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リハビリテーション

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

リハビリテーション英語えいご: rehabilitation)は、身体しんたいてき精神せいしんてき社会しゃかいてきもっとてきした生活せいかつ水準すいじゅん達成たっせい可能かのうとすることによって、各人かくじんみずからの人生じんせい変革へんかくしていくことを目指めざし、時間じかん限定げんていした過程かていである[1]

リハビリテーションの語源ごげんラテン語らてんごで、re(ふたたび)+ habilis(てきした)、すなわち「ふたたてきした状態じょうたいになること」[2]本来ほんらいあるべき状態じょうたいへの回復かいふく」などの意味いみつ。おな言葉ことばヒトぞく一種いっしゅであるホモ・ハビリスHomo habilis、「器用きようなヒト」)にももちいられる。に「権利けんり回復かいふく復権ふっけん」「犯罪はんざいしゃ社会しゃかい復帰ふっき」などからの意味合いみあいがある。

定義ていぎ

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  • WHO(世界せかい保健ほけん機関きかん)による定義ていぎ 1981ねん
    リハビリテーションは、能力のうりょく低下ていかやその状態じょうたい改善かいぜんし、障害しょうがいしゃ社会しゃかいてき統合とうごう達成たっせいするためのあらゆる手段しゅだんふくんでいる。
    リハビリテーションは障害しょうがいしゃ環境かんきょう適応てきおうするための訓練くんれんおこなうばかりでなく、障害しょうがいしゃ社会しゃかいてき統合とうごううなが全体ぜんたいとして環境かんきょう社会しゃかいくわえることも目的もくてきとする。
    そして、障害しょうがいしゃ自身じしん家族かぞく・そしてかれらのんでいる地域ちいき社会しゃかいが、リハビリテーションにかんするサービスの計画けいかく実行じっこうかかわりわなければならない。
  • 国際こくさい障害しょうがいしゃ世界せかい行動こうどう計画けいかくによる定義ていぎ 1982ねん[3]
    リハビリテーションとは、身体しんたいてき精神せいしんてき、かつまた社会しゃかいてきもっとてきした機能きのう水準すいじゅん達成たっせい可能かのうとすることによって、かく個人こじんがみずからの人生じんせい変革へんかくしていくための手段しゅだん提供ていきょうしていくことをめざし、かつ時間じかん限定げんていしたプロセスである。
  • 80年代ねんだい憲章けんしょう国際こくさい障害しょうがいしゃリハビリテーション協会きょうかい)の定義ていぎ[3]
    リハビリテーションとは、障害しょうがいをもった個人こじん援助えんじょし、可能かのうかぎりその機能きのう発揮はっきさせるように、そして社会しゃかいのなかにインテグレート(統合とうごう)させるように、医学いがくてき社会しゃかいてき教育きょういくてき職業しょくぎょうてきかく手段しゅだんわせて実行じっこうする過程かていである。
  • 地域ちいきリハビリテーション支援しえん活動かつどうマニュアルの定義ていぎ 1999ねん[4][3]
    リハビリテーションとは医療いりょう保険ほけん介護かいご保険ほけんでのサービスのひとつであるとともに、技術ぎじゅつであり、ひとつの思想しそうでもあります。また、リハビリテーションは、医学いがく教育きょういく職業しょくぎょう社会しゃかいなど、きわめて多角たかくてきなアプローチを必要ひつようとしています。さらにリハビリテーションとはなによりも人権じんけん問題もんだいであり、本来ほんらい人権じんけんをもたない障害しょうがいしゃくに社会しゃかい恩恵おんけい慈悲じひとして人権じんけん付与ふよするものではありません。ひとまれながらにしてもっている人権じんけんが、本人ほんにん障害しょうがい社会しゃかい制度せいど慣習かんしゅう偏見へんけんなどによってうしなわれた状態じょうたいから、本来ほんらいのあるべき姿すがた回復かいふくさせるのがリハビリテーションです。

