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市町村しちょうそん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん

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日本にっぽん防災ぼうさい無線むせん

市町村しちょうそん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん(しちょうそんぼうさいぎょうせいむせん)は、日本にっぽん行政ぎょうせいなどおも地方ちほう行政ぎょうせい)における防災ぼうさい無線むせん一種いっしゅ日本にっぽん国内こくない市町村しちょうそんおよびが、防災ぼうさい行政ぎょうせいのために設置せっち運用うんようするものである。

どうほうけい移動いどうけい・テレメーターけいの3系統けいとうがある。公共こうきょうせいたかいため、無線むせんきょくとしての電波でんぱ利用りようりょう減免げんめん措置そちがある。

系統けいとう

どうほうけい

屋外おくがい拡声かくせいきょく
60MHzたい使用しようしたデジタルしき戸別こべつ受信じゅしん市町村しちょうそん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんよう戸別こべつ受信じゅしん装置そうち CR-668がた)と、着脱ちゃくだつしき文字もじ表示ひょうじ装置そうち
コミュニティFMを利用りようした戸別こべつ受信じゅしん装置そうち緊急きんきゅう告知こくちFMラジオ)、リズム時計とけいせい「あんしんラジオきくぞうくん1ごう
ポケットベル使用しようした東京とうきょうテレメッセージ戸別こべつ受信じゅしん装置そうち防災ぼうさいラジオ TTR11A)

防災ぼうさい情報じょうほう住民じゅうみん周知しゅうちすることを目的もくてき設置せっちされるシステム。住民じゅうみんどうほうおこな放送ほうそうどうほう無線むせん)として整備せいびされるものであり、有線ゆうせん放送ほうそう電話でんわ放送ほうそう業務ぎょうむ発展はってん解消かいしょうしたものである。屋外おくがい拡声かくせい戸別こべつ受信じゅしんもちいて、住民じゅうみんたいして防災ぼうさい情報じょうほう一斉いっせい放送ほうそうする。自治体じちたいによっては、ケーブルテレビコミュニティFMでも放送ほうそうしている[1][2]広報こうほうしゃ巡回じゅんかいさせ拡声かくせいアナウンスをする必要ひつようがなくなるので導入どうにゅう相次あいついだ。

周波数しゅうはすうたいは60MHzたいおお使つかわれており、デジタル方式ほうしきへの移行いこうようとして2011ねんにはおなじ60MHzたいなか追加ついか割当わりあてが実施じっしされた。ほかにも、MCA無線むせん[3][4][5]・V-Lowマルチメディア放送ほうそうi-dio[6]ポケットベル[7]利用りようしたものや、コミュニティFMの緊急きんきゅう放送ほうそうをそのままながすもの[8]もある。

全国ぜんこくで8わりじゃく市町村しちょうそん設置せっちされており[9][10]とく過去かこ津波つなみ水害すいがいなどのだい災害さいがいのあった地域ちいき東海とうかい地震じしん警戒けいかい地域ちいき防災ぼうさい関連かんれん補助ほじょ制度せいど手厚てあつ原子力げんしりょく関連かんれん施設しせつ近辺きんぺん自治体じちたいでは整備せいびりつたかい。

構成こうせい

  • 固定こていきょく - 司令しれいたくおやきょく)がある。アンテナ送信そうしん役場やくば設置せっちされることがおおいが、地形ちけい関係かんけい高台たかだい専用せんよう電波でんぱとう建設けんせつしたり、NTTきょくしゃのアンテナタワー・送電そうでんよう鉄塔てっとう放送ほうそうきょく送信そうしんしょなどを間借まがりすることもある。司令しれいたく総務そうむ危機きき管理かんりしつなどの防災ぼうさい部門ぶもんのほか、消防しょうぼう本部ほんぶ警察けいさつしょ役場やくば支庁しちょう支所ししょとうにもふく指令しれいたく遠隔えんかく制御せいぎょ装置そうちきょく)が配備はいびされ、屋外おくがい拡声かくせいきょく戸別こべつ受信じゅしん装置そうちへの放送ほうそう地区ちくべつ放送ほうそうなどの制御せいぎょおこなうことができる。
  • 中継ちゅうけいきょく - 山間さんかんなどで電波でんぱ状況じょうきょうわる場合ばあいは、中継ちゅうけいきょくもうけられる。
  • 屋外おくがい拡声かくせいきょく - 市町村しちょうそんない各所かくしょ設置せっちされ、拡声かくせいスピーカーから放送ほうそう内容ないようながされる。通常つうじょう無線むせん使用しようするが、専用せんよう有線ゆうせん回線かいせんもちいる場合ばあいもある。
  • 戸別こべつ受信じゅしん装置そうち - かく支所ししょ公民館こうみんかんかく小中学校しょうちゅうがっこう地滑じすべ急斜面きゅうしゃめん崩壊ほうかい危険きけん地域ちいき個人こじんたくなどに配備はいびくに補助ほじょきん活用かつようし、ぜん世帯せたいへの配布はいふ希望きぼうしゃ有償ゆうしょう配布はいふおこなっている自治体じちたいもある。また、ケーブルテレビ回線かいせん活用かつようした戸別こべつ音声おんせい告知こくち端末たんまつ設置せっちすることでえるれいもある。コミュニティFMきょく接続せつぞくし、緊急きんきゅうには番組ばんぐみ途中とちゅうんだり緊急きんきゅう告知こくちFMラジオ連動れんどうして放送ほうそうおこな自治体じちたいもある。

