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ポリ塩化えんかビフェニル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
PCBの構造こうぞう。ビフェニルの水素すいそが、1 - 10塩素えんそ置換ちかんされている。

ポリ塩化えんかビフェニル(ポリえんかビフェニル、polychlorinated biphenyl)またはポリクロロビフェニル (polychlorobiphenyl) は、ビフェニル水素すいそ原子げんし塩素えんそ原子げんし置換ちかんされた化合かごうぶつ総称そうしょうで、一般いっぱんしき C12H(10-n)Cln (1≦n≦10) であらわされる。置換ちかん塩素えんそかずによりモノクロロビフェニルからデカクロロビフェニルまでの10種類しゅるい化学かがくしきがあり、置換ちかん塩素えんそ位置いちによって、合計ごうけい209しゅ異性いせいたい存在そんざいする。

りゃくしてPCB(ピーシービー)ともばれる。なお、英語えいごではプリント基板きばん (printed circuit board) との混同こんどうけ「PCBs」とばれることもある[1][2]

あわ黄色きいろから無色むしょく粘性ねんせいたか油状ゆじょう液体えきたいねつたいして安定あんていで、電気でんき絶縁ぜつえんせいたかく、たい薬品やくひんせいすぐれている。加熱かねつ冷却れいきゃくようねつ媒体ばいたい変圧へんあつコンデンサといった電気でんき機器きき絶縁ぜつえん可塑かそざい塗料とりょうノンカーボン溶剤ようざいなど、非常ひじょう幅広はばひろ分野ぶんやもちいられた。

一方いっぽう生体せいたいたいする毒性どくせいたかく、脂肪しぼう組織そしき蓄積ちくせきしやすい。発癌はつがんせいがあり、また皮膚ひふ内臓ないぞうへの障害しょうがいホルモン異常いじょうこすことがかっている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1930年代ねんだい製造せいぞうされたはしらじょう変圧へんあつ。PCB使用しよう機器ききであることをしめすシールが貼付ちょうふされている。

1881ねんドイツはじめて合成ごうせいされ、1929ねん米国べいこく工業こうぎょう生産せいさんはじまった。日本にっぽんでは、1954ねん昭和しょうわ29ねん)に鐘淵化学工業かねがふちかがくこうぎょう高砂たかさご事業じぎょうしょとう製造せいぞうはじまったが、1968ねん昭和しょうわ43ねん)にこった「カネミ油症かねみゆしょう事件じけん」をきっかけに、1972ねん昭和しょうわ47ねん)の生産せいさん使用しよう中止ちゅうしとう行政ぎょうせい指導しどうて、1975ねん昭和しょうわ50ねん)に製造せいぞうおよび輸入ゆにゅう原則げんそく禁止きんしされた。

1979ねん台湾たいわんあぶらしょう発生はっせいした。

1999ねん1がつベルギーダイオキシン汚染おせんこった。動物どうぶつよう飼料しりょう汚染おせんされ、PCBに汚染おせんされた食肉しょくにく乳製品にゅうせいひん流通りゅうつうした。

しかしながら、以前いぜんつくられたものの対策たいさくはとられておらず、2000ねんころから、世界せかいでPCBをふく電機でんき電気でんき製品せいひんとく老朽ろうきゅうした蛍光けいこうとう安定あんていコンデンサからPCBをふく絶縁ぜつえんれる事故じこ相次あいつぎ、社会しゃかい問題もんだいとなった。

ダイオキシンさまPCB・コプラナーPCB[編集へんしゅう]

WHOによるダイオキシンさまPCBの毒性どくせい[3]
種類しゅるい 名称めいしょう IUPAC
No.
TEF
PCDD 2,3,7,8-テトラクロロパラジオキシン(参考さんこう 1
PCDF 2,3,4,7,8-ペンタクロロジベンゾフラン(参考さんこう 0.3
ノンオルト置換ちかん
(コプラナー)
PCB
3,3',4,4'-テトラクロロビフェニル 077 0.0001
3,4,4',5-テトラクロロビフェニル 081 0.0003
3,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニル 126 0.1
3,3',4,4',5,5'-ヘキサクロロビフェニル 169 0.03
モノオルト置換ちかん
PCB
2,3,3',4,4'-ペンタクロロビフェニル 105 0.00003
2,3,4,4',5-ペンタクロロビフェニル 114 0.00003
2,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニル 118 0.00003
2',3,4,4',5-ペンタクロロビフェニル 123 0.00003
2,3,3',4,4',5-ヘキサクロロビフェニル 156 0.00003
2,3,3',4,4',5'-ヘキサクロロビフェニル 157 0.00003
2,3,4,4',5,5'-ヘキサクロロビフェニル 167 0.00003
2,3,3',4,4',5,5'-ヘプタクロロビフェニル 189 0.00003

