(Translated by https://www.hiragana.jp/)
脳神経 - Wikipedia コンテンツにスキップ

脳神経のうしんけい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
のう: 脳神経のうしんけい
のうしたから
脳神経のうしんけいおこりはじめ位置いち支配しはい対象たいしょう
名称めいしょう
日本語にほんご 脳神経のうしんけい
英語えいご Cranial nerves
ラテン語らてんご nervus cranialis (plural: nervi craniales)
関連かんれん情報じょうほう
NeuroNames 関連かんれん情報じょうほう一覧いちらん
NIF 総合そうごう検索けんさく
MeSH Nerves Cranial Nerves
グレイ解剖かいぼうがく 書籍しょせきちゅう説明せつめい英語えいご
テンプレートを表示ひょうじ
脳神経のうしんけい
だいI脳神経のうしんけい神経しんけい
だいII脳神経のうしんけい視神経ししんけい
だいIII脳神経のうしんけいどう神経しんけい
だいIV脳神経のうしんけい滑車かっしゃ神経しんけい
だいV脳神経のうしんけい三叉みつまた神経しんけい
だいVI脳神経のうしんけいそとてん神経しんけい
だいVII脳神経のうしんけい顔面がんめん神経しんけい
だいVIII脳神経のうしんけい内耳ないじ神経しんけい
だいIX脳神経のうしんけいしたのど神経しんけい
だいX脳神経のうしんけい迷走めいそう神経しんけい
だいXI脳神経のうしんけいふく神経しんけい
だいXII脳神経のうしんけいした神経しんけい

脳神経のうしんけい(のうしんけい、ラテン語らてんご: Nervus Cranialis)とは、脊椎動物せきついどうぶつ神経しんけいけいぞくする器官きかんで、のうから直接ちょくせつている末梢まっしょう神経しんけい総称そうしょう。これにたいし、脊髄せきずいからている末梢まっしょう神経しんけいのことを脊髄せきずい神経しんけいぶ。

ヒトなどの哺乳類ほにゅうるいや、その爬虫類はちゅうるい鳥類ちょうるいなどの脳神経のうしんけいは、おもなものだけで左右さゆう12たい存在そんざいし、それぞれには固有こゆう名称めいしょうけられている。また、この名前なまえとはべつに、神経しんけいのう接続せつぞくされている部位ぶいのうから部位ぶい)によって、あたまがわからがわじゅんになるようにけられた番号ばんごうでもばれる。脳神経のうしんけい番号ばんごうはローマ数字すうじあらわすことがおおい。

脳神経のうしんけい一覧いちらん

[編集へんしゅう]
番号ばんごうによる名称めいしょう 解剖かいぼうがくてき名称めいしょう 機能きのうがくてき分類ぶんるい 役割やくわり
だいI脳神経のうしんけい 神経しんけい 嗅覚きゅうかく
だいII脳神経のうしんけい 視神経ししんけい 視覚しかく
だいIII脳神経のうしんけい どう神経しんけい うんふく 眼球がんきゅう運動うんどうそとすじ瞳孔どうこう括約筋かつやくきんもうさまたいすじ
だいIV脳神経のうしんけい 滑車かっしゃ神経しんけい うん 眼球がんきゅう運動うんどううえはすすじ
だいV脳神経のうしんけい 三叉みつまた神経しんけい うん 顔面がんめんはなくち知覚ちかく咀嚼そしゃく運動うんどう
だいVI脳神経のうしんけい そとてん神経しんけい うん 眼球がんきゅう運動うんどうそとじきすじ
だいVII脳神経のうしんけい 顔面がんめん神経しんけい うんふく 表情ひょうじょうすじ運動うんどうしたぜん2/3の味覚みかく涙腺るいせん唾液腺だえきせん分泌ぶんぴつ
だいVIII脳神経のうしんけい 内耳ないじ神経しんけい 聴覚ちょうかく平衡へいこうさとし、(前庭ぜんてい神経しんけい蝸牛かぎゅう神経しんけい
だいIX脳神経のうしんけい したのど神経しんけい うんふく した1/3の知覚ちかく味覚みかく唾液腺だえきせん分泌ぶんぴつ
だいX脳神経のうしんけい 迷走めいそう神経しんけい うんふく 頭部とうぶや頸部,胸部きょうぶ腹部ふくぶ骨盤こつばんのぞく)の内臓ないぞう知覚ちかく運動うんどう分泌ぶんぴつ
だいXI脳神経のうしんけい ふく神経しんけい うん むねくさりちち突筋そうぼうすじ運動うんどう
だいXII脳神経のうしんけい した神経しんけい うん したすじ運動うんどう
  • 機能きのうがくてき分類ぶんるい略称りゃくしょう 知覚ちかく神経しんけいうん運動うんどう神経しんけいふくふく交感神経こうかんしんけい
  • 脳神経のうしんけいだいI〜だいXII神経しんけいまで存在そんざいし、だいIII脳神経のうしんけいだいXII脳神経のうしんけいまでは脳幹のうかんから発生はっせいしているが発生はっせいもと部位ぶいことなる。だいIII、だいIV脳神経のうしんけいちゅうのうだいV〜だいVIII脳神経のうしんけいはしだいIX〜だいXII脳神経のうしんけい延髄えんずいから、それぞれ発生はっせいしている。だいVII脳神経のうしんけい以降いこうとく下位かい脳神経のうしんけいぶが[1]下位かい脳神経のうしんけい障害しょうがい表現ひょうげんしたときはだいIX〜だいXI脳神経のうしんけい障害しょうがいおも[2][3]
  • 神経しんけい視神経ししんけい厳密げんみつには中枢ちゅうすう神経しんけい延長えんちょうであるが、歴史れきしてき末梢まっしょう神経しんけいふくめてかんがえられている。
  • この12ついが、のうから神経しんけいのすべてというわけではない。おわり神経しんけいすきはな神経しんけいなど、上記じょうきの12ついふくまれない脳神経のうしんけい存在そんざいする。人間にんげんでは退化たいかしているが動物どうぶつではよく発達はったつしており、フェロモンをかん役目やくめがあるといわれている。
  • 魚類ぎょるい両生類りょうせいるい脳神経のうしんけいは10ついであるとされる。

