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NIMBY

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原子力げんしりょく発電はつでん所しょ。NIMBYの典型てんけいとされる

NIMBY（[ˈnɪmbi]、またはnimby）[1]は、「not in my back yard（私わたしの家いえの裏うらには御免ごめん）」という語句ごくの頭字かしらじ語ごである[2][3]。「施設しせつの必要ひつよう性せいは容認ようにんするが、自みずからの居住きょじゅう地域ちいきには建たてないでくれ」と主張しゅちょうする住民じゅうみんたちや、その態度たいどを揶揄やゆする侮蔑ぶべつ語ご（総論そうろん賛成さんせい・各論かくろん反対はんたい）も意味いみする。日本語にほんごでは、これらの施設しせつについて「忌避きひ施設しせつ」「迷惑めいわく施設しせつ」[4]「嫌悪けんお施設しせつ」[5]などと呼称こしょうされることもある。これは、地元じもと住民じゅうみんが自分じぶんたちの地域ちいきに提案ていあんされたインフラ開発かいはつに反対はんたいし、厳格げんかくな土地とち利用りよう規制きせいを支持しじする姿勢しせいを表あらわしている。そのような住民じゅうみんは、開発かいはつが自分じぶんたちの近ちかくにあるからこそ反対はんたいしているのであり、もしそれがもっと遠とおくに建設けんせつされるのであれば容認ようにんしたり支持しじしたりするだろう、という含意がんいがある。住民じゅうみんはニンビーズ（nimbys）と呼よばれ、その観点かんてんはニンビズム（nimbyism）と呼よばれる。反対はんたいの運動うんどうは、「yes in my back yard（私わたしの裏庭うらにわではいいよ）」の略りゃくであるYIMBYとして知しられている[6]。

ニンビーズによって反対はんたいされた事業じぎょうの例れいには、住宅じゅうたく開発かいはつ[7]（特とくに手頃てごろな価格かかくの住宅じゅうたく[8]やトレーラーパーク[9]）、高速こうそく鉄道てつどう路線ろせん[10]、ホームレス緊急きんきゅう一いち時じ宿泊しゅくはく施設しせつ[11]、保育園ほいくえん[12]、学校がっこう、大学だいがくとカレッジ[13][14]、自転車じてんしゃ専用せんようレーンと交通こうつう安全あんぜんのためのインフラ整備せいびを促進そくしんする交通こうつう計画けいかく[15]、ソーラーファーム[16]、ウィンドファーム[17]、焼却しょうきゃく炉ろ、下水げすい処理しょりシステム[18]、水圧すいあつ破砕はさい法ほう[19]、地層ちそう処分しょぶん場じょう[20]などがある。

本来ほんらいは施設しせつに対たいして用もちいられる言葉ことばであるが、その施設しせつで勤務きんむをするもしくは利用りようする人々ひとびとが一般いっぱん的てきに社会しゃかい的てき弱者じゃくしゃ（性せい風俗ふうぞく店てんの娼婦しょうふや従業じゅうぎょう員いん、刑務所けいむしょで服役ふくえきする受刑じゅけい者しゃ、収容しゅうよう施設しせつの不法ふほう移民いみん）であるためにスティグマ論ろんとも関連かんれんし[21][22][23][24]、例たとえば施設しせつではない難民なんみんという人々ひとびとに対たいする態度たいどにおいても「NIMBY」という言葉ことばが使用しようされることがある[25]。

対象たいしょうとなる施設しせつ[編集へんしゅう]

ラスベガスの北西ほくせい80マイルにある提案ていあんされたユッカマウンテン放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつ処分しょぶん場じょう[26]は、政府せいふによって承認しょうにんされたが、その後ごネバダ州しゅうの市民しみんによって反対はんたいされた。連邦れんぽう政府せいふの資金しきんは2011年ねんに打うち切きられた

地元じもとの反対はんたいを引ひき起おこしやすい開発かいはつには以下いかのようなものがある。

これらの開発かいはつに反対はんたいする理由りゆうは様々さまざまで、以下いかにいくつか挙あげる。

  • 交通こうつう量りょうの増加ぞうか：雇用こよう、住宅じゅうたく、店舗てんぽが増ふえると、地元じもとの道路どうろの交通こうつう量りょうや駐車ちゅうしゃ場じょうの需要じゅようが増ふえる。倉庫そうこ、工場こうじょう、埋立うめたて地ちなどの産業さんぎょう施設しせつは、トラック交通こうつう量りょうを増加ぞうかさせることが多おおい。
  • 地元じもとの小規模しょうきぼ企業きぎょうへの悪影響あくえいきょう：大型おおがた店てんの開発かいはつは、地元じもとの店みせに過度かどの競争きょうそうをもたらす可能かのう性せいがある。同様どうように、新あたらしい道路どうろの建設けんせつは、古ふるい道路どうろの通行つうこう量りょうを減へらし、土地とち所有しょゆう者しゃの事業じぎょう損失そんしつにつながる可能かのう性せいがある。これにより、過度かどの移転いてんコストや、地元じもとの尊重そんちょうされる企業きぎょうの損失そんしつにつながる可能かのう性せいがある。
  • 住宅じゅうたく資産しさん価値かちの下落げらく：望のぞましくない開発かいはつの近ちかくの住宅じゅうたくは、購入こうにゅう検討けんとう者しゃにとって魅力みりょくが低ひくくなる可能かのう性せいがある。固定こてい資産しさん税ぜいの収入しゅうにゅう減げんは、プロジェクトによる収入しゅうにゅう増ぞうで相殺そうさいされるかもしれないし、されないかもしれない。
  • 土地とち、大気たいき、水みずの汚染おせん：発電はつでん所しょ、工場こうじょう、化学かがく施設しせつ、火葬かそう場じょう、下水げすい処理しょり施設しせつ、空港くうこう、その他た同様どうようのプロジェクトは、周辺しゅうへんの土地とち、大気たいき、水みずを汚染おせんする可能かのう性せいがある、または汚染おせんすると主張しゅちょうされる可能かのう性せいがある。特とくに悪臭あくしゅうを放はなつと想定そうていされる施設しせつには反対はんたいが起おこりやすい。
  • 光ひかり害がい：夜間やかんに稼働かどうするプロジェクトや、駐車ちゅうしゃ場じょうの街灯がいとうなどのセキュリティ照明しょうめいを含ふくむプロジェクトは、光ひかり害がいを引ひき起おこすと非難ひなんされる可能かのう性せいがある。
  • 騒音そうおん公害こうがい：交通こうつう騒音そうおんに加くわえて、プロジェクト自体じたいが本質ほんしつ的てきに騒音そうおんを伴ともなう場合ばあいがある。これは、風力ふうりょく発電はつでん（英語えいご版ばん）、空港くうこう（英語えいご版ばん）、道路どうろ、多おおくの産業さんぎょう施設しせつだけでなく、スタジアム、音楽おんがく祭さい、地元じもとの人々ひとびとが眠ねむりたい夜間やかんに特とくに騒音そうおんを発はっするナイトクラブなどに対たいする一般いっぱん的てきな反対はんたい理由りゆうである[27]。
  • 視覚しかく的てきな不快ふかい感かんと周辺しゅうへんの建築けんちくとの不調和ふちょうわ：提案ていあんされたプロジェクトが醜みにくい、あるいは特とくに大おおきい可能かのう性せいがある。または、その高たかさゆえに地域ちいきに影かげを落おとす可能かのう性せいがある[28]。
  • 地域ちいきの小ちいさな町まちの雰囲気ふんいきの喪失そうしつ：新あたらしい住宅じゅうたくの建設けんせつ計画けいかくなど、地域ちいきに新あたらしい人々ひとびとが移うつり住すむ可能かのう性せいのある提案ていあんは、地域ちいきの特性とくせいを変かえると主張しゅちょうされることが多おおい。
  • 公共こうきょう資源しげんや学校がっこうへの負担ふたん：これは地域ちいきの人口じんこうが増加ぞうかする場合ばあいに理由りゆうとして挙あげられるが、特とくに障害しょうがい者しゃ向むけのグループホームや移民いみんなど、特定とくていの種類しゅるいの人々ひとびとが地域ちいき社会しゃかいに加くわわる可能かのう性せいのあるプロジェクトに対たいして、追加ついかの子供こどもたちのために追加ついかの学校がっこう施設しせつが必要ひつようになるかもしれないと主張しゅちょうされる。
  • 地域ちいき外がいの人々ひとびとへの不ふ釣つり合あいな利益りえき：商業しょうぎょうプロジェクト（工場こうじょうや大型おおがた店てんなど）の場合ばあいは投資とうし家か、地域ちいき政府せいふプロジェクト（空港くうこう、高速こうそく道路どうろ、下水げすい処理しょり、埋立うめたて地ちなど）の場合ばあいは近隣きんりん地域ちいきの人々ひとびとなど、遠方えんぽうの人々ひとびとに利益りえきをもたらすようにプロジェクトが見みえる。
  • 犯罪はんざいの増加ぞうか：これは通常つうじょう、低てい技能ぎのう労働ろうどう者しゃやマイノリティを引ひき付つけたり雇用こようしたりすると思おもわれるプロジェクト、精神せいしん障害しょうがい者しゃ、貧困ひんこん層そう、薬物やくぶつ依存いぞん者しゃなど犯罪はんざいを犯おかしがちだと考かんがえられている人々ひとびとを対象たいしょうとするプロジェクトに適用てきようされる。さらに、パブや医療いりょう大麻たいまディスペンサリーなどの特定とくていの種類しゅるいのプロジェクトは、地域ちいきの犯罪はんざい量りょうを直接ちょくせつ増加ぞうかさせると認識にんしきされる可能かのう性せいがある。
  • 掘削くっさく作業さぎょう、化学かがく工業こうぎょう、ダム[29]、原子力げんしりょく発電はつでん所しょなどに伴ともなう（環境かんきょう）災害さいがいのリスク。
  • 歴史れきし地区ちく：影響えいきょうを受うける地域ちいきが、保存ほぞんされている多おおくの古ふるい建物たてもののために文化ぶんか遺産いさん登録とうろく簿ぼに登録とうろくされている[30][31][32]。

一般いっぱん的てきに、多おおくのNIMBYの反対はんたい意見いけんは推測すいそくや恐おそれに基もとづいている。建設けんせつ開始かいし前まえの方ほうが反対はんたいが成功せいこうしやすいからである。プロジェクトの完成かんせい後ごに異議いぎを唱となえるのでは、新あたらしい追加ついかが元もとに戻もどされる可能かのう性せいは低ひくいため、多おおくの場合ばあい手遅ておくれとなる。

リストから示唆しさされるように、反対はんたいは正せい反対はんたいの理由りゆうで起おこることがある。新あたらしい道路どうろやショッピングセンターは、ある人ひとにとっては交通こうつう量りょうと仕事しごとの機会きかいの増加ぞうかを意味いみし、別べつの人ひとにとっては交通こうつう量りょうの減少げんしょうを意味いみし、地元じもとの企業きぎょうに損害そんがいを与あたえる可能かのう性せいがある。