PCBの毒性どくせいつよさは、異性いせいたいによりおおきながある。みぎ世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)による毒性どくせい評価ひょうかをまとめたものである。「TEF」とは毒性どくせい等価とうか係数けいすうといい、もっと毒性どくせいつよいとされるダイオキシンるいPCDD(厳密げんみつにはTCDD)を「1」とした場合ばあいかく異性いせいたい相対そうたいてき毒性どくせい評価ひょうかである。

PCBの毒性どくせいのうち発癌はつがんせい催奇せいはダイオキシンるいポリクロロジベンゾジオキシンポリクロロジベンゾフラン)にている。そのため、それらをしめすPCBをダイオキシンさまPCB (dioxin-like PCB, DL-PCB) とびダイオキシンるいくわえる。世界せかい保健ほけん機構きこう (WHO) により、12しゅ異性いせいたいがDL-PCBに指定していされている(毒性どくせい強弱きょうじゃくすうけたがある)。

ダイオキシンさまPCBも、甲状腺こうじょうせん異常いじょうなどPCB特有とくゆうダイオキシンさま毒性どくせいしめす。しかし、PCBの健康けんこう被害ひがい環境かんきょう汚染おせん問題もんだいとなっているのは、大半たいはんがダイオキシンさまPCBである。

ダイオキシンさま毒性どくせいとくつよいのが、コプラナーPCB (coplanar-PCB, Co-PCB) である。ビフェニルの2つのベンゼンたまき回転かいてん可能かのうだが、PCBのビフェニル構造こうぞうは、置換ちかんする塩素えんそ位置いちによってはきょう平面へいめん構造こうぞう(コプラナリティ)をる。このようなPCBがコプラナーPCBである。なお、コプラナーでないPCBはノンプラナーPCB (nonplanar PCB) である。

PCBはオルト (2,2',6,6') の塩素えんそかずで、ノンオルト置換ちかんPCB(0)、モノオルト置換ちかんPCB(1個いっこ)、ジオルト置換ちかんPCB(2)、… と分類ぶんるいするが、厳密げんみつには、ノンオルト置換ちかんPCBがコプラナーPCBとされる。オルト塩素えんそきょう平面へいめん構造こうぞうさまたげるからである[4]。ただし、ダイオキシンさまPCBすべてをコプラナーPCBとぶこともある。ダイオキシンさまPCBにはノンオルト置換ちかんPCBとモノオルト置換ちかんPCBがふくまれる。

廃棄はいきぶつとしてのPCB[編集へんしゅう]

日本にっぽん状況じょうきょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、1972ねん行政ぎょうせい指導しどうという緊急きんきゅう避難ひなんてき措置そちとして製造せいぞう輸入ゆにゅう使用しよう原則げんそくとして中止ちゅうしさせ、よく1973ねんには、化学かがく物質ぶっしつ審査しんさおよ製造せいぞうとう規制きせいかんする法律ほうりつ制定せいてい発効はっこう1975ねん)し、法的ほうてき禁止きんししている。PCBをふく廃棄はいきぶつは、くに具体ぐたいてき対策たいさく決定けっていするまで使用しようしゃ保管ほかんすると義務付ぎむづけられたが、電気でんき機器ききとうについては、耐用たいよう年数ねんすうむかえるまで使用しようみとめられたことから、PCBをふく機器きき所在しょざい廃棄はいきぶつ絶対ぜったいりょう把握はあく曖昧あいまいなものとなった。

