チンパンジー の脳 のう
脳 のう (のう、英 えい : brain 、独 どく : Gehirn 、羅 ら : cerebrum 、希 まれ : εγκέφαλος, enkephalos )は、動物 どうぶつ の頭部 とうぶ にある、神経 しんけい 系 けい の中枢 ちゅうすう [1] 。狭義 きょうぎ には脊椎動物 せきついどうぶつ のものを指 さ すが、より広義 こうぎ には無 む 脊椎動物 せきついどうぶつ の頭部 とうぶ 神経 しんけい 節 ぶし をも含 ふく む。脊髄 せきずい とともに中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい をなし、感情 かんじょう ・思考 しこう ・生命 せいめい 維持 いじ その他 た 神経 しんけい 活動 かつどう の中心 ちゅうしん 的 てき 、指導 しどう 的 てき な役割 やくわり を担 にな う。
主 おも にグリア細胞 さいぼう と神経 しんけい 細胞 さいぼう からなる器官 きかん だが、そのどちらでもない構造 こうぞう も内在 ないざい する。脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき の通 とお り道 みち となる空隙 くうげき (脳 のう 室 しつ )や、ホルモン物質 ぶっしつ を分泌 ぶんぴつ する内分泌 ないぶんぴつ 系 けい である。
発生 はっせい 学 がく においては、誕生 たんじょう 前 まえ の胚 はい の段階 だんかい から、大 おお きく前 ぜん 脳 のう ・中 ちゅう 脳 のう ・脳 のう (=菱 ひし 脳 のう )の3つに分 わ けられる。ここから更 さら に分化 ぶんか が進 すす み、人間 にんげん の場合 ばあい は前 ぜん 脳 のう が終 おわり 脳 のう と間 あいだ 脳 のう 、後 こう 脳 のう は延髄 えんずい ・橋 はし ・小脳 しょうのう へと分 わ かれる。
俗 ぞく に大脳 だいのう と呼 よ ばれるのは終 おわり 脳 のう だが、解剖 かいぼう 学 がく においては間 あいだ 脳 のう も含 ふく めた(前 ぜん 脳 のう から発達 はったつ した部位 ぶい 全 すべ てを)大脳 だいのう と呼 よ ぶ。
自律 じりつ 神経 しんけい など、無意識 むいしき に行 おこな われる生命 せいめい 維持 いじ において重要 じゅうよう な部位 ぶい を脳幹 のうかん と括 くく ることもある。これは機能 きのう に基 もと づく分類 ぶんるい であり、前述 ぜんじゅつ の発生 はっせい 過程 かてい に基 もと づく分類 ぶんるい でいうと前 まえ 脳 のう ・中 ちゅう 脳 のう ・後 こう 脳 のう のすべてに跨 またが がっている。
無 む 脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう [ 編集 へんしゅう ]
無 む 脊椎動物 せきついどうぶつ のうち扁 ひらた 形 がた 動物 どうぶつ 門 もん 以降 いこう の世代 せだい の生物 せいぶつ は、旧 きゅう 口 くち 動物 どうぶつ ・新口 にのくち 動物 どうぶつ ともに集中 しゅうちゅう 神経 しんけい 系 けい をもつ、すなわち神経 しんけい 節 ぶし (=神経 しんけい の集 あつ まった部分 ぶぶん )を(しばしば頭部 とうぶ に)もつ。頭部 とうぶ 神経 しんけい 節 ぶし が他 た の神経 しんけい 節 ぶし に比 くら べて顕著 けんちょ に発達 はったつ している場合 ばあい 、これらはしばしば脳 のう (脳神経 のうしんけい 節 ぶし )と呼 よ ばれる(ただしこの呼称 こしょう は医学 いがく 分野 ぶんや などからの視点 してん では一般 いっぱん 的 てき でない)。特 とく に節足動物 せっそくどうぶつ (六 ろく 脚 きゃく 亜 あ 門 もん 、甲殻 こうかく 亜 あ 門 もん 、鋏 やっとこ 角 かく 亜 あ 門 もん など)、軟体動物 なんたいどうぶつ 門 もん 頭 あたま 足 あし 綱 つな などにおいては顕著 けんちょ に発達 はったつ し、機能 きのう 的 てき にも脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう と遜色 そんしょく ない程度 ていど に分化 ぶんか している。その一方 いっぽう 、これら無 む 脊椎動物 せきついどうぶつ の神経 しんけい 節 ぶし はもともと脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう との機能 きのう 的 てき ・形態 けいたい 的 てき な類似 るいじ から「脳 のう 」と呼 よ ばれてはいるものの、系統 けいとう 発生 はっせい 的 てき には脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう と直接 ちょくせつ の関連 かんれん はない ことに注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。ただし原 はら 索 さく 動物 どうぶつ を除 のぞ く。
扁 ひらた 形 がた 動物 どうぶつ [ 編集 へんしゅう ]
プラナリア を典型 てんけい 例 れい とする扁 ひらた 形 がた 動物 どうぶつ はかご状 じょう 神経 しんけい 系 けい をもち、最前 さいぜん 部 ぶ に卓越 たくえつ した神経 しんけい 節 ぶし としての脳 のう を有 ゆう する。プラナリア脳 のう の研究 けんきゅう により発見 はっけん されたFGF 受容 じゅよう 体 たい 様 よう 蛋白質 たんぱくしつ であるnou-darake は、頭部 とうぶ 以外 いがい での脳 のう 分化 ぶんか を抑制 よくせい する機能 きのう をもつ。
昆虫 こんちゅう の脳 のう は、大 おお きく視 み 葉 は (optic lobe) と中央 ちゅうおう 脳 のう (central brain) の2つに分 わ かれる。視 し 葉 は は複眼 ふくがん の直下 ちょっか にある構造 こうぞう であり、専 もっぱ ら視覚 しかく 情報 じょうほう を処理 しょり する。中央 ちゅうおう 脳 のう はさらに前 ぜん 大脳 だいのう (protocerebrum)、中 ちゅう 大脳 だいのう (deutocerebrum)、後 こう 大脳 だいのう (tritocerebrum) の3つの部分 ぶぶん に分 わ かれる。これらはそれぞれはしご状 じょう 神経 しんけい 系 けい の単独 たんどく の神経 しんけい 節 ぶし に由来 ゆらい する領域 りょういき である。前 ぜん 大脳 だいのう はキノコ体 たい 、中心 ちゅうしん 複 ふく 合体 がったい (central complex) など、感覚 かんかく 情報 じょうほう の高次 こうじ 処理 しょり に携 たずさ わると考 かんが えられている領域 りょういき (ニューロパイル )も含 ふく む。キノコ体 たい は多 おお くの昆虫 こんちゅう で嗅覚 きゅうかく 情報処理 じょうほうしょり を担 にな っているが、ミツバチ などでは視覚 しかく 系 けい の神経 しんけい 経路 けいろ も入射 にゅうしゃ することが知 し られている。中 ちゅう 大脳 だいのう は触角 しょっかく の嗅覚 きゅうかく 受容 じゅよう 細胞 さいぼう で受容 じゅよう した嗅覚 きゅうかく 情報 じょうほう を一 いち 次 じ 的 てき に処理 しょり する触角 しょっかく 葉 は と、触角 しょっかく からの機械 きかい 感覚 かんかく を処理 しょり する領域 りょういき を含 ふく む。後 こう 大脳 だいのう は食道 しょくどう 下 か 神経 しんけい 節 ぶし を含 ふく む領域 りょういき であり、一部 いちぶ の昆虫 こんちゅう では味覚 みかく 情報 じょうほう が入射 にゅうしゃ することなどが知 し られている。中 ちゅう 大脳 だいのう と後 こう 大脳 だいのう の間 あいだ には食道 しょくどう 孔 あな が存在 そんざい し、食道 しょくどう が両者 りょうしゃ の間 あいだ を貫 つらぬ いている。昆虫 こんちゅう の中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい には、脳 のう のほか胸 むね 腹部 ふくぶ 神経 しんけい 節 ぶし と両者 りょうしゃ を繋 つな ぐ神経 しんけい 束 たば が含 ふく まれる。