計画けいかくの影響えいきょうを受うける地域ちいきの人々ひとびとは、時ときには資金しきんを集あつめ、反対はんたい活動かつどうを組織そしき化かすることができる組織そしきを結成けっせいすることがある。NIMBYの人々ひとびとは弁護士べんごしを雇やとって正式せいしきな上訴じょうそを起おこし、メディアに働はたらきかけて自分じぶんたちの主張しゅちょうに対たいする大衆たいしゅうの支持しじを得えることができる。

起源きげんと歴史れきし[編集へんしゅう]

この頭字かしらじ語ごは、1979年ねん2月がつのバージニア州しゅうのデイリー・プレス（英語えいご版ばん）の新聞しんぶん記事きじで初はじめて登場とうじょうした。

機関きかんはより良よく調整ちょうせいされる必要ひつようがあり、「nimby」（not in my backyard＝私わたしの家いえの裏うらには御免ごめん）症候群しょうこうぐんは排除はいじょされなければならない

この記事きじは、アメリカ原子力げんしりょく委員いいん会かいのメンバーであるジョセフ・A・リーバーマンの発言はつげんを引用いんようしていた可能かのう性せいがある[33]。頭字かしらじ語ごなしの「not in my back yard syndrome」という語句ごくは、1980年ねん2月がつの環境かんきょう関連かんれん雑誌ざっしにも登場とうじょうしている[34]。オックスフォード英語えいご辞典じてんで最もっとも初期しょきの引用いんようは、1980年ねん11月のクリスチャン・サイエンス・モニターの記事きじだが、そこでも著者ちょしゃはこの用語ようごがすでに有害ゆうがい廃棄はいき物ぶつ業界ぎょうかいで使用しようされていることを示唆しさしている[35][36]。 この用語ようごの背後はいごにある、望のぞましくない土地とち利用りように対たいする地域ちいき的てきに組織そしきされた抵抗ていこうという概念がいねんは、おそらくもっと早はやい時期じきに生うまれたものと思おもわれる。一説いっせつでは、1950年代ねんだいに登場とうじょうしたという[37]。

1980年代ねんだい、この用語ようごは、保守党ほしゅとうの環境かんきょう大臣だいじんであった英国えいこくの政治せいじ家かニコラス・リドリー（英語えいご版ばん）によって広ひろめられた[38]。コメディアンのジョージ・カーリンは、1992年ねんのジャミン・イン・ニューヨーク（英語えいご版ばん）で、人々ひとびとがすでにこの言葉ことばを知しっていることを示唆しさして、この言葉ことばを使つかった[39]。

NIMBYという頭字かしらじ語ごは、1980年代ねんだい初頭しょとうから社会しゃかい科学かがく者しゃによっても使用しようされており、論争ろんそうの的まととなる施設しせつや土地とち利用りようの立地りっちに対たいする地域ちいき社会しゃかいの抵抗ていこうを表あらわしている[40]。

この言葉ことばの意味合いみあいは、1980年代ねんだいに導入どうにゅうされて以来いらい、厳きびしくなっている[41]。個々ここの開発かいはつや近隣きんりんへの影響えいきょうを超こえて、NIMBY組織そしきや政策せいさくは、人種じんしゅ隔離かくりを悪化あっかさせ、経済けいざい的てき不平等ふびょうどうを深ふかめ、全体ぜんたい的てきな手てごろな価格かかくの住宅じゅうたく（英語えいご版ばん）の供給きょうきゅうを制限せいげんしていると描えがかれるようになっている[41]。NIMBYの視点してんに対処たいしょする方法ほうほうについては、多おおくの書籍しょせきや記事きじがある。そのような記事きじの1つに、全米ぜんべい低てい所得しょとく者しゃ住宅じゅうたく連合れんごう（英語えいご版ばん）による手てごろな価格かかくの住宅じゅうたくに対たいするNIMBYの反対はんたいについて論ろんじたものがある[42]。

変形へんけい[編集へんしゅう]

NIMBYおよびその派生はせい語ごであるnimbyism、nimbys、nimbyistsは、一般いっぱん的てきな開発かいはつの議論ぎろんまたは特定とくていのケースを暗あんに指さす。そのため、それらの使用しようは本質ほんしつ的てきに論争ろんそうの的まととなる。この用語ようごは通常つうじょう、開発かいはつに反対はんたいする人々ひとびとに適用てきようされ、彼かれらの見方みかたが狭せまく、利己りこ的てき、または近視眼きんしがん的てきであることを示唆しさしている。その使用しようは、多おおくの場合ばあい蔑称べっしょう的てきである[43]。

NIMN[編集へんしゅう]

「Redlining」も参照さんしょう

Not in my neighborhood（私わたしの近所きんじょではない）、またはNIMNという用語ようごも頻繁ひんぱんに使用しようされる[44]。「NIMN」はさらに、特定とくていの近隣きんりんまたは居住きょじゅう地域ちいき内ないの人種じんしゅ的てきアイデンティティを強制きょうせい的てきに維持いじするために、他たの人種じんしゅのメンバーがその地域ちいきに移うつり住すむことを防ふせぐことを唯一ゆいいつの目的もくてきとした立法りっぽう措置そちまたは私的してき協定きょうていを指さす[45]。その点てんで、作家さっか兼けんジャーナリストのAntero Pietila著ちょ「Not in My Neighborhood」は、NIMN政治せいじがボルチモアの住宅じゅうたく事情じじょうに20世紀せいきを通つうじて与あたえた影響えいきょうと、それが引ひき起おこした人種じんしゅに基もとづく全市ぜんし的てきな分離ぶんりについて述のべている[46]。

NAMBI[編集へんしゅう]

NAMBI（「私わたしのビジネスや業界ぎょうかいに反対はんたいしない」の意い）は、そのビジネスを脅おびやかす行動こうどうや政策せいさくに不快ふかい感かんを表明ひょうめいするビジネス上じょうの懸念けねんのラベルとして使用しようされる。それによって、彼かれらは自分じぶんたちの利益りえきのためだけにその行動こうどうや政策せいさくの原則げんそくに文句もんくを言いっていると信しんじられ、同様どうように苦くるしむことになる他ほかの同様どうようのビジネス全すべてのためではないとされる[47]。この用語ようごは、ビジネスが不誠実ふせいじつに、自分じぶんたちの抗議こうぎが他たのすべてのビジネスの利益りえきのためであると装よそおっているときに、ビジネスが表明ひょうめいする種類しゅるいの怒いかりを批判ひはんするものとして機能きのうする。そのようなレッテルは、例たとえば、都市とし開発かいはつに関かかわるビジネスによって表明ひょうめいされた反対はんたいが活動かつどう家かによって異議いぎを唱となえられたとき、ビジネスが抗議こうぎし、都市とし開発かいはつを求もとめる場所ばしょで自分じぶんたちも異議いぎを唱となえられるかもしれないと仲間なかまのビジネスに支援しえんを訴うったえるような場合ばあいに起おこるだろう。この用語ようごはまた、NIMBYに対たいする修辞しゅうじ的てきな対抗たいこう手段しゅだんとしても機能きのうする。問題もんだいのビジネスや業界ぎょうかいに反対はんたいする人々ひとびとによって、NIMBYと同等どうとうのものとみなされている[要よう出典しゅってん]。

BANANAとCAVE[編集へんしゅう]

BANANAは、「build absolutely nothing anywhere near anything」（または「anyone」、「誰だれもがどこにも絶対ぜったいに何なにも建たてない」の意い）の頭字かしらじ語ごである[48][49]。この用語ようごは、ある利益りえき団体だんたいによる土地とち開発かいはつへの継続けいぞく的てきな反対はんたいを批判ひはんするために最もっともよく使用しようされる[50]。この用語ようごは、イギリスの計画けいかく（英語えいご版ばん）の文脈ぶんみゃくで一般いっぱん的てきに使用しようされる。サンダーランド市議会しぎかい（英語えいご版ばん）は、オンラインの専門せんもん用語ようご辞書じしょにこの用語ようごを掲載けいさいしている[51]。

アメリカでは、関連かんれんする現象げんしょうとして、「事実じじつ上じょうすべてに反対はんたいする市民しみん」を意味いみする頭字かしらじ語ごであるCAVE peopleまたは「CAVE dwellers」がある[52][53]。これは、自分じぶんたちのコミュニティ、組織そしき、職場しょくばでの変化へんかに定期ていき的てきに反対はんたいする市民しみんに対たいする蔑称べっしょうである[52][53]:65[54][55]。「CAVE dwellers」という用語ようごへの言及げんきゅうは、1990年ねん9月がつ30日にち付づけのOrlando Sentinel紙かみに見みることができる[56]。この用語ようごは、記事きじの掲載けいさい以前いぜんから存在そんざいしていたようである。

CAVE/BANANA の人々ひとびとは、他たの地元じもと住民じゅうみんや利害りがい関係かんけい者しゃがどう感かんじようと、あらゆる形かたちの変化へんかに対たいして容赦ようしゃない反対はんたいをすることで特徴付とくちょうづけられる。この態度たいどは、税金ぜいきん、下水道げすいどう料金りょうきん、公共こうきょう交通こうつう路線ろせん、駐車ちゅうしゃ規制きせい、自治体じちたいの合併がっぺいや併合へいごうなど、多岐たきにわたる公共こうきょう政策せいさくの変更へんこうに反対はんたいするという形かたちで現あらわれる。CAVE/BANANA の人々ひとびとは、地域ちいき社会しゃかい集会しゅうかいに出席しゅっせきしたり[57]、地元じもとの新聞しんぶんに手紙てがみを書かいたり、トークラジオ番組ばんぐみに電話でんわをかけたりすることで、NIMBY と同様どうように自分じぶんの意見いけんを公おおやけに表明ひょうめいすることが多おおい。変化へんかに反対はんたいする人々ひとびとは、その支持しじ者しゃよりも声高こわだかに主張しゅちょうすることが多おおいため、これによって世論せろんが歪ゆがめられる可能かのう性せいがある。

一般いっぱん的てきな例れいとしては、風力ふうりょくタービンがあり、ほとんどの人ひとはそれを支持しじしているが、自分じぶんの近ちかくに建設けんせつされることは望のぞんでいない[58]。

「CAVE people」と「BANANA」という言葉ことばは、2022年ねんの論説ろんせつでスタンフォード（コネチカット州しゅう）の住民じゅうみんを表現ひょうげんするために使つかわれた[59]。この論説ろんせつは元もと自治体じちたい職員しょくいんによって書かかれたもので、CAVE の人々ひとびとは「何なにも変かわらない限かぎり、二に重じゅう思考しこう的てきに矛盾むじゅんする点てんを主張しゅちょうすることに何なにの問題もんだいも感かんじない」と表現ひょうげんされている。

PIBBY[編集へんしゅう]

曖昧さ回避 「PIBBY」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。アダルトスイムのキャラクターと関連かんれんメディアの場合ばあいについては「2021 in animation#October」を、およびについては「Adult Swim#April Fools' Day stunts」をご覧らんください。