デジタル方式ほうしき

いずれの方式ほうしきも、音声おんせい帯域たいいきは50Hzへるつ∼7kHzきろへるつ

60MHzたいデジタルどうほうけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん方式ほうしき[10][11]
方式ほうしき チャンネル間隔かんかく アクセス方式ほうしき 送信そうしん方式ほうしき 伝送でんそう速度そくど 音声おんせいコーデック 前方ぜんぽうあやま訂正ていせい 特徴とくちょう
16QAM 16kHzきろへるつ TDD(TDM/TDMA) 6チャンネル たんしんふくしんはんふくしんどうほう 46kbps S方式ほうしき[12][13] たた符号ふごう符号ふごうりつ やく1/2) 高機能こうきのうでやや高価こうかだが、拡声かくせい品質ひんしつはアナログ方式ほうしきよりもい。
QPSK Wide 16kHzきろへるつ SCPC 1チャンネル たんしんどうほう 22.5kbps AMR-WB+ (10kbps) ターボ符号ふごう符号ふごうりつ 5/8) 16QAMよりも安価あんかで、拡声かくせい品質ひんしつはアナログ方式ほうしきよりも
4FSK Wide 16kHzきろへるつ 9.6kbps AMR-WB+ (6kbps) ターボ符号ふごう符号ふごうりつ 3/4) 16QAMよりも安価あんかで、拡声かくせい品質ひんしつはアナログ方式ほうしき同等どうとう
QPSK 7.5kHzきろへるつ 11.25kbps ターボ符号ふごう符号ふごうりつ 5/8)

放送ほうそう内容ないよう

無線むせんきょく免許めんきょじょうには無線むせんきょく目的もくてきとして「防災ぼうさい行政ぎょうせい事務じむかんする事項じこう」と記載きさいされているため、放送ほうそう内容ないよう防災ぼうさい防犯ぼうはん[14]行政ぎょうせい事務じむ試験しけん放送ほうそうかぎられる。

放送ほうそうは「こちらは広報こうほう市町村しちょうそんめい)です」や「役場やくば(◯◯)からおらせします。」や「こちらは防災ぼうさい市町村しちょうそんめい)です」からはじまることがおおい。火災かさい場合ばあいはそのときの消防署しょうぼうしょいん役場やくば職員しょくいん判断はんだん自治体じちたいにもよるが、「只今ただいま、○○地区ちくで□□火災かさい発生はっせいしました。」(最初さいしょにサイレン吹鳴すいめい火災かさい発生はっせいという文言もんごんれることもある)が一般いっぱんてきである。さらに、目標もくひょうぶつからの方角ほうがく距離きょり放送ほうそうしたり、消防しょうぼうだん出動しゅつどうについての指示しじ(「◯◯分団ぶんだんただちに出動しゅつどうしてください」など)をおこな場合ばあいもある。「防災ぼうさい市町村しちょうそんめい)」とアナウンスしたり、役場やくばめいからはじまる地域ちいきもある[注釈ちゅうしゃく 5]遠方えんぽうにある屋外おくがいスピーカーからのこえかさなってききとりにくくなるのをふせぐため、かたりあいだおおきくけてゆっくりはなすのが特徴とくちょうであり、機械きかい音声おんせい場合ばあいもある。複数ふくすうのエリアに分割ぶんかつし、放送ほうそう区域くいき時間じかんえる手法しゅほうもある(時差じさ放送ほうそう)。一部いちぶ市町村しちょうそんでは放送ほうそう内容ないようを、コミュニティFMやケーブルテレビの自主じしゅ放送ほうそう(コミュニティ)チャンネルに提供ていきょうすることもある[注釈ちゅうしゃく 6]

