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ひらたがた動物どうぶつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ひらたがた動物どうぶつもん
Bedford's Flatworm
Pseudobiceros bedfordi
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
うえもん : ひらたがた動物どうぶつじょうもん Platyzoa
もん : ひらたがた動物どうぶつもん Platyhelminthes
学名がくめい
Platyhelminthes Minot, 1876[1]
英名えいめい
Flatworm
つな (伝統でんとうてき分類ぶんるい)

ひらたがた動物どうぶつ(へんけいどうぶつ)とは、ひらたがた動物どうぶつもんPlatyhelminthesぞくする動物どうぶつ総称そうしょうプラナリアヒラムシコウガイビルサナダムシなどがひらたがた動物どうぶつもんぞくする。

ひらたがた」とばれるようにこのもん動物どうぶつたいらなかたちをしている。循環じゅんかん器官きかん特別とくべつ呼吸こきゅう器官きかんってはいない。血管けっかんえらがなく、からだ栄養えいよう酸素さんそはこぶには拡散かくさんたよっている。種類しゅるいによっては細長ほそながくなったりする。ふとくなったり、まるくなったりすることは構造こうぞうじょうほとんど不可能ふかのうである。また、肛門こうもんがない。

左右さゆう相称そうしょうからだ動物どうぶつ(ビラテリア)のなかでは、非常ひじょう原始げんしてき特徴とくちょうっている。うずちゅうつなのものはほとんどが自由じゆう生活せいかつであり、だい部分ぶぶん水中すいちゅう生活せいかつをするが、それ以外いがいつなぞくするものはすべてが寄生きせい生活せいかつであり、からだ構造こうぞう単純たんじゅんいちじるしい。

特徴とくちょう

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左右さゆう相称そうしょうで、前後ぜんご腹背ふくはい区別くべつがある。自由じゆう生活せいかつのものでは、てん平衡へいこう触覚しょっかくなどをそなえた頭部とうぶがあり、内部ないぶには神経しんけいあつまったのう形成けいせいされる。寄生きせい生活せいかつのものではそれらはほとんど退化たいかし、そのわりに吸盤きゅうばんなどからだ固定こていするための器官きかん発達はったつしている。

内部ないぶさん胚葉はいようせいであるが、それ以外いがいさん胚葉はいようせい動物どうぶつとはことなり、そのなか胚葉はいようすじ細胞さいぼうあいだたかし表皮ひょうひ腸管ちょうかんあいだめる状態じょうたいにある。体腔たいこうがないので体腔たいこう動物どうぶつばれる。腸管ちょうかんふくろじょうで、出入口でいりぐち一緒いっしょになっているためくち肛門こうもんおなじである。消化しょうかかんぶんえだして体内たいないひろがり、各部かくぶ消化しょうか吸収きゅうしゅうおこなわれる。ただし、ちょうるいでは消化しょうかかんは腔所として存在そんざいしない。くち内側うちがわ多核たかく細胞さいぼう区別くべつがないごう胞体になっている体内たいないにつながり、ここに食物しょくもつみ、細胞さいぼうない消化しょうかする。なお、吸虫では消化しょうかかんのこっているが、じょうちゅうでは完全かんぜん退化たいかしている。

神経しんけいけい中枢ちゅうすう神経しんけい末梢まっしょう神経しんけい区別くべつでき、また頭部とうぶにはのう形成けいせいされる。そこから後方こうほう左右さゆう一本いっぽんがわ神経しんけい後方こうほうび、ほぼはしごがた神経しんけいけいちかいが、からだぶしてき構造こうぞうがはっきりしないためかごがた神経しんけいけいばれる。

だい部分ぶぶんでは体内たいない受精じゅせいおこなわれ、交尾こうび発達はったつしているものがおおい。生殖せいしょく分裂ぶんれつなどの無性むしょう生殖せいしょく無性むしょう)とたまごなどを有性ゆうせい生殖せいしょく有性ゆうせい)の種類しゅるいがある。たまごは5-8ひきかえり1つのたまごなかたまご細胞さいぼうがいくつかはいっているものもある。また、寄生きせいせいのサナダムシるいや吸虫るいには、幼生ようせいはい形成けいせいなどによって無性むしょうてき増殖ぞうしょくするものがある。うずちゅうつなのものにも分裂ぶんれつ増殖ぞうしょくするたねおおく、それらでは再生さいせい能力のうりょくたかい。