PIBBYは、「place in blacks' back yard（黒人こくじんの裏庭うらにわに置おけ）」の頭字かしらじ語ごである。この原則げんそくは、社会しゃかい的てき、人種じんしゅ的てき、経済けいざい的てき特権とっけんを持もつと考かんがえられる人々ひとびとが、自分じぶんたちの裏庭うらにわでの開発かいはつに反対はんたいし、問題もんだいのある施設しせつを建設けんせつするのであれば、その有害ゆうがい性せいが不ふ釣つり合あいに貧まずしい社会しゃかい的てき弱者じゃくしゃに影響えいきょうを与あたえるように建設けんせつされるべきだと考かんがえていることを示しめしている。経済けいざい的てきに恵めぐまれない人々ひとびとは、適切てきせつな方法ほうほうで異議いぎ申もうし立たてをするために弁護士べんごしを雇やとう意思いしや能力のうりょくがないかもしれないし、近ちかくで新あたらしい建設けんせつプロジェクトが行おこなわれること以上いじょうに差さし迫せまった問題もんだいを抱かかえているかもしれない。環境かんきょう正義まさよし運動うんどうは、ニンビズムが環境かんきょう的てきレイシズムにつながると指摘してきしてきた。クラーク・アトランタ大学だいがく環境かんきょう正義せいぎ資源しげんセンター所長しょちょうのロバート・D・ブラード（英語えいご版ばん）は、NIMBY現象げんしょうに対たいする公的こうてきな対応たいおうがPIBBYの原則げんそくにつながったと主張しゅちょうしている[60][61][62][63][64][65][66]。

SOBBY[編集へんしゅう]

SOBBYは「some other bugger's back yard（他たの誰だれかの裏庭うらにわ）」の頭字かしらじ語ごで、特定とくていのプロジェクトが望のぞましく、おそらく必要ひつようかもしれないが、自分じぶんの近所きんじょや地域ちいき以外いがいの場所ばしょに設置せっちされるべきだという考かんがえ方かたを指さす[67]。

リバースNIMBY[編集へんしゅう]

リバースNIMBYは、広ひろく知しられているNIMBYの概念がいねんと正せい反対はんたいの現象げんしょうである。危険きけんな施設しせつが自分じぶんの裏庭うらにわにあるのは厄介やっかいだと主張しゅちょうするのではなく、リバースNIMBYの概念がいねんの提唱ていしょう者しゃや利用りよう者しゃは、「自分じぶんの裏庭うらにわで起おこるなら、それはもっと重要じゅうようだ。だって、自分じぶんの裏庭うらにわだからね」と言いうだろう[68]。これは、政治せいじ家かが大だい惨事さんじの後のち、連邦れんぽう政府せいふから復興ふっこう資金しきんを得えるためにこのメンタリティを積極せっきょく的てきに利用りようする米国べいこく議会ぎかい内ないで見みられる[68]。連邦れんぽう政府せいふは地域ちいきレベルのニーズを理解りかいするのが難むずかしいため、議員ぎいんが有権者ゆうけんしゃの利益りえきを得えるにはこれが実行じっこう可能かのうな戦略せんりゃくとなる[69]。

NIMTOO[編集へんしゅう]

NIMTOO、つまりNot In My Term of Office（私わたしの在任ざいにん期間きかん中ちゅうはやめてくれ）は、選挙せんきょや再選さいせんの時期じきに、選出せんしゅつされた公職こうしょく者しゃが特とくに人気にんきのないプロジェクトを延期えんきしてしまう現象げんしょうを指さす[70]。これにより、政府せいふの政策せいさくに非ひ効率こうりつが生しょうじ、原子力げんしりょく発電はつでん所しょや水力すいりょく発電はつでん所しょなどの重要じゅうような公共こうきょうインフラの遅おくれにつながる。

議論ぎろんの点てん[編集へんしゅう]

しばしばやや蔑称べっしょう的てきに使つかわれることがあるが、NIMBYや類似るいじの言葉ことばの使用しようは批判ひはんされてきた。例たとえば、この言葉ことばは、グループを利己りこ的てきまたは無知むちとして一蹴いっしゅうするために頻繁ひんぱんに使用しようされるが、同おなじグループには見過みすごされている美点びてんがあるかもしれない[71]。

開発かいはつ賛成さんせいの立場たちば[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「YIMBY」を参照さんしょう

YIMBY（「yes, in my back yard」の頭字かしらじ語ご）は、NIMBY現象げんしょうと対照たいしょう的てきで反対はんたいの立場たちばをとる開発かいはつ賛成さんせい運動うんどうである[72]。

開発かいはつ賛成さんせいの立場たちばでよく議論ぎろんされる点てんには、雇用こようの増加ぞうか、税収ぜいしゅう、遠隔えんかく地ち開発かいはつの限界げんかい費用ひよう、安全あんぜん性せい、環境かんきょう面めんでの利点りてんなどがある。開発かいはつ推進すいしん派はは、地元じもと住民じゅうみんを利己りこ主義しゅぎ、エリート主義しゅぎ、偏狭へんきょう、砦とりでメンタリティ（英語えいご版ばん）、人種じんしゅ主義しゅぎ、多様たよう性せいへの反対はんたい、批判ひはんの不可避ふかひ性せい、スプロール現象げんしょうの防止ぼうしに関かんする誤あやまった、または非ひ現実げんじつ的てきな主張しゅちょうなどと非難ひなんすることがある。迷惑めいわくを被こうむりたくない人々ひとびとが、空港くうこうなどの施設しせつの一般いっぱん的てき必要ひつよう性せいを認みとめる場合ばあい、通常つうじょうは別べつの場所ばしょを提案ていあんする。しかし、社会しゃかいの視点してんから見みると、別べつの場所ばしょの方ほうが良よいとは限かぎらない。そこに住すむ人々ひとびとが代かわりに迷惑めいわくを被こうむることになるからだ[73]。厳格げんかくな土地とち利用りよう規制きせいは、米国べいこくにおける人種じんしゅ的てきな住宅じゅうたく分離ぶんり（英語えいご版ばん）の重要じゅうような原動力げんどうりょくとなっている[74]。白人はくじんコミュニティは厳格げんかくな土地とち利用りよう規制きせいを持もつ可能かのう性せいが高たかく（そして白人はくじんはそのような規制きせいを支持しじする可能かのう性せいが高たかい）[74]。

地域ちいき主権しゅけん賛成さんせいの立場たちば[編集へんしゅう]

NIMBYと呼よばれる人々ひとびとは、様々さまざまな動機どうきを持もっているかもしれず、特定とくていのプロジェクトに反対はんたいしているという点てんでのみ団結だんけつしているのかもしれない。例たとえば、タイプ、目的もくてき、起源きげんに関係かんけいなく、重大じゅうだいな変更へんこうや開発かいはつには反対はんたいする人ひともいる。プロジェクトが部外ぶがい者しゃによって押おし付つけられていると見みなされる場合ばあい、自治じち、地域ちいき主権しゅけん、地域ちいき自治じち、ホームルール（英語えいご版ばん）などの強つよい原則げんそくを持もつ人ひともいる。このような人々ひとびとは、地元じもとの人々ひとびとが最終さいしゅう的てきな選択せんたく権けんを持もつべきであり、地元じもとの人々ひとびとに影響えいきょうを与あたえるプロジェクトは、遠方えんぽうの投資とうし家かや中央ちゅうおう政府せいふではなく、明あきらかに彼かれら自身じしんに利益りえきをもたらすべきだと信しんじている。また、放射線ほうしゃせんへの恐怖きょうふから原子力げんしりょく発電はつでん所しょに反対はんたいしたり、過密かみつや犯罪はんざいを心配しんぱいしてアパート群ぐんに反対はんたいしたりするなど、プロジェクトの性質せいしつ上じょう反対はんたいする人ひともいるが、自治体じちたいの必要ひつよう性せいとして地元じもとの廃棄はいき物ぶつ管理かんり施設しせつは受うけ入いれたりもする。

影響えいきょう[編集へんしゅう]

住宅じゅうたく価格かかく[編集へんしゅう]

研究けんきゅうによると、より厳格げんかくな土地とち利用りよう規制きせいは住宅じゅうたく価格かかくを上昇じょうしょうさせる[75]。住宅じゅうたく価格かかくの変化へんかに対たいする移動いどう連鎖れんさの効果こうかが示しめされている[76]。

社会しゃかい的てき影響えいきょう[編集へんしゅう]

ホームレスは住宅じゅうたく供給きょうきゅうの減少げんしょうと家賃やちんの上昇じょうしょうに関連かんれんしている[77]。厳格げんかくな土地とち利用りよう規制きせいは、米国べいこくにおける人種じんしゅ的てきな住宅じゅうたく分離ぶんり（英語えいご版ばん）に寄与きよしている[78][79]。

経済けいざい[編集へんしゅう]

経済けいざい学者がくしゃのチャン・タイシェイとエンリコ・モレッティ（英語えいご版ばん）による研究けんきゅうでは、NIMBYの活動かつどう家かによってもたらされる住宅じゅうたく規制きせいにより、生産せいさん性せいの高たかい都市としへの移転いてんが手てごろな価格かかくではなくなっているため、米国べいこくの労働ろうどう者しゃは賃金ちんぎんが1兆ちょうドル（労働ろうどう者しゃ1人にん当あたり数すう千せんドル）減少げんしょうしていると推定すいていされている[80]。

利用りよう形態けいたい別べつの反対はんたい[編集へんしゅう]

マイケル・ジェラード（英語えいご版ばん）による1994年ねんの論文ろんぶんでは、NIMBY運動うんどうは一般いっぱん的てきに3種類しゅるいの施設しせつ、すなわち廃棄はいき物ぶつ処理しょり、低てい所得しょとく者しゃ向むけ住宅じゅうたく、社会しゃかいサービス（ホームレス用ようシェルターなど）に反対はんたいすることが分わかった[81]。廃棄はいき物ぶつ処分しょぶんへの反対はんたいは、リサイクルを奨励しょうれいすることでコミュニティに利益りえきをもたらす可能かのう性せいがあるが、一方いっぽうでマイノリティ・コミュニティにおけるそれらの施設しせつの存在そんざいを永続えいぞくさせてきた。低てい所得しょとく者しゃ向むけ住宅じゅうたくや社会しゃかいサービス施設しせつへの反対はんたいは、社会しゃかい全体ぜんたいに大おおきなマイナスの影響えいきょうを与あたえている[81]。

事例じれい[編集へんしゅう]

オーストラリア[編集へんしゅう]

シドニーのマンリービーチを代表だいひょうするオーストラリアの政治せいじ家か、ザリ・ステゴール（英語えいご版ばん）は、風力ふうりょくタービンの設置せっちを含ふくむ地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくを提唱ていしょうしている[82]。風力ふうりょくタービンを設置せっちしようとしているという政治せいじ的てき提案ていあんを疑うたがい、皮肉ひにくな（英語えいご版ばん）オンライン請願せいがん「Not In My Backyard」が、マンリービーチにウィンドファームを設立せつりつすることへの支持しじを評価ひょうかするために立たち上あげられた[83][84]。

カナダ[編集へんしゅう]

ブリティッシュコロンビア州しゅう[編集へんしゅう]

バンクーバーでは、2023年ねん、少数しょうすうの近隣きんりん住民じゅうみんが駐車ちゅうしゃ場じょうの問題もんだい、騒音そうおん、追加ついかの子供こどもたちが近隣きんりんにもたらすであろう交通こうつうについて話はなし合あう公聴こうちょう会かいに出席しゅっせきした後のち、市庁舎しちょうしゃの許認可きょにんか部門ぶもんが保育園ほいくえんの定員ていいんを8人にんから16人にんに拡大かくだいすることを却下きゃっかした[12]。市しの予測よそくによると、バンクーバーは14,911人にん分ぶんの認可にんか保育ほいくスペースが不足ふそくしている[12]。