内容ないよう

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日本にっぽんでは、リハビリテーションは病気びょうき外傷がいしょう原因げんいんしん機能きのう構造こうぞう障害しょうがい生活せいかつじょう支障ししょうしょうじたときに、個人こじんとそのひと生活せいかつする環境かんきょう対象たいしょうに、多数たすう専門せんもん職種しょくしゅ連携れんけいして問題もんだい解決かいけつ支援しえんする総合そうごうてきアプローチの総体そうたいをいう。医療いりょうとその関係かんけい分野ぶんや専門せんもんしょくおこなうリハビリテーションを医学いがくてきリハビリテーションとぶが、教育きょういく分野ぶんや職業しょくぎょう分野ぶんや社会しゃかい福祉ふくし分野ぶんやおこなわれるアプローチも医学いがくてきリハビリテーション以上いじょう重要じゅうようである。

しん機能きのう構造こうぞう障害しょうがいには、出生しゅっしょうまえあるいは出生しゅっしょう罹患りかんした病気びょうき外傷がいしょうによってきるのう脊髄せきずい末梢まっしょう神経しんけいなどの神経しんけいけいすじほね関節かんせつなどの運動うんどうけい呼吸こきゅうたまき消化しょうか内分泌ないぶんぴつなどの内臓ないぞうけい視覚しかく聴覚ちょうかく平衡へいこうさとしなどの感覚かんかくけい精神せいしん心理しんりなどの知的ちてき機能きのうけいなどにきる機能きのう構造こうぞう障害しょうがいふくむ。また障害しょうがいしん機能きのう構造こうぞうだけでなく、日常にちじょう生活せいかつ活動かつどう制限せいげん社会しゃかい生活せいかつへの参加さんか制約せいやくふくめる概念がいねんである。この概念がいねんは、障害しょうがいというものが個人こじん生活せいかつする家庭かてい学校がっこう職場しょくば近隣きんりん地域ちいき社会しゃかい行政ぎょうせいなどの環境かんきょうおおきく影響えいきょうけることをしめしている。このように障害しょうがい多岐たきにわたるので、医学いがくてきリハビリテーションはリハビリテーション専門医せんもんいリハビリテーション看護かんご理学りがく療法りょうほう作業さぎょう療法りょうほう言語げんご聴覚ちょうかくのう訓練くんれん臨床りんしょう心理しんり義肢ぎし装具そうぐ臨床りんしょう工学こうがく技士ぎし柔道じゅうどう整復せいふくソーシャルワーカーなど多数たすう専門せんもんしょく協業きょうぎょうによっておこなわれるべきものである。

医学いがくてきリハビリテーションでは障害しょうがい回復かいふく重要じゅうよう課題かだいだが、予防よぼうてきアプローチもおおきな比重ひじゅうめる。たとえば、外科げかひらきむね開腹かいふく手術しゅじゅつじゅつまえじゅつ直後ちょくごから呼吸こきゅうリハビリテーションおこなって合併症がっぺいしょう発生はっせい未然みぜんふせぐこと、ほね関節かんせつ手術しゅじゅつまえ手術しゅじゅつ直後ちょくごから筋力きんりょく増強ぞうきょうはかって術後じゅつご筋力きんりょく低下ていかふせ早期そうき自立じりつはかること、回復かいふく期待きたいできない進行しんこうせい疾患しっかんでも筋力きんりょく維持いじ練習れんしゅう進行しんこうおくらせ、悪性あくせいしん生物せいぶつがん肉腫にくしゅ)でも合併症がっぺいしょうふせ体力たいりょく維持いじ生活せいかつ活動かつどうせいたもつことなどである。

安全あんぜん対策たいさく

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リハビリテーションをける患者かんじゃというのは、いわゆる健常けんじょうしゃではないために、リハビリテーション実施じっしに、転倒てんとうなどにともな負傷ふしょうや、全身ぜんしん状態じょうたい悪化あっかなどがこる場合ばあいもあるということは考慮こうりょしておかねばならない。そもそも、元々もともと血行けっこう動態どうたい安定あんていしていない患者かんじゃ安静あんせいにおいても酸素さんそ飽和ほうわが90 %以下いかである患者かんじゃ体温たいおんが38 ℃をえている患者かんじゃなどにたいしては、リハビリテーションの実施じっし見合みあわせることが検討けんとうされる。さらに、リハビリテーション実施じっしちゅうにおいても、脈拍みゃくはく異常いじょう増加ぞうか血圧けつあつ急上昇きゅうじょうしょう不整脈ふせいみゃく発現はつげんはげしい息切いきぎれなどがあらわれた場合ばあいには、リハビリテーションの中止ちゅうしがなされたり、休憩きゅうけいれて患者かんじゃのバイタルの回復かいふくってから再開さいかいするといったこともあり[5]。また、精神せいしん安定あんていざい高血圧こうけつあつ治療ちりょうやくなどを服用ふくようしている患者かんじゃ場合ばあいは、転倒てんとうなどの事故じこのリスクががるとかんがえられるため注意ちゅういようする。このほか、あってはならないことではあるものの、患者かんじゃちがえてまった関係かんけいいリハビリテーションメニューを実施じっしするという事故じここりることもわすれてはならない。