頭 あたま 足 あし 類 るい の脳 のう は食道 しょくどう 上 じょう 塊 かたまり (supraesophageal mass) と食道 しょくどう 下 か 塊 かたまり (subesophageal mass) の2つに分 わ けられ、両者 りょうしゃ の間 あいだ には食道 しょくどう が存在 そんざい する。巨大 きょだい な視 し 葉 は はoptic stalkと呼 よ ばれる細 ほそ い神経 しんけい 束 たば でのみ脳 のう 本体 ほんたい に接続 せつぞく しており、脳 のう の一部 いちぶ とみなされないこともあるが、視覚 しかく 情報処理 じょうほうしょり の多 おお くが視 み 葉 は でなされているので機能 きのう 的 てき には脳 のう の一部 いちぶ といえる。
脊索 せきさく 動物 どうぶつ のうち、脊椎動物 せきついどうぶつ と同様 どうよう の管状 かんじょう 神経 しんけい 系 けい をもつ原 はら 索 さく 動物 どうぶつ (頭 あたま 索 さく 動物 どうぶつ ・尾 お 索 さく 動物 どうぶつ の総称 そうしょう )では、神経 しんけい 管 かん から分化 ぶんか する神経 しんけい 索 さく が存在 そんざい する。神経 しんけい 索 さく は中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい に含 ふく まれ、感覚 かんかく 細胞 さいぼう は最前 さいぜん 部 ぶ に集中 しゅうちゅう し、脳 のう 室 しつ と呼 よ ばれるものが存在 そんざい (ナメクジウオ など)するが、明確 めいかく な「脳 のう 」構造 こうぞう は原 げん 索 さく 動物 どうぶつ ではあまりみられない(ホヤ の幼生 ようせい (遊泳 ゆうえい 性 せい )の場合 ばあい など、場合 ばあい によって脳 のう と呼 よ ばれることもある)。
脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう [ 編集 へんしゅう ]
脊椎動物 せきついどうぶつ の系統 けいとう 樹 じゅ 上 じょう の比較 ひかく では、脳 のう 全体 ぜんたい において大脳 だいのう の占 し める割合 わりあい が新 あたら しい世代 せだい の生物 せいぶつ ほど大 おお きいという大 おお まかな傾向 けいこう がある。特 とく にヒト の脳 のう は大脳 だいのう が大 おお きく、しかも大脳皮質 だいのうひしつ が大小 だいしょう の溝 みぞ (脳 のう 溝 みぞ )によって非常 ひじょう に広 ひろ い面積 めんせき をもっている。脳 のう 溝 みぞ と、それに挟 はさ まれた脳 のう 回 かい の区別 くべつ がある大脳 だいのう (有 ゆう 回 かい 脳 のう )は、哺乳類 ほにゅうるい の中 なか でも霊長 れいちょう 目 め などのごく一部 いちぶ しかもっていない。このことは、極 きわ めてしばしば新 あたら しい世代 せだい の生物 せいぶつ ほど複雑 ふくざつ な活動 かつどう を見 み せることと結 むす びつけて、大脳皮質 だいのうひしつ が思考 しこう の中枢 ちゅうすう だからと説明 せつめい される。
哺乳類 ほにゅうるい のうち、霊長 れいちょう 目 め の進化 しんか の過程 かてい で脳 のう 容積 ようせき が拡大 かくだい してきた[4] 。
脳 のう のニューロン細胞 さいぼう
複雑 ふくざつ な姿 すがた をしているヒトの脳 のう も、脊椎動物 せきついどうぶつ の進化 しんか の初期 しょき 段階 だんかい では、脳 のう は単 たん に神経 しんけい 細胞 さいぼう が集 あつ まったこぶ のようなものに過 す ぎなかった。進化 しんか の過程 かてい でこのこぶが大脳 だいのう 、間 あいだ 脳 のう 、中 ちゅう 脳 のう 、小脳 しょうのう 、延髄 えんずい 、脊髄 せきずい から構成 こうせい される複雑 ふくざつ な構造 こうぞう を成 な していき、個体 こたい の維持 いじ にとどまらず高度 こうど な精神 せいしん 活動 かつどう をつかさどるにいたった[5] 。脊髄 せきずい や延髄 えんずい 、中 ちゅう 脳 のう 、橋 はし では中心 ちゅうしん 管 かん は神経 しんけい 管内 かんない に余 あま り発達 はったつ せずに原型 げんけい をとどめたままであるが、先端 せんたん 部 ぶ の終 おわり 脳 のう では、発生 はっせい の間 あいだ に中心 ちゅうしん 管 かん は複雑 ふくざつ に拡大 かくだい して広 ひろ い脳 のう 室 しつ を形作 かたちづく り、また皮質 ひしつ も複雑 ふくざつ に隆起 りゅうき や回転 かいてん 運動 うんどう を起 お こしながら変形 へんけい して、各 かく 脳 のう 葉 は が形成 けいせい される。
初期 しょき の脳 のう の形成 けいせい は、中心 ちゅうしん 管 かん の前方 ぜんぽう が膨 ふく らんで形成 けいせい される、前 まえ ・中 なか ・後 こう 脳 のう 胞の3脳 のう 胞から出発 しゅっぱつ する。このうち先端 せんたん 部 ぶ の前 ぜん 脳 のう 胞は更 さら に前方 ぜんぽう から「終 おわり 脳 のう 胞」と「間 あいだ 脳 のう 胞」とに分 わ かれ、このうち終 おわり 脳 のう 胞が以下 いか のような、顕著 けんちょ な変化 へんか を遂 と げる。
1.上方 かみがた への隆起 りゅうき
中心 ちゅうしん 部 ぶ を除 のぞ く神経 しんけい 管 かん の左右 さゆう の天井 てんじょう が上方 かみがた へ隆起 りゅうき することにより、左右 さゆう の頭頂 とうちょう 葉 は が作 つく られる。
この隆起 りゅうき 運動 うんどう の結果 けっか 、本来 ほんらい の中心 ちゅうしん 管 かん 天井 てんじょう 部 ぶ は、左右 さゆう の半球 はんきゅう の奥深 おくふか くに隠 かく れてしまう(後 のち に脳 のう 梁 はり が左右 さゆう に走行 そうこう )。
神経 しんけい 管内 かんない の空 そら 所 しょ は先端 せんたん 部 ぶ から両 りょう 脇 わき に伸 の び上 あ がり、左右 さゆう 「側 がわ 脳 のう 室 しつ 」(第 だい 一 いち ・第 だい 二 に 脳 のう 室 しつ )ができる。
こうして作 つく られた側 がわ 脳 のう 室 しつ へ通 つう ずる旧 きゅう 中心 ちゅうしん 管 かん からの通路 つうろ が「室 しつ 間 あいだ 孔 あな 」となる。
2.前方 ぜんぽう への回 まわ り込 こ み
上方 かみがた に隆起 りゅうき した終 おわり 脳 のう 胞の左右 さゆう の壁 かべ は前方 ぜんぽう へも伸 の び出 だ し、「前頭葉 ぜんとうよう 」と「側 がわ 脳 のう 室 しつ 前 ぜん 角 かく 」がつくられる。
正 せい 中部 ちゅうぶ がそのまま残 のこ ることは同様 どうよう なので、神経 しんけい 管 かん 最前 さいぜん 端 はし 部 ぶ は、突出 とっしゅつ した前頭葉 ぜんとうよう の間 あいだ に「終 おわり 板 ばん 」として残 のこ る。
3.後方 こうほう への伸 の びと、側 がわ 方 かた への回転 かいてん 運動 うんどう
頭頂 とうちょう 方向 ほうこう へ隆起 りゅうき した神経 しんけい 組織 そしき は更 さら に後方 こうほう へ伸 の びながら、元 もと の神経 しんけい 管 かん の側壁 そくへき を越 こ えて下 した 側 がわ へ回 まわ り込 こ む。