1980年代ねんだい以降いこうになるとPCBの危険きけんせいたいする認識にんしき風化ふうかし、保管ほかんされていた廃棄はいきぶつ産業さんぎょう廃棄はいきぶつ一緒いっしょ安易あんい処理しょりされるなど、行方ゆくえ不明ふめいになるれい報告ほうこくされるようになった。厚生省こうせいしょう1992ねん1998ねん保管ほかんじょうきょう追跡ついせき調査ちょうさ実施じっししたが、調査ちょうさつうじて大量たいりょうのPCBをふく大型おおがたトランスやコンデンサが、わずか6ねんあいだ台数だいすうで4.1%もの機器きき行方ゆくえ不明ふめいになる実態じったいあきらかにされている。1972ねんからの紛失ふんしつりつかんがえた場合ばあいには膨大ぼうだいりょうになることはあきらかであり、一刻いっこくはや抜本ばっぽんてき処理しょり体制たいせい確立かくりつ急務きゅうむとなった。

一方いっぽうで、処理しょり体制たいせい模索もさくえずつづけられてきた。1976ねんには通商産業省つうしょうさんぎょうしょう経済けいざい産業さんぎょうしょう前身ぜんしん)の外郭がいかく団体だんたいとして電機でんきピーシービー処理しょり協会きょうかいげん電気でんき絶縁ぜつえんぶつ処理しょり協会きょうかい)が設立せつりつされ、高温こうおん焼却しょうきゃく処理しょり施設しせつ設置せっち模索もさくされてきたが、PCBの危険きけんせい危惧きぐする住民じゅうみん運動うんどうによりすべ頓挫とんざ日本にっぽんではそのやく30ねんにわたるながあいだ、PCBをふく廃棄はいきぶつ具体ぐたいてき処理しょり基準きじゅん処理しょり施設しせつおおやけさだめられないままであった。1990年代ねんだい以降いこうは、あらたに安全あんぜん処理しょり方法ほうほう検討けんとうおこなわれた結果けっか処理しょり方法ほうほう多様たようみとめられ、2000年代ねんだいはいると一部いちぶ企業きぎょうにおいては、商業しょうぎょうてき処理しょり技術ぎじゅつ立証りっしょう視野しやれた実験じっけんてき処理しょりおこなわれるようになった。

2001ねん6がつ日本にっぽんはPOPs条約じょうやく後述こうじゅつ)の調印ちょういんPCB処理しょり特別とくべつ措置そちほう制定せいていし、あわせて環境かんきょう事業じぎょうだんほう改正かいせいして、2016ねんまで(制定せいてい当初とうしょ。2021ねん現在げんざいは2027ねんまでに延長えんちょう)に処理しょりする制度せいどつくった。2016ねん8がつにはPCB処理しょり特別とくべつ措置そちほう改正かいせい施行しこうされ、PCB廃棄はいきぶつ処理しょり基本きほん計画けいかく閣議かくぎ決定けっていだい6じょう)、こう濃度のうどPCB廃棄はいきぶつ処分しょぶん義務付ぎむづけ(だい10じょうだい12じょうだい18じょうだい20じょうおよだい33じょう)、報告ほうこく徴収ちょうしゅう立入検査たちいりけんさ権限けんげん強化きょうかだい24じょうおよだい25じょう)、こう濃度のうどPCB廃棄はいきぶつ処分しょぶんかかだい執行しっこうだい13じょう)などの規定きていまれ、とくこう濃度のうどPCB廃棄はいきぶつ確実かくじつ期限きげんない処分しょぶんするための必要ひつよう措置そちこうじられた。

こうした対策たいさくすすんできたものの、依然いぜんとして日本にっぽん国内こくないではPCBを使用しようした機器きき残存ざんそんしており問題もんだいされている。いちれいでは1999ねん青森あおもりけん高校こうこう東京とうきょう八王子はちおうじ小学校しょうがっこうにて、相次あいついで照明しょうめい器具きぐ蛍光けいこうとうないのPCBを使用しようしたコンデンサが老朽ろうきゅうのため爆発ばくはつ生徒せいと児童じどう直接ちょくせつPCBがりかかるといった事故じこ発生はっせい[5][6]。それらにつづいて全国ぜんこく各地かくち同様どうよう事故じこ発生はっせい[7]、2001ねん平成へいせい13ねん)に閣議かくぎ了解りょうかい同年どうねんまつまでに交換こうかんえる決定けっていされたにもかかわらず、2013ねんいたっても北海道ほっかいどう中学校ちゅうがっこう同様どうよう事故じこ発生はっせいするなど、公共こうきょう施設しせつをはじめおおくの場所ばしょ使用しようされつづけている[8][9]1970年代ねんだい以前いぜんのコンデンサるいすべてでPCBがもちいられているとはかぎらないが、いまとなっては使用しようじょうきょう正確せいかく把握はあくできないこともあり、ねむばくだんとして衛生えいせいめん環境かんきょうめんからおそれられる存在そんざいとなっている。

