条約
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概説 [編集 ]
第 二 条 1- (a)「
条約 」とは、国 の間 において文書 の形式 により締結 され、国際 法 によつて規律 される国際 的 な合意 (単一 の文書 によるものであるか関連 する二 以上 の文書 によるものであるかを問 わず、また、名称 のいかんを問 わない。)をいう。
「
なお、
二 国 間 条約 と多国 間 条約 [編集 ]
二 国 間 条約 [編集 ]
多国 間 条約 [編集 ]
条約 の締結 [編集 ]
締結 の方法 [編集 ]
署名 ()/英 : signature[編集 ]
条約 における署名 には、次 の2種類 の意味 がある。条約 の内容 が確定 したときに、全権 を委任 された国家 の代表 者 (通常 は代表 団 の首席 代表 )が条約 の内容 を公式 に確認 した証拠 として記名 することを指 す。条約 の内容 は署名 によって確定 し、以後 、正式 な手続 による場合 以外 は内容 を修正 することはできない。国家 が条約 を締結 する際 の手続 の一環 として行 われ、国家 が条約 に拘束 される意思 を表明 するものである。多数 国 間 条約 は、通常 、作成 された後 の一定 期間 、作成 された地 、または、関連 国際 機関 等 において署名 のために開放 される。条約 を締結 するための手続 としては、署名 、批准 、加入 、受諾 、承認 等 がある。このうち、署名 は文字通 り署名 のみによって条約 を締結 するものであるが、現在 、主要 な条約 においてこの方法 が取 られることはほとんどない。また、批准 及 び受諾 は、署名 を行 うことにより国家 が将来 的 に条約 に拘束 される意思 (条約 の内容 に対 する基本 的 な賛意 )を表明 した後 に、国会 による承認 などの所要 の国内 手続 等 を経 て条約 を締結 する手続 である。
- 1998
年 に国連 の外交 会議 で採択 された国際 刑事 裁判所 ローマ規程 の場合 、2000年 の12月31日 が後者 の意味 での署名 の期限 であった。この条約 の場合 は、アメリカが滑 り込 みで期限 当日 に署名 を行 い、署名 国 の仲間入 りを果 たしたが、2002年 の5月 にはこれを撤回 した。署名 の撤回 は国際 法 上 は問題 のない行為 ではあるものの、慣習 上 はほとんど例 のない行為 である。 日本 の場合 、後者 の意味 での署名 を行 う際 には、事前 に閣議 決定 が必要 なため、署名 を行 うのは重要 な条約 に限 られる傾向 がある。
批准 ()/英 : ratification[編集 ]
一般 に、「批准 」は、署名 をした条約 の内容 について国家 が最終 確認 を行 い、条約 に拘束 されることについて同意 を与 えることを指 す。署名 の後 に、国会 あるいは議会 の承認 を得 る等 の所定 の国内 手続 により条約 に同意 することの確認 を行 い、批准 書 を作成 する。二 国 間 の条約 の場合 は、相手 国 と批准 書 を交換 して条約 が発効 する。また、多数 国 間 条約 の場合 は会議 開催 地 国 の政府 あるいは国際 機関 (寄託 者 )に批准 書 を寄託 することで効力 が発生 する。署名 した条約 を国家 が批准 するかどうかは、信義 上 の問題 はあるものの、法的 には自由 である。署名 した条約 であっても、当事 国 の議会 が否決 することもある。条約 を締結 する手続 としては、批准 のほかに、受諾 、承認 、加入 等 があり、どのような手続 により締結 することができるかは条約 文書 中 に規定 されているが、政治 的 に重要 な条約 では、批准 によらなければならないとしているものが多 い(例 :包括 的 核 実験 禁止 条約 )。このような条約 を批准 条約 という。また、複数 の締結 手続 が定 められている場合 であっても、政治 的 に重要 な条約 については、締結 の手続 として批准 を選択 することが多 い。条約 法 条約 にいう「批准 」は国際 法 上 の批准 である、条約 に拘束 されることについての国 の同意 を国際 的 に表明 する国際 的 な行為 であって、その同意 は、批准 書 の交換 または寄託 によって確定 的 なものになる[7]。日本国 憲法 上 の「批准 」は、「条約 として署名 調印 された国家 間 の合意 を承認 し、条約 となるべき国家 意思 を確定 させるための行為 」であるとされており、これを行 う権能 は内閣 に属 し、天皇 が日本国 憲法 第 7条 8号 に基 いて批准 書 を認証 する(国事 行為 )。批准 は、天皇 の批准 書 の認証 時 に完成 する要式 行為 である[7]。