リハビリテーションのチームアプローチ

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脳卒中のうそっちゅうのう外傷がいしょうによる障害しょうがい運動うんどう感覚かんかく麻痺まひくわえて、言語げんご障害しょうがい知的ちてき障害しょうがい家屋かおく地域ちいき環境かんきょう家族かぞく関係かんけい復学ふくがく復職ふくしょく問題もんだい経済けいざいてき問題もんだい地域ちいき社会しゃかい資源しげん活用かつようなど、本人ほんにん家族かぞくだけでは解決かいけつ困難こんなん課題かだい山積さんせきしていることがおおいので、これらの解決かいけつ支援しえんするために複数ふくすう専門せんもん職種しょくしゅがチームをんで連携れんけい協力きょうりょくして評価ひょうか治療ちりょうおこなう。

医学いがくてきリハビリテーションは医師いし指示しじのもとにおこなわれる。したがって医師いし障害しょうがい状況じょうきょう総合そうごうてき診察しんさつ評価ひょうかして、リハビリテーションの目指めざ目標もくひょう設定せっていし、目的もくてき方法ほうほう提示ていじし、これにともな生命せいめい管理かんりじょうのリスク限界げんかい担当たんとうしゃつたえ、進行しんこう管理かんりする責任せきにんう。看護かんご病棟びょうとう生活せいかつでの活動かつどう能力のうりょく把握はあくして、家庭かてい復帰ふっき生活せいかつ想定そうていして専門せんもんしょく協力きょうりょくし、日常にちじょう生活せいかつ自立じりつ技術ぎじゅつ指導しどうし、本人ほんにん家族かぞくへの心理しんりてき支援しえんおこなう。

  • 理学りがく療法りょうほう(PT)は運動うんどう療法りょうほうによって身体しんたい機能きのう改善かいぜんはかる。運動うんどう療法りょうほうには関節かんせつ可動かどういき増大ぞうだい筋力きんりょく増強ぞうきょう麻痺まひ回復かいふくさせる神経しんけい生理学せいりがくてき運動うんどう練習れんしゅうなどのほかに、寝返ねがえり・がり・起立きりつ歩行ほこうなどの練習れんしゅう指導しどうふくむ。以上いじょう補助ほじょ手段しゅだんとしてホットパック・うずりゅうよく電磁波でんじはてい周波しゅうは牽引けんいん・マッサージなどの物理ぶつり療法りょうほうもちいる。
  • 作業さぎょう療法りょうほう(OT)は作業さぎょう活動かつどうつうじてしん機能きのう回復かいふくはかり、日常にちじょう生活せいかつしょ動作どうさ自立じりつ指導しどうし、各種かくしゅ作業さぎょう応用おうようして職業しょくぎょうぜん評価ひょうか指導しどう趣味しゅみ娯楽ごらく開発かいはつ指導しどうおこない、さらに精神せいしん疾患しっかんたいして各種かくしゅ作業さぎょうもちいて精神せいしんてき作業さぎょう療法りょうほうおこなう。近年きんねん教育きょういく分野ぶんやでの役割やくわりおおきく小学校しょうがっこうなどで教員きょういんとも学習がくしゅう学校がっこう生活せいかつ全般ぜんぱんかかわる作業さぎょう療法りょうほうえてきている。とく広汎こうはんせい発達はったつ障害しょうがい注意ちゅうい欠陥けっかんどうせい障害しょうがい、アスペルガー症候群しょうこうぐんなどの発達はったつ障害しょうがい分野ぶんやでは重要じゅうよう役割やくわりっている。
  • 言語げんご聴覚ちょうかく(ST)は言語げんご概念がいねん障害しょうがいである失語症しつごしょう言語げんご発達はったつ遅滞ちたい麻痺まひせい構音障害しょうがい吃音きつおん難聴なんちょう言語げんご障害しょうがいなどに言語げんご治療ちりょうおこなう。また咀嚼そしゃく嚥下えんか障害しょうがいたいする治療ちりょう言語げんご聴覚ちょうかく中心ちゅうしんに、医師いし看護かんご栄養士えいようし連携れんけいしておこなう。
  • 臨床りんしょう心理しんり認知にんち機能きのう知的ちてき機能きのうしつみとめしつぎょう注意ちゅうい障害しょうがいなど)と性格せいかく情緒じょうちょ障害しょうがいふくむ)の評価ひょうか治療ちりょう支援しえん活動かつどうおこなう。脳卒中のうそっちゅうのう外傷がいしょう脳性のうせい麻痺まひなどの中枢ちゅうすう神経しんけいけい障害しょうがい自閉症じへいしょうどうには不可欠ふかけつ専門せんもんしょくだが、職種しょくしゅのような国家こっか資格しかくがなく、診療しんりょう活動かつどう有償ゆうしょう課題かだいである。
  • 柔道じゅうどう整復せいふく
  • 医療いりょうソーシャルワーカー(MSW)は本人ほんにん環境かんきょう要因よういん調査ちょうさして、ニーズと解決かいけつ方法ほうほう把握はあくし、社会しゃかい資源しげん活用かつようふく環境かんきょう調整ちょうせいてき側面そくめんから支援しえんする。本人ほんにん家族かぞくへの心理しんり社会しゃかいてきカウンセリング重要じゅうようである。身分みぶん制度せいど確立かくりつと、活動かつどう有償ゆうしょう今後こんご課題かだいである。