ノバスコシア州しゅう[編集へんしゅう]

ノバスコシア州しゅうの風力ふうりょく発電はつでん機き

2012年ねん7月がつ、キングズ郡ぐん（英語えいご版ばん）の住民じゅうみんは、3年ねんにわたる協議きょうぎと公聴こうちょう会かいを経へて策定さくていされた、近隣きんりんに風力ふうりょく発電はつでん機きを建設けんせつすることを許可きょかする条例じょうれいに反対はんたいして集結しゅうけつした[85]。同様どうようのテーマが2009年ねん9月がつにも起おこり、ディグビー・ネック（英語えいご版ばん）の住民じゅうみんが風力ふうりょく発電はつでん機きに反対はんたいして集結しゅうけつした[86]。2011年ねん1月がつ、ハリファックス郡ぐん（英語えいご版ばん）のローレンスタウン（英語えいご版ばん）の住民じゅうみんは、携帯けいたい電話でんわ基地きち局きょくの建設けんせつに公然こうぜんと反対はんたいした[87]。2012年ねん8月がつに提案ていあんされたダートマス（英語えいご版ばん）の中心ちゅうしん部ぶ開発かいはつも、住民じゅうみんから異議いぎを唱となえられた[88]。2013年ねん2月がつ、ルーネンバーグ郡ぐん（英語えいご版ばん）の一部いちぶ住民じゅうみんは、「健康けんこうと資産しさん価値かちの問題もんだいだ」「これは、ノバスコシア州しゅうの地方ちほうの真まん中なかに設置せっちされる産業さんぎょう施設しせつだ。そこに属ぞくするものではない」と述のべ、その地域ちいきにウィンドファームが建設けんせつされることに反対はんたいした[89]。

2013年ねん3月がつ、ブロックハウス（英語えいご版ばん）のコミュニティの一部いちぶ住民じゅうみんは、あるビジネスオーナーが「ゴミ捨ごみすて場ば」と呼よんだリサイクル工場こうじょうの建設けんせつと開発かいはつに反対はんたいした。この工場こうじょうは、約やく5,900人にんのコミュニティに75人にんの雇用こようを提供ていきょうする予定よていだった[90]。同おなじ月がつ、一部いちぶの地元じもとの反対はんたいにもかかわらず、チェスター（英語えいご版ばん）の市議会しぎかい議員ぎいんは6対たい1の投票とうひょうで地域ちいきへの風力ふうりょくタービンの建設けんせつを承認しょうにんした[91]。

中国ちゅうごく[編集へんしゅう]

非ひ西洋せいようの文脈ぶんみゃくにおけるNIMBY運動うんどうは、権威けんい主義しゅぎ体制たいせい下かでは草くさの根ねの抵抗ていこうが起おこりにくいため、一般いっぱんの人々ひとびとから見過みすごされがちである[要よう出典しゅってん]。しかし、ここ数すう十じゅう年ねんの間あいだに中国ちゅうごくでも成功せいこうしたNIMBY運動うんどうがいくつかある。2014年ねん5月がつ、浙江せっこう省しょう余よ杭くい区くの市しでは、NIMBY運動うんどうが巨大きょだいなごみ焼却しょうきゃく炉ろの建設けんせつを阻止そしした[92]。この勝利しょうりは、多おおくの草くさの根ねのリーダーが逮捕たいほされ、多おおくの政府せいふインフラが破壊はかいされるという莫大ばくだいな代償だいしょうを払はらって得えられたものだった[92]。しかし、中国ちゅうごくの場合ばあい、多おおくの社会しゃかい的てきに有害ゆうがいなプロジェクトは、メディアの注目ちゅうもくが止やみ、政府せいふ当局とうきょくが抗議こうぎ者しゃを抑圧よくあつし始はじめると、単たんに操業そうぎょうを続つづけるか、別べつの場所ばしょに移転いてんしてしまう[92]。

また、中国ちゅうごく政府せいふは、希土類きどるい産業さんぎょうと競合きょうごうする開発かいはつプロジェクトに反対はんたいする機運きうんを高たかめる影響えいきょう力りょく行使こうし工作こうさく（英語えいご版ばん）を通つうじて、海外かいがいでのNIMBY運動うんどうを「武器ぶき化か」していると非難ひなんされている[93]。

アイルランド[編集へんしゅう]

ラヘニー（英語えいご版ばん）にあるセント・ポールズ・カレッジ・スクール（英語えいご版ばん）の敷地しきち内ないに650戸このアパートを建設けんせつすることに対たいする反対はんたい運動うんどう[94][95][96][97][98]。計画けいかく案あんに対たいして650件けんの個別こべつ異議いぎ申もうし立たてがあり、数すう回かいの抗議こうぎ行動こうどうも行おこなわれた[99]。

住民じゅうみんグループは、EU生息せいそく地ち指令しれいに適切てきせつに対処たいしょしていないことを理由りゆうに許可きょかに対たいする法的ほうてき異議いぎ申もうし立たてを行おこなった[100]。ライトベリー・ブレント・グースやその他たの保護ほご鳥類ちょうるいへの影響えいきょうに関かんする報告ほうこく書しょを含ふくむ改訂かいてい版ばんの提出ていしゅつを受うけて、開発かいはつは2020年ねん8月がつに最終さいしゅう的てきに許可きょかされた。

イタリア[編集へんしゅう]

2005年ねんのNo TAVの抗議こうぎ活動かつどう

トリノ＝リヨン高速こうそく鉄道てつどう（英語えいご版ばん）に対たいするNo TAV（英語えいご版ばん）の反対はんたいは、しばしばNIMBY運動うんどうとして特徴とくちょうづけられる[101]。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、政府せいふがNIMBYの建設けんせつについて立地りっちのサポートをするために以下いかの法律ほうりつが制定せいていされている。

成田空港なりたくうこう[編集へんしゅう]

1966年ねんから始はじまった三里塚さんりづか闘争とうそうは、成田なりた国際こくさい空港くうこうの建設けんせつに反対はんたいした。当初とうしょの空港くうこう計画けいかくには、成田なりた新幹線しんかんせんも含ふくまれていたが、これは中止ちゅうしされた[要よう出典しゅってん]。NIMBYsはまた、混雑こんざつした空港くうこうの非常ひじょうに短みじかい第だい2滑走かっそう路ろ（ナローボディ機き以外いがいでは使用しようできない）の延長えんちょうを2000年代ねんだい後半こうはんまで阻止そししていた。その頃ころ、市内しないの羽田空港はねだくうこうが国際線こくさいせんに開放かいほうされ、埋立うめたて地ちに多額たがくの費用ひようをかけて滑走かっそう路ろが追加ついかされた。第だい2滑走かっそう路ろは2,500メートル (8,200 ft)に延長えんちょうされた。成田なりたの第だい2滑走かっそう路ろは、1974年ねんの当初とうしょの設計せっけい図ずよりも短みじかく、空港くうこうの運用うんよう能力のうりょくに影響えいきょうを与あたえている[要よう出典しゅってん]。

小田急おだきゅう線せん複々線ふくふくせん化か[編集へんしゅう]

小田急電鉄おだきゅうでんてつは、現在げんざい、500万まん人にんが鉄道てつどうとフィーダーバスのサービスエリア内ないの徒歩とほ圏内けんないに住すむ回廊かいろうに沿そって交通こうつう機関きかんを提供ていきょうしているが[102]、もともとは戦前せんぜんに建設けんせつされたものであり、東京とうきょうの人口じんこうが急増きゅうぞうするにつれて、郊外こうがいの鉄道てつどう需要じゅようが爆発ばくはつ的てきに増加ぞうかした。1960年代ねんだいには、駅員えきいんが人々ひとびとを詰つめ込こんだ電車でんしゃに押おし込こむことが必要ひつようになり、小田急電鉄おだきゅうでんてつは2線せんを4線せんに拡張かくちょうしようとした[103]。これにより、通過つうか列車れっしゃの増加ぞうかと運転うんてん時間じかんの短縮たんしゅく、混雑こんざつの緩和かんわ、列車れっしゃの待機たいき時間じかんの短縮たんしゅくが可能かのうになる。世田谷せたがや区くの線路せんろ近ちかくに住すむNIMBY住民じゅうみんは、鉄道てつどう会社かいしゃが土地とちを取得しゅとくしようとする試こころみに抵抗ていこうした。小田急おだきゅうは高値たかねを提示ていじして個別こべつに土地とちを買収ばいしゅうしようとした。世田谷せたがや区く住民じゅうみんの反対はんたいは、長期ちょうきにわたる注目ちゅうもくすべき裁判さいばんと立法りっぽうでのNIMBYケースを確立かくりつした[104]。1993年ねんまでに、30年間ねんかん試こころみた後のち、この計画けいかくが失敗しっぱいしつつあることが明あきらかになり、会社かいしゃは数すう十じゅう億おくドルの解決かいけつ策さくを決定けっていした。土地とちを取得しゅとくする代かわりに、2本ほんのトンネルを地下ちかに掘ほり、その上うえに2本ほんの新あたらしい線路せんろを重かさねて、12駅えき、10.4kmの区間くかんで各かく方向ほうこうに4本ほんの線路せんろを敷設ふせつするというものだ[102]。同社どうしゃの決定けっていは1993年ねんに始はじまり、2004年ねんに重要じゅうような区間くかんの1つが完成かんせいした。一方いっぽう、2つ目めの小ちいさな区間くかんについては、2003年ねんに同おなじ決定けっていが下くだされ、プロジェクトの完成かんせいは2018年ねん3月がつにようやく実みを結むすびつつある。それはほぼ60年ねん後ごのことであった[103][102][要よう説明せつめい]。

その他た[編集へんしゅう]

セルビア[編集へんしゅう]

セルビア西部せいぶのヤダル鉱山こうざん（英語えいご版ばん）でリオ・ティントによるリチウム採掘さいくつに対たいする反対はんたい運動うんどうが高たかまっている[110]。地元じもと住民じゅうみんは、バッテリー生産せいさんによる石油せきゆ依存いぞん度どの低下ていか、大気たいき汚染おせんの減少げんしょう、CO2排出はいしゅつ量りょうの削減さくげんなどの経済けいざい的てき・環境かんきょう的てき利益りえきを顧かえりみず、リチウム採掘さいくつが地元じもとの環境かんきょう、特とくに水質すいしつ汚濁おだくに及およぼす影響えいきょうを懸念けねんしている。

イギリス[編集へんしゅう]

オックスフォード記念きねん碑ひ[編集へんしゅう]

サウス・パーク（英語えいご版ばん）近ちかくに建たてられたオックスフォード・スペイン内戦ないせん記念きねん碑ひ（英語えいご版ばん）。オックスフォード市内しないに反はんファシズム記念きねん碑ひを建たてる計画けいかく許可きょかがすべて却下きゃっかされた後のちに建たてられた

