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条約じょうやく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本国にっぽんこく魯西こくどおりこう条約じょうやく原文げんぶん外務省がいむしょう外交がいこう史料しりょうかんくら

条約じょうやく(じょうやく、えい: Treaty)は、文書ぶんしょによる国家こっかあいだ合意ごうい[1]である。国際こくさいほうもとづいて成立せいりつする合意ごういであり、国家こっかおよび国際こくさい機構きこう拘束こうそくする国際こくさいてき文書ぶんしょ条約じょうやくであるとせまかい場合ばあいもある[2]

現代げんだいでは当事とうじしゃ能力のうりょくつのは独立どくりつ国家こっかくわえて公的こうてき国際こくさい機構きこうがあり、国際こくさい連盟れんめい(1920ねん-1946ねん)および国際こくさい連合れんごう(1945ねん-現在げんざい)などの国際こくさい機関きかん締結ていけつ主体しゅたいとなり[2]当事とうじこく原則げんそくとして、当事とうじこく憲法けんぽうないし基本きほんほうにおける手続てつづき制約せいやくもとづいて、国際こくさいほう禁止きんししない一切いっさい内容ないようを、交渉こうしょうによって自由じゆう作成さくせいすることができる[2]

合意ごういした文書ぶんしょには、「条約じょうやく」という名称めいしょう以外いがいに「協約きょうやく」「協定きょうてい」「規約きやく」「憲章けんしょう」「宣言せんげん」「交換こうかん公文こうぶん」「議事ぎじろく」「議定ぎていしょ」などの名称めいしょう使用しようされるが、名称めいしょうことなることによって効力こうりょく優劣ゆうれつがあるわけではない(詳細しょうさい後述こうじゅつ[2]外務省がいむしょう設置せっちほうでは、これら広義こうぎ条約じょうやくを「国際こくさい約束やくそく」としょうしている[3]

概説がいせつ[編集へんしゅう]

歴史れきしうえ確認かくにんされているもっとふる条約じょうやくは、国家こっかあいだでの交渉こうしょうはじまった紀元前きげんぜん2400ねんごろ、古代こだいメソポタミアにおけるラガシュ・ウンマ戦争せんそうにおいて都市とし国家こっかラガシュウンマあいだ締結ていけつされた国境こっきょう画定かくていのための条約じょうやくであるといわれ、国境こっきょうには両者りょうしゃめにもとづいて石碑せきひてられたとされている[2]

条約じょうやくほうかんする一般いっぱん条約じょうやくである条約じょうやくほうかんするウィーン条約じょうやく条約じょうやくほう条約じょうやく[ちゅう 1])では、条約じょうやく以下いかのように定義ていぎしている。

だいじょう1
(a)「条約じょうやく」とは、くにあいだにおいて文書ぶんしょ形式けいしきにより締結ていけつされ、国際こくさいほうによつて規律きりつされる国際こくさいてき合意ごうい単一たんいつ文書ぶんしょによるものであるか関連かんれんする以上いじょう文書ぶんしょによるものであるかをわず、また、名称めいしょうのいかんをわない。)をいう。

名称めいしょうのいかんをわない」としているのは、国家こっかあいだなどでむすばれる個別こべつ文書ぶんしょによる合意ごうい広義こうぎの「条約じょうやく」)には、形式けいしきについての統一とういつてき規則きそくがなく、各種かくしゅ名称めいしょうもちいられているためである[4]広義こうぎ条約じょうやくには狭義きょうぎ条約じょうやく(treaty、convention、れい生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやく以外いがいに、協定きょうてい(convention,、agreement、accord、れいWTO設立せつりつ協定きょうてい)、議定ぎていしょ(protocol、れい京都きょうと議定ぎていしょ)、宣言せんげん(declaration)、憲章けんしょう(charter、constitution、れい国際こくさい連合れんごう憲章けんしょう)、規約きやく(covenant)、盟約めいやく(pact)、決定けっていしょ(act)、規程きてい(statute)、ごく(arrangement)、暫定ざんてい協定きょうてい(modus vivendi)、交換こうかん公文こうぶん(exchange of notes)、交換こうかん書簡しょかん(exchange of letters)、合意ごうい覚書おぼえがき(memorandum of agreement)、合意ごうい議事ぎじろく(agreed minutes)とう様々さまざま名称めいしょうつものがある[4]。これらは法的ほうてき拘束こうそくりょくにおいて相違そういはないが、おも慣習かんしゅうによって使つかけられているもので、たとえば、議定ぎていしょ一般いっぱん既存きそん条約じょうやく補完ほかんする条約じょうやく名称めいしょうとしてもちいられる(れい京都きょうと議定ぎていしょ気候きこう変動へんどうわくぐみ条約じょうやく補完ほかんする内容ないようつ)。