生活せいかつ機能きのう分類ぶんるい(ICF)

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疾病しっぺい外傷がいしょうきる障害しょうがい把握はあくする指標しひょうとしてWHO は国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるい(ICD)を補完ほかんするものとして1980ねん国際こくさい障害しょうがい分類ぶんるい(ICIDH)を発表はっぴょうした。しかしICIDH は医学いがくモデル疾病しっぺい外傷がいしょう身体しんたい機能きのう障害しょうがいまねき、これが日常にちじょう生活せいかつ能力のうりょく障害しょうがいし、社会しゃかい生活せいかつじょう不利ふりまねくとする思想しそうで、障害しょうがい疾病しっぺい同様どうよう個人こじん問題もんだいだとする立場たちば)による分類ぶんるいであることから、これを改訂かいていして社会しゃかいモデル障害しょうがい社会しゃかい様々さまざま障壁しょうへき制約せいやくされてつくられたものだから、完全かんぜん参加さんか可能かのう環境かんきょう変更へんこう社会しゃかい全体ぜんたい共同きょうどう責任せきにんむべきだとする立場たちば)による概念がいねんふくんで、両者りょうしゃ統合とうごうしたモデルである国際こくさい生活せいかつ機能きのう分類ぶんるい(ICF)を2001ねん作成さくせいした。

ICFの目的もくてきは①健康けんこう状況じょうきょう研究けんきゅうする科学かがくてき基盤きばん提供ていきょう、②健康けんこう状態じょうたい表現ひょうげんする共通きょうつう言語げんご提供ていきょう、③国家こっか職種しょくしゅあいこと影響えいきょうされないデータの比較ひかく、④健康けんこう情報じょうほうシステムにもちいるコードの提供ていきょうだとされている。

ICFの最大さいだい特徴とくちょうは、個人こじん生活せいかつ機能きのうはそのひと健康けんこう状態じょうたいだけでまるものではなく、社会しゃかい個人こじん背景はいけい因子いんしとの双方向そうほうこうてき相互そうご作用さようによってまるものであるとしたことである。さらにおおきな特徴とくちょう分類ぶんるいを(1)生活せいかつ機能きのう障害しょうがい、(2)背景はいけい因子いんしの2部門ぶもん大別たいべつし、(1)生活せいかつ機能きのうを ①心身しんしん機能きのう構造こうぞう、②活動かつどう参加さんかの2構成こうせい要素ようそけ、(2)背景はいけい因子いんしとして、環境かんきょう因子いんし個人こじん因子いんしの2構成こうせい要素ようそかかげたことである。ICFのもうひとつの特徴とくちょうは、表現ひょうげん心身しんしん機能きのう身体しんたい構造こうぞう活動かつどう参加さんかという中立ちゅうりつてき用語ようごもちい、その障害しょうがい機能きのう障害しょうがい活動かつどう制限せいげん参加さんか制約せいやくとしたことである。中立ちゅうりつてき表現ひょうげんもちいた根底こんていには障害しょうがい否定ひていてきなものととらえるべきでないとする立場たちばうかがえる。