2017年ねんに建たてられたオックスフォード・スペイン内戦ないせん記念きねん碑ひ（英語えいご版ばん）は、ヒトラーとムッソリーニが支援しえんしたスペインのナショナリスト勢力せいりょくに対たいして国際こくさい旅団りょだんに参加さんかした地元じもとの人々ひとびとを称たたえるものである。この記念きねん碑ひが市しの中心ちゅうしん部ぶに建たてられなかったのは、中心ちゅうしん部ぶに建たてるという計画けいかく案あんがすべて様々さまざまな理由りゆうで却下きゃっかされたためで、自由民主党じゆうみんしゅとうの議員ぎいんは提案ていあんされたすべての場所ばしょに反対はんたいした。この記念きねん碑ひの建立こんりゅうは、オックスフォード保存ほぞんトラスト（英語えいご版ばん）とロンドン・プレイス住民じゅうみん協会きょうかいからも反対はんたいされた[111]。現在げんざいの記念きねん碑ひの位置いちは3番目ばんめに提案ていあんされた場所ばしょで、それ以前いぜんの2つの計画けいかく申請しんせいはオックスフォード市議会しぎかいに却下きゃっかされた[112]。最初さいしょに提案ていあんされた場所ばしょはボン広場ひろば（英語えいご版ばん）だったが、花崗岩かこうがんはオックスフォード原産げんさんの石いしではないという理由りゆうで却下きゃっかされた[113]。2番目ばんめに提案ていあんされた場所ばしょはセント・ジャイルズ通どおり（英語えいご版ばん）だったが、これも議員ぎいんによって却下きゃっかされた。反はんファシズム記念きねん碑ひが現在げんざいの戦争せんそう記念きねん碑ひに近接きんせつしていることが、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんで亡なくなった人々ひとびとの記憶きおくを侮辱ぶじょくすると主張しゅちょうしたのだ[113]。反対はんたい者しゃの中なかには、「精神せいしんの和解わかいと赦ゆるしの両りょう側面そくめんを称となえていない」、「紛争ふんそうの犠牲ぎせい者しゃの記憶きおくに対たいして攻撃こうげき的てきである」というデザインへの批判ひはんもあった[114]。

自由民主党じゆうみんしゅとう議員ぎいんのエリザベス・ウェイドは、原則げんそく的てきには反対はんたいしていないと主張しゅちょうしながらも、オックスフォードにモニュメントを建たてるというすべての提案ていあんに反対はんたいした。彼女かのじょは、オックスフォードの第だい一いち次じ・第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん記念きねん碑ひの近ちかくのセント・ジャイルズ通どおりでの2番目ばんめの提案ていあんを「攻撃こうげき的てきで勝利しょうり主義しゅぎ的てき」と表現ひょうげんした[115]。自みずからを歴史れきし家かと称しょうし、オックスフォード・メール（英語えいご版ばん）に語かたった彼女かのじょは、3番目ばんめで現在げんざいの場所ばしょにも反対はんたいした。赤旗あかはたが記念きねん碑ひに現あらわれることは一いち度ども提案ていあんされていないにもかかわらず、赤旗あかはたのついた記念きねん碑ひは共産きょうさん主義しゅぎを美化びかすると考かんがえたからだ[111]。彼女かのじょがすべての提案ていあんを拒否きょひしたことから、イギリス最大さいだいで最もっとも長ながい歴史れきしを持もつ左派さは新聞しんぶん『モーニング・スター（英語えいご版ばん）』は彼女かのじょをNIMBYと呼よんだ[113]。

アシュテッド、サリー州しゅう[編集へんしゅう]

ロンドン郊外こうがいの裕福ゆうふくな英国えいこくの村むら、アシュテッド（英語えいご版ばん）では、2007年ねんに[116]、170万まんポンドの大だい規模きぼな住宅じゅうたくを、負傷ふしょうしたイギリス軍ぐん関係かんけい者しゃの家族かぞくを支援しえんするためのファミリーサポートセンターに転用てんようすることに住民じゅうみんが反対はんたいした。その家いえは、登録とうろく慈善じぜん団体だんたいのSSAFA軍ぐん関係かんけい者しゃ支援しえん（英語えいご版ばん）が購入こうにゅうする予定よていだった[116][117]。地元じもと住民じゅうみんは、交通こうつう量りょうや騒音そうおんの増加ぞうか、テロの脅威きょういの増大ぞうだいの可能かのう性せいを恐おそれ、この提案ていあんに反対はんたいした。また、SSAFA慈善じぜん団体だんたいは実際じっさいには企業きぎょうであり、望のぞましくない前例ぜんれいを作つくることになると主張しゅちょうした[118]。地元じもと紙しでは「Nimbyな隣人りんじんたちと負傷ふしょう兵へい家族かぞくとの戦たたかい」「私わたしの裏庭うらにわにヒーローはいらない」などの見出みだしの記事きじが掲載けいさいされた。[要よう出典しゅってん]

元もと軍人ぐんじんや一般いっぱん市民しみんの何人なんにんかはSSAFAを支援しえんする嘆願たんがん書しょを組織そしきし、eBayで「アシュテッドの自尊心じそんしん」をオークションにかけたりもした[119]。

高速こうそく鉄道てつどうHS2[編集へんしゅう]

特とくに高速こうそく鉄道てつどう2号線ごうせんの路線ろせんの最終さいしゅう決定けってい前まえの時期じきに、BBC News Onlineは、多おおくの保守党ほしゅとうの選挙せんきょ区くの住民じゅうみんが、HS2が自分じぶんたちに及およぼす影響えいきょうに基もとづいて反対はんたいを開始かいししており、同時どうじに現在げんざいの経済けいざい状況じょうきょう下かではHS2がマクロレベルで社会しゃかい的てき利益りえきをもたらす可能かのう性せいは低ひくいと懸念けねんしていると報ほうじた[120][121]。同様どうように、労働党ろうどうとう議員ぎいんのナターシャ・エンゲル（英語えいご版ばん）（この線路せんろが選挙せんきょ区くを通過つうかする）は、下院かいんで、この線路せんろが住宅じゅうたく所有しょゆう者しゃや企業きぎょう経営けいえい者しゃである有権者ゆうけんしゃに及およぼす影響えいきょうについて、「ニンビズムの情熱じょうねつ的てきな擁護ようご」を行おこなった[122]。HS2は、チルターン丘陵きゅうりょうとカムデン区くの住民じゅうみんからも反対はんたいされており、この路線ろせんには十分じゅうぶんなビジネス上じょうの根拠こんきょがないと主張しゅちょうしている。2014年ねん3月がつ17日にち、カムデンの住民じゅうみんがHS1-HS2連絡れんらく鉄道てつどうの建設けんせつを阻止そしするキャンペーンに成功せいこうしたと発表はっぴょうされた[123]。

ヒースロー空港くうこう[編集へんしゅう]

2007年ねん11月、新あたらしい第だい3滑走かっそう路ろ（英語えいご版ばん）と第だい6ターミナルの建設けんせつに関かんする協議きょうぎプロセスが開始かいしされ、2009年ねん1月がつ15日にちに英国えいこく政府せいふの大臣だいじんによって物議ぶつぎを醸かもしながら[124]承認しょうにんされた[125]。その後ご、このプロジェクトは2010年ねん5月がつ12日にちにキャメロン政権せいけんによって中止ちゅうしされた[126]。2018年ねん6月がつに下院かいんで採択さいたくされたこのプロジェクトに対たいし、NIMBYな人々ひとびとと政治せいじ的てき反対はんたい者しゃが裁判所さいばんしょに上訴じょうそしたが、2020年ねん12月に英国えいこく最高さいこう裁判所さいばんしょで敗訴はいそした[要よう出典しゅってん]。

コベントリー空港くうこう[編集へんしゅう]

コベントリー空港くうこう（英語えいご版ばん）は、CAFCO（コベントリー）リミテッドが所有しょゆうしており、これはハワード・ホールディングス社しゃ[127]とコンバージェンス-AFCOホールディングス・リミテッド（CAFCOHL）の合弁ごうべん会社かいしゃである。2007年ねん6月がつ、恒久こうきゅう的てきなターミナルと旅客りょかく施設しせつの建設けんせつ申請しんせいは、世論せろんの圧あつ力りょくにより英国えいこく政府せいふに却下きゃっかされた[128][129][130][131][132][133]。

ウィンブルドン、ロンドン[編集へんしゅう]

ロンドン・マートン区くには、2012年ねんと2013年ねんに就学しゅうがく年齢ねんれいに達たっする地元じもとの子供こどもたちのための十分じゅうぶんな学校がっこうの定員ていいんがなかった。ほとんどすべての地元じもとの学校がっこうが拡張かくちょうされたが、「Save Our Rec」（レクリエーション用地ようち）グループ（地元じもとコミュニティの緑地りょくち保全ほぜんに専念せんねん）は、マートン区くに残のこされた数少かずすくない緑地りょくちの1つを保護ほごすることに関心かんしんが集中しゅうちゅうしていたため、ダンドナルド学校がっこうの拡張かくちょうに反対はんたいした。「Save our Rec」グループに反対はんたいする人々ひとびとは、このグループをNIMBYsと呼よんだ[134]。緑地りょくちを保護ほごする努力どりょくにもかかわらず、拡張かくちょうは公園こうえんの一部いちぶと公園こうえんのパビリオンに及およんだ[135]。

ポートランド移民いみん用ようバージ船せん[編集へんしゅう]

2023年ねん4月がつ、イギリス政府せいふは、亡命ぼうめい希望きぼう者しゃの住宅じゅうたく費ひを節約せつやくするために、エンジンのないバージ船せん「ビビー・ストックホルム（英語えいご版ばん）」を使用しようして、ポートランド港みなと（英語えいご版ばん）に約やく500人にんの亡命ぼうめい希望きぼう者しゃを収容しゅうようする計画けいかくを発表はっぴょうした[136]。ポートランドの町まちの外そとからの論争ろんそうの大だい部分ぶぶんは、明あきらかな過密かみつ状態じょうたい、倫理りんり的てき問題もんだい、経済けいざい的てき非ひ効率こうりつ性せいに起因きいんしていたが、町まちの内部ないぶからの多おおくの抗議こうぎは、町まちの観光かんこう産業さんぎょうへの影響えいきょう、犯罪はんざいや反はん社会しゃかい的てき行動こうどうの増加ぞうかの可能かのう性せいが理由りゆうで、町まちの女性じょせいを危険きけんにさらすと言いう人ひともいた[137]。彼かれらは一部いちぶのメディアからNIMBYsと呼よばれた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