このようにして、「後 こう 頭 あたま 葉 は 」と「側 がわ 頭 あたま 葉 は 」が作 つく られると共 とも に、「側 がわ 脳 のう 室 しつ 後 ご 角 かく 」と「下角 したすみ 」が作 つく られる。
めざましい終 おわり 脳 のう の動 うご きに対 たい して、間 あいだ 脳 のう 胞は余 あま り変化 へんか せず、神経 しんけい 管 かん の原型 げんけい を維持 いじ しつつ、左右 さゆう 大脳 だいのう 半球 はんきゅう の基部 きぶ に位置 いち して、視床 ししょう ・視床 ししょう 下部 かぶ を作 つく り、中心 ちゅうしん 管 かん は正中 せいちゅう 面 めん に薄 うす く上下 じょうげ にのみ伸 の びて第 だい 三 さん 脳 のう 室 しつ となる。
ヒトの脳 のう の構造 こうぞう : 前頭葉 ぜんとうよう (水色 みずいろ )、頭頂 とうちょう 葉 は (黄色 おうしょく )、側 がわ 頭 あたま 葉 は (緑色 みどりいろ )、後 こう 頭 あたま 葉 は (赤色 あかいろ )、小脳 しょうのう (紫色 むらさきいろ )、脳幹 のうかん (灰色 はいいろ )
ヒトの脳 のう は頭蓋 とうがい 内 うち 腔の大 だい 部分 ぶぶん を占 し めている。成人 せいじん で体重 たいじゅう の2%ほどにあたる1.2〜1.6キログラム の質量 しつりょう がある。脳 のう の質量 しつりょう は、男性 だんせい の脳 のう は女性 じょせい の脳 のう よりもやや大 おお きく(後述 こうじゅつ )、体重 たいじゅう との相関 そうかん はない。約 やく 300億 おく 個 こ の神経 しんけい 細胞 さいぼう を含 ふく むがそれは脳 のう をなす細胞 さいぼう の1割 わり 程度 ていど であり、残 のこ りの9割 わり はグリア細胞 さいぼう と呼 よ ばれるものである。グリア細胞 さいぼう は神経 しんけい 細胞 さいぼう に栄養 えいよう を供給 きょうきゅう したり、髄 ずい 鞘 さや を作 つく って伝導 でんどう 速度 そくど を上 あ げたりと、さまざまな働 はたら きをする。「人間 にんげん は脳 のう の1割 わり ほどしか有効 ゆうこう に使 つか っていない」という俗説 ぞくせつ (脳 のう の10パーセント神話 しんわ )があるが、これはグリア細胞 さいぼう の機能 きのう がよくわかっていなかった時代 じだい に、働 はたら いている細胞 さいぼう は神経 しんけい 細胞 さいぼう だけという思 おも い込 こ みから広 ひろ まったものと言 い われる。つまり、ヒトは大脳 だいのう の10%しか使用 しよう しないという都市 とし 伝説 でんせつ をよく耳 みみ にするが、もちろんこれは真 ま っ赤 か な嘘 うそ である。ヒトは常 つね に100%脳 のう 細胞 さいぼう を使用 しよう する[6] [7] [8] [9] 。最近 さいきん では脳 のう の大 だい 部分 ぶぶん は有効 ゆうこう 的 てき に活用 かつよう されており、脳 のう の一部分 いちぶぶん が破損 はそん など何 なん らかの機能 きのう 的 てき 障害 しょうがい となる要因 よういん が発生 はっせい した場合 ばあい にあまり使 つか われていない部分 ぶぶん は代替 だいたい 的 てき または補助 ほじょ 的 てき に活用 かつよう されている可能 かのう 性 せい があると考 かんが えられている。
脳 のう は、大脳 だいのう ・小脳 しょうのう ・脳幹 のうかん に大 おお きく分 わ けることができる。大脳 だいのう はさらに終 おわり 脳 のう (Telencephalon)と間 あいだ 脳 のう (Diencephalon)に、脳幹 のうかん はさらに中 ちゅう 脳 のう ・橋 はし ・延髄 えんずい に分 わ けられる。この区別 くべつ は肉眼 にくがん で見 み た様子 ようす に基 もと づいたものであって、胚 はい 発生 はっせい の上 うえ では小脳 しょうのう は脳幹 のうかん から分 わ かれるものであり、また生命 せいめい 維持 いじ 機能 きのう に強 つよ く関 かか わる間 あいだ 脳 のう を脳幹 のうかん に含 ふく める意見 いけん もある。
脳 のう は、髄 ずい 膜 まく と呼 よ ばれる3層 そう の膜 まく 、すなわち軟膜 ・クモ膜 まく ・硬 かた 膜 まく に覆 おお われている。軟膜は脳 のう の実質 じっしつ に密着 みっちゃく しているがクモ膜 まく は少 すこ し離 はな れており、軟膜との間 あいだ にクモ膜 まく 下 か 腔 という空間 くうかん を残 のこ している。クモ膜 まく 下 か 腔は脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき で満 み たされている。硬 かた 膜 まく は大脳 だいのう 鎌 がま ・小脳 しょうのう テントなどの突出 とっしゅつ と、硬 かた 膜 まく 静脈 じょうみゃく 洞 ほら を作 つく る部分 ぶぶん のほかは頭蓋 とうがい の内面 ないめん に密着 みっちゃく して内張 うちば りとなっている。硬 かた 膜 まく とクモ膜 まく はほぼ密着 みっちゃく している。
ヒトの大脳 だいのう 。前頭葉 ぜんとうよう の一部 いちぶ が切除 せつじょ された状態 じょうたい 。
大脳 だいのう 新 しん 皮質 ひしつ の錐 きり 体 たい 細胞 さいぼう
大脳 だいのう (Cerebrum)とは、厳密 げんみつ には終 おわり 脳 のう と間 あいだ 脳 のう を合 あ わせた呼称 こしょう だが、神経 しんけい 解剖 かいぼう 学 がく 以外 いがい の分野 ぶんや ではほぼ例外 れいがい なく、終 おわり 脳 のう のみを指 さ す言葉 ことば として使 つか われている。この項 こう でも特 とく に断 ことわ らない限 かぎ り、大脳 だいのう と言 い えば終 おわり 脳 のう を指 さ す。
終 おわり 脳 のう は左右 さゆう の大脳 だいのう 半球 はんきゅう (終 おわり 脳 のう 半球 はんきゅう )からなる。それらを隔 へだ てるのは大脳 だいのう 縦 たて 隔 へだた と呼 よ ばれる深 ふか い溝 みぞ であり、脳 のう 梁 はり と透明 とうめい 中 ちゅう 隔 へだた でつながるほかは完全 かんぜん に左右 さゆう が分 わ かれている。大脳 だいのう 半球 はんきゅう の表面 ひょうめん には、大脳 だいのう 溝 みぞ (だいのうこう、Cerebral sulci)と呼 よ ばれる溝 みぞ が走 はし り、その間 あいだ に細長 ほそなが い大脳 だいのう 回 かい (だいのうかい、Cerebral gyrus)を作 つく っている。脳 のう 溝 みぞ は俗 ぞく に「脳 のう のしわ」と言 い われるが、脳 のう の成長 せいちょう にしたがって無造作 むぞうさ にしわが寄 よ るのではなく、どこにどのような脳 のう 溝 みぞ ができるかは、深 ふか さ、曲 ま がり方 かた に多少 たしょう の個人 こじん 差 さ があるものの完全 かんぜん に決 き まっており、すべての脳 のう 溝 みぞ に解剖 かいぼう 学 がく 上 じょう の名前 なまえ (Nomina anatomica)が与 あた えられている。脳 のう 溝 みぞ と脳 のう 回 かい の形 かたち は左右 さゆう の半球 はんきゅう でほぼ対称 たいしょう であり、特 とく に目立 めだ つ脳 のう 溝 みぞ は終 おわり 脳 のう の外側 そとがわ で吻側端 はし から尾 お 側 がわ のあたりまで走 はし るシルビウス裂 きれ と、頭頂 とうちょう 部 ぶ の(吻側寄 よ りでも尾 お 側 がわ 寄 よ りでもなく)中 ちゅう ほどで背 せ 側 がわ 端 はし からシルビウス裂 きれ まで走 はし る中心 ちゅうしん 溝 みぞ である。シルビウス裂 きれ よりも腹 はら 側 がわ 、したがって脳 のう 全体 ぜんたい から見 み ればもっとも外側 そとがわ の部分 ぶぶん を側 がわ 頭 あたま 葉 は 、中心 ちゅうしん 溝 みぞ よりも吻側を前頭葉 ぜんとうよう 、中心 ちゅうしん 溝 みぞ よりも尾 お 側 がわ でシルビウス裂 きれ の終 お わるあたりまでを頭頂 とうちょう 葉 は 、その尾 お 側 がわ を後 こう 頭 あたま 葉 は と呼 よ ぶ。後 こう 頭 あたま 葉 は は終 おわり 脳 のう のもっとも尾 お 側 がわ にあり、頭頂 とうちょう 葉 は との境界 きょうかい は明瞭 めいりょう でない。シルビウス裂 きれ をこじ開 あ けると、側 がわ 頭 あたま 葉 は の陰 かげ に隠 かく れていた、島 しま と呼 よ ばれる部分 ぶぶん が見 み える。島 しま の表面 ひょうめん はほかの部分 ぶぶん と違 ちが って脳 のう 溝 みぞ ではなく細 こま かいしわがたくさん入 はい っている。