心身しんしん機能きのうには①精神せいしん機能きのう、②感覚かんかく機能きのういたみ、③音声おんせい発話はつわ機能きのう、④こころ血管けっかんけい血液けつえきけい免疫めんえきけい呼吸こきゅうけい機能きのう、⑤消化しょうかけい代謝たいしゃけい内分泌ないぶんぴつけい機能きのう、⑥尿にょうせい生殖せいしょく機能きのう、⑦神経しんけいすじ骨格こっかく運動うんどう関連かんれんする機能きのう、⑧皮膚ひふおよび関連かんれんする構造こうぞう機能きのうがあり、身体しんたい構造こうぞう同様どうように8項目こうもく分類ぶんるいされている。

活動かつどう参加さんかは①学習がくしゅう知識ちしき応用おうよう、②一般いっぱんてき課題かだい要求ようきゅう、③コミュニケーション、④運動うんどう移動いどう、⑤セルフケア、⑥家庭かてい生活せいかつ、⑦対人たいじん関係かんけい、⑧主要しゅよう生活せいかつ領域りょういき、⑨コミュニティライフ・社会しゃかい生活せいかつ市民しみん生活せいかつがある。

環境かんきょう因子いんしは5項目こうもくで、①生産せいさんひん用具ようぐ採集さいしゅう創作そうさく生産せいさん製造せいぞうされた自然しぜんあるいは人工じんこうてき生産せいさんひん装置そうち器具きぐ)、②自然しぜん環境かんきょう人間にんげんがもたらした環境かんきょう変化へんか地理ちり人口じんこう動植物どうしょくぶつ気候きこう災害さいがいひかり時間じかんおと振動しんどう空気くうきなど)、③支援しえん関係かんけい日常にちじょう活動かつどう提供ていきょうされる家族かぞく友人ゆうじん地域ちいき上司じょうしボランティア専門せんもんしょくなどの人的じんてき支援しえん)、④態度たいど家族かぞく友人ゆうじん地域ちいき上司じょうし・ボランティア・専門せんもんしょくなどの態度たいど)、⑤サービス・制度せいど政策せいさく消費しょうひざい建築けんちく土地とち住宅じゅうたく公共こうきょう事業じぎょう・コミュニケーション・交通こうつう保護ほご司法しほう団体だんたい・メディア・経済けいざい社会しゃかい保障ほしょう社会しゃかい支援しえん保険ほけん教育きょういく労働ろうどう政治せいじなどにかかわる)で構成こうせいされる。

これらの分類ぶんるい階層かいそうてきに5段階だんかい細分さいぶんされる。結果けっか生活せいかつ機能きのうが9段階だんかい評価ひょうかして、小数点しょうすうてん以下いか1けた実行じっこうじょうきょう、2けた能力のうりょく現時点げんじてん発揮はっきできる最高さいこうのレベル)をもって評価ひょうかする。環境かんきょう因子いんし阻害そがい因子いんし5段階だんかい促進そくしん因子いんし5段階だんかい評価ひょうかし、小数点しょうすうてん以下いか1けた阻害そがい因子いんし促進そくしん因子いんしがあれば1けたに+記号きごうをつけて記述きじゅつする。 個人こじん因子いんし分類ぶんるい項目こうもくはまだ完成かんせいされていない。

