ペルオキシアシルナイトレート

ペルオキシアシルナイトレートの一般いっぱん構造こうぞう式しき

ペルオキシアセチルニトラートは最もっとも多おおく存在そんざいするペルオキシアシルナイトレートである。

ペルオキシアシルナイトレート（Peroxyacyl nitrates、PAN）は、呼吸こきゅう器きと目めを刺激しげきする光化学こうかがくスモッグの成分せいぶんである。

概要がいよう

PANはペルオキシラジカルと二酸化にさんか窒素ちっその反応はんのうで作つくられる。たとえばペルオキシアセチルナイトレート：${\ce {CH3COOONO2}}$ は、

炭化たんか水素すいそ ${\ce {+\ O2\ +NO2\ +}}$ 光ひかり ${\ce {-> CH3COOONO2}}$

一般いっぱん反応はんのう式しきは、

${\ce {C_xH_yO3\ + NO2 -> C_xH_yO3NO2}}$

PANは毒性どくせいと刺激しげき性せいの両方りょうほうの性質せいしつがあり、オゾンよりも水みずに溶とけやすい。十じゅう億おく分ぶんの一いちのような超ちょう低てい濃度のうどでも目めを刺激しげきする。高こう濃度のうどになると広範囲こうはんいの植物しょくぶつに影響えいきょうを及およぼす。PANとその塩化えんか物ぶつは変異へんい原ばらとも呼よばれ、皮膚ひふ癌がんの原因げんいんになっている。PANは発電はつでん所しょや内燃ないねん機関きかんから直接ちょくせつ排出はいしゅつされるわけではなく、大気たいき中ちゅうでの化学かがく反応はんのうで生成せいせいするので二に次じ汚染おせん物質ぶっしつである。フリーラジカルの反応はんのうは日光にっこうからの紫外線しがいせんによって触媒しょくばいされ、炭化たんか水素すいそがアルデヒドやケトン、そしてジカルボニル化合かごう物ぶつとなり、これらは二に次じ反応はんのうによりペルオキシラジカルを生しょうじ、二酸化にさんか窒素ちっそと反応はんのうしてPANを形成けいせいする。

ほとんどのペルオキシラジカルはペルオキシアセチルであり、アセトアルデヒドや様々さまざまなケトンのラジカル酸化さんか、メチルグリオキサールやジアセチルのようなジカルボニル化合かごう物ぶつの光ひかり分解ぶんかいによって生しょうじる。

PANは大気たいき中ちゅうでゆっくりとラジカルと二酸化にさんか窒素ちっそに分解ぶんかいするので、都市としや工業こうぎょう地帯ちたいから遠とおくまで輸送ゆそうされる。PANは窒素ちっそ酸化さんか物ぶつをオゾンが効率こうりつ的てきに生成せいせいする場所ばしょまで輸送ゆそうするので対流圏たいりゅうけんのオゾン生成せいせいにとって重要じゅうようである。