障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく
通称つうしょう略称りゃくしょう 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく
署名しょめい 2007ねん9がつ28にち
署名しょめい場所ばしょ ニューヨーク
発効はっこう 2008ねん5がつ3にち
寄託きたくしゃ 国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょう
文献ぶんけん情報じょうほう 平成へいせい26ねん1がつ22にち官報かんぽう号外ごうがいだい13ごう条約じょうやくだい1ごう
言語げんご アラビア中国ちゅうごく英語えいごフランス語ふらんすごロシアスペイン
おも内容ないよう あらゆる障害しょうがいしゃ身体しんたい障害しょうがい知的ちてき障害しょうがいおよび精神せいしん障害しょうがいひとし)の、尊厳そんげん権利けんり保障ほしょうする
条文じょうぶんリンク 条約じょうやく本文ほんぶん (PDF, 日本語にほんご) - 外務省がいむしょう
テンプレートを表示ひょうじ
障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく批准ひじゅん署名しょめいじょうきょう
  条約じょうやく締約ていやくこく
  条約じょうやく署名しょめい、しかし批准ひじゅんくに
  条約じょうやく署名しょめい批准ひじゅんくに

障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく(しょうがいしゃのけんりにかんするじょうやく、英語えいご: Convention on the Rights of Persons with Disabilities)は、あらゆる障害しょうがいしゃ身体しんたい障害しょうがい知的ちてき障害しょうがいおよび精神せいしん障害しょうがいなど)の、尊厳そんげん権利けんり保障ほしょうするための条約じょうやくである。

日本国にっぽんこく政府せいふによる翻訳ほんやくも「障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく」である。以下いか原則げんそくとして「障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく」の表記ひょうきもちいる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

この条約じょうやくは、21世紀せいきでははつ国際こくさい人権じんけんほうもとづく人権じんけん条約じょうやくであり、2006ねん12月13にちだい61かい国連こくれん総会そうかいにおいて採択さいたくされた。日本国にっぽんこく政府せいふ署名しょめいは、2007ねん9がつ28にちであった。2008ねん4がつ3にちまでに中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくサウジアラビアふくむ20ヵ国かこく批准ひじゅんし、2008ねん5がつ3にち発効はっこうした[1]。2023ねん2がつ現在げんざい批准ひじゅんこくは190カ国かこくである。なお欧州おうしゅう連合れんごうは、2010ねん12月23にち組織そしきとして集団しゅうだん批准ひじゅんした[2]

2013ねん12月4にち日本にっぽん参議院さんぎいんほん会議かいぎは、障害しょうがいしゃ基本きほんほう障害しょうがいしゃ差別さべつ解消かいしょうほう成立せいりつともない、国内こくない法律ほうりつ条約じょうやくもとめる水準すいじゅんたっしたとして、条約じょうやく批准ひじゅん承認しょうにんした[3]日本にっぽん批准ひじゅんは2014ねん1がつ20にちけで、国際こくさい連合れんごう事務じむきょく承認しょうにんされている。

障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく採択さいたくまでの経緯けいい[編集へんしゅう]

コンセンサス採択さいたく[編集へんしゅう]

2001ねん12月、だい56かい国連こくれん総会そうかいにおいてメキシコ提案ていあんで「障害しょうがいしゃ権利けんりおよ尊厳そんげん保護ほご促進そくしんするための包括ほうかつてき総合そうごうてき国際こくさい条約じょうやく外務省がいむしょうやく)」決議けつぎあんをコンセンサスで56/168で採択さいたくした[4]しょ提案ていあんについて検討けんとうするために障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかい設置せっち作業さぎょう10日間にちかん会合かいごう最低さいてい1かい開催かいさいすることとなった。

障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかい(アドホック委員いいんかい)の開催かいさい[編集へんしゅう]