世界せかい状況じょうきょう[編集へんしゅう]

PCB使用しよう機器ききであることをしめすシールを技術ぎじゅつしゃ

2001ねん5月、PCBを2028ねんまでに全廃ぜんぱいすることをふく国際こくさい条約じょうやくであるPOPs条約じょうやく残留ざんりゅうせい有機ゆうき汚染おせん物質ぶっしつかんするストックホルム条約じょうやく)が調印ちょういんされた(POPsはpersistent organic pollutantsの略語りゃくごで、残留ざんりゅうせい有機ゆうき汚染おせん物質ぶっしつす)。

PCBの無害むがい処理しょり[編集へんしゅう]

PCBの処理しょり方法ほうほうには以下いかのようなものがある。

PCBそのものの処理しょり
だつ塩素えんそ分解ぶんかいほう
PCBの分子ぶんし構成こうせいしている塩素えんそアルカリざいとう反応はんのうさせ、PCBの塩素えんそ水素すいそひとし置換ちかん
みずねつ酸化さんか分解ぶんかいほう
ちょう臨界りんかいすい臨界りんかい状態じょうたいみずによってPCBを塩素えんそみず二酸化炭素にさんかたんそ分解ぶんかい
還元かんげんねつ化学かがく分解ぶんかいほう
還元かんげん雰囲気ふんいき条件じょうけんねつ化学かがく反応はんのうによってPCBをしお燃料ねんりょうガス分解ぶんかい
ひかり分解ぶんかいほう
紫外線しがいせんでPCBを構成こうせいしている塩素えんそはずして分解ぶんかい
プラズマ分解ぶんかいほう
アルゴンガスとうプラズマによってPCBを二酸化炭素にさんかたんそ塩化えんか水素すいそひとし分解ぶんかい
PCBによって汚染おせんされたものの処理しょり(PCBがんだぬのなど)

食品しょくひんかんする規制きせい[編集へんしゅう]

食品しょくひんふくまれるPCBの濃度のうどについては1972ねん暫定ざんてい規制きせいさだめられた[10]

今日きょうでも、時折ときおり検査けんさおこなわれている[11]

意図いとてき生成せいせいPCB[編集へんしゅう]

2011ねん平成へいせい23ねん)1がつ意図いとてき生成せいせいした微量びりょうのPCBがあるしゅ顔料がんりょうふくまれる可能かのうせいがあることが国際こくさい団体だんたいにより公表こうひょうされた。これをけて製造せいぞう輸入ゆにゅう事業じぎょうしゃ有機ゆうき顔料がんりょう分析ぶんせき調査ちょうさおこない、2012ねん平成へいせい24ねん)2がつ以降いこう厚生こうせい労働省ろうどうしょう経済けいざい産業さんぎょうしょう環境省かんきょうしょうによりその結果けっか公表こうひょうされてきた。

この過程かていで、2012ねん(平成へいせい24ねん)3がつに、一部いちぶ有機ゆうき顔料がんりょうふくまれる意図いとてき生成せいせいした PCB について環境かんきょう汚染おせんつうじたひと生態せいたいけいへの影響えいきょう当該とうがい顔料がんりょう使用しようされた製品せいひん使用しよう継続けいぞくすることによる消費しょうひしゃ健康けんこうへの影響えいきょうとうについて、専門せんもんによる議論ぎろんおこなうことを目的もくてきとして、「有機ゆうき顔料がんりょうちゅうふくせいする PCB にかんするリスク評価ひょうか検討けんとうかい」において検討けんとう開始かいしされ、2013ねん(平成へいせい25ねん)3がつにとりまとめられた[12]

PCBによる水域すいいきそこしつ汚染おせん[編集へんしゅう]

