右 みぎ 大脳 だいのう 半球 はんきゅう の内側 うちがわ 面 めん 。紫色 むらさきいろ の部分 ぶぶん が内側 うちがわ 前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 。上側 うわがわ が前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 内 ない 側部 そくぶ 、下 した 側 がわ が前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 腹 はら 内 ない 側部 そくぶ と表記 ひょうき されている。
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ (ぜんとうぜんひしつ、英 えい : prefrontal cortex 、PFC )は、脳 のう にある前頭葉 ぜんとうよう の前側 まえがわ の領域 りょういき で、一 いち 次 じ 運動 うんどう 野 の と前 ぜん 運動 うんどう 野 の の前 まえ に存在 そんざい する。前頭 まえがしら 連合 れんごう 野 の 、前頭 まえがしら 前野 まえの 、前頭 まえがしら 顆粒 かりゅう 皮質 ひしつ とも呼 よ ばれる。
細胞 さいぼう 構築 こうちく 学 がく 的 てき 観点 かんてん から、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ は (前 ぜん 運動 うんどう 野 の の無 む 顆粒 かりゅう (agranular) 細胞 さいぼう 層 そう と違 ちが い) 内 ない 顆粒 かりゅう 層 そう (internal granular layer) Ⅳ層 そう の存在 そんざい する領域 りょういき として定義 ていぎ される。前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ は様々 さまざま な分類 ぶんるい 方法 ほうほう でいくつかの下位 かい 領域 りょういき に分 わ けられるが、代表 だいひょう 的 てき な分 わ け方 かた として以下 いか の3領域 りょういき に分類 ぶんるい するものがある。
それ以外 いがい の区別 くべつ 可能 かのう な領域 りょういき として、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 腹 はら 外 がい 側部 そくぶ (vl-PFC)、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 内 ない 側部 そくぶ (m-PFC)、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ 前部 ぜんぶ (a-PFC)がある。
この脳 のう 領域 りょういき は複雑 ふくざつ な認知 にんち 行動 こうどう の計画 けいかく 、人格 じんかく の発現 はつげん 、適切 てきせつ な社会 しゃかい 的 てき 行動 こうどう の調節 ちょうせつ に関 かか わっているとされている。この脳 のう 領域 りょういき の基本 きほん 的 てき な活動 かつどう は、自身 じしん の内的 ないてき ゴールに従 したが って、考 かんが えや行動 こうどう を編成 へんせい することにあると考 かんが えられる。
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ による機能 きのう を表 あらわ す最 もっと も典型 てんけい 的 てき な用語 ようご として、実行 じっこう 機能 きのう (executive function) がある。実行 じっこう 機能 きのう は対立 たいりつ する考 かんが えを区別 くべつ する能力 のうりょく の他 ほか 、現在 げんざい の行動 こうどう によってどのような未来 みらい の結果 けっか が生 しょう じるかを決定 けってい する能力 のうりょく 、確定 かくてい したゴールへの行動 こうどう 、成果 せいか の予測 よそく 、行動 こうどう に基 もと づく期待 きたい 、社会 しゃかい 的 てき な"コントロール" (もし行 い ってしまったら、社会 しゃかい 的 てき に容認 ようにん できないような結果 けっか を引 ひ き起 お こすような衝動 しょうどう を抑制 よくせい する能力 のうりょく )に関係 かんけい している。前頭 まえがしら 前野 まえの の異常 いじょう は、ADHD などの実行 じっこう 機能 きのう 障害 しょうがい を示 しめ す。多 おお くの研究 けんきゅう 者 しゃ は、人々 ひとびと の個性 こせい と前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の機能 きのう との間 あいだ には欠 か かすことの出来 でき ない繋 つな がりがあると考 かんが えている。
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ は脳幹 のうかん の網 あみ 様 さま 体 たい 賦活 ふかつ 系 けい (RAS : Reticular Activating System) と、大脳 だいのう 辺 べ 縁 えん 系 けい の両方 りょうほう との間 あいだ に強 つよ い相互 そうご 接続 せつぞく が存在 そんざい する。その結果 けっか 、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の中枢 ちゅうすう は高 こう レベルの覚醒 かくせい (alertness) に強 つよ く依存 いぞん する他 ほか 、喜 よろこ び、痛 いた み、怒 いか り、激情 げきじょう 、パニック、闘争 とうそう 応答 おうとう (闘争 とうそう -逃走 とうそう -硬直 こうちょく 応答 おうとう (fight-flight-freeze responses)) や基本 きほん 的 てき な性的 せいてき 応答 おうとう を司 つかさど る脳 のう の深部 しんぶ 構造 こうぞう との情動 じょうどう に関 かん する経路 けいろ にも強 つよ く依存 いぞん している。