なお、条約じょうやくほう条約じょうやくは「国際こくさいほうによって規律きりつされる(だい2じょう)」という要件ようけん規定きていしている。したがって国家こっかあいだ合意ごういであっても、国際こくさいほうではなくその国家こっか国内こくないほうによって規律きりつされる私法しほうじょう契約けいやく同様どうよう合意ごういこりるが、このような合意ごうい条約じょうやくほう条約じょうやく適用てきよう範囲はんいがいである[5]

こくあいだ条約じょうやく多国たこくあいだ条約じょうやく[編集へんしゅう]

こくあいだ条約じょうやく[編集へんしゅう]

こくあいだ条約じょうやく場合ばあい政府せいふ代表だいひょう署名しょめいおこなった時点じてん効力こうりょくはっする行政ぎょうせい協定きょうてい英語えいごばん行政ぎょうせいごく[ちゅう 2]あるいは簡易かんい協定きょうていと、議会ぎかいによる批准ひじゅんとう承認しょうにんけてはじめて発効はっこう手順てじゅん批准ひじゅんしょ寄託きたくとう)をむことのできる通常つうじょう協定きょうてい[ちゅう 3]がある。いずれの場合ばあいにおいても、こくあいだ協定きょうていにおいて「加入かにゅう」するという手続てつづきむことはない。すなわち、行政ぎょうせい協定きょうてい行政ぎょうせいごく)の場合ばあい政府せいふ代表だいひょうあいだ相互そうご署名しょめいおこなうことで当該とうがい協定きょうてい締結ていけつしたことになるが、通常つうじょう協定きょうてい場合ばあい相互そうご政府せいふ代表だいひょうしゃによる署名しょめいに、議会ぎかいによる批准ひじゅんとう承認しょうにんるまで当該とうがい協定きょうてい発効はっこうしないことになる。

たとえば日本にっぽん場合ばあい日米にちべい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやく安保あんぽ条約じょうやく)は議会ぎかい承認しょうにん必要ひつような「通常つうじょう協定きょうてい」にたり、2007ねん8がつ閣議かくぎ決定けってい署名しょめい締結ていけつされた「秘密ひみつ軍事ぐんじ情報じょうほう保護ほごのための秘密ひみつ保持ほじ措置そちかんする日本国にっぽんこく政府せいふアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとのあいだ協定きょうてい」(GSOMIA)は「行政ぎょうせい協定きょうてい行政ぎょうせいごく)」にたる。これらのこくあいだ条約じょうやくは、いずれも加入かにゅう対象たいしょうとならない。

多国たこくあいだ条約じょうやく[編集へんしゅう]

多国たこくあいだ条約じょうやく場合ばあい政府せいふ代表だいひょうあいだでの批准ひじゅんしょ交換こうかんという手続てつづきらず、わりに国連こくれん条約じょうやくきょく専門せんもん機関きかん地域ちいきあいだ条約じょうやくなどを管理かんり運営うんえいする事務じむきょく条約じょうやく作成さくせい政府せいふなどが、批准ひじゅんしょ受諾じゅだくしょ加入かにゅうしょとう寄託きたくける仲介ちゅうかい機関きかん寄託きたくしゃ)の役割やくわりになう。

条約じょうやく締結ていけつ[編集へんしゅう]

締結ていけつ方法ほうほう[編集へんしゅう]

