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眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのうは、認知にんち地図ちず構成こうせいであり、それはステート空間くうかんにおいてステートを表現ひょうげんすることで可能かのうとなる。それぞれのステートは観測かんそく可能かのう情報じょうほう感覚かんかく行動こうどう)と、観測かんそく不能ふのう情報じょうほう記憶きおく推論すいろんからみちびいた情報じょうほうで、しばしば価値かち情報じょうほうともなう)を統合とうごうすることで表現ひょうげんされる。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ前頭まえがしら眼窩がんか前頭まえがしら前野まえの眼窩がんか(がんかぜんとうひしつ、ぜんとうがんかや、ぜんとうぜんやがんかぶ えい: orbitofrontal cortex, OFC orbital prefrontal cortex, oPFC)は、のう前頭まえがしら前野まえのはらがわ表面ひょうめん[1]で、意思いし決定けってい重要じゅうよう役割やくわりたす[2]

機能きのう

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眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ多彩たさい役割やくわり要約ようやくすると、意思いし決定けってい基盤きばんとなる認知にんち地図ちず構成こうせいすることである。認知にんち地図ちず構成こうせい観測かんそく可能かのう情報じょうほう観測かんそく不能ふのう情報じょうほう統合とうごうして推論すいろんおこない、ステートばれるあるしゅ状態じょうたい表現ひょうげんすることによって可能かのうとなる[1]観測かんそく可能かのう情報じょうほうは、現在げんざい感覚かんかく入力にゅうりょくみずからの行動こうどうである。観測かんそく不能ふのう情報じょうほうは、直接的ちょくせつてき経験けいけんやモデルベースの推論すいろんによってられる情報じょうほうである。部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのう環境かんきょう情報じょうほうにはしばしば、価値かち情報じょうほうともなう。[3]

ヒトにおける眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ役割やくわり

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眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはヒトののうなかでももっと理解りかいすすんでいない領域りょういきである。しかし、この領域りょういきは、感覚かんかく情報じょうほう記憶きおく情報じょうほう統合とうごう強化きょうか (reinforcer) の感情かんじょう (affective value) の表現ひょうげん意思いし決定けってい期待きたい関連かんれんしているというかんがえが提唱ていしょうされている[4]とくに、ヒトの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ報酬ほうしゅうばったいする感受性かんじゅせい関連かんれんした行動こうどう計画けいかく制御せいぎょしているとかんがえられている[5]。このことはヒトやヒト霊長れいちょうるいげっるい研究けんきゅうから支持しじされている。

ヒトの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつでは主観しゅかんてき快楽かいらくせい経験けいけん仲介ちゅうかいする役割やくわりっているというせつ存在そんざいする [4]

ヒトにおける眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょう

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後天こうてんせいのう損傷そんしょう (ABI : Acquired Brain Injury) による眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうは、一般いっぱんてきにあるしゅだつ抑制よくせい行動こうどうこす。たとえば、過度かど悪態あくたいをつく、性欲せいよく過多かた社会しゃかいてき対話たいわ欠如けつじょ賭博とばくへの衝動しょうどう、アルコール、煙草たばこ薬物やくぶつ摂取せっしゅ過多かた共感きょうかん能力のうりょく欠如けつじょなどがきる。あるしゅるい前頭まえがしらがわあたまがた認知にんちしょう (frontotemporal dementia) 患者かんじゃだつ抑制よくせい行動こうどう眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ変性へんせい原因げんいんであるとされている[6]眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうけた患者かんじゃは、衝動しょうどうてき決断けつだんや、経済けいざい感覚かんかく欠如けつじょなどの症状しょうじょうきる。

健常けんじょうしゃたいするのう機能きのうイメージング研究けんきゅう

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ヒトの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ活動かつどう画像がぞうするために機能きのうてきかく磁気じき共鳴きょうめい画像がぞうほう (fMRI) をもちいることは、この領域りょういきふく鼻腔びこうちかいことにより困難こんなんなものとなる。ふく鼻腔びこうには空気くうきまっており、こう磁場じばでのエコープラナー撮像さつぞうほう (EPI) の使用しよう信号しんごう欠損けっそんや、画像がぞうゆがみ、磁化じかりつアーティファクトなどが発生はっせいしやすくなるためである。そのため、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからしつのよい信号しんごうるには特別とくべつ注意ちゅうい必要ひつようとされ、様々さまざま手法しゅほうもちいられている。(たとえば、こうしず磁場じばにおける自動じどうシミング[7]など)

発表はっぴょうされたのう機能きのうイメージング研究けんきゅうによると、報酬ほうしゅう価値かち予測よそくされた報酬ほうしゅう価値かち、さらにはもの強化きょうかたいする主観しゅかんてきよろこびの度合どあいまでもが、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ表現ひょうげんされている。だい規模きぼのう機能きのうイメージング研究けんきゅうメタアナリシスにより、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ内側うちがわ強化きょうか報酬ほうしゅう価値かちのモニタリング、学習がくしゅう記憶きおく関係かんけいし、外側そとがわばち評価ひょうか関係かんけいすることで、現在げんざいおこなっている行動こうどう変化へんかこすことがしめされている[8]同様どうように、前後ぜんご方向ほうこう強化きょうか複雑ふくざつせい抽象ちゅうしょうせい表現ひょうげんされていて、味覚みかくなどの複雑ふくざつせいひく強化きょうかよりも、金銭きんせん収支しゅうしのようなより複雑ふくざつ抽象ちゅうしょうてき強化きょうかたいして、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのより前方ぜんぽう活動かつどうする。

ラットにおける眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう抑制よくせい実験じっけんからかった機能きのう局在きょくざい

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Reversal learning:逆転ぎゃくてん学習がくしゅう Strategy and set shifting:戦略せんりゃく変更へんこう Unobservable/uncertain outcome encoding:観測かんそく不能ふのう確実かくじつ成果せいかのコード Delay discounting:時間じかん割引わりびき Outcome prediction and confidence:成果せいか予測よそく自信じしん Reinforcer devaluation and PIT:だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいとPIT Reward magnitude and identity discrimination:報酬ほうしゅう規模きぼ同一どういつせい識別しきべつ

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかい機能きのう抑制よくせい結果けっか眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ因果いんがてき機能きのうについてさまざまなことがかった。ここではラットでの実験じっけん結果けっか中心ちゅうしん説明せつめいする。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつをさらに内側うちがわはらがわ外側そとがわ外側そとがわ外側そとがわ-しまの5領域りょういき分類ぶんるいし、それぞれの領域りょういきがどのような役割やくわりたしているかをみぎにまとめる。[9]

内側うちがわ眼窩がんか

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ラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ研究けんきゅうで、内側うちがわ眼窩がんか機能きのう選択せんたくてきしめしたものはほとんどない。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ最前さいぜんにある。内側うちがわ眼窩がんか破壊はかいすると、すぐもらえるちいさな報酬ほうしゅうよりも、あとにもらえるおおきな報酬ほうしゅうこのむようになる。また、リスクのある選択せんたくをするようになる。[9]

内側うちがわ眼窩がんかだつ阻止そしにおいて、報酬ほうしゅう変化へんかこのんで応答おうとうする。[10]

外側そとがわ眼窩がんか

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逆転ぎゃくてん学習がくしゅうには関与かんよするが、識別しきべつ学習がくしゅうには関与かんよしない。外側そとがわ眼窩がんか機能きのう抑制よくせいすると、あとでもらえるおおきな報酬ほうしゅうよりも、すぐもらえるちいさな報酬ほうしゅうこのむようになる。[9]

外側そとがわ眼窩がんか前部ぜんぶはパブロフてきだつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい関与かんよするが逆転ぎゃくてん学習がくしゅうには関与かんよしない。それにたいして外側そとがわ眼窩がんか後部こうぶはその両方りょうほう関与かんよする。[11]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ一部いちぶもしくは全体ぜんたい破壊はかい機能きのう抑制よくせいによって遂行すいこう障害しょうがい課題かだい一覧いちらん

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逆転ぎゃくてん学習がくしゅう:reversal learning[12]

遅延ちえん変更へんこう課題かだい:delayed alteration[13]

消去しょうきょ学習がくしゅう:extinction learning[14]

だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい:reinforcer devaluation[15]

感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせい:sensory preconditioning[2]

成果せいか特異とくいてきPIT:outcome specific pavlovian-instrumental transfer[16]

過剰かじょう期待きたい:over expectaition[17]

時間じかん割引わりびき:delay discounting[9]

報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そし:Unblocking by reward identity change[18]

決定けってい賭博とばく課題かだい:postdecision wagering task[19]

さん段階だんかい課題かだいステート実験じっけん:3 stage ''task state'' experiment[20]

サルにおける断線だんせん実験じっけん

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断線だんせん(disconnection)

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非対称ひたいしょうせい断線だんせんによる行動こうどう変化へんか紹介しょうかいする。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつひらたももたい(OFC-AMY)
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だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい遂行すいこう障害しょうがいされる。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはな皮質ひしつ(OFC-RCX)
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報酬ほうしゅう規模きぼちがいにたいする感度かんど低下ていかする。

構造こうぞう

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霊長れいちょうるい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ解剖かいぼう組織そしき

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眼窩がんかかい の位置いち様々さまざま角度かくどからたアニメーション。あかられているところが眼窩がんかかい

霊長れいちょうるい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ前頭まえがしら前野まえのはら側部そくぶ表面ひょうめんにあるおおきな皮質ひしつ領域りょういきであり、眼窩がんか直上ちょくじょうにある。(これが名称めいしょう由来ゆらいである。)そして、大脳だいのう半球はんきゅうあいだかべ一部いちぶふくんでいる。解剖かいぼうがくまとには、うちがわ視床ししょう内側うちがわだい細胞さいぼうかくからじくさく投射とうしゃける前頭まえがしら前野まえの一部いちぶ定義ていぎされており、ブロードマンの10,11,47からなる。しかしながらブロードマンの初期しょき分類ぶんるいわっておらず、ヒトとヒト霊長れいちょうるいでは一貫いっかんせいしめしている。細胞さいぼう構築こうちくもとづく仕事しごとによる区分くぶんひろ現在げんざいれられており、ウォーカーの10,11,47/12,13,14とされる。前頭まえがしら前野まえの一般いっぱんてきろくそう構造こうぞうからなるが、霊長れいちょうるい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつでは、そう構造こうぞうでできている顆粒かりゅうせいだいそうがない)の場所ばしょと、ろくそう構造こうぞうでできている顆粒かりゅうせいだいそうがある)の場所ばしょ混在こんざいしている。このことは、前頭葉ぜんとうよう領域りょういきよりも眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつほう系統けいとう発生はっせいがくてきふるいことを提案ていあんしており、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ全体ぜんたいわたってそう構造こうぞうである霊長れいちょうるい霊長れいちょうるい比較ひかくむずかしくしている。このちがいにもとづいて、ワイズらは霊長れいちょうるい哺乳類ほにゅうるい霊長れいちょうるい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつあいどうてき部分ぶぶんたないと提案ていあんした。この話題わだいについての様々さまざま反対はんたい意見いけん現在げんざい進行しんこうちゅうである。