アナログ方式ほうしきやコミュニティFMでは放送ほうそう開始かいしまえ終了しゅうりょうに、受信じゅしん機器きき操作そうさするための信号しんごうながれるなど、対策たいさくられている。

移動いどうけい

移動いどうけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんは、防災ぼうさい情報じょうほう収集しゅうしゅうや、通信つうしん手段しゅだん途絶とぜつした場合ばあい防災ぼうさい担当たんとうしゃあいだ情報じょうほう伝達でんたつ手段しゅだん確保かくほする目的もくてき設置せっちされるシステムである。役場やくばなどに設置せっちされる基地きちきょくやま上等じょうとう設置せっちする中継ちゅうけいきょく移動いどうきょく簡単かんたんしできる携帯けいたいがた以外いがいに、よりだい出力しゅつりょく搬型(はん固定こていがた)や自動車じどうしゃ搭載とうさい車載しゃさいがたくるまからはず可能かのうくるま携帯けいたいがたもある)があり、移動いどうきょく相互そうごあいだ直接ちょくせつ交信こうしん可能かのうである[1][2]

平時へいじ災害さいがいつうじて、加入かにゅう電話でんわ携帯けいたい電話でんわ使用しようできない場面ばめん活用かつようできるよう、すうおおくの市町村しちょうそん整備せいびされている。災害さいがい発生はっせいには防災ぼうさい関係かんけい業務ぎょうむ優先ゆうせんして使用しようされるが、通常つうじょうでも役場やくば出先でさき機関きかん現場げんばとの事務じむ連絡れんらく活用かつようしている自治体じちたいもある。

周波数しゅうはすうたいはアナログ方式ほうしきでは150MHzたい・400MHzたい使用しようしている。どうほうけいおなじく規制きせい緩和かんわMCA無線むせん使用しようしている地方自治体ちほうじちたいもあるが、2011ねん電波でんぱほう改正かいせいにより、150MHzたいと400MHzたい使用しようしている防災ぼうさい無線むせんきょくは、デジタルと260MHzたいへの周波数しゅうはすう変更へんこうすすめられている。

災害さいがいには救援きゅうえん活動かつどう連絡れんらく手段しゅだんとしてスムーズな運用うんよう出来できるよう、相互そうご協定きょうていむすんでいる自治体じちたいもある。ちなみに被災ひさいでは、かく自治体じちたい専用せんよう周波数しゅうはすうではなく、「全国ぜんこく共通きょうつう」という、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいすべてに統一とういつてられている周波数しゅうはすう使用しようする。

デジタル方式ほうしき

2種類しゅるいがある[10]

  • πぱい/4シフトQPSK方式ほうしき - 伝送でんそう速度そくど9.6kbit/s。4スロットTDMA多重たじゅうされているため周波数しゅうはすう利用りよう効率こうりつすぐれ、せま帯域たいいきではあるが比較的ひかくてきこうレートの伝送でんそう可能かのう
  • 4FSK方式ほうしき - 伝送でんそう速度そくど4.8kbit/s。多重たじゅうされていないため伝送でんそう速度そくどおそいが、回路かいろ構成こうせい単純たんじゅんであるためしょう電力でんりょくてい価格かかく受信じゅしんエリアがπぱい/4シフトQPSK方式ほうしきよりもひろい。ただし音声おんせい以外いがい(サイレン・ミュージックチャイムなど)は劣化れっかし、わずかではあるが遅延ちえん発生はっせいすることがある。

テレメーターけい

テレメーターけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんは、降水こうすいりょう河川かせん水位すいいすべりなどの無人むじん観測かんそくしょ制御せいぎょきょくとをむすび、データを収集しゅうしゅうするものである。周波数しゅうはすうたいは70MHzたい・400MHzたい使用しようしている[2]どうほうけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんのアンサーバック機能きのう利用りようして、データを収集しゅうしゅうするシステムを構築こうちくしている自治体じちたいもある。

市町村しちょうそん合併がっぺいによる統合とうごう運用うんよう

市町村しちょうそん合併がっぺいともない、システムの統合とうごうすすめられているが、問題もんだいしょうじている。設備せつび老朽ろうきゅうによる更新こうしんや、デジタル方式ほうしき移行いこうにより改善かいぜんられる。