ぜん8かい開催かいさいされ、障害しょうがいのあるひとやく70カ国かこくから参加さんかした。

  • 2001ねん12月 メキシコ提案ていあん決議けつぎあん採択さいたくだい56かい国連こくれん総会そうかい
  • 2002ねん7がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい1かい会合かいごう
  • 2003ねん6がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい2かい会合かいごう
  • 2004ねん1がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく起草きそう作業さぎょう部会ぶかい
  • 2004ねん5がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい3かい会合かいごう
  • 2004ねん8がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい4かい会合かいごう
  • 2005ねん1がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい5かい会合かいごう
  • 2005ねん8がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい6かい会合かいごう
  • 2006ねん1がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい7かい会合かいごう
  • 2006ねん8がつ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい8かい会合かいごう
  • 2006ねん12月5にち 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特別とくべつ委員いいんかいだい8かい会合かいごう再開さいかい会期かいきにおいて採択さいたく

委員いいんかい採択さいたく経過けいか日本にっぽん政府せいふ対応たいおう中心ちゅうしんに)[編集へんしゅう]

  • 2006ねん12月13にち 国連こくれん総会そうかいにおいて採択さいたく
  • 2007ねん 9がつ28にち高村たかむら正彦まさひこ外務がいむ大臣だいじん当時とうじ)が署名しょめい
  • 2008ねん 5がつ 3にち 発効はっこう
  • 2013ねん12月 4にち 参議院さんぎいんほん会議かいぎが、障害しょうがいしゃ基本きほんほう障害しょうがいしゃ差別さべつ解消かいしょうほう成立せいりつともない、国内こくない法律ほうりつ条約じょうやくもとめる水準すいじゅんたっしたとして、条約じょうやく批准ひじゅん承認しょうにん
  • 2014ねん 1がつ20日はつか 批准ひじゅんしょ寄託きたく
  • 2014ねん 2がつ19にち 日本にっぽんについて効力こうりょく発生はっせい

障害しょうがいしゃ活動かつどうのロビーイング[編集へんしゅう]

障害しょうがいしゃ世界せかいネットワークである、II、RI、WNUSP、WBU、世界せかいろう連盟れんめい(WFD)、WFB、DPIが集結しゅうけつIDA国際こくさい障害しょうがい同盟どうめいつくり、そこからIDC国際こくさい障害しょうがいコーカスを結成けっせいし、中心ちゅうしんになってロビーイング活動かつどうおこなった。ハンディキャップ・インターナショナル(en:Handicap International)も条約じょうやく作成さくせい参加さんかした。

障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特徴とくちょう[編集へんしゅう]

条約じょうやく基本きほんてきかんがかた[編集へんしゅう]

障害しょうがいしゃかんするほうは、リハビリテーション福祉ふくし観点かんてんからかんがえることがおおいが、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく国際こくさい人権じんけんほうもとづいて人権じんけん視点してんからかんがえてつくられた。その前文ぜんぶんにおいては、「すべての人権じんけん基本きほんてき自由じゆう普遍ふへんてきであり、不可分ふかぶんであり、相互そうご依存いぞんし、相互そうご関連かんれんしている」((c)こう)というウィーン宣言せんげんおよ行動こうどう計画けいかく基本きほん原則げんそくさい確認かくにんされ、障害しょうがいのあるひとおおくが、差別さべつ乱用らんよう貧困ひんこんさらされていて、とく女性じょせいおんな家庭かてい内外ないがいでの暴力ぼうりょくネグレクト搾取さくしゅひとしにさらされやすい現状げんじょうにあることを指摘してきし、個人こじん個人こじんとその個人こじんぞくする社会しゃかいたいして義務ぎむい、国際こくさい人権じんけんほうさだめられた人権じんけん増進ぞうしんおよ擁護ようごのために努力どりょくする責任せきにんがあると認識にんしきし、(つづ要約ようやく家族かぞくによる貢献こうけんとそのため保護ほごおよ支援しえん国際こくさい条約じょうやくによる社会しゃかい是正ぜせいならびに機会きかい均等きんとう参加さんか)を確信かくしんしてつぎのとおり協定きょうていした、と明記めいきしている。

リハビリテーションでは、障害しょうがいがためによる生活せいかつじょうこまかんをできさせるようにさせることを目的もくてきとした訓練くんれんをすることをさすため、結果けっかてきには人権じんけん侵害しんがいにもなりうる。障害しょうがい個人こじんではなく社会しゃかいにあるといった視点してんからの条約じょうやくである。