診断しんだん評価ひょうか

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一般いっぱん臨床りんしょう医学いがく疾病しっぺい根本こんぽんてき回復かいふく目的もくてきに、疾病しっぺい原因げんいん究明きゅうめいする作業さぎょう診断しんだんぶ。これにたいしてリハビリテーションでは、しん機能きのう日常にちじょう生活せいかつ活動かつどうせい社会しゃかい生活せいかつへの参加さんか把握はあくする作業さぎょう評価ひょうかぶ。評価ひょうかはこれらの障害しょうがい要因よういん分析ぶんせきし、解決かいけつ手段しゅだん検討けんとうし、有効ゆうこうせい確認かくにんする作業さぎょうをいう。代表だいひょうてき評価ひょうか種目しゅもく以下いかべる。

問診もんしん障害しょうがい予防よぼう改善かいぜん解決かいけつ目的もくてきなので、本人ほんにん職業しょくぎょう趣味しゅみふく日常にちじょう生活せいかつ活動かつどう社会しゃかい生活せいかつへの参加さんか実態じったい家族かぞく縁者えんじゃ協力きょうりょく体制たいせい経済けいざい状態じょうたい家屋かおく地域ちいき環境かんきょう把握はあくすることがのぞまれる。 関節かんせつ可動かどういき測定そくていほね関節かんせつ疾患しっかんでは重要じゅうようである。解剖かいぼうがくてき基本きほん(ほぼ直立ちょくりつ姿勢しせい)を0として、そこからの可動かどう範囲はんい測定そくていして記載きさいする。身体しんたいまえ運動うんどう屈曲くっきょく伸展しんてんうちそと運動うんどううちてんそとてん垂直すいちょくじくまわりの運動うんどううち旋・そと旋と呼称こしょうする。

徒手としゅ筋力きんりょく測定そくていすじ神経しんけいけい疾患しっかん重要じゅうよう評価ひょうか対象たいしょうである。身体しんたいかく部位ぶい重量じゅうりょう筋力きんりょく基準きじゅんにして、5~0までの6段階だんかい評価ひょうかする。かたれいにとると、ひじ伸展しんてん抵抗ていこうをかけない状態じょうたいでのみ上肢じょうし垂直すいちょくまで屈曲くっきょく(きょじょう)できれば3、中等ちゅうとう抵抗ていこうをかけても屈曲くっきょくできれば4、正常せいじょうを5、重力じゅうりょく影響えいきょうがない水平すいへい方向ほうこうへの運動うんどうなら可能かのう筋力きんりょくを2、すじ収縮しゅうしゅくのみみとめる状態じょうたいを1、それもない状態じょうたいを0と評価ひょうかする。

脳卒中のうそっちゅうによる痙性へん麻痺まひ運動うんどう機能きのう評価ひょうか共同きょうどう運動うんどうという現象げんしょう基準きじゅんに、その出現しゅつげんけしもも度合どあいを評価ひょうかする。発病はつびょう当初とうしょ随意ずいいせい喪失そうしつしていることがおおいが、やがてかたひじ手指しゅし全体ぜんたい生理学せいりがくてき屈曲くっきょくあるいは伸展しんてん方向ほうこう同時どうじにのみうごかせる共同きょうどう運動うんどうだけができるようになり、つづいてかく関節かんせつ単独たんどくうごかせ、さらに回復かいふくすすめば、複数ふくすう関節かんせつ屈曲くっきょく伸展しんてんぎゃく方向ほうこう同時どうじうごかすことができるふくあい運動うんどう可能かのうになる。評価ひょうか運動うんどう機能きのう以上いじょうのどの段階だんかいにあるかを把握はあくして、解決かいけつ方法ほうほう検討けんとうする作業さぎょうである。

脳性のうせい麻痺まひ出生しゅっしょう前後ぜんこう運動うんどう神経しんけい中枢ちゅうすう損傷そんしょうけてしょうじる運動うんどう発達はったつおくれが障害しょうがい主体しゅたいなので、その程度ていど正確せいかく把握はあくすることが重要じゅうようである。運動うんどう発達はったつ程度ていどをとる機能きのう基本きほんに、歩行ほこういたるまでを年齢ねんれいべつ粗大そだい運動うんどう能力のうりょくを5段階だんかい評価ひょうかする方法ほうほうが、現在げんざいひろ採用さいようされている。しかし粗大そだい運動うんどう能力のうりょく把握はあくだけでは、脳性のうせい麻痺まひをその原因げんいん疾患しっかん鑑別かんべつすることはできず、発達はったつ神経しんけいがくてき診断しんだん不可欠ふかけつである。