  • メーカー・システムがことなる設備せつび使用しようしていた場合ばあい統合とうごう運用うんよう困難こんなんになる場合ばあいがある。とくきゅう市町村しちょうそんでのメーカー・導入どうにゅうねんおおきくがある場合ばあい制御せいぎょ方式ほうしき動作どうさ条件じょうけん設備せつび更新こうしん時期じきちがいで問題もんだい発生はっせいする。そのため両者りょうしゃ橋渡はしわたしをするシステムを独自どくじ制作せいさくしたり、更新こうしん時期じきまで新旧しんきゅう設備せつび併用へいようすることがある。
  • しゅ指令しれいたく役所やくしょ)とふく指令しれいたく吸収きゅうしゅう合併がっぺいされた市町村しちょうそん役所やくしょ)、またきょく中継ちゅうけいきょく有線ゆうせん通信つうしん自営じえい回線かいせんNTT専用せんようせん)でむす構成こうせいでは、断線だんせん回線かいせん不良ふりょうとう通信つうしん途絶とぜつするおそれがある。
  • 移動いどうけいでは周波数しゅうはすう統一とういつ必要ひつようであり、相互そうご連絡れんらく不都合ふつごうしょうじる。共通きょうつう相互そうご連絡れんらくることも可能かのうだが、既設きせつシステムに当該とうがい周波数しゅうはすう導入どうにゅうされていない場合ばあいあらたに免許めんきょ申請しんせい無線むせん設備せつび改修かいしゅうとう必要ひつようになる。

デジタル

2003ねん4がつに、総務そうむしょうにおいて「市町村しちょうそんデジタルどうほう通信つうしんシステム推奨すいしょう規格きかく」(総務そうむしょう推奨すいしょう規格きかく)が策定さくていされ、同年どうねん7がつには「市町村しちょうそんデジタルどうほう通信つうしんシステム」の標準ひょうじゅん規格きかく策定さくていされた。

利点りてん

  • 電波でんぱ利用りよう効率こうりつ向上こうじょうする。
  • 複数ふくすうチャンネルふくしん通話つうわぜんじゅう通信つうしん)が可能かのう[注釈ちゅうしゃく 7]
  • 静止せいし画像がぞうファクシミリ文字もじ情報じょうほうなどのタ通信たつうしん容易よういである。アナログ方式ほうしきではモデム使用しようしてデータを音声おんせい信号しんごう変換へんかんする必要ひつようがあるが、デジタル方式ほうしきでは音声おんせいもデータ通信つうしん伝送でんそうされているため、ソフトウェアの改修かいしゅうだけで対応たいおうすることができる。
  • 全国ぜんこく瞬時しゅんじ警報けいほうシステム接続せつぞく容易よういである[20]
  • 移動いどうけい都道府県とどうふけん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん同一どういつ規格きかくであるため、非常時ひじょうじには都道府県とどうふけん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん使つかって自治体じちたいをまたいだ通信つうしんをすることができる。

欠点けってん

  • 多額たがく導入どうにゅう費用ひよう長期間ちょうきかんのアナログ-デジタル併用へいよう運用うんようなどの負担ふたんおおきい。このためデジタル方式ほうしき移行いこうするためのくに補助ほじょ制度せいどもうけられている。なお800MHzたい地域ちいき防災ぼうさい無線むせんについては2011ねん平成へいせい23ねん]6がつ廃止はいしされ、デジタル方式ほうしき移行いこう完了かんりょうしている。
  • アナログ方式ほうしきでは戸別こべつ受信じゅしん以外いがいにも、一般いっぱん市販しはんされている広帯域こうたいいき受信じゅしん防災ぼうさいラジオでも受信じゅしんすることができるが、デジタル方式ほうしきでは汎用はんよう受信じゅしん市販しはんされておらず、専用せんよう個別こべつ受信じゅしん使用しようしなければいけない。デジタル無線むせん電話でんわ復号ふくごう出来でき受信じゅしんは、非常ひじょう高価こうかである。
  • 音声おんせいコーデック人間にんげんこえ周波数しゅうはすう帯域たいいきとくされているため、ミュージックチャイムやサイレンなどの音質おんしつ劣化れっかしたり、ごくわずかではあるが遅延ちえん発生はっせいする[10]。アナログ方式ほうしきのときと同様どうようそとけのモーターサイレンを設置せっちしたり、受信じゅしんにサイレン・チャイムおん鳴動めいどう装置そうち付加ふかすることで対応たいおうしている自治体じちたいもある。
  • アナログ方式ほうしきくらべ、デジタル方式ほうしき整備せいび費用ひよう高価こうかである(2015ねん3がつまつ現在げんざい、デジタル方式ほうしき整備せいびりつは、移動いどうけいは17.1%、どうほうけいは41.2%[10])。ただし市町村しちょうそん合併がっぺい設備せつび老朽ろうきゅうに、くに補助ほじょきん利用りようしてデジタル方式ほうしき移行いこうする自治体じちたいもある。