さらに、われわれのことを我々われわれきで勝手かってめるな!英語えいごばん」(英語えいご: Nothing about us without us!うスローガンをかかげたこと画期的かっきてきであり、障害しょうがいしゃ視点してんからつくられた条約じょうやくであることも特徴とくちょうてきである。

当事とうじしゃ自尊心じそんしん自己じこ決定けっていけん重視じゅうしや、不可侵ふかしんせいインテグリティ)の保護ほご雇用こよう医療いりょうける機会きかいふくめた生活せいかつのあらゆる場面ばめんにおける差別さべつ禁止きんし障害しょうがいつことに由来ゆらいする社会しゃかいからの隔離かくり孤立こりつ防止ぼうし、その個性こせいちがいを尊重そんちょうされたうえでの被選挙権ひせんきょけんをもふくめた社会しゃかい参加さんか権利けんり、さらに医学いがくてき乱用らんよう実験じっけんからの保護ほごインフォームド・コンセント権利けんり、さらに成人せいじん教育きょういく生涯しょうがい学習がくしゅう当事とうじしゃたいする社会しゃかい全体ぜんたい偏見へんけんステレオタイプたたか意識いしき向上こうじょう政策せいさく必要ひつようせい強調きょうちょうなど一連いちれん国際こくさい人権じんけんほうなかで、とう条約じょうやくと「ジョグジャカルタ原則げんそく」のみに共通きょうつうする事項じこうおおい。

一般いっぱんてき原則げんそく[編集へんしゅう]

だい3じょうでは、固有こゆう尊厳そんげん個人こじん自律じりつ自己じこ選択せんたくおこな自由じゆうふくむ。)およひと自立じりつ尊重そんちょう差別さべつ社会しゃかいへの完全かんぜんかつ効果こうかてき参加さんかおよインクルージョン差異さい尊重そんちょうならびに人間にんげん多様たようせいおよ人間にんげんせい一部いちぶとしての障害しょうがいのあるひと受容じゅよう機会きかい平等びょうどうアクセシビリティ男女だんじょ平等びょうどう障害しょうがいのあるどもの発達はったつしつつある能力のうりょく尊重そんちょうおよ障害しょうがいのあるどもがそのアイデンティティ保持ほじする権利けんり尊重そんちょう。を一般いっぱんてき原則げんそくとしている。(わけ日本にっぽん障害しょうがいフォーラム 長瀬ながせおさむ 川島かわじまから引用いんよう

国内こくない人権じんけん機関きかん[編集へんしゅう]

障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい33じょうにはパリ原則げんそくもとづく国内こくない人権じんけん機関きかん(NHRIs)が明文化めいぶんかされており、この条文じょうぶん障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく特徴とくちょうである。また、だい34じょう障害しょうがいのあるひと権利けんりかんする委員いいんかいには障害しょうがいのあるひと参加さんか考慮こうりょすることとなっている。

障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく条文じょうぶん[編集へんしゅう]

だい1じょう 目的もくてき[編集へんしゅう]

この条約じょうやくは、すべての障害しょうがいしゃによるあらゆる人権じんけんおよ基本きほんてき自由じゆう完全かんぜんかつ平等びょうどう享有きょうゆう促進そくしんし、保護ほごし、およ確保かくほすることならびに障害しょうがいしゃ固有こゆう尊厳そんげん尊重そんちょう促進そくしんすることを目的もくてきとする。 障害しょうがいしゃには、長期ちょうきてき身体しんたいてき精神せいしんてき知的ちてきまた感覚かんかくてき機能きのう障害しょうがいであって、様々さまざま障壁しょうへきとの相互そうご作用さようによりものとの平等びょうどう基礎きそとして社会しゃかい完全かんぜんかつ効果こうかてき参加さんかすることをさまたるものをゆうするものふくむ。

だい2じょう 定義ていぎ[編集へんしゅう]

