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プラナリア

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
さん岐腸 Tricladida
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : ひらたがた動物どうぶつもん Platyhelminthes
つな : ゆう棒状ぼうじょうたいつな Rhabditophora
: さん岐腸 Tricladida
学名がくめい
Tricladida
和名わみょう
さん岐腸
英名えいめい
Planarian Flatworm

プラナリアえい: Planarian Flatworm)は、ひらたがた動物どうぶつもんゆう棒状ぼうじょうたいつなさん岐腸(さんきちょうもく)にぞくする動物どうぶつ総称そうしょう[1][2]。プラナリア(さん岐腸)がぞくする自由じゆう生活せいかつせいひらたがた動物どうぶつは、からだひょう繊毛せんもうがあり、この繊毛せんもう運動うんどうによってうずができることから、ウズムシばれる[3]淡水たんすい海水かいすいおよび湿気しっけたか陸上りくじょう生息せいそくする。Planariaは「ひらたいめん」を意味いみするラテン語らてんごplanariusに由来ゆらいし、plain「平原へいげん」やplane「平面へいめん」と語源ごげん共通きょうつうである[2]

概要がいよう[編集へんしゅう]

はらめん中央ちゅうおうひだがた咽頭いんとうがあり、ちょう主管しゅかんさん岐にかれ、一方いっぽう咽頭いんとう前方ぜんぽうに、2ほんはその両側りょうがわ後方こうほうたっする[4]。このちょう主管しゅかん分岐ぶんきさん岐腸(さんきちょうもく)の名前なまえ由来ゆらいとなっている。イトミミズやアカムシ(ユスリカの幼虫ようちゅう)をべさせると、全身ぜんしん消化しょうかかんはいってゆく様子ようすえ、全身ぜんしん消化しょうかかん分岐ぶんきしていることを観察かんさつできる。肛門こうもん脊髄せきずいく(肛門こうもんについてはひらたがた動物どうぶつもん全体ぜんたい特徴とくちょう)、かごじょう神経しんけいけいち、はいじょうであり、レンズがない。ひかりかんじることはできる。ナミウズムシ場合ばあいは1たいだが、カズメウズムシなどたくさんのつものもいる。

いちじるしい再生さいせい能力のうりょくつことから、再生さいせい研究けんきゅうモデル生物せいぶつとしてもちいられる。進化しんかまとには前口まえぐち動物どうぶつ後口あとくち動物どうぶつ分岐ぶんきてん位置いちし、さん胚葉はいようせい動物どうぶつのう動物どうぶつとしてもっと原始げんしてきであることから、比較ひかく発生はっせいがく進化しんか発生はっせい生物せいぶつがくでももちいられる。雌雄しゆう同体どうたいである特性とくせいから、生殖せいしょく生物せいぶつがくでもあつかわれる。水質すいしつ変化へんかいちじるしい影響えいきょうけることから、指標しひょう生物せいぶつでもある。

また、プラナリアは雑食ざっしょくであるが、主食しゅしょくとしてさかなにく昆虫こんちゅう動物どうぶつしつけいもの)などがげられる。

生物せいぶつがくでプラナリアという場合ばあい日本にっぽんではサンカクアタマウズムシナミウズムシぞくナミウズムシであることがおおい。

繁殖はんしょく[編集へんしゅう]

有性ゆうせい生殖せいしょく無性むしょう生殖せいしょくができる。水質すいしつ水温すいおんなどの生息せいそく環境かんきょう悪化あっかすると、次第しだい腹部ふくぶがくびれてきて2つに分裂ぶんれつしてしまう。

再生さいせい能力のうりょくについて[編集へんしゅう]

プラナリアの再生さいせい能力のうりょくいちじるしく、ナミウズムシ場合ばあい前後ぜんごに3つにれば、頭部とうぶからは腹部ふくぶ以降いこうが、がわからは頭部とうぶが、中央ちゅうおう断片だんぺんからは前部ぜんぶくちから頭部とうぶ後部こうぶくちから再生さいせいされる。このような、各部かくぶからのこりの部分ぶぶんただしい方向ほうこう再生さいせいされることを「極性きょくせいがある」といい、具体ぐたいてきにはなんらかの物質ぶっしつ濃度のうど勾配こうばいではないかとされている。再生さいせい秩序ちつじょただしくおこなわれるための体内たいない濃度のうど勾配こうばいつかさど遺伝子いでんしとして、Nou-darake遺伝子いでんし同定どうていされている。

  • あたまみをれて3等分とうぶんにすれば、3つのあたまつプラナリアに再生さいせいする。
  • ある学者がくしゃがメスを使つかい100をえる断片だんぺんになるまで滅多めったりにしたが、そのぜんへん再生さいせいして100をえるプラナリアが再生さいせいしたという逸話いつわがある[5]。プラナリアが再生さいせいできる栄養えいよう環境かんきょうさえあれば可能かのうであるとされる。
  • トーマス・ハント・モーガン実験じっけんでは、遅延ちえん不完全ふかんぜん再生さいせいはあったものの、279に分割ぶんかつされた断片だんぺんから再生さいせいしたとされる[6]
  • 咽頭いんとうおよびまえにあたる部分ぶぶんからは、それらが万能ばんのう細胞さいぼうたないため再生さいせい出来できない[6]
  • 切断せつだん実験じっけんをするさいは、1週間しゅうかんまえから絶食ぜっしょくさせておかないと、切断せつだん体内たいない消化しょうかえき自身じしんからだかしてしまい、絶命ぜつめいする[7]

のう以外いがい部位ぶい記憶きおく存在そんざいする[編集へんしゅう]