左右 さゆう の大脳 だいのう 半球 はんきゅう はそれぞれ側 がわ 脳 のう 室 しつ と呼 よ ばれる腔を含 ふく んでいる。側 がわ 脳 のう 室 しつ はモンロー孔 あな で第 だい 三 さん 脳 のう 室 しつ と連絡 れんらく して脳 のう 室 しつ 系 けい をなす。脳 のう 室 しつ 系 けい は脳 のう の廃液 はいえき である脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき でみたされ、脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき が排出 はいしゅつ される経路 けいろ となっている。
広義 こうぎ の大脳 だいのう から出 で る脳神経 のうしんけい は、終 おわり 脳 のう から出 で る嗅神経 しんけい と、間 あいだ 脳 のう から出 で る視神経 ししんけい である。
大脳 だいのう の断面 だんめん では白 はく 質 ただし と灰 はい 白 しろ 質 しつ が明瞭 めいりょう に区別 くべつ される。終 おわり 脳 のう の灰 はい 白 しろ 質 しつ は表面 ひょうめん 近 ちか くに面積 めんせき で2,000cm2 〜2,500cm2 、厚 あつ さ2〜3mm[10] の層 そう をなしており、大脳皮質 だいのうひしつ (だいのうひしつ、Cerebral cortex)と呼 よ ばれる。大脳皮質 だいのうひしつ は灰 はい 白 しろ 質 しつ の例 れい に漏 も れず神経 しんけい 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 体 たい が集 あつ まった部分 ぶぶん であり、その大 だい 部分 ぶぶん は6層 そう 構造 こうぞう をなし、複雑 ふくざつ な回路 かいろ を含 ふく んで思考 しこう などの中枢 ちゅうすう とされる。脳 のう がしわを形成 けいせい することにより大脳皮質 だいのうひしつ の表面積 ひょうめんせき を増大 ぞうだい させている[11] 。大脳皮質 だいのうひしつ に対 たい して白 しろ 質 しつ を大脳 だいのう 髄質 ずいしつ と呼 よ ぶこともあるが、白 はく 質 ただし と呼 よ ばれることのほうがはるかに多 おお い。その理由 りゆう の一端 いったん をなすのが大脳 だいのう 基底 きてい 核 かく である。大脳 だいのう 基底 きてい 核 かく は単 たん に大脳 だいのう 核 かく とも呼 よ ばれ、側 がわ 脳 のう 室 しつ の腹 はら 側 がわ あたりで髄質 ずいしつ の中 なか にある神経 しんけい 細胞 さいぼう の集 あつ まりである。2つ合 あ わせて線条 せんじょう 体 たい と呼 よ ばれる、尾 お 状 じょう 核 かく ・被 ひ 殻 から などを含 ふく むが、あいまいな概念 がいねん であって、間 あいだ 脳 のう の一部 いちぶ である視床 ししょう や淡 あわ 蒼 あお 球 だま を含 ふく むか含 ふく まないかは意見 いけん が一致 いっち しない。側 がわ 頭 あたま 葉 は の深部 しんぶ には扁 ひらた 桃 もも 体 たい がある。扁 ひらた 桃 もも 体 たい は恐怖 きょうふ 心 しん を構成 こうせい していることが知 し られているらしい。
間 あいだ 脳 のう は視床 ししょう と視床 ししょう 下部 かぶ からなる。視床 ししょう は、大脳皮質 だいのうひしつ や下位 かい の脳 のう ・脊髄 せきずい との連絡 れんらく が多 おお く、感覚 かんかく の中継 ちゅうけい 、運動 うんどう 制御 せいぎょ など多彩 たさい な機能 きのう に関 かか わる。視床 ししょう 下部 かぶ は、身体 しんたい の恒常 こうじょう 性 せい (ホメオスタシス )を保 たも つ働 はたら き、自律 じりつ 神経 しんけい 系 けい の制御 せいぎょ 、感情 かんじょう などに関与 かんよ している。
下垂 かすい 体 たい は、大脳 だいのう の底部 ていぶ 、ほぼ正中 せいちゅう にある器官 きかん であり、下垂 かすい 体 たい 柄 え といわれる細長 ほそなが い部分 ぶぶん で大脳 だいのう の中心 ちゅうしん 部 ぶ の視床 ししょう 下部 かぶ とつながっている。下垂 かすい 体 たい の前 ぜん 葉 は からは、副腎 ふくじん 皮質 ひしつ 刺激 しげき ホルモン (コルチコトロピン 、ACTH )、甲状腺 こうじょうせん 刺激 しげき ホルモン (サイロトロピン 、TSH )、性腺 せいせん 刺激 しげき ホルモン (ゴナドトロピン )、成長 せいちょう ホルモン (GH )、プロラクチン など、他 た の内分泌 ないぶんぴつ 器官 きかん の機能 きのう を左右 さゆう し、そこからのホルモンの分泌 ぶんぴつ を調節 ちょうせつ する多種 たしゅ のホルモンが分泌 ぶんぴつ される。中葉 ちゅうよう からは、メラニン細胞 さいぼう 刺激 しげき ホルモン (メラノトロピン 、MSH )、神経 しんけい 葉 は からは、抗 こう 利尿 りにょう ホルモン (バソプレシン)や、オキシトシン が分泌 ぶんぴつ される。コレステロール は体内 たいない の肝臓 かんぞう および皮膚 ひふ で合成 ごうせい され、全身 ぜんしん に輸送 ゆそう される。視床 ししょう 下部 かぶ から指令 しれい を受 う け、下垂 かすい 体 たい からも指令 しれい を受 う けることで、副腎 ふくじん は、コレステロール を原料 げんりょう に、副腎 ふくじん 皮質 ひしつ ホルモン や性 せい ホルモン を合成 ごうせい する。
小脳 しょうのう は脳幹 のうかん の背 せ 側 がわ にある。上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし ・中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし ・下 しも 小脳 しょうのう 脚 あし という線維 せんい の太 ふと い束 たば で脳幹 のうかん につながっている。これら3つは肉眼 にくがん レベルで絡 から み合 あ っており、それぞれに含 ふく まれる線維 せんい をきれいに分 わ けることは非常 ひじょう に難 むずか しい。小脳 しょうのう は正中 せいちゅう の小脳 しょうのう 虫 むし 部 ぶ (しょうのうちゅうぶ、Vermis)、左右 さゆう の小脳 しょうのう 半球 はんきゅう (Cerebellar hemispheres)、尾 お 側 がわ の小脳 しょうのう 扁 ひらた 桃 もも に分 わ けられる。小脳 しょうのう 半球 はんきゅう の表面 ひょうめん は、大脳 だいのう 半球 はんきゅう に脳 のう 溝 みぞ と脳 のう 回 かい があるように、小脳 しょうのう 溝 みぞ と小脳 しょうのう 回 かい をもつが、これらは脳 のう 溝 みぞ ・脳 のう 回 かい よりもかなり細 こま かく、変異 へんい も多 おお い。小脳 しょうのう 半球 はんきゅう の断面 だんめん も大脳 だいのう 半球 はんきゅう と同様 どうよう 、小脳 しょうのう 皮質 ひしつ (Cerebellar cortex)が灰 はい 白 しろ 質 しつ で小脳 しょうのう 髄質 ずいしつ が白 しろ 質 しつ である。小脳 しょうのう 皮質 ひしつ は表面 ひょうめん 側 がわ から分子 ぶんし 層 そう 、プルキンエ細胞 さいぼう 層 そう 、顆粒 かりゅう 層 そう の3層 そう 構造 こうぞう を持 も ち、約 やく 1mmぐらいの厚 あつ さである[10] 。皮質 ひしつ が厚 あつ く、髄質 ずいしつ が木 き の枝 えだ のように見 み えることから、小脳 しょうのう 半球 はんきゅう 断面 だんめん の様子 ようす をArbor vitae(生命 せいめい の木 き 、小脳 しょうのう 活 かつ 樹 じゅ )と呼 よ ぶ。