特筆とくひつすべき眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ解剖かいぼうがくじょう特徴とくちょうは、解剖かいぼうがくてきな''つながり''である。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはすべての感覚かんかくと2シナプスや3シナプスで非常ひじょうつよくつながっており、さらに、前頭葉ぜんとうよう領域りょういき線条せんじょうたいひらたももたい海馬かいばなどにもひろくつながっている。これらの領域りょういきたいするつながりのパターンは眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつにおける内側うちがわネットワークと外側そとがわネットワークでことなっており、機能きのうてきにも内側うちがわネットワークと外側そとがわネットワークがことなっていることを提案ていあんする。とくに、外側そとがわネットワークはひらたももたい外側そとがわ眼窩がんか出力しゅつりょくしており、嗅覚きゅうかく味覚みかく視覚しかくからだせい感覚かんかく内蔵ないぞう感覚かんかく関連かんれんする感覚かんかくからの情報じょうほう入力にゅうりょくけている。それにたいして、内側うちがわネットワークは、内側うちがわかべ(ブロードマン25,24,32)に出力しゅつりょくしており、ひらたももたいうちがわ視床ししょう内側うちがわがわあたまのさまざまな場所ばしょ海馬かいば海馬かいばはたかいなど)、はらがわ線条せんじょうたい視床ししょう下部かぶ中心ちゅうしんはいしろしつから入力にゅうりょくけている。

まとめると、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ感覚かんかく学習がくしゅう記憶きおくかかわる様々さまざま領野りょうやとつよくつながっている。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ解剖かいぼうがくてきことなるふたつのネットワーク(内側うちがわ外側そとがわ)や、細胞さいぼう構築こうちくてきことなる様々さまざま領域りょういき顆粒かりゅうせい顆粒かりゅうせい)をつということ、みぞのつくりに個人こじんおおきいということから、非常ひじょう均一きんいつのう領野りょうやであるといえる。[1]

ラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ解剖かいぼう組織そしき

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ラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは嗅脳みぞがわにあり、内側うちがわ眼窩がんか(medial orbital area:MO)、はらがわ眼窩がんか(ventral orbital area:VO)、はら外側そとがわ眼窩がんか(ventrolateral orbital area:VLO)、外側そとがわ眼窩がんか(lateral orbital area:LO)、外側そとがわ眼窩がんか(dorsolateral orbital area:DLO)、顆粒かりゅうせい島野しまの(agranular insular area:AI)の6箇所かしょ区分くぶんされる。ラットでは前頭まえがしら前野まえのすべ顆粒かりゅうせいだいそうがない)だが、これらの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ領域りょういきはサルの眼窩がんか内側うちがわ前頭まえがしら前野まえののおよそがわぶんの1とあいどうであるとかんがえられている。なぜならこれらの領域りょういき配置はいち皮質ひしつ構造こうぞうとのつながりをっているからである。とくうちがわ視床ししょうはサルにおいてもラットにおいてもすべての眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ部分ぶぶん相互そうごにつながっている。現在げんざいでは行動こうどうがくてき神経しんけい化学かがくてき電気でんき生理学せいりがくてき性質せいしつ説明せつめいすることや、系統けいとう発生はっせいがくやこれらの領域りょういき個体こたい発生はっせいにおける関係かんけいせい研究けんきゅうすることで、前頭まえがしら前野まえの領域りょういき様々さまざまたねにわたって定義ていぎするための追加ついか基準きじゅんつくられている。

近年きんねんのサルとラットの解剖かいぼうがくてきトレース実験じっけんによる包括ほうかつてき比較ひかく解析かいせきは、これらのたねあいだでの''解剖かいぼうがくてきつながりにもとづくあい同性どうせい推論すいろん''を可能かのうにしている。とくに、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ線条せんじょうたい関係かんけいはサルとラットで類似るいじしている。ラットの内側うちがわ眼窩がんかとサルの内側うちがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはどちらも線条せんじょうたいはらない側部そくぶ投射とうしゃしているし、ラットの外側そとがわ眼窩がんかとサルの中心ちゅうしん外側そとがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはどちらも線条せんじょうたい中心ちゅうしん外側そとがわ投射とうしゃしている。興味深きょうみぶかいことに、線条せんじょうたい投射とうしゃさき領域りょういき分類ぶんるいすれば、はらがわ眼窩がんか外側そとがわ眼窩がんか同士どうしは、はらがわ眼窩がんか内側うちがわ眼窩がんかよりもちか関係かんけいにあり、同等どうとうされたラットのはらがわ眼窩がんか外側そとがわ眼窩がんかは(しばしばはら外側そとがわ眼窩がんかにも拡張かくちょうされるが)サルの中心ちゅうしん外側そとがわ前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつあいどうである。

ハーバーとヴァーツは前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつ領域りょういきぜんのうてき投射とうしゃさきマッピングの結果けっかからラットの内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかについてすこちがった結論けつろんした。かれらによればラットの内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかおな皮質ひしつ領域りょういき線条せんじょうたいうちがわ視床ししょう外側そとがわ視床ししょう下部かぶ海馬かいばのほとんどの領域りょういきくろしつはらがわぶた)に投射とうしゃしている(内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかへ、はらがわ眼窩がんか内側うちがわ眼窩がんかへ、内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかはどちらもぜん帯状おびじょうかい、Prelimbic皮質ひしつ、Infralimbic皮質ひしつへ)。しかしながら、おどろくべき内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかちがいもあった。内側うちがわ眼窩がんか基底きてい外側そとがわひらたももたい中心ちゅうしんひらたももたいつよ投射とうしゃしているが、はらがわ眼窩がんかはそれよりもよわい。内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかよりもつよがわすわかく投射とうしゃしている。一般いっぱんてきって、内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかよりもあたりえんけいひろ投射とうしゃしている。面白おもしろいことに内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんかのどちらも外側そとがわ眼窩がんかにはそれほどつよ投射とうしゃしていない。ハーバーとヴァーツらの提案ていあん内側うちがわ眼窩がんかはらがわ眼窩がんか目標もくひょう指向しこう行動こうどう情動じょうどうてき認知にんちてき統合とうごうにおいて重要じゅうよう役割やくわり共有きょうゆうしいるということだ。[9]

研究けんきゅう

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この領域りょういきかんするヒトを対象たいしょうとした研究けんきゅうは、健常けんじょうしゃたいするのう機能きのうイメージング研究けんきゅうと、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ一部いちぶ損傷そんしょうった患者かんじゃ神経しんけい心理しんりがくてき研究けんきゅう集中しゅうちゅうしている。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのうかんする最初さいしょ情報じょうほうは、偶然ぐうぜん出来事できごとたんはっしている。爆発ばくはつ事故じこてつぼうが、いまでは有名ゆうめい鉄道てつどう作業さぎょういんであるフィネアス・ゲージあたまつらぬき、前頭まえがしら前野まえのはら側部そくぶにある前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつ直接ちょくせつ損傷そんしょうけた。かれはその認知にんち機能きのう比較的ひかくてきたもたれたものの、自分じぶん制御せいぎょできなくなった。医師いしダマシオの患者かんじゃエリオットは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうしたのち仕事しごとめ、つま離婚りこんし、売春ばいしゅん結婚けっこんした。これらのことは、その眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ、もっと一般いっぱんして前頭まえがしら前野まえのたいするかんがかたおおきな影響えいきょうおよぼした。フィネアス・ゲージのような患者かんじゃ実験じっけんてき眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうした動物どうぶつもとづいて、「眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつもっと重要じゅうよう機能きのう行動こうどう抑制よくせい抑制よくせいてき自己じこ制御せいぎょ感情かんじょう制御せいぎょである」とかんがえられた。しかし最近さいきん研究けんきゅうでは眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのうたいするこのような見方みかたについて物申ものもうすような結果けっかている。これらの結果けっかによると眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはもっと確信かくしんてき機能きのうっている。[21]

マウスの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼうじくさく投射とうしゃ

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1:AAV-GFPをC57BL/6Jマウスの外側そとがわ眼窩がんか注入ちゅうにゅうしてスライスから取得しゅとくしたじくさく走行そうこう画像がぞうを3次元じげんした画像がぞう側面そくめんぞう

アレンのう科学かがく研究所けんきゅうじょでは、ぜんのうてき色素しきそったウイルスベクター注入ちゅうにゅうし、じくさく走行そうこうをトレースする実験じっけんおこなわれている。1はAAV-GFPをC57BL/6Jマウスの外側そとがわ眼窩がんか注入ちゅうにゅうしてスライスから取得しゅとくしたじくさく走行そうこう画像がぞうを3次元じげんした画像がぞう側面そくめんぞうである。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ線条せんじょうたい投射とうしゃ[22]

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ホン・ウェイ・ドンらは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのみならず様々さまざま皮質ひしつ領野りょうやがわ線条せんじょうたいにどのように投射とうしゃしているかという皮質ひしつ線条せんじょうたいプロジェクトームを発表はっぴょうしている。そのなかで、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつについての記載きさい紹介しょうかいする。2は、がわ線条せんじょうたいを11のコンパートメントにけたものである。

2:がわ線条せんじょうたいひだりからじゅんに吻背がわ線条せんじょうたい中間なかまがわ線条せんじょうたいがわ線条せんじょうたい

外側そとがわ眼窩がんか神経しんけい細胞さいぼうは、中間なかまがわ線条せんじょうたいない側部そくぶ(CPi.dm)、吻背がわ線条せんじょうたいちゅうあいだ側部そくぶ(CPr.imd)、がわ線条せんじょうたい側部そくぶ(CPc.d)に投射とうしゃしている。

はら外側そとがわ眼窩がんか神経しんけい細胞さいぼうは、中間なかまがわ線条せんじょうたいない側部そくぶ(CPi.dm)、吻背がわ線条せんじょうたいちゅうあいだはら側部そくぶ(CPr.imv)、がわ線条せんじょうたい側部そくぶ(CPc.d)に投射とうしゃしている。[22]