知的ちてき機能きのう言語げんご理解りかいかたり流暢りゅうちょうせい空間くうかん知覚ちかくかず記憶きおく推理すいり構成こうせいされるというサーストンの因子いんしせつ有名ゆうめいである。知能ちのう検査けんさほうにはビネーほう、WAISほう、WISCほうなどがある。記憶きおく検査けんさほうとしてヴェクスラー検査けんさほう三宅みやけしき検査けんさほう、ベントン視覚しかくめい検査けんさほうなどがある。

性格せいかく検査けんさ方法ほうほうとして日常にちじょう行動こうどう観察かんさつによる評定ひょうじょうほう質問しつもんへの回答かいとう特性とくせいから評価ひょうかする質問しつもんほうYG性格せいかく検査けんさ不安ふあん検査けんさ、CMIなど)、作業さぎょう過程かてい評価ひょうかする作業さぎょう検査けんさほう内田うちだクレペリン精神せいしん検査けんさベンダー・ゲシュタルト・テストなど)、その投影とうえいほうロールシャッハ・テスト主題しゅだい統覚とうかくほうなど)がある。

言語げんごには言語げんご概念がいねん障害しょうがいである失語症しつごしょう言語げんご発達はったつ遅滞ちたい、構音器官きかん運動うんどう麻痺まひによる麻痺まひせい構音障害しょうがい聴覚ちょうかく障害しょうがいによる聴覚ちょうかくせい言語げんご障害しょうがい口蓋こうがいきれによる言語げんご障害しょうがい吃音きつおんなどがある。失語症しつごしょう障害しょうがい中枢ちゅうすう部位ぶい程度ていどによってぜん失語しつご言語げんご理解りかい表出ひょうしゅつ機能きのう喪失そうしつ)、ブローカ失語しつご自己じこ意思いし言語げんご表出ひょうしゅつする機能きのう障害しょうがい)、ウェルニッケ失語しつご音声おんせい文字もじ言語げんご理解りかいする機能きのう障害しょうがい)、伝導でんどう失語しつご言葉ことば復唱ふくしょうする機能きのう障害しょうがい)、健忘けんぼう失語しつご名詞めいし表出ひょうしゅつ不良ふりょう)そのがある。

運動うんどう麻痺まひがないにもかかわらず、目的もくてきにかなった行為こういができない状態じょうたいしつぎょうぶ。動作どうさ企画きかくする中枢ちゅうすう障害しょうがい原因げんいんである。特定とくていゆびてたり目的もくてきのある協調きょうちょう運動うんどうができないぶし運動うんどうしつぎょうげキスなどの慣習かんしゅうてき動作どうさ道具どうぐ使つかわないで整髪せいはつ歯磨はみがきなどの動作どうさができない観念かんねん運動うんどうしつぎょう歯磨はみがきをブラシにつけてみがくなどの道具どうぐ使用しようができない観念かんねんしつぎょう立方体りっぽうたい模写もしゃてができない構成こうせいしつぎょう身体しんたい衣服いふく部位ぶい認識にんしきして着衣ちゃくいをすることが不可能ふかのう着衣ちゃくいしつぎょうなどがある。

感覚かんかく知覚ちかく障害しょうがいがないにもかかわらず、対象たいしょう認識にんしきできない状態じょうたいしつみとめぶ。視野しや欠損けっそんゆうにかかわらず、いちがわ空間くうかん認識にんしきできない状態じょうたいはんがわ空間くうかんしつみとめび、脳卒中のうそっちゅうひだりへん麻痺まひでは出現しゅつげん頻度ひんどたかい。そのに、ひとかお判別はんべつできない相貌そうぼうしつみとめ見慣みなれたはずの建物たてもの風景ふうけい認識にんしきできない地誌ちしてきしつみとめなどがある。