発生はっせい

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螺旋らせんたまごわりうずちゅうつなのものでは、多岐たきちょうるい簡単かんたん幼生ようせいしょうじるものがあり、それらはミュラー幼生ようせいやゲッテ幼生ようせいばれる。繊毛せんもうたいち、肛門こうもんがないてんのぞけばややトロコフォア幼生ようせいる。しかしおおくのものでは直接ちょくせつ発生はっせいおこなわれる。吸虫やじょうちゅうなど寄生きせいせいのものでは、それぞれにかなり特殊とくしゅした幼生ようせいられる。

系統けいとう

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ひらたがた動物どうぶつはら動物どうぶつとともに吸啜動物どうぶつ構成こうせいする[2]伝統でんとうてきうずちゅうつな系統けいとうぐんであり、うずちゅうつなふくめるせつもあったあごこう動物どうぶつちょう動物どうぶつひらたがた動物どうぶつとはべつ系統けいとうぞくする[2][3]ひらたがた動物どうぶつなかではしょうくさりじょうるい初期しょき分岐ぶんきし、これら以外いがいうずむしるいしんかわるい(吸虫るいじょうむしるいたん生類しょうるい)をふく系統けいとうゆう棒状ぼうじょうからだるいとしてまとめられる[2]

ゆう棒状ぼうじょうからだるいでは多食たしょくがたるい初期しょき分岐ぶんきした系統けいとうとされ、つづいて多岐たきちょうるいはらゆう吻頭からなる分岐ぶんきぐんおよびきり咽頭いんとうるいゆう棒状ぼうじょうからだるいからそれぞれかれた[2]。この系統けいとう関係かんけいしたがうと、はらゆう吻頭・きり咽頭いんとうるいからなる卵黄らんおうかわるい系統けいとうぐんということになる[2]のこ系統けいとうについては確実かくじつであるものの、さん岐腸るい・フェカンピアるいはら卵黄らんおうるいからなる分岐ぶんきぐん不透明ふとうめいるいAdiaphanidaとしてまとめられ、その姉妹しまいぐんとしてヒメヒラウズムシとしんかわるいからなる分岐ぶんきぐん位置付いちづけられる[2]

分類ぶんるい

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World Register of Marine Speciesの分類ぶんるい

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World Register of Marine Species (WoRMS, 2022) では以下いかのように分類ぶんるいされている[1]

  • Subphylum Catenulida[4]しょうくさりじょうるい
  • Subphylum Rhabditophora[5]ゆう棒状ぼうじょうからだるい
    • うえつな所属しょぞく不明ふめい
      • Order Bothrioplanida - ヒメヒラウズムシBothrioplana semperiなど
      • Order Fecampiida(フェカンピアるい
      • Order Gnosonesimida(きり咽頭いんとうるい
      • Order Mariplanellida
      • Order Polycladida(多岐たきちょうるい
      • Order Prolecithophora(はら卵黄らんおうるい
      • Order Prorhynchida(はらゆう吻頭)
      • Order Proseriata(はら順列じゅんれつるい
      • Order Rhabdocoela(ぼうちょうるい
      • Order Tricladida(さん岐腸るい
      • Superorder Macrostomorpha[6]多食たしょくがたるい) - 伝統でんとうてき多食たしょくMacrostomidaやたん咽頭いんとうHaplopharingidaとされた分類ぶんるいぐんふく
    • Superclass Neodermata[7]しんかわるい
      • Class Cestoda(じょうむしるい
      • Class Monogenea(たん生類しょうるい
      • Class Trematoda(吸虫るい

伝統でんとうてき分類ぶんるい

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伝統でんとうてき以下いかのようにける。しかし、分子ぶんし系統けいとうほうからはうずちゅうつなたん系統けいとうではないとの指摘してきがある。

じょうちゅうつなたんなまつな・吸虫つなしんかわもんNeodermataとしてまとめることもある[8]