ステート表現ひょうげん

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ステート空間くうかん理論りろん

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意思いし決定けっていかんする研究けんきゅう中心ちゅうしんは、つぎいにたいしてのうがどのようにこたえるかということを理解りかいすることである。「環境かんきょうのステートを考慮こうりょし、どの行動こうどう最善さいぜん成果せいかにつながるだろうか。」おおくの研究けんきゅうはこの質問しつもん後半こうはん部分ぶぶん焦点しょうてんてており、その内容ないよう文字通もじどおり、どのように行動こうどう選択せんたくし、どのように、予期よきした成果せいか学習がくしゅう表現ひょうげんするのだろうかということである。しかし、この質問しつもん前半ぜんはん部分ぶぶん、すなはち、「どのように意思いし決定けってい現在げんざい環境かんきょう依存いぞんし、動物どうぶつなにを''環境かんきょうのステート''とかんがえるのだろうか。」にはあまり注意ちゅういけられていない。動物どうぶつ環境かんきょうはしばしば、感覚かんかく情報じょうほうにあふれており、それらの時間じかんてき関係かんけい複雑ふくざつであるため、のう環境かんきょうのステートをどのように表現ひょうげんしているかということは意思いし決定けってい成功せいこうさせるために非常ひじょう重要じゅうようである。したにおいて「環境かんきょうのステート」を正確せいかく定義ていぎし、意思いし決定けってい過程かてい必要ひつようとする環境かんきょうのステートの表現ひょうげんがどのようになされるかについてくわしく説明せつめいする。そして、意思いし決定けっていにおいてこれらの情報じょうほう表現ひょうげんすることいおいて眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ特異とくいてき役割やくわりっていることを提案ていあんする。

倒立とうりつ振子ふりこ課題かだい

強化きょうか学習がくしゅう計算けいさんろんてき理論りろんは、現在げんざい決定けってい関連かんれんのあるすべての情報じょうほう表現ひょうげんすることに依存いぞんしている。このすべての情報じょうほうは''ステート(状態じょうたい)''とわれる。このステートは、ただ環境かんきょうにおける身体しんたい状態じょうたいの1たい1の反映はんえいであるだけではなく、むしろ意思いし決定けってい瞬間しゅんかん意思いし決定けっていおこな主体しゅたい(エージェント)が、環境かんきょうについてのどの情報じょうほう表現ひょうげんしているのかということの反映はんえいである。エージェントののうは、意思いし決定けってい学習がくしゅう適切てきせつおこなうために、どのくらい正確せいかく環境かんきょう表現ひょうげんすればよいのか。したべるように、これは簡単かんたん問題もんだいではない。たとえば、強化きょうか学習がくしゅうおこなうエージェントが、ぼう蝶番ちょうつがいでつながっている台車だいしゃ左右さゆううごかし、みぎにもひだりにもうごぼうをバランスよくたも倒立とうりつ振子ふりこ課題かだい学習がくしゅうしようとする場合ばあいかんがえる(古典こてんてきなベンチマークタスク)。強化きょうか学習がくしゅう観点かんてんから、この問題もんだい解決かいけつするのに適切てきせつ方策ほうさくは、台車だいしゃつぎ状態じょうたい予測よそくするのに十分じゅうぶんすべての情報じょうほう現在げんざい状態じょうたいふくまれている場合ばあいのみ、計算けいさんできる。この特性とくせいマルコフせいとしてられ、未来みらい状態じょうたい条件じょうけんかくりつが、過去かこ状態じょうたいによらず、現在げんざい状態じょうたい行動こうどうによってのみ決定けっていされるマルコフ決定けってい過程かていしたがうことを意味いみする。倒立とうりつ振子ふりこ課題かだいかんしては、荷車にぐるま位置いちぼう角度かくど状態じょうたいとして表現ひょうげんするだけでは不十分ふじゅうぶんである。なぜなら、これらの変数へんすうだけではぼうがどちらにうごき、荷車にぐるまがどちらにうごくかということを予測よそくできないからである。そのわりに、荷車にぐるま速度そくどや、ぼう速度そくどといった情報じょうほう必要ひつようである。これらの変数へんすうを、現在げんざいのステートとして表現ひょうげんしたほうが、エージェントはよりよく学習がくしゅうができるであろう。

ステート表現ひょうげんかんするこれらの要請ようせいは、あらたな問題もんだいしょうじる。変数へんすうによっては、エージェントが感覚かんかくからける情報じょうほうと1たい1に対応たいおうしていない。たとえば、速度そくどかんする変数へんすう推測すいそくするには過去かこ現在げんざい感覚かんかく情報じょうほう比較ひかくしなくてはいけない。このとき、記憶きおく必要ひつようとなる。もしステートが、現在げんざいアクセス可能かのう情報じょうほう以外いがい情報じょうほう反映はんえいすることを必要ひつようとしたとき、また、本当ほんとう価値かちるのに確実かくじつせいがあった場合ばあい、そのステートは’’部分ぶぶんてき観察かんさつ可能かのう’’ということにあなる。つまり、意思いし決定けってい必要ひつようすべての情報じょうほうが、現在げんざい感覚かんかく情報じょうほうふくまれておらず、過去かこ記憶きおくなどの情報じょうほう現在げんざい感覚かんかく情報じょうほうとともに利用りようしなければならない場合ばあい、そのステートは部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのうということになる。

最後さいごに、現在げんざい感覚かんかく入力にゅうりょくすべてが意思いし決定けってい必要ひつようなわけではない。たとえば、照明しょうめい条件下じょうけんかで、感覚かんかく情報じょうほう変化へんかしたとしても方針ほうしん関係かんけいのないものをステートにれる必要ひつようはない。必要ひつよう情報じょうほうをステートにれてしまうと、ちがうようにえるがひとしいとなすべきそれぞれの状態じょうたい方針ほうしん区別くべつして学習がくしゅうする必要ひつようせいから、学習がくしゅうおそくなってしまう。これを''次元じげんせい苦悩くのう''とぶ。よって、よいステート表現ひょうげん方法ほうほうは、このふたつの問題もんだい解決かいけつするものである。必要ひつようとされる観測かんそく不可能ふかのう情報じょうほう感覚かんかく情報じょうほう補填ほてんすることで、部分ぶぶんてき観察かんさつ可能かのうな、マルコフてきでない環境かんきょうあつかうことができ、次元じげんせい苦悩くのうけるために感覚かんかく情報じょうほうなかから関係かんけいのあるものだけを選別せんべつすることができること。」である。つまり、意思いし決定けってい必要ひつよう情報じょうほう過去かこ記憶きおくなどと現在げんざい感覚かんかく情報じょうほうから表現ひょうげんし、必要ひつよう情報じょうほうのぞくことが必要ひつようであるということだ。

ぼうをバランスたもつことは非常ひじょうにレアな行為こういだが、次元じげんせい苦悩くのう部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのうせい一般いっぱんてき問題もんだいである。この問題もんだい解決かいけつできるのう領野りょうやは、エピソード記憶きおく注意ちゅうい選択せんたく過程かていかかわるのう領野りょうやと、感覚かんかく皮質ひしつとアクセス可能かのうであるべきだ。こうした特徴とくちょうのう領野りょうやとして、純粋じゅんすい解剖かいぼうがくてき観点かんてんから眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ候補こうほである。前頭まえがしら前野まえのなか独特どくとくにも五感ごかんつよくつながっており、海馬かいば線条せんじょうたいのように記憶きおく意志いし決定けっていかかわるのう領野りょうや相互そうごてきつながっているからだ。くわえて長年ながねん研究けんきゅうから、意志いし決定けっていにおける眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ役割やくわり課題かだい実行じっこう必要ひつようなときに部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのう環境かんきょうのステートを表現ひょうげんすることであるといわれる。とくに2014ねんのウィルソンらの論文ろんぶんで、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいされると結果けっか影響えいきょう課題かだいにおいてステートの表現ひょうげん仕方しかたがどのようにわるかがかれている。中心ちゅうしんてきかんがえとしては、課題かだいのステート空間くうかんおおくの場合ばあい部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのう情報じょうほうふくんでおり、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいされた動物どうぶつ必要ひつよう観測かんそく可能かのう情報じょうほう観測かんそく不能ふのう情報じょうほう統合とうごう出来できないのではないかということだ。このかんがえを理論りろんてき検証けんしょうするためヤエルらは強化きょうか学習がくしゅうモデルの枠組わくぐみを利用りようした。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいされた動物どうぶつをシミュレーションするため、おな感覚かんかく情報じょうほう関連かんれんしたすべてのステートは、おなじステートと認識にんしきするように設計せっけいし、健康けんこう動物どうぶつおな感覚かんかく情報じょうほう関連かんれんした情報じょうほうたとえば過去かこ情報じょうほうなどにもとづいて識別しきべつできるものとして設計せっけいした。この操作そうさ前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつ障害しょうがい影響えいきょうける課題かだいにおいて、わずかながら確実かくじつな、課題かだい遂行すいこう障害しょうがいこした。

かお課題かだいなが

ひとつのれい遅延ちえん変更へんこう課題かだいである。この課題かだい動物どうぶつにおいてもひとにおいても前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつ損傷そんしょうされると遂行すいこう障害しょうがいしょうじることでられる。この課題かだいではふたつの単純たんじゅん行動こうどうたとえばレバーをみぎひだりくなど)が報酬ほうしゅうにつながりうる。特別とくべつにこの課題かだいにおける報酬ほうしゅう提示ていじ前回ぜんかい選択せんたく影響えいきょうける。たとえばそれぞれの試行しこう前回ぜんかいえらばなかった選択せんたくをしたときだけ報酬ほうしゅうがもらえるといった具合ぐあいである。この課題かだい解決かいけつするためには、ふたつの行動こうどう対応たいおうしたステートは、前回ぜんかい選択せんたくという情報じょうほう補填ほてんされなくてはいけない。外的がいてき利用りよう可能かのう刺激しげきという観点かんてんではすべての試行しこうおなじにえるが、前回ぜんかいAをえらんだ場合ばあい最善さいぜん選択せんたくはBなのであり、前回ぜんかいBをえらんだとき最善さいぜん選択せんたくはAなのである。もしも眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうが、おなじでも観測かんそく不能ふのう情報じょうほうもとづいて識別しきべつしなければならないステートの識別しきべつ能力のうりょく障害しょうがいするのであれば、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうした動物どうぶつはこの課題かだいをステートがひとつしかないものとして表現ひょうげんするはずである。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうした動物どうぶつがこの課題かだいをできなくなることは実験じっけんてきしめされている。2014ねんのウィルソンらの論文ろんぶんでは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょう結果けっかとしてこる様々さまざま行動こうどう障害しょうがいは、課題かだい実行じっこう背景はいけいにあるステート空間くうかん障害しょうがいによってこると説明せつめいしている。さらに眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうによってきるはらがわぶたのドーパミン神経しんけい発火はっか変化へんかがステート識別しきべつ障害しょうがい結果けっかとしてきるとも説明せつめいしている。