とう条約じょうやく目的もくてきため以下いかのように用語ようごについて定義ていぎする。「コミュニケーション」には、点字てんじ触覚しょっかくによる、または言語げんごによらないコミュニケーション平易へいい言語げんごげ、補助ほじょてきおよ代替だいたいてき意思いし疎通そつう様式ようしき手段しゅだんおよ形態けいたい利用りよう可能かのう情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつよるものもふくむ。「言語げんご」には、手話しゅわその形態けいたい音声おんせい言語げんごふくむ。「障害しょうがいによる差別さべつ」とは、障害しょうがい理由りゆうとしたまんにんたいする、政治せいじけん経済けいざいけん社会しゃかいけん文化ぶんかけん市民しみんけんぜん分野ぶんやにわたる、人権じんけん基本きほんてき自由じゆうのあらゆる区別くべつ排除はいじょ制限せいげんを、さらに障害しょうがいのあるひとたいする合理ごうりてき配慮はいりょ欠如けつじょ意味いみする。「合理ごうりてき配慮はいりょ」とは障害しょうがいのあるひとひと同様どうよう人権じんけん基本きほんてき自由じゆう享受きょうじゅできるように、物事ものごと本質ほんしつえてしまったり、多大ただい負担ふたんいたりしないかぎりにおいて、配慮はいりょ調整ちょうせいおこなうことである。「ユニバーサルデザイン」とは障害しょうがいのあるひとふくめてすべてのひと利用りよう可能かのう生産せいさんぶつ環境かんきょう、サービスのデザインを意味いみする。

だい4じょう 一般いっぱんてき義務ぎむ[編集へんしゅう]

締約ていやくこくは、障害しょうがいのあるひと人権じんけん基本きほんてき自由じゆう実現じつげん促進そくしんのため、効果こうかてき政策せいさく実施じっしする。この条約じょうやく実現じつげんのため国内こくないほう制定せいてい改正かいせいおこない、すべての政策せいさく計画けいかくにおいて障害しょうがいのあるひと意思いし決定けってい反映はんえいされるようにする。この条約じょうやくあいいれない慣行かんこう廃絶はいぜつする。

だい6じょう 障害しょうがいのある女性じょせい[編集へんしゅう]

締約ていやくこくは、障害しょうがいのある女性じょせいおんなふくあいてき差別さべつけていることをみと適当てきとう立法りっぽうてき行政ぎょうせいてき措置そちをとる。

だい7じょう 障害しょうがいのあるども[編集へんしゅう]

締約ていやくこくは、障害しょうがいのあるどもがふくあいてき差別さべつけていることをみと適当てきとう立法りっぽうてき行政ぎょうせいてき措置そちをとる。

だい8じょう 意識いしき向上こうじょう[編集へんしゅう]

締約ていやくこくは、即時そくじ障害しょうがいのある人々ひとびとたいするステレオタイプ偏見へんけん因習いんしゅうたたかい、家族かぞくふく社会しゃかい全体ぜんたい意識いしき向上こうじょうための適切てきせつ立法りっぽうてき行政ぎょうせいてき措置そちをとる。

だい9じょう アクセシビリティ[編集へんしゅう]

締約ていやくこくは、すべての当事とうじしゃインターネットふくめたアクセシビリティ提供ていきょうおこなためのあらゆる適切てきせつ措置そちこうじ、それをさまたげる問題もんだい撤廃てっぱいする。

だい10じょう 生命せいめい権利けんり[編集へんしゅう]

条文じょうぶんでは「生命せいめい固有こゆう権利けんりみとめること、差別さべつしたり、権利けんり侵害しんがいしてはならないこと」とされている。障害しょうがいしゃころしたものへの減刑げんけいは、その障害しょうがいしゃ生命せいめいかるんじていることになりこれも生命せいめい差別さべつしていることになる。優生ゆうせいがくにおける障害しょうがいけも禁止きんしすることとしている。いわば、存在そんざいしないほう生命せいめいがあることになるからである。ぬことを前提ぜんていとした生活せいかつ禁止きんしされることとなる。

だい11じょう 緊急きんきゅう災害さいがいにおける安全あんぜん[編集へんしゅう]

障害しょうがいしゃのものとひとしく国際こくさい人道じんどうほう国際こくさい人権じんけんほうのっとり、武力ぶりょく紛争ふんそう天災てんさい火災かさいとうふくめた自然しぜん災害さいがいひとしにおける、避難ひなんルートの整備せいび安全あんぜん場所ばしょへの保護ほごおこなう。