じょうちゅうつな Cestoda

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サナダムシ仲間なかま

たんなまつな Monogenea

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魚介ぎょかいるい寄生虫きせいちゅう以下いかつなとする分類ぶんるいや、3つつなPolystomatoineaをみとめるせつもある[8]たん生類しょうるいたん系統けいとうせいについては議論ぎろんがある[2]古典こてんてきにはたん生類しょうるいじょうむしるい姉妹しまいぐんとするせつもあったが、分子ぶんし系統けいとう解析かいせきによる研究けんきゅうではみとめられていない[8]

吸虫つな Trematoda

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古典こてんてきにはたん生類しょうるいふくめていたが、独立どくりつしたつなとしてあつかわれるようになった[8]

うずちゅうつな Turbellaria

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プラナリアヒラムシコウガイビルなど、自由じゆう生活せいかつ動物どうぶつ

出典しゅってん

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  1. ^ a b WoRMS (2022). Platyhelminthes. Accessed at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=793 on 2022-12-02.
  2. ^ a b c d e f g 柁原かじはらひろし 2018.
  3. ^ 中野なかの裕昭ひろあき 2018.
  4. ^ Tyler, S., Artois, T.; Schilling, S.; Hooge, M.; Bush, L.F. (eds) (2006-2022). World List of turbellarian worms: Acoelomorpha, Catenulida, Rhabditophora. Catenulida. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=2849 on 2022-12-02.
  5. ^ WoRMS (2022). Rhabditophora. Accessed at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=479175 on 2022-12-02.
  6. ^ Tyler, S., Artois, T.; Schilling, S.; Hooge, M.; Bush, L.F. (eds) (2006-2022). World List of turbellarian worms: Acoelomorpha, Catenulida, Rhabditophora. Macrostomorpha. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=479177 on 2022-12-02.
  7. ^ Norenburg, J.; Gibson, R.; Herrera Bachiller, A.; Strand, M. (2022). World Nemertea Database. Neodermata. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=853123 on 2022-12-02.
  8. ^ a b c d 新田にったじん日本にっぽんさん魚類ぎょるい寄生きせいするたん吸盤きゅうばんつなたんなまつなひらたがた動物どうぶつもん)の多様たようせい」『タクサ:日本にっぽん動物どうぶつ分類ぶんるい学会がっかいだい43かんごう)、日本にっぽん動物どうぶつ分類ぶんるい学会がっかい、2017ねん、11-29ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 川勝かわかつただし冶「日本にっぽんさんうずむしるい文献ぶんけん目録もくろく (1987):外国がいこくさんうずむしるいかんする邦人ほうじん著作ちょさくふく」『藤女子大学ふじじょしだいがく藤女子短期大学ふじじょしたんきだいがく紀要きよう だいIIだい26かん藤女子大学ふじじょしだいがく、1988ねん、25-38ぺーじ 
  • 柁原かじはらひろし ちょはら動物どうぶつひらたがた動物どうぶつあごこう動物どうぶつほろあご動物どうぶつ輪形りんけい動物どうぶつひもがた動物どうぶつ――人目ひとめれないマイナー分類ぶんるいぐん」、日本にっぽん動物どうぶつ学会がっかい へん動物どうぶつがく百科ひゃっか事典じてん丸善まるぜん出版しゅっぱん、2018ねん、62-63ぺーじISBN 978-4-621-30309-2 
  • 中野なかの裕昭ひろあき ちょちんちょうがた動物どうぶつ――左右さゆう相称そうしょう動物どうぶつ祖先そせんせまる?」、日本にっぽん動物どうぶつ学会がっかい へん動物どうぶつがく百科ひゃっか事典じてん丸善まるぜん出版しゅっぱん、2018ねん、86-87ぺーじISBN 978-4-621-30309-2 

外部がいぶリンク

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  • 日本にっぽん分類ぶんるい学会がっかい連合れんごう (2003). “だい1かい日本にっぽんさん生物せいぶつしゅすう調査ちょうさ”. http://ujssb.org/biospnum/search.php. 2022ねん12月2にち閲覧えつらん
  • 多留たる聖典せいてん田中たなかただしあつし (2022). “ひらたがた動物どうぶつもん”. in 岡山おかやまけん環境かんきょう文化ぶんか自然しぜん環境かんきょう岡山おかやまけん野生やせい生物せいぶつ目録もくろく2019」(Ver1-3:2022ねん6がつ14にち更新こうしん)、2022ねん12月2にち閲覧えつらん