脳神経のうしんけい障害しょうがい関連かんれん疾患しっかん

[編集へんしゅう]
だいI脳神経のうしんけい
神経しんけい障害しょうがいされると嗅覚きゅうかく障害しょうがいしょうじる。たとえば転落てんらく後頭部こうとうぶ打撲だぼくなどによる外傷がいしょうや、ずいまくえんなどの炎症えんしょうせい疾患しっかん、嗅神経しんけいみぞずいまくしゅなどの脳腫瘍のうしゅよう原因げんいんとなることがおおい。
だいII脳神経のうしんけい
視神経ししんけい障害しょうがいされると視覚しかく異常いじょうしょうじる。
両側りょうがわ神経しんけい完全かんぜん傷害しょうがいされると全盲ぜんもうになる。しかし、部分ぶぶんてき障害しょうがいによっても多様たよう視覚しかく障害しょうがいしょうじる。原因げんいん疾患しっかんとしては交叉こうさ圧迫あっぱくする下垂かすいたい腺腫せんしゅのう血管けっかん障害しょうがいおおい。その場合ばあい障害しょうがい部位ぶいにもよるが、りょうみみがわせいはんめくら交叉こうさ外側そとがわからの圧迫あっぱくによる)、同名どうめいはんめくら放線ほうせん障害しょうがいによる)などがしょうじる。
だいIII脳神経のうしんけい
どう神経しんけい麻痺まひによりたいひかり反射はんしゃ輻輳ふくそう反射はんしゃ消失しょうしつしょうじる。また外側そとがわじきすじうえはすすじ以外いがいすじ麻痺まひによるふくもよくきる。原因げんいん疾患しっかんとしてはのう動脈どうみゃくこぶとくうち頸動みゃくこう交通こうつう動脈どうみゃく分岐ぶんきのうそこ動脈どうみゃくうえ小脳しょうのう動脈どうみゃく分岐ぶんきしょうじたもの)、脳腫瘍のうしゅようのう梗塞こうそく糖尿とうにょうびょうおおい。
だいV脳神経のうしんけい
三叉みつまた神経しんけい麻痺まひにより顔面がんめん知覚ちかく消失しょうしつする。また、咬筋の麻痺まひこる。
だいVI脳神経のうしんけい
そとてん神経しんけい麻痺まひどう神経しんけい同調どうちょうしてこることもあるが、どう神経しんけい滑車かっしゃ神経しんけいくらべて走行そうこうする距離きょりながいため、そとてん神経しんけい単独たんどく麻痺まひ頻度ひんどたかい。どう神経しんけい同様どうよう眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいしょうじる。ただしこの場合ばあい支配しはいすじであるそとじきすじ麻痺まひにより文字通もじどお眼球がんきゅうがいてん運動うんどう障害しょうがいしょうじ、障害しょうがいがわ眼球がんきゅううち転位てんいをとることがおおい。
だいVII脳神経のうしんけい
顔面がんめん神経しんけい麻痺まひはその支配しはいいきすじ影響えいきょうするので、顔面がんめん表情ひょうじょう影響えいきょうする。また顔面がんめん神経しんけい支配しはいいきしたにもおよんでいるので、味覚みかくにも障害しょうがいる。原因げんいん疾患しっかんとしてはもっと頻度ひんどたかいのがベル麻痺まひ末梢まっしょうせい顔面がんめん神経しんけい麻痺まひ)とのう血管けっかん障害しょうがい中枢ちゅうすうせい顔面がんめん神経しんけい麻痺まひ)である。聴神経ちょうしんけい腫瘍しゅよう摘出てきしゅつ手術しゅじゅつさい障害しょうがいされるれいもある。