だい12じょう ほうまえ平等びょうどう承認しょうにん[編集へんしゅう]

あらゆる場所ばしょほうまえひととして平等びょうどう承認しょうにんされることをさい承認しょうにんする。また、生活せいかつすべての側面そくめんにおいて個人こじん法的ほうてき能力のうりょく享受きょうじゅできることをみとめる。締約ていやくこくは、法的ほうてき能力のうりょく行使こうしかんして乱用らんようふせぐために国際こくさい人権じんけんほう沿って適切てきせつ効果こうかてき保護ほご提供ていきょうする。こうした保護ほご当事とうじしゃ権利けんり意思いし意向いこう尊重そんちょうし、利益りえき相反あいはん行為こうい過剰かじょう影響えいきょうけ、個人こじん状況じょうきょう均衡きんこう調整ちょうせいがなされ、正当せいとうで、独立どくりつした公正こうせい司法しほう機関きかんによる、定期ていきてき違憲いけん審査しんさせいされること。

だい13じょう 司法しほうへのアクセス[編集へんしゅう]

もの同様どうように、効果こうかてき司法しほう機関きかんとおしてから判断はんだんすること。また、捜査そうさ準備じゅんび段階だんかいふくめすべての法的ほうてき手続てつづきにおいて、証人しょうにんとしてもふく司法しほうへの参加さんか容易よういにするため、障害しょうがいのあるひと司法しほう手続てつづき年齢ねんれいじょう合理ごうりてき配慮はいりょおこなうこと。締約ていやくこく司法しほう機関きかんへのアクセスを支援しえんするため、警察官けいさつかん刑務けいむかんふくめた司法しほう機関きかん従事じゅうじする職員しょくいんたいする適切てきせつ訓練くんれん促進そくしんする。このだい13じょうだい12じょうとも国連こくれん薬物やくぶつ犯罪はんざい事務所じむしょによる人道じんどうじょう特別とくべつ必要ひつようせいのある囚人しゅうじんかんする手引てびきしょ[5]にも引用いんようされている。

だい14じょう 身体しんたい自由じゆう[編集へんしゅう]

身体しんたい拘束こうそくからの自由じゆうや、身体しんたい社会しゃかいなか個人こじんとして位置いちづけることとする。障害しょうがい治療ちりょう理由りゆうに、身体しんたい拘束こうそくしたり、隔離かくりしたり、めることはゆるされない。

だい17じょう 個人こじんのインテグリティの保護ほご[編集へんしゅう]

障害しょうがいのあるひとへの精神せいしんてき身体しんたいてき不可侵ふかしんせい(そのままであること)を保護ほごする。一切いっさい強制きょうせいみとめず、また、プライバシー人間にんげん関係かんけい所有しょゆうぶつすべ個人こじん所有しょゆうし、それをどういった理由りゆうでも他者たしゃ所有しょゆうしたり、記録きろくしたりすることをゆるされないこととする。

だい23じょう 家族かぞく[編集へんしゅう]

障害しょうがいのあるひとが、もの平等びょうどうに、結婚けっこん養子ようし縁組えんぐみふくめて家族かぞくきず権利けんり保証ほしょうする。障害しょうがい理由りゆうとした断種だんしゅから保護ほごされること。[6]

だい24じょう 教育きょういく[編集へんしゅう]

障害しょうがいのあるひと成人せいじん教育きょういく生涯しょうがい学習がくしゅうふくめて、インクルージョン教育きょういく制度せいどした良質りょうしつ教育きょういくけられる公平こうへい機会きかいあたえられること。個人こじん必要ひつようとされる合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうされること。さらに障害しょうがいのあるひと教員きょういん採用さいようし、点字てんじ手話しゅわ学習がくしゅうやそれらの利用りようできる機会きかい確保かくほする。

だい25じょう 健康けんこう[編集へんしゅう]