研究けんきゅうによると、保守ほしゅ派はもリベラル派はも、地域ちいきの新あたらしい住宅じゅうたく開発かいはつに反対はんたいする可能かのう性せいは同おなじくらいある。白人はくじんの近隣きんりん地域ちいきや都市としは、より制限せいげん的てきな住宅じゅうたく開発かいはつ政策せいさくを支持しじする傾向けいこうがある[138][74][139]。パースペクティブス・オン・ポリティクス（英語えいご版ばん）誌しの研究けんきゅうでは、「高齢こうれい者しゃ、男性だんせい、長期ちょうき居住きょじゅう者しゃ、地方ちほう選挙せんきょの有権者ゆうけんしゃ、住宅じゅうたく所有しょゆう者しゃは、地方ちほう政府せいふに参加さんかする可能かのう性せいが著いちじるしく高たかい」こと、そして「これらの人々ひとびとは圧倒的あっとうてきに（また、一般いっぱん市民しみんよりもはるかに高たかい割合わりあいで）新あたらしい住宅じゅうたく建設けんせつに反対はんたいしている」ことがわかった[140]。Nimbysは住宅じゅうたく所有しょゆう者しゃである傾向けいこうがあり、自己じこ利益りえきのために住宅じゅうたく価格かかくを高たかく維持いじするように行動こうどうしていると説明せつめいされており[141]、自みずからの経済けいざい的てき利益りえきに反はんして行動こうどうしていると説明せつめいされている[142]。一部いちぶの経済けいざい学者がくしゃは、これは新築しんちく住宅じゅうたくが住宅じゅうたく価格かかくに及およぼす影響えいきょうについての一般いっぱんの誤解ごかいによるものだと考かんがえている[143]。例たとえば、新築しんちく住宅じゅうたくが住宅じゅうたく価格かかくを下さげると考かんがえるアメリカ人じんは30～40％しかおらず、一方いっぽうで新築しんちく住宅じゅうたくが住宅じゅうたく価格かかくを上あげると考かんがえるアメリカ人じんも同どう程度ていどいる[144]。

全米ぜんべい低てい所得しょとく住宅じゅうたく連合れんごう（英語えいご版ばん）の2017年ねんの報告ほうこくによると、アメリカでは極きわめて低てい所得しょとく（ELI）の世帯せたいが賃貸ちんたいできる手頃てごろな価格かかくの住宅じゅうたくが740万まん戸こ不足ふそくしている。その結果けっか、ELI世帯せたいの71％が住宅じゅうたく費ひに収入しゅうにゅうの半分はんぶん以上いじょうを費ついやすことを余儀よぎなくされ、深刻しんこくな経済けいざい的てき負担ふたんを強しいられている[145][146]。このように手頃てごろな価格かかくの住宅じゅうたくをもっと必要ひつようとしているにもかかわらず、NIMBYの活動かつどう家かからの反対はんたいは、手頃てごろな価格かかくの住宅じゅうたく開発かいはつに大おおきな課題かだいを突つきつけ、デザインの変更へんこう、建設けんせつの遅延ちえん、許可きょかの却下きゃっかなどのコストがかかっている[147]。しかし、研究けんきゅうによると、手頃てごろな価格かかくの住宅じゅうたく開発かいはつ者しゃや推進すいしん者しゃが、ソーシャルマーケティングやポジティブなメッセージを活用かつようして積極せっきょく的てきなアウトリーチとコミュニケーションを行おこなうことで、一般いっぱん的てきなNIMBYの障壁しょうへきを克服こくふくできることが示唆しさされている[148][149]。

また、米国べいこく国務省こくむしょうの統計とうけいによると、2015年ねん10月がつ以降いこうにバージニア州しゅうが受うけ入いれた難民なんみん121人にんのうち、112人にんはワシントンDC郊外こうがいの高級こうきゅう住宅じゅうたく街がいから少すくなくとも100マイル（約やく161キロメートル）離はなれたコミュニティに割わり振ふられた[78]。米国べいこく有数ゆうすうの高級こうきゅう住宅じゅうたく街がいで、政府せいふやメディアの関係かんけい者しゃが暮くらすフェアファックスやラウドン、アーリントンといった郡ぐんに配置はいちされた難民なんみんはたった9人にんだった[78]。なお、ワシントンでは、成人せいじん人口じんこうの64％が人権じんけんを重視じゅうしする「純粋じゅんすいリベラル」の議員ぎいんによって代表だいひょうされていて、保守ほしゅ派はは「純粋じゅんすい保守ほしゅ」と「保守ほしゅ」をあわせても19%しかいなかった[150]。

カリフォルニア州しゅう[編集へんしゅう]

ハンフォードや周辺しゅうへん地域ちいきの多おおくの地元じもと住民じゅうみん（農家のうかを含ふくむ）は、カリフォルニア高速こうそく鉄道てつどう局きょく（英語えいご版ばん）が農地のうちの近ちかくに高速こうそく鉄道てつどうを建設けんせつすることに反対はんたいしており、環境かんきょう面めんと経済けいざい面めんでの問題もんだいを引ひき起おこすと指摘してきしている[151]。

オレンジ郡ぐん南部なんぶの富裕ふゆう層そう住民じゅうみんは、廃止はいしされたエルトロ海兵かいへい基地きちを商業しょうぎょう空港くうこうに転用てんようするという地域ちいきの法案ほうあんを否決ひけつした。着陸ちゃくりくと離陸りりく時じに「安全あんぜんでない」上じょうに、大気たいきの質しつの問題もんだいを引ひき起おこすと主張しゅちょうしたのである。本当ほんとうの問題もんだいは、FAAがオレンジ郡ぐん南部なんぶの高価こうかな住宅じゅうたく地ちの上空じょうくうに空港くうこうの飛行ひこうルートを計画けいかくしており、住民じゅうみんは資産しさん価値かちが下さがることを恐おそれていたことだった。しかし、空港くうこう案あんはオレンジ郡ぐん北部ほくぶの住民じゅうみんから強つよく支持しじされていた。地域ちいきの法案ほうあんが否決ひけつされた結果けっか、オレンジ郡ぐんグレート・パーク（英語えいご版ばん）が誕生たんじょうした[要よう出典しゅってん]。

全国ぜんこく、州しゅう、地元じもとの環境かんきょう保護ほご主義しゅぎ者しゃ、歴史れきし保存ほぞん主義しゅぎ者しゃ、サウスパサデナ (カリフォルニア州しゅう)（英語えいご版ばん）の長年ながねんの住民じゅうみんは、ロサンゼルス（エル・セレノ）、サウスパサデナ、パサデナの各市かくしを通とおる非常ひじょうに論争ろんそうの的まととなっている[152]州しゅう道どう710号線ごうせんの完成かんせいに60年ねん以上いじょうにわたって成功裏せいこうりに反対はんたいしてきた[要よう出典しゅってん]。地上ちじょう高速こうそく道路どうろの建設けんせつを阻止そしする連邦れんぽう差さし止とめ命令めいれいが41年間ねんかん出だされている。USCとUCLAの都市とし・交通こうつう計画けいかくの学生がくせいは、この80年来ねんらいの論争ろんそうを研究けんきゅうしている。これは、政府せいふの提案ていあんに対たいする草くさの根ねの持続じぞく的てき反対はんたいの典型てんけい的てきな例れいだからだ[要よう出典しゅってん]。

2017年ねん9月がつ29日にち、ジェリー・ブラウン知事ちじは、州しゅうの住宅じゅうたく不足ふそく（英語えいご版ばん）に対処たいしょするため、15の住宅じゅうたく法案ほうあんに署名しょめいした。これらの法案ほうあんの多おおくは、民間みんかん人じんが住宅じゅうたく建設けんせつを抑制よくせいする能力のうりょくを減へらすための直接的ちょくせつてきな試こころみと考かんがえられており、一部いちぶからは「反はんNIMBY」法案ほうあんとも呼よばれている[153][154]。

2022年ねん、カリフォルニア州しゅう知事ちじのギャビン・ニューサムは、「ニンビズムが州しゅうを破壊はかいしている」と宣言せんげんし、新あたらしい住宅じゅうたく開発かいはつを阻止そしすることについて都市としや郡ぐんに責任せきにんを持もたせると約束やくそくした[155]。

サンフランシスコ[編集へんしゅう]

サンフランシスコ市し監理かんり委員いいん会かい（英語えいご版ばん）の数すう人にんのメンバーを含ふくむ、サンフランシスコの少数しょうすうの人々ひとびとからのニンビズムにより、同市どうしでは新築しんちく住宅じゅうたくの抑制よくせい（英語えいご版ばん）、交通こうつう機関きかんの拡張かくちょう、自転車じてんしゃインフラ、新あたらしい小売こうり店てんの建設けんせつが抑おさえられてきた。ニンビーは、建物たてものの影かげの規制きせい、交通こうつう量りょうの増加ぞうか、駐車ちゅうしゃ場じょうに関かんする懸念けねんをプロジェクトに反対はんたいする理由りゆうとして挙あげている[156]。住民じゅうみん、経済けいざい学者がくしゃ、住宅じゅうたく支援しえん者しゃは、新築しんちく住宅じゅうたくを建たてれば住宅じゅうたくがより手てごろな価格かかくになり、その結果けっか、立たち退のきや個人こじん資産しさん税ぜいの負担ふたん、ホームレス問題もんだいが減少げんしょうすると主張しゅちょうしている。サンフランシスコのニンビズムの例れいには、8ワシントン住宅じゅうたくプロジェクト、1846グローブ通どおり住宅じゅうたく、1060フォルサム住宅じゅうたく、1979ミッション住宅じゅうたく、2675フォルサム住宅じゅうたく、250ラグナホンダ大通おおどおり住宅じゅうたく、770ウールジー、UCSFパーナサスハイツ病院びょういん拡張かくちょう、ポークストリート自転車じてんしゃレーンなどがある[157][158][159][160]。

サンフランシスコのニンビーは「住宅じゅうたく保守ほしゅ派は」とも表現ひょうげんされている[161][不適切ふてきせつな合成ごうせい?]。

マリン郡ぐん[編集へんしゅう]

サンフランシスコ・ベイエリアの裕福ゆうふくなベッドタウンであるマリン郡ぐんの多おおくの住民じゅうみんは、長年ながねんにわたって住宅じゅうたく開発かいはつや住宅じゅうたく割当わりあてに熱心ねっしんに抵抗ていこうすることで、ニンビズムの考かんがえ方かたを体現たいげんしてきた[162][163][164][165][41]。住民じゅうみんは、住宅じゅうたく開発かいはつは人口じんこう密度みつどの増加ぞうかにつながり、それが交通こうつう量りょうの増加ぞうか、汚染おせんの増加ぞうか、学校がっこうの過密かみつ化か、オープンスペースの不足ふそく、生活せいかつの質しつの低下ていかにつながると考かんがえている。

フロリダ州しゅう[編集へんしゅう]

セントルーシー郡ぐんの少数しょうすうの住民じゅうみんは、郡ぐん内ないでの風力ふうりょくタービンの建設けんせつに激はげしく反対はんたいしている。2008年ねんのフロリダ電力でんりょく・光ひかり（英語えいご版ばん）（FPL）の世論せろん調査ちょうさによると、風力ふうりょくタービンの建設けんせつは郡ぐんの住民じゅうみんの80％以上いじょうから強つよく支持しじされていた[166]。さらに、電力でんりょく会社かいしゃは、既存きそんの原子力げんしりょく発電はつでん所しょの近ちかくのビーチにタービンを建設けんせつすることを提案ていあんした[要よう出典しゅってん]。