毎日まいにち生活せいかつ必要ひつよう基本きほんてき一連いちれん身体しんたいてき動作どうさぐん日常にちじょう生活せいかつ活動かつどう(ADL)という。この評価ひょうか食事しょくじ排泄はいせつ整容せいよう更衣ころもがえ入浴にゅうよく起居ききょ移動いどう動作どうさ項目こうもくけて、それぞれの自立じりつ可否かひ基準きじゅんにして評価ひょうかする。ひろもちいられる指標しひょうバーセル指数しすうFIMがある。高齢こうれいしゃ自立じりつ把握はあくするために、外出がいしゅつ家事かじ金銭きんせん処理しょり書類作成しょるいさくせい読書どくしょ訪問ほうもん対人たいじん関係かんけい維持いじなどの可否かひ評価ひょうかするろうとぎしき活動かつどう能力のうりょく指標しひょうもある。

QOL指標しひょうとして医療いりょう行為こうい効果こうか判定はんてい基準きじゅんひろ健康けんこう関連かんれんQOL使用しようされている。代表だいひょうてき指標しひょうとしてNHP、SIP、SF36、EuroQOLなどがある。一方いっぽうで、安寧あんねいかん満足まんぞくかん幸福こうふくかんなどの言葉ことば表現ひょうげんされる主観しゅかんてきQOLは、患者かんじゃ治療ちりょう選択せんたくする基準きじゅんとしてもっと重要じゅうようだと指摘してきされているが、これを評価ひょうかする標準ひょうじゅんされた指標しひょうはまだ確立かくりつしていない。

ハビリテーション

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リハビリテーションと言葉ことばとしてハビリテーションがある。類義語るいぎご療育りょういくである。リハビリテーションは、すでに獲得かくとくみの機能きのううしなわれたときにおこなわれることにたいして、ハビリテーションは先天的せんてんてき障害しょうがいったもの社会しゃかい生活せいかつおくじょうでの不都合ふつごうらすためにおこなわれる。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 国連こくれん障害しょうがいしゃかんする世界せかい行動こうどう計画けいかく、1982ねん
  2. ^ 介護かいご職員しょくいん初任しょにんしゃ研修けんしゅうテキスト だい2かん 人間にんげん社会しゃかい介護かいご 2」 初版しょはんだい4さつ p.347 一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん 長寿ちょうじゅ社会しゃかい開発かいはつセンター 発行はっこう 介護かいご職員しょくいん関係かんけい養成ようせい研修けんしゅうテキスト作成さくせい委員いいんかい 編集へんしゅう
  3. ^ a b c 介護かいご職員しょくいん初任しょにんしゃ研修けんしゅうテキスト だい1かん 人間にんげん社会しゃかい介護かいご 1」 初版しょはんだい4さつ p.298 一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん 長寿ちょうじゅ社会しゃかい開発かいはつセンター 発行はっこう 介護かいご職員しょくいん関係かんけい養成ようせい研修けんしゅうテキスト作成さくせい委員いいんかい 編集へんしゅう
  4. ^ 地域ちいきリハビリテーション支援しえん活動かつどうマニュアル作成さくせいかんする研究けんきゅうはん班長はんちょう:澤村さわむらまことこころざし
  5. ^ 前田まえだ真治しんじ、「リハビリテーション医療いりょうにおける安全あんぜん管理かんり推進すいしんのためのガイドライン」 『The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine』 2007ねん 44かん 7ごう p.384-390, doi:10.2490/jjrmc.44.384, 日本にっぽんリハビリテーション学会がっかい

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 中村なかむら隆一りゅういち:リハビリテーション概論がいろんだい7はん医歯薬出版いしやくしゅっぱん、2009ねん
  • 安藤あんどう徳彦とくひこ:リハビリテーション序説じょせつ医学書院いがくしょいん、2009ねん
  • 津山つやま直一なおかず監修かんしゅう標準ひょうじゅんリハビリテーション医学いがく医学書院いがくしょいん、2000ねん
  • 米本よねもと恭三きょうぞう監修かんしゅう最新さいしんリハビリテーション医学いがく医歯薬出版いしやくしゅっぱん、2005ねん
  • 千野ちの直一なおかず監修かんしゅう現代げんだいリハビリテーション医学いがく金原出版かねはらしゅっぱん、2009ねん
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  • 小坂こさか 善治郎ぜんじろう前田まえだ 和彦かずひこ藤田ふじた 正一しょういち(ちょ):介護かいご予防よぼう機能きのう訓練くんれん指導しどういん 柔道じゅうどう整復せいふくあらたなみ、医療いりょう科学かがくしゃ、2007ねん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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