防衛 機 制
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![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b9/Goya-El_sue%C3%B1o_de_la_raz%C3%B3n.jpg/220px-Goya-El_sue%C3%B1o_de_la_raz%C3%B3n.jpg)
防衛 機 制 の仕組 みと定義
[![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/db/Structural-Iceberg-ja.svg/200px-Structural-Iceberg-ja.svg.png)
ジークムント・フロイトにおける
原始 的 防衛 機 制
[クラインの
道徳 的 合理 化
[
Vaillantによる防衛 機 制 の分類
[レベル1、精神病 的 防衛
[転換 (Conversion) -抑圧 された衝動 や葛藤 が、麻痺 や感覚 喪失 となって表現 される。手足 が痺 れたり、失 立 失 歩 (脱力 し立 ったり歩 けなくなる)、声 が出 なくなる失 声 症 や視野 が狭 くなる、嚥下 困難 、不 食 や嘔吐 などの症状 が出 る。否認 (Denial)-不安 や苦痛 を生 み出 すようなある出来事 から目 をそらし、認 めないこと[6]。「抑圧 」はその出来事 を無意識 的 に追 い払 うものだが、「否認 」は出来事 自体 が存在 しないかのような言動 をとる。特 に「原始 的 否認 」は分裂 を強化 するような性質 の否認 を指 す。理想 化 や脱 価値 化 は、原始 的 否認 を背景 とし、また否認 を強化 する。代替 歪曲 (Distortion)-内面 ニーズを満 たすよう外部 の現実 を再 構成 する[6]。投影 (Projection)-自分 の内面 にある受 け入 れがたい感情 や欲 動 を、自分 のものとして認 めず、外部 に写 し出 すこと[6]。これは明 らかな妄想 (迫害 されるという被害 妄想 )の形 を取 る(精神病 性 妄想 )[6]。妄想 的 投影 (Delusional projection)。たとえば「私 は彼 を憎 む」が「彼 が私 を憎 む」になる[7]。分裂 (Splitting, スプリッティング, スプリット) -対象 や自己 に対 しての良 いイメージ・悪 いイメージを別 のものとして隔離 すること。「良 い」部分 が「悪 い」部分 によって汚染 、破壊 されるという被害 的 な不安 があり、両者 を分裂 させ、分 けることで良 い部分 を守 ろうとする。抑圧 が「臭 いものにフタをする」のに対 し、分裂 は「それぞれ別 の箱 に入 れて」しまう。分裂 させた自己 の悪 い部分 は、しばしば相手 の中 に「投影 」される。- 躁的
防衛 (Manic defence) -自分 の大切 な対象 を失 ったり、傷 つけたりしてしまったと感 じた時 に生 じる不安 や抑 うつなどの不快 な感情 を意識 しなくするために行 う。「優越 感 (征服 感 )」「支配 感 」「軽蔑 感 」の三 つの感情 に特徴 づけられ、自分 は万能 であり相手 を支配 できると思 い込 んだり、逆 に相手 の価値 をおとしめたりする。うつ気分 を逆転 させた躁の気分 で抑 うつの痛 みを振 り払 おうとする。
レベル2、未熟 な防衛
[行動 化 (Acting out)-抑圧 された衝動 や葛藤 が問題 行動 として表出 すること[6]。具体 的 には性的 逸脱 行動 、自 傷 行為 、自殺 企図 、暴言 、暴力 、過食 、拒 食 、浪費 、万引 き、薬物 依存 、アルコール依存 などが挙 げられる。途絶 (Blocking)[6]病気 不安 症 (Illness Anxiety Disorder)[6] -深刻 な病気 への過度 の心配 や思 い込 みの状態 取 り入 れ(摂取 , Introjection)[6] -投影 と逆 で、他者 の中 にある感情 や観念 、価値 観 などを自分 のもののように感 じたり、受 け入 れたりすること。特 に他者 の好 ましい部分 を取 り入 れることが多 い。発達 過程 においては道徳心 や良心 の形成 に役立 つ。しかし度 が過 ぎると主体性 のなさに繋 がったり、他人 の業績 を自分 のことと思 い込 んで満足 する(自我 拡大 )、自他 の区別 がつきにくい人間 となる。「相手 にあやかる」[7]。- シゾイド
幻想 (Schizoid Fantasy)[6] -内部 や外部 への葛藤 を解消 するため、妄想 へと退化 する 理想 化 -自己 と対象 が「分裂 」している状態 で、分裂 させた一方 を過度 に誇大 視 して「理想 化 」すること。分裂 されたもう一方 は「脱 価値 化 」を伴 う。高次 の「理想 化 」は、対象 の悪 い部分 を見 ないようにすることで自分 の攻撃 性 を否認 し、それに伴 う罪悪 感 を取 り去 るのに対 し、「原始 的 理想 化 」は、対象 の悪 い部分 に破壊 されないようにその部分 を認識 しないようにする。受動 的 攻撃 行動 [6] - サボタージュ[要 曖昧 さ回避 ]など。投影 性 同 一 視 (Projective identification,投影 同 一 視 、投影 同一 化 ) - スプリッティングが働 いている中 で、自分 自身 の悪 い部分 を相手 の中 に写 し(投影 )、相手 を支配 している、または傷 つけていると感 じること。その時 に投影 されている側 の人間 に、投影 された「悪 い部分 」(憎 しみや怒 り、軽蔑 など)の感情 が生 まれるという現象 が起 こる。投影 (Projection)[6] -自分 自身 の中 にある受 け入 れがたい不快 な感情 を、自分 以外 の他者 が持 っていると知覚 すること。例 えば、自分 が憎 んでいる相手 を「憎 んでいる」とは意識 できず、相手 が自分 を憎 んでおり攻撃 してくるのではないかと思 い恐 れる、自分 が性的 な欲望 を感 じている異性 に対 し、相手 が自分 に情欲 を感 じていると思 い、「誘惑 されている」と感 じたりする。退行 (Regression)[6]-耐 え難 い事態 に直面 したとき、現在 の自分 より幼 い時期 の発達 段階 に戻 ること。以前 の未熟 な段階 の低 次 な行動 をしたり、未 分化 な思考 や表現 様式 となる。不安 な時 に他人 の話 を鵜呑 みにしやすくなったりするのも退行 の一種 だが、これは「取 り入 れ」をよく用 いる発達 段階 に戻 ったことでおこる現象 である。退行 には「病的 退行 」以外 にも「治療 的 退行 」、「創造 的 退行 (健康 的 退行 )」などがある。病的 退行 は持続 的 な機能 の低下 を起 こさせるが、治療 的 退行 は治療 を施 したことにより表出 する、一時 的 、可逆 的 な現象 である。身体 化 (Somatization) - [6]抑圧 された衝動 や葛藤 が、様々 な身体 症状 となって表 れること。心 気化 。希望 的 観測
レベル3、神経症 的 防衛
[統制 (Controlling)[6] -周囲 環境 における出来事 や対象 を、過度 に管理 ・統制 しようとする。置 き換 え(Displacement)[6] -欲求 を本来 のものとは別 の対象 に置 き換 えることで充足 すること。解離 (Dissociation)[6] -苦悩 を避 けるために、自分 のパーソナリティの一部 を一時 的 だが徹底的 に一部 変更 すること。遁走 など。外在 化 (Externalization)[6]静止 (Inhibition)[6]知性 化 (Intellectualization)[6] -孤立 の形 をとる。感情 や痛 みを難解 な専門 用語 を延々 と語 るなどして観念 化 し、情緒 から切 り離 す機 制 。隔離 (Isolation)[6] -思考 と感情 、または感情 と行動 が切 り離 されていること[7]。「本音 と建前 」[7]。観念 とそれに伴 う感情 とを分離 するが、観念 は意識 において保持 し、感情 は抑圧 することなどである。おかしな行為 だと自分 では気 づいているがその行為 が止 められない、ある種 の強迫 行為 と関 わっていると考 えられている。合理 化 (Rationalization)[6] -満 たされなかった欲求 に対 して、理論 化 して考 えることにより自分 を納得 させること。イソップ寓話 『すっぱい葡萄 』が例 として有名 。狐 は木 になる葡萄 を取 ろうとするが、上 の葡萄 が届 かないため、「届 かない位置 にあるのはすっぱい葡萄 」だと口実 をつける。反動 形成 (Reaction formation)[6] -受 け入 れがたい衝動 、観念 が抑圧 され、無意識 的 なものとなり、意識 や行動 レベルでは正 反対 のものに置 き換 わること。本心 と裏腹 なことを言 ったり、その思 いと正 反対 の行動 をとる。憎 んでいるのに愛 していると思 い込 んだり、愛他主義 の背後 に実 は利己 心 があったりと、性格 として固定 されることも多 い。抑圧 (Repression)[6] -実現 困難 な欲求 や苦痛 な体験 などを無意識 の中 に封 じ込 め忘 れようとすることである。その内容 には観念 、感情 、思考 、空想 、記憶 が含 まれる。ジークムント・フロイトはこの「抑圧 」が最 も基本 的 な防衛 機 制 と考 えた。特 に心 的 外傷 体験 (トラウマ体験 )や、性的 な欲求 などの倫理 的 に禁止 された欲求 が抑圧 されると考 えられている。否認 との違 いは、否認 は実現 困難 な欲求 や苦痛 な体験 を一時 的 に忘 れるだけで、他人 に指摘 されるとその事 に気付 く。しかし抑圧 は意識 より深 い心 の深部 (前 意識 や無意識 )にまで押 し込 められてしまう。そのため基本 的 には思 い出 せなくなってしまう。思 い出 すには努力 が必要 であり、それほど悪 い観念 でなければ簡単 に思 い出 せるが(前 意識 からの思 い出 し)、強 い抑圧 は無意識 にまで押 しやられているので思 い出 すのは困難 である。その代表 例 としては赤 ちゃんの頃 の記憶 などがある。性的 特徴 化 (Sexalization)[6]打 ち消 し(Undoing) -罪悪 感 や恥 の感情 を呼 び起 こす行為 をした後 で、それを打 ち消 すような類似 の、またはそれとは逆 の行動 を取 ること。分離 と共 に用 いられることが多 い。社会 的 な上向 き・下向 きの比較 逃避 (Withdrawal)
レベル4、成熟 した防衛
[- アクセプタンス(
受容 ) 愛他主義 (Altruism)- たとえ自分 が不利益 を被 っても、他人 に代 わって建設 的 な助 けをする[6]。先取 り(Anticipation)-将来 の苦痛 を予想 する[6]。禁欲 主義 (Asceticism)[6]勇気 (Courage)感情 の自己 コントロール感情 的 レジリエンス許 し(Forgiveness)感謝 (Gratitude)謙虚 (Humility)- ユーモア[6]
同 一 視 (Identification) -自分 にない名声 や権威 に自分 を近 づけることによって自分 を高 めようとすること。他者 の状況 などを自分 のことのように思 い、感 じ考 え行動 すること[7]。この同 一 視 は他人 から他人 へ伝染 する。慈悲 - マインドフルネス
節制 (Moderation)忍耐 (Patience)尊敬 (Respect)昇華 (Sublimation)[6] -反 社会 的 な欲求 や感情 を、社会 に文化 的 に還元 出来 得 るような価値 ある行動 へと置 き換 えること[6][7]。例 えば、性的 欲求 を詩 や小説 に表現 することなどである。抑制 (Suppression)[6] -意識 的 な衝動 を、意識 的 もしくはほぼ意識 的 に延期 する[6]。寛容 (Tolerance)
臨床 における防衛
[転移
[たとえば
逆 転移
[たとえば
患者 「眠 れないんです、睡眠薬 ください!」- 「
仕方 ないわね、今回 だけだからね」(陽性 逆 転移 )-治療 者 は患者 を子供 としてあやし、自立 を阻害 している。 - 「ダメです!
薬 ばかりに頼 っては!」(陰性 逆 転移 )-治療 者 は患者 を子供 のように叱 り、関係 を壊 している。
- 「
脚注
[出典
[- ^ Schacter, Daniel L. (2011). Psychology Second Edition. 41 Madison Avenue, New York, NY 10010: Worth Publishers. pp. 482–483. ISBN 978-1-4292-3719-2
- ^ "Freud Theories and Concepts (Topics) AROPA. 2013. Retrieved on 05 October 2013
- ^ Utah Psych. "Defense Mechanisms" 2010. Retrieved on 05 October 2013.
- ^ “archive of: www.3-S.us What is a self-schema?”. Info.med.yale.edu. 2013
年 2月 4日 時点 のオリジナルよりアーカイブ。2013年 5月 5日 閲覧 。 - ^ Mulder, Laetitia B.; Van Dijk, Eric (2020-01-08). “Moral Rationalization Contributes More Strongly to Escalation of Unethical Behavior Among Low Moral Identifiers Than Among High Moral Identifiers”. Frontiers in Psychology 10: 2912. doi:10.3389/fpsyg.2019.02912. ISSN 1664-1078 .
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai B.J.Kaplan; V.A.Sadock『カプラン
臨床 精神 医学 テキスト DSM-5診断 基準 の臨床 への展開 』(3版 )メディカルサイエンスインターナショナル、2016年 5月 31日 、Chapt.4。ISBN 978-4895928526。 - ^ a b c d e f g h i j k l
吉 松 和哉 ;小泉 典章 ;川野 雅 資 『精神 看護 学 I』(6版 )ヌーヴェルヒロカワ、2010年 、Chapt.1.3。ISBN 978-4-86174-064-0。
参考 文献
[- アンナ・フロイト(
著 )、外林 大作 (訳 )『自我 と防衛 』誠心 書房 、1936年 。ISBN 9784414404043。 - H・スィーガル(
著 )、岩崎 徹也 (訳 )『メラニー・クライン入門 』岩崎 学術 出版 社 、1977年 10月 。ISBN 9784753377060。 下山 晴彦 『よくわかる臨床 心理 学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)』ミネル ヴァ書房 、2009年 8月 。ISBN 9784623054350。上島 国利 、平島 奈津子 、上別府 圭子 『知 っておきたい精神 医学 の基礎 知識 ― サイコロジストとコ・メディカルのために』誠 信 書房 、2007 06。ISBN 9784414428605。- アイヴァン・ワード
著 、小林 司 訳 『超 図説 目 からウロコの精神 分析 学 入門 ―進化 した解釈 から最新 の精神療法 まで』講談社 、2003年 4月 。ISBN 9784062692007。 鈴木 晶 『図解 雑学 フロイトの精神 分析 』ナツメ社 、2004年 1月 。ISBN 9784816336461。