かお課題かだい概念がいねんいろ下図したず対応たいおうしている。

ヒトおける研究けんきゅうていくなかで、ヤエルらは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ意思いし決定けっていにおける役割やくわり調しらべて自分じぶんたちの仮説かせつ証明しょうめいするため、自分じぶんたちの仮説かせつ証明しょうめいするための課題かだいかお課題かだい)をもちいた。課題かだい試行しこうにおいて、参加さんかしゃみぎのようないえかおかさなったあたえられ、かおどちらかについて、ふるいか(としっているか)あたらしいか(わかいか)をかんがえる。この課題かだい重要じゅうようなことは、かおどちらを判断はんだんするかということと、それが実際じっさいふるいかあたらしいかということを連続れんぞくしてかんがえなくてはいけないということである。かおどちらを判断はんだんするかというルールは、前回ぜんかい試行しこう現在げんざい思考しこうあたらしさが変化へんかした場合ばあいつぎ試行しこうでは反対はんたいのカテゴリーを判断はんだんし、あたらしさが変化へんかしなければ、おなじカテゴリーのものを判断はんだんするというものである。最初さいしょかおからはじまる。れいみぎのようである。したがってこの課題かだい実行じっこうするには、参加さんかしゃ現在げんざい試行しこう前回ぜんかい試行しこうについてかんがえなくてはいけない。あたえられたルールのなかでこの課題かだいにおいて参加さんかしゃ部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのうな16のステートからなるステート空間くうかんえがかなくてはならない。fMRIの画像がぞう変数へんすう解析かいせき技術ぎじゅつすることにより、ステートのどの側面そくめん眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ表現ひょうげんされているかを調しらべた。この解析かいせきによって、それぞれの試行しこうにおいて、ステートの部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのう側面そくめん(前回ぜんかい試行しこうあたらしさ、前回ぜんかい試行しこうのカテゴリーなど)についての情報じょうほう眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつふくまれていたことがかった。ぜんのうてき解析かいせきによって、内側うちがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのみがすべての必要ひつよう観測かんそく不能ふのう情報じょうほうっているということがかった。また、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからは、2試行しこうまえ事象じしょうといったような課題かだい遂行すいこう関係かんけいのない情報じょうほうくことができなかった。一方いっぽうのう領野りょうやからは、課題かだい遂行すいこう関係かんけいのない情報じょうほうくことができてしまった。最後さいごに、1かい試行しこう情報じょうほう誤差ごさ固定こてい解析かいせきによりかったことは、課題かだい遂行すいこう間違まちがいに先行せんこうして眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのステート表現ひょうげん劣化れっかするということだ。これらの結果けっかは、いままでべてきた眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ意思いし決定けっていにおいてステート表現ひょうげんおこなうという仮説かせつたいしてつよ支持しじ要素ようそとなる。

のいくつかの研究けんきゅうおなじような結論けつろんみちびいている。げっるい外側そとがわ眼窩がんか神経しんけい細胞さいぼう電気でんき活動かつどう記録きろくしたノグエリアは、前回ぜんかい試行しこうからられる、課題かだい遂行すいこう関係かんけいする観測かんそく不能ふのう情報じょうほう現在げんざい感覚かんかく入力にゅうりょく統合とうごうされたことを報告ほうこくした。ヤエルの研究けんきゅうしつでは参加さんかしゃ過去かこ観察かんさつ連続れんぞくから現在げんざいのステートを推論すいろんしなくてはいけないような課題かだい使つかって、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ活動かつどう観測かんそく可能かのう出来事できごと連続れんぞく考慮こうりょしなくてはならないような観測かんそく不能ふのうなステートの事後じごかくりつ反映はんえいすることをあきらかにした。ブラッド・フィールドは両側りょうがわ内側うちがわ眼窩がんか機能きのう抑制よくせいが、課題かだい範囲はんい観測かんそく不能ふのう成果せいかおもしや予期よき出来できなくなることにつながるということを報告ほうこくした。最後さいごに、スタルネイカーは、成果せいか規模きぼ内容ないようがことあるごとに逆転ぎゃくてんする課題かだいをラットに試行しこうさせ、観測かんそく不能ふのう課題かだいのステートが内側うちがわ線条せんじょうたいのアセチルコリンせい介在かいざい細胞さいぼう電気でんき活動かつどうからけることをあきらかにした。非常ひじょう重要じゅうようなことに、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいするとこの情報じょうほうえてしまう。最後さいごに、これらの結果けっか統合とうごうすると、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは、課題かだい遂行すいこう関係かんけいのある情報じょうほうわせてステート表現ひょうげんおこない、部分ぶぶんてき観測かんそく可能かのうな、あるいはマルコフてきでない環境かんきょうにおいて効果こうかてき意思いし決定けっていをすることを促進そくしんしているといえる。[1]

さん段階だんかい課題かだいステート実験じっけん

[編集へんしゅう]

内側うちがわ眼窩がんかがステートを表現ひょうげんしているということを因果いんがてきしめした実験じっけんが、さん段階だんかい課題かだいステート実験じっけんである。[20]行動こうどう実験じっけんとしては、かお課題かだい同様どうよう複雑ふくざつである。まず、ぜん訓練くんれん段階だんかいで、刺激しげき1と報酬ほうしゅう1、刺激しげき2と報酬ほうしゅう2を連合れんごうする。つぎに、随伴ずいはんせい抑制よくせい訓練くんれんで、行動こうどう1をこすと、刺激しげき1が提示ていじされるが、報酬ほうしゅう提示ていじされない、行動こうどう2をこすと、刺激しげき2が提示ていじされるが、報酬ほうしゅう提示ていじされない、という訓練くんれんをする。ここで''抑制よくせいせいのステート''を学習がくしゅうする。つぎ随伴ずいはんせい強化きょうか訓練くんれんで、行動こうどう1をこすと、刺激しげき1が提示ていじされるとともに報酬ほうしゅう1が提示ていじされる、行動こうどう2をこすと刺激しげき2が提示ていじされるとともに報酬ほうしゅう2が提示ていじされる、という訓練くんれんをする。ここで''強化きょうかせいのステート''を学習がくしゅうする。これらのふたつのステートを学習がくしゅうした段階だんかいで、テストをおこなう。行動こうどう1をおこなうと、刺激しげき1が提示ていじされ、行動こうどう2をおこなっても刺激しげき提示ていじされる、という条件じょうけんにして報酬ほうしゅう提示ていじしないとしたときに、行動こうどう1と行動こうどう2のどちらをおおるかということを観察かんさつする。行動こうどう1の場合ばあいは、刺激しげき1が提示ていじされるので矛盾むじゅんはないが、行動こうどう2の場合ばあいは、刺激しげき2ではなく、刺激しげき1が提示ていじされるため矛盾むじゅんしょうじている。このような場合ばあい、ラットはどのような行動こうどうをとるのか。内側うちがわ眼窩がんか正常せいじょうのラットはつぎのようにかんがえると推測すいそくされる。行動こうどう1をとっても報酬ほうしゅうられないため、ラットはテストの段階だんかい抑制よくせいせいのステートであるとかんがえる。そうすると、矛盾むじゅんのない選択せんたくをしても、報酬ほうしゅうがもらえないとわかっているため、報酬ほうしゅうがもらえないという情報じょうほうをまだ学習がくしゅうしていない矛盾むじゅんのあるほう選択せんたくをする。その結果けっか行動こうどう1よりも行動こうどう2をよりおおくラットは選択せんたくする。しかし、内側うちがわ眼窩がんか損傷そんしょうしたラットはそのようなステートの判断はんだんがつかないため、直前ちょくぜんった随伴ずいはんせい強化きょうか訓練くんれん結果けっかしたがい、矛盾むじゅんのないほう(行動こうどう1)をよりおお選択せんたくする。

さん段階だんかい課題かだいステート実験じっけん
ぜん訓練くんれん 段階だんかい

随伴ずいはんせい抑制よくせい訓練くんれん

段階だんかい

随伴ずいはんせい強化きょうか訓練くんれん

段階だんかい

テスト

刺激しげき1→報酬ほうしゅう

刺激しげき2→報酬ほうしゅう

行動こうどう1→刺激しげき1→(報酬ほうしゅう1はなし)

行動こうどう2→刺激しげき2→(報酬ほうしゅう2はなし)

行動こうどう1→刺激しげき1→報酬ほうしゅう

行動こうどう2→刺激しげき2→報酬ほうしゅう

行動こうどう1→刺激しげき1(矛盾むじゅんなし)

行動こうどう2→刺激しげき1(矛盾むじゅんあり)

消去しょうきょ学習がくしゅう

[編集へんしゅう]

ひかり遺伝いでんがくてきにハロロドプシンを使つかって眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい活動かつどう時間じかん特異とくいてき抑制よくせいすると、消去しょうきょ学習がくしゅう障害しょうがいされる。[14]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのステート表現ひょうげんには海馬かいば出力しゅつりょく必要ひつようである

[編集へんしゅう]

強制きょうせい選択せんたく課題かだいにおいて、はらがわ海馬かいばだい機能きのうひかり遺伝いでんがくてきにNpHR(ハロロドプシン)を使つかって抑制よくせいすると、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのステート表現ひょうげん異常いじょうとなった。具体ぐたいてきには、強制きょうせい選択せんたく課題かだいにおける反応はんのう方向ほうこう(えらんだ選択肢せんたくし)に選択せんたくてき発火はっかしめ神経しんけい細胞さいぼう割合わりあい有意ゆうい減少げんしょうした。

逆転ぎゃくてん学習がくしゅうとステート表現ひょうげん

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OFC:眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ、BLA:基底きてい外側そとがわひらたももたい、pre-reversal:初期しょき学習がくしゅう、post-reversal:逆転ぎゃくてん

ヒトやサル、げっるい使つかわれているもっとも古典こてんてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうつぎのようなものである。まず動物どうぶつは、ふたつの視覚しかく刺激しげき空間くうかんてき位置いち識別しきべつできるように訓練くんれんする。そのふたつのうちの片方かたがたには毎回まいかい報酬ほうしゅうともない、もう片方かたがたにはともなわない。パフォーマンスレベルが一定いってい基準きじゅんたっし、識別しきべつ訓練くんれん成功せいこうしたのちに、ふたつの刺激しげき随伴ずいはんした成果せいか逆転ぎゃくてんさせ(いままで報酬ほうしゅうともなわなかったほう報酬ほうしゅうともなうようになり、いままで報酬ほうしゅうともなったほう報酬ほうしゅうともなわなくなる。)、動物どうぶつふたたびパフォーマンスレベルが一定いっていたっするまで訓練くんれんされる。これが、道具どうぐてき報酬ほうしゅうてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうである。パブロフてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうもあるし、嫌悪けんおてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうもある。道具どうぐてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうは、ふたつの選択肢せんたくしのうちどちらかをみずか選択せんたくするが、パブロフてき逆転ぎゃくてん学習がくしゅうでは、ふたつの刺激しげき両方りょうほうたいする反応はんのう行動こうどう時間じかんることで実験じっけんおこなう。[23]

逆転ぎゃくてん学習がくしゅうについての重要じゅうよう仮説かせつは、逆転ぎゃくてん前後ぜんごで、動物どうぶつ表現ひょうげんするステートが変化へんかするということである。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいされた動物どうぶつは、ステート表現ひょうげんができないため、逆転ぎゃくてん前後ぜんごのステートの変化へんか表現ひょうげんできず、ふたつのステートを同一どういつしてしまうため、逆転ぎゃくてん学習がくしゅう時間じかんようする。この仮説かせつ数理すうりてきモデル解析かいせきによって支持しじされている。[13]