1980年代ねんだい、パームビーチ郡ぐん高速こうそく道路どうろ局きょくとして知しられる機関きかんが設立せつりつされ、パームビーチ郡ぐん郊外こうがいからウェストパームビーチの中心ちゅうしん部ぶに人々ひとびとを運はこぶ一連いちれんの東西とうざい高速こうそく道路どうろを開発かいはつした[要よう出典しゅってん]。これは、今後こんご数すう十じゅう年ねんの間あいだにパームビーチ郡ぐんで起おこる人口じんこう増加ぞうかがより多おおくの交通こうつうをもたらすことを予想よそうして行おこなわれた[要よう出典しゅってん]。ウェストゲートやレイク・ベルヴェデール・エステーツなどの地域ちいきの多おおくの近隣きんりん住民じゅうみんは、この計画けいかくによって自分じぶんたちの近隣きんりん地域ちいきが破壊はかいされると述のべ、強つよく反対はんたいした[要よう出典しゅってん]。最終さいしゅう的てきに、この計画けいかくは、信号しんごう機きを撤去てっきょし、他たの地域ちいきの道路どうろを立体りったい交差こうさ化かすることで、SR-80（英語えいご版ばん）大通おおどおりを高速こうそく道路どうろのような道路どうろに変更へんこうするように修正しゅうせいされた[要よう出典しゅってん]。

イリノイ州しゅう[編集へんしゅう]

1959年ねん、ディアフィールド（英語えいご版ばん）の当局とうきょく者しゃは、大だい規模きぼな新築しんちく住宅じゅうたくの近隣きんりん地域ちいきを建設けんせつしているデベロッパーがアフリカ系けいアメリカ人じんに住宅じゅうたくを提供ていきょうする計画けいかくであることを知しったとき、工事こうじ停止ていし命令めいれいを出だした。人種じんしゅ統合とうごう、資産しさん価値かち、住民じゅうみん、コミュニティ当局とうきょく者しゃ、建設けんせつ業者ぎょうしゃの善意ぜんいをめぐって激はげしい議論ぎろんが始はじまった。しばらくの間あいだ、ディアフィールドは「北部ほくぶのリトルロック」として全国ぜんこくニュースで注目ちゅうもくされた[167]。統合とうごうの支持しじ者しゃは、住民じゅうみんから非難ひなんされ、排斥はいせきされた。最終さいしゅう的てきに、村むらは、その土地とちに公園こうえんを建設けんせつするという住民じゅうみん投票とうひょうを可決かけつし、住宅じゅうたく開発かいはつに終止符しゅうしふを打うった。すでに部分ぶぶん的てきに完成かんせいしていた2つのモデルハウスは、村むらの当局とうきょく者しゃに売却ばいきゃくされた[167]。それ以外いがいの土地とちは、長年ながねんにわたって休眠きゅうみん状態じょうたいにあり、その後ご、現在げんざいのミッチェル・プールとパーク、ジェイシー・パークに開発かいはつされた。最初さいしょの黒人こくじん家族かぞくがディアフィールドに引ひっ越こしてきたのは、ずっと後ごのことで、その後ごの数すう年間ねんかんで、ディアフィールドではユダヤ人じん、アジア人じん、ギリシャ人じんなど、より多おおくのマイノリティが流入りゅうにゅうしている。ディアフィールドの歴史れきしにおけるこのエピソードは、ディアフィールドの住民じゅうみんであるハリー・ローゼンとデイビッド・ローゼンの『But Not Next Door』に描えがかれている。

ミネソタ州しゅう[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい後半こうはん、ミネアポリスとノースフィールドの間あいだのダン・パッチ回廊かいろう（英語えいご版ばん）での通勤つうきん列車れっしゃの提案ていあんが検討けんとうされた。2002年ねん、回廊かいろう沿ぞいの近隣きんりん住民じゅうみんの反対はんたいにより、ブルーミントンとイーダイナの郊外こうがい選出せんしゅつの2人ふたりの州しゅう議会ぎかい議員ぎいんが、このプロジェクトのさらなる調査ちょうさ、議論ぎろん、資金しきん提供ていきょう、建設けんせつを禁止きんしする法的ほうてき禁止きんし令れいを可決かけつした。禁止きんし令れいを解除かいじょする試こころみが何なん度どかなされ、2023年ねんにようやく解除かいじょされた[168]。2023年ねんの時点じてんで、ルート沿ぞいのコミュニティは、レイクビルを除のぞいて、ダン・パッチ回廊かいろうに関かんする公式こうしきな立場たちばを取とっていない。レイクビルは反対はんたいの立場たちばを取とっている[169]。

ニューヨーク州しゅう[編集へんしゅう]

1858年ねん、スタテンアイランドの住民じゅうみんグループは、当時とうじアメリカ最大さいだいの検疫けんえき施設しせつであったニューヨーク海洋かいよう病院びょういん（英語えいご版ばん）を、地域ちいきの不動産ふどうさん価値かちに悪影響あくえいきょうを与あたえるとして焼やき払はらった。

ロングアイランド鉄道てつどう（LIRR）の電化でんかや拡張かくちょうプロジェクトは、鉄道てつどう沿線えんせんの住民じゅうみんの反対はんたいにより大幅おおはばに遅おくれた。例たとえば、メトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティは、フローラル・パーク駅えきからヒックスヴィル駅えきまで本線ほんせんに第だい3線路せんろを建設けんせつし、輸送ゆそう力りょくを増強ぞうきょうすることを提案ていあんした[170][171]。ほとんどの沿線えんせんコミュニティはこのプロジェクトの一環いっかんとして踏切ふみきり撤去てっきょを支持しじしたが、フローラルパーク（英語えいご版ばん）、ニューハイドパーク（英語えいご版ばん）、ガーデンシティ（英語えいご版ばん）の各かく村むらからは、第だい3線路せんろの建設けんせつにより、工事こうじや列車れっしゃ本数ほんすうの増加ぞうかで近隣きんりんの生活せいかつの質しつが低下ていかするとして、激はげしい反対はんたいがあった[172][173][174]。2008年ねん、第だい3線路せんろプロジェクトは無む期限きげんで中断ちゅうだんされた[175]が、ニューヨーク州しゅう知事ちじのアンドリュー・クオモが2016年ねんに発表はっぴょうしたインフラ整備せいび計画けいかくには、地元じもとの懸念けねんを緩和かんわするための措置そちとともに、このプロジェクトへの新あらたな資金しきんが盛もり込こまれた[176]。緩和かんわ努力どりょくの約束やくそくにもかかわらず、知事ちじの計画けいかく発表はっぴょうの翌日よくじつには、地元じもとの複数ふくすうの政治せいじ家かが非難ひなんした[177][178]。2017年ねん12月、LIRRは第だい3線路せんろの建設けんせつ契約けいやくを締結ていけつした[179]。2022年ねん10月がつに完成かんせいし、最終さいしゅう的てきに2023年ねん2月がつ、グランド・セントラル・マディソンの全面ぜんめん開業かいぎょうに合あわせて新あたらしいサービスパターンが導入どうにゅうされた[180][181]。

ポートワシントン（英語えいご版ばん）では、ポートワシントン駅えき（英語えいご版ばん）での留置とめおき線せん拡張かくちょう案あんをめぐって、ノースヘムステッド（英語えいご版ばん）町まちとLIRRの間あいだで論争ろんそうが起おきた。留置とめおき線せんを拡張かくちょうするには、町まちの駐車ちゅうしゃ場じょうの規模きぼを縮小しゅくしょうする必要ひつようがあったが、地元じもと議員ぎいんは線路せんろの追加ついかにより「町まちの性格せいかくが完全かんぜんに台無だいなしになる」と述のべた[182]。LIRRは、駅えきに隣接りんせつする自社じしゃの駐車ちゅうしゃ場じょうの140台だい分ぶんのスペースを取とり壊こわすことで、ノースヘムステッドの同意どういなしに留置りゅうち線せんを拡張かくちょうすることができた[182]。

ニューヨーク市し地下鉄ちかてつのアストリア線せん（N W 系統けいとうの列車れっしゃ）をラガーディア空港くうこうまで延伸えんしんする案あんも、地域ちいきの反対はんたいで中止ちゅうしされた[183][184]。同様どうように、ロングアイランド・サウンドに橋はしやトンネルを建設けんせつする（英語えいご版ばん）という提案ていあんも、望のぞましくない交通こうつうの流入りゅうにゅうで地域ちいき社会しゃかいに害がいを及およぼすとの考かんがえや、環境かんきょうへの懸念けねん、撤去てっきょが必要ひつようとなる住宅じゅうたくの数かずなどを理由りゆうに、反対はんたいによって阻止そしされている[185]。

テネシー州しゅう[編集へんしゅう]

2020年ねん初頭しょとう、テネシー州しゅうのキャンベル郡ぐんで、州しゅう外がいの企業きぎょうが同どう郡ぐんの採石さいせき場じょうで制御せいぎょ発破はっぱ（英語えいご版ばん）を開始かいしした後のち、苦情くじょうが発生はっせいした[186]。高校こうこうから2,000フィート以内いないにある採石さいせき場じょうが予定よていされた発破はっぱを実施じっししたため、キャンベル郡ぐんの学校がっこうは早はやめに授業じゅぎょうを終了しゅうりょうしていた[186]。住民じゅうみんは採石さいせき場じょうの閉鎖へいさを求もとめて集あつまった[186]。その後ご、キャンベル郡ぐん当局とうきょくは、公共こうきょうの建物たてものや電力でんりょく網もう構造こうぞう物ぶつから2,000フィート以内いないでの採石さいせき場じょうの開発かいはつを禁止きんしする決議けつぎを可決かけつした[187]。

2009年ねん、ノーフォーク・サザン鉄道てつどうは、US$2.5 billionのクレセント回廊かいろう（英語えいご版ばん）プロジェクトの一環いっかんとして、州しゅうおよびジェファーソン郡ぐん当局とうきょくとのUS$133 millionの官民かんみんパートナーシップ（英語えいご版ばん）で、テネシー州しゅうジェファーソン郡ぐんに1,300エーカー (5.3 km2)のインターモーダル貨物かもつ輸送ゆそうのトラック・鉄道てつどう施設しせつを建設けんせつする計画けいかくを発表はっぴょうした[188][189]。この施設しせつが完成かんせいすれば、現地げんちに77人にんの雇用こよう、ジェファーソン郡ぐんおよび周辺しゅうへんの郡ぐんに1,700人にんの関連かんれん産業さんぎょうの雇用こようが生うまれ、年間ねんかんUS$60 millionの収入しゅうにゅうが見込みこまれていた[188]。このプロジェクトは、大だい規模きぼな土地とちの喪失そうしつがジェファーソン郡ぐんの農業のうぎょうに悪影響あくえいきょうを及およぼすとして、影響えいきょうを受うける土地とち所有しょゆう者しゃや農家のうかの組織そしき化かされたグループから大おおきな反発はんぱつを受うけた[190]。このプロジェクトの状況じょうきょうは、ノーフォーク社しゃが短期たんき的てきな将来しょうらいに施設しせつを建設けんせつする計画けいかくはないが、同社どうしゃの広報こうほうディレクターのプレスリリースによると、現地げんちの不動産ふどうさんを「長期ちょうき的てきな投資とうし」とする計画けいかくであるため、2015年ねん以降いこう停滞ていたい（英語えいご版ばん）したままである[191]。

バージニア州しゅう[編集へんしゅう]

1994年ねん、住民じゅうみんや歴史れきし家かからの反対はんたいが、ヘイマーケット（英語えいご版ばん）の郊外こうがいでのディズニーズ・アメリカ（英語えいご版ばん）テーマパークの中止ちゅうしに貢献こうけんした[192]。

