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視床ししょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
のう: 視床ししょう
視床ししょうのう表面ひょうめん関係かんけいしめしたしき
赤色あかいろしめ領域りょういき視床ししょう
ヒトのうMRI じょう断面だんめんぞう視床ししょう矢印やじるし
名称めいしょう
日本語にほんご 視床ししょう
英語えいご (dorsal) thalamus
ラテン語らてんご thalamus (dorsalis)
略号りゃくごう Thal, Th
関連かんれん構造こうぞう
上位じょうい構造こうぞう あいだのうぜんのう広義こうぎ脳幹のうかん
画像がぞう
アナトモグラフィー さん次元じげんCG
Digital Anatomist 内側うちがわ
視床ししょう
脳神経のうしんけい
脳幹のうかん後方こうほう
脳幹のうかん後方こうほう
上方かみがた
大脳だいのうパーツ
海馬かいばさい/のうゆみ
放線ほうせん
冠状かんじょうだん海馬かいば
冠状かんじょうだん視床ししょう
冠状かんじょうだんあしあいだ窩)
冠状かんじょうだんくろしつ
水平すいへいだん海馬かいばさい/のうゆみ
水平すいへいだん上丘かみおか
じょうだん
はたじょうだん
はたじょうだん
関連かんれん情報じょうほう
IBVD 体積たいせき面積めんせき
Brede Database 階層かいそう関係かんけい座標ざひょう情報じょうほう
NeuroNames 関連かんれん情報じょうほう一覧いちらん
NIF 総合そうごう検索けんさく
MeSH Thalamus
グレイ解剖かいぼうがく 書籍しょせきちゅう説明せつめい英語えいご
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視床ししょう(ししょう、えい: thalamus)は、のう構造こうぞうのうち、あいだのう一部いちぶめる部位ぶい。また、広義こうぎ脳幹のうかんさい吻側たる。 嗅覚きゅうかくのぞき、視覚しかく聴覚ちょうかくからだせい感覚かんかくなどの感覚かんかく入力にゅうりょく大脳だいのうしん皮質ひしつ中継ちゅうけいする重要じゅうよう役割やくわりになう。

解剖かいぼうがくてき区分くぶん

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広義こうぎ視床ししょうがわ視床ししょう (dorsal thalamus) 、はらがわ視床ししょう (ventral thalamus) に区分くぶんされるが、通常つうじょう視床ししょう」とった場合ばあいにはこのうちがわ視床ししょうしていることがほとんどであり、狭義きょうぎ視床ししょうはほぼがわ視床ししょうひとしい。例外れいがいとして、Nieuwenhuysらの定義ていぎでは、外側そとがわひざじょうかくおよび内側うちがわひざじょうかく厳密げんみつにはがわ視床ししょうではなく視床ししょう後部こうぶ (metathalamus) にふくめられる[1]が、一般いっぱんには狭義きょうぎ視床ししょうくわえられることがおおい。またはらがわ視床ししょうのうち視床ししょうもうさまかくは、がわ視床ししょうとの関係かんけいみつであるため、便宜べんぎてき狭義きょうぎ視床ししょうくわえられることもしばしばである。これだけでもあきらかなように、研究けんきゅうしゃによって視床ししょうかくぐん分類ぶんるいほうことなっていることもあり注意ちゅういようするが、一般いっぱんてき用法ようほうにおける(狭義きょうぎの)視床ししょうは、「がわ視床ししょう」「視床ししょう後部こうぶ」(ときに「視床ししょうもうさまかく」も)をわせたものをす。

視床ししょうは、分類ぶんるいにもよるが 20 あまりの視床ししょうかく (thalamic subnuclei) へと解剖かいぼうがくてき分類ぶんるいされ、入出力にゅうしゅつりょくことなっており、それぞれことなった機能きのうになっているとかんがえられている。 これらのかくはアルファベットの略称りゃくしょうばれることもおおい。