逆転ぎゃくてん学習がくしゅう眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつひかり遺伝いでんがくてき機能きのう抑制よくせいによっても障害しょうがいされる。ただし、このひかり遺伝いでんがくてき操作そうさ時間じかん得意とくいてきである。[24]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ基底きてい外側そとがわひらたももたい

[編集へんしゅう]

初期しょき学習がくしゅうにおいて、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ基底きてい外側そとがわひらたももたいは、報酬ほうしゅう予期よきする刺激しげき応答おうとうする。しかし、刺激しげき報酬ほうしゅう随伴ずいはんせい逆転ぎゃくてんしたとき、これらの2領野りょうやでの神経しんけい細胞さいぼう反応はんのうことなる。基底きてい外側そとがわひらたももたいは、初期しょき学習がくしゅうにおいて報酬ほうしゅう予期よきしていた刺激しげき応答おうとうしていた神経しんけい細胞さいぼうが、逆転ぎゃくてんには逆転ぎゃくてん報酬ほうしゅう予期よきするようになった刺激しげき応答おうとうするようになる。しかしながら、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつではやくわり細胞さいぼういままでの応答おうとうせい逆転ぎゃくてんさせるが、初期しょき学習がくしゅうにおいて刺激しげき選択せんたくてきでなかった神経しんけい細胞さいぼう集団しゅうだんが、あたらしい、報酬ほうしゅう予期よきする刺激しげき応答おうとうするようになる。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいによって、逆転ぎゃくてん学習がくしゅう時間じかんをようするようになるが、さらに基底きてい外側そとがわひらたももたい破壊はかいすると、逆転ぎゃくてん学習がくしゅうふたた素早すばやくできるようになる。

モデルベースの推論すいろん

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モデルベースの推論すいろんとは、経験けいけんによって形成けいせいされた内的ないてきモデルにもとづいて、直接ちょくせつ経験けいけんによらない意思いし決定けってい可能かのうにするような推論すいろんである。モデルベースの推論すいろんもとづく行動こうどう課題かだいとしてつぎのようなものがげられる。

モデルベースの推論すいろんもとづく行動こうどう課題かだい

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だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい(Reinforcer Devaluation)

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ばっ連合れんごうがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい。Light CS:ひかりによる条件じょうけん刺激しげき、LiCl:LiClに腹腔ふくこうない投与とうよにより腹痛はらいた誘発ゆうはつ

だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいとは英語えいごで「Reinforcer Devaluation」のことである。だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいは、条件じょうけん刺激しげきもしくはオペラント行動こうどう連合れんごうした報酬ほうしゅう無条件むじょうけん刺激しげき)の価値かち低下ていかさせることで、条件じょうけん刺激しげきへの反応はんのう行動こうどうやオペラント行動こうどう減少げんしょうすることを確認かくにんする実験じっけんである。報酬ほうしゅう価値かち低下ていかさせる方法ほうほうは、おおきくけてふたつある。ひとつは報酬ほうしゅうばち連合れんごうさせることで、報酬ほうしゅう価値かち低下ていかさせるというもの。これをばっ連合れんごうがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい名付なづける。もうひとつは、報酬ほうしゅうとの連合れんごう学習がくしゅう成立せいりつさせたのちに、報酬ほうしゅう沢山たくさんあたえて、報酬ほうしゅうたいしてきさせることで報酬ほうしゅう価値かち低下ていかさせるというもの。これを飽満ほうまんがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい名付なづける。ジェフリー・ショーエンバウムらは、外側そとがわ前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつを、条件じょうけん刺激しげき提示ていじしているタイミングでひかり遺伝いでんがくてき抑制よくせいしたところ、ばっ連合れんごうがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいにおいて、だつ報酬ほうしゅう価値かち条件じょうけん刺激しげきへの反応はんのう行動こうどうは、有意ゆうい上昇じょうしょうしたことを確認かくにんした。[15]このころから、前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつは、「だつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいによって報酬ほうしゅう価値かち低下ていかしたのだから、その報酬ほうしゅう連合れんごうされた条件じょうけん刺激しげきへの反応はんのうをやめよう」というモデルベースの推論すいろんおこなっているとかんがえられる。

ばっ連合れんごうがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだい
条件付じょうけんづ だつ報酬ほうしゅう価値かち 試験しけん
刺激しげき報酬ほうしゅう 報酬ほうしゅう→LiCl 刺激しげき→?

※LiCl:LiClの腹腔ふくこうない投与とうよにより腹痛はらいた誘発ゆうはつ

外側そとがわ眼窩がんかのパルブアルブミン陽性ようせい細胞さいぼう神経しんけい活動かつどう活性かっせいし、投射とうしゃ神経しんけい抑制よくせいした実験じっけん

クリスティーナ・グレメルらは、飽満ほうまんがただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいおこなった。グレメルらがおこなっただつ報酬ほうしゅう価値かち課題かだいについてくわしくべる。まず、マウスは、レバーをせば砂糖さとうすいられるということを学習がくしゅうする。この段階だんかい訓練くんれん段階だんかいぶ。つぎに、マウスに砂糖さとうすいをたくさんあたえて、きさせる。この段階だんかいさい暴露ばくろ段階だんかいぶ。さい暴露ばくろにおいて砂糖さとうすいをなめた瞬間しゅんかん外側そとがわ眼窩がんか活動かつどうひかり遺伝いでんがくてき抑制よくせいしたところ、抑制よくせいしていないマウスにくらべて、さい暴露ばくろのレバーしがおおられた。すなわち、さい暴露ばくろちゅう砂糖さとうすいをなめた瞬間しゅんかん外側そとがわ眼窩がんか活動かつどうは、報酬ほうしゅう低下ていかさせる、報酬ほうしゅう価値かちをアップデートするのに必要ひつようであるということを意味いみしている。[25]

感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせい(Sensory Preconditioning)

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感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせい

感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせいとは英語えいごで「Sensory Preconditioning」のことである。感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせいでは条件じょうけん刺激しげきふたもちいる。刺激しげき1と刺激しげき2を同時どうじにラットに提示ていじする。つぎに、刺激しげき2を提示ていじした状態じょうたい報酬ほうしゅうあたえる。つぎ刺激しげき1を提示ていじすると、報酬ほうしゅうがなくても、刺激しげき1にたいして反応はんのう行動こうどうしめすようになる。刺激しげき1にたいする反応はんのう行動こうどう段階だんかいで、薬理やくりがくてき眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ抑制よくせいすると、刺激しげき1にたいする反応はんのう行動こうどうは、抑制よくせいしていないラットにくらべて有意ゆうい減少げんしょうする。このことから眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは「報酬ほうしゅう連合れんごうしが刺激しげき2と関連かんれんする刺激しげき1が提示ていじされているならば報酬ほうしゅう提示ていじされるであろう」というモデルベースの推論すいろんおこなっているとかんがえられる。[2]

感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせい
事前じぜん調整ちょうせい 条件付じょうけんづ 試験しけん
刺激しげき1→刺激しげき 刺激しげき2→報酬ほうしゅう 刺激しげき1→?

感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせいかんするジェフリー・ショーエンバウムらの実験じっけん説明せつめいしよう。みぎに、ほん実験じっけん行動こうどう試験しけん概要がいようしめす。まずAについて、刺激しげきAを提示ていじしたのにつづけて刺激しげきBを提示ていじする。また、刺激しげきCを提示ていじしたのにつづけて刺激しげきDを提示ていじする。この訓練くんれんかえおこなう。この訓練くんれんちゅう報酬ほうしゅう提示ていじされないので、刺激しげきたいする報酬ほうしゅうてき反応はんのう行動こうどうられない。つぎBについて、刺激しげきBと報酬ほうしゅうをペアにして提示ていじすると、刺激しげきBにたいして報酬ほうしゅうてき反応はんのう行動こうどうられるようになる。また、刺激しげきDを単独たんどく提示ていじする。つぎCについて刺激しげきBと刺激しげきDにたいする報酬ほうしゅうてき反応はんのう行動こうどう割合わりあい比較ひかくすると刺激しげきBにたいする反応はんのうほう優位ゆういたかい。

事前じぜん調整ちょうせい段階だんかいで、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう266神経しんけい活動かつどう記録きろくしたところ、112細胞さいぼうすくなくともひとつの刺激しげきたいして神経しんけい活動かつどう上昇じょうしょうした。そのうち45は、AとBどちらにも反応はんのうする、あるいはCとDどちらにも反応はんのうするという神経しんけい細胞さいぼうだった。

報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そし(Unblocking by reward identity change)[18]

[編集へんしゅう]

まず阻止そし(ブロッキング)という現象げんしょうについて説明せつめいする。刺激しげき1につづいて報酬ほうしゅう1を提示ていじする。これを訓練くんれんして刺激しげき1にたいして反応はんのう行動こうどうこすようになる。つぎに、刺激しげき1と刺激しげき2を同時どうじ提示ていじして、つづいて報酬ほうしゅう1を提示ていじする。これを訓練くんれんする。試験しけんにおいて刺激しげき2を提示ていじして反応はんのう行動こうどうあらわれるかを確認かくにんする。報酬ほうしゅう学習がくしゅう刺激しげき予測よそく誤差ごさしょうじた場合ばあいに、その誤差ごさ駆動くどうりょくとなって成立せいりつする。刺激しげき1と刺激しげき2を同時どうじ提示ていじして、報酬ほうしゅう1を提示ていじした場合ばあい報酬ほうしゅう刺激しげき1によって完全かんぜん予測よそくされているためにこの訓練くんれん課程かていでは予測よそく誤差ごさしょうじていないので刺激しげき2にたいしては反応はんのう行動こうどう獲得かくとくされない。これは刺激しげき1が刺激しげき2の報酬ほうしゅう学習がくしゅう阻止そししたといえるのでこの現象げんしょう阻止そし(ブロッキング)という。つぎに、報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そしについて説明せつめいする。刺激しげき1につづいて報酬ほうしゅう1を提示ていじする。つぎに、刺激しげき1と刺激しげき2を同時どうじ提示ていじし、つづいて報酬ほうしゅう2を提示ていじする。この場合ばあい刺激しげき2によって報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうされたと訓練くんれん動物どうぶつ認識にんしきし、報酬ほうしゅう内容ないようかんする予測よそく誤差ごさしょうじるので刺激しげき2にたいして反応はんのう行動こうどう獲得かくとくされる。これを、報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そしという。

初期しょき学習がくしゅう ふくあい学習がくしゅう 試験しけん
刺激しげき1→報酬ほうしゅう 刺激しげき1+刺激しげき2→報酬ほうしゅう 刺激しげき2→?