ものとの平等びょうどう基礎きそとした、到達とうたつ可能かのう最高さいこう水準すいじゅん健康けんこう権利けんり実現じつげんのため障害しょうがいのあるひとへの医療いりょう保健ほけんなどの健康けんこうサービスを提供ていきょうする。障害しょうがいのあるひと参加さんかきわめて容易ようい立地りっちふくめた環境かんきょうつくる。障害しょうがい理由りゆうに、医療いりょう保健ほけんなどの健康けんこうサービスを拒否きょひされてはならない。医療いりょう保健ほけんなどの健康けんこうサービスは、提供ていきょうしゃ消費しょうひしゃ合意ごういによってなされるものとする。障害しょうがいのあるひと健康けんこう状態じょうたいわるくならないようにする。

だい26じょう ハビリテーションとリハビリテーション[編集へんしゅう]

締結ていけつこくは、ピアサポートふくめて、生活せいかつのあらゆる場面ばめん地方ちほう農村のうそんふくめ)での可能かのうかぎ最高さいこう自立じりつ身体しんたいてき精神せいしんてき社会しゃかいてきそして職業しょくぎょうてき能力のうりょく獲得かくとく維持いじのため、とりわけ健康けんこう雇用こよう教育きょういく社会しゃかいてきサービスの分野ぶんや包括ほうかつてきなハビリテーション(社会しゃかい参加さんか必要ひつよう能力のうりょく習得しゅうとく)とリハビリテーションのサービスとプログラムを構成こうせいし、強化きょうかさせる。それらは可能かのうかぎ早期そうきより実施じっしされ、当事とうじしゃ個人こじんのニーズと長所ちょうしょ学際がくさいてき評価ひょうかもとづいて実施じっしされること。

だい27じょう 仕事しごと雇用こよう[編集へんしゅう]

障害しょうがいのあるひとの、仕事しごとへの権利けんりみとめ、あらゆる形態けいたい雇用こようにかかるすべての事項じこうかんして障害しょうがい理由りゆうとする差別さべつ禁止きんしする。障害しょうがいのあるひとが、もの平等びょうどう公正こうせいこのましい条件じょうけん雇用こようされるよう、差別さべつ職場しょくばいじめから保護ほごし、苦情くじょうかんする法的ほうてき救済きゅうさいについて保障ほしょうする。さらにとく雇用こようされることが困難こんなんひとのためその個性こせい能力のうりょくおうじて独自どくじ自営業じえいぎょういとなむことや、独自どくじ起業きぎょう精神せいしんをも促進そくしんすること。公的こうてき部門ぶもんにおいて障害しょうがいのあるひと雇用こようすること。合理ごうりてき配慮はいりょ障害しょうがいのあるひと提供ていきょうされること。障害しょうがいのあるひと奴隷どれい状態じょうたい隷属れいぞく状態じょうたいかれないことおよび、もの平等びょうどう強制きょうせい労働ろうどうから保護ほごされることを保証ほしょうする。

だい28じょう 充分じゅうぶん生活せいかつ水準すいじゅんおよ社会しゃかい保障ほしょう[編集へんしゅう]

締約ていやくこく障害しょうがいのあるひととその家族かぞく十分じゅうぶん生活せいかつ水準すいじゅん生活せいかつ水準すいじゅん不断ふだん改善かいぜん享受きょうじゅする権利けんりみとめ、差別さべつなしに実現じつげんすることを保証ほしょうし、促進そくしんする。社会しゃかい保障ほしょうについて障害しょうがいのあるひと差別さべつなしに享受きょうじゅする権利けんりみとめその実現じつげん保障ほしょう促進そくしんのため適切てきせつ措置そちこうじる。

  • a)清潔せいけつみず障害しょうがいかんする必要ひつようせいおうじた適切てきせつなサービス、福祉ふくし機器ききその支援しえん利用りようできることを確保かくほする。
  • b)障害しょうがいのあるひととく女性じょせいおんな高齢こうれいしゃ社会しゃかい保障ほしょうおよ貧困ひんこん削減さくげん計画けいかくられることを確保かくほする。
  • c)貧困ひんこん状態じょうたい生活せいかつしている障害しょうがいしゃとその家族かぞく障害しょうがい関連かんれんする費用ひようかんして、カウンセリング休息きゅうそく介護かいごふくめて、くに支援しえんられることを確保かくほする。
  • d)障害しょうがいのあるひと公営こうえい住宅じゅうたく計画けいかく利用りようできることを確保かくほする。
  • e)障害しょうがいのあるひと退職たいしょく手当てあて計画けいかく平等びょうどうられることを確保かくほする。