外側そとがわかく

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ヒトのみぎ視床ししょうふくまれるかく (外側そとがわかく)
Ventral posterior (VP) complex
以下いかの VPL, VPM, VPI の 3 つのかくからなり、からだせい感覚かんかく情報じょうほう大脳皮質だいのうひしつからだせい感覚かんかくへと中継ちゅうけいしている。
こう外側そとがわはらがわかく (VPL)
こう内側うちがわはらがわかく (VPM)
Ventral posterior inferior (VPI) nucleus
外側そとがわはらがわかく (VL)
小脳しょうのうかくからのグルタミン酸ぐるたみんさん入力にゅうりょく (およびあわあおだまくろしつ からのGABA入力にゅうりょく)をけ、おも運動うんどうせい大脳皮質だいのうひしつへと投射とうしゃしている。 大脳皮質だいのうひしつとは内側うちがわから外側そとがわにかけてじゅんぜん運動うんどう皮質ひしつから運動うんどう皮質ひしつへつらなる対応たいおうがある。
ぜんはらがわかく (VA)
大脳だいのう基底きていかく出力しゅつりょくであるくろしつあみさまあわあおいたまないぶしからのGABAせい入力にゅうりょくつよける。おも運動うんどうせい大脳皮質だいのうひしつへと投射とうしゃしている。
内側うちがわはらがわかく (VM)
細胞さいぼうはまばらであり、ミエリンさやをもつ神経しんけいたばおおられる[よう出典しゅってん]

VL, VA, VMは小脳しょうのう大脳だいのう基底きていかくからおおくの入力にゅうりょくけ、また大脳皮質だいのうひしつ運動うんどう関連かんれん領野りょうや結合けつごうをもつことから、「運動うんどうせい視床ししょうかく motor thalamus/motor thalamic nuclei」と総称そうしょうされることがおおい。VL, VA, VMにかんする上記じょうき区分くぶんは、きわめて大雑把おおざっぱであり正確せいかくとはえない。ヒト以外いがい霊長れいちょうるいにおいては、VApc、VAmc, VLmはくろしつもうさまから、VLoはあわあおだまからのGABA作動さどうせい入力にゅうりょくけ、Area X, VLc, VLps、VPLoが深部しんぶ小脳しょうのうかくからのグルタミン酸ぐるたみんさん作動さどうせい入力にゅうりょくけるとされることがおお[2]。ところが歴史れきしてき経緯けいいから、ヒトでは、サルとはべつ解剖かいぼうがくてき区分くぶんおよび名称めいしょう[3]もちいられることがおおく、命名めいめいほう混乱こんらんられるので、とく注意ちゅういようする[4]

内側うちがわかく

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ヒトのみぎ視床ししょうふくまれるかく (内側うちがわかく)
視床ししょうずいいたないかくぐん (intralaminar nuclei, IL)
じくさく繊維せんいあつまったはくただしであるずいばんなかに、しまのようにかんでいる視床ししょうかくぐんである。
内側うちがわ中心ちゅうしんかく (central medial nucleus, CM)
正中せいちゅう中心ちゅうしんかくとはべつかくである。
たばはたかく (parafascicular nucleus, Pf)
はんこごめたば(fasciculus retroflexus, 手綱たづなあしあいだかく)をかこむように存在そんざいするためにこのがある。正中せいちゅう中心ちゅうしんかくとともに視床ししょう線条せんじょうたい投射とうしゃしゅたる起源きげんのひとつとされる(CM-Pf ふく合体がったい)。
外側そとがわ中心ちゅうしんかく (central lateral nucleus, CL)
以下いかの MD をかこむようにして存在そんざいする。
中心ちゅうしんはたかく(paracentral nucleus, PC)
正中せいちゅう中心ちゅうしんかく (centromedian nucleus, CeMあるいはCM)
「サントロメディアン」とフランス語ふらんすごしきむ。内側うちがわ中心ちゅうしんかく混同こんどうされやすいがべつかくである。げっるいには存在そんざいしない。たばはたかくともに、視床ししょう線条せんじょうたい投射とうしゃしゅたる起源きげんのひとつとされる(CM-Pf ふく合体がったい)。
内側うちがわかく (mediodorsal nucleus, MD)
しゅとして前頭葉ぜんとうよう皮質ひしつ投射とうしゃしている。 おそらくいたみの刺激しげき伝達でんたつしている。 内側うちがわから外側そとがわかって、前頭まえがしら前野まえのぜんはしから後部こうぶへの投射とうしゃをもつことがサルで確認かくにんされている。
せい中核ちゅうかくぐん (midline nculei)
正中せいちゅうせんじょう位置いちする視床ししょうかくぐんである。
しつはたかく(しつぼうかく、paraventricular nucleus, Pv
視床ししょう下部かぶにもしつはたかく存在そんざいするが別物べつものである。
結合けつごうかく(けつごうかく、Reuniens nucleus = Medioventral (MV) nucleus
菱形ひしがたかく(りょうけいかく、Rhomboid nucleus
ひもはたかく(ちゅうぼうかく、Paratenial nucleus