脳幹 のうかん (=brain stem) は上 うえ で大脳 だいのう と、背 せ 側 がわ で小脳 しょうのう と、尾 お 側 がわ で脊髄 せきずい とつながっている。吻側から順 じゅん に中 ちゅう 脳 のう (Midbrain)、橋 はし 、延髄 えんずい に分 わ けられる。小脳 しょうのう と脳幹 のうかん に挟 はさ まれた空間 くうかん は第 だい 四 よん 脳 のう 室 しつ となっている。
循環 じゅんかん ・代謝 たいしゃ [ 編集 へんしゅう ]
脳 のう の質量 しつりょう は体重 たいじゅう の2%程度 ていど だが、血液 けつえき の循環 じゅんかん 量 りょう は心拍 しんぱく 出 で 量 りょう の15%、酸素 さんそ の消費 しょうひ 量 りょう は全身 ぜんしん の20%、グルコース (ブドウ糖 ぶどうとう )の消費 しょうひ 量 りょう は全身 ぜんしん の25%と、いずれも質量 しつりょう に対 たい して非常 ひじょう に多 おお い。成人 せいじん 男子 だんし では脳 のう のグルコース必要 ひつよう 量 りょう は120-150g/日 ひ である[12] 。グルコースは脳 のう 関門 かんもん を通過 つうか でき、グルコーストランスポーター であるインスリン 非 ひ 依存 いぞん 性 せい のGLUT1を介 かい して細胞 さいぼう 膜 まく を通過 つうか して神経 しんけい 細胞 さいぼう にグルコースを取 と り込 こ む(「グルコーストランスポーター 」を参照 さんしょう のこと)。このことは脳 のう で起 お こる複雑 ふくざつ かつ活発 かっぱつ な電気 でんき 信号 しんごう の行 い き来 き に由来 ゆらい する。神経 しんけい 細胞 さいぼう では、静止 せいし 膜 まく 電位 でんい の維持 いじ と活動 かつどう 電位 でんい からの回復 かいふく のためにグルコースから産 さん 生 む された莫大 ばくだい なATP を消費 しょうひ している[13] [14] [信頼 しんらい 性 せい 要 よう 検証 けんしょう ] 。なお、成熟 せいじゅく 動物 どうぶつ 脳 のう の脂肪酸 しぼうさん の代謝 たいしゃ 活性 かっせい は非常 ひじょう に低 ひく く、長期間 ちょうきかん の絶食 ぜっしょく によっても脳 のう における脂肪酸 しぼうさん の低 ひく い代謝 たいしゃ 活性 かっせい のため脂肪酸 しぼうさん の組成 そせい は変化 へんか しない[15] 。脳 のう は通常 つうじょう 、脳 のう 関門 かんもん を通過 つうか できる(脳 のう 細胞 さいぼう 内 ない に能動 のうどう 輸送 ゆそう されるのであって自由 じゆう に通過 つうか できるわけではない)グルコースをエネルギー源 げん としている[16] 。また、飢餓 きが などの場合 ばあい によりグルコースが枯渇 こかつ し低 てい 血糖 けっとう となった場合 ばあい 、脂肪酸 しぼうさん のβ べーた 酸化 さんか によるアセチルCoA から生成 せいせい されたケトン体 たい も脳 のう 関門 かんもん を通過 つうか でき[16] 、脳 のう 関門 かんもん 通過 つうか 後 ご にケトン体 たい から再度 さいど アセチルCoAに戻 もど されて脳 のう 細胞 さいぼう のミトコンドリア のTCAサイクル でエネルギーとして利用 りよう される[17] 。脳 のう はグルコースを優先 ゆうせん 的 てき にエネルギー源 げん として利用 りよう するが、グルコースが少 すく ない時 とき にはケトン体 たい が主 しゅ たるエネルギー源 げん となる[18] [19] 。飢餓 きが 時 とき には脳 のう が必要 ひつよう とするグルコースの約 やく 半分 はんぶん をケトン体 たい で代用 だいよう することができる[16] 。
このような栄養素 えいようそ などの需要 じゅよう は内 うち 頸動脈 みゃく と椎骨 ついこつ 動脈 どうみゃく からの血 ち 流 りゅう でまかなわれる。内 うち 頸動脈 みゃく と椎骨 ついこつ 動脈 どうみゃく はそれぞれ大小 だいしょう の枝 えだ を出 だ して脳 のう の各所 かくしょ を栄養 えいよう し、ウィリスの動脈 どうみゃく 輪 わ と呼 よ ばれる環状 かんじょう の吻合 ふんごう を作 つく って互 たが いに連絡 れんらく している。このため内 ない 頸動脈 みゃく に血 ち 流 りゅう 障害 しょうがい が起 お こっても椎骨 ついこつ 動脈 どうみゃく からの血 ち 流 りゅう が脳 のう の全体 ぜんたい に行 い き渡 わた るが、ウィリスの動脈 どうみゃく 輪 わ が細 ほそ い人 ひと ではその代償 だいしょう があまり期待 きたい できない。
脳 のう に分布 ぶんぷ する静脈 じょうみゃく は、特 とく に太 ふと い部分 ぶぶん では動脈 どうみゃく に伴走 ばんそう しておらず、硬 かた 膜 まく 静脈 じょうみゃく 洞 ほら に集 あつ まる。硬 かた 膜 まく 静脈 じょうみゃく 洞 ほら の静脈 じょうみゃく 血 ち は内 うち 頸静脈 じょうみゃく へ流出 りゅうしゅつ する。また、リンパ液 りんぱえき に相当 そうとう する廃液 はいえき は脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき として脳 のう 室 しつ 系 けい の脈絡 みゃくらく 叢 くさむら から産 さん 生 む され、クモ膜 まく 下 か 腔 を流 なが れて最後 さいご にはクモ膜 まく 顆粒 かりゅう から、または脊柱 せきちゅう 管 かん の静脈 じょうみゃく 叢 くさむら から静脈 じょうみゃく 血 ち に吸収 きゅうしゅう される。
脳 のう は運動 うんどう ・知覚 ちかく など神経 しんけい を介 かい する情報 じょうほう 伝達 でんたつ の最 さい 上位 じょうい 中枢 ちゅうすう である。また、感情 かんじょう ・情緒 じょうちょ ・理性 りせい などヒトの精神 せいしん 活動 かつどう においても重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしている。幾 いく つかの精神 せいしん 活動 かつどう に関 かん してはポジトロン断層 だんそう 法 ほう などにより、脳 のう の活動 かつどう との間 あいだ に密接 みっせつ な関係 かんけい があることが確 たし かめられている。