国家こっか条約じょうやく拘束こうそくされることへの同意どうい表明ひょうめいする方法ほうほうとしては、署名しょめい批准ひじゅん加入かにゅう受諾じゅだく承認しょうにんひとしがあり、これらは締結ていけつ総称そうしょうされる。締結ていけつ具体ぐたいてき方法ほうほうかく条約じょうやく規定きていされており、複数ふくすう方法ほうほうみとめられる場合ばあいもあれば、特定とくてい方法ほうほう指定していされていることもある。表明ひょうめい代表だいひょうしゃ個人こじんたいする脅迫きょうはく、その行為こういによる場合ばあい、その条約じょうやく絶対ぜったいてき無効むこうとなる。国家こっかそのものにたいする強制きょうせいによるときは、かつて一般いっぱん有効ゆうこうほぐされてきた。しかし、武力ぶりょく禁止きんしうた国連こくれん憲章けんしょう2じょう2が条約じょうやくほう条約じょうやく52じょう準用じゅんようされることになった。条約じょうやくほう条約じょうやくは4じょう原則げんそく遡及そきゅうしないが、通説つうせつとして憲章けんしょう成立せいりつ条約じょうやく遡及そきゅう適用てきようされるとほぐされており、このことは草案そうあんにおける国際こくさいほう委員いいんかい注釈ちゅうしゃく明記めいきされてもいる。もちろん、侵略しんりゃくこくたいする強制きょうせいはこのかぎりでない。武力ぶりょくではない強制きょうせいについては、「条約じょうやく締結ていけつにおける軍事ぐんじてき政治せいじてきまたは経済けいざいてき強制きょうせい禁止きんしかんする宣言せんげん」が条約じょうやく本文ほんぶんべつに、最終さいしゅう議定ぎていしょ一部いちぶとして採択さいたくされた[6]

署名しょめいしょめい/えい: signature[編集へんしゅう]

条約じょうやくにおける署名しょめいには、つぎの2種類しゅるい意味いみがある。
  1. 条約じょうやく内容ないよう確定かくていしたときに、全権ぜんけん委任いにんされた国家こっか代表だいひょうしゃ通常つうじょう代表だいひょうだん首席しゅせき代表だいひょう)が条約じょうやく内容ないよう公式こうしき確認かくにんした証拠しょうことして記名きめいすることをす。条約じょうやく内容ないよう署名しょめいによって確定かくていし、以後いご正式せいしき手続てつづきによる場合ばあい以外いがい内容ないよう修正しゅうせいすることはできない。
  2. 国家こっか条約じょうやく締結ていけつするさい手続てつづき一環いっかんとしておこなわれ、国家こっか条約じょうやく拘束こうそくされる意思いし表明ひょうめいするものである。多数たすうこくあいだ条約じょうやくは、通常つうじょう作成さくせいされたのち一定いってい期間きかん作成さくせいされた、または、関連かんれん国際こくさい機関きかんとうにおいて署名しょめいのために開放かいほうされる。条約じょうやく締結ていけつするための手続てつづきとしては、署名しょめい批准ひじゅん加入かにゅう受諾じゅだく承認しょうにんとうがある。このうち、署名しょめい文字通もじどお署名しょめいのみによって条約じょうやく締結ていけつするものであるが、現在げんざい主要しゅよう条約じょうやくにおいてこの方法ほうほうられることはほとんどない。また、批准ひじゅんおよ受諾じゅだくは、署名しょめいおこなうことにより国家こっか将来しょうらいてき条約じょうやく拘束こうそくされる意思いし条約じょうやく内容ないようたいする基本きほんてき賛意さんい)を表明ひょうめいしたのちに、国会こっかいによる承認しょうにんなどの所要しょよう国内こくない手続てつづきとう条約じょうやく締結ていけつする手続てつづきである。
1998ねん国連こくれん外交がいこう会議かいぎ採択さいたくされた国際こくさい刑事けいじ裁判所さいばんしょローマ規程きてい場合ばあい2000ねん12月31にち後者こうしゃ意味いみでの署名しょめい期限きげんであった。この条約じょうやく場合ばあいは、アメリカがすべみで期限きげん当日とうじつ署名しょめいおこない、署名しょめいこく仲間入なかまいりをたしたが、2002ねんの5がつにはこれを撤回てっかいした。署名しょめい撤回てっかい国際こくさいほうじょう問題もんだいのない行為こういではあるものの、慣習かんしゅうじょうはほとんどれいのない行為こういである。
日本にっぽん場合ばあい後者こうしゃ意味いみでの署名しょめいおこなさいには、事前じぜん閣議かくぎ決定けってい必要ひつようなため、署名しょめいおこなうのは重要じゅうよう条約じょうやくかぎられる傾向けいこうがある。