問題もんだいてん

騒音そうおん

防災ぼうさい無線むせんかぎられたかずのスピーカーでぜん世帯せたいに、かつ屋内おくないにいる人間にんげんにも強制きょうせいてきかせるというかんがえのシステムである性質せいしつじょう本質ほんしつてき騒音そうおん問題もんだいかかえている。とく防災ぼうさい無線むせんスピーカー設置せっち場所ばしょ近隣きんりん住民じゅうみんっては音量おんりょう過剰かじょうとなり、住民じゅうみんから放送ほうそうめをもとめる訴訟そしょうこされている。ただし、いずれも市町村しちょうそんがわ主張しゅちょうみとめられ、原告げんこく請求せいきゅう退しりぞけられている。

災害さいがい情報じょうほうにしても必要ひつようとするひと必要ひつようないとするひとがおり、両者りょうしゃから苦情くじょうるなど運用うんようむずかしいという[21]

また、音波おんぱ使つかうために市区しく町村ちょうそん境界きょうかいちか地区ちくでは隣接りんせつする自治体じちたいこえてしまう。

濫用らんよう

とく緊急きんきゅうせい内容ないよう放送ほうそうおこない、騒音そうおん公害こうがいとなっているケースもある。 鹿児島かごしまけん阿久根あくねでは、市長しちょうである竹原たけはら信一しんいち在任ざいにんちゅう自身じしんブログ記述きじゅつ障害しょうがいしゃ団体だんたいから抗議こうぎけたさい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんもちいてマスコミ批判ひはん放送ほうそうおこなった[22]感染かんせんしょう対策たいさくなどでわかりきった内容ないようのことを毎日まいにち放送ほうそうされ苦情くじょうれいもある[23]

時報じほう

放送ほうそう設備せつび点検てんけんねておこなわれている時報じほうだが、音量おんりょうおおきいことから苦情くじょう自治体じちたいせられることがある[18]自治体じちたいへの苦情くじょうせられているが対応たいおう役所やくしょによりまちまちである。いちれいでは、愛知あいちけん飛島とびしまむらでは1にち4かい時報じほうらされていたが、苦情くじょうけ1にち1かいにした[24]一方いっぽう青森あおもりけんおいらせまちでは毎日まいにちあさ6、12、18防災ぼうさい無線むせん放送ほうそうされ、市民しみんから「ねむれない」との苦情くじょうているが、「おおくの町民ちょうみん根付ねついているため変更へんこう予定よていはない」と回答かいとうしている[25][26][27]静岡しずおかけん富士ふじでは、午前ごぜん7にチャイムがり「あかぼうきる」「夜勤やきんけなのにねむれない」などの苦情くじょうせられていた。2020ねんおこなわれた調査ちょうさでも「なくてもこまらない」という意見いけんが4わり以上いじょうとの結果けっかており、午前ごぜん7のチャイムは廃止はいしとなった[28]

一方いっぽうで、農作業のうさぎょうなど屋外おくがい作業さぎょうをしている市民しみんには帰宅きたく目安めやすとなっていることもあり、時報じほうめない要望ようぼうがあることもある。千葉ちばけん富津とみつでは、児童じどう見守みまもりの告知こくちわり、2022ねん6がつ末日まつじつ午後ごご6時報じほうりやめる予定よていだった。しかし時報じほうつづけるよう市民しみんからの要望ようぼうがあり、継続けいぞくされることがまった[18]

きとりづらさ

屋内おくないでは放送ほうそうがききとりづらく、また難聴なんちょう高齢こうれいしゃ聴覚ちょうかく障害しょうがいしゃにはつたわりにくい。大雨おおあめ災害さいがいにおいてもはげしいあめおん放送ほうそう音声おんせいがかきされ、情報じょうほうつたわらないケースが報告ほうこくされる[29]埼玉さいたまけん吉川よしかわでは、2015ねん9がつ10日とおか中川なかがわ氾濫はんらんともな避難ひなん情報じょうほう無線むせんびかけたが、内容ないようがききとれなかったという電話でんわ市役所しやくしょ殺到さっとうした[21]