ワシントン州しゅう[編集へんしゅう]

1988年ねん、シアトルのブロードムーア（英語えいご版ばん）ゴルフコースとゲーテッド・コミュニティの住民じゅうみんは、ワシントン公園こうえんアーボリータム（英語えいご版ばん）とマディソン・パーク（英語えいご版ばん）の間あいだに自転車じてんしゃ道どうを建設けんせつすることに成功裏せいこうりに反対はんたいした[193]。

その他たの国くに[編集へんしゅう]

ニンビズムの政治せいじ的てき意味合いみあい[編集へんしゅう]

この問題もんだいについて、ニューヨーク・タイムズのオピニオン・ライターであるファーハド・マンジュー（英語えいご版ばん）は次つぎのように述のべている。「共和党きょうわとうがI.C.E.や国境こっきょうの壁かべでやりたいことを、裕福ゆうふくな進歩しんぽ的てき民主みんしゅ党員とういんはゾーニングとニンビズムをやっている。『地域ちいきの特性とくせい』を守まもり、『地域ちいきの管理かんり』を維持いじし、住宅じゅうたくを希少きしょうで手ての届とどかないものにしておくこと。両者りょうしゃの目標もくひょうは本当ほんとうに同おなじなのである。つまり、人々ひとびとを排除はいじょすることだ」[195]。

2020年ねんの論文ろんぶんで、自称じしょうリベラルと保守ほしゅ主義しゅぎ者しゃの両方りょうほうの間あいだで、住宅じゅうたく所有しょゆう者しゃの自己じこ利益りえきとNIMBY賛成さんせいの態度たいどの関係かんけいを探さぐったウィリアム・マーブルとクレイトン・ナルは次つぎのように指摘してきしている。「住宅じゅうたく所有しょゆう者しゃは、異ことなる住宅じゅうたく政策せいさくに対応たいおうしているのか、説得せっとく力りょくのある政治せいじ的てきメッセージに対応たいおうしているのか、地域ちいき開発かいはつのための仮説かせつ的てきな提案ていあんを評価ひょうかしているのかにかかわらず、自分じぶんたちの自己じこ利益りえきを脅おびやかす地域ちいき開発かいはつ政策せいさくに反対はんたいし続つづける」[196]。

歴史れきし家かのナンシー・シューメーカーは、「うちの裏庭うらにわでは駄目だめな植民しょくみん地ち主義しゅぎ」を12種類しゅるいの植民しょくみん地ち主義しゅぎの一ひとつに挙あげ、これは受刑じゅけい者しゃの処分しょぶん（英語えいご版ばん）のため、または危険きけんな実験じっけんを行おこなうために地域ちいきが植民しょくみん地ち化かされるものだとしている。彼女かのじょは、オーストラリアと、アメリカの核かく実験じっけん場じょうとなったマーシャル諸島しょとうを例れいに挙あげている[197]。

克服こくふく[編集へんしゅう]

インフラ整備せいびや開発かいはつに対たいするNIMBYの反対はんたいを克服こくふくする様々さまざまな手段しゅだんが用もちいられてきた。説得せっとく、決定けっていを任命にんめい制せいの委員いいん会かいに委ゆだねること、意思いし決定けっていの共同きょうどう体たいを拡大かくだいすること（市町村しちょうそんのゾーニング規則きそくを郡ぐんや州しゅうの規制きせいで覆くつがえすなど）などである。もう一ひとつの提案ていあんは、新あたらしい住宅じゅうたく開発かいはつの近隣きんりん住民じゅうみんに支払しはらいを行おこない、コストだけでなく利益りえきも経験けいけんしてもらうことで、政治せいじ的てき支持しじを表明ひょうめいするインセンティブを与あたえるというものである[198]。

日本にっぽんでは忌避きひされるがゆえに、その設置せっちを受うけ入いれた場合ばあいは、税制ぜいせい面めんをはじめ道路どうろや公園こうえんや運動うんどう施設しせつなど様々さまざまな公共こうきょう施設しせつ整備せいびなどの様々さまざまな振興しんこう策さくという形かたちで優遇ゆうぐうされることがある[199]。また、振興しんこう策さくに魅力みりょくを感かんじて積極せっきょく的てきに誘致ゆうちする自治体じちたいもしばしば見みられる。

特とくに政府せいふが新あたらしい土地とちを収用しゅうようしたり、公有こうゆう水面すいめんを埋うめ立たてる必要ひつようがある場合ばあいは、抵抗ていこうをする地権ちけん者しゃの土地とち収用しゅうようや公有こうゆう水面すいめん埋うめ立たてに当該とうがい地方自治体ちほうじちたい首長しゅちょうの同意どういが必要ひつようとなるケースもある。そのため、NIMBY施設しせつが受うけ入いれの是非ぜひが当該とうがい地方自治体ちほうじちたいで争点そうてんとなると、地方ちほう選挙せんきょで賛成さんせい派はと反対はんたい派はを二分にぶんして選挙せんきょ戦せんが行おこなわれる。特とくに土地とち収用しゅうようの権限けんげんなどで注目ちゅうもくされる当該とうがい地方自治体ちほうじちたいの首長しゅちょう選挙せんきょは、地方ちほう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょよりも注目ちゅうもくされる。NIMBYの中身なかみによっては当該とうがい自治体じちたいの地方ちほう選挙せんきょが全国ぜんこく的てきに注目ちゅうもくされる選挙せんきょになることもある。法的ほうてき拘束こうそく力りょくはなく、意見いけんに留とまる、住民じゅうみん投票とうひょう条例じょうれいによる住民じゅうみん投票とうひょうが実施じっしされる例れいもある。

土地とち収用しゅうようなどの権限けんげんに関与かんよする当該とうがい地方自治体ちほうじちたいの首長しゅちょうが反対はんたい派はで占しめられるようになった場合ばあい、中央ちゅうおう政府せいふはNIMBYの候補こうほ地ちを他たの地域ちいきにするか、地方自治体ちほうじちたいの首長しゅちょうの同意どういを必要ひつようとしない特別とくべつ措置そち法ほうを制定せいていさせてでも当該とうがい地域ちいきでの土地とち収用しゅうようを断行だんこうするか、計画けいかく自体じたいを断念だんねんしてNIMBYによる利益りえきがないことを受うけ入いれるかのいずれかの選択せんたくを強しいられることになる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  196. ^ Marble, Nall, William, Clayton (February 6, 2020). “Where Self-Interest Trumps Ideology: Liberal Homeowners and Local Opposition to Housing Development”. The Journal of Politics 83 (4): 1747–1763. doi:10.1086/711717. 
  197. ^ Shoemaker, Nancy (2015年ねん10月がつ1日にち). “A Typology of Colonialism | Perspectives on History”. アメリカ歴史れきし学会がっかい（英語えいご版ばん）. 2022年ねん4月がつ28日にち閲覧えつらん。
  198. ^ Samuel Sanders (2023年ねん12月30日にち). “What if NIMBYs got paid to become YIMBYs? Local zoning rules often give neighbors the power to block new housing. Maybe they need new incentives to say yes.”. The Boston Globe. https://www.bostonglobe.com/2023/12/30/opinion/nimby-yimby/ 
  199. ^ 「岸きし信夫しのぶ活動かつどうレポート」2009年ねん11月18日にち

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Brouwer, N. R.; Trounstine, Jessica (2024). "NIMBYs, YIMBYs, and the Politics of Land Use in American Cities". Annual Review of Political Science. 27 (1). doi:10.1146/annurev-polisci-041322-041133. ISSN 1094-2939.
  • Doughtery, Conor. 2020. Golden Gates: Fighting for Housing in America. Penguin RandomHouse.
  • Katherine Levine Einstein, David M. Glick, Maxwell Palmer. 2019. Neighborhood Defenders: Participatory Politics and America's Housing Crisis. Cambridge University Press.
  • 清水しみず修二しゅうじ『NIMBYシンドローム考こう：迷惑めいわく施設しせつの政治せいじと経済けいざい』東京とうきょう新聞しんぶん出版しゅっぱん局きょく、1999年ねん4月がつ。ISBN 4808306646。 
  • Thomas, Friedman (2009). Hot, Flat, and Crowded: Why We Need a Green Revolution - and How It Can Renew America, Release 2.0. Picador. ISBN 978-0312428921 ／トーマス・フリードマン『グリーン革命かくめい〔増補ぞうほ改訂かいてい版ばん〕（上うえ・下した）』日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、2010年ねん。ISBN 978-4532316228。 ISBN 978-4532316235。
  • 土屋つちや雄一郎ゆういちろう『環境かんきょう紛争ふんそうと合意ごういの社会しゃかい学がく―NIMBYが問といかけるもの』世界せかい思想しそう社しゃ、2008年ねん。ISBN 978-4790713197。 
  • 「NIMBYを考かんがえる」『住民じゅうみんと自治じち』、自治体じちたい研究けんきゅう社しゃ、2013年ねん5月がつ。 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

  • CAVE people - 「事実じじつ上じょうすべてに反対はんたいする市民しみん」の頭字かしらじ語ご
  • 土地とち収用しゅうよう - 金銭きんせん的てき補償ほしょうと引ひき換かえに政府せいふが私有地しゆうちを接収せっしゅうすること
  • 環境かんきょう的てきレイシズム - 環境かんきょうに有害ゆうがいな施設しせつが社会しゃかい的てき弱者じゃくしゃの地域ちいきに集中しゅうちゅうする現象げんしょう
  • ジェントリフィケーション - 低てい所得しょとく層そうの住宅じゅうたく地ちが高こう所得しょとく層そう向むけに再さい開発かいはつされること
  • ラッダイト運動うんどう - 産業さんぎょう革命かくめい期きに機械きかいの導入どうにゅうに反対はんたいした運動うんどう
  • ゾーニング - 都市とし計画けいかくにおける用途ようと地域ちいきの指定してい
  • YIMBY - 対義語たいぎごで、“Yes In My Back Yard”の略りゃく。
  • BANANA - 「build absolutely nothing anywhere near anything」（種類しゅるいを問とわずどんな建設けんせつにも反対はんたいするNIMBYより強硬きょうこうな地域ちいきエゴ、またはその持もち主ぬしのことを指さす。事物じぶつを対象たいしょうとする「anything」を人ひとを対象たいしょうとする「anyone」にする場合ばあいもある。）の略りゃく。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

ウィクショナリーに関連かんれんの辞書じしょ項目こうもくがあります。
都市とし地理ちり学がく
都市としの範囲はんい
都市としの隣接りんせつ
都心としん
都市とし周辺しゅうへん
都市としの分類ぶんるい
都市とし経済けいざい学がく
都市としの範囲はんい
都市としの分類ぶんるい
都市とし計画けいかく
基本きほん概念がいねん
主おもな分類ぶんるい
都市とし計画けいかく
地域ちいき計画けいかく/地方ちほう計画けいかく
環境かんきょう計画けいかく
交通こうつう計画けいかく
思想しそう/
理論りろん/
現象げんしょう
運動うんどう
思想しそう/
理論りろん/
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都市とし問題もんだい
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起源きげん別べつの都市とし
主おもな人物じんぶつ
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環境かんきょう計画けいかく
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運動うんどう
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