1975ねんにPCBのそこしつ暫定ざんてい除去じょきょ基準きじゅん制定せいていされ、全国ぜんこくでPCBで汚染おせんされたそこしつ浚渫しゅんせつおこなわれた。

なお、PCBのうち、コプラナーPCB(塩素えんそ原子げんし分子ぶんし外側そとがわ平面へいめんじょう分子ぶんしとなっているものであり、一般いっぱんのPCBにくらべて毒性どくせいたかい。)はダイオキシンるい一種いっしゅであるが、かつてのPCB暫定ざんてい除去じょきょ基準きじゅんしたがって浚渫しゅんせつした海域かいいきにおいて、ダイオキシンるいそこしつ環境かんきょう基準きじゅん超過ちょうかするそこしつ検出けんしゅつされるれいられる。

また、PCBをふく絶縁ぜつえんなどの不適切ふてきせつ管理かんりにより河川かせん閉鎖へいさ水域すいいき投棄とうきされたPCBによるそこしつ汚染おせん検出けんしゅつされている。汚染おせん原因げんいんしゃ特定とくていのために、異性いせいたいパターンによるPCBの種類しゅるい特定とくていや、ケミカルマスバランスほうによる負担ふたん割合わりあい定量ていりょうてき算定さんていおこなわれている。

PCBはポリしゅうジフェニルエーテル(PBDE)など化学かがく物質ぶっしつとともに大洋たいよう海底かいてい広範囲こうはんい汚染おせんしており、マリアナ海溝かいこうなどで採取さいしゅされた深海ふかうみ生物せいぶつ甲殻こうかくるいからも検出けんしゅつされている[13]

深海ふかうみ生物せいぶつから検出けんしゅつされたPCBは、食物しょくもつ連鎖れんさともな生物せいぶつ濃縮のうしゅくマイクロプラスチック付着ふちゃくしたり海水かいすいんだりしているPCBの吸収きゅうしゅうなどに由来ゆらいすると推測すいそくされている深海しんかいにもおよんでいる[14]

ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかん管理かんり処理しょり[編集へんしゅう]

保管ほかん[編集へんしゅう]

PCBをふく電気でんき機器ききとう廃棄はいきぶつとなった場合ばあい(これをポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつという)、事業じぎょうしゃとうはポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ処理しょりするまでのあいだ特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ保管ほかん基準きじゅんしたがって当該とうがいぶつ保管ほかんしなければならない(廃棄はいきぶつ処理しょりおよ清掃せいそうかんする法律ほうりつだい12じょうの2だい2こう)。具体ぐたいてき基準きじゅんつぎのとおりである。

  1. 保管ほかん場所ばしょ周囲しゅういがこいがもうけられていること(屋根やねきがのぞましい)。
  2. 保管ほかん場所ばしょやすい箇所かしょつぎ事項じこう記載きさいした掲示板けいじばん(60センチ四方しほう以上いじょうおおきさ)がもうけられていること。
    • 特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ保管ほかん場所ばしょであるむね
    • 保管ほかんする特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ種類しゅるい
    • 保管ほかん場所ばしょ管理かんりしゃ氏名しめいまた名称めいしょうおよ連絡れんらくさき
  3. 保管ほかん場所ばしょから、当該とうがい特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ飛散ひさんし、流出りゅうしゅつし、およ地下ちか浸透しんとうし、ならびに悪臭あくしゅう発散はっさんしないように必要ひつよう措置そちこうずること(保管ほかんぶつ雨水あまみずとうにさらされないこと・内容ないようぶつ流出りゅうしゅつしないようトレイとうくことがのぞましい)。
  4. 保管ほかん場所ばしょには、ねずみ生息せいそくし、およはえその害虫がいちゅう発生はっせいしないようにすること。
  5. 特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつもの混入こんにゅうするおそれのないように仕切じきりもうけることひとし必要ひつよう措置そちこうずること。
  6. 容器ようき密閉みっぺいすることとうPCBの揮発きはつ防止ぼうしのために必要ひつよう措置そちおよ当該とうがい廃棄はいきぶつ高温こうおんにさらされないための措置そちこうずること。
  7. PCB汚染おせんぶつまたはPCB処理しょりぶつにあっては、当該とうがい廃棄はいきぶつ腐食ふしょく防止ぼうしのために必要ひつよう措置そちこうずること。