加入 ()/英 : accession[編集 ]
加入 は、条約 に署名 をしていない場合 に、条約 の規定 に拘束 される意思 があることを正式 に宣言 する行為 。具体 的 には、国会 あるいは議会 の承認 を得 る等 の所定 の国内 手続 により条約 に拘束 されることに同意 することの確認 を行 い、加入 書 を作成 し、会議 開催 地 国 の政府 あるいは国際 機関 に加入 書 を寄託 することで確定 される。日本 の場合 、手続 の容易 性 から、批准 よりも加入 の手続 きを踏 むことにより、条約 に拘束 される意思 を表明 する場合 が多 い。また、署名 のために開放 される期間 が終了 した後 に条約 を締結 する場合 には、条約 に署名 することはできないので、必然 的 に批准 等 ではなく加入 等 の手続 を取 ることになる。
受諾 ()/英 : acceptance[編集 ]
受諾 は基本 的 に批准 に近 い手続 である。日本 の場合 、批准 書 には天皇 の認証 が必要 とされるのに対 して、受諾 書 の作成 の場合 は不要 である点 で相違 する。[8]このため、近年 は重要 な条約 を締結 する際 にも、批准 に代 えて受諾 の手続 が取 られることが多 い(例 :京都 議定 書 )。
効力 発生 のために必要 とされる国内 手続 が完了 したことを確認 する通告 (又 は公文 の交換 )。自由 貿易 協定 や社会 保障 協定 等 の場合 、国 により議会 承認 が必要 な場合 と行政府 限 りで可能 な場合 があるため、批准 や受諾 のように双方 が同一 の形式 を行 えない場合 がある。このようなときに、効力 発生 のために必要 とされる国内 手続 が完了 したことを通知 通告 (又 は公文 の交換 )の形式 がとられることがある。(例 :図書 に関 する日本国 政府 と大韓民国 政府 との間 の協定 )。
留保 ()/英 : reservation、解釈 宣言 ()/英 : declaration[編集 ]
留保 は、条約 の締結 にあたって、一部 の条文 の規定 に拘束 されない意思 を表明 する行為 であり、解釈 宣言 は、条約 の締結 にあたって、条約 の特定 の条文 についてのその国 の解釈 を対外 的 に明 らかにする宣言 である[9]。留保 や解釈 宣言 を認 めることは、条約 の運用 の柔軟 性 を高 め、多 くの国 の締結 を促 す効果 があるが、その反面 で条約 本来 の意義 を減 じることにもなりかねず、留保 や解釈 宣言 を行 った国 に対 して内外 から批判 が寄 せられることがある。日本 が、留保 及 び解釈 宣言 を行 っている例 としては、国際 人権 規約 や児童 の権利 に関 する条約 がある。
多数 国 間 条約 の発効 [編集 ]
多数 国 間 で結 ばれる条約 の場合 、条約 が発効 する要件 として、批准 書 ・加入 書 等 を寄託 した国 が一定 数 に達 する等 の所定 の条件 を満 たしたときに初 めて締約 国 に対 して効力 を生 ずるのが通例 である。条約 発効 の要件 は条約 の規定 中 に記載 されているのが常 である。条約 の発効 要件 によっては、各国 の批准 ・加入 等 の進行 状 況 や政治 をとりまく状況 の変化 により条約 の署名 から発効 までに数 年 から十 数 年 を要 するものや、未 発効 のままで終 わるものもある。近年 のこのような例 としては、包括 的 核 実験 禁止 条約 などがある。包括 的 核 実験 禁止 条約 の例 では、1996年 に国連 総会 で採択 されたが、2008年 時点 では条件 を満 たしておらず条約 は発効 していない。条約 の発効 後 に条約 を締結 した国 に対 する効力 の発生 についても、それぞれの条約 で定 められており、通常 、批准 書 等 の寄託 と同時 に効力 を発生 するか、寄託 から一定 期間 経過 後 に効力 を発生 するとしているものが多 い。
