのカジミェシュ地区ちくのように、シュテットルのすぐそばに国家こっかにとって大事だいじな立場たちばにある教会きょうかいが建たてられていることもあった。13世紀せいきのカリシュの法令ほうれい以来いらいヨーロッパの他国たこくと異ことなり民族みんぞく的てきに寛容かんような政策せいさくを国家こっか・社会しゃかいの根幹こんかんとなす伝統でんとうとしていたポーランドでは、ユダヤ人じんはごく一部いちぶの大都市だいとしの旧きゅう市街しがいを除のぞいて、基本きほん的てきにどこでも自由じゆうに住すむことができた。その旧きゅう市街しがいでさえもユダヤ人じん居住きょじゅう制限せいげんが近世きんせいにどんどん緩和かんわされていった。

ナチスによるゲットーの復活ふっかつ

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん時とき、ナチスはユダヤ人じんを非常ひじょうに狭せまい地域ちいきに押おし込こめるために、東欧とうおう諸しょ都市としに「ゲットー」を復活ふっかつさせた。1939年ねん以降いこう、ナチスはポーランド国内こくないのユダヤ人じんを大おおきな都市としの特定とくてい地域ちいきに移動いどうさせ始はじめ、1940年ねん10月には占領せんりょう下か最大さいだい規模きぼのワルシャワ・ゲットーが設もうけられるなど、多おおくのゲットーが1940年ねんから1941年ねんにかけて設定せっていされた。

その後ご、ゲットーはホロコーストにおける事実じじつ上じょうの強制きょうせい収容しゅうよう所しょとなった。ゲットーの生活せいかつは過酷かこくを極きわめ、伝染でんせん病びょうや飢餓きがなどによって数すう多おおくのユダヤ人じんがその命いのちを落おとした。1942年ねん、ナチスはホロコーストの絶滅ぜつめつ収容しゅうよう所しょへ強制きょうせい移送いそうを始はじめる。ヨーロッパ各地かくちのユダヤ人じんが東欧とうおうのゲットーもしくは直接ちょくせつに絶滅ぜつめつ収容しゅうよう所しょへ移送いそうされ、ワルシャワ・ゲットーからだけでも52日間にちかんで30万まん人にんもの人ひとがトレブリンカ強制きょうせい収容しゅうよう所しょへ移送いそうされた。ワルシャワ・ゲットー蜂起ほうきをはじめとして、いくつかのゲットーでは武装ぶそう蜂起ほうきが発生はっせいした。しかしどれも失敗しっぱいに終おわり、ゲットーのユダヤ人じんはほぼ完全かんぜんに殺害さつがいされた。

ナチスによるゲットー

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかの1940年ねん以降いこう、東欧とうおう諸国しょこくに侵攻しんこうしたドイツは、占領せんりょう地ちにゲットーを設もうけて、現地げんちのユダヤ人じんを強制きょうせい的てきに移住いじゅうさせた。特とくにポーランドに侵攻しんこう・併合へいごうした後のち、ワルシャワのユダヤ人じんに居住きょじゅうを強制きょうせいしたゲットーはワルシャワ・ゲットーの名前なまえで知しられている。ワルシャワ・ゲットーは38万まんの住人じゅうにんを抱かかえるナチス占領せんりょう下かヨーロッパで最大さいだいのゲットーとなった。ワルシャワ・ゲットーのほかにも、当時とうじは数すう多おおくのゲットーが存在そんざいしていた。

ゲットーは出入でいり禁止きんしとされ、ユダヤ人じんたちは、ダビデの星ほしを腕うでなどにつけさせられ、1942年ねんの移送いそうと1943年ねんの親衛隊しんえいたい少将しょうしょうユルゲン・シュトロープによるゲットー掃討そうとうでトレブリンカやアウシュヴィッツ等ひとしのユダヤ人じん強制きょうせい収容しゅうよう所しょに移送いそうされるまでそこに住すんだ。監かん視しが厳きびしく、外そとは高たかく厚あつい壁かべと脱出だっしゅつ防止ぼうしの電線でんせんや有刺鉄線ゆうしてっせんが敷しかれ、逃亡とうぼうを見みつけられたユダヤ人じんはみな射殺しゃさつされた。

