優越ゆうえつかん

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優越ゆうえつかん(ゆうえつかん、えい: a sense of superioritya superiority complex)とは、自分じぶん他者たしゃよりすぐれているとの認識にんしき、およびここからしょうじる自己じこ肯定こうてい感情かんじょうである。おおくの場合ばあいにおいて自尊心じそんしん一端いったん位置いちする感情かんじょうである。優等ゆうとうかん(ゆうとうかん)ともいう。対義語たいぎごは「劣後れつごかん」または「劣等れっとうかん」。

概要がいよう[編集へんしゅう]

優越ゆうえつかんは、自分じぶん他者たしゃよりすぐれているとかんじることや、これにより自分じぶん自身じしんさまこの状態じょうたいで、自尊心じそんしんはこういった自分じぶんたいする好意こういてき感情かんじょう総体そうたいであるとほぐされる。優越ゆうえつかんすで獲得かくとくした自分じぶん属性ぞくせいたいしていだ感情かんじょうであるが、いわゆる「努力どりょくした結果けっかとして獲得かくとくした能力のうりょく」が他者たしゃよりっているとかんじる場合ばあいにおいて、そういった体験たいけん努力どりょくなどの自助じじょ活動かつどううなが側面そくめんつ。

反面はんめん、なんら努力どりょくせずに獲得かくとくしている属性ぞくせい関連かんれんして、自分じぶんよりっている存在そんざいの、自分じぶんよりおとっている部分ぶぶん見出みいだし、そこに優越ゆうえつかんいだくという「うしき」な場合ばあいもある。これは劣等れっとうかんたいする自己じこ防衛ぼうえい防衛ぼうえいせい)であるが、この場合ばあいたんなる自己じこ満足まんぞくぎずなんら実質じっしつてき利益りえきさない。ただ、劣等れっとうかんから自己じこ否定ひてい感情かんじょうにより自身じしんきずつくようなストレスつづけて精神せいしんてきまいってしまうよりも、適度てきどにそういった「ガスき」てき逃避とうひおこなうことで決定的けっていてき事態じたい回避かいひするという意味合いみあいからは、有効ゆうこう手段しゅだんすることも可能かのうである。

速水はやみ敏彦としひこは、自身じしん内面ないめん自尊じそん感情かんじょう有能ゆうのうかん高低こうていかかわらず、他者たしゃ能力のうりょく批判ひはんてき評価ひょうか軽視けいしする傾向けいこう付随ふずいして習慣しゅうかんてきしょうじる有能ゆうのうかん仮想かそうてき有能ゆうのうかん名付なづ[1]膨張ぼうちょうした外面がいめん萎縮いしゅくした内面ないめんという矛盾むじゅんした両面りょうめんわせつ、あるしゅ若者わかものぞう説明せつめいした。仮想かそうてき有能ゆうのうかん自己じこ評価ひょうかたか利己りこてきてん自己じこあいているが、他者たしゃ評価ひょうか仕方しかた起因きいんしているてんちがいがある[1]

うえのようなものにかんして具体ぐたいてきれいげれば、はし練習れんしゅうをしてけっこで優位ゆうい状態じょうたいから発生はっせいしたのが「努力どりょくもとづく優越ゆうえつかん」で、もう一方いっぽうけっこがはやいもののいえ自分じぶんのところにくらべると貧乏びんぼうだなどというケースなどが想定そうていできる。けっこがはやいのは当人とうにん手柄てがらであるし頑張がんばった賜物たまものであるが、いえ裕福ゆうふくまずしいかは当人とうにん能力のうりょくには関係かんけいない。しかし実際じっさい問題もんだいとして、こういった優越ゆうえつかんはどちらのケースもしばしば様々さまざま箇所かしょ見出みいだされる。

なお、ものの優劣ゆうれつ価値かちかんにもよって様々さまざま見方みかた存在そんざいする。うえれいさら言及げんきゅうすると、けっこではやいとはっても、競技きょうぎとしての場合ばあい短距離たんきょりはし持久走じきゅうそう場合ばあいでは「はやい」という意味いみがかなりちがってきて、短距離たんきょりはしりでいくらはやくても持久走じきゅうそうでスタート直後ちょくごから短距離たんきょりはしのペースではしっても持久走じきゅうそうつことはできないしぎゃくもまたしかり、単純たんじゅんはしるのがはやいといっても状況じょうきょう結果けっかことなる。また、いえ裕福ゆうふくだとかまずしいとかにしても、高層こうそうマンションまいと下町したまちいえまいでは不動産ふどうさん価値かちという意味いみにおいて分譲ぶんじょうマンションは裕福ゆうふくとはえない一方いっぽうで、近代きんだいされた住宅じゅうたくという意味いみにおいて下町したまちいえ設備せつびふる不便ふべんなこともあるなどやはり単純たんじゅん比較ひかくはできない。このため優越ゆうえつかん実質じっしつてき価値かちかんたがえればあま意味いみない属性ぞくせいたいしてっていると認識にんしきしているにぎないケースもまま見出みいだされる。

こういった価値かちかんによる優越ゆうえつかんは、たとえば性差せいさ性別せいべつちがい)による優越ゆうえつかんなどが顕著けんちょで、男性だんせい尊重そんちょうされているでは男性だんせいがわ優越ゆうえつかんつだろうが、女性じょせい尊重そんちょうされているでは女性じょせいがわ優越ゆうえつかんちうるという程度ていどぎない。実際じっさい社会しゃかいでは往々おうおうにしてこういった価値かちかん逆転ぎゃくてんがおこるため、優越ゆうえつかんかんしても簡単かんたんくつがえされる場合ばあい存在そんざいする。

対義語たいぎご劣等れっとうかんが、主観しゅかんてき要素ようそつよいのにたいし、優越ゆうえつかん場合ばあいは、それをかんじる個人こじんぞくする集団しゅうだん価値かちかんが、基準きじゅんになることがおおい。したがって、所属しょぞくする集団しゅうだんことなる個人こじんたいしては、優越ゆうえつかん通用つうようしないのが普通ふつうである。優越ゆうえつかん通用つうようしなかった場合ばあい当人とうにんにとっての自尊心じそんしん傷付きずつけられることもある。

学力がくりょく価値かち子供こども集団しゅうだんでは、往々おうおうにして偏差へんさ優越ゆうえつかん根拠こんきょになる。偏差へんさたか高等こうとう学校がっこう合格ごうかくしたものは、学力がくりょく値打ねうちをものたいしてのみだが、優越ゆうえつかんいだくことが出来できる。

腕力わんりょく価値かち子供こども集団しゅうだんでは、喧嘩けんかつよいことが優越ゆうえつかん根拠こんきょになる。ただし、腕力わんりょくきらものたいしては、この優越ゆうえつかん通用つうようしない。

早熟そうじゅく値打ねうちを子供こども集団しゅうだんでは、子供こどもっぽくない服装ふくそう先取さきどりすることが、優越ゆうえつかん根拠こんきょになることがある。トランクス普及ふきゅうには、トランクスを早期そうき採用さいようしたものが、依然いぜんとしてブリーフ採用さいようしている同級生どうきゅうせいたいして、この感情かんじょういたともいう。もっともこれも、若者わかもの魅力みりょくかんじないものには、通用つうようしない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 速水はやみ敏彦としひこ 二宮にのみや克美かつみ子安こやすぞうせいへん)「仮想かそうてき有能ゆうのうかん」『キーワードコレクション 社会しゃかい心理しんりがくしん曜社 2011 ISBN 9784788512368 pp.130-133.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]