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ホルモン

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ホルモンドイツ: Hormon英語えいご: hormone)は、狭義きょうぎには生体せいたい外部がいぶ内部ないぶこった情報じょうほう対応たいおうし、体内たいないにおいて特定とくてい器官きかん合成ごうせい分泌ぶんぴつされ、血液けつえきなど体液たいえきとおして体内たいない循環じゅんかんし、べつまった細胞さいぼうでその効果こうか発揮はっきする生理せいり活性かっせい物質ぶっしつ[1]。ホルモンがつたえる情報じょうほう生体せいたいちゅう機能きのう発現はつげんさせ、恒常こうじょうせい維持いじするなど、生物せいぶつ正常せいじょう状態じょうたいささえ、都合つごうよい状態じょうたいにする[2]重要じゅうよう役割やくわりたす[1]。ただし、ホルモンの作用さようについてはいまだわかっていないことおお[1][2]

定義ていぎ命名めいめい

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ホルモンは古代こだいギリシア: ρろーμみゅーνにゅーhormān,「刺激しげきする」「興奮こうふんさせる」の)を語源ごげん[3]、20世紀せいき初頭しょとうセクレチン発見はっけんしたウィリアム・ベイリスアーネスト・スターリングによって命名めいめいされた[1]

種類しゅるい

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ホルモン分子ぶんし種類しゅるいは、生物せいぶつ進化しんかのどのような段階だんかいであるか、また同一どういつ個体こたいでも成長せいちょう段階だんかいによってわる[1]かずおおくのペプチド脊椎動物せきついどうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ双方そうほうられ、構造こうぞう相関そうかんせいつものもおおい。その脊椎動物せきついどうぶつおもなものにはポリペプチドアミンカテコールアミンステロイドなどがある[1]

生体せいたいない特定とくてい器官きかんはたらきを調節ちょうせつするための情報じょうほう伝達でんたつにな物質ぶっしつであり、栄養分えいようぶんなどとはちがって、ホルモンの体液たいえきちゅう濃度のうど非常ひじょう微量びりょうであるのが特徴とくちょうたとえば、てい分子ぶんしりょうのホルモン血液けつえきちゅう濃度のうどは10−6から10−8 mol/L(nmol/L=ナノモル)、ポリペプチドホルモンで10−9から10−12 mol/L、程度ていどてい濃度のうどである[1]

内分泌ないぶんぴつけい

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ホルモンの分泌ぶんぴつ形式けいしき内分泌ないぶんぴつけいendocrine system、または液体えきたい調整ちょうせいけい)と[4]。これは、ホルモンの分泌ぶんぴつ体内たいない体液たいえきちゅう)であることから、あせなど体外たいがい消化しょうかかんひとしかんふくむ)に分泌ぶんぴつされるそと分泌ぶんぴつexocrine secretion[5]対比たいひするかたである。ホルモンを分泌ぶんぴつする器官きかん内分泌ないぶんぴつ器官きかんendocrine organs)とぶ。

ホルモンが生成せいせいされる部位ぶい数多かずおおい。脊髄せきずい動物どうぶつ場合ばあい神経しんけい情報じょうほうけて視床ししょう下部かぶ下垂かすいたい副腎ふくじん髄質ずいしつなどで、細胞さいぼう状態じょうたいから情報じょうほうけて性腺せいせん副腎ふくじん皮質ひしつ甲状腺こうじょうせん濾胞細胞さいぼう心臓しんぞうなどで、栄養えいよう情報じょうほうから消化しょうかかん膵臓すいぞう甲状腺こうじょうせん濾胞はた細胞さいぼうふく甲状腺こうじょうせんなどでつくられる[1]。これらのホルモンの貯蔵ちょぞう方式ほうしき様々さまざまである。ペプチドホルモンやアミンホルモン分泌ぶんぴつ顆粒かりゅうなかたくわえられ、甲状腺こうじょうせん分泌ぶんぴつするホルモンタンパク質たんぱくしつかたち維持いじされる。これらにたいステロイドホルモンでは貯蔵ちょぞうれい発見はっけんされていない[1]分泌ぶんぴつされたホルモンは体液たいえきつうじてはこばれるが、甲状腺こうじょうせんホルモンはあるしゅタンパク質たんぱくしつ結合けつごうした状態じょうたい輸送ゆそうされる[1]

ホルモンが作用さよう発揮はっきする器官きかんをホルモンの標的ひょうてき器官きかんtarget organ)、実際じっさい作用さようこす細胞さいぼうをホルモン標的ひょうてき細胞さいぼうtarget cell)と[6]。ここには、ホルモン分子ぶんし特異とくいてき結合けつごうする蛋白質たんぱくしつであるホルモン受容じゅようたいホルモン・レセプター)が存在そんざいする。受容じゅようたいがホルモンと結合けつごうすることが、その器官きかんでホルモンの作用さよう発揮はっきされるだいいちのステップとなる。標的ひょうてき器官きかん非常ひじょうてい濃度のうどのホルモンに鋭敏えいびん反応はんのうするのは、このホルモン受容じゅようたい蛋白質たんぱくしつが、ホルモン分子ぶんしとだけつよ結合けつごうする性質せいしつ基本きほんとなっている。