信頼しんらいせいひくさ(故障こしょう)

宮城みやぎけん名取なとり閖上ゆりあげ地区ちくは、2011ねん発生はっせいした東北とうほく地方ちほう太平洋たいへいようおき地震じしん東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい)にともな津波つなみによりおおきな被害ひがいしたが、名取なとり設置せっちした防災ぼうさい無線むせん故障こしょうして機能きのうしなかった。家族かぞく津波つなみ犠牲ぎせいになったのは、防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん故障こしょうしていたためとして、2014ねん犠牲ぎせいしゃ遺族いぞく名取なとり仙台せんだい地方裁判所ちほうさいばんしょ提訴ていそしたが2018ねん敗訴はいそ遺族いぞくがわ仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょ控訴こうそしたが、2020ねん3月11にち遺族いぞく名取なとりとのあいだ和解わかい成立せいりつした。和解わかい内容ないようは、遺憾いかん表明ひょうめいすること、検証けんしょう結果けっか報告ほうこくしょ展示てんじすること、賠償金ばいしょうきん発生はっせいしないことなどであった[30]

電波でんぱジャック

アナログのトーン方式ほうしき使用しようしている場合ばあい伝送でんそう使用しよう周波数しゅうはすうとキーとなる重畳ちょうじょう音声おんせい周波数しゅうはすうせれば、電波でんぱジャック可能かのうであった。詳細しょうさい杉並すぎなみ防災ぼうさい無線むせん電波でんぱジャック事件じけんこう参照さんしょう

混信こんしん

アナログ方式ほうしき場合ばあいはるなつにかけて発生はっせいするスポラディックEそう(Eスポ)による電波でんぱ反射はんしゃで、おな周波数しゅうはすう・システムを使用しようしている遠方えんぽう防災ぼうさい無線むせん混信こんしんして放送ほうそうされ、混乱こんらんまねいた事例じれいがある。

その

  • 地形ちけいなどの条件じょうけんにより受信じゅしんむずかしい場所ばしょでは、中継ちゅうけいきょく有線ゆうせん回線かいせんでの伝送でんそう設備せつび必要ひつようとなる。
  • 個別こべつ受信じゅしん住民じゅうみん配布はいふする場合ばあい受信じゅしんむずかしい場所ばしょでは自治体じちたい負担ふたん屋外おくがいアンテナを設置せっちする必要ひつようがある。
  • 有線ゆうせん放送ほうそう電話でんわオフトーク通信つうしんえる場合ばあい広告こうこく放送ほうそうコミュニティ放送ほうそうなどべつ手段しゅだん確保かくほする必要ひつようがある。
  • ケーブルテレビ回線かいせんによる戸別こべつ音声おんせい告知こくち端末たんまつ設置せっちする場合ばあい停電ていでんしたりケーブルテレビの設備せつび故障こしょう切断せつだんした場合ばあいには使つかえなくなる。またケーブルテレビのサービスエリアがい場所ばしょには設置せっちできない。

関連かんれん項目こうもく

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 「よいこのチャイム」(千葉ちばけん松戸まつど)や「パンザマスト」(千葉ちばけんかしわ我孫子あびこ)など、独自どくじ題名だいめいけられていることがある[19]
  2. ^ 富士宮ふじのみやなど富士山ふじさんかんする自治体じちたいでは「ふじのやま」、海浜かいひん位置いちする葉山はやままちでは「浜辺はまべうた」、白子しらこまち九十九里くじゅうくりまちでは「われはうみ」、「浜千鳥はまちどり歌碑かひ」がある和田わだまちげんみなみ房総ぼうそう)では「浜千鳥はまちどり」、みかん出荷しゅっかである宇和島うわじま松田まつだまちでは「みかんのはなおか」など。
  3. ^ 岩手いわてけんみなみ三陸さんりくまちの「残酷ざんこく天使てんしのテーゼ」(作曲さっきょくしゃ佐藤さとう英敏ひでとし出身しゅっしん)、福島ふくしまけん田村たむら大越おおごえまち静岡しずおかけん浜松はままつ天竜てんりゅう春野はるのまち兵庫ひょうごけん宝塚たからづかの「すみれのはなころ」(いずれも宝塚歌劇団たからづかかげきだんやその創始そうししゃとのえん)、福島ふくしまけん須賀川すかがわの「ウルトラセブンのうた」「かえってきたウルトラマン」(ウルトラシリーズみのおやである円谷つぶらや英二えいじ出身しゅっしん。なお、曲名きょくめいにかけて「ウルトラセブンのうた」はあさ7に、「かえってきたウルトラマン」は夕方ゆうがた530ふんながされる。)などがげられる[17]
  4. ^ じょんから開催かいさいされる7がつのみ「じょんからふし」にわる[17]
  5. ^ 広報こうほう〜」・「防災ぼうさい〜」のちがいは、かく総合そうごう通信つうしんきょくから交付こうふされる無線むせんきょく免許めんきょじょう識別しきべつ信号しんごうによる。
  6. ^ 静岡しずおかけん伊東いとうでは、防災ぼうさい無線むせん放送ほうそうする内容ないよう伊豆いずきゅうケーブルネットワーク(IKC)とシーブイエー(CVA)の2きょく提供ていきょうし、文字もじながす(両方りょうほう)かそのまま音声おんせいながす(CVA)ようにしている
  7. ^ アナログ方式ほうしきでは複数ふくすう周波数しゅうはすう使用しようする必要ひつようがあり、地域ちいきごとにことなる放送ほうそう同時どうじおこなうのは面倒めんどう。デジタル方式ほうしきでは、単一たんいつ周波数しゅうはすうおこなうことが可能かのうである。

