自尊心 じそんしん (じそんしん)とは、心理 しんり 学 がく 的 まと には自己 じこ に対 たい して一般 いっぱん 化 か された肯定 こうてい 的 てき な態度 たいど である[ 注 ちゅう 1] 。英語 えいご のままセルフ・エスティーム (英 えい : self-esteem )とも呼 よ ばれる。
ここでは社会 しゃかい 心理 しんり 学 がく における自己 じこ の概念 がいねん に関 かん して、育 はぐく み維持 いじ される自己 じこ 評価 ひょうか や、あるいは「ありのままの自己 じこ を尊重 そんちょう し受 う け入 い れる 」態度 たいど とする。
多 おお くの研究 けんきゅう 者 しゃ によって自己 じこ 肯定 こうてい 感 かん は人格 じんかく 形成 けいせい や情緒 じょうちょ の安定 あんてい のために重要 じゅうよう であると考 かんが えられており、自尊心 じそんしん はそのためには必要 ひつよう な感情 かんじょう であるとも言 い える。
自尊心 じそんしん とは、他人 たにん からの評価 ひょうか ではなく、自分 じぶん が自分 じぶん をどう思 おも うか、感 かん じるかである。つまり、一時 いちじ 的 てき に快感 かいかん を与 あた える、知識 ちしき ・技術 ぎじゅつ ・財産 ざいさん ・容姿 ようし ・結婚 けっこん ・慈善 じぜん 行為 こうい や性的 せいてき な征服 せいふく から生 う まれるものではなく、い換 いか えれば、外 そと に求 もと めることでも、人 ひと に与 あた える印象 いんしょう でもない。競争 きょうそう でも比較 ひかく でもなく、自尊心 じそんしん の重要 じゅうよう な原因 げんいん は自分 じぶん とも他人 たにん とも戦 たたか っていない状態 じょうたい である。
その起源 きげん には、幼 おさな いころに大人 おとな から尊重 そんちょう され、価値 かち を認 みと められたか、励 はげ まされたかといったことがある。しかし、最 もっと も重要 じゅうよう な影響 えいきょう があるのは、自分 じぶん 自身 じしん で選択 せんたく したということである。い換 いか えれば、自分 じぶん の可能 かのう 性 せい を実現 じつげん したいという気持 きも ちから、生 い き方 かた を変 か えるということから自尊心 じそんしん が育 はぐく まれていく。
自尊心 じそんしん は、自分 じぶん が有能 ゆうのう であるといういわゆる自信 じしん と、自分 じぶん に価値 かち があるという自尊 じそん の2つの要素 ようそ から成 な り立 た っている。研究 けんきゅう 者 しゃ によれば、自尊心 じそんしん の欠如 けつじょ は、不安 ふあん ・憂鬱 ゆううつ ・恐 おそ れ、アルコールなどの乱用 らんよう 、成績 せいせき 不振 ふしん 、暴力 ぼうりょく や虐待 ぎゃくたい 、自殺 じさつ などにかかわっている。
自尊心 じそんしん の欠如 けつじょ は、しばしばセルフコントロール を失 うしな い、依存 いぞん 症 しょう や摂食 せっしょく 障害 しょうがい などの精神 せいしん 障害 しょうがい や自殺 じさつ を引 ひ き起 お こすことがある。また、自尊心 じそんしん には、みずからが過 あやま ちを犯 おか したり勝負 しょうぶ において敗 やぶ れたりすることへの恐怖 きょうふ を打 う ち消 け す効果 こうか もある。そのため自己 じこ 愛 あい 性 せい パーソナリティ障害 しょうがい や双極 そうきょく 性 せい 障害 しょうがい における躁 ・軽躁 けいそう 状態 じょうたい のように自尊心 じそんしん が過剰 かじょう になると、みずからが過 あやま ちを犯 おか したり勝負 しょうぶ において敗 やぶ れたりしてもそれを認 みと めることがなかなかできなかったり、この結果 けっか を相手方 あいてがた の不当 ふとう 性 せい に求 もと めたりする。
世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん と自殺 じさつ 防止 ぼうし [ 編集 へんしゅう ]
世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん は2000年 ねん に、青少年 せいしょうねん 層 そう に多発 たはつ する自殺 じさつ を防止 ぼうし するため教員 きょういん や学校 がっこう 医 い 、スクールカウンセラー を対象 たいしょう とした、「自殺 じさつ の予防 よぼう に向 む けた教職員 きょうしょくいん のための資料 しりょう 」[ 4] を発表 はっぴょう し、家庭 かてい 内 ない 暴力 ぼうりょく 、家族 かぞく の頻繁 ひんぱん な喧嘩 けんか 、離婚 りこん などによる離別 りべつ 、頻繁 ひんぱん な引 ひ っ越 こ し 、先住民 せんじゅうみん 族 ぞく であること、性 せい 自認 じにん や性的 せいてき 指向 しこう の問題 もんだい などの自殺 じさつ を引 ひ き起 お こす要因 よういん を指摘 してき し、不 ふ 寛容 かんよう からの解放 かいほう によるいじめ や校内 こうない 暴力 ぼうりょく の防止 ぼうし と共 とも に、就学 しゅうがく 者 しゃ の自尊心 じそんしん の強化 きょうか を挙 あ げ、それが青少年 せいしょうねん を精神 せいしん 的 てき 苦悩 くのう や依存 いぞん 心 しん から保護 ほご し、生活 せいかつ 上 じょう の困難 こんなん やストレス に対処 たいしょ できる力 ちから を与 あた えることを明記 めいき している。
何 なに も心理 しんり 療法 りょうほう を受 う けなくとも、自己 じこ イメージは自分 じぶん で育 そだ てることが可能 かのう であり、『自信 じしん を育 そだ てる心理 しんり 学 がく 「自己 じこ 評価 ひょうか 」入門 にゅうもん 』のようなセルフヘルプのための本 ほん が出版 しゅっぱん されている。自分 じぶん の感情 かんじょう や望 のぞ みや考 かんが えに気 き づくこと、自己 じこ 受容 じゅよう すること、自己 じこ 表現 ひょうげん や自己 じこ 主張 しゅちょう を学 まな ぶことは、自尊心 じそんしん のための最 もっと も重要 じゅうよう な3つである。
自分 じぶん の行動 こうどう や価値 かち 観 かん や目標 もくひょう に気 き づこうとし、それに従 したが って生 い きることは、自信 じしん と自尊 じそん の感情 かんじょう を生 う み出 だ し、意識 いしき のはたらかせ方 かた から生 う まれる。
自己 じこ の受容 じゅよう は、変化 へんか のための条件 じょうけん であり、善悪 ぜんあく といった判断 はんだん をはなれ、事実 じじつ を事実 じじつ として受 う け入 い れ、恐 おそ れがあることを受容 じゅよう し、あまりにも受 う け入 い れられない時 とき には受 う け入 い れられないことを受 う け入 い れるということである。存在 そんざい を認 みと めていない恐 おそ れは、解決 かいけつ も克服 こくふく もできないからである。悲 かな しみや喜 よろこ びだけでなく、才能 さいのう といった長所 ちょうしょ も、挑戦 ちょうせん のための責任 せきにん や他者 たしゃ からの敵意 てきい のために受 う け入 い れにくいことがある。罪悪 ざいあく 感 かん については、怒 いか りを自分 じぶん のものとして認 みと め、憤 いきどお りを無視 むし する、自己 じこ 主張 しゅちょう を恐 おそ れるといったもっと深 ふか い問題 もんだい に直面 ちょくめん する必要 ひつよう がある。行 おこな ったことを認 みと め、与 あた えた危害 きがい を認 みと め、償 つぐな い、理由 りゆう を探 さぐ り、繰 く り返 かえ さないための決意 けつい を行 おこな う。大人 おとな の自分 じぶん と子供 こども の自分 じぶん の対立 たいりつ の解決 かいけつ も重要 じゅうよう であり、同様 どうよう に当時 とうじ はそれが精 せい いっぱいであったこと、同様 どうよう に感情 かんじょう などを受 う け入 い れていく。
念 ねん または英語 えいご でマインドフルネス とは、ただありのままに注意 ちゅうい を向 む けるということであるが[ 14] 、417人 にん の質問 しつもん 回答 かいとう の分析 ぶんせき から、マインドフルネスが自尊心 じそんしん や不安 ふあん や抑 そもそも うつとの関係 かんけい を示 しめ し、自尊心 じそんしん が不安 ふあん と抑 そもそも うつの軽減 けいげん 、抑止 よくし に対 たい し、有益 ゆうえき であるという役割 やくわり を裏付 うらづ けた[ 15] 。
自尊心 じそんしん の形成 けいせい をサポートする際 さい に支援 しえん 者 しゃ は、本人 ほんにん の存在 そんざい 自体 じたい の価値 かち をまるごと認 みと め、本人 ほんにん に対 たい して否定 ひてい をせず根拠 こんきょ のある積極 せっきょく 的 てき な肯定 こうてい をすることが大切 たいせつ であり、そのうえで、何 なに かをすることができた際 さい にそれがどのようなものでも一 ひと つ一 ひと つの達成 たっせい を本人 ほんにん の心 しん に届 とど く形 かたち で肯定 こうてい ・称賛 しょうさん することが重要 じゅうよう である[ 16] 。
自尊心 じそんしん に関 かん する初期 しょき の研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
自尊心 じそんしん 研究 けんきゅう の初期 しょき の第一人者 だいいちにんしゃ の1人 ひとり であるロイ・バウマイスター (英語 えいご 版 ばん ) によると、バウマイスターが社会 しゃかい 心理 しんり 学者 がくしゃ として研究 けんきゅう を始 はじ めた1970年代 ねんだい には、自分 じぶん の能力 のうりょく と価値 かち 観 かん に自信 じしん がある人 ひと ほど幸福 こうふく になって成功 せいこう するという研究 けんきゅう があったため、自尊心 じそんしん 関連 かんれん の研究 けんきゅう は当時 とうじ の主流 しゅりゅう であった[ 17] 。
またその頃 ころ の研究 けんきゅう では、いずれも相関 そうかん 関係 かんけい は大 おお きくなかったが統計 とうけい 的 てき には有意 ゆうい なレベルで[ 18] 、自尊心 じそんしん が高 たか い生徒 せいと は学校 がっこう の成績 せいせき がよく、低 ひく い生徒 せいと は学校 がっこう で苦労 くろう しているという調査 ちょうさ 結果 けっか や、未婚 みこん の母親 ははおや や薬物 やくぶつ 依存 いぞん 症 しょう 患者 かんじゃ 、犯罪 はんざい 者 しゃ などは自尊心 じそんしん が低 ひく いことを示 しめ した研究 けんきゅう があった。そのため、ナサニエル・ブランデン (英語 えいご 版 ばん ) は自尊心 じそんしん に関 かん して「心理 しんり 的 てき な問題 もんだい のもとをたどればすべて、自尊心 じそんしん の低 ひく さにつながると思 おも われる」と言及 げんきゅう すること[ 19] や、カリフォルニア州 しゅう で自尊心 じそんしん についての特別 とくべつ 調査 ちょうさ 委員 いいん 会 かい 委員 いいん 長 ちょう であるアンドリュー・メッカは「事実 じじつ 上 じょう すべての社会 しゃかい 問題 もんだい の根 ね は、自分 じぶん を好 す きになれないことに帰結 きけつ すると考 かんが えられる」と言及 げんきゅう すること[ 20] 、報告 ほうこく 書 しょ をまとめたカリフォルニア大学 だいがく バークレー校 こう の社会 しゃかい 学者 がくしゃ ニール・スメルサー (英語 えいご 版 ばん ) は「ほとんどとは言 い わないまでも、社会 しゃかい に蔓延 まんえん している問題 もんだい の多 おお くの根 ね は、この社会 しゃかい を構成 こうせい する人 ひと たちの自尊心 じそんしん の低 ひく さにある」と言及 げんきゅう すること[ 21] があった。
自尊心 じそんしん の定説 ていせつ を覆 くつがえ した研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
なお、上記 じょうき のカリフォルニア州 しゅう での研究 けんきゅう では確実 かくじつ な科学 かがく 的 てき 根拠 こんきょ は見 み つからず、その点 てん についてスメルサーは「残念 ざんねん だ」と述 の べている[ 21] 。しかし、自尊心 じそんしん 関連 かんれん の研究 けんきゅう については期待 きたい がなされており、もう一度 いちど 研究 けんきゅう がなされればもっと良 よ い結果 けっか が出 で るものとされ、後 ご に科学 かがく 的 てき な機関 きかん である心理 しんり 科学 かがく 協会 きょうかい で研究 けんきゅう が行 おこな われた。この研究 けんきゅう [ 22] では何 なん 千 せん という研究 けんきゅう の中 なか から高 たか い研究 けんきゅう 水準 すいじゅん を満 み たすものを選 えら び出 だ して研究 けんきゅう が行 おこな われ、自尊心 じそんしん のもつ様々 さまざま な性質 せいしつ が明 あき らかになった。その結果 けっか 、自尊心 じそんしん に関 かん する定説 ていせつ を覆 くつがえ すものになった。また、科学 かがく 論文 ろんぶん を審査 しんさ した調査 ちょうさ 委員 いいん 会 かい の心理 しんり 学者 がくしゃ たちによると、少 すく なくともアメリカ、カナダ、西 にし ヨーロッパでは自尊心 じそんしん の低 ひく い人 ひと が満 み ちているという考 かんが えは間違 まちが いで、特 とく に子 こ どもたちは最初 さいしょ からとても自信 じしん を持 も っているものだと結論 けつろん した[ 23] 。
自尊心 じそんしん と学業 がくぎょう 成績 せいせき との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
自尊心 じそんしん と成績 せいせき の相関 そうかん 関係 かんけい はあり、確 たし かに自尊心 じそんしん の高 たか い生徒 せいと は成績 せいせき が良 よ かった[ 22] 。だが、その因果 いんが 関係 かんけい は、10年生 ねんせい (日本 にっぽん の高校 こうこう 1年生 ねんせい )で成績 せいせき がよかった生徒 せいと は12年生 ねんせい (日本 にっぽん の高校 こうこう 3年生 ねんせい )の時点 じてん で高 たか い自尊心 じそんしん を持 も っていたが、逆 ぎゃく に10年生 ねんせい の時 とき に高 たか い自尊心 じそんしん を持 も っていた生徒 せいと は、12年生 ねんせい で成績 せいせき が良 よ いということはなかったため、成績 せいせき が先 さき に高 たか いことによって自尊心 じそんしん が高 たか まるというものである。
自尊心 じそんしん と成績 せいせき に関 かん しては、別 べつ の研究 けんきゅう も行 おこな われている。ドナルド・フォーサイスは、自身 じしん が担当 たんとう する心理 しんり 学 がく のクラスで学生 がくせい たちの自尊心 じそんしん を高 たか めるため、成績 せいせき がC以下 いか の学生 がくせい を2つに分 わ け、毎週 まいしゅう 、自尊心 じそんしん を刺激 しげき するメッセージと事務 じむ 的 てき なメッセージを送 おく る比較 ひかく 研究 けんきゅう を行 おこな った[ 24] 。その結果 けっか 、自尊心 じそんしん を刺激 しげき するメッセージを受 う け取 と った学生 がくせい は、対照 たいしょう 群 ぐん の学生 がくせい たちよりも成績 せいせき が悪 わる く、さらに前回 ぜんかい の試験 しけん のときよりも成績 せいせき が下 さ がってしまった。また、国際 こくさい 的 てき な学力 がくりょく 調査 ちょうさ で8年生 ねんせい (日本 にっぽん の中学 ちゅうがく 2年生 ねんせい )の数学 すうがく の成績 せいせき を比較 ひかく した研究 けんきゅう [ 25] によると、自分 じぶん の能力 のうりょく に強 つよ い自信 じしん を持 も つアメリカ人 じん の生徒 せいと は、日本 にっぽん や韓国 かんこく といったアメリカに比 くら べて自尊心 じそんしん の低 ひく い国 くに の生徒 せいと よりもはるかに成績 せいせき が悪 わる かった。
自尊心 じそんしん と諸 しょ 問題 もんだい との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
自尊心 じそんしん の高 たか さは、飲酒 いんしゅ ・喫煙 きつえん ・薬物 やくぶつ ・未成年 みせいねん の性行為 せいこうい を防 ふせ ぐことはなかった[ 22] 。確 たし かに自尊心 じそんしん の低 ひく さと薬物 やくぶつ 依存 いぞん や10代での妊娠 にんしん などの問題 もんだい に相関 そうかん 関係 かんけい はあるかもしれないが、低 ひく い自尊心 じそんしん がその問題 もんだい を引 ひ き起 お こしているのではなく、逆 ぎゃく 因果 いんが の関係 かんけい にあり、低 てい 年齢 ねんれい で薬物 やくぶつ 依存 いぞん 状態 じょうたい にあり妊娠 にんしん をしていることで自尊心 じそんしん が低 ひく くなるという指摘 してき がある。
この研究 けんきゅう からわかった自尊心 じそんしん が高 たか いことによる利点 りてん は、2点 てん が実証 じっしょう された[ 22] 。1点 てん 目 め は自主 じしゅ 性 せい が高 たか まり、自身 じしん の信念 しんねん に基 もと づき行動 こうどう して新 あたら しい仕事 しごと のリスクを引 ひ き受 う ける強 つよ い意欲 いよく を持 も っていることである。2点 てん 目 め は成績 せいせき などが悪 わる くても全体 ぜんたい 的 てき に満足 まんぞく を感 かん じているので、機嫌 きげん 良 よ く過 す ごせることである。
自尊心 じそんしん の高 たか さとナルシストとの関連 かんれん [ 編集 へんしゅう ]
自尊心 じそんしん が高 たか いことは、ナルシストと関連 かんれん があることが指摘 してき されている[ 26] 。ナルシストが近年 きんねん 、特 とく に若 わか いアメリカ人 じん の間 あいだ で急増 きゅうぞう していて[ 27] 、この30年 ねん で発表 はっぴょう された歌 うた の歌詞 かし にまでその傾向 けいこう が現 あらわ れている[ 28] 。ナルシストは集団 しゅうだん 内 ない では最初 さいしょ の2、3回 かい は好 す かれるものの、その種 たね の人 ひと の評価 ひょうか は多 おお くの場合 ばあい 最下位 さいかい にまで転落 てんらく して、周 まわ りの人 ひと にとっては付 つ き合 あ いづらい存在 そんざい となる[ 29] 。
自尊心 じそんしん に関 かん するその後 ご の研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
1970年代 ねんだい のアメリカでは前述 ぜんじゅつ 通 どお り自尊心 じそんしん の研究 けんきゅう が栄 さか えていたが、1980年代 ねんだい になるとマシュマロ実験 じっけん に代表 だいひょう される自己 じこ 調節 ちょうせつ (自己 じこ コントロール)(英語 えいご 版 ばん ) に多 おお くの心理 しんり 学者 がくしゃ が目 め を向 む けるようになった[ 30] 。その後 ご の研究 けんきゅう で、自己 じこ コントロール能力 のうりょく が生 う む利益 りえき が総合 そうごう 的 てき に評価 ひょうか され、「自己 じこ 調節 ちょうせつ の失敗 しっぱい こそが、現代 げんだい における主要 しゅよう な社会 しゃかい 病理 びょうり である」と結論 けつろん 付 つ けられた[ 31] 。この研究 けんきゅう では、高 たか い離婚 りこん 率 りつ や家庭 かてい 内 ない 暴力 ぼうりょく や犯罪 はんざい 、その他 た の問題 もんだい の一因 いちいん となった多 おお くの例 れい が挙 あ げられている。
この研究 けんきゅう に刺激 しげき され多 おお くの研究 けんきゅう がなされ、自己 じこ コントロール能力 のうりょく が学生 がくせい の成績 せいせき を予測 よそく する方法 ほうほう としてIQやSATのスコアよりも優 すぐ れていることがわかった[ 32] 。加 くわ えて、後 ご の研究 けんきゅう では職場 しょくば では自己 じこ コントロール能力 のうりょく が高 たか い上司 じょうし は、部下 ぶか からも同僚 どうりょう からも好意 こうい 的 てき に評価 ひょうか されていること、自己 じこ コントロール能力 のうりょく が高 たか い人物 じんぶつ は感情 かんじょう 的 てき にも安定 あんてい していて、不安 ふあん やうつ病 びょう や偏執病 へんしゅうびょう 、精神病 せいしんびょう 質 しつ 傾向 けいこう 、強迫 きょうはく 神経症 しんけいしょう 、摂食 せっしょく 障害 しょうがい 、アルコール依存 いぞん 症 しょう その他 た の問題 もんだい を抱 かか える傾向 けいこう が低 ひく く、また腹 はら を立 た てることが少 すく なく、腹 はら を立 た てた場合 ばあい にも暴言 ぼうげん を吐 は いたり暴力 ぼうりょく をふるったりして攻撃 こうげき 的 てき になることが少 すく ないことが明 あき らかになった[ 33] 。
2010年 ねん にはニュージーランドで1000人 にん の子供 こども を誕生 たんじょう から32歳 さい まで追跡 ついせき するという大 だい 規模 きぼ で徹底 てってい された調査 ちょうさ が発表 はっぴょう された[ 34] 。その結果 けっか は上記 じょうき の内容 ないよう を裏付 うらづ けるものであった。自己 じこ コントロール能力 のうりょく が高 たか かった子供 こども は、成人 せいじん してからの肥満 ひまん 率 りつ が低 ひく く、性 せい 感染 かんせん 症 しょう を持 も つ者 もの も少 すく なく、歯 ぱ の状態 じょうたい もよいという身体 しんたい 的 てき に健康 けんこう な状態 じょうたい であることが明 あき らかになった。また、大人 おとな になってからも安定 あんてい した結婚 けっこん 生活 せいかつ を営 いとな み、両親 りょうしん が揃 そろ った家庭 かてい で子供 こども を育 そだ てる傾向 けいこう があった。一方 いっぽう 、自己 じこ コントロール能力 のうりょく が低 ひく かった子供 こども は、アルコールや薬物 やくぶつ の問題 もんだい を抱 かか えやすく、大人 おとな になってから経済 けいざい 的 てき に貧 まず しくなる傾向 けいこう にあり、子供 こども を1人 ひとり 親 おや 家庭 かてい で育 そだ てる割合 わりあい が高 たか く、刑務所 けいむしょ に入 はい る割合 わりあい が高 たか かった。この研究 けんきゅう の内容 ないよう は、評価 ひょうか 方法 ほうほう は観察 かんさつ 、両親 りょうしん ・教師 きょうし ・子供 こども 本人 ほんにん からの問題 もんだい 点 てん の報告 ほうこく によるもので信頼 しんらい 性 せい の高 たか い尺度 しゃくど であり、知能 ちのう ・社会 しゃかい 階級 かいきゅう ・人種 じんしゅ の要素 ようそ を考慮 こうりょ してもなお、全 すべ てに有意 ゆうい の差 さ が見 み られた。
この様 よう に自己 じこ 調節 ちょうせつ (自己 じこ コントロール)(英語 えいご 版 ばん ) の大 おお きな有用 ゆうよう 性 せい が示 しめ されるにつれて、自尊心 じそんしん に関 かん する研究 けんきゅう はかつての勢 いきお いを失 うしな った[ 35] 。
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ナサニエル・ブランデン 著 ちょ 、手塚 てづか 郁恵 いくえ 訳 やく 『自信 じしん を育 そだ てる心理 しんり 学 がく 「自己 じこ 評価 ひょうか 」入門 にゅうもん 』春秋 しゅんじゅう 社 しゃ 、1992年 ねん 。ISBN 4-393-36621-2 。 (新装 しんそう 版 ばん 2013年 ねん ISBN 978-4393366400 ) How to raise your self-esteem by Nathaniel Branden , 1992. 注 ちゅう p.3. に自己 じこ 評価 ひょうか の言葉 ことば にセルフエスティームのふりがながあるため、この自己 じこ 評価 ひょうか を本 ほん 項目 こうもく では自尊心 じそんしん とする。
ロイ・バウマイスター『意志 いし 力 りょく の科学 かがく 』、渡会 わたらい 圭子 けいこ 訳 やく 、インターシフト、2013年 ねん ISBN 978-4772695350
中間 ちゅうかん 玲子 れいこ (編著 へんちょ ) 『自尊 じそん 感情 かんじょう の心理 しんり 学 がく : 理解 りかい を深 ふか める「取扱 とりあつかい 説明 せつめい 書 しょ 」』 金子 かねこ 書房 しょぼう 2016 ISBN 4760826564