批准ひじゅんひじゅん/えい: ratification[編集へんしゅう]

一般いっぱんに、「批准ひじゅん」は、署名しょめいをした条約じょうやく内容ないようについて国家こっか最終さいしゅう確認かくにんおこない、条約じょうやく拘束こうそくされることについて同意どういあたえることをす。署名しょめいのちに、国会こっかいあるいは議会ぎかい承認しょうにんとう所定しょてい国内こくない手続てつづきにより条約じょうやく同意どういすることの確認かくにんおこない、批准ひじゅんしょ作成さくせいする。
こくあいだ条約じょうやく場合ばあいは、相手あいてこく批准ひじゅんしょ交換こうかんして条約じょうやく発効はっこうする。また、多数たすうこくあいだ条約じょうやく場合ばあい会議かいぎ開催かいさいこく政府せいふあるいは国際こくさい機関きかん寄託きたくしゃ)に批准ひじゅんしょ寄託きたくすることで効力こうりょく発生はっせいする。
署名しょめいした条約じょうやく国家こっか批准ひじゅんするかどうかは、信義しんぎじょう問題もんだいはあるものの、法的ほうてきには自由じゆうである。
署名しょめいした条約じょうやくであっても、当事とうじこく議会ぎかい否決ひけつすることもある。条約じょうやく締結ていけつする手続てつづきとしては、批准ひじゅんのほかに、受諾じゅだく承認しょうにん加入かにゅうとうがあり、どのような手続てつづきにより締結ていけつすることができるかは条約じょうやく文書ぶんしょちゅう規定きていされているが、政治せいじてき重要じゅうよう条約じょうやくでは、批准ひじゅんによらなければならないとしているものがおおい(れい包括ほうかつてきかく実験じっけん禁止きんし条約じょうやく)。このような条約じょうやく批准ひじゅん条約じょうやくという。また、複数ふくすう締結ていけつ手続てつづきさだめられている場合ばあいであっても、政治せいじてき重要じゅうよう条約じょうやくについては、締結ていけつ手続てつづきとして批准ひじゅん選択せんたくすることがおおい。
条約じょうやくほう条約じょうやくにいう「批准ひじゅん」は国際こくさいほうじょう批准ひじゅんである、条約じょうやく拘束こうそくされることについてのくに同意どうい国際こくさいてき表明ひょうめいする国際こくさいてき行為こういであって、その同意どういは、批准ひじゅんしょ交換こうかんまたは寄託きたくによって確定かくていてきなものになる[7]
日本国にっぽんこく憲法けんぽうじょうの「批准ひじゅん」は、「条約じょうやくとして署名しょめい調印ちょういんされた国家こっかあいだ合意ごうい承認しょうにんし、条約じょうやくとなるべき国家こっか意思いし確定かくていさせるための行為こうい」であるとされており、これをおこな権能けんのう内閣ないかくぞくし、天皇てんのう日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい7じょう8ごうもとづいて批准ひじゅんしょ認証にんしょうする(国事こくじ行為こうい)。批准ひじゅんは、天皇てんのう批准ひじゅんしょ認証にんしょう完成かんせいする要式ようしき行為こういである[7]

加入かにゅうかにゅう/えい: accession[編集へんしゅう]

加入かにゅうは、条約じょうやく署名しょめいをしていない場合ばあいに、条約じょうやく規定きてい拘束こうそくされる意思いしがあることを正式せいしき宣言せんげんする行為こうい具体ぐたいてきには、国会こっかいあるいは議会ぎかい承認しょうにんとう所定しょてい国内こくない手続てつづきにより条約じょうやく拘束こうそくされることに同意どういすることの確認かくにんおこない、加入かにゅうしょ作成さくせいし、会議かいぎ開催かいさいこく政府せいふあるいは国際こくさい機関きかん加入かにゅうしょ寄託きたくすることで確定かくていされる。
日本にっぽん場合ばあい手続てつづき容易よういせいから、批准ひじゅんよりも加入かにゅう手続てつづきをむことにより、条約じょうやく拘束こうそくされる意思いし表明ひょうめいする場合ばあいおおい。また、署名しょめいのために開放かいほうされる期間きかん終了しゅうりょうしたのち条約じょうやく締結ていけつする場合ばあいには、条約じょうやく署名しょめいすることはできないので、必然ひつぜんてき批准ひじゅんとうではなく加入かにゅうとう手続てつづきることになる。