管理かんり[編集へんしゅう]

特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ管理かんり責任せきにんしゃ
ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかんには、その保管ほかん責任せきにんしゃとして、特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ管理かんり責任せきにんしゃ資格しかく修得しゅうとくしたもの登録とうろく必要ひつようである。この資格しかくは、事業じぎょうしょ企業きぎょう法人ほうじん単位たんいでなく事業じぎょうじょう処理しょりじょうとう単位たんいくものとされ、それぞれ担当たんとうする事業じぎょうじょうにおける特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ管理かんり全般ぜんぱんにわたってつぎ業務ぎょうむ適正てきせいおこなう。
  1. 特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ排出はいしゅつじょうきょう把握はあくすること。
  2. 特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ処理しょり計画けいかく立案りつあんすること。
  3. 適正てきせい処理しょり確保かくほかんすること。
  4. 分別ふんべつ保管ほかんじょうきょう確認かくにん
  5. 適正てきせい委託いたく実施じっし
  6. 管理かんりひょう交付こうふ保管ほかん
ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかんおよ処分しょぶんじょうきょうとう届出とどけでしょ
ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかんまたはPCBをふく電気でんき機器ききとう使用しようしている事業じぎょうしゃとうはポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかんおよ処分しょぶん状況じょうきょうについて「ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ保管ほかんおよ処分しょぶんじょうきょうとう届出とどけでしょ」で毎年まいとし6がつ30にちまでに都道府県とどうふけん知事ちじとうとどなければならない(PCB処理しょり特別とくべつ措置そちほうだい8じょう)。

処理しょり[編集へんしゅう]

ポリ塩化えんかビフェニル廃棄はいきぶつ委託いたく処理しょりする方法ほうほうは、廃棄はいきぶつふくまれる絶縁ぜつえんのPCB濃度のうど廃棄はいきぶつ種類しゅるいによってことなる。具体ぐたいてき委託いたく処理しょり方法ほうほう[15]つぎのとおりであり、とくこう濃度のうどPCB廃棄はいきぶつは、地域ちいきごとにさだめられた処分しょぶん期間きかんないかなら処分しょぶんしなければならないことになっている。

こう濃度のうど場合ばあいは、使用しようちゅう変圧へんあつ・コンデンサーおよ安定あんていとうについても、処分しょぶん期間きかんない使用しようえ、処分しょぶんする必要ひつようがある。

PCBをこう濃度のうど(5,000mg/kgをえる濃度のうど。コンデンサで100%、トランスで50% - 60%)でふく場合ばあい
中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう環境かんきょう安全あんぜん事業じぎょう株式会社かぶしきがいしゃ(JESCO)で委託いたく処理しょりすることができる。変圧へんあつ・コンデンサーとう安定あんていおよけがれ染物そめものとうとでJESCOの搬入はんにゅうさきかれている。なお、中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう環境かんきょう安全あんぜん事業じぎょう株式会社かぶしきがいしゃ処分しょぶんするにはまず機器きき登録とうろくしなければならない[16]
PCBをてい濃度のうど(0.5mg/kgをえる濃度のうど)でふく場合ばあい
てい濃度のうどPCB廃棄はいきぶつ処理しょりはJESCOではなく、民間みんかん処理しょり事業じぎょうしゃによりおこなわれている。てい濃度のうどPCB廃棄はいきぶつ処理しょり事業じぎょうしゃは、環境かんきょう大臣だいじん個別こべつ認定にんていする無害むがい処理しょり認定にんてい事業じぎょうしゃ都道府県とどうふけんながからPCB廃棄はいきぶつかか特別とくべつ管理かんり産業さんぎょう廃棄はいきぶつ処分しょぶんぎょう許可きょか事業じぎょうしゃがある。

呼称こしょう[編集へんしゅう]