ゲットーの中なかは悲惨ひさんな状態じょうたいであった。ワルシャワでは人口じんこうの30%が市域しいきの2.4%に住すまわされ、平均へいきんして一いち部屋へやに9.2人ふたりが暮くらす密集みっしゅう具合ぐあいであった。かつて5家族かぞくが生活せいかつしていた空間くうかんに700人にんが暮くらすゲットーもあった。ワルシャワで配給はいきゅうされる食料しょくりょうは、ポーランド人じん一いち人にん当あたり669kcal (2,800kJ) 、ドイツ人じん一いち人にん当あたり2,613kcal (10,940kJ) であったのに対たいし、ユダヤ人じん一いち人にん当あたりでは253kcal (1,060kJ) であった。しかし外出がいしゅつすることが許ゆるされなかったためこの食料しょくりょうに頼たよるしかなかった。下水げすい設備せつびなどはほとんどなく、密集みっしゅうした生活せいかつ環境かんきょうと極端きょくたんな食料しょくりょう不足ふそくにより、伝染でんせん病びょうの流行りゅうこうや飢餓きがで何なん十じゅう万まんもの人じんが死しに至いたった。それでも、中なかにいたユダヤ人じんたちは少すこしでも前まえの生活せいかつに戻もどろうと、学校がっこうや診療しんりょう所しょを設もうけたり、コンサートを開ひらいたりもした。ゲットーの外そとでは非ひユダヤ系けいポーランド人じんたちによって「ジェゴタ」の暗号あんごうで呼よばれる秘密ひみつ組織そしき「ユダヤ人じん救済きゅうさい委員いいん会かい」が設立せつりつされ、彼かれらはありとあらゆる手段しゅだんでゲットーのユダヤ人じんたちを支援しえんした。イレーナ・センドラーや、1990年代ねんだいにポーランドの外相がいしょうとなる若わかき日ひのヴワディスワフ・バルトシェフスキもジェゴタの中心ちゅうしんメンバーで、ゲットー内ないのユダヤ人じんを助すけようと必死ひっしに活動かつどうした。（ユダヤ人じん救済きゅうさい活動かつどうが発覚はっかくすればドイツ人じんによってその場ばで銃殺じゅうさつされることになっており、自分じぶんだけでなく家族かぞくもドイツ人じんによってすべて殺ころされる可能かのう性せいがあった）。

ドイツ側がわの支配しはい者しゃはユダヤ人じんがゲットーで行おこなう活動かつどう（宗教しゅうきょう活動かつどう、文化ぶんか的てきな行事ぎょうじ、若者わかものの集あつまり）にほとんど関心かんしんを払はらわなかったが、一方いっぽうで人々ひとびとが集あつまる社会しゃかい的てきな活動かつどうを「安全あんぜんに対たいする脅威きょうい」とみなして参加さんかしたユダヤ人じんを気きまぐれに拘束こうそく及および殺害さつがいすることをいとわなかった。支配しはい者しゃは一般いっぱん的てきに子供こどもに対たいする教育きょういく活動かつどうを禁止きんししたが、住人じゅうにんが秘密裏ひみつりに学校がっこうを開ひらくこともあった^[5]。

子こどもの権利けんり条約じょうやくの元もとになった「子こどもの権利けんり」の提唱ていしょう者しゃ、ヤヌシュ・コルチャックとその孤児こじ院いんの子こどもたちもここから、トレブリンカ強制きょうせい収容しゅうよう所しょに送おくられた。

その他たのゲットー

→「スラム」も参照さんしょう

大都市だいとしに存在そんざいする貧困ひんこん層そうの密集みっしゅう居住きょじゅう地域ちいきを「ゲットー」と呼よぶことがある。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、ニューヨークやサンフランシスコなど大都市だいとしにゲットーと呼よばれる地域ちいきが存在そんざいする。居住きょじゅう者しゃは貧困ひんこん層そうに属ぞくするアフリカ系けいアメリカ人じん（ハーレムなど）やプエルトリコ人じん、ラテン系けいアメリカ人じん、アジア系けいアメリカ人じんの人々ひとびとである。シカゴ学派がくは都市とし社会しゃかい学がく者もののルイス・ワースによる研究けんきゅうをきっかけとして、これらの移民いみん系けい密集みっしゅう居住きょじゅう地区ちくが「ゲットー」と呼よばれるようになった。