脳 のう が以上 いじょう のような機能 きのう に深 ふか く関 かか わっていることには疑 うたが いがないが、脳 のう がそのすべてを担 にな っているかどうかは明 あき らかでない。このことは脳死 のうし にまつわる問題 もんだい で問 と われ、ラザロ徴候 ちょうこう をどう解釈 かいしゃく するかで意見 いけん が分 わ かれる。脳死 のうし 推進 すいしん 派 は はラザロ徴候 ちょうこう を脊髄 せきずい による反射 はんしゃ とみなし、脳 のう の機能 きのう が残 のこ っている証拠 しょうこ にはならないとする。一方 いっぽう で脳死 のうし 反対 はんたい 派 は はラザロ徴候 ちょうこう に脳 のう の機能 きのう が関 かか わっているとする。脳死 のうし 反対 はんたい 派 は の一部 いちぶ は、ラザロ徴候 ちょうこう に脳 のう が関 かか わっていようといまいと、そのような高度 こうど の活動 かつどう が(たとえば脊髄 せきずい によって)なされうるならそれは生命 せいめい 反応 はんのう とみなすべきだと主張 しゅちょう する。ラザロ徴候 ちょうこう の機 き 序 じょ は解明 かいめい されておらず、この議論 ぎろん は決着 けっちゃく していない。
脳 のう が、あるいは大脳 だいのう が大 おお きいほうが頭 あたま がいいという俗説 ぞくせつ がある。これはヒトの大脳 だいのう が類人猿 るいじんえん の大脳 だいのう よりも大 おお きいこと、高齢 こうれい 者 しゃ の脳 のう が加 か 齢 よわい に伴 ともな って萎縮 いしゅく すること、アルツハイマー病 びょう などの疾患 しっかん では病変 びょうへん 部 ぶ が著 いちじる しく萎縮 いしゅく することなどにも助長 じょちょう されていよう。しかし脳 のう の重 おも さは(特 とく に人 ひと の間 あいだ で)知能 ちのう の指標 しひょう とはならないとされる。夏目 なつめ 漱石 そうせき やアルベルト・アインシュタイン の脳 のう は彼 かれ らの死後 しご も保存 ほぞん されているが、その重 おも さを量 はか ってみても正常 せいじょう の範囲 はんい を出 で ない。またクジラやゾウは、ヒトより重 おも い脳 のう を持 も つ。以上 いじょう のように、人間 にんげん が他 た の動物 どうぶつ より賢 かしこ いのは、脳 のう の大 おお きさではなく、大脳皮質 だいのうひしつ の複雑 ふくざつ さ、神経 しんけい 細胞 さいぼう の数 かず やグリア細胞 さいぼう によるものである[20] 。
ヒトを含 ふく む脊椎動物 せきついどうぶつ の脳 のう はその性別 せいべつ により異 こと なった構造 こうぞう を持 も つ。これは大脳 だいのう 解剖 かいぼう 学 がく における肉眼 にくがん 観察 かんさつ や、ラット に対 たい して脳 のう の形成 けいせい 期 き に性 せい ホルモン を投与 とうよ する実験 じっけん により確 たし かめられている。脳 のう の部分 ぶぶん で性差 せいさ があるとみられている部分 ぶぶん は、大脳 だいのう 半球 はんきゅう 、左右 さゆう の脳 のう をつなぐ前 ぜん 交連や脳 のう 梁 はり 、本能 ほんのう をつかさどる視床 ししょう 下部 かぶ である(脳 のう の性 せい 分化 ぶんか )。ただし雄 ゆう の猿 さる を幼少 ようしょう 期 き から雌 めす として育 そだ てれば雌 めす と同 おな じ行動 こうどう をとるようになるなどの報告 ほうこく もあるため、これらの性差 せいさ がどれほど行動 こうどう に影響 えいきょう を及 およ ぼすかは定 さだ かでない。
ヒトの場合 ばあい 、男女 だんじょ は精神 せいしん 的 てき ・文化 ぶんか 的 てき に異 こと なった傾向 けいこう を示 しめ すことがある(ジェンダー 参照 さんしょう )が、脳 のう の性差 せいさ がこれの一因 いちいん を担 にな っていると考 かんが えられている。ただし脳 のう の性差 せいさ が人格 じんかく 形成 けいせい にどれほどの割合 わりあい で貢献 こうけん をしているかは不明 ふめい である(見 み えにくくなった後天的 こうてんてき な環境 かんきょう の影響 えいきょう が、生得 しょうとく 的 てき な性差 せいさ であると認識 にんしき される場合 ばあい もあるため)。
女性 じょせい は論理 ろんり 的 てき 思考 しこう 時 じ に「論理 ろんり 的 てき 思考 しこう を司 つかさど る左脳 さのう 」を「想像 そうぞう 力 りょく を働 はたら かせる右脳 うのう 」と連動 れんどう して働 はたら かすことができ、男性 だんせい はこれが不得手 ふえて であるが訓練 くんれん によって可能 かのう であるといわれることがあるが、これらの説 せつ の根拠 こんきょ は女性 じょせい の脳 のう 梁 はり (左右 さゆう の大脳 だいのう 半球 はんきゅう を連絡 れんらく する神経 しんけい 繊維 せんい )の多 おお さのみに基 もと づいている。(以下 いか 、脳 のう の左右 さゆう 差 さ も参照 さんしょう )
また男女 だんじょ の脳 のう の質 しつ の違 ちが いとして、女性 じょせい の脳 のう は男性 だんせい の脳 のう よりも皮質 ひしつ が厚 あつ くなる傾向 けいこう が複数 ふくすう の研究 けんきゅう で確認 かくにん されている[21] [22] [23] 。
質量 しつりょう ・容積 ようせき [ 編集 へんしゅう ]
哺乳類 ほにゅうるい では脳 のう 容積 ようせき と体 からだ 容積 ようせき がおおむね対数 たいすう 比例 ひれい する。まず観察 かんさつ される点 てん として、頭蓋骨 ずがいこつ の大 おお きさは概 おおむ ね体格 たいかく に比例 ひれい し、男性 だんせい の脳 のう は女性 じょせい よりも大 おお きく重 おも い。出生 しゅっしょう 時 じ は性別 せいべつ による有意 ゆうい 差 さ は無 な く、男女 だんじょ ともに370〜400グラムである。成人 せいじん では、男性 だんせい は1350〜1500グラム、女性 じょせい では1200〜1250グラムであり、これは体重 たいじゅう の約 やく 2%にあたる。なお、性差 せいさ ・人種 じんしゅ 差 さ を除外 じょがい した同質 どうしつ な人類 じんるい 集団 しゅうだん 同士 どうし の比較 ひかく では脳 のう の大 おお きさは知能指数 ちのうしすう と相関 そうかん 係数 けいすう 0.4程度 ていど の相関 そうかん があることが知 し られる。(研究 けんきゅう により異 こと なる)
認知 にんち 能力 のうりょく と脳 のう の大 おお きさの関連 かんれん について13,600人 にん 以上 いじょう の非常 ひじょう に大 おお きなサンプルを用 もち いて行 おこな われた研究 けんきゅう では、相関 そうかん 係数 けいすう は0.19であり、同性 どうせい 間 あいだ では脳 のう の大 おお きさは認知 にんち テストの結果 けっか の約 やく 2%に影響 えいきょう するが、男女 だんじょ の認知 にんち テストの平均 へいきん スコアには有意 ゆうい な差 さ は見 み られず、男女 だんじょ の脳 のう の大 おお きさの違 ちが いは認知 にんち 能力 のうりょく の差 さ には繋 つな がらなかった。研究 けんきゅう 者 しゃ は脳 のう の質 しつ の性差 せいさ による可能 かのう 性 せい があるとしている[25] 。
ポジトロン断層 だんそう 法 ほう によって様々 さまざま な精神 せいしん 活動 かつどう の際 さい に脳 のう が働 はたら く様子 ようす を調 しら べると、男性 だんせい は主 おも に左 ひだり 半球 はんきゅう が、女性 じょせい は比較的 ひかくてき 均質 きんしつ に働 はたら くとの報告 ほうこく がある。ただしこれをして「女性 じょせい は左右 さゆう の脳 のう を満遍 まんべん なく働 はたら かせることができ、男性 だんせい の脳 のう 活動 かつどう は左脳 さのう に依存 いぞん するところが大 おお きい」とはならない。ポジトロン断層 だんそう 法 ほう 自体 じたい は血 ち 流 りゅう や代謝 たいしゃ が増加 ぞうか した部分 ぶぶん が集中 しゅうちゅう 的 てき に活動 かつどう したとする仮定 かてい の下 した に行 おこな われるものだが、これによる脳 のう 活動 かつどう の測定 そくてい はあくまで相対 そうたい 的 てき な活動 かつどう の増大 ぞうだい を示 しめ すものである。これについても脳 のう 機能 きのう 局在 きょくざい 論 ろん を参照 さんしょう されたい。