後部こうぶかく

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Limitans (Li) nucleus
Suprageniculate (Sg) nucleus
Posterior (Po) nucleus
こう外側そとがわかく (LP)
しゅとして皮質ひしつあいだ中継ちゅうけいおこなう。 VA, VL が投射とうしゃしたさき皮質ひしつからぎゃくきの投射とうしゃけている。
視床ししょうまくら (Pul)
LP と同様どうように VA, VL の投射とうしゃさきからぎゃくきの投射とうしゃけ、皮質ひしつあいだ中継ちゅうけいおこなっている。 前部ぜんぶ (PuA)、後部こうぶ (PuI)、外側そとがわ (PuL)、内側うちがわ (PuM) の 4 つに細分さいぶんされることがある。げっるいには存在そんざいしない。
外側そとがわひざじょうからだ (lateral geniculate nucleus, lateral geniculate body, LG, LGN, LGB)
網膜もうまくからの視覚しかく情報じょうほうこうあたまいち視覚しかく (V1) へ中継ちゅうけいおこなっている。 6 つのそうがはっきりみとめられる。分類ぶんるいほうによっては厳密げんみつには視床ししょう後部こうぶぞくする[1]が、視床ししょう一部いちぶとして通常つうじょうあつかわれる。
内側うちがわひざじょうたい (medial geniculate nucleus, medial geniculate body, MG, MGN, MGB)
聴覚ちょうかく情報じょうほうがわあたま聴覚ちょうかくおくる。分類ぶんるいほうによっては厳密げんみつには視床ししょう後部こうぶぞくする[1]が、視床ししょう一部いちぶとして通常つうじょうあつかわれる。

前部ぜんぶかく

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AV, AM, AD は両側りょうがわ乳頭にゅうとうたい海馬かいばから主要しゅよう投射とうしゃけ、帯状おびじょうかいからも投射とうしゃけている。 しゅたる出力しゅつりょく大脳だいのうえんけいかう。

Anteroventral (AV) nucleus
Anteromedial (AM) nucleus
Anterodorsal (AD) nucleus
外側そとがわかく (LD)

はらがわ視床ししょう

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はらがわ視床ししょう (subthalamus en) は狭義きょうぎ視床ししょうがわ視床ししょう)のはらがわ隣接りんせつし、視床ししょう下部かぶがわ隣接りんせつする領域りょういきである。