「プラナリアの頭部とうぶ切断せつだんして、から再生さいせいさせた個体こたいに、切断せつだんまえ記憶きおく残存ざんそんしている可能かのうせい」を示唆しさする実験じっけん結果けっかが、タフツ大学だいがくのタル・ショムラット (Tal Shomrat) とマイケル・レヴィン (Michael Levin) によって報告ほうこくされている[8][9]

生息せいそく[編集へんしゅう]

プラナリアは日本にっぽんなかかわ上流じょうりゅう生息せいそくしており、いし枯葉かれはなどのうらいている。おもカゲロウ幼虫ようちゅうなどの水生すいせい昆虫こんちゅうえさとしている。

また、アクアリウムなどでは、水草みずくさなどに付着ふちゃくしたプラナリアが水槽すいそうない侵入しんにゅうしてだい発生はっせいすることがあり、このんで捕食ほしょくする生物せいぶつすくないことから害虫がいちゅうとしてきらわれている。捕獲ほかく除去じょきょには、からだやわらかくピンセットでつまむとちぎれることがあるので、ふで使つかってでるようにるとよい。またえさとなるものをれておびきせる捕獲ほかく市販しはんされており、自作じさくするものる。捕獲ほかくはいったものはてして内部ないぶ水質すいしつ悪化あっかにより短時間たんじかんいた場合ばあいるので、生態せいたい観察かんさつなどを目的もくてきとする場合ばあいすみやかに必要ひつようがある。

下位かい分類ぶんるい[編集へんしゅう]

Sabussowia ronaldi、Maricola
Polycelis felina、Planariidae

Sluysらによる分類ぶんるい[10]

  • さん岐腸(Tricladida)
    • うみせいさん岐腸(Maricola)
      • Cercyroideaうえ
        • Centrovarioplanidae
        • Cercyridae
        • Meixnerididae
      • Bdellouroideaうえ
        • Uteriporidae
        • Bdellouridae
      • Procerodoideaうえ
        • Procerodidae
    • 地下水ちかすいせいさん岐腸(Dimarcusidae)(Cavernicola)[11]
    • 結合けつごうさん岐腸(Continenticola)

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 阿形あがた清和きよかず 2012.
  2. ^ a b Sluys & Riutort 2019.
  3. ^ 鏑木かぶらきがい岐雄 1930.
  4. ^ 奥川おくがわ一之かずゆきじょ 1973.
  5. ^ NHK『サイエンスZERO』 2009ねん12月19にち放送ほうそうより。京都きょうと大学だいがく大学院だいがくいん理学りがく研究けんきゅう阿形あがた清和きよかず教授きょうじゅだん
  6. ^ a b Handberg-Thorsager, Fernandez & Salo 2008.
  7. ^ 兵庫ひょうごけん高等こうとう学校がっこう教育きょういく研究けんきゅうかい科学かがく部会ぶかい理科りか実験じっけん助手じょしゅのための実験じっけん準備じゅんびマニュアル 2004年度ねんどばん実験じっけんへんだい3しょうだい18せつ「プラナリア(ナミウズムシ)の観察かんさつ再生さいせい
  8. ^ Condé Nast PublicationsしゃWIRED JAPAN』(2013ねん8がつ8にち)「記憶きおくのうそとにある? プラナリアの実験じっけんからわかったこと
  9. ^ Shomrat & Levin 2013.
  10. ^ Sluys et al. 2009.
  11. ^ Sluys 1990.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 阿形あがた清和きよかず「プラナリア」『研究けんきゅうしゃおしえる動物どうぶつ飼育しいく だい1かん』(日本にっぽん比較ひかく生理せいりせい学会がっかい共立きょうりつ出版しゅっぱん株式会社かぶしきがいしゃ、2012ねん、58-63ぺーじISBN 978-4320057180 
  • 奥川おくがわ一之かずゆきすけ「12 ひらたがた動物どうぶつ」『日本にっぽん淡水たんすい生物せいぶつがく』(新版しんぱん図鑑ずかんきたたかしかん、1973ねん、205-249ぺーじ全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:69002198 
  • 鏑木かぶらきがい岐雄『岩波いわなみ講座こうざ生物せいぶつがく うずむしるい』(新版しんぱん岩波書店いわなみしょてん、1930ねん全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46078576 
  • Handberg-Thorsager, Mette; Fernandez, Enrique; Salo, Emili (2008). “Stem cells and regeneration in planarians”. Frontiers in bioscience: a journal and virtual library 13: 6374-6394. doi:10.2741/3160. PMID 18508666. 
  • Shomrat, Tal; Levin, Michael (2013). An automated training paradigm reveals long-term memory in planarians and its persistence through head regeneration. 216. pp. 3799-3810. doi:10.1242/jeb.087809. PMID 23821717. 
  • Sluys, Ronald (1990). “A monograph of the Dimarcusidae (Platyhelminthes, Seriata, Tricladida)”. Zoologica Scripta 19 (1): 13-19. doi:10.1111/j.1463-6409.1990.tb00237.x. 
  • Sluys, R.; Kawakatsu, M.; Riutort, M.; Baguna, J. (2009). “A new higher classification of planarian flatworms (Platyhelminthes, Tricladida)”. Journal of Natural History 43 (29-30): 1763-1777. doi:10.1080/00222930902741669. 
  • Sluys, Ronald; Riutort, Marta (2019). “Chapter 1 Planarian Diversity and Phylogeny”. Planarian Regeneration (Jochen C. Rink ed.). Humana Press. pp. 1-56. ISBN 978-1493992898 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]