フランス

フランスでは警察けいさつと若者わかものの衝突しょうとつが頻発ひんぱつした1980年代ねんだい末まつより、社会しゃかいの分裂ぶんれつをセンセーショナルに報ほうじるマスメディアによって、少年しょうねんによる大だい規模きぼな非行ひこう事件じけんなど治安ちあん問題もんだいが生しょうじた低てい家賃やちん住宅じゅうたく区域くいきに対たいして、ゲットーという言葉ことばが使用しようされるようになった^[6]。アメリカのゲットーと同様どうように、地域ちいきの住人じゅうにんには貧困ひんこん層そうや労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうが含ふくまれるが、アメリカのゲットーが40万まんから100万まん人にんの住民じゅうみんが居住きょじゅうするのに対たいし、フランスのゲットーの規模きぼはその10分ぶんの1を超こえるものは無ない^[6]。また、フランスのゲットーは概おおむね都市とし構造こうぞうが周囲しゅういと隔離かくりされてはおらず、民族みんぞく的てきにも多様たようである。

ジャマイカ

ジャマイカでは首都しゅとキングストンにトレンチタウンなどのゲットーと呼よばれる地域ちいきがある。

ニジェール

サブサハラからサハラ砂漠さはらさばく以北いほくの国々くにぐにを目指めざす経済けいざい難民なんみんが集積しゅうせきする難民なんみんキャンプをゲットーと表現ひょうげんすることがある^[7]。

脚注きゃくちゅう

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてんの「ゲットー」の項目こうもく
^ ^a ^b ワース、p.15
^ ディモント、下巻げかんp.53
^ ジョンソン、上うえp.406
^ “GHETTOS”. HOLOCAUST ENCYCLOPEDIA. 2024年ねん7月がつ15日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b セルジュ・ポーガム『貧困ひんこんの基本きほん形態けいたい：社会しゃかい的てき紐帯ちゅうたいの社会しゃかい学がく』川野かわの英二えいじ、中條ちゅうじょう健志たけし訳やく新泉しんいずみ社しゃ 2016 ISBN 9784787715111 pp.232-242.
^ “サハラ砂漠さはらさばくに92人にんの遺体いたい、行いき倒たおれたニジェール難民なんみん”. AFP (フランス通信つうしん社しゃ). (2013年ねん11月2日にち). オリジナルの2013年ねん11月9日にち時点じてんにおけるアーカイブ。 2013年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん

ポール・ジョンソン著しる、阿川あがわ尚之なおゆき、山田やまだ恵子けいこ、池田いけだ潤じゅん訳わけ『ユダヤ人じんの歴史れきし上巻じょうかん』徳間書店とくましょてん、1999年ねん。ISBN 978-4198610685。
マックス・ディモント著しる、藤本ふじもと和子かずこ訳わけ『ユダヤ人じん：神かみと歴史れきしのはざまで下巻げかん』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1984年ねん。ISBN 978-4022593665。
滝川たきがわ義人よしひと『ユダヤを知しる事典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、1994年ねん。ISBN 978-4490103632。
ルイス・ワース著しる、今野こんの敏彦としひこ訳わけ『ゲットー：ユダヤ人じんと疎外そがい社会しゃかい』マルジュ社しゃ、1981年ねん。ISBN 978-4896160826。
『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん』平凡社へいぼんしゃ。ISBN 978-4582027006。
徳永とくなが恂まこと『ヴェニスからアウシュヴィッツへ』講談社こうだんしゃ、2004年ねん。ISBN 978-4061596665。
リッカルド・カリマーニ著しる、藤ふじ内ない哲也てつや監訳かんやく、大杉おおすぎ淳子じゅんこ訳やく『ヴェニスのユダヤ人じん──ゲットーと地中海ちちゅうかいの500年ねん』名古屋大学出版会なごやだいがくしゅっぱんかい、2024年ねん。ISBN 978-4815811563。