視床ししょうもうさまかく (R, TRN, thalamic reticular nucleus)
視床ししょうおおうように存在そんざいする。厳密げんみつにはがわ視床ししょう狭義きょうぎ視床ししょう)ではなくはらがわ視床ししょうぞくするので注意ちゅういようする。もうさまかくのニューロンはそのほぼすべてがGABA作動さどうせいニューロンであり、(がわ視床ししょうのニューロンがだい多数たすうグルタミン酸ぐるたみんさん作動さどうせい投射とうしゃニューロン少数しょうすうのGABA作動さどうせいインターニューロンとで構成こうせいされているのとおおきくことなる。視床ししょう投射とうしゃニューロンのじくさくはほとんど例外れいがいなく、視床ししょうなかではほとんどじくさくがわえだたないが、視床ししょうさいあみさまかくじくさくがわえだす。また大脳皮質だいのうひしつから視床ししょうへのグルタミン酸ぐるたみんさん作動さどうせい入力にゅうりょく繊維せんいも、視床ししょうはいときにほぼ例外れいがいなくもうさまかくじくさくがわえだす。もうさまかくのGABAニューロンはそのじくさく視床ししょうなかばし、視床ししょう投射とうしゃニューロンを抑制よくせいしている。このようにあみさまかく概念がいねんじょう視床ししょう一部いちぶではないが非常ひじょう密接みっせつ連絡れんらく関係かんけいにあるために、がわ視床ししょう一緒いっしょあつかわれることがおおい。
かくたい (zone incerta)
通常つうじょう狭義きょうぎの「視床ししょう」にはふくまれない。
視床ししょうかく (subthalamic nucleus)
通常つうじょう狭義きょうぎの「視床ししょう」にはふくまれない。大脳だいのう基底きていかく間接かんせつ構成こうせい要素ようそであり、グルタミン酸ぐるたみんさん作動さどうせい興奮こうふんせいニューロンをふくみ、近年きんねんではのう深部しんぶ刺激しげき療法りょうほうによるパーキンソンびょう治療ちりょうにおける電気でんき刺激しげき部位ぶいとして臨床りんしょうてき重要じゅうようたかい。
外側そとがわひざじょうからだはら側部そくぶ
がわ視床ししょうではなく、はらがわ視床ししょうふくまれることがある。外側そとがわひざじょうからだ側部そくぶとはことなり大脳皮質だいのうひしつ投射とうしゃしない。

そのかく分類ぶんるい

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特殊とくしゅかく特殊とくしゅかく

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視床ししょうかくを、特殊とくしゅかく(specific nuclei)と特殊とくしゅかく (non-specific nuclei)の2ぐん分類ぶんるいするかんがかたがある。[よう出典しゅってん]

  • いち中継ちゅうけいかく
  • 連合れんごうかく

画像がぞう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c Rudolf Nieuwenhuys, Jan Voogd, Christiaan Van Huijzen ちょ水野みずの のぼる, いわほり 修明のぶあき, 中村なかむら やすしなお わけ図説ずせつ中枢ちゅうすう神経しんけいけい The Human Central Nervous System』医学書院いがくしょいん、1991ねんISBN 426011753X 
  2. ^ Olszewski, J (1952). The thalamus of the Macaca mulatta: anatlas for use with the stereotaxic instrument. Karger. ISBN 978-3-8055-0958-9 
  3. ^ Hassler, R (1959). “Anatomy of the thalamus”. In Schaltenbrand G, Bailey P. Introduction to streotaxis with an atlas of the human brain. Thieme 
  4. ^ Jones EG (2007). The thalamus 2nd edition. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 978-0521858816 

関連かんれん文献ぶんけん

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日本語にほんごのオープンアクセス文献ぶんけん

  • よしみ直樹なおき視床ししょう機能きのうとその臨床りんしょう応用おうよう」『関西かんさい理学りがく療法りょうほうだい6かん関西かんさい理学りがく療法りょうほう学会がっかい、2006ねん、47-49ぺーじdoi:10.11354/jkpt.6.47 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • 視床ししょう - 慶應けいおう医学部いがくぶ解剖かいぼうがく教室きょうしつ 船戸ふなと和弥かずや
  • Thalamus 英語えいご - スカラーペディア百科ひゃっか事典じてん視床ししょう」の項目こうもく
  • Models of thalamocortical system 英語えいご - どう視床ししょう皮質ひしつけいのモデル」の項目こうもく