アミンやペプチドホルモンといった水溶すいようせいホルモンは細胞さいぼうまくうえ受容じゅようたい(レセプター)で受容じゅようされ、細胞さいぼうまく構造こうぞう機能きのう変化へんかさせたり、生成せいせいさせただいメッセンジャーを細胞さいぼう内部ないぶ浸透しんとうさせてはたらきをこす[2]甲状腺こうじょうせんホルモンやステロイドホルモンといったあぶら溶性ようせいホルモンはそのまま細胞さいぼうまく通過つうかすることができ、細胞さいぼうないかくない)に存在そんざいする受容じゅようたい結合けつごうすることによりふく合体がったいとなって遺伝子いでんし情報じょうほう制御せいぎょくわえるはたらきを[1]特定とくてい遺伝子いでんし活動かつどう活発かっぱつにしたり、伝令でんれいRNA生成せいせいうながしたりする[2]甲状腺こうじょうせんホルモンは細胞さいぼうまくミトコンドリアうえにも結合けつごうする部位ぶいつかっているが、その機能きのうあきらかになっていない[2]

ホルモンによっておこなわれる、ある器官きかん機能きのう調節ちょうせつのことを、体液たいえき循環じゅんかんかいした調節ちょうせつであることからえきせい調節ちょうせつぶ。えきせい調節ちょうせつは、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつかいした神経しんけいせい調節ちょうせつくらべて、時空じくうあいだてきには厳密げんみつなコントロールができない一方いっぽうとおはなれた器官きかんおおきな影響えいきょうあたえることができる、コストのかからない調節ちょうせつであるといえる。また、アドレナリンなどえきせい調節ちょうせつ神経しんけいせい調節ちょうせつ両方りょうほうシグナル伝達でんたつ介在かいざいする物質ぶっしつもある。ただしホルモンは神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつなどと物質ぶっしつ共通きょうつうしているものがおおく、また神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつかならずしもシナプスないだけではたらくものではない。そのため、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ細胞さいぼう増殖ぞうしょく因子いんしとホルモンをとく区別くべつしない場合ばあいもある[1]実際じっさいに、ホルモンは情報じょうほうけい標的ひょうてき細胞さいぼう様々さまざま要因よういん密接みっせつ関連かんれんしながら作用さようおよぼす[2]

ホルモンの検出けんしゅつ測定そくていほう

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ホルモンは、非常ひじょう微量びりょうでその作用さよう発揮はっきするようにできており、血液けつえきなどの体液たいえきちゅうでの濃度のうどきわめてひくい。そのため、ホルモンを、その物質ぶっしつとしての性状せいじょうから物質ぶっしつ分離ぶんり精製せいせいするのは一般いっぱん困難こんなんである。しかし、ホルモンの濃度のうど調しらべることは、特定とくてい病気びょうき診断しんだんにおいて、非常ひじょう重要じゅうよう場合ばあいがある。

生理せいり活性かっせい利用りようした手法しゅほう

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ホルモンの生体せいたいないでの生理せいり活性かっせい指標しひょうにする方法ほうほう。ホルモンの濃度のうど国際こくさい単位たんいはこの方法ほうほう決定けっていされている。実験じっけん動物どうぶつなどにホルモンを投与とうよし、その動物どうぶつきる反応はんのうおおきさを、あらかじめ濃度のうどのわかっているホルモン試料しりょう比較ひかくすることで、濃度のうど推定すいていする。実験じっけん動物どうぶつもちいた方法ほうほうくわえ、特定とくてい培養ばいよう細胞さいぼうもちいた方法ほうほう開発かいはつされ、基準きじゅんおよび簡便かんべんはかられている。

免疫めんえきがくてき手法しゅほう

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ホルモンにたいして特異とくいてき結合けつごうする抗体こうたい測定そくてい対象たいしょう試料しりょうくわえ、ホルモンと抗体こうたいとのふく合体がったい形成けいせいさせ、このホルモンと結合けつごうした抗体こうたいりょうなんらかの方法ほうほう測定そくていする方法ほうほう生理せいり活性かっせいもちいた方法ほうほうよりも簡便かんべん安価あんかであり、実際じっさい診療しんりょうもちいられる場合ばあいおおい。

ヒトのホルモン一覧いちらん

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脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 生化学せいかがく辞典じてんだい2はん』(だい2はんだい6さつ東京とうきょう化学かがく同人どうじん、1995ねんISBN 4-8079-0340-3 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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