月経 げっけい に代表 だいひょう されるように女性 じょせい は身体 しんたい 的 てき な周期 しゅうき 変動 へんどう を持 も っている。またそれに伴 ともな って精神 せいしん 的 てき にも周期 しゅうき 的 てき に変動 へんどう すると指摘 してき されることもある。この周期 しゅうき 性 せい を支配 しはい しているのが下垂 かすい 体 たい から分泌 ぶんぴつ される卵胞 らんぽう 刺激 しげき ホルモン と黄体 おうたい 形成 けいせい ホルモン である。
男性 だんせい の脳 のう ではこのような周期 しゅうき 性 せい はない。胎生 たいせい 期 き に精巣 せいそう から分泌 ぶんぴつ されたテストステロン (アンドロゲン・シャワーとよばれる)によるものだと考 かんが えられている。
大脳 だいのう 半球 はんきゅう の左右 さゆう 差 さ [ 編集 へんしゅう ]
ヒト特有 とくゆう の大脳 だいのう 半球 はんきゅう の左右 さゆう の機能 きのう についての学説 がくせつ は、古 ふる い時代 じだい のてんかん 患者 かんじゃ の治療 ちりょう のために行 い った、脳 のう 梁 はり の切除 せつじょ や、手術 しゅじゅつ 中 ちゅう に脳 のう に電気 でんき 刺激 しげき などをほどこし患者 かんじゃ に質問 しつもん を行 おこな った場合 ばあい の観察 かんさつ 記録 きろく から推測 すいそく された仮説 かせつ が多 おお い。それらの少 すく ない観察 かんさつ 例 れい から拡大 かくだい 解釈 かいしゃく されたもの、その拡大 かくだい 解釈 かいしゃく をさらに拡大 かくだい 解釈 かいしゃく し、歪曲 わいきょく された俗説 ぞくせつ が非常 ひじょう に多 おお いので注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。
しかしながら、脳 のう 専門医 せんもんい の中 なか には、左右 さゆう の脳 のう 半球 はんきゅう に機能 きのう 分布 ぶんぷ の違 ちが いを認 みと める医師 いし もいる。病巣 びょうそう や事故 じこ によって損 そこ なわれた脳 のう の部位 ぶい と、外 そと から観察 かんさつ できる機能 きのう 欠損 けっそん の関連 かんれん 性 せい に経験 けいけん 則 そく があてはまるからである。また、非常 ひじょう に希 まれ なケースを除 のぞ いて、言語 げんご 野 の が大脳 だいのう 左 ひだり 半球 はんきゅう に有 あ るのは確 たし かである。一方 いっぽう で、論理 ろんり 的 てき 思考 しこう について重要 じゅうよう な機能 きのう が左 ひだり 半球 はんきゅう にあるのは確 たし かだが、右 みぎ 大脳 だいのう の前頭 まえがしら 野 の の欠損 けっそん によって「順序 じゅんじょ 立 た った行動 こうどう 」が不可能 ふかのう になった例 れい が、カナダのワイルダー・ペンフィールド 医師 いし の姉 あね の報告 ほうこく 例 れい などに見 み られる。
他 た に確認 かくにん の取 と れている事実 じじつ として、まずヒトの大脳 だいのう では左 ひだり 半球 はんきゅう のほうが右 みぎ 半球 はんきゅう より若干 じゃっかん 大 おお きいことや、身体 しんたい の右側 みぎがわ の制御 せいぎょ を左 ひだり 半球 はんきゅう 、左側 ひだりがわ の制御 せいぎょ を右 みぎ 半球 はんきゅう が行 おこな っていることなどは判明 はんめい している。脳 のう の左右 さゆう の大 おお きさの違 ちが いは医療 いりょう 機器 きき で即座 そくざ に確認 かくにん でき、左 ひだり 右脳 うのう と身体 しんたい の制御 せいぎょ の関連 かんれん 性 せい については、脳 のう の欠損 けっそん 半球 はんきゅう と、麻痺 まひ がおこる身体 しんたい 部位 ぶい との関連 かんれん から明 あき らかだからである。
しかしながら、脳 のう という器官 きかん の複雑 ふくざつ 性 せい をかんがみた場合 ばあい 、ある能力 のうりょく について、どちらかの半球 はんきゅう だけが機能 きのう しているといえるほど単純 たんじゅん なものではなく、またそれを裏付 うらづ けるデータもない。
大 だい 多数 たすう の研究 けんきゅう 者 しゃ が特定 とくてい の精神 せいしん 機能 きのう の中枢 ちゅうすう とみなしている領野 りょうや は今 いま のところ、末梢 まっしょう との神経 しんけい 接続 せつぞく が解剖 かいぼう 的 てき に調 しら べられている初期 しょき 知覚 ちかく 領野 りょうや ・運動 うんどう 野 の を除 のぞ けば言語 げんご 野 の しかない。さらに左脳 さのう と右脳 うのう がそれぞれ論理 ろんり 的 てき 思考 しこう ・創造 そうぞう 的 てき 思考 しこう を処理 しょり し、もう片方 かたがた がそれを担当 たんとう していないという明確 めいかく な証拠 しょうこ や実験 じっけん データはない。
2010年 ねん 、脳 のう の神経 しんけい 細胞 さいぼう を三 さん 次元 じげん 的 てき に培養 ばいよう した結果 けっか 、神経 しんけい 突起 とっき の進 すす む方向 ほうこう を決定 けってい する成長 せいちょう 円錐 えんすい にある糸状 いとじょう 仮 かり 足 あし が右 みぎ 回 まわ りで伸縮 しんしゅく していることが玉田 たまだ らの研究 けんきゅう により明 あき らかとなり[26] 、脳 のう の左右 さゆう の機能 きのう 差 さ に関連 かんれん しているのではないかと注目 ちゅうもく されている[27] 。
脳 のう の冠状 かんじょう 断面 だんめん 。
脳 のう 、神経 しんけい 系 けい にコレステロール 全量 ぜんりょう の1/3もが含 ふく まれているが、神経 しんけい 細胞 さいぼう から伸 の びて神経 しんけい 伝達 でんたつ を司 つかさど っている軸 じく 索 さく を覆 おお っているミエリン鞘 さや にコレステロールが大量 たいりょう に含 ふく まれているためである。コレステロールは、ミエリン鞘 さや の絶縁 ぜつえん 性 せい を保持 ほじ する役割 やくわり を果 は たしている。絶縁 ぜつえん されたミエリン鞘 さや の切 き れ目 め であるランヴィエの絞 しぼ 輪 わ ごとでの跳躍 ちょうやく 伝導 でんどう により高速 こうそく の神経 しんけい 信号 しんごう 伝達 でんたつ に寄与 きよ している[28] 。実際 じっさい 、哺乳類 ほにゅうるい である豚 ぶた や牛 うし などでは脳 のう 総 そう 重量 じゅうりょう の2-3%がコレステロールで占 し められている。ヒトでは脳 のう 総 そう 重量 じゅうりょう の2.7%がコレステロールで占 し められている。
脳 のう の灰 はい 白 しろ 質 しつ は、中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい の神経 しんけい 組織 そしき のうち、神経 しんけい 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 体 たい が存在 そんざい している部位 ぶい のことである。これに対 たい し、神経 しんけい 細胞 さいぼう 体 たい がなく、神経 しんけい 線維 せんい ばかりの部位 ぶい を白 はく 質 ただし と呼 よ ぶ。白 しろ 質 しつ は明 あか るく光 ひか るような白色 はくしょく をしているのに対 たい し、灰 はい 白 しろ 質 しつ は、白 しろ 質 しつ よりも色 いろ が濃 こ く、灰色 はいいろ がかって見 み えることによる。これは、有 ゆう 髄 ずい 神経 しんけい 線維 せんい のミエリン鞘 さや の主成分 しゅせいぶん として大量 たいりょう に存在 そんざい しているコレステロール [28] やミエリン が白 しろ い色 いろ をしているためで、白 しろ 質 しつ には、灰 はい 白 しろ 質 しつ に比 くら べて、有 ゆう 髄 ずい 神経 しんけい 線維 せんい が多 おお いからと考 かんが えられている。