出典しゅってん

  1. ^ a b 石垣いしがきさとる防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんシステムの変遷へんせん」『日本にっぽん無線むせんわざほう No.60 2011日本無線にほんむせん、2011ねん
  2. ^ a b c だい1 だい2しょう 3 (5)市町村しちょうそん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん」『非常ひじょう通信つうしん確保かくほのためのガイド・マニュアル非常ひじょう通信つうしん協議きょうぎかい、2017ねん3がつ
  3. ^ 一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん移動いどう無線むせんセンター「業務ぎょうむようデジタルMCA無線むせん通信つうしんシステム 自治体じちたいでの導入どうにゅうメリット
  4. ^ ふくおかコミュニティ無線むせん - MCA無線むせん活用かつようした市町村しちょうそんけの防災ぼうさい無線むせんシステム。2005ねん平成へいせい17ねん)に福岡ふくおかけん開発かいはつされ、どう県内けんない市町村しちょうそん中心ちゅうしん導入どうにゅうすすめられている。2009ねん平成へいせい21ねん)には、FMラジオ程度ていど小型こがた受信じゅしん使用しようする戸別こべつ受信じゅしん方式ほうしき開発かいはつされた[1]
  5. ^ 大夢だいむコミュニティ無線むせん - 福岡ふくおかけん大牟田おおむた2007ねん平成へいせい19ねん)から導入どうにゅうしたMCA無線むせん利用りよう市町村しちょうそん防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんシステムで、ふくおかコミュニティ無線むせん改良かいりょうがた移動いどうけい無線むせんGPSによる位置いち管理かんり機能きのうもうけている。
  6. ^ 福島ふくしまけん喜多方きたかた静岡しずおかけん焼津やいづ兵庫ひょうごけん加古川かこがわ
  7. ^ 東京とうきょうテレメッセージ280MHzデジタルどうほう無線むせんシステム
  8. ^ 愛媛えひめけん宇和島うわじまFMがいや
  9. ^ 前田まえだ裕二ゆうじ防災ぼうさい情報じょうほう伝達でんたつシステムの現状げんじょう」『電気でんき設備せつび学会がっかい 32かん12ごう電気でんき設備せつび学会がっかい、2012ねん
  10. ^ a b c d e 重野しげのほまれけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんのディジタル方式ほうしき普及ふきゅう促進そくしんけた総務そうむしょう取組とりくみについて」『電子でんし情報じょうほう通信つうしん学会がっかい 通信つうしんソサイエティマガジン 9かん3ごう電子でんし情報じょうほう通信つうしん学会がっかい、2015ねん
  11. ^ 業務ぎょうむよう陸上りくじょう無線むせん通信つうしん高度こうどとうかんする技術ぎじゅつてき条件じょうけん」のうち「60MHzたいデジタルどうほうけい防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん低廉ていれん」にかんする情報じょうほう通信つうしん審議しんぎかいからの一部いちぶ答申とうしん 別紙べっし総務そうむしょう、2014ねん9がつ
  12. ^ ARIB STD-T86 G.722.1とほぼおなじもの
  13. ^ 伊村いむらしん無線むせん通信つうしんシステム技術ぎじゅつ変遷へんせん今後こんご展望てんぼう」『三菱電機みつびしでんきわざほう2014ねん9がつごう三菱電機みつびしでんき、2014ねん
  14. ^ a b 警察庁けいさつちょう生活せいかつ安全あんぜんきょく生活せいかつ安全あんぜん企画きかく課長かちょう警察庁けいさつちょうひのとせいくわだてはつだい803ごう 防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん活用かつようした地域ちいき住民じゅうみんとうたいする防犯ぼうはん情報じょうほう提供ていきょう推進すいしんについて(通達つうたつ」、警視庁けいしちょう、2015ねん12月18にち
  15. ^ 名古屋なごや地方裁判所ちほうさいばんしょ民事みんじだい7判決はんけつ平成へいせい16ねん3がつ26にち平成へいせい13(ワ)4811、『 放送ほうそう禁止きんし請求せいきゅう事件じけん』。