④PIT(Pavlovian-Instrumental Transfer)

[編集へんしゅう]

古典こてんてき条件じょうけんけと道具どうぐてき条件じょうけんけをつづけておこない、試験しけん段階だんかいで、道具どうぐてき条件じょうけんけのとき獲得かくとくした行動こうどう古典こてんてき条件付じょうけんづけした刺激しげきたいして増加ぞうかする。

これをるテストをPITという。PITのなかでも、古典こてんてき条件じょうけんけのときにもちいる報酬ほうしゅうと、道具どうぐてき条件じょうけんけのときにもちいる報酬ほうしゅうおな場合ばあい成果せいか特異とくいてきPITとぶ。成果せいか特異とくいてきPITは眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ損傷そんしょうによって障害しょうがいされる。[26]

PITの
古典こてんてき条件付じょうけんづ 道具どうぐてき条件付じょうけんづ PIT試験しけん
刺激しげき報酬ほうしゅうA 行動こうどう報酬ほうしゅうAorB 刺激しげき→?

⑤マルコフの2ステップ課題かだいラットばん

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マルコフの2ステップ課題かだいラットばんでは、成果せいか選択せんたく存在そんざいする。成果せいか報酬ほうしゅう学習がくしゅうおこなわれるわけだが、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ時間じかん特異とくいてき成果せいかでだけ抑制よくせいすると、モデルベースの推論すいろんができなくなった。選択せんたく抑制よくせいしてもモデルベースの推論すいろんはできなくならない。[27]

過剰かじょう期待きたい

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条件じょうけんけにおいて、刺激しげき1と報酬ほうしゅう(1)、刺激しげき2と報酬ほうしゅう(1)を連合れんごうする。つぎに、ふくあい訓練くんれん刺激しげき1と刺激しげき2を同時どうじ提示ていじしたとき、報酬ほうしゅう(1)を提示ていじする。このとき、ラットは、報酬ほうしゅう(2)を期待きたいするが、報酬ほうしゅう(1)しか提示ていじされないため、まけ予測よそく誤差ごさしょうじ、刺激しげき1、刺激しげき2と報酬ほうしゅうについておたがいの連合れんごうよわめてしまう。その結果けっか刺激しげき2にたいする反応はんのう行動こうどう時間じかんが、ふくあい訓練くんれんをしない場合ばあいして、みじかくなる。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ細胞さいぼう発火はっかふくあい訓練くんれんのタイミングで抑制よくせいすると、この効果こうかはなくなる。[28]

過剰かじょう期待きたい
条件付じょうけんづ ふくあい訓練くんれん 試験しけん
刺激しげき1→報酬ほうしゅう(1)、刺激しげき2→報酬ほうしゅう(1) 刺激しげき1+刺激しげき2→報酬ほうしゅう(1) 刺激しげき2→?

※( )のなか数字すうじ報酬ほうしゅう規模きぼ

海馬かいば-眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ-はらがわぶた(Hip-OFC-VTA)によるモデルベースの推論すいろん

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海馬かいば眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはらがわぶたはそれぞれモデルベースの推論すいろん必要ひつようのう領野りょうやであることがしめされているが、それぞれののう領野りょうや協調きょうちょうてき機能きのうについては不明ふめいてんおおい。ここではそれぞれののう領野りょうやの、個別こべつのモデルベースの推論すいろんにおける機能きのうと、協調きょうちょうてき機能きのうについて説明せつめいする。

がわ海馬かいば(dorsal Hippocampus:dH)

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がわ海馬かいばはモデルベースの推論すいろん寄与きよするのう領野りょうやである。カルロス・ブロディーらは、マルコフの2ステップ課題かだいのラットばんにおいて、海馬かいばをムッシモールで抑制よくせいし、行動こうどう解析かいせきしたところ、モデルベースの推論すいろんができなくなっていることを発見はっけんした。[29]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ(Orbitofrontal Cortex:OFC)

[編集へんしゅう]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはモデルベースの推論すいろん寄与きよするのう領野りょうやである。カルロス・ブロディーらは、マルコフの2ステップ課題かだいのラットばんにおいて、学習がくしゅうのタイミングで眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつひかり遺伝いでんがくてき抑制よくせいし、行動こうどう解析かいせきしたところ、モデルベースの推論すいろんができなくなっていることを発見はっけんした。

[27]

はらがわぶた(ventral tegmental area:VTA)

[編集へんしゅう]
はらがわぶたドーパミン神経しんけい発火はっか頻度ひんど。T1 trial:推論すいろんてき試行しこう、Inference trial:推論すいろんてき試行しこう、Control:正常せいじょうラット、OFCx:眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう破壊はかいラット。正常せいじょうラットでは推論すいろんてき試行しこう推論すいろんてき試行しこう予測よそく誤差ごさ表示ひょうじているが、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいラットではそのがなくなっている。

はらがわぶたドーパミン神経しんけいはモデルベースの推論すいろん重要じゅうようである。ジェフリー・ショーエンバウムらは、ドーパミン神経しんけいひかり遺伝いでんがくてき時間じかん特異とくいてき制御せいぎょすることで、報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そし[30]感情かんじょう事前じぜん調整ちょうせい障害しょうがいする実験じっけんおこなった。[31]

はらがわぶたのドーパミン神経しんけいは、成果せいか報酬ほうしゅう推測すいそくし、予測よそく誤差ごさ発火はっか頻度ひんどとして表現ひょうげんすることができる。予測よそく誤差ごさしめ発火はっかは、推論すいろんおこなって予測よそく誤差ごさらすことで、らすことが出来できる。実際じっさいに、予測よそく誤差ごさしょうじさせるような行動こうどう課題かだいにおいて、推論すいろんできるような試行しこうもちいると、そうでない試行しこうして、ドーパミン神経しんけい予測よそく誤差ごさ表示ひょうじちいさくなる。さらに、この推論すいろんによる予測よそく誤差ごさ表示ひょうじ変化へんかは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいによってられなくなることがかった。このことはドーパミン神経しんけい予測よそく誤差ごさにおける推論すいろん影響えいきょうが、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ依存いぞんしてるということをしめしている。[32]

価値かち情報じょうほう表現ひょうげん

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報酬ほうしゅう価値かちのシグナルとその意思いし決定けっていにおける役割やくわり

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眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつあたえられた選択肢せんたくし関連かんれんした経済けいざいてき価値かちを、経験けいけんだけにたよらず臨機応変りんきおうへん表現ひょうげんしている。この理論りろんえさえらんでいるときの、サルの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ電気でんき記録きろくによってられた。ポダ・シッポアとアサドは2種類しゅるいのジュースのなかからひとつをえらんでいるときのサルの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからの電気でんき活動かつどう記録きろくした。それぞれの試行しこうにおいて、それぞれのジュースのりょう画面がめん表示ひょうじによってサルにつたえられる。そしてサルはどちらの選択肢せんたくしえらぶか自由じゆうえらべる。標準ひょうじゅんてき経済けいざい理論りろんのっとり、サルの選択せんたくから、それぞれのジュースの主観しゅかんてき価値かち計算けいさんした。そして、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう発火はっかなに選択せんたくしたかにかかわらず線形せんけいてき変化へんか(いくつかのものは上昇じょうしょうし、いくつかのものは低下ていかする)するものの割合わりあいを、選択せんたくしたジュースとともにしめした。価値かち表現ひょうげんは、選択せんたく運動うんどうてき側面そくめん感覚かんかくてき側面そくめんとは独立どくりつしている。[1]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう電気でんき活動かつどう

[編集へんしゅう]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは、行動こうどうをガイドするために、予期よきされる結果けっかたいする報酬ほうしゅう価値かち表現ひょうげんすることができる。この報酬ほうしゅう価値かち表現ひょうげん仕組しくみをるためにったジェフリー・ショーエンバウムらの仕事しごと紹介しょうかいしよう。まず初期しょき学習がくしゅうにおいて、刺激しげき1と報酬ほうしゅう(なか)を連合れんごうする。つぎに、ふくあい学習がくしゅうにおいて、刺激しげき1+刺激しげき2と報酬ほうしゅう(なか)、刺激しげき1+刺激しげき3と報酬ほうしゅう(だい)、刺激しげき1+刺激しげき4と報酬ほうしゅう(しょう)を連合れんごうする。このようにすると、刺激しげき2にたいする反応はんのう行動こうどうは、ふくあい学習がくしゅうにおいて刺激しげき1がなかった場合ばあい比較ひかくすると減少げんしょうする。なぜならば、初期しょき学習がくしゅう結果けっか刺激しげき1の提示ていじでラットは報酬ほうしゅう(なか)を予期よきするようになったため、ふくあい学習がくしゅうにおいても報酬ほうしゅうなか)を予期よきしてしまう。その状態じょうたい刺激しげき2が提示ていじされると、予測よそく誤差ごさしょうじないために、刺激しげき2と報酬ほうしゅう(なか)の連合れんごうきない。これを阻止そし(ブロッキング)という。刺激しげき1が刺激しげき2と報酬ほうしゅう連合れんごう阻止そししたということである。刺激しげき3にたいする反応はんのう行動こうどうは、刺激しげき2にたいするものにしておおきくなる。なぜならば、ふくあい学習がくしゅうにおいて刺激しげき1は報酬ほうしゅう(なか)を予期よきするが、刺激しげき3がともなったことで報酬ほうしゅう(だい)が提示ていじされたため、報酬ほうしゅう(だいマイナスちゅう)ぶん予測よそく誤差ごさしょうじ、この予測よそく誤差ごさが、刺激しげき3と報酬ほうしゅう連合れんごう促進そくしんする。これをだつ阻止そし(アンブロッキング)とぶことにする。刺激しげき4にたいする反応はんのう行動こうどうは、刺激しげき2にたいするにたいするものにしてちいさくなる。なぜなら、ふくあい学習がくしゅうにおいて、刺激しげき1は報酬ほうしゅう(なか)を予期よきするが、刺激しげき4がともなったことで報酬ほうしゅう(しょう)が提示ていじされたため、報酬ほうしゅうしょうマイナスちゅうぶんまけ予測よそく誤差ごさしょうじ、これが刺激しげき4と報酬ほうしゅう連合れんごうまけ制御せいぎょすることになる。さて、阻止そしされた刺激しげき2、報酬ほうしゅう上昇じょうしょうした刺激しげき3、報酬ほうしゅう減少げんしょうした刺激しげき4にたいする眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ細胞さいぼう応答おうとうはどのようになるのか。外側そとがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのニューロン680のうち、すくなくともひとつの刺激しげき応答おうとうするがすべての刺激しげき同様どうようには応答おうとうしない細胞さいぼうが、120つかった。そのなかで、上昇じょうしょうした刺激しげきたいして顕著けんちょ応答おうとうした60細胞さいぼうについてよく調しらべてみると、上昇じょうしょうした刺激しげき特異とくいてき応答おうとうした細胞さいぼうは19報酬ほうしゅう予期よきてき応答おうとうした細胞さいぼうは16刺激しげき2,3,4、すなはちふくあい学習がくしゅうにおけるあたらしい刺激しげき応答おうとうした細胞さいぼうが10報酬ほうしゅう価値かちおうじて反応はんのうした細胞さいぼうが5解釈かいしゃく不能ふのうなものが10であった。[33]

ラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう応答おうとう
細胞さいぼう表現ひょうげんする情報じょうほう 上昇じょうしょうした刺激しげき 報酬ほうしゅう予期よき 新奇しんきせい 報酬ほうしゅう価値かち 解釈かいしゃく不能ふのう
細胞さいぼうかず 19 16 10 5 10

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう表現ひょうげんしている情報じょうほう一覧いちらん

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報酬ほうしゅう規模きぼりょう[34]

報酬ほうしゅうるのに必要ひつよう努力どりょく[34]

報酬ほうしゅうられるかくりつ[34]

報酬ほうしゅう顕著けんちょせい(サリエンス)[35]

新奇しんきせい[33]

予期よき報酬ほうしゅう変化へんか[33]

あたらしい研究けんきゅう結果けっかによると、前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつもっと重要じゅうよう機能きのうは、のぞまれない行動こうどう抑制よくせい感情かんじょう制御せいぎょするというよりも、むしろ感覚かんかく事象じしょう行動こうどう選択せんたくつづいてこる結果けっか予測よそくし、これらの成果せいか評価ひょうかをアップデートすることである。これらのシグナルは選択せんたく瞬間しゅんかんにおいて重要じゅうよう役割やくわりたす。サルの研究けんきゅう結果けっかから、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは、抽象ちゅうしょうてき共通きょうつう通貨つうかかたちで、目標もくひょうとしての対象たいしょう価値かち表現ひょうげんしていることがかった。しかし、げっるい研究けんきゅう結果けっかでは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ共通きょうつう通貨つうかのようなかたち一般いっぱんてき成果せいか表現ひょうげんしているというよりも、むしろ特異とくいてき成果せいか表現ひょうげんしているとかった。これらのことから眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは、条件じょうけん刺激しげき強化きょうか関連かんれんした、はい成果せいか感覚かんかくてきしつ表現ひょうげんしているとかんがえられる。哺乳類ほにゅうるいあいだでの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつちがいを研究けんきゅうすることはいまだにおこなわれているが、すべての哺乳類ほにゅうるい前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつについてえることは、将来しょうらい行動こうどう成果せいかを、報酬ほうしゅうてき意味いみでも嫌悪けんおてき意味いみでも予期よきするのに大切たいせつであるということだ。[21]

外側そとがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ (lOFC) にDREADDにもちいる遺伝子いでんしふくんだアデノ随伴ずいはんウイルス (AAV) を注入ちゅうにゅうし、基底きてい外側そとがわへんももたい (BLA) に、CNOをながすカニューラを挿入そうにゅうしている。

報酬ほうしゅう価値かち学習がくしゅう想起そうき重要じゅうよう回路かいろ[36]

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報酬ほうしゅう価値かち学習がくしゅう想起そうきかんして、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ重要じゅうよう役割やくわりたしている。ラットに、レバーをくと砂糖さとうがもらえるという学習がくしゅうをさせる場合ばあいについて説明せつめいする。学習がくしゅうえて、テストするまでのあいだは、報酬ほうしゅうかんする記憶きおくまれるわけだが、この時間じかんたいに、外側そとがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい規定きていへんももたい投射とうしゃする神経しんけいをDREADDをもちいて抑制よくせいすると、テストのときのレバープきの回数かいすう減少げんしょうする。一方いっぽう内側うちがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい外側そとがわへんももたい投射とうしゃする神経しんけいをDREADDをもちいて抑制よくせいしても、テストのときのレバーきの回数かいすう減少げんしょうしない。また、テストのときは、報酬ほうしゅうかんする記憶きおく想起そうきしているわけだが、この時間じかんたいに、がわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい基底きていへんももたい投射とうしゃする神経しんけいをDREADDをもちいて抑制よくせいしても、テストのときのレバープきの回数かいすう減少げんしょうしない。一方いっぽう内側うちがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい外側そとがわへんももたい投射とうしゃする神経しんけいをDREADDをもちいて抑制よくせいする、テストのときのレバーきの回数かいすう減少げんしょうする。

これらのことから、外側そとがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい外側そとがわへんももたい投射とうしゃする神経しんけいは、報酬ほうしゅう価値かちみに重要じゅうようであり、内側うちがわ眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから基底きてい外側そとがわへんももたい投射とうしゃする神経しんけいは、報酬ほうしゅう価値かち想起そうき必要ひつようであるということである。

ラットにおける眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ領野りょうやとの相互そうご作用さよう

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海馬かいば眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ(Hip-OFC)連関れんかん[37]

[編集へんしゅう]
ひだり正常せいじょうラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう課題かだい遂行すいこうちゅう活動かつどうみぎ海馬かいば出力しゅつりょく抑制よくせいしたラットの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ神経しんけい細胞さいぼう課題かだい遂行すいこうちゅう活動かつどう

海馬かいば眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはどちらも、学習がくしゅう記憶きおく意思いし決定けっていのような認知にんち過程かてい重要じゅうようである。しかしながら、この2領野りょうや独立どくりつてき調しらべられてきた。この2領野りょうやているてんおおく、並行へいこうてきでありながらも、相互そうご作用さようしながら認知にんち地図ちず(Cognitive Map)を表現ひょうげんしている。

独自どくじ解剖かいぼうがくてき電気でんき生理学せいりがくてき生化学せいかがくてき特徴とくちょうっていながら、海馬かいば眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはよく機能きのうっている。たとえば、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ中心ちゅうしんてき機能きのうは「感覚かんかく事象じしょう行動こうどう選択せんたくつづ特異とくいてき結果けっか予期よきする」ことであるといわれるが、海馬かいば機能きのうは「これからこる事象じしょう予期よき促進そくしんする」といわれる。これらの表現ひょうげんはとても一般いっぱんされた機能きのうについて説明せつめいしているが、とてもこの2領野りょうやがよくていることをしめしている。これらの構造こうぞうは、柔軟じゅうなん行動こうどうできるように将来しょうらい予測よそくしたり、環境かんきょうについての知識ちしき一般いっぱんしたりするのに役立やくだつ。海馬かいば眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ相互そうご作用さようし、認知にんち地図ちず形成けいせい行動こうどう出力しゅつりょく寄与きよする。

はらがわ海馬かいば出力しゅつりょく抑制よくせいすると、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつのタスクの表現ひょうげん正常せいじょうにできなくなるということが、ジェフリー・ショーエンバームらの実験じっけんかった。においガイド意思いし決定けってい課題かだいにおけるOFCの神経しんけい活動かつどう記録きろくした。報酬ほうしゅう予期よき時間じかんもっと発火はっか頻度ひんど上昇じょうしょうした細胞さいぼう割合わりあい測定そくていしたところ、はらがわ海馬かいば抑制よくせいしたラットと抑制よくせいしていないラットでは抑制よくせいしたラットのほう割合わりあいすくなかった。[37]

基底きてい外側そとがわひらたももたい-眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ(BLA-OFC)連関れんかん[38]

[編集へんしゅう]

基底きてい外側そとがわひらたももたいから眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ投射とうしゃする神経しんけい細胞さいぼうをDREADDで薬理やくり遺伝いでんがくてき抑制よくせいすると、PITができなくなることが証明しょうめいされた。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう抑制よくせいすると逆転ぎゃくてん学習がくしゅう障害しょうがいされるが、その影響えいきょうは、基底きてい外側そとがわひらたももたい機能きのう抑制よくせいするとくなってしまう。

つまり、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ基底きてい外側そとがわひらたももたいをどちらも機能きのう抑制よくせいすると、逆転ぎゃくてん学習がくしゅう障害しょうがいされなくなる。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはらがわ線条せんじょうたい(OFC-VS)連関れんかん[39]

[編集へんしゅう]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいすると、はらがわ線条せんじょうたい神経しんけい細胞さいぼうなか報酬ほうしゅう規模きぼ特異とくいてき応答おうとうする細胞さいぼうかずり、報酬ほうしゅう内容ないよう特異とくいてき応答おうとうする細胞さいぼうかずえる。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ-はらがわぶた(OFC-VTA)連関れんかん[40]

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眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ破壊はかいすると、古典こてんてき条件付じょうけんづにおける はらがわぶた のドーパミンニューロンの条件じょうけん刺激しげきたいする発火はっか頻度ひんど上昇じょうしょう度合どあいが低下ていかし、報酬ほうしゅう排除はいじょによる発火はっか頻度ひんど減少げんしょう度合どあいが低下ていかする。[40]

はらがわぶたのドーパミン神経しんけい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ同様どうようにモデルベースの推論すいろん重要じゅうよう機能きのうたす感覚かんかく事前じぜん調整ちょうせい報酬ほうしゅう内容ないよう変更へんこうによるだつ阻止そしといったモデルベースの推論すいろん課題かだい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう抑制よくせいにより遂行すいこう障害しょうがいきるがはらぶたのドーパミン神経しんけい抑制よくせいしても、同様どうよう機能きのう障害しょうがいきる。また、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはらがわ被害ひがいぶた間接かんせつてきにシグナルをおくっている。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ電極でんきょく電流でんりゅう刺激しげきすると、はらがわぶたのドーパミン神経しんけい発火はっかパターンは変化へんかする(おも抑制よくせいされる)。これは眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはらがわぶたのドーパミン神経しんけいかいしてモデルベースの推論すいろんおこなっているということを示唆しさしている(これは、筆者ひっしゃ推論すいろんであり、実験じっけんてき証明しょうめいされたものではない)。眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつはらがわ線条せんじょうたいがわ線条せんじょうたいつよ投射とうしゃしており、はらがわ線条せんじょうたいがわ線条せんじょうたいはらがわぶたつよ投射とうしゃしている。

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ-運動うんどう[41]

[編集へんしゅう]
眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから2運動うんどう投射とうしゃする神経しんけい細胞さいぼう特異とくいてきにDREADDで機能きのう抑制よくせいした実験じっけん概念がいねん

