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脊椎動物せきついどうぶつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Invertebrata

脊椎動物せきついどうぶつ(むせきついどうぶつ)とは、脊椎動物せきついどうぶつ以外いがい動物どうぶつのことである。すなわち背骨せぼね、あるいは脊椎せきついたない動物どうぶつをまとめてすもので、ジャン=バティスト・ラマルク命名めいめいしたInvertebrataの訳語やくごである(Vertebrataは脊椎動物せきついどうぶつ)。脊椎動物せきついどうぶつ以外いがい後生ごしょう動物どうぶつ細胞さいぼう動物どうぶつ)のみをして使つかわれることもあるが[1]伝統でんとうてきには原生動物げんせいどうぶつをもふくむこともある[2]

くわしくえばあごるい魚類ぎょるい両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるい鳥類ちょうるい哺乳類ほにゅうるい以外いがい動物どうぶつといってもよい。また、より日常にちじょうてきないいかたをするなら、ししとり両生りょうせい爬虫類はちゅうるい、そしてさかなのぞいた動物どうぶつで、日本にっぽんでかつて「むし」とばれたもののうち両生りょうせい爬虫類はちゅうるいのぞいたすべてのものとってもよく、ホヤカニ昆虫こんちゅう貝類かいるいイカせんちゅうその諸々もろもろ動物どうぶつふくまれる。

歴史れきし

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脊椎動物せきついどうぶつには、くちそなえた頭部とうぶち、"あか"(ヘモグロビンふく血液けつえき)をつという、わかりやすい特徴とくちょうがある。古代こだい近世きんせいでは、がある/い というのほうにおもきをいて認識にんしきされていた。

古代こだいギリシアのアリストテレスは『動物どうぶつ』において、動物どうぶつ大分おおいたるいとして「ゆう動物どうぶつ」「無血むけつ動物どうぶつ」を提示ていじし、無血むけつ動物どうぶつとしてゆうからるい昆虫こんちゅうるい甲殻こうかくるい・軟体るいげた。この区別くべつはその脊椎動物せきついどうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ区別くべつとほぼ一致いっちする[3]

近世きんせい近代きんだいになってカール・フォン・リンネによって、「哺乳ほにゅうつな」「とりつな」「両生りょうせいつな」「さかなつな」と、「昆虫こんちゅうつな」「蠕虫つな」という分類ぶんるいがおこなわれた。脊椎動物せきついどうぶつ以外いがい動物どうぶつを「脊椎動物せきついどうぶつ」として大別たいべつする分類ぶんるいは、上記じょうきとおり、ラマルクにる。

動物どうぶつ分類ぶんるいにおいては、脊椎動物せきついどうぶつかんする知識ちしきがそれ以外いがい動物どうぶつについての知識ちしきくらべてはるかにおおかった。そのため、脊椎動物せきついどうぶつ爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるいといったおおきなぐんにわけると、のこりはそのぐんとしていちまとめにされ、脊椎動物せきついどうぶつかくぐん同等どうとう地位ちいあたえられた。

しかし、そこにふくまれる生物せいぶつ個々ここについての知見ちけんふかまるにつれ、それらの差異さいおおきいものであることがわかってきた。そのため、脊椎動物せきついどうぶつ対置たいちされる位置いちまでげられたのが脊椎動物せきついどうぶつという名称めいしょうである。

さらにおおくがられるにつれ、脊椎動物せきついどうぶつなか個々ここぐん脊椎動物せきついどうぶつ対置たいちされるべきものとかんがえられるようになり、おおくの動物どうぶつもんつくられ、脊椎動物せきついどうぶつはそのなかひとつという位置いちおさまった。このため、脊椎動物せきついどうぶつ分類ぶんるいぐんとしての妥当だとうせいと、存在そんざい意義いぎうたがわしくなった。近年きんねん脊椎動物せきついどうぶつもん脊索せきさく動物どうぶつもんいちもんなされるようになってからは、さらに意味いみいだしにくくなっている。

このような経過けいかは、植物しょくぶつにおける顕花植物けんかしょくぶつ隠花植物いんかしょくぶつ関係かんけいによくている。歴史れきしてきにも平行へいこうてきである。

現在げんざいあつか

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上記じょうきのように、脊索せきさく動物どうぶつもんの1もんでしかない脊椎動物せきついどうぶつと、すうじゅう動物どうぶつもんふくまれるほかのすべての動物どうぶつ対置たいちして区別くべつするのは、ふくまれるたね分類ぶんるいぐんかずめん動物どうぶつ適切てきせつ二分にぶんすることにはならない[2][3]脊椎動物せきついどうぶつのうちあたまさく動物どうぶつさく動物どうぶつ脊椎動物せきついどうぶつよりも脊椎動物せきついどうぶつきんえんなので、脊椎動物せきついどうぶつたん系統けいとうぐんではなく、系統けいとう関係かんけい反映はんえいしたかたではない[1][3][4]。また伝統でんとうてき脊椎動物せきついどうぶつふくまれてきた原生動物げんせいどうぶつは、動物どうぶつかいではなく原生げんせい生物せいぶつかい分類ぶんるいされている[2]。そのような問題もんだいてんはあるものの、脊椎動物せきついどうぶつというかたり便宜べんぎてきひろ使つかわれ[1]教科書きょうかしょ大学だいがく講義こうぎ脊椎動物せきついどうぶつ脊椎動物せきついどうぶつかれていることがおお[3]