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の機能 きのう に関 かん する影響 えいきょう 力 りょく の大 おお きい臨床 りんしょう 例 れい としてフィニアス・ゲージ のものがある。彼 かれ の人格 じんかく は1848年 ねん の事故 じこ により、片側 かたがわ 、もしくは両側 りょうがわ の前頭葉 ぜんとうよう が破壊 はかい されたことによって一変 いっぺん してしまった。ゲージは正常 せいじょう な記憶 きおく 、言語 げんご 、運動 うんどう 能力 のうりょく を保 たも っているが、彼 かれ の人格 じんかく は大 おお きく変化 へんか してしまったと一般 いっぱん 的 てき に報告 ほうこく されている[2] 。彼 かれ は以前 いぜん には見 み られなかったような怒 いか りっぽく、気分 きぶん 屋 や で、短気 たんき な性格 せいかく になり、彼 かれ の友人 ゆうじん はすっかり変 か わってしまった彼 かれ を"もはやゲージではない。"と述 の べた。彼 かれ は以前 いぜん には優秀 ゆうしゅう な労働 ろうどう 者 しゃ であったが、事故 じこ の後 のち には始 はじ めた複数 ふくすう の作業 さぎょう を遂行 すいこう することが不可能 ふかのう になってしまった。しかし、一 いち 次 じ 資料 しりょう の綿密 めんみつ な調査 ちょうさ によって、ゲージの心理 しんり 的 てき な変化 へんか に関 かん する描写 びょうしゃ は多 おお くの場合 ばあい 誇張 こちょう されたものであることが分 わ かっている。彼 かれ の死 し の数 すう 年 ねん 後 ご に記述 きじゅつ されている彼 かれ の人格 じんかく の変化 へんか の最 もっと も顕著 けんちょ な特徴 とくちょう は、彼 かれ の生前 せいぜん に報告 ほうこく されたものよりも格段 かくだん にドラマティックなものになっている[3] 。
後 のち に続 つづ く前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の損傷 そんしょう 患者 かんじゃ の研究 けんきゅう によって、ある状況 じょうきょう における最 もっと も適切 てきせつ な社会 しゃかい 的 てき 応答 おうとう を患者 かんじゃ は言語 げんご 化 か できることが示 しめ されている。しかし、実際 じっさい に行動 こうどう する際 さい には、その行動 こうどう が長期 ちょうき 的 てき には自己 じこ に不利益 ふりえき になると分 わ かっているにもかかわらず、短期 たんき 的 てき な満足 まんぞく 感 かん へと志向 しこう した行動 こうどう を取 と ってしまう。
このデータの解釈 かいしゃく から示唆 しさ されることとして、最終 さいしゅう 的 てき な成果 せいか を比較 ひかく 、理解 りかい する能力 のうりょく だけではなく、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ には、より報酬 ほうしゅう を得 え ることのできる長期 ちょうき 的 てき に満足 まんぞく のいく結果 けっか を得 え るために短期 たんき 的 てき な満足 まんぞく 感 かん を先送 さきおく りにするという選択肢 せんたくし を制御 せいぎょ する能力 のうりょく を持 も っている。この報酬 ほうしゅう を待 ま つ能力 のうりょく は、ヒトの脳 のう の持 も つ最適 さいてき な実行 じっこう 機能 きのう を定義 ていぎ する重要 じゅうよう な要素 ようそ の1つである。
神経 しんけい 学 がく 的 てき な障害 しょうがい における前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の役割 やくわり を理解 りかい するための研究 けんきゅう は現在 げんざい 、数多 かずおお く存在 そんざい する。統合 とうごう 失調 しっちょう 症 しょう や双極 そうきょく 性 せい 障害 しょうがい 、ADHD などの多 おお くの障害 しょうがい や病気 びょうき が前頭 まえがしら 皮質 ひしつ の機能 きのう 障害 しょうがい と関係 かんけい していると考 かんが えられており、この脳 のう に対 たい する考 かんが えから、このような病気 びょうき の新 あたら しい治療 ちりょう 法 ほう の可能 かのう 性 せい が生 う まれている。α あるふぁ 2A アドレナリン受容 じゅよう 体 たい を介 かい して作用 さよう するグアンファシン を含 ふく む、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の機能 きのう を向上 こうじょう させる作用 さよう を持 も ったいくつかの薬品 やくひん の臨床 りんしょう 試験 しけん が始 はじ まっている。慢性 まんせい 的 てき なストレスは、学習 がくしゅう をコントロールする前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の萎縮 いしゅく を引 ひ き起 お こす可能 かのう 性 せい があるので、腹式呼吸 ふくしきこきゅう で深呼吸 しんこきゅう をし、物事 ものごと がうまくいかなくても、少 すく なくとも今 いま は大丈夫 だいじょうぶ 、他 た のアプローチがうまくいくかもしれないと自分 じぶん にい聞 いき かせること[4] 。