だいVIII脳神経のうしんけい
内耳ないじ神経しんけい聴神経ちょうしんけい)の障害しょうがい前庭ぜんてい神経しんけい場合ばあい平衡へいこう感覚かんかく消失しょうしつ蝸牛かぎゅう神経しんけい場合ばあい内耳ないじ神経しんけい文字通もじどお聴覚ちょうかく障害しょうがいしょうじる。
だいIX脳神経のうしんけい
味覚みかく障害しょうがいしょうじる。ただし、顔面がんめん神経しんけいした前部ぜんぶ2/3に分布ぶんぷしているのにたいし、したのど神経しんけいした後部こうぶ1/3に分布ぶんぷしているので、したすべての味覚みかく障害しょうがいされるわけではない(※くわしくは、専門せんもんしょ参考さんこうにされたし)。したのど神経しんけい単体たんたい障害しょうがいしょうじることは非常ひじょうまれで、通常つうじょうではきん迷走めいそう神経しんけい障害しょうがいだいX脳神経のうしんけい)をともな[1]
だいX脳神経のうしんけい
迷走めいそう神経しんけいは、中枢ちゅうすう末梢まっしょうともに広範囲こうはんいわたって分布ぶんぷする。したがって、迷走めいそう神経しんけい障害しょうがいは、傷害しょうがいされる部位ぶいによって問題もんだいとなる状態じょうたいことなってくる。内臓ないぞう走行そうこうする内臓ないぞうえだがなんらかの傷害しょうがいされた場合ばあい消化しょうかかん蠕動ぜんどう運動うんどう障害しょうがいしょうじることがある。また、中枢ちゅうすうちか場所ばしょ障害しょうがいされると、嚥下えんか困難こんなん嘔吐おうと反射はんしゃ障害しょうがいしょうじることがある。これをたま麻痺まひぶ。
だいXI脳神経のうしんけい
ふく神経しんけい単独たんどく障害しょうがい非常ひじょうにまれで、だいIX、X、XII脳神経のうしんけい障害しょうがいともなうことがおお[1]
だいXII脳神経のうしんけい
した神経しんけい迷走めいそう神経しんけいおなじく、嚥下えんか反射はんしゃ嘔吐おうと反射はんしゃ関与かんよしている。したがって、した神経しんけい傷害しょうがいはこれらに相当そうとうするいずれの反射はんしゃにも障害しょうがいしょうじる。
なお、延髄えんずい生命せいめい維持いじ活動かつどう最低限さいていげん必要ひつよう構造こうぞうであるといわれる所以ゆえんは、延髄えんずいおこりはじめとするこれらの神経しんけいが、以上いじょうのようにいずれも呼吸こきゅうせい吐、嘔吐おうと循環じゅんかん関与かんよしているからである、とかんがえられる。

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 佐久間さくまとおる下位かい脳神経のうしんけい解剖かいぼう病変びょうへん耳鼻咽喉科じびいんこうか展望てんぼう,44:1; p.59, 2001
  2. ^ 島田しまだほか「したむせ迷走めいそう神経しんけい障害しょうがいをともなったChurg-Strauss症候群しょうこうぐんの1れい臨床りんしょう神経しんけいがく52かん7ごう (2012)
  3. ^ 河野こうのみちひろし 静脈じょうみゃくあな神経しんけいさやしゅ手術しゅじゅつについて

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]