  16. ^ 公共こうきょう業務ぎょうむよう無線むせんきょく通信つうしん事項じこうは「防災ぼうさい行政ぎょうせい事務じむかんする事項じこうとうさだめられているが、判例はんれいでは防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん機器きき試験しけん目的もくてきとした時報じほう放送ほうそうみとめられている[15]
  17. ^ a b c d e f g てんもんたまご (2018ねん5がつ27にち). “エヴァに宝塚たからづかにX JAPAN! 自由じゆうすぎる全国ぜんこくの「防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんチャイム」を調しらべてみた”. ねとらぼ. https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1805/27/news006.html 2022ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん 
  18. ^ a b c 千葉ちばけん富津とみつ「『夕焼ゆうやしょうけ』がうるさい!」苦情くじょうるも継続けいぞく「ないと非常ひじょうこまる」擁護ようごこえ続々ぞくぞくと”. FLASH. (2022ねん6がつ22にち). https://smart-flash.jp/lifemoney/187486/ 2023ねん12月30にち閲覧えつらん 
  19. ^ TRILLニュース編集へんしゅう (2023ねん7がつ10日とおか). 夕方ゆうがたごろまちながれる「夕焼ゆうやしょうけ」、地域ちいきによって“意外いがい”があった”. TRILL. https://trilltrill.jp/articles/3176929 2023ねん7がつ10日とおか閲覧えつらん 
  20. ^ アナログ方式ほうしきでも設計せっけいふる場合ばあいは、複数ふくすう警報けいほうシステムを接続せつぞくすることを想定そうていしていないため、設備せつび改修かいしゅう苦労くろうすることがある。
  21. ^ a b 災害さいがい対応たいおう自治体じちたいむずかしい情報じょうほう提供ていきょう「なぜ放送ほうそうない」「うるさい」”. 埼玉さいたま新聞しんぶん. (2015ねん9がつ25にち). https://www.saitama-np.co.jp/news/2015/09/25/05.html 2022ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん 
  22. ^ 阿久根あくね市長しちょう、マスコミ批判ひはん 防災ぼうさい無線むせんでブログ問題もんだい47NEWS共同通信社きょうどうつうしんしゃ)2010ねん1がつ6にち
  23. ^ 防災ぼうさい無線むせん「ききとれない」「緊急きんきゅうか」コロナ対策たいさく毎日放送まいにちほうそう必要ひつようある?対応たいおう苦心くしん | 岐阜ぎふ新聞しんぶんWeb
  24. ^ 時報じほうサイレン、4かいから1かいに 飛島とびしまむらうすらぐ必要ひつようせい中日新聞ちゅうにちしんぶんWeb
  25. ^ 早朝そうちょう防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんがうるさい - おいらせまちホームページ
  26. ^ 2020.09.01 防災ぼうさい無線むせんようのスピーカーの騒音そうおんについて 2020-A0065-001|鳥取とっとり
  27. ^ 蓮田はすだ防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんがうるさいのでめてほしい
  28. ^ あかちゃんきる」「夜勤やきんけでねむれない」…あさ防災ぼうさい無線むせんチャイム廃止はいし : 社会しゃかい : ニュース : 読売新聞よみうりしんぶんオンライン
  29. ^ 防災ぼうさい新聞しんぶん西日本新聞社にしにっぽんしんぶんしゃ
  30. ^ 閖上ゆりあげ津波つなみ訴訟そしょう和解わかい成立せいりつ 岩手いわて宮城みやぎりょうけん集団しゅうだん訴訟そしょうすべ集結しゅうけつ”. 毎日新聞まいにちしんぶん (2020ねん3がつ12にち). 2020ねん3がつ12にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク