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ユニバーサルデザイン (英 えい : universal design 、UD )とは、文化 ぶんか ・言語 げんご ・国籍 こくせき や年齢 ねんれい ・性別 せいべつ ・能力 のうりょく などの個人 こじん の違 ちが いにかかわらず、出来 でき るだけ多 おお くの人々 ひとびと が利用 りよう できることを目指 めざ した建築 けんちく (設備 せつび )・製品 せいひん ・情報 じょうほう などの設計 せっけい (デザイン )のことであり、またそれを実現 じつげん するためのプロセス(過程 かてい )である。
駅 えき の改札 かいさつ 口 こう の看板 かんばん に「WICKET」と英語 えいご 表記 ひょうき がある。(島根 しまね 県 けん 出雲 いずも 市 し )
ユニバーサルデザインという概念 がいねん は、米 べい ノースカロライナ州立 しゅうりつ 大学 だいがく ユニバーサルデザインセンター Center for Universal Design)のロナルド・メイス (Ronald Mace 通称 つうしょう Ron Mace)により、1985年 ねん に公式 こうしき に提唱 ていしょう されたものである[1] 。
「年齢 ねんれい や能力 のうりょく 、状況 じょうきょう などにかかわらず、デザインの最初 さいしょ から、できるだけ多 おお くの人 ひと が利用 りよう 可能 かのう にすること」がコンセプトである。デザイン対象 たいしょう を障害 しょうがい 者 しゃ や高齢 こうれい 者 しゃ に限定 げんてい していない点 てん が「バリアフリー 」とは異 こと なる。これは、バリアフリーが、さまざまな利用 りよう 者 しゃ を考慮 こうりょ せずにつくってしまい、結果 けっか として生 しょう じた障壁 しょうへき (バリア)を「後 ご から除去 じょきょ する」という不合理 ふごうり を、「最初 さいしょ から誰 だれ にとっても使 つか いやすいデザインで」解消 かいしょう するというロナルド・メイスの考 かんが えが反映 はんえい されたものである。欧米 おうべい では、バリアフリーがかなり進 すす んで後 のち にユニバーサルデザインの考 かんが え方 かた が提唱 ていしょう されたため、その違 ちが いは理解 りかい されやすかった。しかしながら、日本 にっぽん 国内 こくない においては「バリアフリー」が不十分 ふじゅうぶん なうちに「ユニバーサルデザイン」の考 かんが えが紹介 しょうかい されたため、両者 りょうしゃ はしばしば混同 こんどう されており、ロナルド・メイスの考 かんが え方 かた が、必 かなら ずしも正 ただ しく理解 りかい されているとは言 い えない点 てん もある。なお、同様 どうよう の概念 がいねん として、ヨーロッパにはDesign for All という概念 がいねん があり、英国 えいこく からは、Inclusive Design も提唱 ていしょう された。現在 げんざい 、提唱 ていしょう されているSDGs の中 なか の”No one will be left behind "(誰 だれ も取 と り残 のこ さない)も、考 かんが え方 かた としては近 ちか い概念 がいねん といえる。
ユニバーサルデザインの7原則 げんそく [ 編集 へんしゅう ]
ノースカロライナ州立 しゅうりつ 大学 だいがく ユニバーサルデザインセンター[注 ちゅう 1] によるユニバーサルデザインの7原則 げんそく は以下 いか の通 とお り[2] (括弧 かっこ 内 ない は英語 えいご の原文 げんぶん 表記 ひょうき と和訳 わやく )。
どんな人 ひと でも公平 こうへい に使 つか えること。 (Equitable use / 公平 こうへい な利用 りよう )
使 つか う上 うえ での柔軟 じゅうなん 性 せい があること。 (Flexibility in use / 利用 りよう における柔軟 じゅうなん 性 せい )
使 つか い方 かた が簡単 かんたん で自明 じめい であること。 (Simple and intuitive / 単純 たんじゅん で直感 ちょっかん 的 てき な利用 りよう )
必要 ひつよう な情報 じょうほう がすぐに分 わ かること。 (Perceptible information / 認知 にんち できる情報 じょうほう )
簡単 かんたん なミスが危険 きけん につながらないこと。 (Tolerance for error / うっかりミスの許容 きょよう )
身体 しんたい への過度 かど な負担 ふたん を必要 ひつよう としないこと。 (Low physical effort / 少 すく ない身体 しんたい 的 てき な努力 どりょく )
利用 りよう のための十分 じゅうぶん な大 おお きさと空間 くうかん が確保 かくほ されていること。 (Size and space for approach and use / 接近 せっきん や利用 りよう のためのサイズと空間 くうかん )
ユニバーサルデザインの具体 ぐたい 例 れい [ 編集 へんしゅう ]
病院 びょういん 等 とう の医療 いりょう 用 よう 施設 しせつ 向 む けに開発 かいはつ されたが、多 おお くの人 ひと が心地 ここち よいと感 かん じたために普及 ふきゅう したシャワートイレ。
適切 てきせつ にデザインされた身体 しんたい 的 てき 負担 ふたん の少 すく ないスロープと階段 かいだん の組 く み合 あ わせ。状況 じょうきょう に応 おう じてエレベーターやエスカレーターとも組 く み合 あ わせる。
絵文字 えもじ (ピクトグラム )による視覚 しかく 的 てき ・直感 ちょっかん 的 てき な情報 じょうほう 伝達 でんたつ と音声 おんせい や音響 おんきょう 、触覚 しょっかく による情報 じょうほう 伝達 でんたつ の組 く み合 あ わせ。
ユーザーが自由 じゆう に選択 せんたく できる、多様 たよう な入力 にゅうりょく および出力 しゅつりょく 装置 そうち (キーボード 、マウス 、トラックパッド、ジェスチャー、音声 おんせい など)とそれらの接続 せつぞく 、使用 しよう ができるプラットフォームとしてのパソコンやスマホ等 とう のハードとソフト。
視認 しにん 性 せい やユーザーの感情 かんじょう に与 あた える効果 こうか に配慮 はいりょ した配色 はいしょく 計画 けいかく 。
複雑 ふくざつ なマニュアルがなくても、直感 ちょっかん 的 てき に使用 しよう できる製品 せいひん のデザイン。
読 よ みやすさ、視認 しにん 性 せい を向上 こうじょう させる目的 もくてき で開発 かいはつ したフォント[3] 。
なお、立 た ち上 あ がりやすさを優先 ゆうせん して「ユニバーサルデザインに配慮 はいりょ している」と謳 うた った座席 ざせき は座 ざ 面 めん 高 だか が高 たか くなるため、身長 しんちょう の低 ひく い人 ひと にとって逆 ぎゃく に使 つか いづらくなっているケースがあるなど、物 もの によっては一方 いっぽう を立 た てると一方 いっぽう が不利益 ふりえき を被 こうむ るため、完全 かんぜん なユニバーサルデザインは難 むずか しい。そのため、座席 ざせき で言 い えば座 ざ 面 めん が低 ひく いものと高 たか いものを併存 へいそん させるなど、選 えら べる環境 かんきょう を作 つく ることで誰 だれ もが使 つか いやすい環境 かんきょう になることもある[4] 。
また、ユニバーサルデザインの市場 いちば 規模 きぼ は、2020年 ねん 現在 げんざい で40兆 ちょう 円 えん を超 こ えている[5] 。
建築 けんちく ・住宅 じゅうたく におけるユニバーサルデザイン[ 編集 へんしゅう ]
建築 けんちく は誰 だれ もが使 つか えなければおかしい。これがユニバーサルデザインを最初 さいしょ に提唱 ていしょう したロナルド・メイスの原点 げんてん だった(用語 ようご の初出 しょしゅつ はDesigners West, 1985[1] )。もともとは戦争 せんそう で障害 しょうがい を負 お った退役 たいえき 軍人 ぐんじん が出征 しゅっせい 前 まえ は何 なに の問題 もんだい もなく利用 りよう していた建築 けんちく に入 はい ることすら拒 こば まれることが続出 ぞくしゅつ したのに対 たい して、その問題 もんだい を是正 ぜせい しようとしたのがバリアフリーデザインの始 はじ まりである(ASA A117.1-1961 )が、そもそも改修 かいしゅう するのではなくて最初 さいしょ からバリアをつくらないようにできているのが当 あ たり前 まえ 、利用 りよう 目的 もくてき が果 は たせないから別 べつ の建築 けんちく をもう一 ひと つ建 た てるということはあり得 え ないだろう、というのが建築 けんちく におけるユニバーサルデザインの主張 しゅちょう である。
公共 こうきょう 建築 けんちく に敷地 しきち 外 がい から接近 せっきん し、中 なか に入 はい って用事 ようじ が果 は たせるようにするには、上下 じょうげ 移動 いどう も含 ふく めて経路 けいろ にバリアがなく、主要 しゅよう な機能 きのう が使 つか えなければならないし、情報 じょうほう の提供 ていきょう に際 さい しては視覚 しかく 、聴覚 ちょうかく 、触覚 しょっかく などを意識 いしき する必要 ひつよう がある。もちろん細 こま かいところに目 め をやれば、これは使 つか えないということが起 お きるが、複数 ふくすう 用意 ようい されるものを異 こと なったデザインとすればほぼ問題 もんだい を解決 かいけつ できる(例 たと えば車 くるま いす対応 たいおう トイレの右 みぎ 勝手 かって と左 ひだり 勝手 かって など)。
わが国 くに では、前述 ぜんじゅつ のA117.1が及 およ ぼした世界 せかい 的 てき な流 なが れを受 う けて、いろいろな機会 きかい 、場所 ばしょ でバリアフリー設計 せっけい 指針 ししん 類 るい がつくられたが、その適用 てきよう は任意 にんい であったので実効 じっこう は挙 あ がらなかった。それなりに機能 きのう するようになったのは1994年 ねん に成立 せいりつ したハートビル法 ほう 以降 いこう である。この法律 ほうりつ では急速 きゅうそく な高齢 こうれい 化 か の危機 きき 意識 いしき を利用 りよう する形 かたち で建築 けんちく のバリアフリー化 か をお薦 すす めメニューとしたが、義務 ぎむ ではなかったので一気 いっき に変 か わるまでには至 いた らず、効果 こうか をあげるためには2002年 ねん の法律 ほうりつ 改正 かいせい で建築 けんちく 確認 かくにん の対象 たいしょう とされるまで待 ま たねばならなかった。
住宅 じゅうたく のユニバーサルデザインについては、若干 じゃっかん アプローチが違 ちが ってくる。なぜならある住戸 じゅうこ にふつうは複数 ふくすう の居住 きょじゅう 者 しゃ がいるので、誰 だれ に合 あ わせるのか、という問題 もんだい が生 しょう じるのだ。これについては、いちばん必要 ひつよう 度 ど が高 たか い居住 きょじゅう 者 しゃ の要求 ようきゅう を満足 まんぞく させるようにつくるべきということになる。あらかじめ誰 だれ が住 す むのか決 き まっているとは限 かぎ らないので、おおよそこの程度 ていど は基本 きほん 原則 げんそく であるとしてつくり、それ以上 いじょう は居住 きょじゅう 者 しゃ が決 き まってから調整 ちょうせい するというのが合理 ごうり 的 てき である。
わが国 くに の長寿 ちょうじゅ 社会 しゃかい 対応 たいおう 住宅 じゅうたく 設計 せっけい 指針 ししん [6] では、原則 げんそく 室内 しつない 段差 だんさ 無 な し、要所 ようしょ の手 て すり設置 せっち (準備 じゅんび )、そして室内 しつない 移動 いどう 時 じ の幅員 ふくいん 確保 かくほ (廊下 ろうか とドア)は当初 とうしょ から行 おこな われるべきとされた。俗 ぞく にバリアフリー3点 てん セットと称 しょう されたが、この3つが住宅 じゅうたく のユニバーサルデザインの基本 きほん である。それらがなされていれば、居住 きょじゅう 者 しゃ の能力 のうりょく (の低下 ていか )に応 おう じての対応 たいおう がやりやすい。
なお、段差 だんさ 解消 かいしょう が難 むずか しいと抵抗 ていこう が大 おお きいのは浴室 よくしつ であったが、阪神 はんしん 淡路 あわじ 大震災 だいしんさい 後 ご の復興 ふっこう 住宅 じゅうたく の建設 けんせつ に当 あ たって段差 だんさ 無 な しの浴室 よくしつ ユニット開発 かいはつ が至上 しじょう 命題 めいだい とされ、結果 けっか として民間 みんかん の分譲 ぶんじょう マンションにもそれが普及 ふきゅう した。今 いま では家族 かぞく 用 よう のマンション住戸 じゅうこ で跨 また がないと入 い れない浴室 よくしつ ユニットは例外 れいがい 的 てき にしか見 み られなくなっている。
公共 こうきょう 交通 こうつう のユニバーサルデザイン[ 編集 へんしゅう ]
ユニバーサルデザインは「可能 かのう な限 かぎ り最大限 さいだいげん に」と、今 いま まで以上 いじょう のものを求 もと める姿勢 しせい であるが、法 ほう は最低限 さいていげん の要求 ようきゅう 水準 すいじゅん を定 さだ めるもので、もともとこの二 ふた つは異 こと なる方向 ほうこう 性 せい を持 も っている。しかしわが国 くに の公共 こうきょう 交通 こうつう のユニバーサルデザインにおいては、2005年 ねん に国土 こくど 交通省 こうつうしょう がユニバーサルデザイン政策 せいさく 大綱 たいこう を定 さだ めたこともあって、法 ほう 、特 とく にバリアフリー法 ほう が重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしてきている。
公共 こうきょう 交通 こうつう は誰 だれ もが使 つか えることが前提 ぜんてい となり、ユニバーサルデザインであることが求 もと められる。これには利用 りよう 者 しゃ のニーズを反映 はんえい することはもとより、都市 とし 部 ぶ への集中 しゅうちゅう 、地方 ちほう での過疎 かそ に加 くわ えて高齢 こうれい 化 か といった社会 しゃかい 情勢 じょうせい の反映 はんえい も重要 じゅうよう な要素 ようそ である。これまでの公共 こうきょう 交通 こうつう は、一般 いっぱん に、利用 りよう 者 しゃ を集団 しゅうだん として一定 いってい の方向 ほうこう あるいは目的 もくてき 地 ち に同 どう 一 いち 方法 ほうほう で運 はこ ぶことにより、安価 あんか で安全 あんぜん で、高速 こうそく な移動 いどう を提供 ていきょう してきた。待 ま ち時間 じかん なくドアtoドアで移動 いどう したいというニーズは、高齢 こうれい 化 か によってますます高 たか まっている。それは今 いま までの公共 こうきょう 交通 こうつう では実現 じつげん が難 むずか しかった。これからのユニバーサルデザインを目指 めざ す公共 こうきょう 交通 こうつう は、これまでのマスとしての移動 いどう と共 とも に、利用 りよう 者 しゃ 個々 ここ のニーズの実現 じつげん に焦点 しょうてん を当 あ てる必要 ひつよう がある。
地方 ちほう では公共 こうきょう 交通 こうつう が衰退 すいたい し、高齢 こうれい になって運転 うんてん できなくなったら、病院 びょういん にも買 か い物 もの にも行 い けなくなるという現実 げんじつ がある。これに対 たい してデマンドバスや、タクシーの活用 かつよう 、近年 きんねん では自動 じどう 運転 うんてん バスの導入 どうにゅう など、自治体 じちたい も介入 かいにゅう してさまざまな検討 けんとう がなされ、実際 じっさい に運用 うんよう されているところもある。都市 とし 部 ぶ 周辺 しゅうへん においても、高度 こうど 経済 けいざい 成長 せいちょう 期 き に大都市 だいとし 周辺 しゅうへん の丘陵 きゅうりょう 地帯 ちたい を開発 かいはつ したニュータウン で、傾斜地 けいしゃち における高齢 こうれい の人 ひと の移動 いどう をどう確保 かくほ するかという課題 かだい を抱 かか えている。
都市 とし 部 ぶ では、バリアフリー法 ほう の規定 きてい もあって、ノンステップバスやUDタクシー の普及 ふきゅう 、駅 えき のエレベーターや車 くるま いす対応 たいおう トイレ、駅 えき ホームからの転落 てんらく 防止 ぼうし 柵 しがらみ の整備 せいび が進 すす んでいる(国土 こくど 交通 こうつう 省 しょう 「移動 いどう 等 とう 円滑 えんかつ 化 か の促進 そくしん に関 かん する基本 きほん 方針 ほうしん [7] 」)。とりわけ大都市 だいとし ではラッシュ時 じ の過密 かみつ さが問題 もんだい である。この密度 みつど を軽減 けいげん するには、テレワーク、時差 じさ 出勤 しゅっきん といった働 はたら き方 かた 改革 かいかく など、鉄道 てつどう 以外 いがい の変化 へんか が求 もと められる。また情報 じょうほう 通信 つうしん 技術 ぎじゅつ によってさまざまな移動 いどう 手段 しゅだん を有機 ゆうき 的 てき 、効率 こうりつ 的 てき に活用 かつよう するMaaS が注目 ちゅうもく されている。
近年 きんねん は、複雑 ふくざつ な駅 えき 構内 こうない の案内 あんない 誘導 ゆうどう を外国 がいこく 人 じん 、視覚 しかく に障害 しょうがい のある人 ひと 、色覚 しきかく 少数 しょうすう 者 しゃ 等 とう にどうわかりやすくするかについても、さまざまに試行 しこう されている[8] 。また接 せっ 遇 ぐう 係員 かかりいん が多様 たよう なニーズに理解 りかい を持 も てるようにする意識 いしき 改革 かいかく も進 すす められている[9] 。
また、よりよい公共 こうきょう 交通 こうつう をめざして、利用 りよう 者 しゃ の声 こえ を反映 はんえい させる取 と り組 く みも行 おこな われてきている。中部 ちゅうぶ 国際 こくさい 空港 くうこう 、羽田空港 はねだくうこう 第 だい 3ターミナル、成田空港 なりたくうこう では何 なん 年 ねん もかけて利用 りよう 者 しゃ と専門 せんもん 家 か 、空港 くうこう 関係 かんけい 者 しゃ 等 とう が検討 けんとう 作業 さぎょう を重 かさ ね、それを施設 しせつ に反映 はんえい させる取 と り組 く みが行 おこな われ、事後 じご 評価 ひょうか を継続 けいぞく しているところもある。こうした取 と り組 く みは大 だい 規模 きぼ プロジェクトならではのものだが、そこに関係 かんけい した人 ひと たちが他 た の、基準 きじゅん 作 づく りや事業 じぎょう の場 ば でこの経験 けいけん を活用 かつよう することで、わが国 くに 全体 ぜんたい のレベルアップにつながっていくことになる。
プロダクトとユニバーサルデザイン [ 編集 へんしゅう ]
近代 きんだい 以降 いこう の工業 こうぎょう 製品 せいひん は、大量 たいりょう 生産 せいさん 技術 ぎじゅつ の発達 はったつ とともに大衆 たいしゅう 化 か し、多 おお くの人々 ひとびと が科学 かがく 技術 ぎじゅつ の成果 せいか を享受 きょうじゅ できるようになった。企業 きぎょう 活動 かつどう として同 おな じものを大量 たいりょう に生産 せいさん する過程 かてい において、つくるるユーザ像 ぞう は、できるだけ多 おお くの人 ひと に使 つか えるようにと考 かんが えると、「平均 へいきん 的 てき な人 ひと 」あるいは「平均 へいきん 的 てき な世帯 せたい 」とせざるを得 え なかった。この結果 けっか 、想定 そうてい されたユーザ像 ぞう から外 はず れる人 ひと にとっては、その製品 せいひん は「使 つか えないモノ」あるいは「使 つか いづらいモノ」でしかなかった。
デザインが排除 はいじょ してきたこれらのユーザ特性 とくせい に対 たい して、デザイナがその存在 そんざい を意識 いしき し、デザインの初期 しょき 段階 だんかい から対応 たいおう 策 さく を検討 けんとう することで、合理 ごうり 的 てき な範囲 はんい で少 すこ しでも多 おお くの人 ひと をユーザの中 なか に包摂 ほうせつ する可能 かのう 性 せい がある。あらゆる条件 じょうけん に一 ひと つのデザインで対応 たいおう することはほとんど不可能 ふかのう であるが、標準 ひょうじゅん 的 てき なデザインから離 はな れて特別 とくべつ なユーザニーズに応 こた えるデザインは、価格 かかく 上昇 じょうしょう につながるかあるいは他 た の大 だい 多数 たすう には不要 ふよう な機能 きのう となり、商品 しょうひん となりにくい。しかし、高機能 こうきのう 化 か とユーザグループの拡大 かくだい という二 ふた つのベクトルの合成 ごうせい 方向 ほうこう を目指 めざ したデザインを行 おこな うと、市場 いちば 原理 げんり に沿 そ った製品 せいひん 開発 かいはつ が可能 かのう である。たとえば、製品 せいひん 上 じょう の小 ちい さな文字 もじ 表示 ひょうじ や、難解 なんかい な操作 そうさ 方法 ほうほう は、多数 たすう のユーザも不満 ふまん を抱 かか えていたに違 ちが いないが、他 た に選択肢 せんたくし がないため仕方 しかた なしに購入 こうにゅう するよりなかった。そもそも見 み えない、聞 き こえない、手 て が使 つか えないといった状態 じょうたい は、障害 しょうがい のある人 ひと だけの問題 もんだい ではなく、環境 かんきょう 条件 じょうけん や置 お かれている状況 じょうきょう 次第 しだい では一時 いちじ 的 てき にせよ誰 だれ にでも起 お きる問題 もんだい である。従来 じゅうらい は少数 しょうすう 派 は のニーズとして片付 かたづ けられてきたことの中 なか に、実 じつ は多 おお くの人 ひと が抱 かか えてきた問題 もんだい が潜 ひそ んでいることは少 すく なからずある。それらを解決 かいけつ した事例 じれい としては、温水 おんすい 洗浄 せんじょう 便座 べんざ 、ライター、レバー式 しき ドアハンドルなどがある。手 て を触 ふ れずに何 なに かができるという機能 きのう は、感染 かんせん 症 しょう 対策 たいさく 上 じょう も有効 ゆうこう である。
社会 しゃかい の高齢 こうれい 化 か が急速 きゅうそく に進 すす んでいる今 いま 、人口 じんこう の1/4を超 こ える高齢 こうれい 者 しゃ をユーザから除外 じょがい して経営 けいえい は成 な りたない。企業 きぎょう としては、ユーザ満足 まんぞく 度 ど を高 たか め、少 すこ しでも多 おお くの人 ひと をユーザとして取 と り組 く み、市場 いちば 占有 せんゆう 率 りつ を高 たか めなければならず、今後 こんご 高齢 こうれい 化 か が急速 きゅうそく に進 すす む東 ひがし アジア市場 いちば に対 たい する戦略 せんりゃく としても重要 じゅうよう である。
個別 こべつ のユーザニーズを大量 たいりょう 生産 せいさん される製品 せいひん に取 と り入 い れることは現実 げんじつ 的 てき に難 むずか しいが、3Dプリンティング技術 ぎじゅつ やIoT 技術 ぎじゅつ は個別 こべつ 対応 たいおう を可能 かのう とする。大量 たいりょう 生産 せいさん 品 ひん に対 たい してこれらを組 く み合 あ わせることで、個別 こべつ の細 こま かなニーズへの対応 たいおう の可能 かのう 性 せい が見 み えてきている。例 たと えば、家具 かぐ メーカのイケアが行 おこな っているソファなどの座 ざ 面 めん を高 たか くする足 あし の3Dデータの提供 ていきょう と出力 しゅつりょく サービスの試 こころ み(ThisAbles.com)や、スマートスピーカによる家電 かでん 製品 せいひん の操作 そうさ などの応用 おうよう がある。製品 せいひん に対 たい する改造 かいぞう と判断 はんだん されてしまうと製造 せいぞう 物 ぶつ 責任 せきにん 法 ほう (PL法 ほう )上 じょう 問題 もんだい となるかも知 し れないが、未 いま だにユーザとして包摂 ほうせつ されていない重度 じゅうど な障害 しょうがい のある人 ひと にとって、一 ひと つの可能 かのう 性 せい となるのではと期待 きたい されることもあります。
ワークプレイスのユニバーサルデザイン [ 編集 へんしゅう ]
ユニバーサルデザインは主 おも に不 ふ 特定 とくてい 多数 たすう のユーザーが使 つか う公共 こうきょう 空間 くうかん 、プロダクト等 とう が対象 たいしょう であったが、ワークプレイス (働 はたら く場 ば )にも概念 がいねん が拡大 かくだい している。障 さわ がいのあるワーカーやシニアワーカーの就労 しゅうろう 機会 きかい の拡大 かくだい 、外国 がいこく 人 じん ワーカーの増大 ぞうだい 、子育 こそだ て中 ちゅう の女性 じょせい や身内 みうち の介護 かいご に携 たずさ わる人 ひと など、様々 さまざま 多様 たよう なワーカーが働 はたら くことを前提 ぜんてい とすべき社会 しゃかい にいて、「誰 だれ でも働 はたら きやすい」ワークプレイスのユニバーサルデザインが必要 ひつよう とされている。
ワークプレイスのユニバーサルデザインには、建築 けんちく 空間 くうかん のアクセシビリティ やユーザビリティ ばかりではなく、家具 かぐ ・什器 じゅうき や情報 じょうほう 機器 きき などのエルゴノミクス 的 てき 視点 してん を含 ふく め、「働 はたら く」という行為 こうい を取 と り巻 ま く総合 そうごう 的 てき な「働 はたら きやすさ」が必要 ひつよう となる。また、「働 はたら きやすさ」というゴールを実現 じつげん するためには、建築 けんちく から機器 きき に至 いた るまでのハードウェアが使 つか いやすいだけでなく、多様 たよう なユーザーが「自分 じぶん にとって最 もっと も快適 かいてき で使 つか いやすい環境 かんきょう を選択 せんたく できる」というアプローチが有効 ゆうこう であり、ワークプレイス全体 ぜんたい で考 かんが えた場合 ばあい のDesign for allとなる。例 たと えばその時々 ときどき の仕事 しごと の内容 ないよう 等 とう により、オフィス空間 くうかん の中 なか で自分 じぶん が最 もっと も働 はたら きやすい場所 ばしょ ・環境 かんきょう を選択 せんたく できるABW(Activity Based Working) は、全 すべ てのワーカーにとってメリットが大 おお きい。
このABWの考 かんが え方 かた を、在宅 ざいたく 勤務 きんむ 、サードプレイスでの仕事 しごと などまで広 ひろ げれば、ワーカーが自分 じぶん の働 はたら き方 かた を合理 ごうり 的 てき かつ自律 じりつ 的 てき に選択 せんたく でき、「通勤 つうきん 」「オフィスでの勤務 きんむ 」といったストレスからも自由 じゆう となる。また「働 はたら く」という点 てん から見 み ると、プレイス(場 ば )への配慮 はいりょ とともに、情報 じょうほう へのアクセス、人 ひと と人 ひと のコミュニケーションやコラボレーションにおけるスムースさといったソフト面 めん にも配慮 はいりょ が必要 ひつよう となる。これらも広 ひろ い意味 いみ でワークプレイスのユニバーサルデザインといってよいものだ。
近年 きんねん 、快適 かいてき でストレスの少 すく ないウェルビーイング の高 たか いワーク環境 かんきょう が、仕事 しごと の生産 せいさん 性 せい ・創造 そうぞう 性 せい 向上 こうじょう に大 おお きな効果 こうか があることが実証 じっしょう され、また、ワーカーの満足 まんぞく 度 ど 向上 こうじょう 、リクルーティングにおける優位 ゆうい 性 せい が期待 きたい されることからも、企業 きぎょう 等 とう における関心 かんしん も高 たか まっている。
衣 ころも のユニバーサルデザイン[ 編集 へんしゅう ]
「衣 ころも のユニバーサルデザイン(以下 いか UD)」とは、衣服 いふく などができるだけ多 おお くの人 ひと に受 う け入 い れられ、楽 たの しまれるためのデザインである。衣 ころも のUDに必要 ひつよう な要素 ようそ は多様 たよう であるが、審美 しんび 性 せい 、機能 きのう 性 せい 、有用 ゆうよう 性 せい 、社会 しゃかい 性 せい 、安全 あんぜん 性 せい 、視認 しにん 性 せい などが重要 じゅうよう である。
<審美 しんび 性 せい :時代 じだい 感覚 かんかく やおしゃれ感 かん 、ファッション性 せい を大切 たいせつ に>
年齢 ねんれい や障害 しょうがい にかかわらず、おしゃれを楽 たの しめる魅力 みりょく 的 てき なデザイン、素材 そざい 、色 いろ 、柄 え であることが重要 じゅうよう である。高齢 こうれい 者 しゃ だから地味 じみ に、という固定 こてい 的 てき な考 かんが えでなく、むしろ「孫 まご とお揃 ぞろ い、色 いろ 違 ちが い」といった感覚 かんかく で、楽 たの しみながら着 き こなせるのがよりユニバーサルであるといえる。
<機能 きのう 性 せい :服 ふく のサイズや体形 たいけい に不満 ふまん を持 も つユーザーや車 くるま いす利用 りよう 者 しゃ などに配慮 はいりょ する>
年齢 ねんれい が変 か わってもファッションを楽 たの しめるよう、多様 たよう なサイズを取 と り揃 そろ える。5歳 さい と25歳 さい では当然 とうぜん のことながら体格 たいかく が変 か わるが、大人 おとな になっても25歳 さい 、45歳 さい 、そして65歳 さい と加 か 齢 よわい に伴 ともな って、骨格 こっかく 、体形 たいけい 、筋肉 きんにく 、脂肪 しぼう のつき方 かた 等 とう が変 か わるので、それに対応 たいおう した適切 てきせつ なパターンと多様 たよう な選択肢 せんたくし が求 もと められる。着物 きもの や浴衣 ゆかた は、その柔軟 じゅうなん 性 せい ・可変 かへん 性 せい という点 てん では、ユニバーサルといえる。車 くるま いす利用 りよう 者 しゃ のスラックスは後 うし ろ股上 またがみ を深 ふか くして座 すわ りやすくしたり、ジャケットなどの前 ぜん 丈 たけ を短 みじか くして座 すわ ってもかっこよく見 み えるようにする。
<有用 ゆうよう 性 せい :身体 しんたい 機能 きのう の低下 ていか やサイズ調整 ちょうせい などに配慮 はいりょ する>
関節 かんせつ が動 うご かしにくい、指先 ゆびさき が動 うご かしづらいなどの人 ひと のために、これまでも、ボタンの替 か わりにファスナー、さらにはベルクロ(商品 しょうひん 名 めい としてはマジックテープとして知 し られる)といった着脱 ちゃくだつ を助 たす けるための道具 どうぐ が開発 かいはつ されてきた。コートの内側 うちがわ につける取 と り外 はず し可能 かのう な薄手 うすで の防寒 ぼうかん ベストは、体温 たいおん 調整 ちょうせい が難 むずか しい人 ひと にはもちろん、季 き 節 ぶし の変 か わり目 め には誰 だれ にとっても有用 ゆうよう である。背面 はいめん にかけて縫 ぬ い目 め の少 すく ないデザインの衣服 いふく は、車 くるま いすユーザーには必須 ひっす だが、同様 どうよう に座 すわ る時間 じかん の長 なが い運転 うんてん 手 しゅ などにも、肌 はだ が擦 す れなくて良 よ い。スカートやスラックスのウエストに調整 ちょうせい 可能 かのう なデザインを取 と り入 い れると、年齢 ねんれい を問 と わず着 き 易 やす さが増 ま す。
<安全 あんぜん 性 せい :安全 あんぜん への配慮 はいりょ >
災害 さいがい の発生 はっせい 時 じ に着脱 ちゃくだつ しやすい機能 きのう を取 と り入 い れる。例 たと えば、けがを防 ふせ ぐためにフード(頭巾 ずきん )に衝撃 しょうげき 吸収 きゅうしゅう 材 ざい を入 い れる。ファスナーは緊急 きんきゅう 時 じ に上下 じょうげ で開閉 かいへい 可能 かのう なものを使用 しよう して、着脱 ちゃくだつ が素早 すばや くできるようにする。また、発生 はっせい 時 じ のみならず、予防 よぼう の観点 かんてん も重要 じゅうよう である。パジャマや浴衣 ゆかた を始 はじ め、袖 そで などの着火 ちゃっか しやすい箇所 かしょ には、燃 も えにくい難 なん 燃 もえ 性 せい 素材 そざい を使用 しよう する。夜間 やかん の外出 がいしゅつ 時 じ には、反射 はんしゃ 材 ざい を用 もち いた靴 くつ や衣類 いるい を使用 しよう することで事故 じこ を予防 よぼう することは、子 こ ども、学生 がくせい 、高齢 こうれい 者 しゃ など多様 たよう な人 ひと にとって有効 ゆうこう である。
<社会 しゃかい 性 せい :環境 かんきょう への配慮 はいりょ >
製造 せいぞう や流通 りゅうつう 、販売 はんばい の過程 かてい において、環境 かんきょう や持続 じぞく 可能 かのう 性 せい (サスティナビリティ )に配慮 はいりょ する。オーガニックな素材 そざい を育 そだ て、用 もち いることで、環境 かんきょう に配慮 はいりょ し、化学 かがく 物質 ぶっしつ 過敏 かびん 症 しょう の人 ひと も利用 りよう 可能 かのう な衣類 いるい となる。また、誰 だれ でも使 つか えるアクセシブルな試 ためし 着 ぎ 室 しつ は、車 くるま いすやベビーカーユーザー、LGBTQの人 ひと にとっても、利用 りよう 可能 かのう なものとなる。
<視認 しにん 性 せい :わかりやすさ>
衣類 いるい の着脱 ちゃくだつ の方法 ほうほう が、直感 ちょっかん 的 てき にわかりやすいことは最低 さいてい 条件 じょうけん である。どうすれば袖 そで を通 とお せるのか理解 りかい に苦 くる しむブラウスや、複雑 ふくざつ 極 きわ まる紐 ひも 結 むす びの靴 くつ などのファッションも存在 そんざい するが、それらはUDからほど遠 とお い。また、購入 こうにゅう 時 じ にはサイズや素材 そざい 、利用 りよう 時 じ には洗濯 せんたく の方法 ほうほう などを確認 かくにん する必要 ひつよう があるため、品質 ひんしつ 表示 ひょうじ 、洗濯 せんたく 表示 ひょうじ 、サイズ表示 ひょうじ などの文字 もじ やピクトグラムなどの記号 きごう は、書体 しょたい や色 いろ 使 づか いに配慮 はいりょ する。
学校 がっこう 教育 きょういく のユニバーサルデザイン[ 編集 へんしゅう ]
ユニバーサルデザインフォントの例 れい 。
米国 べいこく では1975年 ねん に全 ぜん 障害 しょうがい 児 じ 教育 きょういく 法 ほう を制定 せいてい し、あらゆる子 こ どもがきょうだいと同 おな じ学校 がっこう へ行 い き、個別 こべつ 支援 しえん プログラム(IEP)に基 もと づき、個々 ここ のニーズを大切 たいせつ にした教育 きょういく を受 う ける制度 せいど を確立 かくりつ した。そういった流 なが れを受 う けて、国連 こくれん は1994年 ねん 6月 がつ 、サラマンカ宣言 せんげん を出 だ し、障害 しょうがい 児 じ など特別 とくべつ なニーズを持 も つ児童 じどう の学習 がくしゅう をほかの子 こ どもたちと同 おな じ環境 かんきょう に包摂 ほうせつ していく方針 ほうしん を出 だ した。これにより、各国 かっこく はこれまで障害 しょうがい 児 じ を分 わ けて教育 きょういく する方針 ほうしん を転換 てんかん し、インクルーシブ教育 きょういく へと舵 かじ を切 き った。一方 いっぽう 日本 にっぽん の文部 もんぶ 科学 かがく 省 しょう は、長 なが く分離 ぶんり 政策 せいさく をとっていたが、障害 しょうがい 者 しゃ 権利 けんり 条約 じょうやく の批准 ひじゅん に伴 ともな い、2015年 ねん より方針 ほうしん を転換 てんかん し、インクルーシブな教育 きょういく 環境 かんきょう を実現 じつげん するための研究 けんきゅう や提言 ていげん [10] を行 おこな ってきた。この結果 けっか 、徐々 じょじょ に教育 きょういく のユニバーサルデザインが進 すす んできている
教育 きょういく のユニバーサルデザインとは、障害 しょうがい のあるなしにかかわらず、それぞれにとって最適 さいてき な教育 きょういく を受 う けられることを意味 いみ する。ニーズの重 おも い児童 じどう 学生 がくせい のための配慮 はいりょ が、軽 かる いニーズの人 ひと にもメリットがある場合 ばあい も多 おお い。学校 がっこう の建物 たてもの にスロープやエレベーターがあれば障害 しょうがい のある児童 じどう や保護 ほご 者 しゃ がアクセスでき、学校 がっこう が避難 ひなん 所 しょ になる際 さい にも機能 きのう する。教科書 きょうかしょ が電子 でんし 化 か されて拡大 かくだい や音声 おんせい 読 よ み上 あ げが可能 かのう といったアクセシビリティが確保 かくほ されていれば、視覚 しかく 障害 しょうがい のみならずページをめくることが難 むずか しい肢体 したい 不自由 ふじゆう や識字 しきじ 障害 しょうがい の児童 じどう 学生 がくせい にも読書 どくしょ 権 けん を保障 ほしょう できる。発達 はったつ 障害 しょうがい の学生 がくせい にわかりやすい授業 じゅぎょう は、クラス全体 ぜんたい の理解 りかい を深 ふか めることも可能 かのう である。このような全体 ぜんたい としてのユニバーサルデザインと同時 どうじ に、授業 じゅぎょう で手話 しゅわ 通訳 つうやく やスマホによる字幕 じまく 表示 ひょうじ を利用 りよう したり、聴覚 ちょうかく 過敏 かびん の発達 はったつ 障害 しょうがい 児 じ がイヤーマフを利用 りよう したりといった個別 こべつ の合理 ごうり 的 てき 配慮 はいりょ への対応 たいおう も重要 じゅうよう である。
高等 こうとう 教育 きょういく においても、2018年 ねん に合理 ごうり 的 てき 配慮 はいりょ が義務 ぎむ 化 か されたため、各 かく 大学 だいがく 等 とう においては障害 しょうがい 学生 がくせい 支援 しえん 室 しつ などを設 もう け、大学 だいがく 全体 ぜんたい のユニバーサルデザインのハード、ソフトを見直 みなお している。学生 がくせい 自身 じしん が自 みずか らのニーズに基 もと づき、自分 じぶん に必要 ひつよう な合理 ごうり 的 てき 配慮 はいりょ とは何 なに かを周囲 しゅうい に伝 つた え、インクルーシブな学習 がくしゅう や雇用 こよう 環境 かんきょう を自 みずか ら作 つく り出 だ していく能力 のうりょく の開発 かいはつ が求 もと められている。
AI(人工 じんこう 知能 ちのう )などコンピューターの技術 ぎじゅつ 革新 かくしん によって将来 しょうらい 、多 おお くの仕事 しごと が変革 へんかく する可能 かのう 性 せい がある。求 もと められる能力 のうりょく も変 か わってくる。こういった社会 しゃかい を生 い きる上 うえ で、課題 かだい を発見 はっけん し、解決 かいけつ 策 さく を提示 ていじ する資質 ししつ ・能力 のうりょく を着実 ちゃくじつ に育 はぐく む学校 がっこう 教育 きょういく への転換 てんかん が求 もと められている。大学 だいがく においては、社会 しゃかい 人 じん 基礎 きそ 力 りょく をつけることが重要 じゅうよう であり、人生 じんせい 100年 ねん 時代 じだい においては、40代 だい 60代 だい 80代 だい でも学 まな び続 つづ けられるユニバーサルな教育 きょういく 環境 かんきょう が必要 ひつよう となる。産官学 さんかんがく 民 みん が連携 れんけい し、地域 ちいき 社会 しゃかい に必要 ひつよう な課題 かだい 発見 はっけん 、課題 かだい 解決 かいけつ を行 おこな うなど、教育 きょういく 環境 かんきょう においても、学習 がくしゅう 主体 しゅたい である児童 じどう ・生徒 せいと ・学生 がくせい ・社会 しゃかい 人 じん 学生 がくせい が、保護 ほご 者 しゃ や地域 ちいき の人々 ひとびと 等 とう と共 とも に創 つく り上 あ げていく発想 はっそう や設計 せっけい 思想 しそう が重要 じゅうよう である。その際 さい にも、社会 しゃかい の構成 こうせい 員 いん である多様 たよう な人々 ひとびと を理解 りかい し、共 とも に生 い きていくDiversity&Inclusionを理解 りかい することが重要 じゅうよう である。男性 だんせい の20人 にん に一人 ひとり いるといわれる色覚 しきかく 少数 しょうすう 者 しゃ の学生 がくせい が、緑 みどり の黒板 こくばん に赤 あか では読 よ みにくいため朱色 しゅいろ のUDチョークを使 つか うことや、多様 たよう な年代 ねんだい にとって読 よ みやすいUDフォントの利用 りよう が推奨 すいしょう されている。このような考 かんが え方 かた は読 よ みやすさ、視認 しにん 性 せい を高 たか めるもので、教育 きょういく 現場 げんば だけでなく、今 いま では多 おお くの新聞 しんぶん や書籍 しょせき 、プレゼンテーションやサイン、パッケージデザインなどでも利用 りよう されている[3] 。
海 うみ のユニバーサルデザイン[ 編集 へんしゅう ]
海水浴 かいすいよく 場 じょう は障 さわ がい者 しゃ や高齢 こうれい 者 しゃ の方 ほう が自 みずか らが訪 おとず れ、海水浴 かいすいよく を楽 たの しめる場所 ばしょ ではなかった。ビーチマット(アクセスマット)と呼 よ ばれる砂浜 すなはま に設置 せっち することで車椅子 くるまいす ユーザーやベビーカーユーザーも砂浜 すなはま を通行 つうこう できるマットや水中 すいちゅう でも適度 てきど に浮 う くことができる水陸 すいりく 両用 りょうよう 車椅子 くるまいす を活用 かつよう することで海 うみ のユニバーサルデザイン化 か 、海 うみ のバリアフリー化 か を推進 すいしん する。障 さわ がい者 しゃ 専用 せんよう 駐車 ちゅうしゃ 場 じょう ・専用 せんよう 更衣 ころもがえ 室 しつ ・バリアフリートイレを行政 ぎょうせい 側 がわ と協力 きょうりょく して設置 せっち 。社会 しゃかい の高齢 こうれい 化 か や海水浴 かいすいよく 利用 りよう 者 しゃ が減少 げんしょう する中 なか 、環境 かんきょう NPO/NGOの国際 こくさい 環境 かんきょう 教育 きょういく 基金 ききん (FEE)が「厳 きび しい基準 きじゅん を満 み たした砂浜 すなはま 、ヨットハーバー、持続 じぞく 可能 かのう な船 ふね 観光 かんこう 事業 じぎょう 」に対 たい して贈 おく るブルーフラッグビーチ認証 にんしょう とともに海岸 かいがん のイメージを向上 こうじょう する取 と り組 く みとして評価 ひょうか されている。須磨 すま 海水浴 かいすいよく 場 じょう を中心 ちゅうしん に広 ひろ がるユニバーサルビーチプロジェクトは2019年 ねん 国際 こくさい ユニヴァーサルデザイン協議 きょうぎ 会 かい (IAUD)賞 しょう を受賞 じゅしょう し、動 うご きは全国 ぜんこく に広 ひろ がってきている。須磨 すま 海 かい 海水浴 かいすいよく 場 じょう は、2023年 ねん の『北半球 きたはんきゅう ブルーフラッグ認証 にんしょう におけるベストプラクティス賞 しょう 』で世界 せかい 51か国 こく 、5,036か所 しょ のビーチ・マリーナ・観光 かんこう 船舶 せんぱく の中 なか から世界 せかい 2位 い に選 えら ばれた。
ユニバーサルデザインへの批判 ひはん や誤解 ごかい [ 編集 へんしゅう ]
ユニバーサルデザインという言葉 ことば は、1997年 ねん のグッドデザイン賞 しょう (Gマーク)において「ユニバーサルデザイン賞 しょう 」が設置 せっち されたのを契機 けいき に、日本 にっぽん 国内 こくない において使 つか われるようになった。
グッドデザイン賞 しょう において審査 しんさ 委員 いいん 長 ちょう を務 つと めた川崎 かわさき 和男 かずお は、「ハートビル法 ほう 、ノーマライゼーション、バリアフリーなどの呼称 こしょう は、少数 しょうすう 派 は といわれてきた領域 りょういき を、デザインの対象 たいしょう にしているようだが、実 じつ は、デザインそのものの本質 ほんしつ を語 かた り直 なお しただけにすぎない。デザインの本質 ほんしつ を浮 う かび上 あ がらせるという点 てん においては、確 たし かに行政 ぎょうせい から市場 いちば 経済 けいざい に対 たい して、一般 いっぱん 的 てき な認識 にんしき を促 うなが すことができた。しかし、流行 りゅうこう 語 ご となったことで、以降 いこう 、現在 げんざい (注 ちゅう :2003年 ねん ごろ)に至 いた るまで、その本質 ほんしつ は見失 みうしな われてしまった。[11] 」と日本 にっぽん 国内 こくない におけるユニバーサルデザインの状況 じょうきょう を批判 ひはん している。