最近 さいきん の数 すう 十 じゅう 年 ねん において、脳 のう 機能 きのう イメージング手法 しゅほう が脳 のう の領域 りょういき の大 おお きさや神経 しんけい 結合 けつごう を決定 けってい するために用 もち いられている。いくつかの研究 けんきゅう において、うつ病 びょう の人 ひと やストレスにさらされ続 つづ けている人 ひと [5] 、自殺 じさつ した人 ひと [6] 、投獄 とうごく された犯罪 はんざい 者 しゃ 、社会 しゃかい 病 びょう 質 しつ 者 しゃ (sociopath) 、薬物 やくぶつ 中毒 ちゅうどく 者 しゃ などの人々 ひとびと において前頭葉 ぜんとうよう の体積 たいせき や他 た の脳 のう 領域 りょういき との相互 そうご 接続 せつぞく が減少 げんしょう していることが示唆 しさ されている。
また、ヒトの前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の脳 のう に占 し める割合 わりあい は他 た 動物 どうぶつ に比 くら べてはるかに大 おお きいことから、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の大 おお きさや結合 けつごう の強 つよ さが直感 ちょっかん (sentience) と直接 ちょくせつ 関係 かんけい していると広 ひろ く考 かんが えられている。加 くわ えて、500万 まん 年 ねん もの間 あいだ のヒトの進化 しんか において脳 のう の大 おお きさが3倍 ばい になった際 さい 、前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ の大 おお きさは6倍 ばい になっている。
^ Contributions of the prefrontal cortex to the neur...[Neurosci Biobehav Rev. 2002] - PubMed Result
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前頭葉 ぜんとうよう
上前 うわまえ 頭 あたま 回 かい /前頭 まえがしら 眼 め 野 の (en ) (6, 8, 9), 中 ちゅう 前頭 まえがしら 回 かい (46), 下 しも 前頭 まえがしら 回 かい /ブローカ野 の (44-弁 べん 蓋 ぶた 部 ぶ , 45-三角 さんかく 部 ぶ , 眼窩 がんか 部 ぶ )
中心 ちゅうしん 前回 ぜんかい (一 いち 次 じ 運動 うんどう 野 の , 4)
直 ちょく 回 かい , 眼窩 がんか 回 かい /眼窩 がんか 前頭 まえがしら 皮質 ひしつ (10,11,12,47), 前 ぜん 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ
前頭 まえがしら 前 ぜん 皮質 ひしつ , 前 ぜん 運動 うんどう 野 の (en ) , 前頭 まえがしら 極 きょく
中心 ちゅうしん 前 ぜん 溝 みぞ - 上前 うわまえ 頭 あたま 溝 みぞ - 下 しも 前頭 まえがしら 溝 みぞ - 嗅溝 - 眼窩 がんか 溝 みぞ - 中心 ちゅうしん 傍 はた 溝 みぞ
頭頂 とうちょう 葉 は
中心 ちゅうしん 後 ご 回 かい , 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (一 いち 次 じ 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (1, 2, 3,43), 二 に 次 じ 体 からだ 性 せい 感覚 かんかく 野 の (en ) (5)), 楔 くさび 前部 ぜんぶ (7m) - 頭頂 とうちょう 弁 べん 蓋 ぶた (en )
頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (上 うえ 頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (7l), 下 しも 頭頂 とうちょう 小 しょう 葉 は (40)), 縁 えん 上 じょう 回 かい (40), 角 かく 回 かい (39)
中心 ちゅうしん 後 ご 溝 みぞ , 頭頂 とうちょう 間 あいだ 溝 みぞ , 縁 えん 溝 みぞ
後 こう 頭 あたま 葉 は 側 がわ 頭 あたま 葉 は (外 そと ・下 した )辺 あたり 縁 えん 皮質 ひしつ ・島 しま 皮質 ひしつ
島 しま 皮質 ひしつ
帯状 おびじょう 回 かい : 膝 ひざ 下野 げや (en ) (25), 前 ぜん 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ (24,32,33), 後 こう 帯状 おびじょう 皮質 ひしつ (23,31), 脳 のう 梁 はり 膨大 ぼうだい 後部 こうぶ 皮質 ひしつ (26,29,30)
海馬 かいば 傍 はた 回 かい (27,28,34,35,36), 海馬 かいば 鉤 かぎ , 海馬 かいば 体 たい ,(扁 ひらた 桃 もも 体 たい の一部 いちぶ )
※ 内側 うちがわ 側 がわ 頭 あたま 葉 ば など他 た の脳 のう 葉 は に含 ふく めて扱 あつか われることもある。
脳 のう 葉 は 間 あいだ の脳 のう 溝 みぞ など白 はく 質 ただし その他 た
いくつかの領域 りょういき 分 わ けは大 おお まかなものになっている。
カッコ内 ない の番号 ばんごう はブロードマンの脳 のう 地図 ちず における番号 ばんごう である。また、ブロードマンの脳 のう 地図 ちず における領域 りょういき のいくつかは複数 ふくすう の脳 のう 回 かい にまたがっている。