枠組 条約 [編集 ]
条約 と国内 法 の関係 [編集 ]
学説 の対立 [編集 ]
二元論 (dualism)一元論 (monism)一元論 は国際 法 は国内 的 にも適用 される法 規範 であるとする立場 [4]。
国内 法 優位 論 国内 法 は国際 法 に優位 するとする立場 。
国際 法 優位 論 国際 法 は国内 法 に優位 するとする立場 。
等位 理論 国際 法 と国内 法 は等位 の関係 にあり、各国 は義務 の抵触 を調整 する義務 を負 っており、その解決 は各国 の裁判所 等 に委 ねられているとする立場 [4]。
条約 の国内 的 効力 [編集 ]
これに
条約 の優劣 [編集 ]
一部 の条約 に憲法 に優位 する効力 を認 めている国 (オランダ、オーストリア)[4]条約 に憲法 に対 しては劣位 、法律 に対 しては優位 する効力 を認 めている国 (日本 、フランスなど)[4]条約 を法律 と等位 の効力 とする国 (アメリカ、スイス、韓国 など)[4][11]条約 は憲法 や議会 制定 法 に抵触 しない限 り国法 上 の効力 を有 するとする国 (ナミビア、南 アフリカ)[4]
脚注 [編集 ]
注釈 [編集 ]
出典 [編集 ]
- ^ a b
長谷部 恭男 (2008)395頁 。 - ^ a b c d e
經塚 (2004) - ^
中内 康夫 (参議院 常任 委員 会 調査 室 ・特別 調査 室 ・外交 防衛 委員 会 調査 室 ) (2020年 11月). “国会 の承認 を要 する「条約 」の範囲 ―現在 の運用 と国会 で議論 となった事例 の考察 ―”.参議院 . 2024年 6月 21日 閲覧 。 - ^ a b c d e f g h i j k l m
衆議院 憲法 調査 会 事務 局 (2004年 4月 ). “「憲法 と国際 法 (特 に、人権 の国際 的 保障 )」に関 する基礎 的 資料 ”.衆議院 . 2017年 3月 3日 閲覧 。 - ^
国際 法 事例 研究 会 (2001)5頁 。 - ^
家 正治 、「1970年代 における国際 連合 」 『神戸市外国語大学 外国 学 研究 』 2巻 p.113-133, 1976-03-31, NAID 120005657364,神戸市外国語大学 外国 学 研究所 - ^ a b
国際 法 事例 研究 会 (2001)15頁 。 - ^
参議院 会議 録 情報 第 055回 国会 外務 委員 会 第 16号 - ^
衆議院 会議 録 情報 第 126回 国会 外務 委員 会 第 7号 - ^ a b
国際 法 事例 研究 会 (2001)10頁 。 - ^ “
韓国 法 から考 える、近年 の日 韓 関係 の齟齬 について”. www.jicl.jp. 2021年 10月 8日 閲覧 。
参考 文献 [編集 ]
經塚 作太郎 著 「条約 」、小学館 編 『日本 大 百科全書 』小学 館 〈スーパーニッポニカProfessional Win版 〉、2004年 2月 。ISBN 4099067459。大藤 (原岡 )紀子 、「条約 の解釈 に関 するフランスConseild'Etatの判例 変更 について」『一 橋 研究 』 17巻 4号 p.19-40, doi:10.15057/5892,一 橋 研究 編集 委員 会 長谷部 恭男 『憲法 第 4版 』、新 世 社 、東京 、2008年 国際 法 事例 研究 会 (横田 洋三 他 )『日本 の国際 法 事例 研究 (5)条約 法 』、慶應義塾大学 出版 会 株式会社 、東京 、2001年 祖 川 武夫 ・小田 滋 『日本 の裁判所 による国際 法 判例 』、三省堂 、東京 、1991年
関連 項目 [編集 ]
外部 リンク[編集 ]
- 『
条約 』 - コトバンク - データベース「
世界 と日本 」 条約 データ検索 -外務省