受諾じゅだくじゅだく/えい: acceptance[編集へんしゅう]

受諾じゅだく基本きほんてき批准ひじゅんちか手続てつづきである。
日本にっぽん場合ばあい批准ひじゅんしょには天皇てんのう認証にんしょう必要ひつようとされるのにたいして、受諾じゅだくしょ作成さくせい場合ばあい不要ふようであるてん相違そういする。[8]このため、近年きんねん重要じゅうよう条約じょうやく締結ていけつするさいにも、批准ひじゅんえて受諾じゅだく手続てつづきられることがおおい(れい京都きょうと議定ぎていしょ)。
効力こうりょく発生はっせいのために必要ひつようとされる国内こくない手続てつづき完了かんりょうしたことを確認かくにんする通告つうこくまた公文こうぶん交換こうかん)。
自由じゆう貿易ぼうえき協定きょうてい社会しゃかい保障ほしょう協定きょうていとう場合ばあいくににより議会ぎかい承認しょうにん必要ひつよう場合ばあい行政府ぎょうせいふかぎりで可能かのう場合ばあいがあるため、批准ひじゅん受諾じゅだくのように双方そうほう同一どういつ形式けいしきおこなえない場合ばあいがある。このようなときに、効力こうりょく発生はっせいのために必要ひつようとされる国内こくない手続てつづき完了かんりょうしたことを通知つうち通告つうこくまた公文こうぶん交換こうかん)の形式けいしきがとられることがある。(れい図書としょかんする日本国にっぽんこく政府せいふ大韓民国だいかんみんこく政府せいふとのあいだ協定きょうてい)。

留保りゅうほりゅうほ/えい: reservation解釈かいしゃく宣言せんげんかいしゃくせんげん/えい: declaration[編集へんしゅう]

留保りゅうほは、条約じょうやく締結ていけつにあたって、一部いちぶ条文じょうぶん規定きてい拘束こうそくされない意思いし表明ひょうめいする行為こういであり、解釈かいしゃく宣言せんげんは、条約じょうやく締結ていけつにあたって、条約じょうやく特定とくてい条文じょうぶんについてのそのくに解釈かいしゃく対外たいがいてきあきらかにする宣言せんげんである[9]留保りゅうほ解釈かいしゃく宣言せんげんみとめることは、条約じょうやく運用うんよう柔軟じゅうなんせいたかめ、おおくのくに締結ていけつうなが効果こうかがあるが、その反面はんめん条約じょうやく本来ほんらい意義いぎげんじることにもなりかねず、留保りゅうほ解釈かいしゃく宣言せんげんおこなったくにたいして内外ないがいから批判ひはんせられることがある。日本にっぽんが、留保りゅうほおよ解釈かいしゃく宣言せんげんおこなっているれいとしては、国際こくさい人権じんけん規約きやく児童じどう権利けんりかんする条約じょうやくがある。

多数たすうこくあいだ条約じょうやく発効はっこう[編集へんしゅう]

多数たすうこくあいだむすばれる条約じょうやく場合ばあい条約じょうやく発効はっこうする要件ようけんとして、批准ひじゅんしょ加入かにゅうしょとう寄託きたくしたくに一定いっていすうたっするとう所定しょてい条件じょうけんたしたときにはじめて締約ていやくこくたいして効力こうりょくしょうずるのが通例つうれいである。条約じょうやく発効はっこう要件ようけん条約じょうやく規定きていちゅう記載きさいされているのがつねである。
条約じょうやく発効はっこう要件ようけんによっては、各国かっこく批准ひじゅん加入かにゅうひとし進行しんこうじょうきょう政治せいじをとりまく状況じょうきょう変化へんかにより条約じょうやく署名しょめいから発効はっこうまでにすうねんからじゅうすうねんようするものや、発効はっこうのままでわるものもある。近年きんねんのこのようなれいとしては、包括ほうかつてきかく実験じっけん禁止きんし条約じょうやくなどがある。包括ほうかつてきかく実験じっけん禁止きんし条約じょうやくれいでは、1996ねん国連こくれん総会そうかい採択さいたくされたが、2008ねん時点じてんでは条件じょうけんたしておらず条約じょうやく発効はっこうしていない。
条約じょうやく発効はっこう条約じょうやく締結ていけつしたくにたいする効力こうりょく発生はっせいについても、それぞれの条約じょうやくさだめられており、通常つうじょう批准ひじゅんしょとう寄託きたく同時どうじ効力こうりょく発生はっせいするか、寄託きたくから一定いってい期間きかん経過けいか効力こうりょく発生はっせいするとしているものがおおい。