また動物どうぶつ学者がくしゃピーター・ホランド英語えいごばんは、系統けいとう関係かんけいたねすう反映はんえいしていないという問題もんだいみとめつつも、脊椎動物せきついどうぶつは「おおきなからだこう効率こうりつ血液けつえき循環じゅんかんけい動的どうてき骨格こっかく複雑ふくざつのう保護ほごはたら頭蓋とうがい、そして精緻せいち感覚かんかく」といった特徴とくちょうふくあいによって動物どうぶつとは一線いっせんかくし、遺伝いでんてきにも2ぜんゲノム重複じゅうふくによっておおくの遺伝子いでんしつという差異さいがあることから、脊椎動物せきついどうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ区分くぶん一定いってい意味いみみとめている[3]

その

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人間にんげんちかいと認識にんしきされる動物どうぶつ脊椎動物せきついどうぶつにまとめられるため、脊椎動物せきついどうぶつは「異様いよう」な印象いんしょうや「不思議ふしぎ」な印象いんしょうあたえるものがおおいことになる。脊椎動物せきついどうぶつ苦手にがてひとおお[注釈ちゅうしゃく 1]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 1991ねんに、ある教員きょういんが、富山大学とやまだいがく教育きょういく学部がくぶ幼稚園ようちえん教員きょういん養成ようせい課程かてい学生がくせい対象たいしょうに、動物どうぶつ体験たいけん実習じっしゅう実施じっしした結果けっか、「学生がくせいたちは家畜かちくして野生やせい動物どうぶつが、とく脊椎動物せきついどうぶつ苦手にがてないしきらいであること、鳥類ちょうるい比較的ひかくてき苦手にがてであることが判明はんめいした」とべた。(出典しゅってん東京大学とうきょうだいがく 大学院だいがくいん紀要きようだい36かんだい1ごう、p.655)

出典しゅってん

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  1. ^ a b c 石川いしかわみつる黒岩くろいわつねよう塩見しおみ正衛まさえ松本まつもと忠夫ただおまもり隆夫たかお八杉やすぎ貞雄さだお山本やまもと正幸まさゆきへんへん脊椎動物せきついどうぶつ」『生物せいぶつがく辞典じてん東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2010ねん、1259ぺーじISBN 9784807907359 
  2. ^ a b c 白山しろやま義久よしひさ ちょ総合そうごうてき観点かんてんからみた脊椎動物せきついどうぶつ多様たようせい系統けいとう」、白山しろやま義久よしひさ(編集へんしゅう) へん脊椎動物せきついどうぶつ多様たようせい系統けいとう岩槻いわつき邦男くにお馬渡まわたり俊輔しゅんすけ監修かんしゅう)(だい6はん)、はなぼう〈バイオディバーシティ・シリーズ5〉、2006ねん、2ぺーじISBN 4785358289 
  3. ^ a b c d e ホランド, ピーター ちょ西にし秀俊ひでとし やく動物どうぶつたちの世界せかい ろくおくねん進化しんかをたどる』東京とうきょう化学かがく同人どうじん科学かがくのとびら56〉、2014ねん原著げんちょ2011ねん)、98-102ぺーじISBN 9784807912964 
  4. ^ 西川にしかわ輝昭てるあき ちょ脊椎動物せきついどうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ脊索せきさく動物どうぶつ」、白山しろやま義久よしひさ(編集へんしゅう) へん脊椎動物せきついどうぶつ多様たようせい系統けいとう岩槻いわつき邦男くにお馬渡まわたり俊輔しゅんすけ監修かんしゅう)(だい6はん)、はなぼう〈バイオディバーシティ・シリーズ5〉、2006ねん、256ぺーじISBN 4785358289 

関連かんれん項目こうもく

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  • ヘモリンパ英語えいごばんリンパ) ‐ 広義こうぎでは脊椎動物せきついどうぶつ体液たいえき脊椎動物せきついどうぶつでは、血液けつえきリンパ液りんぱえきけられるほど厳密げんみつ状態じょうたいとはなっていない。
  • かこえしょくまく英語えいごばん - 脊椎動物せきついどうぶつ消化しょうかかんものつつちょうない細菌さいきんなどから消化しょうかかんまもるキチンしつまく