だい30じょう 文化ぶんかてき生活せいかつ、レクリエーション、レジャーおよびスポーツへの参加さんか[編集へんしゅう]

締約ていやくこく障害しょうがいのあるひとひと平等びょうどうに、レクリエーションレジャースポーツふくめて文化ぶんかてき生活せいかつ参加さんかする権利けんりがあることをみとめ、とりわけ、「自己じこ利益りえきのみならず社会しゃかいゆたかにするためにも創造そうぞうてき芸術げいじゅつてき知的ちてき潜在せんざい能力のうりょくみが活用かつようする機会きかいあたえられるよう適切てきせつ措置そちをとる」こと、「手話しゅわ聴覚ちょうかく障害しょうがいのあるひと文化ぶんかふく独自どくじ文化ぶんかてきおよ言語げんごてきアイデンティティー」を承認しょうにんすることをもとめている。

だい49じょう まんにん利用りよう可能かのう様式ようしき[編集へんしゅう]

この条約じょうやくが、すべてのひと利用りよう可能かのう様式ようしき提供ていきょうされることをしるしている。

選択せんたく議定ぎていしょ[編集へんしゅう]

とう条約じょうやくには、この条約じょうやくはんした人権じんけん蹂躙じゅうりんけた個人こじんが、国連こくれん連合れんごう障害しょうがいのあるひと権利けんりかんする委員いいんかい通知つうちできることをさだめた「障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく選択せんたく議定ぎていしょ」(en: Optional Protocol to the Convention on the Rights of Persons with Disabilities)もある。

これは国際こくさい人権じんけん規約きやく女子じょしたいするあらゆる形態けいたい差別さべつ撤廃てっぱいかんする条約じょうやくといった、国際こくさい人権じんけん条約じょうやくかんする選択せんたく議定ぎていしょ参考さんこう制定せいていされ、経済けいざいてき社会しゃかいてきおよ文化ぶんかてき権利けんりかんする国際こくさい規約きやく選択せんたく議定ぎていしょ先駆さきが社会しゃかいけんについても個人こじん通達つうたつみとめたもので、2024ねん2がつ現在げんざい署名しょめいこくは94カ国かこく批准ひじゅんこくは106カ国かこくである。とりわけ欧州おうしゅう連合れんごう過半数かはんすう米州べいしゅう機構きこう加盟かめいこく多数たすう(20カ国かこく)は集団しゅうだん批准ひじゅんしている(日本にっぽん署名しょめい批准ひじゅん)。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ With 20 ratification, landmark disability treaty set to enter into force on 3 May
  2. ^ 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅんこく一覧いちらん
  3. ^ 山田やまだはじめ東洋大学とうようだいがく経済学部けいざいがくぶ教授きょうじゅ (2013ねん12月9にち). 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅん報道ほうどうされない不思議ふしぎ. ハフィントン・ポスト. http://www.huffingtonpost.jp/hajime-yamada/post_6368_b_4410007.html 2013ねん12がつ10日とおか閲覧えつらん 
  4. ^ A UN Convention on the Rights of Persons with Disabilities: The Next Step
  5. ^ Handbook on prisoners with special needs, pp. 47-48
  6. ^ Report of Special Rapporteur on torture and other cruel, inhuman or degrading treatment or punishment (A/HRC/22/53), para 57-70 この拷問ごうもんとう禁止きんしかんする国際こくさい連合れんごう人権じんけん理事りじかい特別とくべつ報告ほうこくかんの2013ねん2がつ1にちけの文書ぶんしょとく精神せいしん障害しょうがいしゃたいする当事とうじしゃ同意どういのない医療いりょう行為こうい医学いがくてき乱用らんよう絶対ぜったいてき禁止きんしし(para 89 (b))、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい4じょうまえて財政ざいせいじょう理由りゆうでこれを延期えんきしてはならないことを勧告かんこくしている。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]