枠組わくぐみ条約じょうやく[編集へんしゅう]

枠組わくぐみ条約じょうやくは、基本きほんてき構成こうせい意志いし決定けっていメカニズムのみをさだめた条約じょうやくで、具体ぐたいてき内容ないよう議定ぎていしょとう展開てんかいされる。
れい気候きこう変動へんどうわくぐみ条約じょうやくたばこ規制きせいわくぐみ条約じょうやく

条約じょうやく国内こくないほう関係かんけい[編集へんしゅう]

学説がくせつ対立たいりつ[編集へんしゅう]

国内こくないほう国際こくさいほう関係かんけいについては二元論にげんろん一元論いちげんろんなどが主張しゅちょうされている[4]

  • 二元論にげんろん(dualism)
    二元論にげんろんはドイツのトリーペルやイタリアのアンツィロッティが主張しゅちょうした理論りろんで、国内こくないほう国際こくさいほうとは次元じげんことなる別個べっこ法体ほうたいけいであり抵触ていしょくする関係かんけいにはないとする立場たちば[4]二元論にげんろんでは条約じょうやく国内こくないてき効力こうりょくをもつには国内こくないほうとしてえる手続てつづき必要ひつようする[4]
  • 一元論いちげんろん(monism)
    一元論いちげんろん国際こくさいほう国内こくないてきにも適用てきようされるほう規範きはんであるとする立場たちば[4]
    • 国内こくないほう優位ゆういろん
      国内こくないほう国際こくさいほう優位ゆういするとする立場たちば
    • 国際こくさいほう優位ゆういろん
      国際こくさいほう国内こくないほう優位ゆういするとする立場たちば
  • 等位とうい理論りろん
    国際こくさいほう国内こくないほう等位とうい関係かんけいにあり、各国かっこく義務ぎむ抵触ていしょく調整ちょうせいする義務ぎむっており、その解決かいけつ各国かっこく裁判所さいばんしょとうゆだねられているとする立場たちば[4]

条約じょうやく国内こくないてき効力こうりょく[編集へんしゅう]

国際こくさいほうのうち、えいべいほうくにでは慣習かんしゅう国際こくさいほうについては国内こくない措置そちをとらなくても国内こくないほうとしての効力こうりょくみとめており、日本にっぽんでも「確立かくりつされた国際こくさい法規ほうき」(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい98じょう2こう)は特別とくべつ変型へんけい手続てつづきくても国内こくないほうとしての法的ほうてき拘束こうそくりょくみとめる[4]

これにたいし、一般いっぱん条約じょうやく国内こくないほう秩序ちつじょへの編入へんにゅう方式ほうしきには、国際こくさいほう直接的ちょくせつてき国内こくないてき効力こうりょくみとめず国内こくないほうでの別個べっこ立法りっぽう措置そち必要ひつようとする変型へんけい方式ほうしき(イギリス、カナダなど)と、国際こくさいほうにそのまま直接的ちょくせつてき国内こくないてき効力こうりょくみとめる一般いっぱんてき受容じゅよう方式ほうしき(アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、日本にっぽんなど)がある[4]

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい73じょうだい1こうだい3ごうは、条約じょうやく締結ていけつすることを内閣ないかく職務しょくむとしており、事前じぜんに、時宜じぎによっては事後じごに、国会こっかい承認しょうにんることを必要ひつようとするとしている。日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい73じょうだい1こうだい3ごうにいう条約じょうやく国会こっかい承認しょうにん条約じょうやく)とは、法律ほうりつ事項じこうふくむもの、財政ざいせい事項じこうふくむもの、その政治せいじてき重要じゅうようであり、それゆえ発効はっこうのために批准ひじゅん必要ひつようとすることが締約ていやくこくあいだ合意ごういされている国際こくさい約束やくそくをいう[10][1]。また、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい98じょうは「日本にっぽんこく締結ていけつした条約じょうやくおよ確立かくりつされた国際こくさい法規ほうきは、これを誠実せいじつ遵守じゅんしゅすることを必要ひつようとする。」としている。日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい98じょうだい2こうにいう「条約じょうやく」は、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい73じょうだい1こうだい3ごうにいう「条約じょうやく」よりもひろく、日本にっぽん締結ていけつしたすべての国際こくさい約束やくそくをいう[10]締結ていけつした条約じょうやくは、天皇てんのう国事こくじ行為こういとして公布こうふおこなう(憲法けんぽうだい7じょう)。