神経 しんけい 細胞 さいぼう の構造 こうぞう 図 ず en:Dendrites =樹 き 状 じょう 突起 とっき 、en:Axon =軸 じく 索 さく 、(以下 いか 略 りゃく )
細胞 さいぼう 膜 まく は流動 りゅうどう 性 せい を持 も ち、脂質 ししつ や膜 まく タンパクは動 うご いている。この流動 りゅうどう 性 せい は膜 まく の構成 こうせい 物質 ぶっしつ で決 き まる。たとえば、リン脂質 ししつ を構成 こうせい する脂肪酸 しぼうさん の不 ふ 飽和 ほうわ 度 ど (二 に 重 じゅう 結合 けつごう の数 かず )に影響 えいきょう され、二 に 重 じゅう 結合 けつごう を持 も つ炭化 たんか 水素 すいそ が多 おお いほど(二 に 重 じゅう 結合 けつごう があるとその部分 ぶぶん で炭化 たんか 水素 すいそ が折 お れ曲 ま がるので)リン脂質 ししつ の相互 そうご 作用 さよう が低 ひく くなり流動 りゅうどう 性 せい は増 ま すことになる。例 たと えばドコサヘキサエン酸 さん (DHA)は不 ふ 飽和 ほうわ 度 ど が極 きわ めて高 たか く細胞 さいぼう 膜 まく の流動 りゅうどう 性 せい の保持 ほじ に寄与 きよ している。
神経 しんけい 細胞 さいぼう は、軸 じく 索 さく や樹 き 状 じょう 突起 とっき などの凹凸 おうとつ の多 おお い入 い り組 く んだ構造 こうぞう を有 ゆう しているため、膜 まく 成分 せいぶん が極端 きょくたん に多 おお くなっている[29] [信頼 しんらい 性 せい 要 よう 検証 けんしょう ] 。
牛 うし (成 なり 牛 うし および子 こ 牛 うし )、豚 ぶた 、羊 ひつじ 、ウサギなどの家畜 かちく の脳 のう は食材 しょくざい としても用 もち いられる。主 おも にヨーロッパおよび中東 ちゅうとう では肉屋 にくや の店先 みせさき のほかスーパーマーケットでも流通 りゅうつう している。世界 せかい 各地 かくち の様々 さまざま な料理 りょうり で、脳 のう そのものを煮 に る、焼 や く、揚 あ げるなどの料理 りょうり 法 ほう で食 た べる他 ほか 、また煮込 にこ み料理 りょうり の出汁 だし 取 と りとしても使 つか われる。このわた の様 よう な独特 どくとく の食 しょく 感 かん がある。
BSE の影響 えいきょう により一 いち 時期 じき ヨーロッパでは食材 しょくざい としての脳 のう や骨髄 こつづい の流通 りゅうつう は減少 げんしょう したが、伝統 でんとう 的 てき 食材 しょくざい としての存在 そんざい は未 いま だに広 ひろ く一般 いっぱん に受 う け入 い れられている。
脳 のう 研究 けんきゅう に関 かん する国家 こっか プロジェクト[ 編集 へんしゅう ]
近年 きんねん 、先進 せんしん 国 こく を中心 ちゅうしん に、脳 のう の理解 りかい を促進 そくしん するための大型 おおがた 国家 こっか 科学 かがく プロジェクトが組 く まれている。
米国 べいこく の「ブレイン・イニシアチブ 」、欧州 おうしゅう の「ヒューマンブレインプロジェクト 」日本 にっぽん の「革新 かくしん 的 てき 技術 ぎじゅつ による脳 のう 機能 きのう ネットワークの全容 ぜんよう 解明 かいめい プロジェクト(Brain/MINDS)」中国 ちゅうごく の「チャイナブレインプロジェクト」等 とう がある。
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前頭葉 ぜんとうよう
上前 うわまえ 頭 あたま 回 かい /前頭 まえがしら 眼 め 野 の (en ) (6, 8, 9), 中 ちゅう 前頭 まえがしら 回 かい (46), 下 しも 前頭 まえがしら 回 かい /ブローカ野 の (44-弁 べん 蓋 ぶた 部 ぶ , 45-三角 さんかく 部 ぶ , 眼窩 がんか 部 ぶ )
中心 ちゅうしん 前回 ぜんかい (一 いち 次 じ 運動 うんどう 野 の , 4)
直 ちょく 回 かい , 眼窩 がんか 回 かい /眼窩 がんか 前頭 まえがしら 皮質 ひしつ (10,11,12,47), 前 ぜん 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ , 前 ぜん 運動 うんどう 野 の (en ) , 前頭 まえがしら 極 きょく
中心 ちゅうしん 前 ぜん 溝 みぞ - 上前 うわまえ 頭 あたま 溝 みぞ - 下 しも 前頭 まえがしら 溝 みぞ - 嗅溝 - 眼窩 がんか 溝 みぞ - 中心 ちゅうしん 傍 はた 溝 みぞ
頭頂 とうちょう 葉 は
中心 ちゅうしん 後 ご 回 かい , 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (一 いち 次 じ 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (1, 2, 3,43), 二 に 次 じ 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (en ) (5)), 楔 くさび 前部 ぜんぶ (7m) - 頭頂 とうちょう 弁 べん 蓋 ぶた (en )
頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (上 うえ 頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (7l), 下 しも 頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (40)), 縁 えん 上 じょう 回 かい (40), 角 かく 回 かい (39)
中心 ちゅうしん 後 ご 溝 みぞ , 頭頂 とうちょう 間 あいだ 溝 みぞ , 縁 えん 溝 みぞ
後 こう 頭 あたま 葉 は 側 がわ 頭 あたま 葉 は (外 そと ・下 した )辺 あたり 縁 えん 皮質 ひしつ ・島 しま 皮質 ひしつ
島 しま 皮質 ひしつ
帯状 おびじょう 回 かい : 膝 ひざ 下野 げや (en ) (25), 前 ぜん 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ (24,32,33), 後 こう 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ (23,31), 脳 のう 梁 はり 膨大 ぼうだい 後部 こうぶ 皮質 ひしつ (26,29,30)
海馬 かいば 傍 はた 回 かい (27,28,34,35,36), 海馬 かいば 鉤 かぎ , 海馬 かいば 体 たい ,(扁 ひらた 桃 もも 体 たい の一部 いちぶ )
※ 内側 うちがわ 側 がわ 頭 あたま 葉 ば など他 た の脳 のう 葉 は に含 ふく めて扱 あつか われることもある。
脳 のう 葉 は 間 あいだ の脳 のう 溝 みぞ など白 はく 質 ただし その他 た
いくつかの領域 りょういき 分 わ けは大 おお まかなものになっている。
カッコ内 ない の番号 ばんごう はブロードマンの脳 のう 地図 ちず における番号 ばんごう である。また、ブロードマンの脳 のう 地図 ちず における領域 りょういき のいくつかは複数 ふくすう の脳 のう 回 かい にまたがっている。