テレビニュースとうでは、「PCB」「ポリ塩化えんかビフェニール」とぶのが普通ふつうである。なお、ポリ「塩化えんか」ビフェニルの呼称こしょうは、有機ゆうき化学かがく化合かごうぶつ命名めいめい規則きそくじょう不正確ふせいかくであり、英語えいごでの呼称こしょう(polychlorinated biphenyl = ポリ「塩素えんそ」ビフェニル)にも対応たいおうしていない。日本にっぽん法律ほうりつではポリ「塩化えんか」ビフェニルの呼称こしょうもちいられている一方いっぽうで、所管しょかん官庁かんちょうである環境省かんきょうしょう作成さくせいした文書ぶんしょにも、ポリ「塩素えんそ」ビフェニルの呼称こしょうもちいられているものがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ TURI - Toxics Use Reduction Institute, List of Acronyms” (英語えいご). University of Massachusetts Lowell. 2008ねん11月16にち閲覧えつらん
  2. ^ *HM-1 PCB Detoxification Facility” (英語えいご). TOSHIBA REVIEW 2001. VOL.56 NO.8. 2008ねん11月16にち閲覧えつらん
  3. ^ Project for the re-evaluation of human and mammalian toxic equivalency factors (TEFs) of dioxins and dioxin-like compounds (WHO)
  4. ^ 本間ほんま善夫よしおTEFあたえられているPCB分子ぶんし平面へいめんせいについて」( ecosci.jp
  5. ^ 業務ぎょうむよう施設しせつよう蛍光けいこうとうとうのPCB使用しよう安定あんてい事故じこかんする対策たいさくについて 環境省かんきょうしょう
  6. ^ PCB暴露ばくろによる健康けんこう対策たいさくとう検討けんとう専門せんもん会議かいぎ 報告ほうこくしょ 平成へいせい14ねん10がつ
  7. ^ PCB使用しよう照明しょうめい器具きぐ点検てんけん判別はんべつ取扱とりあつかいおよ保管ほかんについて JLMA 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん照明しょうめい工業こうぎょうかい
  8. ^ 教室きょうしつ照明しょうめい器具きぐ破裂はれつ生徒せいとにPCBかかる」YOMIURI ONLINE(読売新聞よみうりしんぶん
  9. ^ 中学校ちゅうがっこうにおけるPCBが使用しようされた蛍光けいこうとう安定あんてい破損はそん事故じこについて 環境省かんきょうしょう大臣だいじん官房かんぼう廃棄はいきぶつ・リサイクル対策たいさく産業さんぎょう廃棄はいきぶつ
  10. ^ 食品しょくひんちゅう残留ざんりゅうするPCBの規制きせいについて(昭和しょうわ47ねん08がつ24にちたまきしょくだい442ごう環境省かんきょうしょう
  11. ^ たとえば 環境かんきょう汚染おせん物質ぶっしつとう検査けんさ調査ちょうさ結果けっかおよ遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん検査けんさ結果けっか平成へいせい15年度ねんど名古屋なごや魚介ぎょかいるいちゅう食品しょくひん汚染おせんぶつ検査けんさ 横浜よこはま(2009ねん
  12. ^ 有機ゆうき顔料がんりょうちゅうふくせいする PCB の工業こうぎょう技術ぎじゅつてき経済けいざいてき低減ていげん可能かのうなレベルにかんする報告ほうこくしょ”. 有機ゆうき顔料がんりょうちゅうふくせいする PCB の工業こうぎょう技術ぎじゅつてき経済けいざいてき低減ていげん可能かのうなレベルにかんする検討けんとうかい. 2021ねん11月11にち閲覧えつらん
  13. ^ “マリアナ海溝かいこう深海しんかい生物せいぶつ中国ちゅうごく最悪さいあくかわえる汚染おせん 水深すいしんやく1まんmの甲殻こうかくるいからやく50ばい汚染おせん物質ぶっしつ. 『ナショナルジオグラフィック日本にっぽんばん』サイト. (2017ねん2がつ17にち). http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/021700059/ 
  14. ^ 「PCB汚染おせん 深海しんかいも/相模さがみわん伊豆いず二枚貝にまいがいからも検出けんしゅつ 微細びさいなプラごみ吸着きゅうちゃくか」毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん2021ねん1がつ4にち社会しゃかいめん)2021ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  15. ^ 処理しょりもうみの手続てつづきについて
  16. ^ ポリ塩化えんかビフェニル(PCB)早期そうき処理しょり情報じょうほうサイト”. 環境省かんきょうしょう. 2021ねん11月11にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]