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから運動うんどう投射とうしゃする神経しんけいをDREADDで抑制よくせいすると、より探索たんさくてき行動こうどうるようになり、搾取さくしゅてきでなくなる。探索たんさく(exploration)と、搾取さくしゅ(exploitation)についてすこ説明せつめいする。探索たんさく搾取さくしゅ心理しんり行動こうどう科学かがくてきには対義語たいぎごである。搾取さくしゅとはこれまでに報酬ほうしゅうとの関連かんれん学習がくしゅうした刺激しげき行動こうどうこのんで選択せんたくして、報酬ほうしゅうとの関連かんれんがないような刺激しげき行動こうどうはとらないという傾向けいこうである。それにたいして探索たんさくとは、これまで報酬ほうしゅうとの関連かんれんがないような刺激しげき行動こうどう興味きょうみをもって、そのようなものを選択せんたくしていく傾向けいこうである。たとえば、おいしい料理りょうりてんがあったとして、ここにいけば美味おいしいごはんべられるとかっているのでいつもここにく。みせはおいしくないかもしれないからいかない、というのが搾取さくしゅてきである。それにたいして、ほかのみせにもいってみよう、というのが探索たんさくてきである。レバー1と報酬ほうしゅうとの関連かんれん学習がくしゅうさせたのちに、試験しけんでレバー2(報酬ほうしゅうとは無関係むかんけい)を提示ていじしたときレバー1とレバー2のどちらをおおすかという実験じっけんで、コントロールぐん比較ひかくして、DREADDぐんでは、レバー2よりレバー1をこの性質せいしつ、すなわち搾取さくしゅせい低下ていかしており、探索たんさくせい上昇じょうしょうしていた。[41]

眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ意欲いよくあたえる影響えいきょう

[編集へんしゅう]
眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからがわ線条せんじょうたい投射とうしゃする神経しんけい細胞さいぼう活動かつどうしめしている。

oDASS(ひかり遺伝いでんがくてきドーパミン自己じこ刺激しげき)とは、マウスがレバーをくと、そのマウスのドーパミン神経しんけいひかり遺伝いでんがくてき刺激しげきされるシステムである。ようするにレバーをくと快感かいかんられるということである。ほん説明せつめいのoDASSには電気でんきショックがともなっている。oDASSをおこなっているマウスの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつから、がわ線条せんじょうたい投射とうしゃする神経しんけい細胞さいぼう活動かつどうをPhiberPhotometoryで記録きろくしたところ、のようになった。oDASSの途中とちゅう電気でんきショックがあたえられることがあるような設定せっていにする。電気でんきショックにくっすることなくレバーをつづけたほうのマウスの神経しんけい活動かつどうむらさきで、ばっくっしてレバーをかなくなったマウスの神経しんけい活動かつどうみどりである。あかいブロックは電気でんき刺激しげき時間じかんのをしめしている。レバーの、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからがわ線条せんじょうたい神経しんけい細胞さいぼう活動かつどうは、くじけないマウスのほうたかく、くじけてしまうマウスのほうではひくい。[42]さらに、oDASSをおこなっているマウスの眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつからがわ線条せんじょうたい投射とうしゃする神経しんけい活動かつどうひかり遺伝いでんがくてき抑制よくせいすると、くじけないマウスの割合わりあい低下ていかするということもかった。[42]

 さらに、こうカロリーえき摂取せっしゅしたさい活動かつどうした眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ細胞さいぼうだけを、光子こうし励起れいき顕微鏡けんびきょう使つかって活性かっせいしたところ、こうカロリーえき摂取せっしゅするためにごす時間じかんえた。これは、摂食せっしょくによって活性かっせいされた細胞さいぼうは、因果いんがてき摂食せっしょくうながすということである。また、子供こどものマウスとのかかわったときに活動かつどうした眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ細胞さいぼうだけを、光子こうし励起れいき顕微鏡けんびきょう使つかって活性かっせいしたところ、こうカロリーえき摂取せっしゅするためにごす時間じかんった。これは、社会しゃかいてき交流こうりゅうによって活性かっせいされた細胞さいぼうは、因果いんがてき摂食せっしょくさまたげるということである。[43]

潜在せんざいてき原因げんいん表現ひょうげん

[編集へんしゅう]

 眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつは、状況じょうきょう表現ひょうげん(State Representation)、潜在せんざいてき原因げんいん(Latent Cause)の表現ひょうげん重要じゅうようであることがヤエル・ニブらの研究けんきゅうかった。状況じょうきょう表現ひょうげんは、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつにおける認知にんち地図ちず(Cognitive Map)の表現ひょうげん可能かのうにしている。ステート表現ひょうげんとは、意思いし決定けってい必要ひつよう環境かんきょう情報じょうほう表現ひょうげんすることであるが、ヒトのfMRIの実験じっけんから、意思いし決定けってい必要ひつようなタスクの状況じょうきょう情報じょうほう前頭まえがしら眼窩がんか皮質ひしつっていることが証明しょうめいされた。潜在せんざい原因げんいんまえ状況じょうきょうつく潜在せんざいてきな、直接ちょくせつ観測かんそく不能ふのう原因げんいんのことである。この情報じょうほう眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつっていることが証明しょうめいされた。

患者かんじゃたいする神経しんけい心理しんりがくてき研究けんきゅう

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ロールズ (Rolls) らは、逆転ぎゃくてん学習がくしゅう (reversal learning) と消去しょうきょ (extinction) の2種類しゅるい視覚しかく弁別べんべつ課題かだい (visual discrimination test)[44]おこなった。まず、逆転ぎゃくてん学習がくしゅうでは実験じっけん参加さんかしゃに A と B の2つの写真しゃしんせ、写真しゃしん A が呈示ていじされたときにボタンをすと報酬ほうしゅうることが出来でき写真しゃしん B が呈示ていじされているときにボタンをすとばちあたえられることをまなばせる。この課題かだいでは、このルールの学習がくしゅうわったのちにルールがえられる。つまり、写真しゃしん B が呈示ていじされているときにボタンをせば正解せいかいとなるようにする。ほとんどの健常けんじょうしゃ即座そくざにルールの逆転ぎゃくてんづくことが出来できるが、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ障害しょうがいった患者かんじゃは、ばちあたえられるにもかかわらず、一度いちど強化きょうかされた元々もともとのパターンに反応はんのうつづけてしまう。ロールズ (Rolls) らは、この行動こうどうパターンは被験者ひけんしゃらがルールの逆転ぎゃくてん理解りかいしたと報告ほうこくしているてんで、とく不可解ふかかいであるとべている。

2つめの課題かだいとして消去しょうきょかんする課題かだいおこなった。この課題かだいでは、もう一度いちど実験じっけん参加さんかしゃ写真しゃしん B ではなく写真しゃしん A にたいしてボタンをすように学習がくしゅうさせる。しかし、今回こんかいはルールを逆転ぎゃくてんさせるかわりに、ルールをまったくえてしまう。今回こんかいはどちらの写真しゃしんたいしてボタンをしてもばっあたえられるようにしてしまうのだ。この課題かだいたいするただしい選択せんたくはボタンをまったくさないことである。しかし、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう障害しょうがいをもった患者かんじゃは、それをおこなえばばっせられるにもかかわらず、ボタンをしたいという誘惑ゆうわくさからえない。

アイオワ・ギャンブリング課題かだい (Iowa gambling task) とばれる、現実げんじつ世界せかい意思いし決定けってい模倣もほうした認知にんち情動じょうどう研究けんきゅうひろ使つかわれる課題かだいがある[45]実験じっけん参加さんかしゃにはコンピュータ画面がめんに4つの仮想かそうてきなカードのデッキが呈示ていじされる。かれらは毎回まいかいカードをえらび、そのうらかれたぶんのゲーム通貨つうかる、またはうしなう。この課題かだい目的もくてきは、出来できるだけおおくのおかねることであり、参加さんかしゃには意識いしきてきかんがえながらではなく"直感ちょっかん"にしたがってカードをえらんでもらう。デッキのうちの2つは"わるいデッキ"となっていて、長期ちょうきてきれば収支しゅうしはマイナスになる。のこりの2つのデッキは"いデッキ"になっていて、長期ちょうきてきれば収支しゅうしはプラスになる。おおくの健常けんじょうしゃやく40から50試行しこうには"いデッキ"をえらつづけるようになる。しかし、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう障害しょうがいった患者かんじゃ場合ばあい、その選択せんたく最終さいしゅうてきそんであるとかっている場合ばあい存在そんざいするにもかかわらず、"わるいデッキ"につづけ (Perseveration) しつづける。同時どうじった電気でんき皮膚ひふ反応はんのう (galvanic skin response) の計測けいそくでは、健常けんじょうしゃが"わるいデッキ"を選択せんたくしようとするさいのストレス反応はんのうは、たった10試行しこうという、意識いしきてきな"わるいデッキ"の判断はんだんしょうじるはるか以前いぜんから計測けいそくされる。しかしこの結果けっかとは対照たいしょうてきに、眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう障害しょうがいった患者かんじゃでは、このせまったばったいする生理せいりてき反応はんのう観測かんそくされることはない。この実験じっけんおこなったベシャラ (Bechara) らは、このことをソマティック・マーカー仮説かせつ (somatic markers hypothesis) の観点かんてんから説明せつめいしている。アイオワ・ギャンブリング課題かだい現在げんざい精神せいしん医学いがく神経しんけいがくなどのおおくの研究けんきゅうもちいられていて、統合とうごう失調しっちょうしょう強迫きょうはくせい障害しょうがいなどの患者かんじゃ健常けんじょうしゃにおいて、この課題かだいおこなっているさいにどののう領域りょういき活動かつどうするかがfMRIもちいて調しらべられている。

社会しゃかいてき失言しつげん検出けんしゅつ課題かだい (Faux pas test) はだれかが不適切ふてきせつ発言はつげんをしたさい社会しゃかいてき状況じょうきょうもちいた課題かだいである。参加さんかしゃおこな課題かだいは、どの発言はつげん不適切ふてきせつなのか?、なぜその発言はつげん不適切ふてきせつなのか?、その社会しゃかいてき失言しつげんたいして人々ひとびとがどのような反応はんのうをするか?、そして対照たいしょうぐんとして、この状況じょうきょう事実じじつかんする質問しつもんこたえることである。元々もともと自閉症じへいしょうスペクトラムのある人々ひとびとのためにつくられたものだった[46]が、この課題かだい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ機能きのう障害しょうがいち、物語ものがたり完全かんぜん理解りかいできるものの社会しゃかいてき不適切ふてきせつ出来事できごと判断はんだんできなくなった患者かんじゃたいしても検出けんしゅつりょくしめす。

著名ちょめい眼窩がんか前頭まえがしら皮質ひしつ研究けんきゅうしゃ

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  • Geoffrey Schoenbaum (NIH,メリーランド大学だいがく、ジョンス・ホプキンス大学だいがく)
  • Yael Niv (プリンストン大学ぷりんすとんだいがく)
  • Elisabeth A. Murray (NIH)
  • Camillo Padoa-Schioppa (ワシントン大学だいがく)
  • Samuel J Gershman (ハーバード大学だいがく)
  • Barry J. Richmond (NIH)
  • David Redish (ミネソタ大学だいがく)
  • Adam Kepecs (コールド・スプリング・ハーバー研究所けんきゅうじょ)
  • Jonathan Wallis (タスマニア大学だいがく)
  • Carlos Brody (プリンストン大学ぷりんすとんだいがく、ハワード・ヒューズ医学いがく研究所けんきゅうじょ)
  • Christina M. Gremel(カリフォルニア大学だいがくサンディエゴこう

出典しゅってん

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