条約じょうやく優劣ゆうれつ[編集へんしゅう]

国内こくないほう秩序ちつじょにおける条約じょうやく優劣ゆうれつ各国かっこくことなる。

  • 一部いちぶ条約じょうやく憲法けんぽう優位ゆういする効力こうりょくみとめているくに(オランダ、オーストリア)[4]
  • 条約じょうやく憲法けんぽうたいしては劣位れつい法律ほうりつたいしては優位ゆういする効力こうりょくみとめているくに日本にっぽん、フランスなど)[4]
  • 条約じょうやく法律ほうりつ等位とうい効力こうりょくとするくに(アメリカ、スイス、韓国かんこくなど)[4][11]
  • 条約じょうやく憲法けんぽう議会ぎかい制定せいていほう抵触ていしょくしないかぎ国法こくほうじょう効力こうりょくゆうするとするくに(ナミビア、みなみアフリカ)[4]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 条約じょうやくほうかんするウィーン条約じょうやくを「条約じょうやくほう条約じょうやく」、くに国際こくさい機関きかんとのあいだまた国際こくさい機関きかん相互そうごあいだ条約じょうやくについてのほうかんするウィーン条約じょうやくを「国際こくさい機関きかん条約じょうやくほう条約じょうやく」、条約じょうやくについての国家こっか承継しょうけいかんするウィーン条約じょうやくを「条約じょうやく承継しょうけい条約じょうやく」とそれぞれ表記ひょうきするのが一般いっぱんてきである(国際こくさいほう事例じれい研究けんきゅうかい(2001)vぺーじ)。
  2. ^ えい: executive agreementadministrative arrangement
  3. ^ えい: conventional agreement

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 長谷部はせべ恭男やすお(2008)395ぺーじ
  2. ^ a b c d e 經塚きょうづか(2004)
  3. ^ 中内なかうち 康夫やすお参議院さんぎいん常任じょうにん委員いいんかい調査ちょうさしつ特別とくべつ調査ちょうさしつ外交がいこう防衛ぼうえい委員いいんかい調査ちょうさしつ) (2020ねん11月). “国会こっかい承認しょうにんようする「条約じょうやく」の範囲はんい現在げんざい運用うんよう国会こっかい議論ぎろんとなった事例じれい考察こうさつ”. 参議院さんぎいん. 2024ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさかい事務じむきょく (2004ねん4がつ). “憲法けんぽう国際こくさいほうとくに、人権じんけん国際こくさいてき保障ほしょう)」にかんする基礎きそてき資料しりょう”. 衆議院しゅうぎいん. 2017ねん3がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ 国際こくさいほう事例じれい研究けんきゅうかい(2001)5ぺーじ
  6. ^ いえ正治しょうじ、「1970年代ねんだいにおける国際こくさい連合れんごう」 『神戸市外国語大学こうべしがいこくごだいがく外国がいこくがく研究けんきゅう』 2かん p.113-133, 1976-03-31, NAID 120005657364, 神戸市外国語大学こうべしがいこくごだいがく外国がいこくがく研究所けんきゅうじょ
  7. ^ a b 国際こくさいほう事例じれい研究けんきゅうかい(2001)15ぺーじ
  8. ^ 参議院さんぎいん会議かいぎろく情報じょうほう だい055かい国会こっかい 外務がいむ委員いいんかい だい16ごう
  9. ^ 衆議院しゅうぎいん会議かいぎろく情報じょうほう だい126かい国会こっかい 外務がいむ委員いいんかい だい7ごう
  10. ^ a b 国際こくさいほう事例じれい研究けんきゅうかい(2001)10ぺーじ
  11. ^ 韓国かんこくほうからかんがえる、近年きんねんにちかん関係かんけい齟齬そごについて”. www.jicl.jp. 2021ねん10がつ8にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]