アメリカでユニバーサルデザインが誕生 たんじょう した社会 しゃかい 的 てき 背景 はいけい として、公民 こうみん 権 けん 運動 うんどう の流 なが れから施行 しこう されたADA(障害 しょうがい を持 も つアメリカ人 じん 法 ほう )という法律 ほうりつ の存在 そんざい がある。建築 けんちく 家 か であり教育 きょういく 者 しゃ であるロナルド・メイス は、この法律 ほうりつ の限界 げんかい を踏 ふ まえたうえで、あらゆる人 ひと が快適 かいてき に暮 く らすことができるデザインとしてユニバーサルデザインを提唱 ていしょう した。一方 いっぽう 、傷痍軍人 しょういぐんじん や障害 しょうがい 者 しゃ といった人々 ひとびと の自立 じりつ と雇用 こよう を促進 そくしん し、納税 のうぜい 者 しゃ へと変 か えることによって低 てい コストな社会 しゃかい を実現 じつげん して国力 こくりょく 低下 ていか を防 ふせ ぎたいアメリカの思惑 おもわく とも合致 がっち したことが、アメリカ社会 しゃかい においてユニバーサルデザインが受 う け入 い れられていく土壌 どじょう ともなった。
また、川崎 かわさき 和男 かずお は「彼 かれ (ロナルド・メイス)による7原則 げんそく 論 ろん が基本 きほん と考 かんが えられているが、それは米国 べいこく 中心 ちゅうしん の考 かんが え方 かた にすぎない。日本 にっぽん では、1989年 ねん の世界 せかい デザイン会議 かいぎ で、NASAのデザイナーであった、故 こ マイケル・カリルが初 はじ めて提唱 ていしょう している。元々 もともと は、WHOの国際 こくさい 障害 しょうがい 者 しゃ 年 ねん (1980年 ねん )のための、メイスンのレポート「バリアフリーをめざして」(1970年 ねん )で登場 とうじょう した言葉 ことば といわれているが、一方 いっぽう では、カリルによる、先進 せんしん 国家 こっか 特有 とくゆう の消費 しょうひ 経済 けいざい 主義 しゅぎ に偏 かたよ った訴訟 そしょう 社会 しゃかい 批判 ひはん の意味 いみ を持 も った言葉 ことば であり、メイスにも影響 えいきょう を与 あた えたと私 わたし は考 かんが えている。[11] 」と、ユニバーサルデザインが生 う まれた背景 はいけい について解説 かいせつ している。
バウハウス 以来 いらい 、デザインは人々 ひとびと の暮 く らしをある種 しゅ の「規格 きかく 」にあてはめることによって、合理 ごうり 主義 しゅぎ ・機能 きのう 主義 しゅぎ 的 てき で、大量 たいりょう 生産 せいさん を前提 ぜんてい とした工業 こうぎょう 化 か 社会 しゃかい と芸術 げいじゅつ のあり方 かた を示 しめ し、自由 じゆう で豊 ゆた かな生活 せいかつ を実現 じつげん してきた。反面 はんめん 、デザイン(とその思想 しそう を前提 ぜんてい とした社会 しゃかい )は人間 にんげん の持 も つ多様 たよう 性 せい を容認 ようにん せず、規格 きかく (モジュール)に縛 しば りつけてしまうという逆説 ぎゃくせつ 的 てき かつ重大 じゅうだい な欠陥 けっかん を抱 かか えることになった。このことは、「自分 じぶん の体型 たいけい に合 あ った服 ふく を既成 きせい 品 ひん に見 み つけることが難 むずか しい」という日常 にちじょう 的 てき な体験 たいけん に置 お き換 か えて考 かんが えると理解 りかい しやすい。こういったデザインの理想 りそう 主義 しゅぎ 的 てき な側面 そくめん は、ユニバーサルデザインにおける「誰 だれ もが使 つか いやすい」という実現 じつげん 不可能 ふかのう な幻想 げんそう へとつながっている。このことを踏 ふ まえ、川崎 かわさき 和男 かずお は日本 にっぽん におけるユニバーサルデザインの問題 もんだい 点 てん を次 つぎ のように指摘 してき する。
「日本 にっぽん では、高齢 こうれい 化 か 社会 しゃかい を迎 むか えるにあたって、商業 しょうぎょう 的 てき ・行政 ぎょうせい 的 てき に最 もっと もふさわしい言葉 ことば として重宝 ちょうほう されている。「誰 だれ もが使 つか いやすいモノやコトのデザイン」という定義 ていぎ が一般 いっぱん 化 か してしまったことは、この言葉 ことば の本質 ほんしつ を訴求 そきゅう するうえでは、大 おお きな誤用 ごよう であったと指摘 してき しておきたい。(中略 ちゅうりゃく )『誰 だれ もが使 つか えるモノ』などあるわけがなく、高齢 こうれい 者 しゃ や幼児 ようじ 、障害 しょうがい 者 しゃ すべてに対 たい するデザインが、いわゆるユニバーサルデザインそのものの本質 ほんしつ において、デザインの理想 りそう 主義 しゅぎ の確信 かくしん を強調 きょうちょう させた意味 いみ を持 も っているだけである。[11] 」川崎 かわさき 和男 かずお は、「必要 ひつよう なのは、この流行 りゅうこう 語 ご を、『ヒューマン・センタード・デザイン』という言葉 ことば による再 さい 定義 ていぎ によって、その本質 ほんしつ をもっと訴求 そきゅう することである」と述 の べている。
なお、このようなユニバーサルデザインへの誤解 ごかい 、すなわち一 ひと つのものが全員 ぜんいん に使 つか えるデザイン、および障害 しょうがい 者 しゃ 向 む けのデザインという誤 あやま った理解 りかい が、日本 にっぽん のプロダクトデザイナーの間 あいだ に普及 ふきゅう してしまったために、社会 しゃかい 全体 ぜんたい を、子 こ どもからシニア、外国 がいこく 人 じん や女性 じょせい 、左利 ひだりき きなど、多様 たよう な人 ひと が不便 ふべん に感 かん じない社会 しゃかい を作 つく り出 だ すというユニバーサルデザインの思想 しそう は、日本 にっぽん では浸透 しんとう しきれていない。
また、ユニバーサルデザインという言葉 ことば の誤用 ごよう によりに誤解 ごかい を生 しょう じた例 れい もある。例 たと えばユニバーサルスプーンという名称 めいしょう で流通 りゅうつう している製品 せいひん は、高齢 こうれい 者 しゃ の介護 かいご 現場 げんば で使 つか われることを意識 いしき して作 つく られたものもあり、これが必 かなら ずしも障害 しょうがい 者 しゃ 全般 ぜんぱん に使 つか いやすいとは言 い えない状況 じょうきょう である。このような、誤用 ごよう から来 く る誤解 ごかい を払拭 ふっしょく することは容易 ようい ではない。
ユニバーサルデザインに関連 かんれん する概念 がいねん や用語 ようご [ 編集 へんしゅう ]
関係 かんけい する用語 ようご [ 編集 へんしゅう ]
^ 英 えい : The Center for Universal Design, NC State University